領域横断作戦の中で、宇宙・サイバー・電磁波の領域における能力と一体となって、航空機、艦
艇、ミサイル等による攻撃に効果的に対処するため、海空領域における能力、スタンド・オフ防衛能力、総合ミサイル防空能力、機動・展開能力を強化する。

(1)海空領域における能力

常続監視態勢の強化

○ 自動警戒管制システム(JADGE)の能力向上(224億円)
一元的指揮統制による経空脅威への対応のため、探知識別能力、情報処理能力等を向上

○ 固定翼哨戒機(P-1)の取得(3機:680億円)
現有の固定翼哨戒機(P-3C)の除籍に伴い、その後継としてP-1を取得

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○ 固定翼哨戒機(P-3C)の機齢延伸(4機:16億円)
固定翼哨戒機の体制を維持するため、P-3Cに機齢延伸措置を実施

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○ 哨戒ヘリコプター(SH-60K)の救難仕様改修
(1機:10億円)
救難体制を維持するため、SH-60Kを救難仕様に改修

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SH-60J救難ヘリ仕様

○ 哨戒ヘリコプター(SH-60K)の機齢延伸
(3機:73億円)
哨戒ヘリコプターの体制を維持するため、SH-60Kに機齢延伸措置を実施

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哨戒ヘリコプター(SH-60K)

○ 救難ヘリコプター(UH-60J)の取得(5機:279億円)
空自UH-60Jの減勢に対応し、救難態勢を維持・強化するとともに、多様な事態に実効的に対処し得る態勢を整備

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救難ヘリコプター(UH-60J)

○ 救難飛行艇(US-2)の取得(1機:139億円)
洋上における救難体制を維持するため、US-2を取得
P-1はH-27年度に20機取得した関係でH28~H31はゼロR-2年度久々の3機に引き続き3機の取得で計39機となる。


P-3C 
海上自衛隊は導入したP-3Cを改修し、衛星通信装置、合成開口レーダー、画像伝送装置、ミサイル警報装置、GPS対応電子海図表示装置、AIS:自動船舶識別装置、次世代データリンクなどの追加装備によって、年々能力向上を図っている。2020年3月末時点の海上自衛隊のP-3C保有数は50機である。現用機の一部は機齢延伸措置を行い、6年程度延伸することができる。

注目はSH-3Kの救難型改造である。救難型は航続距離を延長するため
増槽タンクを追加装備するがSH-3Kには増槽をつけたことない。海上自衛隊のUH-60Jは退役し、航空自衛隊のUH-60Jと硫黄島分遣隊で使用する3機のSH-60Kが救難換装型となる。

なお、令和3年度の予算要求には
SH-60KもしくはSH-60K能力向上型の新規調達がなかった、大丈夫なのだろうか?


○ 護衛艦の建造(2隻:990億円)
護衛艦部隊の54隻体制への増勢のため、従来は掃海艦艇 が担っていた対機雷戦機能も具備する等、多様な任務への対 応能力の向上と船体のコンパクト化を両立した護衛艦「FF M」(30年度型護衛艦7番艦及び8番艦(3,900ト ン))を建造 03年度護衛艦

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(3,900トン) (イメージR2防衛白書)

○ 護衛艦の艦齢延伸(艦齢延伸工事4隻及び部品調達4隻分:124億円)
護衛艦の体制を維持するため、「むらさめ」型、「こんごう」型及び 「あぶくま」型護衛艦に艦齢延伸措置を実施

○ 潜水艦の建造(1隻:691億円) 潜水艦22隻体制により、我が国周辺の海域における情報収集 ・警戒監視を有効に実施するため、探知能力等が向上した潜水艦 (29年度型潜水艦5番艦(3,000トン))を建造

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○ 潜水艦の艦齢延伸 (艦齢延伸工事9隻及び部品調達4隻分:65億円) 潜水艦を16隻体制から22隻体制へ増勢するため、「おや しお」型及び「そうりゅう」型潜水
艦に艦齢延伸措置を実施

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「そうりゅう」型潜水艦 (2,900トン)



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2020年9月中旬建造状況 https://youtu.be/87RreRJffZk


2020年11月に進水予定で、まもなく艦名が発表される。

私は個人的には旧海軍軽巡洋艦の河川名を継承すると思われるため、本命「しなの」対抗「あがの」穴「かこ」「やはぎ」大穴「まつ」「たちばな」ではないか?と、予想します。

大穴に植物名の「まつ」としたのは、
太平洋戦争中の1943年(昭和18年)から建造した戦時量産型駆逐艦「松」からの命名である。日本海軍最多の建造数(32隻)と最短の建造日数(約5ヶ月)を記録。そして最後に量産化された駆逐艦級名命名艦でもあり、今は戦時ではないが、最多量産型というところが3900トン型FFMに性格が近い。
戦後、海上自衛隊の前身海上警備隊の艦名は「くす」、「わかば」(旧海軍松型駆逐艦「梨」)など植物名もあったので、新艦種に植物名であった場合は「まつ」かもしれない。

30FFMのネームシップ艦の就役は令和4年の3月だが、後日装備ととされているVLSについては就役時には16基のVLSを搭載しているはずである。令和2年予算で垂直発射装置の一括共同調達30基等(イージス・アショア2基用にVLS6基〈アショア1基あてVLS3基〉および30FFM 12隻用にVLS24基〈FFM1隻あてVLS2基、搭載対象艦は26中期防分2隻および31中期防分10隻〉)に422億円が予算要求されている。ソース

令和3年建造潜水艦は3000トン型潜水艦(29SS)の5番艦となる。
艦名はなんとなるか?


過去に「まや」「おうりゅう」を予想的中した当ブログ(=Ddog=私)としては3000トン型は「くじら」の名前と予想するが「りゅう」シリーズが続くか微妙である。

仮に
29SSネームシップであるが、試験潜水艦になるので、あえて「鯨」の字を使わず、鯨の別名「いさな:勇魚」から SS-513「いさな:勇魚」と私は予想している。
一番艦SS-513「いさな:勇魚」ならば、二番艦は旧海軍で使用された潜水母艦名の「鯨」がつく3艦が続く、二番艦SS-514「じんげい:迅鯨」(迅とは速いという意味)三番艦はSS-515「ちょうげい:長鯨」、四番艦はSS-516「たいげい:大鯨」までは問題ないが、五番艦からが少し考えなくてはならない。

五番艦名の有力候補として、米国の小説家メルヴィルの長編小説モビーディック 白鯨から海の悪魔 SS-517「はくげい:白鯨」を推薦する。さあ予想はまたもや当るか?

一つ問題提起、いつまでハプーンUUMを搭載するかである。スタンドオフミサイルが主流の中で、もはや射程100kmそこそこのハプーンから後継UUMを検討してもいいのではないか?この5番艦「はくげい」から検討してほしいものである。


〇 「いずも」型護衛艦の改修(231億円)
飛行甲板上の耐熱塗装等に加え、F-35Bを安全に運用するため、艦首形状を四角形に変更
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防衛省によると、海上自衛隊史上最大の艦艇であるいずも型護衛艦の「いずも」と「かが」の改修は、5年に一度実施される大規模な定期検査を利用して、それぞれ2回にわたって行われる。

●スキージャンプ台は設置せず
また、海上幕僚監部広報室は、艦首の形状を四角形にするだけで、カタパルト(射出機)や「スキージャンプ台」と呼ばれる上向きの傾斜甲板の設置の予定はないと明言した。

英軍事誌ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリーでは、全長257メートルのアメリカ海軍のワスプ級強襲揚陸艦やアメリカ級強襲揚陸艦がスキージャンプ台なしでもF35Bを運用してきたことなどから、全長248メートルのいずも型護衛艦もスキージャンプ台が不必要ではないかと報じてきたが、その通りになった。

●F35Bは2024年度から調達
防衛省は、いずも型護衛艦「いずも」と「かが」に搭載するF35Bの2機の取得費として2021年度予算で264億円を要求した。この2機のF35Bは2025年度に調達される予定だ。

一方、今年度予算で793億円を計上し、取得する6機のF35Bは2024年度に調達され、同年度末までには配備される予定だ。パイロットの訓練や教育、部隊育成はそれからとなる。航空幕僚監部広報室によると、F35Bの国内配備先はまだ決まっていないという。



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参考写真:護衛艦「いずも」と強襲揚陸艦「アメリカ」(海上自衛隊と米海軍より)

F-35B搭載で艦首を四角形に変更する理由

・右舷艦橋と滑走線の距離を離して安全に運用したい。
・エレベーターと滑走線が掛からないようにしたい。
・露天駐機用のスペースを広く確保したい。
・強襲揚陸艦と同じ形式で相互運用性。

 艦橋と滑走線の安全距離を確保するだけなら艦首を左舷側だけ改造すればよく、右舷側まで改造して四角形にする必要は無いので、戦闘機用の滑走線を用意することで減少してしまう駐機スペースを艦首を四角形にすることで少しでも確保したい意図が伺えます。

 またスキージャンプは坂になるのでヘリコプターの発着スポットや駐機スペースとしては使えないのでアメリカ海軍は強襲揚陸艦に採用していないのですが、海上自衛隊も同じ形式にするということはヘリコプターの運用性を重視しているためで、F-35B戦闘機を搭載して以降も対潜ヘリコプター空母としての性格を色濃く残したいのかもしれません。


海上優勢の獲得・維持

○ 将来潜水艦用ソーナー装置の開発(48億円)
将来にわたり潜水艦の水中領域における優位性を継続保持するため、探知能力を向上させたソーナー装置を開発

○ 雑音低減型水中発射管の研究(23億円)
潜水艦の更なる静粛化のため、魚雷等を射出する際の発射音を低減する技術について研究
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将来潜水艦用ソーナー装置及び雑音低減型水中発射管(イメージ)

○ 高速高機動レーダ技術の研究(10億円)
低RCS(※)目標や極超音速ミサイルをはじめとした高速高機動目標に対応するため、レーダの探知追尾技術向上及び探知距離の延伸を実験装置を用いた模擬環境の下で研究

※ RCS:レーダ反射断面積(Radar Cross Section) Ⅲ
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高速高機動レーダ技術の研究(イメージ)


航空優勢の獲得・維持

○ 戦闘機(F-35A)の取得(4機:402億円)(再掲)

○ 戦闘機(F-35B)の取得(2機:264億円)(再掲)
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F-35B

○ 戦闘機(F-15)の能力向上(213億円)
周辺諸国の航空戦力の強化に対応するとともに、防空等の任務に適切に対応するため、スタンド・オフ・ミサイルの搭載、搭載弾薬数の増加及び電子戦能力の向上等に必要な改修を実施するための関連経費を計上

○ 戦闘機(Fー2)の能力向上(30億円)
周辺諸国の海上・航空戦力の近代化に対応するとともに、各種任務に適切に対応するため、現有戦闘機の能力向上改修、対艦能力の向上及びネットワーク機能の能力向上のための改修に必要な設計等を実施

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次期戦闘機(約772億円(関連経費含む)
次期戦闘機
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○ 次期戦闘機の開発等(587億円)
機体の構想設計を引き続き実施するとともに、エンジンの設計等に着手し、着実に次期戦闘機の開発を推進


○ 遠隔操作型支援機技術の研究(16億円)
有人機の支援を行う遠隔操作型支援機の実現に求められる編隊飛行技術やヒューマン・マシン・インターフェース技術等に関する研究を実施

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次期戦闘機

○ 高機能レーダ技術の研究(41億円)
戦闘機等において、常時の広覆域捜索を可能とするため、将来の高機能レーダに係る技術を日英共同研究により確立
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(2)スタンド・オフ防衛能力

○ スタンド・オフ・ミサイルの取得(172億円)
相手の脅威圏外(スタンド・オフ)から対処できるF-35Aに搭載可能なスタンド・オフ・ミサイル(JSM)を取得

○ 島嶼防衛用高速滑空弾の研究(229億円)
島嶼防衛のため、高速で滑空し、高精度で目標に命中する高速滑空弾について、早期装備化に向けて引き続き研究を推進

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○ 12式地対艦誘導弾の取得(1式:55億円)
対艦戦闘能力強化のため、現有の88式地対艦誘導弾の能力を向上させた12式地対艦誘導弾を取得

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(3)総合ミサイル防空能力

弾道ミサイル防衛関連経費1,247億円
ネットワークの機能強化

○自動警戒管制システム(JADGE)の能力向上(224億円)(再掲)
低高度を変則的な軌道で飛翔する弾道ミサイルへの対処能力の強化等ネットワークの機能強化

○ FC(Fire Control)ネットワークとCEC(共同交戦能力)の連接実現性に係る調査研究(2億円)国産汎用護衛艦に装備予定のFCネットワークと「まや」型護衛艦等に装備されるCECとの連接実現性に係る技術的検証を実施

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平成31年度予算の概要

シューター・誘導弾の機能強化・増

○ 能力向上型迎撃ミサイル(PAC-3MSE)の取得 (391億円) 弾道ミサイル防衛と巡航ミサイルや航空機への対処の双方に 対応可能で、かつ射程が延伸されているPAC-3MSEミサ イルを取得

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PAC-3MSEミサイル(写真は同型機材)


○ 基地防空用地対空誘導弾(改)及び新近距離地対空誘導弾の開発(45億円)
同時多目標対処能力を向上し、コスト低減を図った基地防空用地対空誘導弾(改)、及び機動展開能力に優れ、低空目標への対処能力の向上を図った新近距離地対空誘導弾を、ファミリー化により効率的に開発

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○ 03式中距離地対空誘導弾(改善型)の取得(1式:122億円)(再掲)
防空能力強化のため、低空目標や高速目標への対処能力を向上させた03式中距離地対空誘導弾(改善型)を取得

○ 03式中距離地対空誘導弾(改善型)の能力向上の研究
(1億円)

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○ 極超音速滑空兵器迎撃システムの研究(0.4億円) 極超音速滑空兵器への効果的な対処のための迎撃ミサイルの在り方について研究を実施

 イージス・アショア代替措置関連事業(事項要求) 

上記経費については、現時点において計上すべき予算をあらかじめ確定することが困難であるも のの、イージス・アショアの代替措置の早期実現が重要であるとの観点から、予算編成過程におい て、検討結果を予算に反映させることが必要であるため、今後、検討していくものとする。








(4)機動・展開能力
PFI船舶の活用による統合輸送態勢の強化

PFI船舶を活用した部隊・装備品等の輸送訓練及び港湾入港検証を実施して、同船舶の運用上の実効性を向上し、統合輸送態勢を強化

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PFI船舶による統合輸送訓練

○ 統合水陸両用作戦訓練の実施
水陸両用作戦に係る自衛隊の戦術技量の向上を図るとともに、統合運用の資を得る
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統合水陸両用作戦訓練

○ 輸送機(C-2)の取得(2機:515億円)
現有の輸送機(C-1)の減勢を踏まえ、航続距離や搭載重量等を向上し、大規模な展開に資する
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輸送機(C-2)を取得


○ 軽装甲機動車の後継装備品の研究(14億円)
部隊の機動・展開能力を担保する軽装甲機動車の後継となる車両選定のための参考品を取得

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軽装甲機動車の後継装備品(イメージ)

○ 16式機動戦闘車の取得(25両:191億円)

各種事態において迅速かつ機動的な運用が可能である16式機動戦闘車を整備し、作戦基本部隊(師団・旅団)の機動展開能力を強化
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16式機動戦闘車

○ 新多用途ヘリコプター(UH-2)の取得(7機:127億円)
多用途ヘリコプター(UH-1J)の後継として、空中機動、航空輸送等を実施し、迅速に部隊を展開できる新多用途ヘリコプター(UH-2)を取得
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新多用途ヘリコプター(UH-2)

○ 南西警備部隊等の配置に伴う施設整備(432億円)
島嶼防衛における初動対処態勢を強化するため、警備部隊等の配置に関連する石垣島の隊庁舎等、宮古島の保良鉱山地区における構内道路等、奄美大島(瀬戸内分屯地)の火薬庫等を整備


○ 輸送航空隊の配置に伴う施設整備(61億円)
佐賀駐屯地(仮称)新設に係る敷地造成工事に要する経費を計上


○ 佐世保(崎辺東地区(仮称))の施設整備(138億円)
南西方面における後方支援基盤と位置づけ、崎辺東地区(仮称)に大規模な岸壁等及び後方支援施設を整備

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軽装甲機動車の後継装備品(イメージ)図の高さを20%ほど高くしたところ・・・・
コマツ製LAV
軽装甲機動車そのもの・・・でした。


また、装甲車輌の調達が殆ど無かった。




16式機動戦闘車25輌調達はいいのだが、10式戦車の調達がついにゼロ 現在107輌が生産されたが・・・まさかここで調達打ち止めか?防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画平成31~35年度)では戦車30輌の調達が予定されているので少なくともあと23輌の調達はあるはずである。かって陸自には1000輌以上の戦車が存在したが戦車の定数が300というのはあまりに寂しい。

新多用途ヘリコプター(UH-2)は地味だが、陸自ヘリ部隊を維持するのにはなくてはならない装備だ。新戦闘ヘリの調達も、新観測ヘリの調達もなく、このままではい陸自ヘリ部隊が絶滅してしまう。防衛費はGNP2%が必要だと痛切に思う。




令和3年度予算の概算要求において、次期戦闘機やかが空母化があったにせよ、海空重視は納得するが、いくらなんでも陸自をここまで軽視していいのであろうか?


執筆中