トランプ感染を大喜び、バイデン推し偏向報道の異様
失言に不透明な政策、バイデン氏の問題点には目を向けず
【JBpress】2020.10.21(水)古森 義久

image135
ノースカロライナ州モリスビルのローリー・ダーラム国際空港で選挙運動用飛行機に乗り込む民主党大統領候補のジョー・バイデン氏(2020年10月18日、写真:AP/アフロ)

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 2週間後に迫った米国大統領選では、民主党のジョセフ・バイデン候補が相変わらず失言を重ね、政策面でも不透明な対応を続けている。バイデン候補は以前から物忘れや失言が目立ち、認知症疑惑まで指摘されていた。だが、大手メディアはそうしたバイデン候補の問題点をまったく取り上げず、トランプ大統領の言動にもっぱら容赦のない糾弾を浴びせている。

 私はこれまで40年ほどの間、通算8回の米国大統領選を現地で実際に取材してきたが、米国の大手メディアがここまで党派性をむき出しにして民主党支持に走った例はみたことがない。長年の経験からしても今回の大統領選はあまりに異様である。

トランプと主要メディアの“デスマッチ”

 思えば1976年の共和党ジェラルド・フォード現職大統領と民主党新人のジミー・カーター氏の対戦が米国での大統領選現地取材の初体験だった。以来、カーター対レーガン、レーガン対モンデール、ブッシュ対デュカーキスと続き、ブッシュ対クリントン、2代目ブッシュ対ゴア、オバマ対ロムニーなどの選挙戦の取材を重ねてきた。

 だが今回の選挙戦はそのどれとも根幹から異なる。


 異様な要因といえば、まずトランプ大統領までもが襲われた新型コロナウイルスの大感染である。選挙自体の枠組みを大きく変えてしまった。

第2には共和、民主両党派の前例のないほどの険悪な対立である。ののしり合いが主体となり、政策論議は消えてしまった。

 第3には、トランプ大統領と主要メディアの“デスマッチ”である。大手の新聞やテレビの民主党への傾斜は長年の現象だが、今回はその勢いが一線を越えたようなのだ。

 以上の特徴のうち、現在の日本で語られることの最も少ない現象はメディアの政治傾斜であろう。主要メディアのこの傾向は民主党のジョー・バイデン候補を全面的に支援する偏向報道という形をとっている。

バイデン氏の失言に目をつぶる大手メディア

 バイデン氏が公の場で事実関係の大きな誤りを頻繁に口にすることは幅広く知られている。たとえばコロナウイルスの死者の数をケタ数から間違える。自分が演説をしている州の名を間違える。自分が副大統領だったときの大統領の名前(オバマ大統領)を思い出せない。あまりにも明確な間違いを繰り返すため、全米世論調査では米国民の多くが、バイデン氏が単に高齢というだけでなく認知症を患っているのではないかと疑っている、との結果が出ている(参考「なぜ今? 米国で囁かれるバイデン氏の認知症疑惑」)。


 バイデン氏の公開の場での失言は、投票日まで3週間を切ったここ数日の間にも中立系あるいは共和党寄りのメディアによって報じられている。たとえば以下のような発言である。

「アメリカのコロナウイルス感染による死者は200万人だ」(実際には20万人)

「私はいま上院議員選挙に立候補している」(実際には大統領選)

「私たち民主党はかつて戦った、あのモルモン教の、上院議員・・・州知事の・・・」(ミット・ロムニ―氏の名前を思い出せない)

「トランプ氏は大統領選でオハイオとフロリダの両州で過去2回、勝った」(トランプ氏は過去1度しか大統領選に出ていない)

 バイデン候補は政策面でも不透明さが拭い去れない。たとえばトランプ政権が指名した最高裁判事候補に反対しながらも、対案を一切語らない。シェール石油を採掘するためのフラッキング(水圧破砕工法)を禁止するのかしないのか、不明のままである。トランプ政権の対中政策が軟弱だと非難しながら、自分は具体的な対案を述べない。

 しかしバイデン氏のこうした失言、問題点を、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、CNNなど民主党支持の主要メディアは無視あるいは軽視してきた。むしろ、バイデン氏を批判的に報じる側を「偏見」だとして攻撃する。トランプ大統領が「もし私がこの種の間違った発言を1つでもすれば、大統領失格と断じられるだろう」と苦言を呈するのも無理はない。


 民主党寄り大手メディアのバイデン候補支持の傾向は他にも顕著な例がある。

 10月中旬、保守系の新聞、ニューヨーク・ポストがバイデン氏の次男ハンター氏がウクライナや中国の大企業と取引して、父親が現職副大統領だったコネを利用して年間1000万ドルという巨額の「顧問料」を得ていたことを示すEメール記録などを報道した。だが、ニューヨーク・タイムズなどは一切無視した。また、トランプ大統領が以前から民主党寄りだと非難していたフェイスブックとツイッターは、この報道の拡散を防ぐ措置をとった。トランプ陣営は「言論と報道の自由を妨害している」と抗議したが、民主党寄りメディアはこれまた無視した。

トランプ氏のウイルス感染を大喜び

 他方、民主党寄り大手メディアのトランプ大統領への論評は苛酷をきわめる。

 トランプ氏のウイルス感染について、ニューヨーク・タイムズのモーリン・ドウド記者らは「ウソで固めたトランプの世界についに天からの懲罰が下った」と報じ、これで選挙戦の結果が決まったかのような喜びをにじませた。

同様にワシントン・ポストもデーナ・ミルバンク記者らが「トランプ氏の無謀、無能、無責任、ウソの結果がこの感染であり、米国民への侮辱だ」と論評した。

 CNNテレビはジル・フィルポビク記者らが「トランプ大統領はこの感染でパニックに陥り、常軌を逸し、もはや選挙戦に敗れたと言える」と断じた。

 この種の論評では、トランプ支持層から一般国民の多くまでが示す大統領の感染への心配や同情はツユほどもみせていない。逆に大統領が傷ついたことを歓迎するのだ。しかも大統領自身や医師団の公式の発表はすべて虚偽のように否定する。

 この点を、中立系のウォール・ストリート・ジャーナルや共和党寄りのFOXテレビは「民主党支持にのめりこんだ敵意の偏向」と批判する。そして反トランプ・メディアがバイデン候補に対してはあまりに寛大だと指摘する。


「打倒トランプ」を編集方針に

 振り返ればニューヨーク・タイムズなどのメディアはトランプ氏の当選直後から激しい打倒トランプ・キャンペーンを展開してきた。「本来、選ばれてはならない人物が選ばれたから、選挙ではない方法を使ってでも倒す」という態度が明白だった。

 この方針は2019年8月、同紙の編集会議の記録が外部に流出して、確認された。同記録によると、編集会議で「トランプ打倒を大目標とする紙面づくりを続ける」「これまで『ロシア疑惑』報道をその最大の手段としたが、効果がなかった」「今後はトランプ氏がレイシスト(人種差別主義者)だとする主張を最大の手段とする」──という方針が明言されていた。今年(2020年)5月以降の米国内での事態をみると、ニューヨーク・タイムズの戦略が功を奏したようにもみえる。

 ちなみに日本で論じられない米国メディアのこの種の偏向を詳細に解説して全米ベストセラーにもなった『失われた報道の自由』(日経BP刊)という書が日本でも出版された。著者は共和党レーガン政権の司法省高官だった保守系法学者で、政治評論家のマーク・レビン氏である。レビン氏は大手メディアの民主党傾斜の偏向ぶりを歴史的、構造的に明らかにした。私もこの本に解説文を寄せている。本記事とあわせてお読みいただきたい。



今回のバイデン親子の異常ともいえる大スキャンダルを暴露したジュリアーニ元ニューヨーク市長が、保守系のテレビ局 max TVでインタビューを受けた。

ジュリアーニ元市長曰くバイデン親子のスキャンダルは大きく分けると二つある。
一つは、ウクライナと中国からの金銭スキャンダル。
もう一つは、息子のハンターバイデンの人格問題である。

バイデン候補には息子が二人いた。兄の方は数年前に事故で亡くなった。このところ問題を起こしているのは、弟の方、ハンターバイデンであるが、ハンターバイデンの現在の愛人は亡くなった兄の妻(義理の姉)である。このことはスキャンダルとまでは言えないが、あまりよろしいものではない。B級ドラマの展開でいけば、兄の事故死に弟が何か関係があるとなりがちであるが・・・それは今回のスキャンダルの話題ではない。修理を依頼したハンターバイデンのPCの中に、14歳の女児との不適切な行為の動画や写真が沢山でてきたことである。幼児性愛は米国においては重罪であり、収監され社会的地位を失う重大スキャンダルである。

問題はFBIが昨年12月にハンターバイデンのPCを押収し、認識しているにも関わらず、何も動いていなかったことである。 FBIはヒラリーVsトランプの2016年大統領選挙の際、明らかに反トランプ側に立って、トランプ当選阻止を画策した。有名なのがロシア疑惑。実際はロシアやウクライナと通じていたのは民主党バイデン副大統領で、むしろロシア疑惑はヒラリー陣営であったにもかかわらず、トランプ陣営の元大統領補佐官マイケル・フリン氏が、ロシアと通じていたとでっち上げ不当に逮捕した過去がある。無罪となったフリン氏の裁判過程で今回のバイデン疑惑の一端は見えていたが、証拠がなかった。

FBIはハンターバイデンのPCを昨年の12月に押収したにも関わらず、FBIは何も動いていない。マイケルフリン氏が無罪となったのはハンターのPCをFBIが押収した後の2020年5月だ。FBI内部にフリン氏を貶め、民主党に加担する明らかに怪しい勢力がある。

今回のハンターバイデン捜査チームにジョシュア・ウィルソンという人が入っているが、ジョシュア・ウィルソン捜査官。はFBIで児童ポルノ問題のトップの捜査官である。

現在米国大手マスコミは、この大スキャンダルをスルーし、無視している。ツイッターもFacebookも事件の拡散を妨害している。明らかに異常だ。

怒ったトランプ大統領は、アメリカの司法省に対してこのバイデン親子の疑惑に特別捜査官を任命して捜査を始めなさいという指示を出した。


バイデン陣営は不思議なことにこのスキャンダルを否定しないで、暗に認めた形になっている。WSJ記事によれば、バイデン氏「好感度」が強み、トランプ氏の攻撃響かず、2016年当時のクリントン氏より好感度が高い 。とのことです。

ジョーバイデンはもう大統領選挙に出る資格はないと思う。それでもバイデンが大差で勝つと思っているリベラルの人たちは私から言わせれば、米国人の有権者が考える能力がない白痴だとでも思っているのか?私の眼にはバイデンを勝たせたいと思っている人間は、悪魔にでも取り付かれたか、まともな判断能力を持っていない。

未だに日本のマスコミ報道は、バイデン大差でリードだと報道している。私(Ddog)が勤務する会社のアナリストの多くは米国のマスコミの垂れ流す報道しか見ていない・・・

そのアナリスト達の多くは中国経済のV字回復も信じている。
どうりで経済予測も当たらないかも・・・その理由がわかる。

最新記事 ビジネス 中国の対米輸出がV字回復、制裁下でも増えた需要は?
中国の対米輸出がV字回復、制裁下でも増えた需要は?
【Newsweek】2020年10月19日(月)16時35分

image138
 AVIGATORPHOTOGRAPHER/ISTOCK

<9月のアメリカへの輸出は前年同月比で20.5%増>

米トランプ政権の制裁関税にもかかわらず、中国が対米輸出を好調に伸ばしている。

9月の対米輸出は前年比20.5%増の440億ドル。中国経済が新型コロナウイルス感染拡大から急速に立ち直ったことが背景にあり、2020年第2四半期でコロナ禍以前の成長率を回復した最初の主要経済国になった。


9月の全輸出額も前年比9.9%増の2398億ドルに達し、前月比でも9.5%増加。マスクや医療品の需要も大きいが、トランプの中国テクノロジーたたきにもかかわらず、電気製品の需要が輸出を後押しした。

中国はアメリカ製品を含む輸入も伸ばしている。

20.5%増
中国の9月対米輸出の前年同月比

9.9%増
中国の9月の全輸出の前年同月比

13.2%増
中国の9月の全輸入の前年同月比

24.5%増
中国の9月のアメリカからの輸入の前年同月比

<2020年10月27日号掲載>

合言葉は「リベンジ消費」

中国の今年の国慶節連休は中秋節が重なり、例年よりも1日多い8連休(10月1日~8日)だった。この連休は、中国は新型コロナ肺炎の流行で消し飛んだ今年の春節連休、そして5月メーデー連休の「リベンジ消費」が合言葉だった。果たして「リベンジ」は成功したのか。

「リベンジ消費」、中国語でいうと「報復性消費」とは、新型コロナ肺炎の自粛、移動制限によってたまっていたストレスを発散し、これまで我慢してきた分を埋めあわせるために一気に消費行動が増えるという意味だ。連休の中日の10月4日までの統計をもとに、中国メディアは、中国のリベンジ消費心理が全面的に爆発しているとして、中国消費の完全復活を喧伝している。

image005
中国経済が大復活しているというが… photo/gettyimages

中国文化観光部の統計によれば10月1-8日の国内観光客はのべ6.37億人、観光収入は4665.6億元。昨年の国慶節連休全体の国内観光客総数はのべ7.82億人、観光収入は6500億元。全年同期比で、それぞれ79%、69%の回復率だ。

Eコマース最大手のアリババが6日に発表した「アリババ2020年10月1日連休消費情勢リポート」によれば、新型コロナの影響で“おうち消費”“巣ごもり”の概念が広がったことから、「家族」が国慶節連休の消費のテーマになったという。
 
たとえば中国最大の旅行販売プラットフォーム・フリギーの統計によれば、今年の国慶節連休は家族旅行が比較的多く、家族3人以上のまとまった航空券販売が5月連休時期と比べると160%増。また家族旅行向けのホテル予約も77%増、親子の入場券セットなど30%増という。

旅行も、映画も、デリバリーも…!? 

例年の秋の連休時期は、家族旅行よりも、カップルや友人同士の旅行が目立ったが、今年は「まるで春節休みのような国慶節連休」であったという。中国では春節は伝統的に家族と過ごす、というイメージがある。

フリギーのプラットフォームを使った予約では、この国慶節連休は民宿の予約が前年同期比で68%増だった。都市近郊の農村民宿の人気が高まっており、家庭型、コテージタイプの民宿の予約が比較的増えている。これも、家族旅行の増加傾向の証左といえる。
 
また、今年の国慶節は、新型コロナ肺炎でながらく自粛傾向であった映画館の営業が大々的に再開されており、映画の興行成績も回復。特に3人分のチケット予約が前年同期比68%増で、やはり親子3人で映画を見に行くケースが目立ったという。

image011
映画館には人が戻ってきた…? photo/gettyimages

公開初日からダントツの興行成績を示しているアニメ映画「姜子牙」は、大人の鑑賞にも耐えうるディズニー的芸術アニメとしての前評判が高いことも、家族客を映画館にひきつけた。昨年の国慶節アニメ映画の売り上げ、動員数ともに1254%増、1102%となった。

一方、新型コロナ肺炎で「三密」回避を気にするようになった消費者が増えたため、国慶節の観光地でもテイクアウトやお取り寄せ、デリバリー業界の景気がよかった。

3日で「419%増」

フードデリバリーサービスアプリ・餓了麼の調べでは、省や市をまたいだ注文が五月のメーデー連休の時より倍近く増えているという。特に北京では、異地デリバリー消費が最も多い都市で、五月のメーデー連休時の4倍となった。

たとえば北京市民が長沙に旅行に来て、レストランに行こうとしても、長蛇の列ができていたら、デリバリーで済まそう、とアプリを使って注文するケースが増えている。
 
餓了麼は国慶節期間、デリバリーだけでなく、レストランや映画館のチケット売り場に客の代わりに並ぶなど様々な代行サービスも提供しているが、これが10月1~3日だけで前年同期比419%増となったという。

image018
デリバリーが活況 photo/gettyimages

こうしたデリバリー産業は、新型コロナ肺炎による「巣ごもり」を契機に需要が一気に拡大した感があるが、「巣ごもり」期間が終わった後も、新たな消費スタイルとして定着しつつあることが、この国慶節連休で判明したという。

デリバリー代行サービスは、買い物代行、ペットの世話代行など、消費の個性化によって新たな需要が掘り起こされている。
 
比較的最近、配達員が高速道路の渋滞で立ち往生している乗用車に食品を届ける映像がネット上で話題になっていた。

瀕死の店が「延命」

国慶節連休では上半期にほとんど売り上げがなく瀕死の実店舗の多くも、延命のチャンスを得ることができたという。

オンラインショッピングと実店舗をつなげるアリババのニューリテール戦略として2016年から登場している新たな食品飲料小売り業態「盒馬」のデータによれば、国慶節期間中、盒馬での直接予約の半製品おかずや完成品おかずの売り上げが大きく伸びている。たとえば成都では、半製品おかずの売り上げは前年同期比35%増となった。盒馬はネット販売と実店舗をリンクさせた形式のストアで、普通のストアのように買い物もできるがネット注文したもの実店舗で見定めて買うこともできる。
 
Eコマース大手の京東ビッグデータ研究所の統計では10月1-4日の消費は、上半期以来新型コロナ肺炎の影響で、消費行動が引き続きオンライン化していることもあり、中秋節の伝統もあって、食品飲料、家電、アウトドア、宝飾品に至るまで、昨年の国慶節週間をはるかに超えているだけでなく、5月のメーデー連休も超えている。

image023
ショッピングに出る人は増えてきた photo/gettyimages

特に宝飾品は、新型コロナ肺炎の影響数か月会えない恋人に対する愛情の証として購入されるケースが多いという。今年上半期から、新型コロナ肺炎で延期されていた結婚式が国慶節休みに集中したことも、宝飾品の売り上げ急増につながっているとか。シルバーの指輪は前年同期比100%増、ネックレスは前年同期比2633%増、ダイヤのネックレスは前年同期比121%だという。

中国経済が「V字回復」って、本当か…?

こうした統計などから、中国メディアはおおむね、中国経済は新型コロナ肺炎からV字回復を遂げたと報じている。

中国基金報は、「少なからぬ外国メディアが中国の意外な経済回復速度に驚き、羨ましがっている」と論評。実際、米国ではいまだ新型コロナ肺炎で毎日数百人の死者がでており、トランプ大統領まで感染している状況だ。BBCも「中国がいまや世界で最も活気あふれる旅行市場」と報じており、中国メディアはこれを嬉々として引用していた。
 
だが本当に中国経済は奇跡のV字回復を果たしえたのだろうか。一部の中国経済学者らは、こうした報道について少々厳しい視点で言及していた。

山東大学卒の金融学者、司令氏が米資本放送局のラジオ・フリーアジアにこんなコメントを寄せている。

「中国の公式統計はいずれも、昨年同期比で観光客、観光収入とも大きく減少している。決して中国経済の現状は満足いくものではないはずだ」

正確にいえば、中国国民は海外旅行できない分、国内旅行の総数がある程度増えるのは当然だ、ということだ。国内旅行延べ人数は前年同期比7~8割回復した、というのは、前年同期比2~3割減であり、観光収入3割減。この数字は、むしろ厳しくとらえるべきではないか、というわけだ。

中国の公式報道をよく見れば、昨年同期や今年の五月連休と比較して、この分野が何十%増、というスタイルで報じているが、そういう局所のデータは、中国市場の新たなポテンシャルをはかる参考になるものの、中国経済の好調をそのまま反映しているとは言えまい。
 
しかも、共産党の宣伝機関として厳しい制約を受けている中国メディアは、中国の現状について批判的な報道ができない。

異様な「価格高騰」が始まった!

だが、中国ネットユーザーの中には、率直な感想がかなりあり、そうした庶民の反応をみれば、若干の現実が垣間見える。

「湖南の観光名所の鳳凰古鎮の民宿旅館は、旅行客が足りない状況の中で営業しているので、すべての物価がやたら高い。国慶節連休にここの民宿にとまると昨日の部屋代は150元だったのに、今日は400元に跳ね上がった。駐車場も、川辺の泥地に車を泊めるだけで1時間15元もとられた。一晩駐車すれば100元以上だ」とあるネットユーザーは訴えていた。

こうした異様な価格高騰が各所で起きているようだ。

食品など生活必需品を含めて様々な物価が今年にはいって高騰している。9月は若干、物価が下がったとの発表があったが、実際の消費者の物価高に対する不平不満の声はいまなおネット上には散見する。

image030
異様な価格高騰があちらこちらで photo/gettyimages

失業率問題も改善されたとは聞いてない。9月22日に中国経済メディア「ウォールストリートダイジェスト」に寄稿された国民経済研究所の王小魯副所長のリポートなどを読む限り、統計に表れていない零細企業の倒産とそれにともなう大量の失業があり、彼らの収入減少が消費拡大の大きな枷になっているという。

7月の中国公式の失業率は5.7%だが、王副長は、実際はその倍以上、としている。だが、その王副所長の指摘ですら、過小評価だというエコノミストもいる。しかも失業保険を受け取れるのは失業者の5人に1人もいない。

「長期停滞シナリオ」の現実味

中国のSNS微信が発行するウィチャットペイの国内観光地やホテル産業への消費データも、10月1-3日の間の取引額は5月のメーデー連休と比較してそれぞれ83.3%、70.75%増と発表しているが、あるネットユーザーは、「今年の5月メーデー連休の消費は昨年の半分にも満たない。言い換えれば今年の国慶節連休の消費は昨年の5月連休に及ばない、ということだ」と指摘する。

中国経済が回復した、西側諸国は嫉妬している、というのはあくまで政治宣伝であり、消費を回復しようにも、生活費すら困窮する人々がまだかなり存在するのだ。

image040
復活を喧伝するウラでは… photo/gettyimages

中国共産党は10月26日から開く五中全会(第五回中央員会全体会議)で第14次五か年計画(2021-26年)などの経済政策を制定するが、そこに年平均経済成長目標を盛り込むかどうか、注目されている。盛り込むとすれば、5%ではないか、という数字が体制内のエコノミスト筋から出ているが、これを高いとみるか低いとみるか。

私は第13次五か年計画の年平均成長目標を6.5%に設定していたことを思えば、中国共産党としては、かなり弱気な数字とみる。長期経済停滞時代に入るという予測があるのではないだろうか。


リベンジする日はまだ来ない…?

中国は新型コロナ肺炎の影響だけでなく、目下直面する米国を中心とする西側グローバル経済からのデカップリング、金融制裁により、ドル基軸上にある中国経済が極めて厳しい状況にある。

中国は双循環という中国を中心としたブロック経済圏での新たなサプライチェーンの再構築を急ぐも、人民元の信用がドルに依存している時点で大きな制限がある。

習近平政権の経済政策は依然、「国進民退」、民営経済への統制を厳しく、民営資産接収が相次いでいる。外交姿勢は攻撃的な「戦狼外交」のままだ。
 
こういった状況を総合すると、大統領選後、米国が一気に親中派になるなどの天変地異がおきないかぎり、中国経済にリベンジのチャンスはまだ遠かろうと思うのだ。
中国国家統計局は10月19日、2020年7~9月期の国内総生産(GDP)の伸び率が前年の同時期と比べ、4.9%増となり、2期連続のプラス成長となったと発表したが、そもそも私は中国の統計など全く信用していない。

確かに日本の中国への輸出も悪くはないようなので、中国経済が回復しているのは間違いないと思うが、中国の主要輸出先である欧米が感染第二波が来ており移動規制などがあるので、中国の経済活動が停滞する可能性はある。

中国は、経済を回復させたことと、コロナを抑え込んだということをアピールしているが、ウィルスを国外に散々拡散した後抑え込んだと言っても、説得力がない。

世界中がサプライチェーンを見直しし、中国を外す動きは今後も加速する。価値観が異なる中国の経済活動や経済がよくなったからと言って、中国への現地進出は減少し、一時的に消費が活発化したとしても今後も活況になるわけがない。

 過去の中国や世界の歴史・軍事史からいって、同盟国がない国は生き残ることはできない。