

将来戦闘機関連技術の例 (防衛技術シンポジウム2017年)
将来戦闘機の代表的な技術としては、ネットワーク戦闘技術、ステルス技術、大推力エンジン技術、自己防御システム技術、ミサイル警戒技術及び高出力小型レーダ技術がある 。
説明員の方がステルス化が進んだときどうしてもネックになるのが戦闘機のレーダーであるという。
レーダーが電波を発するのであるからステルスもへったくれも無いのだが、レーダーを切ったとしても、戦闘機の電波開口面(レーダーアンテナ)は巨大な反射板となってしまい、ステルス化が困難である。
そこで研究されているのが、フェーズドアレイレーダーを市松模様のようにレーダーと空洞部分を交互に配置し軽減する方法と、アクティブに打ち消す電波を発射して欺瞞する方法だ。
単純に市松模様にすると素子数が減るが、素子をより小型化すれば、低RCS化できるという。
もうひとつ、到来電波の反射位相を時間的に180度変化させて反射周波数を変更するというアクティブ電波反射制御技術の実験に成功している。

説明員の方に、スマートスキンのステルス性について、アクティブフェイズドアレイレーダーと比較してどうか?と、お尋ねしたところ、いい質問をしたらしく、饒舌に語っていただきましたが、物理学や電波工学について素人なので理解できたことを要約すると、スマートスキンはステルスと二律背反の関係だそうだ。スマートスキン技術は、相手をよく見ることもできるが、相手からもよく見えてしまう。納得がいく説明である。
結局のところレーダーは電波を反射して感知する根本原理であるので、反射面が大きければ大きいほど完全ステルス化は難しいという。レーダーを切ったとしても空中に存在している間は、完全にステルス化することはできない。
そこで、このアクティブ電波反射制御技術は、相対する電波の同じ電波を出し電波的に見えなくする技術であって、ある意味リアル科学忍者隊みたいなものだ。

アクティブ電波反射制御技術は、パッチアレイとアクティブ素子を用いて、到来波の反射位相を時間的に 180°変化させて反射周波数を変更する技術である。
これにより、脅威側のレーダのドップラ処理に対して周波数軸上で信号をシフトさせ RCS の低減を図るものである。

パッチアレイ配列及びそ れらのパッチを接続する PIN ダイオードを配した アクティブ層と、裏面の金属反射板(地板)からなる。 アクティブ層の PIN ダイオードの ON、OFF 時 の電波反射特性の違いにより反射周波数を制御 する。PIN ダイオードを ON にした場合は、パッチ 配列は金属線のようになる。
OFF にした場合、ダ イポール形状のパッチアレイのみとなる。OFF 時 に透過した電波は、アクティブ層の透過位相及び 裏面金属との経路長により、ON 時の表面反射と 比較して 180°の位相遅れが生じる。
この 180° の位相差を時間的に切り替えることで、二値の位 相変調がなされ、反射波が周波数 軸上でシフトする。 この周波数軸上の信号シフトにより、脅威レー ダの捕捉するドップラ周波数ゲートの帯域外へ信号をシフトさせることで、低被観測性が得られる。
逆位相の音で消音する技術が確立しているが、その電磁波版である。


プラズマステルスアンテナ技術の研究
○吉積義隆*、髙萩和宏*、西岡俊治*
1.背景例えるなら、プラズマアンテナとは、金属のアンテナに代わり、ガスが詰った蛍光灯のようなアンテナ代わりにして、ステルス化を強化する技術である。
近年、戦闘機やミサイル等による脅威を低減し、早期対処を可能とするために、我の戦闘機等をステルス化する必要性が高まっている。
ステルス化の手法には、大きく分けて到来電波の反射方向を局限する形状ステルス及び反射量を減らす材料ステルスがあり、装備品の形状や適用箇所等に応じて対策する必要がある。
しかし、装備品のアンテナは、電波を放射する特性上、形状の工夫や電波吸収体等の材料適用が困難であるため、例えば、従来の戦闘機等において、機外に突出する形で設置される通信用アンテナについて、近年ではそれらを機体に埋め込むことにより、ステルス化が図られている。
他方で、構造や制御の煩雑化が課題となっている。
そこで本発表では、従来のアンテナ形状のままでステルス性を得るプラズマステルスアンテナ技術 1)について、検討を行った結果を報告する。
2.目的
本研究では、航空機のアンテナのステルス化に向け、電気的な制御による物性の変更が可能であるプラズマの特性を利用して仮作したプラズマステルスアンテナについて、通信用アンテナとしての動作及び到来レーダ波に対する反射量低減に関する検討を行うことを目的とする。
3.プラズマステルスアンテナのステルス動作
本研究で仮作したプラズマステルスアンテナは、アルゴンと水銀の混合ガスを封入したガラス管等からなる放電管、プラズマ励起用高圧電源及びRF信号印加部からなる回路により構成され、図 1に示すように、放電管内にプラズマを発生させるON状態及びプラズマを消失させたOFF状態を交互に切り替えて使用する。アンテナの形状としては、水平面内において無指向のブレード型を採用している。
プラズマステルスアンテナをON状態にしてRF信号を印加すると、放電管がアンテナとして動作し、通信波が送信され、到来した通信波の受信も可能となる。逆にOFF状態にすると、放電管部分は単純な誘電体となるためアンテナとして動作せず、通信波の送受信はなされない。
一方、到来レーダ波の反射の観点から見ると、ON状態では反射が生じうるが、OFF状態では透過してしまうため反射が低減される。すなわち、通信波を送受信する場面ではON状態とし従来のアンテナと同様に使用するが、自機のステルス性確保を要する場面においては、OFF状態とすることで我の被探知確率を低減することが可能となる。
4.測定結果
平成29年度に仮作したプラズマステルスアンテナについて、ON状態及びOFF状態のRCS(レーダ反射断面積)の計測結果について金属アンテナの計測結果とともに図 2 に示す。
本結果より、OFF状態におけるプラズマステルスアンテナの到来レーダ波に対する反射量低減効果が確認された。
参考文献
1) K. Takahagi et al., “Study on RadarCross Section for the Plasma Antenna in
UHF Band”,Proceedings of Asia-PacificMicrowave Conference 2014 ,pp. 974-
976,November 2014.
*電子装備研究所電子対処研究部 センサ妨害研究室
将来戦闘機は、ステルスとネットワーク戦闘能力に優れた戦闘機になるというコンセプトが基本であり、プラズマアンテナは、基本コンセプト実現の中核技術と言っても過言ではない。
他のステルス機保有国 米露でも、これから開発しようとする欧州でも持っていない技術である。中国はステルスではなく、J20/J31はなんちゃってステルス、ステルスもどきの戦闘機にすぎず、プラズマアンテナ以前に機体をもっとステルス化しなければ、プラズマアンテナで僅かにステルス化する意味が無い。
パネル展示もなかったが、電子装備研究所パンフに興味深いステルス技術があった。

レーダーはステルス機の弱点であると低被観測化技術の研究の説明員の方が言っておられたが、FSSレドームは特定の周波数は透過するが、それ以外は通りにくくすることで、ステルス性を高めるという。


F-22をリメイクしたのではこういった日本独自の技術を用いることはできないであろう。
次世代戦闘機は、かつてゼロ戦がグラム単位で機体を軽くしたように、電波反射をギリギリまで削る21世紀のゼロ戦である。
新戦闘機の電波反射を大幅にカットする技術として、直接エンジンの圧縮機に電波が当たらないように、しかも、エンジンに供給する外気を妨げてはならない。
そこで、絶妙なステルスインテークダストが必要である。
ステルスインテークダクトの研究
将来戦闘機の優れたステルス性の実現のために適用するエッジマネージメントを考慮したインテークや大きく曲げたインテークダクトによる気流の乱れがエンジンの安定作動に影響しないよう積極的にインテークダクト内部の流れを制御する技術について研究を行っています。






F-22やF-35、Su-57にこんな細かい技があるだろうか?F-35は単発エンジンが幸いしてエアダクトの奥にエンジンがあるが、F-2後継機のエアダクトに比べステルス性を考慮していないように見える。


まあ、中国のJ-20やJ-31はもちろん論外である。
ウェポンリリースステルス化の研究
将来の戦闘機において要求される優れたステルス性の確保に必須であるウェポン内装システムについて、高速飛行時あるいは高機動時の複雑かつ厳しい空力荷重条件下においても、短時間の内にベイ扉を開放してミサイルを発射し、機体から確実な分離を実現する技術の研究を行っています。



ウェポンリリースについて、説明員の方からお話を伺った。
日本でもP-1はじめP-3など兵器庫を持つ航空機がありますが、ウェポンリリースはそんなに難しいのですか?という愚問をしてしまったところ。
F-2後継機はスーパークルーズ(超音速巡航)能力を念頭においているため、超音速飛行時にウェポンリリースがどうしても必要となります。また、対空ミサイルは大型の対艦・対地ミサイル・爆弾や爆雷より軽いため、自由落下といえども私達が思う以上に難しいとのこと。超音速飛行時の空気は気体というより激しい流体であり、その研究は怠れないとのこと。
また、エアインテーク脇のウェポンベイから超音速飛行時に発射する短距離ミサイルの発射について研究していないということは、F-2後継機F-3にはエアインテーク脇のウェポンベイに短距離ミサイルを搭載しないのですか?と質問した。
もちろんエアインテーク脇のウェポンベイを設置して短距離ミサイルを搭載するとのこと。エアインテーク脇のウェポンベイはガイドレールをつけるので、超音速飛行時でもハードルが低いとのことでした。
航空装備研究所における戦闘機の胴体関連技術
○川井翼*1、饗庭昌行*1、林利光*2
1.背景及び目的
航空装備研究所においては、戦闘機関連技術の蓄積・高度化を図るための様々な研究を実施している。
本発表では、戦闘機の胴体構造に関連する重要な技術である軽量化機体構造及び誘導弾内装ベイ・システムの研究について、直近の進捗状況を含めて紹介する。
2.軽量化機体構造の研究
将来の戦闘機は誘導弾内装ベイを設けるため、胴体容積増加等による重量増加傾向がある。軽量化機体構造の研究は次の3つの技術により、機体の軽量化を実現するものであり、段階的にこれらの技術の成立性を検証している。
(1) 一体化・ファスナレス構造技術
複合材製部品を接着成形によって結合し、複合材の適用部位の拡大と金属製ボルト(ファスナ)の更なる削減を図ることで構造重量の低減を目指すものである。
(2) ヒートシールド技術
軽量かつ熱遮蔽性能に優れた部材をエンジン周辺に配置することで、エンジン周辺の構造部材を従来の重い耐熱合金から、軽量な複合材やアルミ合金等に変更し、機体構造の軽量化を図るものである。
(3) 高効率・高精度構造解析技術
FEM(Finite Element Method)モデルの作成を短期間で実施するために自動でCAD(ComputerAidedDesign)モデルから詳細FEMモデルへ自動変換するツールを作成するとともに、設計者の技量によらず適切な解を得るためにモデル作成ルール及び破壊判定ルールを定めた次世代航空機構造解析基準を作成した。これにより軽量化に伴う強度不足のリスクを局限する考えである。
直近の進捗としては、上記の技術を適用した部分構造供試体(図 1)の試作を平成 29 年度に完了した。部分構造供試体は、戦闘機の中部胴体、後部胴体及び主翼の一部を模擬した実大の供試体であり、強度試験により、構造強度と解析精度の確認を実施中である。
3.誘導弾内装ベイ・システムの研究
戦闘機の胴体内部に誘導弾を格納するためのベイ・システムに関する研究として、ウェポンリリース・ステルス化の研究を行っている。誘導弾を胴体内のベイに格納することにより、抵抗が減少しより高速で飛行できること、レーダ波の反射を抑制しステルス性を向上できることの2点の利点がある。
本研究ではこれまでに、高速気流中での誘導弾の分離特性を取得するための風洞試験と、試作したランチャー部分を用いたダミーストアの射出試験を実施しており、誘導弾を安全に分離できる見通しを得ている。
直近の進捗としては、誘導弾を機外に射出するためのランチャー機構及びベイ扉の開閉機構を含む実大のシステム(図 2)の試作を平成 29 年度に完了した。現在は、これらの機能及び性能の確認試験の準備を行っている。なお、この供試体を取り付ける試験架構には、飛行中にベイ扉を開閉する際に発生する大きな荷重を模擬するための負荷機構を具備している。
4.まとめ
航空装備研究所における戦闘機の胴体関連技術の研究について、直近の進捗状況を含めて紹介した。引き続き、各研究で所定の成果を得られるよう努めていく。
*1航空装備研究所航空機技術研究部航空機システム研究室 *2同機体構造・材料研究室
機体構造軽量化技術の研究
将来戦闘機の重量増加を抑制するため、一体化・ファスナレス構造技術、ヒートシールド技術及び高効率・高精度構造解析技術により機体構造の軽量化を図る研究を行っています。



これは、日本が世界に先駆け開発し、その後の航空機の機体成形に重用された複合炭素繊維の一体成形技術以上に画期的な一体化・ファスナレス構造技術は、今後画期的な機体成形技術として、機体の軽量化に貢献すると思われます。
また、一つ愚問をした。ダメージコントロールという意味で、破損した場合修理が難しくなるのではないか?と質問したところ、3Dプリンターで部品が作れるとのことでした。
推力偏向ノズルに関する研究
将来の戦闘機の高運動性を確保するため全周20度の推力偏向を可能とする3次元推力偏向ノズルに関する技術の研究を行っています。

戦闘機用統合火器管制技術の研究
ネットワーク戦闘環境において、戦闘機編隊の僚機間の秘匿データリンクを介し、アクティブ/パッシブの各種センサーとウェポンを統合的に管制し、対ステルス機や数的劣勢下においても優位な戦闘を可能とする技術の研究を行っています。

2018/11/13(火) 午前 8:24
2018/11/14(水) 午後 4:17
2018/11/21(水) 午前 3:29
2018/11/25(日) 午前 6:19
防衛装備庁技術シンポジウム2018 その4 高出力レーザー/高出力マイクロ波/電磁パルス/レールガン 2018/12/4(火) 午後 11:57
防衛装備庁技術シンポジウム2018 その5 XF-9エンジン/極超音速エンジン/極超音速誘導兵器 2018/12/8(土) 午後 0:25
執筆中





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