昨日からの続きである。防衛装備庁 は、そのHPにおいて2020/6/3 契約に係る情報の公表(中央調達分)を更新した。令和元年度の競争入札基準以上基準未満 令和元年度随意契約基準以上基準未満の4ファイルである。合計4000件以上の契約に目を通して気になる幾つかをピックアップしてみた。今回は海自関係の装備の契約を中心に紹介考察する。
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油槽船4900トン型
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一般競争入札で新来島ドックが2隻51億8000万円で落札した。



株式会社新来島どっくは、防衛省向けに4,900トン型油槽船(YOT)2隻を受注いたしました。

本船は平成31年度防衛省概算要求の一事業として、油槽船2隻の整備を計上しており、艦艇への支援能力確保が目的とされています。また、本船は、一般的なNK規則に基づく内航タンカーの仕様をベースとしております。納期は令和4年4月と7月を予定しており、当社グループの新来島波止浜どっくでの建造を予定しております。

なお、当社が防衛省向けに建造するのは、創業以来、初となります。

支援艦艇であるが、4900トンはかなり大型艦である。
艦種が異なるが、海自艦隊に海上で燃料・弾薬・補給品を補給する補給艦で、海自2隻目の補給艦「さがみ」(就役:1979年3月30日~除籍 2005年3月3日)が、ほぼ同じ排水量である。

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補給艦さがみ

要目:基準排水量 5,000トン 満載排水量 11,600トン 全長 146.0 m 最大幅 19.0 m
深さ 10.8m 吃水 7.3 m

潜水艦用静粛型駆動システム(その2)の研究試作


担当部局等名:防衛装備庁プロジェクト管理部事業監理官(艦船担当)
評価実施時期:平成29年7月~平成29年8月
政策体系上の位置付け
事業名 潜水艦用静粛型駆動システムの研究試作 研究開発の推進

○ 事業の概要
諸外国において、潜水艦を探知するソーナー技術の進展は著しく、従 事業の概要等 来は検出対象としていない雑音から探知できる可能性が高まっているこ とから、我が国の潜水艦においても雑音の静粛化対策は喫緊の課題とな っている。そのため、本事業により、駆動装置から発生する雑音を低減 する新たな方式の静粛型駆動システムに関する研究を行い、潜水艦の更 なる静粛化に資する技術的知見を得るものである。

○ 所要経費 約57億円(平成30年度概算要求額。後年度負担額を含む。)

○ 事業実施の時期 平成30年度から平成33年度まで研究試作を実施し、平成33年度 から平成34年度まで試験を実施する予定である。 ○ 必要性 潜水艦の駆動装置が発する雑音を低減させるため、新たな方式に変更 することで、潜水艦の更なる静粛化を図り被探知防止能力を向上させる 必要がある。 政策評価の結果 本事業では、新たな駆動装置の高性能化と潜水艦として必須の特性を 両立させることが必要不可欠である。

○ 効率性 本事業では、先行研究において得られた成果等を反映させ、駆動機構 の共通性があることを踏まえ、必要最小限の装置のみを試作することと し、試作しない駆動装置については、シミュレーション技術を活用して 効率的に研究を実施することにより、経費抑制及び研究期間の短縮を図 る。

○ 有効性 本事業を実施することにより、可動部から発生する雑音を低減する駆 動方式及び制御技術を確立するための技術的知見を得ることが可能であ る。 諸外国において潜水艦を探知するソーナー技術の著しい進展に伴い、従 来は検出対象としていない雑音から探知できる可能性が高まっていること 総合的評価 から、我が国潜水艦においても雑音の静粛化対策は喫緊の課題となってい る。 かかる状況に適切に対応可能な静粛化対策については、諸外国からの技 術導入や民生用の駆動装置の適用は困難であることから、駆動装置から発 生する雑音を低減する新たな方式の静粛型駆動システムについての研究を 進める方向性は重要である。このことを踏まえつつ、本事業を評価したと ころ、平成30年度に事業を着手することで、かかる状況に対し我が国の 潜水艦の被探知防止能力を向上に寄与することができ、また、先行研究の 成果等を反映する等により事業計画も効率的な計画となっているものと判 断できることから、本研究事業は早急に取り組むべき事業である。

有識者意見 特に意見なし。
政策等への反映 総合的評価を踏まえ、平成30年度概算要求を実施する

私の認識が正しければ、従来、防衛装備庁ATLA、艦艇装備研究所では、スクリューのノイズ低減に心血を注ぎ、キャピテーションの低減に努め、世界的にも最も静粛な推進システムを構築してきたが、ポンプ・ジェット推進の研究は行っていなかった。

米海軍はポンプジェット式推進技術をロサンジェルス級、シーウルフ級、ヴァージニア級の攻撃型潜水艦に搭載している。計画中のコロンビア級原子力弾道ミサイル潜水艦にも採用している。2017年中国海軍も潜水艦のポンプ・ジェット推進装置を完成したというニュースが流れた。

ポンプ・ジェットは長距離を高速で移動する原子力潜水艦にとっては、
キャビテーションを起こすような高い速力では静粛性に優れていますが、在来型潜水艦が長時間高速で水中を移動することはことはほとんどありません。

潜水艦のポンプ・ジェットにはシュラウドリング(一種のカバー)を取り付けておりシュラウドは水中抵抗を生み、推進効率を下げます。このことは、在来型潜水艦にとっては同一電池容量で短い航走距離、あるいは短い水中持続時間を意味し、在来型潜水艦にとってポンプジェットは無用の長物なはずです。

ATLAでポンプ・ジェットを研究せず、海自潜水艦は、従来型プロペラを採用し続けていることは、正しい選択だと思っていた。

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ところが、そうりゅう型の採用を蹴ったオーストラリアは、新潜水艦アタック型に鉛蓄電池とポンプ・ジェットを選択した。

フランスがそうりゅう型に対抗するためセールスポイントとしてシュフラン級原子力潜水艦をベースにした通常動力バージョンのオプションとしてオーストラリアに売り込んで、フランスに唆され選択したのでしょうか?

オーストラリア海軍が愚かでその点を十分に考慮できなかったのでしょうか?オーストラリアは米国からも潜水艦の専門家を招いており、各国提案の利点・欠点を十分に考慮した上で、あのような結論に達したはずです。

リチウム・イオン電池については、日本が提案したリチウム・イオン電池の安全性への理解が欠落していたと思われますが、一般的なリチウム・イオン電池の危険性は周知の事実であり、安全性を重視する観点から日独が提案したリチウム・イオン電池を排除する決定には一定の合理性があったといえます。

ポンプ・ジェット推進については、想定される遠く離れた作戦海域への往復時の高速航行を重視する一方、作戦海域でも高速が必要となる重要な場面に焦点を当てれば、推進効率の低下と高速での静粛性の得失を勘案して、静粛性を取る判断も十分にあり得たと思われます。

オーストラリアのアタック型は現在計画が頓挫しそうで、実現するか否かまだ何ともいえないが、防衛省がポンプ・ジェットの研究を始めた理由の一つには、近年海自は作戦海域として南シナ海にも進出しており、在来型潜水艦にもポンプ・ジェットを採用したオーストラリア海軍の思想の影響もあるのではないかと思う。

正確には、潜水艦用静粛型駆動システムであって、ポンプ・ジェットとは限らないのだが、かつての電磁推進実験船ヤマト1と同じ電磁推進でもないと思うので、ポンプ・ジェットであろう。

ATLA HPの 静粛型魚雷用動力装置の研究 には

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「探知性能及び対潜能力の向上した将来艦艇に対抗するための魚雷用動力装置の静粛化に関する研究をしています。」と書いてあり、ポンプ・ジェットのことを静粛型動力装置と表現しており、潜水艦用静粛型駆動システムの研究試作とは、すなわち潜水艦用ポンプ・ジェットの研究試作であり、将来海自潜水艦への搭載を念頭に、研究試作予算を獲得したものと思われます。






対潜水艦用モールス弾/SUS MK84 MOD1-N


正直、対潜水艦用モールス弾なるものを知りませんでした。
演習や訓練に連絡通信用に使用されるそうですが、先日領海侵犯をした中国潜水艦に対しても、ひょっとすると使用されたのかもしれません。

MK-84 MOD 1 SUS 
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SUS MK-84 Mod 1 水中音信号装置は消耗品です。
一方向音響通信を行う電気音響装置
潜水艦を使って ASW兵器の投下をシミュレートすることも可能です。
戦術演習の際に使用します。落下させたり、翼から展開させたりすることができます。
また、航空機やヘリコプター、船上発射などの方法でも送信することができます。
SUS MK-84 Mod 1は、あらかじめ選択された5種類の中から任意のものを送信することができます。
符号化された音響信号で、それぞれが所定のメッセージを伝えることができます。
潜水艦に送信されます。これらの信号のうち4つは、連続したトーンで構成されています。
で定義されたタイミングシーケンスに従って周波数を交互に変化させます。
符号化テーブルを参照)。の連続音である。
は単一の周波数である。基本周波数の第三高調波は
また、ファンダメンタルズの水準をやや下回る水準で発生した。堅調に推移しています。



SH-60K能力向上型

近年の潜水艦は、吸音材の進化や動力部の静粛化といった技術的進展により、ソーナーによる探知が困難になってきており、特に深度が浅い浅海域においては、雑音があるとともに、海底からソーナー発信音が反響することから、目標潜水艦からの音波の探知類別が一層困難となっている。

我が国周辺各国等の潜水艦の静粛化及びステルス化が進むとともに、行動海域が浅い海域へと拡大しつつある。静粛化、ステルス化した潜水艦に対する浅海域探知類別能力向上のため、音響システムにマルチスタティック処理能力を付与するとともにディッピング(吊り下げ式)ソーナーの探知類別能力を向上させることが必要である。

また、潜水艦の行動海域拡大により、我が国の南西海域をはじめとする高温環境下において、発着艦時における艦の行動の自由を確保するため、トルク余裕及び操舵余裕を増加させ飛行性能を向上させることが必要である。

 ※マルチスタティック処理能力:別々のソーナーで発信と受信を行うことで、探知類別性能を向上させる処理を行う能力は、ソーナーシステムのマルチスタティック信号処理技術、戦闘指揮システムの自律向上処理技術及び水測予察技術、データリンクによる多機能情報共有技術の各技術をくみ合わせ、総合的にマルチスタティック戦術に関する技術を確立する。

防衛力のさらなる能力発揮の基盤としての警戒監視能力の向上を図るため、複数のソーナーの同時並行的な利用により探知能力を向上させたソーナーの研究や航空機といった既存装備品の能力向上に取り組むこととしており、各国潜水艦の静粛化、ステルス化、行動海域等の傾向を考慮すれば、早期に回転翼哨戒機の能力向上を行う必要がある。

既存の装備品は、同一の器材で送受信を行うモノスタティックソーナーであり、自らの発信音のみを受信して探知類別を行うことから、捜索エリアは限定され探知類別の機会が限られる。マルチスタティック能力を付加した場合、他のソーナーの発信音も処理でき、さらには、発信と受信を別の器材で実施できることから、僚機間における干渉がないため発信周波数の広帯域化等が可能となり探知類別能力が向上し、対潜戦において優位性を確保することができる。

MH-60R(米国)、AW-101(伊、英)、NH90(仏、独、伊、蘭)は、いずれも主要探知機器がマルチスタティック探知能力を持たない。

既存装備品のSH-60Kを能力向上させることで、新規開発に比べ開発のリスクを低減すると共に機体及び搭載装備品の共通部位の設計費、製造費を削減し開発経費抑制に努めるほか、既存の整備用器材等の後方設備及び教育体制を活用可能として、ライフサイクルコストの抑制を図る計画としている。

また、平成19年度から平成23年度にかけて実施した「回転翼哨戒機対潜能力向上の研究」において得られたマルチスタティック戦術を可能とするソーナーの信号処理、水測予察(※2)、情報共有等に関する研究成果を反映させると共に、プログラム確認試験などの長期間を要する試験を試作機製造と並行して実施することで開発期間を圧縮するなど、効率的な開発を実施する予定である。
※2 水測予察:ソーナーを使用する海域の環境条件、対象とする目標の諸元に基づいて、目標の探知距離及び被探知距離を予測すること。

本事業を実施することにより、静粛化、ステルス化した潜水艦に対し、浅海域を含む海域において対潜戦の優位性を確保できる装備品を実現できる。