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大型トラック搭載 HPM:High Power Microwave

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第二次カラバフ戦争」は通称「ドローン戦争」と呼ばれナゴルノカラバフ自治州アルツァフ共和国アゼルバイジャン内のアルメニアの飛び地)の一部の地域の帰属を巡りアルメニアとアゼルバイジャンが2020年9月27日~2020年11月10日に掛けて争い、アゼルバイジャンの事実上の勝利で停戦した紛争である。この戦いは兵力的に劣勢であったアゼルバイジャンがドローンを巧みに使い分けて勝利し、戦争の様相を一変させたエポックメイキングな戦争であった。



ドローンが安価に量産され更に小型高性能化により、中国や朝鮮半島のテロリストが操作するドローンが群れを成して襲来する「飽和攻撃」が想定されている。

また、徘徊型ドローン(通称:カミカゼ・ドローン)と呼ばれる無人機とミサイルの中間型の出現はアルメニアのように対応を誤ると対空防衛施設が全滅しかねない。

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画像元 イスラエルIAI社製「ハロップ(ハーピー2)」

ドローンは出現予測が難しく、発見した時点でかなり接近していると考えられ、対処の時間に猶予が無い。また、徘徊型ドローンは戦場上空に長い時間滞空することができ、第二次カラバフ戦争においては、潜んでいたアルメニアの地対空ミサイルのレーダー波を受信すると、滞空していたドローンが突入していった。


2019年09月18日

サウジ石油施設攻撃事件においてもドローンが使用された。大量のドローンによる初の大規模重要施設攻撃として、日本はこの事件も教訓としなければならない。サウジ石油施設攻撃事件とは、2019年9月14日にサウジアラビア東部のサウジアラムコの石油生産プラントを標的として行われたイエメンのフーシ派によるドローン攻撃である。安価なドローンの突然の飽和攻撃に高価なサウジ対空防御施設がまったく役にたたなかった

こうした安価なドローンによる飽和攻撃に備えるため、防衛装備庁ATLAは、ドローンの迎撃にも役立つ技術の研究を進めている。

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電装研_高出力マイクロ波技術の研究
(YouTube防衛装備庁公式チャンネルが開きます)

ATLAでは「高出力マイクロ波」を小型ドローンに照射した試験の成果をネット上で公開している。2021/03/08に公開された動画を視ると、瞬時に複数の小型ドローンを墜落させている。

小型ドローンに対して一定の強度以上のマイクロ波を照射すると、マイクロ波が通信系やセンサー系などドローン内部の電子回路に影響を与えたため墜落する。

高出力マイクロ波の利点は幾つかある。具体的には(1)照射対象に光速で到達する、(2)ビーム幅があるため命中率が高い、(3)弾数の制約がなく低コストで運用できる、ATLAではアクティブ・フェーズドアレイ(位相配列)方式を採用しているため(4)装置の方向を物理的に変えなくてもマイクロ波の照射方向を電子的に変更できるので、飽和攻撃に対処しやすい(4)の照射方向を電子的に変更できるのは、日本独自の技術だという。

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ATLAにおいて高出力マイクロ波は対小型ドローン専用として研究開発を開始しているものではなく空対空戦闘における対空ミサイルや、極超音速巡行ミサイル、果ては現在対処不能とされている滑空弾や変則軌道弾道弾(MARV)迎撃に用いる為である。




防衛装備庁技術シンポジウム2019発表要旨(PDF)
 より
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図 運用構想図
ドローン・UAS 対処にも適用可能な高出力マイクロ波技術の研究
谷口大揮*1、高萩和宏*2、吉積義隆*2、北川真也*2、○西岡俊治*2
*1 整備計画局防衛計画課 *2 電子装備研究所電子対処研究部センサ妨害研究室

1.背景

同時に多数のミサイルが飛来した場合、従来装備だけでは対処しきれない可能性が高くなる。また、近年、性能向上が著しいドローンによる攻撃が現実のものとなっているが、ミサイルに比べて格段に安価なドローンが群れをなして襲来する脅威も予測される。

ドローンは出現予測が難しく、発見した時点でかなり接近し、対処時間にゆとりがない可能性がある。このような同時多数による攻撃(飽和攻撃)への対処方法を、早急に準備しておく必要に迫られている。

そこで、高出力マイクロ波を照射して脅威対象を無力化させる方法の開発が期待されている。高出力マイクロ波は、○対象へ光速で到達。 ○ビーム幅があり命中率が高い。○瞬時に効果が現れる。○アクティブ・フェーズドアレイ方式を用いることで照射方向を電子的に高速走査させることが可能。等の優位性を有し、飽和攻撃に対して効率的な対処が可能と考えられる。また、弾数の制約がなく、低コストという利点を有している。(図)

2.目的

ミサイルやドローン・UAS(Unmanned AerialSystem:無人航空機システム)の飽和攻撃に対処可能な防御システムをプラットフォーム搭載可能な装置規模で実現するため、高出力・高効率な増幅素子の研究開発、システム実証及び妨害効果の計測評価等を進め、高出力マイクロ波による近接防空技術を確立する。

3.研究状況

平成26年度から、マイクロ波評価装置の研究試作(以下、「本研試品」という。)を実施し、平成31年3月末に納入した。この装置は、増幅素子として TWT(Traveling Wave Tube:進行波管)を採用しており、これはアクティブ・フェーズドアレイ方式の高出力マイクロ波装置を実現するために現状で最も有効な方式である。

本年度、電波暗室内で本研試品の出力、ビームパターンを計測し性能を確認した他、市販のドローンに照射して動作不良を生じさせ落下させた。

使用したドローンは無線操縦式のもので、同じ条件で試験を行っても、動作不良の内容として通信途絶、電源遮断、制御不良の3種類のパターンが現れた。本研試品により、小型高出力 TWT が実現し、設計どおりのビーム形成、出力、高速ビーム走査等の原理実証がなされた。

令和2年度には、電波暗室内において照射対象を変え、高出力マイクロ波を照射する実験を計画しており、現在、本研試品の整備及び対象の準備を行っているところである。

4.今後の計画・展望

今後は、早期の装備化に向け、出力の向上と装置規模の小型化のため、さらなる検討を進める。
具体的には、① 半導体素子の高出力化の検討を実施し、装置規模の小型化を図る。② 妨害効果の照射実験を継続し、データベースの充実を図る等が必要であり、事業計画を確定する。
勿論、国内に多数存在する北朝鮮のテロリスト達が突如原子力施設や、軍事施設・空港・発電所といった重要施設を攻撃する可能性もある。

そういった重要施設には大型トラック搭載の高出力マイクロ波兵器で対応する。

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イージス艦など大型艦艇には、極超音速ミサイル/滑空弾・変則軌道弾道弾(MARV)迎撃用として、高出力レーザとセットで研究開発されているが、現状公表されている能力は艦隊防空までであるが、最終的目標は大型艦艇によるミサイル防衛MDのようだ。

正直ベースで言えば中国、いえ北朝鮮がミサイル飽和攻撃を日本に対し行った場合、日米合わせて20隻以上のイージス艦を並べても対応することはできない。

国土防衛の切り札は高出力マイクロ波兵器となる説が元陸上自衛隊西部方面総監用田 和仁氏を中心に唱えられている。用田氏は陸自が運用するイージスアショア計画に予算の無駄であると、反対の立場であった。

用田氏の説に防衛省も乗り、海自も護衛艦隊増強となる為に加担したかもしれない。ミサイル防衛の大義名分で勝ち取ったイージスアショア枠予算を利用する為、イージスアショア計画は意図的にブースター落下問題から頓挫させ、その予算を巧妙に使いイージス艦を増勢させた。これは結果的ではなく、意図的であった可能性を疑う。

新イージス艦にはHPMを搭載し、SM-3ではなくHPMにてミサイル迎撃を行うのが目的ではないだろうか?予算が限られた中イージス艦を増勢するウルトラCがイージスアショアを巡る茶番劇の真相のような気がしてきました。


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まずはEW(電波妨害)で広範囲を守備し、航空機・ミサイルやドローンを排除する。
それをすり抜けてきたものをHPMで迎撃する。

HPMを擦り抜けたものだけレーザーやミサイルで迎撃する。

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【用田氏によるHPMWミサイル防衛について参照】


2018.10.11(木)用田 和仁

ロシアが装備化している「車載EW : Electronic Warfare」と「車載HPMWHigh Power Microwaves 」は5年以内に日本が実現できるゲームチェンジャーである。

 
EWは照射している時だけ有効であるが、低出力で衛星までも妨害が可能である。

ロシアはシリアに車載EWを配置しているが、概念的に300キロの妨害範囲を持っていると言われ、衛星や巡航ミサイル、精密誘導弾、その他電波を発するものの妨害が可能で、航空戦闘を指揮するAWACSなども妨害できるとしている。

 予備車両も含めて30~40両程度で日本全域の防衛が可能となる。幸いなことに、日本は陸自に電子妨害を任務とする第1電子隊が北海道にあり、やがて第2電子隊もできるようだ。

 これらが装備するものは基本的にロシアのEWと同じであり、従って新たな開発要素はないことから、ロシアのように新たなランドベースの装備品として、日本列島全域の覆域が可能な態勢の早期確立が必須である。

 海空自にとっても有難い存在となることは間違いなく、さっそく来年度から予算化されて当然であろう。

 これこそ、総理が言われる電磁領域の優越を獲得する1番バッターである。

 さらに、ロシアが装備するHPMW車両の日本版が5年以内に装備化することが可能な2番バッターである。

 HPMWは電子機器を破壊するため、ドローンや巡航ミサイル、航空機、艦船、地上部隊などあらゆるものを使用不能にすることができる。

 ロシアは20キロまで破壊できるとしているとしているが、日本は水平線までを意識して30~40キロの破壊を目指すべきであろう。

 そして、車載型を完成させた後は、小型化して航空機搭載型にしたり、大型化して列車移動型や固定型にして300~400キロ程度の破壊を追求すべきであろう。そうすれば、多数の核弾頭搭載の弾道弾を一挙に無力化することも夢ではない。

 このために日本は、先行する海外の有力な軍事産業と協力して実現を早めることも視野に入れるべきであろう。

いずれにしても、非物理的打撃のEWとHPMWは相互補完関係にあり、日本のミサイル防衛の主役となる2枚看板である。

 おまけに弾は無尽蔵で安上がりだ。これとイージスアショアなどの物理的打撃を組み合わせることにより、初めて総理は「国民を守り切っている」と胸を張って真実を語れるだろう。

 この事業は、総理の第1優先事項であることから、防衛省は2枚看板の実現に勇気をもって挑戦しなければならないし、財務省は十二分な予算を投入しなければならない。




用田氏は2019年のビデオなので言及していないが、2020年度予算案に EW妨害電波照射用C-2改造大型電子戦機予算が計上された。


○ スタンド・オフ電子戦機の開発(150億円) 効果的な電波妨害を実施することにより自衛隊の 航空作戦の遂行を支援する、スタンド・オフ電子戦 機を開発

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スタンド・オフ電子戦機の開発

だが、防衛装備庁技術シンポジウム2020 研究紹介資料高出力マイクロ波技術の研究の8P 今後の計画に航空機搭載とさりげなく入っている。

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これは、明らかにC-2ベースのEW電子妨害スタンド・オフ電子戦機ではなく、4発機であるため、P-1ベースのHPM照射機である。その目的は元々電気がろくに来ない北朝鮮の上空で、HPM照射をするとも思えない。おそらくその用途は、東シナ海~日本海上空で変則軌道弾道弾や巡行ミサイルの迎撃用に用いることを示唆する為にイラストが挟み込まれていると考えるべきではなかろうか?

2021年度(令和3年度)予算でも用田氏の提唱する
陸上自衛隊のネットワーク電子戦システム予算は計上されており、用田氏によるHPMWミサイル防衛論は、予算に反映している。


2020.10.01

○ ネットワーク電子戦システムの取得(1式:88億円)
電波の収集・分析及び通信の無力化により、作戦を有利に進めるため、陸上自衛隊のネットワーク電子戦システムを取得

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ネットワーク電子戦システム

〇 艦艇の電波探知妨害能力の研究(0.2億円)
航空機やミサイルからの電波を探知し、無力化するための電波を照射する電波探知妨害装置の能力向上について実証検証を実施

ネットワーク電子戦システム(Network Electronic Warfare System 通称:NEWS)-平成30年度富士総合火力演習にて-


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