日露首脳、平和条約前進で一致 領土「解決は可能」
【産経ニュース】2019.1.23 01:03

【モスクワ=小川真由美】安倍晋三首相は22日午後(日本時間同日夜)、ロシアのプーチン大統領とモスクワのクレムリン(大統領府)で会談した。平和条約締結後に歯舞群島と色丹島を日本に引き渡すと明記した1956(昭和31)年の日ソ共同宣言を基礎とした平和条約締結交渉をめぐり、2月に予定される日露外相会談などで交渉を前進させることを確認した。
両首脳は会談後、共同記者発表に臨み、首相は北方領土問題を含む平和条約締結交渉について「じっくりと時間をかけ胸襟を開いて話し合った」と強調。「解決は容易ではないが、やり遂げなければならない。両国民が相互に受け入れ可能な解決のためリーダーシップを発揮する決意を確認した」と述べた。プーチン氏も「会談は非常に建設的だった」と述べ、平和条約については「締結を目指す」と明言。領土問題などについて「解決は可能だ」と強調した。
首相とプーチン氏の会談は通算25回目。共同宣言を基礎にした交渉加速で合意した昨年11月以来、初の本格的な首脳会談となり、約3時間に及んだ。河野太郎外相とラブロフ露外相らも同席した。
今月14日の外相会談では北方領土をめぐる日露双方の歴史認識の溝の大きさが鮮明になったが、首相はプーチン氏との信頼関係をてこに日露両国民が受け入れ可能な一致点を見いだし、6月に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議までの大枠合意に向けて弾みをつけたい考えだ。
会談では、双方の法的立場を害さない形での北方四島での共同経済活動や、元島民の空路墓参など人道措置について具体化を急ぐことで一致した。エネルギーや医療など8項目の対露経済協力プランや防衛当局間の連携強化も確認した。
中国の勃興に頭を悩ますプーチン、恐るべき「次なる一手」
北方領土問題の今後の展望は?
【現代ビジネス】佐藤 優
■「全ロシア人民戦線」の発言
『プーチンとロシア革命』はモスクワに'06年から'18年にかけて連続して11年半勤務した産経新聞の遠藤良介記者によるプーチン大統領統治下のロシアについて深く掘り下げた作品だ。
遠藤氏は、現代ロシアとソ連の連続性の断絶を総合的に把握している。
〈二〇一六年一月二五日、プーチンは支持団体「全ロシア人民戦線」の大会で、出席者からソ連の創始者、レーニンについて問われた。
「私は二千万人余りの人たちと同様に共産党員だった。それだけでなく、約二〇年にわたって旧ソ連国家保安委員会(KGB)で働いた。これは党の武装部隊と呼ばれた反革命・サボタージュ取り締まり全ロシア非常委員会(チェカー)の後継機関である。(中略)多くの職員と違い、私は党員証を捨てなかった」
自らの党員歴から話を切り出したプーチンは、保健や教育、防衛分野の工業化などをソ連共産党の功績として挙げた。「計画経済には一定の長所があった。それによって、全国家の資源を最も重要な課題に集中させることが可能になる」とし、こう述べた。
「全国家の資源集中がなければ、ソ連はナチス・ドイツとの戦争に備えることができなかっただろう。敗北し、破局的な結果となっていた可能性が高い」
プーチンは同時に、レーニンについて、「わが国の建物の下に時限地雷を仕掛けた」と負の評価も口にした〉
FSB長官兼ロシア連邦安全保障会議書記当時のプーチン大統領(1999年)/Photo by gettyimages
レーニンが仕掛けた時限地雷とは、私有財産制度を否定した管理指令経済が国家機能を麻痺させたことである。
プーチンは、共産主義イデオロギーとそれに基づいた革命を嫌う。ただし、独ソ戦に対して勝利し、世界で初めて人工衛星を打ち上げることができたソ連に対しては誇りを持っている。
図式的に示すと、「プーチンのロシア=ソ連マイナス共産主義」なのである。非共産主義的なソ連を21世紀に甦らせるのがプーチンの国家戦略だ。
■あらゆる革命が悪
このような現代ロシア観は、遠藤氏の先輩で、産経新聞モスクワ支局長時代にソ連崩壊過程を綿密に取材した報道で定評がある斎藤勉氏が『スターリン秘録』(扶桑社文庫、'09年)で展開した見解を継承するものだ。
遠藤氏は、プーチン政権が発信する微妙なシグナルを精確に読み取っている。
〈ロシア革命からちょうど一〇〇年の節目だった二〇一七年一一月七日、モスクワの「赤の広場」では約五千人の参加するパレードが行われた。
とはいえ、革命一〇〇周年を祝うものではない。一九四一年の革命記念日に、第二次大戦の対ドイツ戦に出征する将兵が行ったパレードを再現する行事だった。
当時、モスクワまで数十キロに迫っていたドイツ軍を撃退するため、極東やシベリアから集められた部隊が「赤の広場」で閲兵を受け、そのまま前線に向かった。モスクワ市主催の再現パレードには、「祖国防衛の英雄的な歴史」を思い出してもらうのが狙いだと説明された。
二〇世紀の世界に多大な影響を与え、膨大な人的犠牲をもたらしたロシア革命については、何ら総括されずに無視された。政府主催の行事も、プーチンによる談話もなかった。
プーチンが政権転覆を恐れ、およそ革命や政変を罪悪視していることが背景にある。政権が「過去」を美化することでしか国民をまとめられず、帝政時代とソ連時代の双方を悪く言いたくないことも理由だ〉
プーチンは、大祖国戦争(第二次世界大戦のソ連、ロシアにおける呼称)に勝利したスターリンを評価する。しかし、帝政ロシアを転覆させたボリシェビキ(共産党)による革命は否定する。
同様に、'91年12月のソ連崩壊も内的生命を失ったソ連が消滅したのは必然的であったという見方を示すと共に、ソ連解体を20世紀最大の悲劇と位置づける。
プーチンにとって、あらゆる革命は悪なのである。それは、現下のプーチン体制が、革命によって転覆させられることを恐れているからだという遠藤氏の分析は実に鋭い。プーチンは本質において保守主義者なのだ。
ところで、現在、安倍晋三首相とプーチン大統領は、歯舞群島と色丹島の日本への引き渡しを約束した1956年の日ソ共同宣言を基礎に北方領土問題の解決に精力的に取り組んでいる。
本書を読むとその背景事情がよくわかる。
〈極東への投資を呼び込む目的で、プーチン政権は一五年からウラジオストクで「東方経済フォーラム」を開催している。日本の首相、安倍晋三や韓国大統領の文在寅、北朝鮮の代表団が出席した一七年九月のフォーラムでも、国内で進む人口減少への危機感が示された。
「率直に言って、ほとんど何もなされていないという印象だ」
プーチンは、この二五年間で極東から約二〇〇万人が流出し、外資の誘致も進んでいない現状にいらだちを募らせた。そして、「真剣に措置を講じなくてはならない」と政府に強くハッパをかけたのである。
地元高官が中央政府にいっそうの資金投下を求め、中央の役人が地方当局の非効率を批判していがみ合う場面もあった。
ロシアの国土の三六%を占める極東には、ソ連の崩壊した一九九一年に八〇六万人が住んでいたが、近年は六二〇万人まで減少した。これはロシア国民の四・二%にすぎない。「辺境」住民向けの割増給与といった、ソ連時代の人工的な版図維持装置がなくなったことが大きい。
プーチン政権は、旧ソ連諸国からの帰還者や大家族の極東移住を促すプログラムを打ち出してきたが、効果は微々たるものだ。政権は、中国からの資本や労働力が極東を席巻するのではないかと脅威を感じている〉
急速に台頭し、新たなゲームのルールを構築しようと腐心する中国に対抗する協力体制を構築することがプーチンの国家戦略にとって重要な位置を占めている。
『週刊現代』2019年1月19・26日号より
北方領土に関して、いくら平和的に解決しようと頑張ったところで今のロシア相手に北方領土四島とも帰ってくることは絶対にないと思う。
むしろ二島でも帰ってくれば「御の字」かもしれない。これからの「国家百年の計」を考え、日本の国益・安全保障を考えるとき、シナ(中国)を封じ込めることが、最も重要な懸案であると思う。
おそらく、あと10年以内に中国共産党政権は崩壊するとは思いますが、14億人のシナ人とシナの土地は地上から消えてなくなるわけではありません。
もしかしたら、中共(中華人民共和国)が崩壊後、過去の歴史のパターンでいくと、
シナの地は再び五胡十六国時代 のように、分裂するだろう。分裂した国の中には中国共産党より性質が悪い独裁国家が誕生するかもしれません。
近未来シナ大陸は混乱し、中国の難民が日本にも溢れかえる攻殻機動隊のような世界観が現実のものとなるような気がしてなりません。
また、私の予想が大幅に外れ中国が統一国家のまま残存し、軍事大国のまま存在するのであれば、なお更日露は協力してシナを封じ込めることが両国の利益が合致するはずです。
ニュース報道を読む限り、安倍首相は四島一括返還にこだわっていません。日本政府の基本方針は「北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する」というものだが、「二島決着」は安倍首相の本心であり、安倍政権のはっきりした方針であると思われます。
もちろん、私も「二島決着」に無条件で賛成できるものではありません。私も政府見解同様北方領土はソ連にに不法占拠されたもので、それをロシアが引き継いだもので、第二次世界大戦末期ソ連は日本との条約を破り不法に武力侵入されたという歴史認識と変わりません。
ラブロフ・ロシア外相は、「第2次世界大戦の結果として、主権がロシアにあると認めないかぎり、何らかの進展を期待するのは非常に難しい」「(日本は)第二次世界大戦の結果を認めていない世界で唯一の国」と主張しているが、ソ連が崩壊したのであるから日本としては、ロシアと北方領土の平和的な返還について交渉することは当然の権利であると、強くラブロフ・ロシア外相に反論すべきだ。
ロシアを同盟国とするメリットと、北方領土問題の完全解決を計りに掛けた場合、ロシアと平和条約を結び、日本側に引き入れる国益は、魅力的ではある。
二島返還か、四島返還かではなく、北方領土問題は未解決とロシアに飲ませた上で、日露平和条約を結ぶ選択肢はないであろうか?二島返還で納得いかないのであれば、未解決だとロシアに飲ませる手しかない。その上で、平和条約を結ぶ上で、日ソ不可侵条約を破ったスターリンとソ連政府が非難し、シベリア抑留は前政府の戦争犯罪であることを宣言させたら、日本国内も4島返還論に固執する諸兄も納得できるかもしれない。
1月21日に開かれた安倍首相とプーチン大統領との日露首脳会談はなんと25回目となる。25回という数字は、歴代の首相の中で同一の外国首脳との会談数では過去最大の回数になるはずである。
25回も会えば、安倍首相とプーチン大統領の腹は固まっているはずであり、安倍首相もロシア相手に北方領土と平和条約の落としどころと、日本の国益にとって何が、ベストであるかは判断ができていると私は思っています。
日本人全員の求める希望と、ロシア国民全員容認できる一致する点はあるはずがなく、どこで一致させるかは当人同士が一番よく分かっていると私は思うので、もし、安倍首相が2島返還で纏めるのであれば、残念ながら従うしかないだろう。
21日の首脳会談で話し合ったのは北方領土問題ではなく日露平和条約の締結について話し合ったんであっていたと思われます。
日本のバカマスコミは、足元を見られて北方領土は進展しなかった、もはや誇るのは首脳会談の回数しかないと評価はおしなべて低い。
プーチン大統領は独裁者であるが、紛いなりにも民主主義(っぽい?)選挙で選ばれた大統領である。独裁者的であっても何でも勝手に決められるわけではない。
ロシア国民の支持があってこそ成り立つ独裁者なのだ、ロシアの国民の世論は、中国韓国と違い日本はいい国であって日本との平和条約大賛成だ。ロシア国民はおおむね親日国である。だが、北方領土を引き渡す事に関してはロシア世論は絶対反対である。
プーチンが記者会見で言っていたが、日本とロシアの間の貿易額を増やそう
これを言っています。日本とロシアの間の貿易これはまあ結構やられているように見えてすごく少ない。プーチン大統領が今回出したのは数値目標は300億ドル日本
円で3兆円くらいだ。ちなみに日中間の貿易額は3000億ドルを超えている。
ロシアは日本と北極海を通る、北極海航路と、北極海から運び出す天然ガスを提供できるんだど提案している。
日本にとって中東の原油以外のエネルギー源を確保することは大きな国益である。今回は日露首脳会談においては、日本の防衛省とロシアの国防省との間の関係を進めようという話があったという。日本とロシア関係をさらに進めるという意味で将来軍事同盟に発展していけば、日本の国益にとって計り知れない恩恵がある。
日露安保条約、あたかも同盟国になるような日露平和条約を結ぶことができれば、北方領土が現時点では棚上げになったとしても日露平和条約を結ぶな意味は計り知れない。
日露が同盟国になれば、対中国に対して地政学的にも国家戦略としてもとてもきわめて重要だと思う。チェスで言えばチェックメイトである。
日露平和条約は、あくまでも安全保障のための国家戦略だと、我々日本人も割り切って支持合意すべきではないかと思います。
ロシアは、北方領土の問題は棚上げにしてくれれば、日露平和条約は大歓迎のはずである。北方領土の返還交渉はこの日露平和条約の後とすることも日本はオプションとして残すことができるはずである。
拡張主義をとる軍事大国中国を封じ込めるには、日露の協力が必要である。日露平和条約は、北方領土問題が絡み70年間進まなかったが、安倍首相とプーチン大統領の間で話し合いを進めるべきだと思います。日露両国は日露平和条約に向かって一歩前へ進むべき時ではないかと私は思います。




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