中国・北朝鮮が変則軌道型 
 新型ミサイル日米で追尾 
【日経新聞】8月19日水曜日


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 日米両政府は多数の小型衛星でミサイルを探知・追尾する体制を共同で整備する。高度300~1000㌔㍍の低軌道に打ち上げ、監視や迎撃に生かす。中国やロシア、北朝鮮は飛行経路を変える新型ミサイルを配備予定で、現在の日米のミサイル防衛(3面きょうのことば)では対処が難しいとされている。20200年代半ばの運用を目指す。

揺れる極東軍事バランス
  
 20は 日本周辺の安全保障環境は厳しさを増す。中国の20年の国防費は前年比6・6%増の約19兆円と過去最大を更新した。日本が射程に入る中距離ミサイルは約2千発、核弾頭は今後10年程度で現在の数百発から倍増以上になるとの見方もある。
 中国はミサイルの脅威で他国を遠ざけ、海洋進出につなげる戦略もとる。ミサイルで東アジアの軍事バランスを崩し、外交力も高めている。

 北朝鮮は数百発の中距離ミサイル「ノドン」を持ち、核弾頭小型化も進む。
核兵器は米国との外交力ードになっている。

こうしたミサイルは放物線を描いて飛び経路が捕捉しやすい弾道ミサイルだ。日米は衛星やレーダーで探知・追尾して迎撃する体制をつくり、防衛力を高めてきた。

問題は帝国やロシア、北朝鮮が日米の、ミサイル防衛を突敏できる新型ミサイルを開発していることだ。中ロは弾道ミサイルより低い高度を経路を変えなら高速飛行する「極超音速」型の実用化を進めており、北朝鮮も変則軌道や、ミサイルの実験を繰り返している。

高度3万6000㌔㍍程度から探知する従来の衛星や地上レーダーでは追尾が難しく、迎撃も困難になる。ミサイル防衛が無力化して中国などへ抑止力が効かなくなる事態が懸念されている。

日米はより地球に近い低高度から新型ミサイルを探知追尾する方針だ。
米国は1000基を超す小型衛星で地球を監視し、うち約200基に熱源を追う赤外線センサーを積んで、ミサイル防衛に使う計画だ。日本も参加する方針だ。

米国の計画では総事業費は1兆円以上を見込む。従来の衛星は製造や打ち上げに1基で数百億円以上かかった。小型衛星の価格は1基5億円前後で済む。地球に近い低高度に大量に配備することで従来以上にきめ細かく情報を得られる。

 日本はセンサーの開発や衛星の小型化で協力する見通しだ。日本周辺での衛星網づくりや費用の一部負担も検討する。

小型衛星網は偵察のための光学望遠鏡や測位システムを積む衛星も含む。ミサイルの追尾だけでなく、艦船や航空機、陸上部隊の動きも把握できる。沖縄県尖閣諸島周辺の中国の動向もより把握しやすい。日米の情報共有は高度化し、安全保障面での対中戦略もー層緊密になる可能性がある。

日本政府はこれまで、宇宙ごみの把握や気象・防災情報の取得に小型衛星網を使う計画を公表していた。今後、米国と協議して合意すれぼ安保でも活用する方針を打ち出していく。

米国は22年にも30基体制で試験運用を始める予定だ。日本は21年度予算案にも赤外線センサーの開発費など関連予算を計上する。現行のミサイル防衛システムにつないで新型ミサイルの迎撃の精度を上げる。



毎年7月~8月は8月末日の翌年度防衛予算に向け関連の観測記事が飛び交うのだが、今年は9月末になるようなので、今のところこの記事ぐらいしか目に付かない。

9月末の2021年度防衛予算要求「我が国の防衛と予算-令和3年度概算要求の概要」にはあまりサプライズの新装備がないかもしれない。




【産経ニュース】2020.8.30 21:18 


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米国の新たなミサイル防衛構想を支える「衛星コンステレーション」への参加に向け、防衛省が来年度予算の概算要求に調査研究費を計上する方向で調整していることが30日、わかった。複数の政府関係者が明らかにした。中国、ロシアや北朝鮮が開発を進める新型ミサイルを捕捉し、迎撃につなげる。構想に本格参入すれば多額の経費が必要となるため、政府は費用対効果や実現可能性を慎重に見極める方針だ。

 米国の構想では、通常の早期警戒衛星は高度3万6千キロの静止軌道に投入されるが、衛星コンステレーションは300~1千キロの低軌道に1千基以上の小型人工衛星を投入する。2022年に実証機20基を打ち上げる。通常1基当たり数百億円かかる費用を、小型衛星は5億円程度に抑えられる。総費用は1兆円以上とされる。

 政府は、米国の開発状況を把握し、日本が得意とする高感度、広範囲の情報収集を可能にする赤外線センサーの使用を念頭に、参入の可能性を模索する。参入は米国との同盟関係の強化を図る狙いもある。

 中露と北朝鮮はマッハ5以上の極超音速で飛来し、低空から着弾前に再上昇するなど従来と異なる複雑な軌道を描くミサイルを開発。破壊目的で他国の衛星を攻撃する「キラー衛星」の開発も進めている。

 これに対し、低軌道に衛星を大量に配置すれば、低空で変則的な軌道を描く敵ミサイルを捕捉でき、一部の衛星が攻撃されても他の衛星でカバーできる。ただ、米国は詳細を明らかにしておらず、技術的な不明点も多いため、政府内には慎重な意見もある。


 米国では宇宙関連企業が小型衛星を大量使用した通信網整備を進めるなど、商用ベースが先行する。政府も衛星コンステレーションの調査研究と並行し、国内産業の成長促進を図る。

 コンステレーションをめぐっては、自民党のミサイル防衛検討チーム(座長・小野寺五典元防衛相)が7月末にまとめた提言書で、極超音速兵器の探知・追尾のため、無人機とともに活用を検討するよう求めていた。


 衛星コンステレーション 米宇宙開発庁が昨夏に公表した新たなミサイル防衛構想。「constellation」は「星座」を意味する。通常よりも低い軌道に、ミサイルを赤外線センサーで探知・追尾する衛星200基▽地上を偵察・監視する衛星200基▽高速通信衛星658基▽宇宙ごみ(スペースデブリ)を把握する衛星200基-など計1千基以上を投入する。
独自記事ではないようですよ産経さん、日経が8/19に記事にしてますよ~(笑)