
今年も防衛装備庁 技術シンポジウム2019へ行ってまいりました。本当は11/18-20のDSEIにエントリーを申し込んだのですが・・・
防衛産業関係者か防衛関係者ではないとエントリーできず、軍事ブロガーの管理人ですと申し込んだのですが・・・バックグラウンド調査で撥ねられ萎えてしまいました。
Our records indicate you started to register to DSEI Japan but did not complete your registration.だそうです。
19式装輪155mmりゅう弾砲
模型展示と動画がながれていました。
「Ⅱ型」⁈Ⅱ型ということはⅠ型があるのかとパネルを見ますとⅠ型を3輌試作したとあります。うち2輌をⅡ型に改修、試作段階では改修2輌新規2輌でテストしたとあります。
2019年度5輌が納入されていますので、Ⅰ型1輌も存在しているということです。
Ⅰ型とⅡ型の違いはと説明員の方にお伺いしたところ、大きな違いは左ハンドルと右ハンドルだそうです。シャーシーはドイツのトラックメーカーMAN社製で当然左ハンドルです。
Ⅰ型はMAN社製トラックにそのまま99式自走りゅう弾砲の52口径155mmりゅう弾砲を搭載ものです。
平成30年7月~9月米国ユマ試験場でⅡ型で発射実験が行われたとのこと。白色に塗られた車輌が用いられた。
〇岩隈一生*、浮須康彰*
1.緒言装輪 155mm りゅう弾砲は、155mm りゅう弾砲FH70 の後継として野戦特科部隊に装備し、各種事態において、広域かつ迅速に機動するとともに、遠距離からの火力発揮により敵部隊等を撃破するために使用する火砲である。試作期間は、平成 25 年度から 30 年度までの 6 年間にわたり、試作(その 1)から(その 3)の 3 段階に分けて、試作を実施した。主に、試作(その 1)では、システム設計と新規設計部分の試験装置を、試作(その 2)では、火砲と装輪車両の組上げとシステムアップとしての装輪 155mm りゅう弾砲(Ⅰ型)を、試作(その 3)では、システム最適化のための装輪155mm りゅう弾砲(Ⅱ型)を試作した。2.技術的課題本試作における技術的課題は「システム化技術」、「軽量化技術」及び「発射反動低減・分散技術」であった。システム化技術は火力性能と機動性能を確保し、全体を最適化する技術であり、まず、基本設計において、火砲部と車体部の基本配置を分析した。軽量化技術は砲尾装置等の軽量化に関する技術であり、発射反動低減・分散技術は、発射反動を低減する駐退復座装置の最適設計及び発射反動を地面に分散させる固定部の新規設計に関する技術であった。しかしながら、火砲部の重量に関して軽量化するほど、発射反動に対して火砲部は耐えられなくなり、故障等の不具合を生起させる原因となる。そこで、システム化技術として、基本設計から引き続き、発射反動を考慮した火砲部と車体部との重量バランスを管理し、軽量化と発射反動低減・分散のトレードオフ検討を行い、装輪 155mm りゅう弾砲のシステム全体としての最適化を図った。(図1)3.試験の概要試験は、試作(その 1)で製造した砲尾装置の疲労試験(平成 27 年 10 月)から始まり、試作(その 2)、(その 3)で設計・製造した装輪 155mm りゅう弾砲(Ⅰ型)、(Ⅱ型)を用いて、射撃試験と機動試験を行うとともに、国内で実施することができない長射程の射撃試験を米国で実施した。(図 2)平成 31 年 2 月までに、全ての技術試験を終了し、技術的課題を解明するとともに、目標性能を全て満足することを確認した。4.結言装輪 155mm りゅう弾砲は、早期装備化を目指すために開発期間を短縮する必要があるとともに量産単価を含む LCC の低減が求められたため、既存の車体と火砲を組み合わせて設計をした。その中でトラックベースの装輪車両で装備品として成立させつつ、射撃に伴う発射反動及び衝撃反動の両方を抑えながら、重量、コスト、性能のバランスを満足させたことが主要な成果である。最終的には装輪 155mm りゅう弾砲の全技術試験を終了し、技術的課題を解明するとともに、目標性能を全て満足することを確認し、開発を完了した。*長官官房装備開発官(陸上装備担当)付第1開発室
動画には連射する画像がありませんでした。動画では次弾の装填までで給弾は写ってませんでした。次弾の装填は自動でしたが自動装填装置への給弾はもちろん手動と思われます。発射速度は99式自走155mmりゅう弾砲と同じとのことでしたので、当然練度にもよるとは思いますが、6発/分以上だそうです。
動画では、米国における長射程弾発射実験シーンが写っていました。瞬間だったので写真に収めることはできませんでしたが、飛行する砲弾の弾丸尾部が赤白く発光し補助ロケットが無煙で点火しているシーンを初めて見ました。
無人偵察機システム(FFRS Flying Forward Reconnaissance System)
動画では、米国における長射程弾発射実験シーンが写っていました。瞬間だったので写真に収めることはできませんでしたが、飛行する砲弾の弾丸尾部が赤白く発光し補助ロケットが無煙で点火しているシーンを初めて見ました。
無人偵察機システム(FFRS Flying Forward Reconnaissance System)
しかしながら、陸自の観測ヘリはOH-1が飛行停止、OH-6が減衰中・・・射程40kmであっても宝の持ち腐れになりかねない。観測ヘリは無人偵察機システム(FFRS)(誘導距離百十km~数百km)でカバーするのだろうが、19式装輪自走砲の導入にともない安価な市販ドローンの改良導入を検討したらどうだろうか?
精密誘導弾の導入について質問されている方がいらっしゃいましたが、日本の場合は精密誘導弾より通常弾の在庫備蓄を増やすほうがより優先すべきことではないかと私は思います。
しかしながら、米軍の精密誘導弾M982エクスカリバーは1発53,620ドル(約580万円)するが、もし国内で精密誘導弾を開発少量配備したら1発1000万円~2000万円以上になるだろう。1発のエクスカリバー砲弾は、10発から50発の無誘導砲弾の投入と同等の効果があることを鑑みれば、コスト低減し、同時多目標対処能力など強化した多目的誘導弾システム(改)と併せてM982エクスカリバーの導入も検討すべきではないかと思います。
さて、米国製AAV7の模型で車両用シミュレータで研究しているとのことでしたが、将来水陸両用車はかなり高性能となるようです。
AAV7の全長:全幅比はは普通の船舶の比率のちょうど2倍だそうです。
将来水陸両用車は令和元年より5年間の予定で日米共同研究を実施中です。将来日米で使用するかもしれません。
まず、こういった防衛問題に関心がある皆さんでも勘違いしていますが次世代水陸両用車は三菱重工が試作開発中のMAVとは異なる。別車輌です。
日米で新型水陸両用装甲車共同研究(開発)へ
2019-05-14 02:32:14
2019-05-14 02:32:14
○井上義宏*1、柳田勝志*2
1.背景2015年に防衛装備庁が設立され「諸外国との防衛装備・技術協力の強化」を任務の一つとして、様々な施策が施されるなか、我が国の装甲車技術を活用した、将来水陸両用技術の研究を日米共同にて実施中であり、本論においてはこれらの取り組みの概要について発表するものである。2.目的防衛装備庁は、水陸両用作戦能力の更なる強化を図るとともに、我が国の防衛生産・技術基盤の維持・強化の資とするため、水陸両用車の能力向上に必要とされる技術を確立する研究経費として、平成29年度に約24億円、平成30年度に約45億円の予算を計上し、研究を実施してきた。また、防衛装備庁は、日米共同研究等を含む当該事業に対し理解を得るとともに、防衛技術への理解と研究開発参画への関心を喚起することを目的として、これらの取組を情報発信している。3.概要我が国は、1950年代から国内開発によってシステムインテグレーション技術を向上させ、数多くの装甲車を開発している。また、各装甲車は同時期に開発された国産エンジンを搭載し、システムとしての完成度を高めている。例えば、10式戦車は、主要コンポーネントを国産化した初めての戦車であり、高い走行間射撃能力を有し、富士総合火力演習等においては、スラローム走行間においても高い命中精度にて射撃を実施している。また同戦車は、C4I システム、自動装填装置、1,200 馬力級エンジンなどの優れた国産のコンポーネントを有し、世界でもトップレベルの性能を有するものである。16式機動戦闘車は、大口径 105mm 砲を搭載し、走行しながら、全方位に射撃可能な戦闘車両で、10式戦車と同等の射撃統制装置を装備し、高い命中精度を有する。16式機動戦闘車のエンジンは10式戦車の設計ノウハウを活用し高信頼性を有するとともに、短期間で開発されている。防衛装備庁は、1,200 馬力級及び 600 馬力級のエンジンを開発しており、これらのノウハウを活用し現在は水陸両用車用の 3,000 馬力級のエンジンを研究中である。図1 研究中の 3,000 馬力級エンジン3,000 馬力級エンジンは、コンパクト、軽量かつ高出力で高い信頼性を有するものであり、これに実現の目処が立ったことによって、今後の水陸両用技術の研究が大きく進展したと言える。将来水陸両用技術においては、サンゴ礁等を乗り越えて島嶼部に上陸するために、推力となるウォータージェットと駆動力となる履帯を同時使用することを想定し研究を実施しており、これを実現する動力源として 3,000 馬力級のエンジンが必要となっている。次世代の水陸両用車を実現するために、小型高出力エンジンに加え、ウォータージェット、トランスミッションなどのコンポーネントの研究が必要で、これらの先進的コンポーネントは、共同研究開発あるいは装備移転の対象として技術的に十分なポテンシャルを有するものとなることが期待される。
*1防衛装備庁プロジェクト管理部 事業監理官(情報・武器・車両担当)付*2防衛装備庁長官官房装備開発官(陸上装備担当)付
将来水陸両用車輌は三菱が試作したMAVより小型で新型3000馬力エンジンが搭載される。
説明員の方の個人的見解ですが水上速度は時速47~48km(25~26ノット)を想定しているとのこと。
ATLAのHPの将来水陸両用技術の研究をよく見ると
エンジンも2種類三菱MAV酷似のイラストと別車輌のイラストがあり、比較シュミレーションが行われているようです。
最終的にはATLAで開発している車輌とMAVは融合した車輌になる可能性があるという。結局製品として製造するのはコマツが撤退し日本においては三菱重工しかないからだ。
説明員の方の個人的見解ですが水上速度は時速47~48km(25~26ノット)を想定しているとのこと。
ATLAのHPの将来水陸両用技術の研究をよく見ると
エンジンも2種類三菱MAV酷似のイラストと別車輌のイラストがあり、比較シュミレーションが行われているようです。
最終的にはATLAで開発している車輌とMAVは融合した車輌になる可能性があるという。結局製品として製造するのはコマツが撤退し日本においては三菱重工しかないからだ。
○上村圭右*1、竹田陽一*2、齊藤翔太*1、中尾健志*1、城間晴輝*1、清水俊彦*1、金子学*1
1.背景及び目的近年、シミュレーション技術を活用したモデル・ベース・デザインにより、研究開発の効率化が図られている。自衛隊では、部隊の機動・展開、水陸両用作戦能力の強化が重要となっており、これに対処する装備品の研究開発を迅速・効率的に行うためには、このようなシミュレーション技術を活用することは極めて有効である。本研究は、シミュレーションにより、水上、水際及び陸上の各領域における、次世代水陸両用車の構想段階から試験段階における性能の予測及び評価することを目的としている。2.研究の概要本研究では、流体解析、水槽模型試験及び実車試験の結果を活用し、一般船舶と異なった複雑な形状で、周囲に生じる流体力等が船舶と異なると推測される水陸両用車へ適合する、シミュレーション技術のコアとなる操縦運動数学モデルを構築する予定である。図1に数学モデルの構築の流れを示す。図1 操縦運動数学モデルの構築の流れ操縦運動数学モデルを適用するシミュレータは、試験条件やシナリオの設定などを行う装置、車両運動や流体力計算などを行う装置、車両の模擬操縦席及び模擬視界を投影する装置から構成され、詳細な車両運動等の解析を行う機構運動計算及び流体運動計算による機動性評価及び操縦者が模擬視界を見ながら行うマン・イン・ザ・ループシミュレーションによる、操縦性を含めた機動性評価が可能である。本シミュレータは、操縦運動数学モデルによる流体運動計算とマルチボディダイナミクス及びテラメカニクスのモデルによる機構運動計算に、パワートレインモデルに基づいた駆動力計算を組み合わせ、浮力、接地荷重、波力等の車両への作用力の計算を行い、水陸両用車の上陸シミュレーションができることに最大の特徴がある。図2に現有水陸両用車が海上航行後、水際域の斜面を登坂し上陸するというシナリオのシミュレーション結果を示す。図より、車両が斜面へ接地後、ピッチ角が斜面角度 30deg 付近まで増加、また、海面から浮上するにつれて浮力が減少し、接地荷重が増加している。上陸後は、ピッチ角は水平状態 0deg、浮力は 0kN、接地荷重は車両が海上で受けていた浮力相当の値となっている。本結果により、上陸時の車両運動を模擬できていることを確認した。図2 海上航行・上陸シナリオのシミュレーション結果3.まとめモデル・ベース・デザインの考え方を取り入れ、本シミュレータ上で次世代水陸両用車の構想段階から試験段階における性能の予測及び評価のプロセスをスパイラル的に実行し、先進的コンポーネントを組み合わせた次世代水陸両用車の実現可能性に関する研究開発を効率的に推進する。*1陸上装備研究所機動技術研究部機動力評価研究室*2技術戦略部技術戦略課技術交流室
シーバスター弾についてちょっと意地悪な質問をしてしまいました。
対艦ミサイルが極超音速化してしていますがシーバスター弾が必要な艦船は存在しますか?
中国の空母や、たとえ米軍の空母でもM3で飛来する通常弾で十分に有効ではないでしょうか?
むしろ、自由落下爆弾やJDAM(誘導滑空爆弾)向きかもしれませんが、防空ミサイルで守られた空母を自由落下爆弾やJDAMで攻撃するのはナンセンス、となればシーバスター弾など不要ではないか?今後戦艦クラスの装甲で固めた艦船が出現したならば必要かもしれないが・・・現代軍艦はイージス艦事故でもわかるように装甲は薄く不必要ではないか?
もしかして、本当の狙いは多弾頭化して装甲車輌?ではないか?と意地悪な質問をぶつけました。
すると、シーバスター弾のキャリアーは決まっていない。中国空母が目的とはいえないが、あくまでも対艦ミサイルである。将来出現するかもしれない脅威に対して研究しているとのお答えでした。
ASM-3改の弾頭ではなさそうですね。次に、もっと意地悪な質問をした。高密度EFP弾は小型爆弾をばら撒くのではなく、破片をばら撒くのでクラスター爆弾条約に抵触しないことは理解しています。高密度EFP弾を載せるキャリアーは決まっていないという。
高密度EFP弾のミサイル/ロケットはどうみても日本が開発する巡航ミサイルに搭載するように見えるが、高密度EFP弾は多連装ロケットシステムの自走発射機M270 MLRSからの発射されるロケットがもっとも適切ではないか?
シーバスター弾と高密度EFP弾はいつもセットで開発中とあるので、穿った見方をすると、どこかで融合してクラスター爆弾条約のがれの対上陸舟艇弾を開発しているのではないでしょうか?
さすがに私も妄想しすぎ、苦笑されてしまいました。
高密度EFP弾は上陸部隊上空に鉄の破片を降らせるもので弾頭があるとクラスター爆弾禁止条約違反となってしまいます。また、シーバスター弾はHEAT弾(成形炸薬弾)ですからEFP弾の技術を応用して上陸部隊にばら撒ければかなり効果的だが・・・
クラスター弾に関する条約
(第2条)禁止対象の定義「それぞれが20キログラムを超えない爆発性子弾を散布または放出するよう設計された通常弾で、それらの爆発性子弾が含まれるもの」(第2条2項)(第2条)禁止対象外の定義「周囲に対する無差別的な影響ならびに不発弾による危険性を回避するために次の全ての特性を備える弾薬」(第2条2項(c))1.10個未満の爆発性子弾しか含まない。2.それぞれの爆発性子弾の重量が4キロ以上である。3.単一の目標を察知して攻撃できるよう設計されている。4.電気式の自己破壊装置を備えている。5.電気式の自己不活性機能を備えている。
ということは、クラスター弾条約に抵触しない兵器であれば、20kg以上の弾頭の誘導シーバスター弾を9発発射する対上陸用舟艇弾なら高密度EFP弾を応用しできるのではないか?
イラストの巡航ミサイルに惑わされてしまうが、弾等の大きさから見て、シーバスター弾と高密度EFP弾の搭載母体は多目的誘導弾システム(改)が一番妥当ではないだろうか?
防衛装備庁の新兵器公募 その4 対舟艇誘導弾システム 2016年06月25日
アクティブ防御技術
アクティブ防護システム(APS)は、自衛用兵器の1種で、ミサイルやロケット弾による攻撃から自身を守る装置である。
イスラエル製のトロフィー・アイアンフィスト、米国クイックキル、 ロシアドロースト、アリーナ、ヨーロッパIBD製AMAP-ADSなどが既に開発済みである。
陸上装備研究所で開発中の戦闘車両用のハードキルAPSは、飛来する敵弾を空中でミリ波で正確に撃墜する。パッシブ・センサーで遠距離高速飛翔物を感知する。
イラストの巡航ミサイルに惑わされてしまうが、弾等の大きさから見て、シーバスター弾と高密度EFP弾の搭載母体は多目的誘導弾システム(改)が一番妥当ではないだろうか?
防衛装備庁の新兵器公募 その4 対舟艇誘導弾システム 2016年06月25日
アクティブ防御技術
アクティブ防護システム(APS)は、自衛用兵器の1種で、ミサイルやロケット弾による攻撃から自身を守る装置である。

陸上装備研究所で開発中の戦闘車両用のハードキルAPSは、飛来する敵弾を空中でミリ波で正確に撃墜する。パッシブ・センサーで遠距離高速飛翔物を感知する。
比較的低速で飛翔する携帯型対戦車ミサイルやロケット弾は迎撃可能だが、高速も戦車砲弾や運動エネルギー型対戦車ミサイルに対しても、撃破ではなく逸らすことで防御を目指している。
説明員の方の説明だと、1輌に2基2発搭載する。現時点では発射基の重量が重く軽量化を目指しているとのこと。防御距離は一定で、飛来してきたミサイルなりロケット弾の速度を瞬時に計算し防御エリアで爆発するよう発射するとのこと。
他国のAPSと違い車輌周辺の人員の被弾を極力避けることができるのが大きなポイントである。また、1基1発しか搭載していないので、多弾道化も課題だという。

説明員の方の説明だと、1輌に2基2発搭載する。現時点では発射基の重量が重く軽量化を目指しているとのこと。防御距離は一定で、飛来してきたミサイルなりロケット弾の速度を瞬時に計算し防御エリアで爆発するよう発射するとのこと。
他国のAPSと違い車輌周辺の人員の被弾を極力避けることができるのが大きなポイントである。また、1基1発しか搭載していないので、多弾道化も課題だという。

〇関口将弘*、村上卓弥*、小林一穂*、松沢純平*、南亜樹*
1.背景・目的先進技術推進センターでは、平成27年度から「高機動パワードスーツ」の研究を行っている。この研究では、民生品のパワードスーツに比べ、重量負担を軽減しつつ、野外の不整地においても、駆け足のような迅速機敏な行動ができるパワードスーツを目指している。現在、パワードスーツ技術は民生分野においても研究開発が進んでおり、介護従事者用やリハビリ支援用、物流業界向け等のパワードスーツが既に製品化されている。しかしこれら民生品のパワードスーツは、歩行動作の支持や平地での重量物運搬を主な目的としており、アシストされる動作が歩行に限られている場合や室内環境での使用を前提としている場合が多い。一方、自衛隊に必要とされるパワードスーツは、災害派遣等の任務において隊員の装備品や救助する負傷者の重量を支持すると同時に、歩行だけでなく駆け足のような素早い動作を可能とし、砂地や山岳地、泥濘地等の不整地にも対応する必要がある。このため、民生品のパワードスーツに比べ高い機動性を実現し、かつ野外の不整地においても安全に運用できるようなバランス制御の安定性を確保することが求められる。本研究では、重量を支持しながらも素早い動作を行うために、外骨格構造により重量負担を受け持ちつつ、人間の動作に追従できる機構を備える、下肢に装着するパワードスーツの試作を行った。2.研究内容研究の手法としては、プロトタイプの設計・製造と試験評価を短期間で繰り返し、試験データ、装着者(陸自隊員)の意見等をパワードスーツの設計に随時反映するスパイラル的な研究試作を行い、試作品を平成29年度末に完成させた。平成30年度からは、試作品を隊員が装着して、高機動パワードスーツの性能評価を実施している。実験室環境では、三次元動作解析装置、床反力計付トレッドミル等の器材を用いて動作解析を実施し、高機動パワードスーツの基本性能等について評価を実施した。その後、陸自演習場において、特に災害派遣任務で運用される際の環境を模擬した試験を行い(図1)、改善ポイントの抽出を行った。現在は、得られた試験データをもとに、改良型のパワードスーツを製造しているところである。なお、パワードスーツのユーザビリティやデザインについても、陸自隊員との意見交換会等を実施し(図2)、実際の運用者の率直な意見を設計に反映できるよう取り組んでいる。3.今後の予定今後は、これまでの試作・試験で得られた成果を反映して製造している改良型のパワードスーツを用いて、試験評価と改良ポイントの抽出を繰り返し行い、災害派遣任務において隊員の負担軽減等に寄与するパワードスーツの早期実用化を目指し取り組んでいく。図1 災害派遣任務を模擬した野外試験の様子図2 陸自隊員との意見交換会の様子*先進技術推進センター研究管理官(第1技術領域担当)付 協調ロボットシステム技術推進室
高機動パワースーツはいまのところ災害派遣用に発達していると思える。
今後は例えば高機動スーツに携行兵器を一人で携行し発射で可能になるような戦場でのスーツの運用をもう少し検討してもらいたいものです。
今後は例えば高機動スーツに携行兵器を一人で携行し発射で可能になるような戦場でのスーツの運用をもう少し検討してもらいたいものです。
○松沢純平*、村上卓弥*、小林一穂*、関口将弘*、南亜樹*
1.背景災害派遣等の任務へ高機動パワードスーツを活用することを考えると、山岳地・がれき上等の過酷な環境下で、装着した隊員が不安定な姿勢・動作をすることも想定される。本発表では、想定される使用状況における高機動パワードスーツ装着者の安全性確保への取り組みと、不整地等における行動の試験評価方法の確立に向けた取り組みについて紹介する。2.安全性確保に関する取り組み高機動パワードスーツの活用に際しては、パワードスーツ自体の安全性に加え、想定される使用状況における装着者の安全確保が必要となる。そのため、高機動パワードスーツの研究試作品の設計・製造段階において、リスクアセスメント及びリスク低減の反復プロセス(JIS Z 8051)により、危険源分析に基づいた保護対策を実施した。設計・製造を始める前段階において、安全性に関するリスクについて関係者間での意見交換(リスクコミュニケーション)を行い、初期リスクアセスメントシートを作成した。リスクアセスメントでは、想定されるパワードスーツの使用場所や使用方法を明確化し、そこで生起しうる故障や誤作動といった危険源を特定したうえで、図1に示すような評価基準を用いてリスクの見積と評価を実施した。設計・製造の各時点でリスクアセスメントシートを更新し、リスク低減を実施することで、試作終了時にはすべての確認項目のリスク見積値について、装着者の安全確保のため、リスク見積値 6 以下とした。図1 リスクの分析・見積方法3.試験評価方法の確立に向けた取り組み現在、高機動パワードスーツの性能確認試験では、災害派遣任務への適用を目指し、不整地上や模擬災害現場での試験評価を行っており、より効果的で安全な試験評価方法の確立に向けた検討を実施している。不整地では、路面の性質に起因してバランスを崩したり転倒したりする恐れがあるため、事前に屋内で模擬不整地(図2上)を用いた動作確認を実施し、装着者の安全性を確保した。野外試験では、砂路面、足の一部のみが接地する段差、枝や小石などを踏みつける場合でも問題なく歩行できることが確認できた。木材がれきで構成した模擬災害現場では、がれき上歩行、がれき除去作業、要救助者搬送といった人命救助で想定される一連の動作を実施可能であることを確認できた。さらに、歩きやすさ等のパワードスーツの全体性能を向上させるためには、制御性能の定量的な評価と改善が必要である。そのため、模擬災害現場での試験でがれきの上を歩行する際に生起した、足場を探る動作などの場面を抽出し、同一の条件で繰り返し試験ができる標準がれき足場(図2下)を構築した。再現性のある標準がれき足場により、制御性能について定量評価できる環境を整備し、現在試験を実施しているところである。図2 上:模擬不整地、下:標準がれき足場4.結言今後は、災害模擬フィールド等の模擬運用環境で試験評価を行うことで改良を重ね、災害派遣任務に活用可能な高機動パワードスーツの早実用化を目指す。*先進技術推進センター研究管理官(第1技術領域担当)付 協調ロボットシステム技術推進室
○吉川毅*、椿尚実*、濱本善久*、小泉良太*、齊藤翔太*、小澤祐介*
1.背景将来の自衛隊車両には、不整地走破性や俊敏性といった機動性能に加え、自車の安全性を高めるため、ステルス性も重要になってくると考えられる。ハイブリッド動力システムは、複数の動力源を併用することで機動性及びステルス性が両立可能なシステムであり、当該システムを用いた車両は将来の自衛隊車両に有望と考えられる。2.目的本研究では、機動性及びステルス性の向上に加えて、燃料使用量低減も期待できるハイブリッド動力システムを試作し、このシステムの性能及び効果について確認することで、将来、自衛隊車両に適用可能なハイブリッド動力システムを確立することを目的とする。3.概要ハイブリッド動力システムを搭載した装軌式車両を用いて、陸上装備研究所において台上試験を行い、また札幌試験場(現:千歳試験場)及び北海道大演習場(東千歳地区)において実走行試験を実施し、機動性能等の評価を行った。表1に本ハイブリッド車両で達成した主要な諸元と性能を示す。路上試験(図1)により加速・最高速度や旋回性能、静粛性等を、路外試験により不整地における燃費性能を評価した。また、ハイブリッド化による能力向上を評価するため、現有装備品である73式装甲車と、加速性能及び路外における燃費性能を比較した(図2)。その結果、加速性能が大きく向上し、また燃費は約44%向上するという結果が得られ、ハイブリッド化による性能向上効果が確認できた。図 1 路上試験の試験状況図 2 73 式装甲車との燃費性能比較4.まとめ自衛隊車両のハイブリッド化による能力向上を検証するため、ハイブリッドシステムを搭載した装軌車両を研究試作して性能評価を行った結果、従来型車両よりも機動性能や燃費性能が大幅に向上するという成果が得られた。また、ハイブリッド車両はバッテリのみでも行動できるためステルス性が向上でき、車外への電力供給も可能なため将来の自衛隊車両の活用範囲を大きく広げられると考えられる。米陸軍との日米共同研究によるハイブリッド車両の試験評価方法の確立とともに、将来の自衛隊車両のハイブリッド動力化に向けて、引き続き研究を進めていく予定である。*陸上装備研究所 機動技術研究部 車体・動力研究室
民間自動車市場で2018年隆盛だったEVが2019年急失速し、急速にHV車がシェアが伸びている。2018年と2021年予想を比べると、HV車の総本山であるトヨタ自動車では欧州が39%増の43万台、その他地域が32%増35万台増加する見通し。世界総販売台数は2018年のハイブリッド車(プラグインハイブリッド車含む)の301万台、2021年には972万台と予想されている。参照資料
HV車がEV車より優れている点は、第1にガソリンエンジンと電気モーターの併用による低燃費。第2はガソリンスタンド等のインフラの心配がないことだ。第3はトヨタ自動車が関連特許を無償で公開したことで、他社のハイブリッド車の販売がこれから大きく増え、世界で販売される車の10台に1台がハイブリッド車になる。
EVは当初期待されたほどの高成長とはなっていない。バッテリーの寿命が短く、その割に価格が高いといった弱点がなお十分克服されていないなど軍用車輌もEVではなくHV化は避けられないであろう。
EVは当初期待されたほどの高成長とはなっていない。バッテリーの寿命が短く、その割に価格が高いといった弱点がなお十分克服されていないなど軍用車輌もEVではなくHV化は避けられないであろう。

吸気する際はモーターが回り吸気を補助アシストする。実に快適でした。

○大西洋一*、岡本弘美*、橋本久美子*、石渡昌雄*、伊達知晃*、櫻井弘哉*
1 背景・目的敵の殺傷を目的として病原菌や毒物を用いる生物化学兵器の歴史は古く、紀元前のペロポネソス戦争や中世の百年戦争で用いられたとされている。近代の第一次世界大戦では大規模に化学兵器が使用され、甚大な被害が出た。一方、有事の場面以外にも、地下鉄サリン事件、米国の炭疽菌事件、化学剤による暗殺/暗殺未遂事件等、有害物質を用いた事件が近年も散発しており、我々は、潜在的な化学剤、生物剤の脅威の中で暮らしているといっても過言ではない。また、東日本大震災に伴って発生した福島第一原子力発電所の事故に見られるように、放射能の脅威への備えも忘れてはならない。先進技術推進センターでは、先進技術を活用して、これら所謂 CBRN 脅威(C: Chemical, B: Biological, R: Radiological, N:Nuclear)から隊員を守るための各種技術についての研究開発に取り組んでいる。2 取組みの概要有害物質から身を守るためには①検知、②防護、③除染の 3 つの要素に関する技術が重要である。まず①検知は、民生分野におけるガス分析器や病原菌検出技術をベースとして、装置の小型化・低コスト化等に取り組んでいる。②防護は、民生分野のガスマスク、繊維材料技術、表面加工技術等を基本として、任務に応じた生理負担軽減とのバランスに取り組んでいる。③除染は、電子機器類を化学反応で損傷させることなく、容易に除染可能な薬剤や手法について研究している。更に、人体や環境にやさしい除染剤の研究にも取り組んでいる。また近年、こうした要素技術に加えて、有害物質が飛散する事件等が発生したときに、被害を局限するとともに効果的に対処するため、時々刻々と変化する拡散状況の把握及び予測を行うシステムの研究にも取り組んでいる(右図参照)。3 関連技術分野これらの有害物質から身を守るための研究は、化学、物理学、生物学等の理学的観点に加え、電子、機械、材料等の工学的観点や、薬学、医学、人間工学等の観点等が組み合わさった学際的研究であり、研究開発の遂行に当たっては、広範な技術分野からの知見や協力が欠かせない。当日は、取り組みの概要に加えて、当室で実施している具体的な研究の一端を紹介する。来訪者からの様々な意見・コメントを期待する。図 CBRN 脅威対処技術*先進技術推進センター研究管理官(第2技術領域担当)付 CBRN 脅威対処技術推進室
2019-04-07 22:41:21
執筆中

































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でも、防衛装備シンポジウムを見学できたのは羨ましいと思います。
僕も行きたいです。
Ddog
が
しました
パラベラム9さんは地方在住ですか?
毎年行ってますが飽きません。
ポスターセッションとシンポジウム2日間あっという間でした。
Ddog
が
しました
はい、僕は徳島県出身、在住です。
Ddog
が
しました