【Aviationweek】2020.4.30 

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UP-C3 Credit: JapaneseMinistry

防衛省は、新型の複合センサーシステムを用いることで、ステルス機・弾道ミサイル・巡航ミサイルに対する探知距離が20%拡大したことを明らかにした。

赤外線とレーダーを複合したセンサーシステムは、長時間飛行を行う偵察機向けに検討されていることは明らかだが、そのような開発計画に関する発表はない。しかし、この技術は確実に次期戦闘機にも用いられるだろう。なぜなら、F-35もこのような複合センサー運用能力を持っているからだ。 

この試験を行うにあたり、防衛省はUP-3C試験機の機体上部に大型のIRSTターレットを、下部に側方監視レーダーを搭載した。防衛装備庁は2012年度から2021年度にかけて「電波・光波複合センサシステムの研究」として計画を実施中だ。

同庁によると、IRSTは弾道ミサイル探知に中波赤外線を、ステルス機の探知・追尾に長波赤外線を使用している。レーダーはSバンドを使用し、窒化ガリウム技術も用いられたもので、UP-3Cの左舷側に搭載されている。

2019年3月までの試験報告では、レーダーが微弱な信号をも捉えることによる探知距離の拡大が、試験目的のひとつとして挙げられていた。ただし、これは偽目標の増加にもつながる。そこで、そのレーダー反応をIRSTがダブルチェックし、偽目標を除去するという方式を採用しており、これは他国でも用いられている方法だ。

同庁は「S/N比(信号対雑音比)は3dB低減された」と語っている。おそらくこれは通常のレーダーと比較してのことだと思われるが、その機種は明らかにされていない。

また、同庁は試験により探知距離が20%伸びたことが確認されたとしている。その中での3dBのS/N比低減というのは、様々な要素からレーダーの探知距離を計算する際に用いられる、レーダー方程式による理論値とほぼ一致する。

このような複合センサーの利点は、それぞれの弱点を相互に補完できることだ。レーダーは距離測定の精度が高い反面、方位測定の精度が低いことに対し、IRSTは正反対の特徴を持っている。これらを統合することで、それぞれを個別に用いるよりもはるかに高い精度で目標を探知することができる。しかし、IRSTは気象条件の制約を受け、レーダーは母機の被探知により攻撃を受けるリスクがある。

その反対の運用、つまりIRSTが探知した微弱な反応をレーダーでダブルチェックしたかどうかについては触れられていない。目標がステルス機の場合、レーダーより先にIRSTが探知することもあるため、これは要求として一般的なものだ。もし片方のセンサーがスキャン中に反応を示した場合、もう片方のセンサーをその方向に連続指向させることで高精度の目標情報を得ることも可能で、逆に何も存在しないことを確認することもできる。

今回の試験では、パッシブレーダーとしての作動原理も評価された。一般的に、パッシブレーダーモードとは自機のレーダーからは発信せず、空中にすでに存在するテレビ用電波などの反射波を受信するモードだ。2012年に行われた計画概要説明の際、複数のレーダーからの反射波を用いる機能の存在が説明されており、今回試験されたのはこの機能だと考えられる。

防衛装備庁は、複数の地上ステーションを用いることでパッシブレーダーモードの精度向上が可能であると述べた。ただし、今回の試験はあくまで理論検証であることを強調しており、詳細は明らかにしていない。

同庁によれば、IRSTは日本製の標的ロケットに対して非常に良い結果を示した。2012年の計画概要によると、2007年にハワイで模擬弾道ミサイルの探知に成功した富士通製のIRST・エアボスが、今回試験されたIRSTの原形とみられる。変更点のひとつは、弾道ミサイル弾頭の探知能力向上を目的とした長波赤外線に対応したことだ。以前は中波赤外線のみが使用されていた。

この複合センサーシステムでは探知前追尾技術が用いられていることを、同庁は明らかにしている。これは、標的の前方に架空の軌道を設定し、その飛行経路が妥当であるかを検証する技術だ。

日本は、このような複合センサーを搭載し、長時間飛行が可能なプラットフォームを3機種保有している。川崎C-2輸送機とP-1哨戒機、そして三菱スペースジェットだ。P-1は今回の試験に使用されたUP-3Cと同等の機体サイズであることから有力候補となるが、航空自衛隊では運用されていない機種のため、事前の運用準備が必要だ。もちろん、無人機への搭載が望ましいだろう。

なお、次期戦闘機は2030年代中盤に運用開始予定だ。

以上は、Bradley Perrett が Aviation Week & Space Technologyいた記事です。 Aviation Week & Space Technology は、豊富な経験と人脈を持った専門家により、最新トレンドや最適な状況判断、ポリシー・要求仕様・予算に関する充実した情報を継続的にお届けします。

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 先進統合センサ・システムに関する研究 
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先進統合センサ・システム

レーダ反射断面積の低減により、対象航空機の探知及び対処は近年、困難になりつつあり、こうした対象航空機等の探知及び対処を可能とする戦闘機搭載用センサ・システムに関する研究を行っています。

戦闘機用のレーダにおいては、これまで探知・追尾能力の向上を図ってきたところであるが、低RCS目標に対処するためには自機の電波センサ情報のみならず光波センサ情報も統合化したセンサシステムの統合化により、低RCS目標に対 する探知・追尾能力の向上させた先進統合センサ・システムを次期戦闘機(F-3)や、P-1、AWACS に搭載すべき装備ある。

長時間滞在し継続的に我が国周辺の警戒監視等の任務遂行可能とする対空警戒無人機の整備も整備されるだろう。

72時間連続して 高高度を滞空できる滞空型無人機システムも 検討しています。72時間滞空できる無人航空 機を交代で飛ばすことで、365日24時間上空 からの観測ができるという構想で、日本の広 い領海を監視したり、災害地で刻々と変化す る被災状況を連続的に監視して情報を提供し たりといったことを考えています。

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高高度滞空型無人航空機システム技術基盤確立と利用分野創成
高度16.5km以上に72時間滞空可能な無人航空機システム 

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高々度滞空型無人機 IRST(赤外線探知・追尾装置)を搭載した高高度滞空型無人機のイメージ図

●情報収集 探知装置◆ センサー技術

遠距離の艦船、航空機、地上の移動目標等の捜索、探知、追尾、情報収集、ミサイル誘導等を行うため、滞空型無人機や偵察用航空機等にも搭載が可能な電波/光波センサーシステムを実現する技術。
http://www.mod.go.jp/trdi/data/pdf/youyaku.pdf p15のイラスト

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TokyoExpress


(防衛省/Aviation Week)弾道ミサイルの発射を検知する長時間滞空型無人機「マルチセンサー偵察機」は2030年頃に完成する。機首上面に“エアボス”を取り付け、高高度から弾道ミサイル発射直後に生じる赤外線を探知、データリンクで友軍の弾道ミサイル防衛(BMD)システムに通報、対処する。

 

技術研究本部では、偵察機に搭載する「電波・光波複合センサ・システムの研究」を平成22-29年度の間に約100億円を投じて続行している。この中の一つが“エアボス”(AIRBOSS = Advanced Infrared Ballistic Missile Observation Sensor System)である。

“エアボス”試作品は、海自UP3C機に搭載され、2005年と2007年にハワイ沖で弾道ミサイル迎撃試験に参加、発射された弾道ミサイルの捜索、探知、追尾に成功している。“エアボス”は、航空機の機首上部に取り付けるターレット型の赤外線センサー”IRST = Infrared Search & Track”と機内に装備する関連機器で構成されている。弾道ミサイル発射で、ブースト段から出る高熱を“中赤外線捜索センサー”が探知、それを受けて“遠赤外線追尾センサー”が弾頭部の追尾を行う仕組みになっている。

先進統合センサ・システムの搭載は、FX次期戦闘機(F-3)がF-22F-35やSu-57といった第5世代戦闘機を圧倒的に凌駕する第6世代戦闘機としての必須装備であり、その優れたステルス性能に超高性能な高出力小型GaN素子AESAレーダー(E-2Dの探知距離460km以上を大幅に越える可能性がある)と高性能IRセンサーの組み合わせは、他機を圧する令和のゼロ戦が誕生するものと期待されます。


FX次期戦闘機(F-3)については、上記リンクにてジャンプしてください。

忍者のようなステルス技術、世界最高のエンジン、最強のレーダーを中心とした先進統合センサ・システムといった最強のアビオニクス。長射程超高性能ののAAMとASMの搭載し、将来装備のレーザー砲やメタマテリアルによる光学迷彩や、自己修復能力を搭載する余地まである 驚異の戦闘機
FX次期戦闘機(F-3)の圧倒的能力についてまとめてあります。

22日に、防衛省と英国国防省との間で、次世代RF(Radio Frequency:電波)センサシステムの実現可能性に係る共同研究に関する取決めの締結を行いました。

本共同研究は、防衛省と英国国防省が共同で、より広い周波数帯域の電波を用いてより広範囲を瞬時に探索できる電波センサシステムについて、その実現可能性を検討するものです。本共同研究の成果により、試作を含む爾後の共同研究などを通じて日英双方が保有する技術を活用した効率的な研究が行えるものと期待されます。