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https://vnexplorer.net/a-new-chinese-amphibious-assault-ship-caught-fire-a202023378.html

【読売新聞】2020/04/13 21:31 
【北京=中川孝之】中国紙・環球時報(電子版)によると、上海の造船所で11日、昨年進水した中国海軍初の強襲揚陸艦「075型」の船体で火災が起きた。電気工事のミスなどが原因として推定されるという。中国のSNSに船体から黒煙が立ち上る複数の写真が投稿された。


 075型は全長約250メートルと中国軍では空母に次ぐ大型艦で、台湾侵攻などを想定しているとされる。昨年9月に進水し、試験航海の準備中だった。この火災で就役が遅れる可能性が高い。


ニュースソースは「月刊中国」の鳴霞さんのYouTubeだ。視察の中国軍将校が工事中の航空機ハンガー内で、タバコを吸う為に擦ったマッチをポイ捨てして、その火が揮発性の塗料か何かに引火して炎上した。
中国海軍の軍人レベルからすれば、このポイ捨て原因説は十分ありえる話だ。


後部からの写真を見る限りは、炎上したのは航空機ハンガーではなく、揚陸用ホバークラフトが発進するウェルデッキのように見える。

だが・・・幸か不幸か爆弾や燃料など誘爆するものが無く、可燃性の塗料などが延焼しただけで、致命的な火災にはならなかった、就役が1年程度の遅延で収まる可能性が高い。

あの、世界を騒がせたダイアモンドプリンセス号は、建造当初三菱重工に発注された2番艦であったが、現在エメラルド
プリンセス号と呼ばれる姉妹客船が、本当は1番艦のダイアモンドプリンセス号にななるはずだった。

       
しかし、納入期限が2003年7月まであと一年を切った2002年10月1日、三菱重工業長崎造船所内で艤装工事中に火災を起こした。
炎上した納入予定1番艦は、焼損部分を完全に撤去・改修され、突貫工事で改修され新に「サファイアプリンセス」として2004年5月にデビューした。そのことを考えると、075型強襲揚陸艦就役の遅延は1年程度だと思う。


国に「お国柄」があるが如く、軍隊も「軍柄」とでも言うべきカルチャーがある。政体が変わろうと、近代化が図られようと隠せない。文化・風土や民族性は畢竟、永い年月を掛け軍に染み付くためだ。そのため、世界最強の軍隊と世界最弱の軍隊というジョークが成立する。中国人民解放軍の「軍柄」の一つは「弱兵」「腐敗」である。


司馬遼太郎先生の「坂の上の雲」の中で、清国海軍に関する若き東郷平八郎の観察の一節がある。清国海軍は最新鋭の定遠鎮遠という戦艦をドイツから購入、時の清国首相
李鴻章が最新鋭戦艦、定遠と鎮遠の2隻で日本を威圧の為長崎に寄港した。東郷平八郎ら日本海軍軍人に、定遠、鎮遠見学させましたが、砲塔の周りで裸の水兵が洗濯物を干すなど規律の無さが著しく、これでは組織的な軍隊活動などできるわけがないと東郷平八郎は見抜いたというのです。ハードウエアだけ買い揃えても、それを使う軍隊、将校から兵員に到るまで、中国人という民族で構成された軍隊が、100年程度でとても変るとは思えません。

現代の最新鋭の中国の潜水艦内の兵士の食事風景だが、定遠、鎮遠の伝統をしっかり受け継いでいるうに見えます。

こちらは、中国の新鋭中華イージス艦船内のおんぼろな状況である。
最新鋭艦にもかかわらず、荒天で、ドアが破損、浸水騒ぎとなった騒ぎの一部始終だ。

最新鋭のハードを取り入れても、兵員の多くは「一人っ子政策」で「小皇帝」と
呼ばれ「過保護に育てられ、わがまま・非協調性が目立つ」一人っ子が、「私権抑制と高い協調性」が基本の軍に、なじめるとは思えない。指揮官の多くは、「金持ちのバカ息子」が多いとされる。

1979年の中越戦争を最後に大規模な実戦はない。軍人として戦った世代が、中国共産党指導層で少なくなり、文民指導者は軍の支持を得ようと待遇改善を繰り返した。結果、軍は有力な就職先となる。企業や大学、官庁と人気は逆転したが、そうした人気組織の試験に落ちた若者の収容機関と化し依然人気は低くない。より良い配置に就こうと賄賂が横行。「裕福で頭が悪いお坊ちゃま」が、軍にドッと流入しているのだという。

今回の、将校のマッチの投げ捨てなど、けっして他の国の軍隊では起き得ないことだが、情報源がいまひとつ不明でも、原因が将校のマッチの投げ捨てであってもおかしくないと思わせるのが、中国海軍の「伝統」、というか、「軍柄」なのだと思う。