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60億キロメートル離れた位置から見ると、地球は青白い小さな点にしか見えない(右側の茶色の帯の真ん中より下の辺り)
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【米国大使館】リー・ハートマン Feb 18, 2020 ★★★

米国、オーストラリア、日本が主導する新たな「ブルー・ドット・ネットワーク」は、主要なインフラ開発プロジェクトを世界レベルで認可する役目を果たし、そのプロジェクトは持続可能で、途上国の搾取を意図するものではないと関係者に示すことになるでしょう。

このネットワークがフル稼働すれば、質の高いグローバルなインフラ開発規準の下、政府、民間部門、その他の機関が一体となります。

米国は「関係者全員の相互利益となる、透明性の高い、競争力のある市場主導型の制度を望んでいる」。2019年10月、マイケル・R・ポンぺオ国務長官はこのように述べています。これに対し国家主導型の経済モデルは、賄賂を伴った取り決めが密室で行われ、地域社会のニーズを考慮しないという点で対照的です。

そこにブルー・ドット・ネットワーク誕生の意義があります。

ブルー・ドット・ネットワークは、以下のように機能します。品質促進と民間部門主導の投資という同ネットワークの高い基準の順守に合意すれば、あらゆる国や企業が参加可能です。ブルー・ドット・ネットワークの認証を求めるプロジェクトの申請は、オンラインで完了できます。

国、企業、そして地域社会の全てが、ブルー・ドット・ネットワークの恩恵を受けることができます。プロジェクトが同ネットワークに認定されると、地域社会と投資家には高い水準のインフラと持続可能性が保証されます。

米日豪の3カ国は2019年11月4日、バンコクで行われたインド太平洋ビジネスフォーラムでブルー・ドット・ネットワーク計画を発表しました。この取り組みは、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」と連携するもので、特に統治・環境基準・透明性を重視します。

グローバルインフラの透明性

米国でブルー・ドット・ネットワークを主導するのは、米国国際開発金融公社(DFC)です。2019年に設立されたDFCは、600億ドルの資本が利用可能で、企業による新興市場への投資を支援する金融ツールを近代化しました。

ブルー・ドット・ネットワークの他にも、高水準の投資と民間部門主導の経済開発を促進するため、米国政府は以下の取り組みを実施しています。

米国輸出入銀行は、公正で透明性のある持続可能な経済成長の保証と、融資を確保し世界中で資本を提供するため、1350億ドルの資金を活用しています。
ミレニアム・チャレンジ・コーポレーションは、持続可能な成長と貧困削減を達成するプロジェクトを共同で実施する国の選択に当たり、競争プロセスを採用しています。
ブルー・ドット・ネットワークは、米国投資の高い水準と質の高いインフラを世界に示すことでしょう。2019年3月、ポンぺオ国務長官はこう述べています。「我々の取り決めには隠れた付帯条件はありません。ブルー・ドット・ネットワークの契約は明確で、動機に曖昧な点はありません」。

 【国家の流儀】

 中国主導の「一帯一路」を阻止せよ-。米国のドナルド・トランプ政権は5月下旬、対中総合戦略報告書「中国に対する米国の戦略的アプローチ」において、こう強調している。

 「一帯一路」構想は、中国からヨーロッパにつながる陸路(一帯)と、中国沿岸部から東南アジア、南アジア、アフリカ東岸を結ぶ海路(一路)で、インフラ整備、貿易促進などを推進する計画だ。

 当初は世界各国でも、中国による投資を歓迎する声があふれたが、投資が進むにつれて、「経済を餌にして相手国をコントロールしようとしているのではないか」という疑念がささやかれるようになっている。

 トランプ政権のこの報告書でも、「一帯一路」について厳しく批判している。

 ●一帯一路と名づけたプロジェクトには、交通、情報通信技術、エネルギー・インフラ、メディア、文化と宗教に関するプログラム、さらには軍事と安全保障の協力までもが含まれる。だが、その実態は、質が低く、汚職、環境悪化を生み出し、不透明な融資はホスト国の統治や財政を悪化させている。

 ●中国は他国から政治的譲歩を引き出したり、他国への報復を行ったりするために経済的テコを使うことが増えている。相手国の政府、エリート、企業、シンクタンクなどに対して、しばしば不透明な方法で、中国共産党の路線に沿うように圧力をかけている。

 こうした中国による「一帯一路」構想に対抗するために、米国とともに立ち上がったのが、なんと日本とオーストラリアなのだ。

 トランプ政権の対中戦略報告書にはこう記されている。

 《2019年11月、米国、日本、オーストラリアは、民間部門主導の開発を通じた透明性の高い資金調達と質の高いインフラを世界中で推進するための「ブルードット・ネットワーク」を立ち上げ、米国はインド太平洋地域だけで約1兆ドル(約105兆8800億円)にのぼる直接投資を追加した

 この「ブルードット・ネットワーク」を具体化すべく今年2月4日、日本政府は米国との間で、インド太平洋におけるエネルギー・インフラ金融および市場形成の協力強化のための協力覚書に署名している。

 そして、4月17日、日本政府はASEAN(東南アジア諸国連合)議長国であるベトナムと電話会談を行い、「経済強靱(きょうじん)性に関する日ASEAN共同イニシアティブ」を公表した。

 なぜ、こうした大事なことが大々的に報道されないのか。

 国際政治は、大局が重要だ。そして、アジア太平洋のインフラ投資などをめぐって「日米豪」対「中国」という構図になっていることは理解しておきたいものだ。
 ■江崎道朗(えざき・みちお) 評論家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、現職。安全保障や、インテリジェンス、近現代史研究などに幅広い知見を有する。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞した。自著・共著に『危うい国・日本』(ワック)、『インテリジェンスと保守自由主義-新型コロナに見る日本の動向』(青林堂)など多数。
江崎氏が指摘しなければ皆気が付かなかったのか!
わたしは、大紀元の記事も読んでいたが・・・チャンネルくららの江崎氏の動画をチェックするまでは、このニュースの重大さに気が付いていなかった。

【大紀元】2019年11月07日 21時12分 

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ロス米商務長官は5日、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗する代替案を公表した(Win McNamee/Getty Images)

米政府はこのほど、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗する代替案を発表した。日本の国際協力銀行(JBIC)が参加することが分かった。

米AP通信社によると、ロス米商務長官は5日、タイ・バンコクで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で、グローバルインフラ開発の国際基準を促進する「ブルー・ドット・ネットワーク(Blue Dot Network)」計画を発表した。米国の海外民間投資公社(Overseas Private Investment Corporation、OPIC)とオーストラリア外務貿易省(DFAT)が、JBICとともに同計画を主導するという。

OPICが同ウェブサイトで掲載した声明では、ブルー・ドット・ネットワークの目標について、「公共部門と民間部門を結び付け、オープンかつ包括的な枠組みで、グローバルインフラ開発のために、高品質で信頼できる標準を促進する」と示した。

また声明は、「ブルー・ドット・ネットワークは、インド太平洋地域および世界中の市場主導型で透明性があり、財政的に持続可能なインフラ開発を促進するために、普遍的に受け入れられている原則と基準に基づき、指名されたインフラプロジェクトを評価、または認定する」とした。

長官とともに、ASEAN首脳会議に出席したロバート・オブライエン大統領補佐官(国家安全保障担当)は、同計画に関して、「道路や港やエネルギーシステムなどのインフラ開発投資プロジェクトを評価するミシュランガイドのようなものだ」と述べた。

オブライエン氏は、ブルー・ドット・ネットワークは中国の「一帯一路」に対抗するものだと明言した。同氏は、中国当局の「一帯一路」政策の下で、「低品質のプロジェクトによって多くの国が債務トラップに陥り」、「主権が弱まった」国もあると批判した。

中国の国営銀行や国有企業が「一帯一路」の参加国に融資を行い、建設工事を担うことに対して、ブルー・ドット・ネットワークは、インフラ開発を必要とする国への資金供給を促すことに取り組むという。

AP通信によれば、ロス長官は同首脳会議において、トランプ米政権は依然としてインド太平洋地域を重視していると強調した。2017年、トランプ大統領が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から離脱すると発表した。長官は「多くの人は、米国の同地域への関心が薄れたと誤解している。われわれはここに常駐し、より多くの投資を続け、二国間貿易を増やしていく」と話した。

同計画の名称は、米天文学者でSF作家であるカール・セーガン氏の著書『惑星へ』と、1990年に米無人宇宙探査機のボイジャー1号が撮影した地球の写真「ペイル・ブルー・ドット(Pale Blue Dot)」に由来する。

(翻訳編集・張哲)
一帯一路とは2013年習近平が提唱したシルクロード経済圏構想。かつて中国と欧州を結んだシルクロードを模し、中央アジア経由の陸路「シルクロード経済ベルト」(一帯)とインド洋経由の海路「21世紀海上シルクロード」(一路)で、途上国のインフラ投資を名目に途上国に金を貸し、資材から労働者まで中国が用意して、高速道路・港湾や鉄道を整備、その使用権利は中国が持つという新植民地主義的な中国の開発手法に途上国各国が怒りの声が上がっている。当初先進国は自国企業のプロジェクト参入を目論んでいましたが、結局は中国の為だけの事業で、覇権主義的だと当初好意的だった欧州各国も批判的になっています。

経済発展したい途上国にとって、ADB融資と先進国ODAプロジェクトだけでは旺盛な開発ニーズを満たすことができなかった。
中国の一帯一路構想は融資により略奪を狙うプロジェクトばかりである。多くの場合、一帯一路政策の名の下、中国はインフラプロジェクトを行う金銭的余裕のない国々に融資を持ちかける。締結される契約は最終的には中国にのみ利益をもたらし、主催国の主権が危険に曝されるという構図となる。我々は一帯一路に途上国をなびかせてしまったことに問題があった。

そこで、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の対抗軸として、米日豪でインフラ支援に関する基準を策定し、投資規模を拡大させながらインド太平洋地域での途上国支援を強化していくプロジェクトが「ブルー・ドット・ネットワーク」である。

2019年11月米日豪でインフラ支援に関する基準を設け、友好国などと質の高い支援を促進させる取り組み「ブルー・ドット・ネットワーク」を立ち上げ、米日豪を核にして参加国の拡大を図る動きだ。

ブルー・ドット・ネットワークは「自由で開かれたインド太平洋地域」という米国の外交構想を補完するものである。既に2019年11月にバンコクで開催されたビジネスフォーラムでいくつかの計画と契約が締結されている。日米間では日本が液化天然ガスプロジェクトに1兆円相当(100億米ドル)を投資する誓約書に署名がなされた。AP通信によると、他の計画として、追加のインド太平洋エネルギープロジェクトに対する最大7,000億円相当(70億米ドル)の資金調達などが挙げられる。


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https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200422005/20200422005-3.pdf
2020年4月には梶山経済産業大臣とASEAN議長国であるベトナム社会主義共和国のチャン・トゥアン・アイン商工大臣との電話会談において合意した「経済強靱性に関する日ASEAN共同イニシアティブ」を公表した。

1.半世紀にわたって経済関係を強化し、アジア通貨危機や自然災害などで連携してきた日ASEANが、より緊密に連携して経済面での課題を乗り越えていくことを確認

2.感染防止を最優先としつつ、物資の円滑な流通の確保や、ヒトの移動の制約を解消するデジタル技術の最大限の活用等により、経済活動を極力止めない方針に合意し、グローバルサプライチェーンの枢要な供給者として、必要な物資を世界に届ける責任を果たす。

3.デジタル技術を活用した高度化や生産拠点の多元化等を推進し、リスク対応力とコスト競争力が両立する強靱なサプライチェーンの構築を目指す

支援基準では「途上国の主権を守り、過剰債務に陥らないように、地域の労働者に仕事を提供する」ことなど、過剰な投融資で返済に窮した国がインフラを奪われる「債務のわな」が問題となっている中国の「一帯一路」に加担させない日米豪の国家戦略である。

中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の製品導入で情報漏洩が懸念される第5世代(5G)移動通信システムの構築も積極的に支援していく予定だ。

【中央日報:Yahooニュース】8/9(日) 13:22配信

「代価を払うことになるだろう」。

7月30日の劉暁明駐英中国大使の話だ。劉大使はツイッター動画記者会見で「中国をパートナーや友人扱いしなければ英国は代価を払うことになるだろう」と述べた。脅迫ではなく「結果を教えるもの」ともした。5G通信網構築事業から英国がファーウェイを排除したことを受けた話だ。駐英大使が脅すほど英国の反ファーウェイ戦線合流はそれだけ中国には衝撃だ。

「よろしい、金は返さない!」。

5月にタンザニアのマグフリ大統領がした爆弾宣言だ。中国から借りた100億ドルを返さないということだ。前任の大統領が結んだ契約が話にならない条件だった。借りた資金でタンザニアに港を作るが、使用権は中国が99年間持つ。中国の港内活動に何の条件もつけていない。マグフリ大統領は「酒に酔ってなければできない契約」と話した。

両国とも中国と敵対すれば損害が大きい。英国は既に設置されたファーウェイの装備を取り壊し別の設備に交換する。これにより5Gサービス開始が2~3年遅れる。総額25億ポンド(約3454億円)の資金がさらにかかることになった。タンザニアも契約破棄から生じる外交的問題は少なくない。それでも両国は中国に背を向けた。

両国だけがそうなのではない。欧州ではフランスも、中国に友好的だったイタリアもファーウェイ排除に出ている。他のアフリカ諸国も中国との建設プロジェクト中止に乗り出している。習近平主席が6月の中国・アフリカ特別首脳会議で債務償還期限を延期することにしたが不満は相変わらずだ。習主席の一帯一路外交の野望に亀裂が入っているという評価が出ている理由だ。

中国はなぜこうした扱いを受けるのだろうか。

これまで中国が国際社会で影響力を広げた秘訣は2つだ。▽安価な技術力・労働力▽莫大な資金力。英国がファーウェイに友好的だった理由が前者だ。アフリカが中国と緊密な理由は後者だ。だがそれだけだ。

英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)のエリザベス・ブラウ専任研究員の分析を見よう。ブラウ氏は米フォーリン・ポリシー誌への寄稿で「中国は米国が数十年にわたりさまざまな国に作ったソフトパワーが皆無だ」と批判する。「率直に中国は米国ほど魅力的ではない。世界でだれが自発的に中国の歌、中国のテレビ番組、中国のファッションを見てまねるだろうか」ということだ。

中国の影響力の「元手」は今年明らかになった。新型コロナウイルスで多く国の経済が冷え込んだ。ここに米国の反中戦線参加の圧力はますます大きくなる。中国が掲げた利点だけでは中国と一緒にやる理由が足りなくなった。むしろ中国に対し抱えていた不満が水面上に出てきた。英国とタンザニアの反中行動はこうした背景で出た。

「金で影響力は買えても、心は得られなかった」。

ブラウ研究員の一喝だ。彼女は「中国の国際地位急落はこれまで中国がグローバル商業ネットワークだけ構築し友情を育まなかったため」とみる。

彼女は中国が旧東ドイツに学ばなければならないと主張する。中国と同じ社会主義国だ。だが中国のように資金は多くなかった。結局経済的に没落し西ドイツに吸収された。だが「東ドイツの遺産はいまも多くの国に続いている」と分析する。

東ドイツ外交の核心は「教育」だ。1951年から89年まで125カ国、7万8400人の外国人学生が東ドイツで大学学位を取得した。多くは東ドイツと同じ社会主義国だったが、そうではない開発途上国の出身者も多かった。

国連人権高等弁韓事務所代表のミシェル・バチェレ元チリ大統領が代表的だ。医大生だった1970年代にピノチェト独裁政権を避けて東ドイツに亡命した。東ドイツ政府の支援で医学の勉強を終え結婚もした。現在のモザンビーク、アンゴラ、南アフリカの執権勢力の相当数も過去に東ドイツで教育の機会を得た。バチェレ氏ら多くの人が「東ドイツでの生活はとても幸せだった」と記憶する理由だ。

教育を通じて「親東独派」を作ったという話だ。ブラウ研究員は「東ドイツの教育支援は、理念は違うが米国の海外外交官奨学制度と似ている」と評価した。

これに対し中国は違う。

親中派育成は疎かだ。代わりにブラウ研究員は「外国の華僑が本国(中国)と密接になるよう『圧力』をかけようとした」とみた。国営メディアは中国関連ニュースを海外に送出することに集中する。外交官は相手国を脅す「戦狼外交」ばかりする。2015年に中国でヒットした映画『戦狼』に出てくる戦士のように、ことあるごとに戦うという意味が内包されている。

もちろんブラウ研究員の話がすべて正しいのではない。だが存在しない過去の社会主義国。 これに劣るという評価を受けている中国の外交戦略。明らかに修正が必要にみえる。中国が本当に米国に代わるG1の夢を持っているならばの話だ。
しかし、借りた金を返さない韓国には、中国を批判する資格などないのだが・・・

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金を借りるのは当然の権利……韓国に蔓延する「ウリ意識」の底にあるものとは?
『なぜ韓国人は借りたお金を返さないのか 韓国人による日韓比較論』より 
【文春オンライン】2020/05/13 シンシアリー

たとえ国家間で結んだ条約だろうと、それに優先されうる「正義」があるというのが韓国側の心理だという。

 日本人にしてみれば国家との約束=法律を守ることは、日本という国に住む以上当たり前のことである。しかし韓国人にとっては時に個人の「正義」が法律より優先されることもあるらしい。そこには「借りた金を返さない」こととよく似たロジックが働いている。

 韓国に育ちながら日本文化にも触れることで「韓国がヘイトを向ける日本」はどこにも存在しないことを知ったというシンシアリー氏。その著書『なぜ韓国人は借りたお金を返さないのか 韓国人による日韓比較論』(扶桑社)から抜粋し、韓国人特有の正義を読み解く。

◇◇◇

日韓関係と「借りたお金を返さない」ことの類似性

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「借りたお金を返さない」といっても、人それぞれ様々な事情があるでしょうけど、私が韓国で数十年間生きた「肌の感覚」だと、これは個人の問題ではありません。もはや社会レベルの問題です。

 経済的に余裕があるのかどうかを離れ、「お金を貸したのに返してもらえなかった」経験がある韓国人は、成人ならほぼ全員ではないだろうか、と私は感じています。データはありません。ただの邪推かもしれません。でも、率直に、そう感じています。某有名アニメの台詞を借りますと、「私のゴーストがそう囁いて」います。

 最近の日韓関係を見ると、日本(安倍総理)と韓国(文大統領)の間で、いつもいつも、ほぼ決まったパターンで応酬が行われます。日本は韓国にこう言います。「国際法という約束を守れ」。私的な正義は国内で勝手にやればいい、国家間の約束を守れ、というのです。すると、韓国はこう言います。「条約や合意では解決できない」。

 文在寅大統領は2020年1月14日の新年記者会見でも、「被害者の同意なしに韓日政府がいくら合意しても、問題解決の役には立たないことを、慰安婦合意で、切実に経験した」「日本政府が被害者たちが収容できる法案を用意すれば、両国間で解決策を用意することもさほど難しくない」と話しました。合意をしても役に立たないというのです。

 同じく、元朝鮮半島出身労働者(いわゆる元徴用工)問題においては、「請求権協定(基本条約)では解決されていない」と主張しています。条約締結から五十年以上も経った時点で。

 韓国の弁は、国家間の約束である国際法よりもっと重要な「正義」があるというのです。日本と韓国は過去を克服して未来志向で共に発展しなければならない関係だから、日本が負けろ、日本が折れろ、そうしないと大事な両国関係が破壊されてしまう、というのです。

 少し書き換えてみると、「韓国が国際法を守るのではなく、日本が韓国の正義を守れ」です。どことなく、今の日韓関係は、「借りたお金を返さない」ことと非常に似ているようにも見えます。いや、「今の」でもありません。ずっと前からそうでした。

「約束を破るわけには行かない」――法律的な側面を重視する日本

 2019年12月のことです。ブログに、神田外語大学のキム・ギョンファ准教授が『韓国日報』に連載している「同じ日本、違う日本」というタイトルのコラムを部分引用し、その内容について考察したことがあります。

 まことに残念なことですが、私が「シンシアリーのブログ」で紹介する「日本駐在韓国人教授の日本関連発言」は、悪い意味でとんでもない反日発言ばかりで、いつもブログのコメント欄が「こんな人が日本の大学で教授やっているのか」という意見で溢れかえったりします。そもそも親日だろうが反日だろうが、意見表明の場は保障されるべきでしょうけど、読んでいて不愉快になるのもまた、仕方ないことです。

でも、キム准教授のコラムは、明らかに日本を貶めるために書かれた「いわゆる知識人」のコラムが多い中、反日さは目立たない内容です。もちろん、日本に対する感謝や愛などはさほど感じとることができませんでしたが、それは個人差の問題でありましょう。

共通の不満を通じた「共感」は難しい

 私がブログで紹介した2019年12月18日のコラムのテーマは、「男女平等ができていない日本と韓国だけあって、日本と韓国の若い人たちが『抑圧されている』という側面で、共感できるのではないか」というものでした。男女だろうがなんだろうが、「人が不当な扱いにより言いたいことが言えず、抑圧されている」とする問題を論ずるなら、それは国家というより現代社会の問題です。性別、年齢、国家などに関係なく、どこの社会にも一定数は存在すると言えるでしょう。

 それに、コラムを読んでみて、私は、同じ不満を持っていることを「共感」と呼ぶのは、デモが多い韓国ならともかく、日本ではニュアンス的に違和感があると思いました。でも、人の立場や経験はそれぞれ違うものだし、キム准教授は女性だから、私とは観点が違うだろう、こういう考え方もあるものだな、と最後まで読んでみました。私がブログで取り上げたのは、この部分です。


〈……数年前、日本で地方議会の女性議員が、育児スペースがないことに対する抗議の意味で、乳児の赤ちゃんを抱いて、議会本会議場に入ろうとして、出入り禁止されたことが話題になった。授業でこのことについて議論したことがあるが、女子学生を含めて、学生の70%以上が、「会議に出席する資格があるのは議員だけという法を破った以上、禁止は妥当である」とする保守的な意見であり、落胆したこともある……〉

日本人学生の意見に「落胆」する韓国人准教授

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たぶん、キム准教授は、「育児問題を放置する日本が悪い」「そんな点は韓国と同じだ」「日韓の若者が共感した!」という流れを期待していたのかもしれません。実際、日本で育児に関する問題がまったく話題にならないとか、そんなことはありません。日本社会そのものが、そういう問題があるとちゃんと認識していますし、ニュースでも報道されています。

 ただ、「物の見方においての優先順位」、普通にその社会の価値観と呼ばれるものが、日本と韓国とでは、違います。日本の大学生たちは、「会議に出席する資格があるのは議員だけという法を破った以上、禁止は妥当である」を守ることを優先します。韓国なら、法より自分が抑圧されている、実際に抑圧されているかどうかより「自分でそう思っている」ことを優先するでしょう。すなわち、自分の正義を万人の法より上に置くはずです。

 この考え方があるかぎり、両国の若い人たちに「共感」はありません。なにより、日本の大学生たちのこのような意見に対し、講義している准教授が「保守的だ」とし「落胆」するようでは、共感は無理でしょう。このような考えの差があるから、日韓の真の共感はありえません。たとえ、問題そのものを「あ、これは問題だな」と感じることは同じでも。

「そうあるべき」に囚われる韓国人
 
私は、こう思っています。キム准教授と韓国側は、「育児問題に対する解決策」においてその結果を重要とし、それを邪魔する全てによって「私は『拘束』されている」と感じています。そして、他の人たちもそう感じるべきだ、いわゆる「当為さ」(「そうであるべきだ」とする概念)を重要視します。だから、逆に、自分でその邪魔な存在を拘束しないと、問題が解決しないと信じ込んでいます。「やられる前にやってしまえ」とまではいかないにせよ、「やられているからやってしまえ」です。困ったものです。

 日本側は、結果だけでなく、結果(解決策)に至るまでの過程や手続きを、万人との「約束」として認識し、重要視します。だから、「約束を破るわけには行かない」と判断し、法律的な側面を重視します。なにせ、「安保など様々な側面で周辺情勢が変わったので、憲法の一部を変え、国民投票したいと思います」という当たり前のことが、ここまで長引く国、日本ですから。

日本社会では「約束」、韓国社会では「拘束」が物を言う

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皆さんは、「約束」と「拘束」の差をどう思われますか。漠然とした書き方ですが、約束は何か良いイメージがあるし、拘束は悪いイメージがあります。「約束をちゃんと守る人」といえば社会的に大変良いイメージがありますが、拘束はそうではありません。たまにテレビニュースに出てくる、人を部屋に拘束する凶悪犯罪のイメージもあり、とても気軽に口にする言葉ではありません。でも、実は約束が拘束になってしまうことだってありますし、その逆もまた然り、です。


 友だちとユビキッタ! した約束ならそれは普通に約束でいいでしょうし、犯人が被害者を物理的に拘束したならそれは犯罪で間違いありませんが、そこまで明確でない場合は、約束と拘束の境界はどうなるのでしょうか。約束でも、気にしすぎると拘束になってしまうことはないのでしょうか。逆に、拘束されているのに、その状況を「約束を守っているだけ」と勘違いしている人は、いないのでしょうか。

 そもそも、社会に存在する約束は実に様々な形で存在し、人と人が約束を交わす「一対一」のものだけではありません。「一対多(個人と大勢の人の間)」のものも無数に存在します。でも、妙なことに、少なくとも現状、すなわち、今の社会風潮を見てみると、日本社会では「約束」が、韓国社会では「拘束」が物を言います。

 韓国は、教育をはじめ、全ての分野において日本の法律をほぼそのまま真似してスタートした国であり、日本をロールモデルにして成長しました。「約束は守らないといけない」「法律を守ろう」などの教育も、ちゃんとあります。しかし、その結果は、日韓とでまったく別のものになります。

韓国では恥は「かかされるもの」と考える

 両国の社会風潮の「一見同じに見えるけど、実は結構違う」を論ずるため、あえてよく使う慣用表現を一つ用いるなら、「世間様を気にする」をある種の約束事として考えた場合はどうでしょうか。

 世間を気にしすぎるのはよくないという話も聞きますが、それはあくまで「気にしすぎた」場合のこと。日本で住むようになってから、さらに強く感じるようになりましたが、世間様を気にするのはとても良いことです。韓国にも「町の恥(ドンネチャンピへ、町中で恥ずかしい)」といって、何か社会通念上ありえないことをやった場合、世間の笑いものにされることを大いに恐れる表現があります。

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※写真はイメージです ©iStock.com
 
ただ、もともと「恥」という概念が、韓国では「かかされる」、日本では「かく」ものであるため、その意味合いは日本とは似て非なるものです。日本で言う「世間」という言葉は、「相手」に気を遣う日本の「建前」の表れです。韓国で言う「町」は、自分で「自分」に気を遣う「体面(チェミョン、韓国人特有のプライド意識)」の表れです。

自分が自分にかかせる「恥」
 
韓国社会の「(町の恥という表現の)町」という考えを、本書のテーマ「なぜ韓国人は借りたお金を返さないのか」と繫げてみると、こうなります。

 お金を借りたことで、人(貸してくれた人)に対して「悪いことをした」や「恩を受けた」と考えるならば、視野を広くするとそれは恥の概念になります。常識的に考えて、お金を借りるのは愉快なことではありません。「急に必要だったから、なんとかなってよかった」と思うことはあっても、所詮は借金です。人生設計またはビジネスのために銀行から借りたものならそうでもありませんが、私的な、例えば友だちから借りたものなら、良かったよりは「悪いな」と先に思うでしょう。

 ある意味では、それは自分自身による自分自身への恥であり、それをちゃんと返すことで、その恥を取り除く、いわば浄化することができます。浅い知識の日本語で恐縮ですが、「払う(返す)」ことで「祓う(恥を取り除く)」を得る、とも言えるでしょう。

借りたのは当然だから、返すのは損
 
もし、ある人が、お金を借りたことで、相手(貸してくれた人)に対して「当然のことだ」としか思わないなら、恥の居場所がおかしくなります。借りたのが「当然」なら、返すのは自分にとって損でしかありません。借りた時点でプラスマイナスゼロ、すなわち当然だから、返す分、マイナスになるわけです。

 この理屈だと、貸してくれた人は、それを返せと言わないのが、両者(借りた人と貸した人)の関係を維持するもっとも「公正」な方法になります。ここでいう「関係」という言葉、後で繰り返して出てきますので、ぜひ覚えておいてください。

 韓国社会では、この関係を「情が多い(情に厚い)」関係、言わば「恥の無い」関係だと信じる人が、大勢います。このゆがんだ「当然」と「公正」の同一視は、韓国社会で蔓延しています。俗に言う裏の世界の人、法の死角で生きる人、そういう人たちだけの話ではありません。

 実は、普通に金銭的に余裕がある人でも、なぜか借りたお金を返さない人は大勢います。それを「悪いこと」と考えず、「当然のこと(関係として公正なこと)」と考えているからです。「情」など人間関係に関わる感情を持ち出し、相手の権利をねじ伏せることが多いのは、その行為に一切の罪悪感を持っていない、すなわちそういうことを当然で公正だと思う人が多いわけです。社会がそういう人たちを増やしたのか、そういう人たちが増えたからそういう社会になったのか、それともその両方か、どちらにせよ、実に気まずい話です。

「ウリ意識」の根幹になにがあるのか

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だから、韓国社会では、「貸したお金を返せ」と言ったせいで、相手(借りた人)が信じていた「公正(対等)な関係」が壊れてしまうという、笑うに笑えないシチュエーションも多発します。お金を借りて返さないでいる関係が公正(対等)な関係だったのに、相手から「返せ!」と言われたから、急に上下関係になり、自分(借りた人)が「下」になってしまうわけです。

 そして、それは情のない、とても恥ずかしいことであり、その恥は借りた人が自分の中から見いだすのではなく、返せと主張した人によって「かかされた」ものになります。すなわち公正で対等な関係は、自分のミスで壊れたのではなく、薄情な他人によって壊されたことになるわけです。

 ここでいう「公正な関係」または「当為さ」とやらが、韓国人の信じる「ウリ(私たち)」たる共同体意識の根幹です。私は、こう思っています。そうした世界でいう「公正」など、もはやお金の借り貸しという約束ではありません。ある種の拘束です。

 なぜ「絆」の韓国語が存在しないのか、少し分かる気もします。絆と約束は、平等や対等の関係でこそ自然に存在できます。拘束や情は、上下の関係でこそ自然に存在できます。


執筆中