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サウジ、新戦闘機開発に参加希望

サウジ、新戦闘機開発に参加希望


【ロンドン共同】英紙フィナンシャル・タイムズ電子版は11日、日本、英国、イタリアの高官の話として、3カ国が共同で進める次期戦闘機開発計画にサウジアラビアが参加を希望していると報じた。英伊が前向きな一方、日本は反対しているという。

 同紙によると、7月に岸田文雄首相がサウジを訪問してムハンマド皇太子と会談した際には、サウジ側から直接要望が伝えられた。日本側は、参加国増加に伴う配備の遅れや輸出構想への影響、機微な技術情報の共有について懸念しているとみられる。

 サウジは兵器の多くを輸入に依存しており、計画参加により自国での開発能力を育成したいとの思惑もありそうだ。

【共同通信】
サウジアラビアが日英伊によるGCAPの参加意向の費用表明にはいささか驚いた。GCAPが仮に完成した場合、もっとも有力な輸出候補国だ。サウジアラビアは世界最大の民主主義国製兵器の輸入国だ、そのサウジアラビアが買うだけでなく、開発資金を出資して開発に参加したいというのだから大歓迎すべきところだろう。だが、日本は、スケジュール的にタイトになるとの理由から反対らしいのだが、現在日米伊による主導権争いに、イギリス主導でサウジアラビアか加入というのが水面下である熾烈な水面下でのパワーバランスに影響を与えて日本主導の何かを英国有理に引き寄せる決定打となるものと、外野(勿論渡しはライト)からはそのように見える。日本と英国で新型戦闘機の共同開発をするにいたって一番問題なのは、勿論エンジン開発だ、ネット上では、日本が誇るXF9の推力重量比11.0なかには推進力20トンと言う説も散見されます。これでエンジンははXF9で決まりかと思ってきたが、英国も伝統的なロールスロイスエンジンを国益上そう簡単に日本のXF9エンジンそのものを搭載するはずがない。大東亜戦争で、米国は原爆投下など数々の戦争犯罪を日本国民に対し行った。大戦終結後米国は日本の対米復讐戦争を恐れ、戦後日本の再武装、軍事力強化、なかでも独自の戦闘機開発についてはあからさまに妨害してきた。表向き日本は主権国家であり自由に戦闘機開発できるのだが、米国によって色々と巧妙に仕組まれた仕掛や罠によって、日本に戦闘機を作らせられないようになっている。米国は今回の日本の新戦闘機開発はについて認めているのだが、XF9エンジン開発にまで米国の呪いが及んでいた。下手したらXF9エンジンは、陽の目をみることができない可能性があるのである。
飛行機の開発に飛行試験が必要であるのと同様、エンジンも飛行を模擬した試験を行わなければ、実用に向けた開発はできない。その試験方法のひとつが、テスト用の航空機に試作エンジンを取り付けて、上空で運転するFTB(Flying Test Bed、空中飛行試験機)試験である。日本でも、過去にJ3、JR710、F3、F7といった各種エンジンのFTB試験が行われ、練習機や哨戒機などの国産機に搭載されてきた。

 しかし、戦闘機用のエンジンは推力も寸法も大きいため、この方法では試験できない。そのため、地上に建設したATF(Altitude Test Facility、高空性能試験設備)という設備を使い、高空での運転状態を模擬して試験する必要があるのだが、推力15トン級以上のエンジンを試験するのに十分な能力の設備が日本には存在しない。
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高空性能試験設備(画像:JAXA)

 日本の航空技術者たちは、将来戦闘機を構想するなかで、当然15t級を試験できるATFの建設を求めていた。しかし、北海道の千歳に建設された防衛装備庁のATF(2001年完成)は、5t級の規模にとどめられた。この時点で、予想されていたFSXの次の日本の戦闘機用エンジンは、今のところ実用化の最終段階で、F15を改造しエンジンテスト機を製作するか、外国のATFを借りなければ開発できないの状況に陥ってしまっている。千歳の実験施設が完成した2000年前後はまだF22を大量採用される可能性があり自主開発戦闘機はまだずっと先となる可能性もあり、ここまでネックになると気がついた人間は少かった。また、設備は都度更新すればよいと、考えるだろう。私もこの実用試験が出来ない問題のニュースに触れグレードアップできるだろうと思った。







日本が英国とイタリアとの新戦闘機の共同開発を容認した決定の背後には、変化する世界情勢貿易赤字問題など、米国の国益に左右されてもきた。今回日本の新戦闘機開発容認は中国との新冷戦、中国による米国覇権を奪取すべくち挑戦してくる諸課題の解決、ロシアウクライナ危機などによる国際情勢の緊迫化は、もはや日本は米国にとって抑え込むべく国から頼れる同盟国へと変貌したことも大きい。日本にはGHQの時代から日本が対米追従国を止め国家として自主独立を果たすことや少しでも軍備増強をしようとすると阻止しようと米軍は考え、日本国内に、米国の国益に呼応する勢力/階層(特定の考え方をする人達)が存在する。民主主義側でかつ憲法養護派/改憲阻止派である、その多くの人達は体制側であり官僚の多くが護憲で日本が国益を追求することを良しとせず、国益を追求しないならまだしも、下手をすると国益を毀損する側にいたりする。自民党のリベラル派岸田の所属する宏池会旧三木は派の流れをくむ河野グループまあ、納得してしまうがが、読売新聞主筆渡邉恒雄などがその最たる例だが、官僚もエリートほど護憲反国益傾向が酷い。財務省外務省、内閣法制局、そそして防衛省の内局(背広組)である。千歳のエンジン実験施設にしても将来15トン級の推進力のエンジン開発を最初から邪魔をしようと意図してはいなかったと思う。建設時期から判断すれば、P-1用のターボファンエンジンXF7-10(石川島播磨重工業(現IHI)とC2用のエンジンのテスト 結局はゼネラル・エレクトリック(GE)のCF6-80C2K1F型エンジン(推力:22,680kg)を採用した、
いったい

衛装備庁 : 千歳試験場の空力推進研究施設は何のための施設なのか?


当記事の後半部にてリンクコピぺしたNHK政治マガジン】2023年4月25日特集記事において、防衛装備庁のGCAP計画責任者射場隆昌氏米国は、
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前回のFSX開発の時と違い日本の新戦闘機開発に、好意的で協力的とのことだ、米国との共同開発計画を進めず英国とイタリアと組んたことに怒っていないとのことだ。その証拠に2022年12月GCAPが日英伊間で調印された際も2020年日本とロッキードマーティン社との間で締結された次期戦闘機開発支援協定は残され米国はGCAPに「支持」を表明している。
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2020年9月ウィルローバー空軍次官補が米第6世代戦闘機NGADの実証機が既に飛行済であることを明らかにしているので、日本がFSX用に開発した との共同開発の時と比べ、軍事大国中国の出現のせいもあるが、日米関係がより強固となっている。また、日本の最先端技術を米国が欲していないことも理由こもしれない。日本がFSX用に開発したアクティブ式としては、世界で初めて量産戦闘機に装備されたフェーズドアレイレーダーJ/APGや主翼を新素材の一体成形で製造する技術(炭素系複合材)などを米国が日本の最新技術を欲した。F2の開発で用いた技術はF16C/Dから取り入れられ/FF16E/Fに生かされ、F16E/Fi以降はF16A/Bの後継発達系よりF2の発達系だと思っていいのではないか?
今回は、英国のロールスロイス社が、予想以上の性能を発揮したXF-9エンジンを基に新エンジンを開発し、日本の技術をごっそり導入する気満々、に見える。普通だったらテンペストの新エンジンとバッティングして共同開発は難航するのではないか?と思ったのだが、XF-9の性能があまりに良いので、まるパクリして共同開発しましたという体裁をとるのではないかと私はみています、その代わり日本は英国のATFを使ってXF-9を共同開発の名の下実用化しF3に搭載しようとしている。日本は名を捨て実を取ったのだろう。



ゆっくり解説・軍事News】IHI社製XF9開発ヤメた驚きの理由空自F3次期戦闘機開発に赤信号点灯か!戦闘機エンジンを日本国内で開発できない

話が逸れたがXF9エンジンをなぜGCAP新戦闘機(F3)に採用できないのか?→日本に実用化試験に必要な推力15トン以上のATF(Altitude Test Facility、高空性能試験設備)が無い為英国のロールスロイス社との共同開発をおこなうことで乗り切る選択肢を選ばざるをえなかった。
なぜ千歳のATFを推力15トン以上にできないのか?

日本の軍事大国化を阻止したい内局の陰謀嫌がらせで予算がつかないのと米国が推力15トン以上のATFの技術提供を拒んでいる可能性が高い。XF9エンジンの性能が高性能すぎて日本にATFの技術情報開示してこれ以上のエンジンを実用化させたくないと見た。米国益から考えれば同盟国とはいえ当たり前のことだ。

結論米国はGCAP新戦闘機を歓迎すると表面上支持しても。国益上日本に高性能エンジンを作らさせたくない。

結局日本による戦闘機開発を認めない「米国の呪い」が解けていないのである。

残念なことに依然日本の防衛政策は、常に米国の掌中に握られている。

だからこそ、唯一の同盟国である米国との共同開発を捨て何かとリスクの多い国際共同開発を選択した。

結局F35の採用となったF4の後継機種については、F2のレーダー等を改良したりエアインテーク周辺の形状をもう少し改良したF2改が最適だつたと思う。だが、米国に阻まれ実現できなかった。戦闘機は30~40年ほど使用する。その間、世界の軍事技術は進展し、当然、相手の能力も向上する。それに応じて、各要素の能力を高める改修が求められる。だから『改修の自由度』の確保が極めて重要になる。F2改が実現できなかったこと「改修の自由度」こそが、米国でなく、 英国イタリアを共同開発のパートナーとして選択した決め手となったと思う。





徹底解説、日英伊による次期戦闘機・国際共同開発の現状と未来
日本が開発を担当したい技術は何か、第三国への輸出は可能か
【JBpress】2023.8.11(金)横山 恭三



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F-16戦闘機のエンジン燃焼試験(7月16日、米空軍のサイトより)

 2022年12月9日、日本と英国、イタリアの3か国首脳は、次期戦闘機共同開発協力に関し、「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP:Global Combat Air Programme)に関する共同首脳声明」を発出した。

 そして、2035年までに次期戦闘機を国際共同開発することを発表した。

 また、同時に発表された「防衛省と米国防省による共同発表」の中で、日本と米国は、次期戦闘機とともに運用する無人機開発などで連携していくことを発表した。

 現在、戦闘機本体の開発は基本構想および技術研究の段階にあるとされ、この基本構想が固まった段階で、各国は具体的な基本設計の作業に入ることになる。


 報道では、各国の開発費分担や作業分担は2024年末までに決定される見込みとしている。

 しかし、この作業分担が決まらないと設計作業の割り当てもできないので、当面は機体構想の検討と作業分担調整、そして作業の進め方に関する合意の形成がプロジェクトの中心的な作業内容となるであろう。

 さて、問題は「防衛省と米国防省による共同発表」で発表された次期戦闘機とともに運用するいわゆる随伴無人機の開発である。

「防衛省と米国防省による共同発表」には「日米両国は、来年(2023年)中に自律型システムに関する具体的な協力を始めることで一致した」と記載されている。

 しかし、現在日米間でどのような調整がなされているのか不明である。

 次期戦闘機と随伴無人機は一つの「システム」で、切っても切り離せない関係にある。

 なぜなら、随伴無人機なしに、次期戦闘機のコンセプトの一つである「高度ネットワーク戦闘」は完成しない。

 特にAI技術を適用した自律性の高い随伴無人機と有人戦闘機の連携は、第6世代戦闘機にとって不可欠の能力である。

 日本は大型無人機を開発した経験がなく、かつAIの軍事利用分野でも経験がない。筆者は次期戦闘機開発における日本の弱点は無人機とAIであると見ている。

 さて、本稿は次期戦闘機の共同開発の現況などを取り纏めたものである。初めに、次期戦闘機の開発状況について述べる。

 次に、共同開発の枠組みについて述べ、次に国際共同開発のリスクについて述べ、最後に各国の随伴無人機の開発状況について述べる。

 1.次期戦闘機の開発状況
 各国とも第6世代戦闘機の開発状況についてはあまり公表していない。

 グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)については、たまたま、NHK政治マガジンが「どうなる次期戦闘機? 日英伊共同開発 担当者に直撃(2023年4月25日)」という特集記事で、次期戦闘機プロジェクトを統括するポストを務めている防衛装備庁の射場隆昌事業監理官のインタビュー記事を掲載した。

 本項は同インタビュー記事を参考にしている。

(1)開発スケジュール

 3か国の共同開発プログラムでは、今は「コンセプト設計」段階である。それが終わると戦闘機の形状を確定させる「基本設計」、そして製造工程まで含めた「詳細設計」に入っていく。


 こうした設計作業を5年余りかけて行いながら、2035年の開発完了に向け、試作機の製造や地上試験、飛行試験に臨むスケジュールを描いている。

 射場氏によると、現在、日英伊3か国の政府・企業間では、毎日のようにビデオ会議を重ねている。一方、言語が異なる3か国の共同開発ならではの苦労も味わっているという。

 射場氏は次のように語っている。

「我々が英語を話すのもそうだが、イタリアの担当者も英語が母国ではない。英語を母国語としない人どうしで話すと誤解が出ることもある」

「時差もあり、日本時間の夕方にならないと会議ができない。ただ、毎日のように協議しており、日を追うごとにチームの一体感は高まっている」

 次期戦闘機開発スケジュールは図表1のとおりである。

         図表1 次期戦闘機開発スケジュール     

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 ところで筆者は、拙稿「日本の次期戦闘機が国際共同開発になった経緯を徹底解説」(2023.1.19)で、「FS-X日米共同開発」を例にとり、次のように述べた。

 国際共同開発では、作業分担の比率、担当部位および技術移転で各国の利害がぶつかる。そして、それらは、「経済合理性、技術的妥当性等に基づき」客観的に決められるということはなく、各国政府、参加企業の利害に基づき最終的には「取引」で決められるものである。

 FS-X日米共同開発では開発経費はすべて日本が負担したため開発費の分担は問題とならなかった。

 今回の日英伊共同開発も同様である。射場氏は、水面下で行われている、熾烈な「綱引き」の一端を明かした。

 設計段階の2024年にかけて重要な局面を迎える。戦闘機の「どの部位」を「どの国」が担当するかを決めることになるからだ。

「例えば前胴、中胴、主翼、後胴、さらに、センサーやレーダー、エンジンなど、誰がどこを担当するか。どの国も自国の防衛産業を極めて重視しているし、自分の望むタイミングで改修するためにも、各国ともとりたい部位がある。その交渉を一生懸命やっている」

 戦闘機は30年から40年にわたって使用されるため、今の交渉は将来の日本の防衛産業の行く末をも占う重要な分岐点となる。

 では、日本はどの部位の担当を取りたいのであろうか。

 射場氏は「交渉中だ」と留保した上で「機体構造の軽量化」「エンジン」「レーダー」の3点を挙げた。

「機体構造の軽量化」は、三菱重工業が2014年から8年間にわたり研究してきた技術だ。

 炭素繊維などを用いた複合材を接着することにより、金属製のボルトの使用を大幅に削減することに成功した。これにより、重量を抑えることができるという。

 射場氏は、「戦闘機は、重さイコール費用で、軽く作るのがすごく大事だ。米国が『F-35』を開発するときもウエイトコントロールがすごく大変だった。ボルトを使わずにつなぐ新しい技術は、我々がすごく力を持っている」と語る。

 的場氏が次に挙げたのが「エンジン」だ。

 IHIは、2018年に「XF9-1」という、推力15トン級のエンジン開発に成功し、防衛装備庁に納入している。

 今回、国産エンジンを次期戦闘機に積むことは日本の悲願だという。

「F-2」戦闘機を日米共同開発した際は、日本の技術が足りず、米国製エンジンを購入せざるを得なかったからだ。

 射場氏は、「国産エンジンは悲願だ。自分で作れないものが明確にあると、交渉にも弱くなってしまう。XF9の開発に成功しているので自信を持っている」と語る。

 このほか、高性能の「レーダー」も、F-2戦闘機開発の頃から日本に強みのある技術だとして、射場氏は自信をのぞかせた。

 さらに、射場氏は、より多くの部位を日本企業が担うことで、国内の防衛産業の強化や、幅広い経済波及効果につなげたいと考えている。

 そして、射場氏は「米国、ヨーロッパでは企業合併により、防衛関連企業がすごく巨大化している。そういうところとしっかり伍していけるような防衛生産基盤をつくることに強いこだわりを持っている」と語った。


(2)次期戦闘機の開発コスト

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 政府は2022年12月23日、過去最大の6兆8219億円に及ぶ2023年度防衛予算案を閣議決定した。このうち、航空自衛隊の次期戦闘機の研究開発費として1054億円を予算計上した。

 内訳は、日英伊の共同開発を推進するための機体の基本設計やエンジン製造など「次期戦闘機の開発」に1023億円、戦闘機用エンジンの効率性向上など「次期戦闘機関連研究」に31億円となっている。

 政府は、これまでの開発を見据えた研究費も含めると、既に5343億円を投入している。

 図表2「次期戦闘機の開発コスト」の左上の2019年度以前の研究開発費2277億円には、ステルス技術実証機「心神」やエンジンXF9の開発費が含まれている。




 最終的にどのくらいの費用がかかるかは、今後の設計や各国の負担割合に左右され、現時点では見通せないという。

        図表2 次期戦闘機の開発コスト       

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出典:財務省「防衛」2021年11月15日

 日英伊共同開発では、不足する技術を相互に補いながら、リスクを低減し、開発コストの増大を抑えていくことが求められる。

 射場氏は、英国とイタリアが過去にドイツ・スペインとともにユーロファイターを共同開発した際、合弁企業(JV=ジョイントベンチャー)と管理機関を作ったことを参考に、効率的な体制を作りたいと述べた。

「共同開発の枠組み」の詳細は後述する。

 ところで、開発費の分担について、2023年3月15日付けロイターは次の様に報じている。

「日本と英国、イタリアの3カ国が進める次期戦闘機の共同開発について、焦点だった開発費の分担を日英で4割ずつ対等にする方向で協議していることが分かった」

「関係者らによると、現在は月1回程度のペースで協議し、日英が開発費の4割ずつ、イタリアが残りを負担する案が有力になりつつある。詳細は2024年末までに決定するため、比率は変わる可能性がある」

(3)次期戦闘機の開発国以外の第3国への輸出と「防衛装備移転三原則」

 今後、注目されるのが、次期戦闘機の完成品や部品を開発国以外の第三国に輸出できるようにするかどうかだ。

 開発パートナーの英国とイタリアは、第三国への輸出を重視している。

 一方、日本の「防衛装備移転三原則」の運用指針では、共同開発国への移転は認められているので、英国・イタリアへの移転は可能であるが、それ以外の第三国への移転は明確に規定されていない。

 こうした点をどうするのか、防衛装備品の海外移転を進めるため自民・公明両党が行う協議でも、焦点の一つになる。


 射場氏は、「与党の議論を踏まえながら政府として検討する」とした上で次のように、第三国への輸出がもし実現した場合のメリットを語った。

「英国とイタリアには輸出にこだわりがある。ユーロファイターは700機弱のオーダーがあり、中東にも売られている」

「たくさん売れば売るほど単価が下がるので、産業の観点から、たくさんの機数が出ることは非常に大事だ」

「また、日本の戦闘機を使っている国が出れば、その国との連携は今まで考えられなかったほどに強固になる。国際安全保障環境の安定を生み出す上でも非常に重要なツールだ」

 一方、防衛装備品の海外移転は、意図しない形で流用・転用されるおそれや、間接的に紛争に関与するリスクをはらむ。

 高い殺傷能力を持つ戦闘機なら、なおさらだ。

 与党幹部からも「いたずらな海外移転の拡大を招かないようにすることが重要だ」と慎重な議論を求める声が上がっている。

 さらに、国際共同開発ならではの課題も指摘されている。

 現行の運用指針では、開発パートナーである英国・イタリアが第三国への移転を望んだ場合、相手国との間でどのような手続きが必要か、明確に定められていないのである。

 今後、この点についても、与党や政府の議論を注視する必要がある。


■2.次期戦闘機の共同開発の枠組み
 本項は、メルクマール「日英伊『次期戦闘機F-X』 共同開発に立ちはだかる“爆弾倉”技術という難題」(2023.7.10)を参考にしている。

 ユーロファイターの場合、英など4か国の合弁企業(JV)の作業を管理・監督する300人程度の国際調整機関が設置された。

 今回も、日英伊の政府方針を調整し、JVを効率的に指揮するため、同様の機関設置を検討している。

 同機関には、各国防衛当局や自衛隊・軍の人員を派遣することが予定されており、設置場所やポストの調整が必要となる。


 次期戦闘機を開発する民間企業の側では、三菱重工業、英BAEシステムズおよび伊レオナルドが、機体の設計開発および生産を進める共同事業体(JV)を設立する方向で調整が進んでいる。

 これに対して、開発の管理・監督を行う各国の政府側も、合同の調整機関を新設する方針を固めた。早ければ年内の関連条約署名を目指し、調整を進めている。

 さて、発注側と受注側の主体をそれぞれ一元化することは、プロジェクトをスムーズに運営するうえで重要な条件である。

 この体制が整う2024年以降、本プロジェクトが本格的に始動することになる。

 BAEシステムズの幹部は、2035年の運用開始は十分達成可能だと強気の姿勢を見せているが、具体的なタイムラインは示されていない

3.国際共同開発のリスク
 本項は、拙稿「日本の次期戦闘機が国際共同開発になった経緯を徹底解説」から再録している。

 共同開発は、往々にして空中分解することがある。

 英国は1960年代、戦闘攻撃機「トーネード」の開発に乗り出した。その合意覚書へ1968年にサインしたのは、英国と旧西ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、カナダの6か国であった。

 しかし、1970年には英国・旧西ドイツ・イタリアの3か国に減ってしまった。


 これは、財政上の理由や、全天候運用能力などをめぐる要求が各国で異なっていたためであった。

 現在、英国空軍・ドイツ空軍の主力戦闘機である「ユーロファイター・タイフーン」も、もともと英国と旧西ドイツ、フランスが目指したECA(European Combat Aircraft)計画として立ち上がった。

 しかし、その後計画名を幾度か変え、最終的に英国はドイツ・イタリア・スペインとの4か国共同で「ユーロファイター・タイフーン」を、フランスは単独で「ラファール」をそれぞれ開発した。

 フランスは艦上機としての能力を備えることとパワープラントに自国産の「スネクマ M88」を採用することを最後まで妥協せず、「ユーロファイター・タイフーン」の共同開発計画から脱退した。

 このように共同開発は、運用要求や開発スケジュールがまとまらなかったり、出来上がった機体の性能に満足するかどうかを巡って、開発が空中分解するリスクがある。

 今回の日英伊共同開発は、運用要求や開発スケジュール、機体の性能では問題がなさそうである。

 しかし、これからが大変である。費用や仕事量の分担等はこれから詰めることになっている。

 大型装備品の国際共同開発に慣れていない日本が、国際共同開発において経験豊富、別の言い方をすれば老練な英国を相手に、どこまで対等に計画を進めることができるかが注目される。

 イタリアのクロゼット国防相は、2022年12月、ロイターとのインタビューで、日英との戦闘機共同開発を巡り、イタリアは平等な扱いを受けなければならないと述べている。既に駆け引きが始まっている。

4.各国の随伴無人機の開発状況
 軍用無人機は、用途により、無人攻撃機(自爆型無人機を含む)、無人偵察機、無人警戒監視機などに分類される。上記の用途に用いられる無人機は既に実用化されている。

 だが、無人で空中格闘戦などの制空戦闘を行う無人戦闘機(UCAV:unmanned combat air vehicle)の研究が各国で続けられているが、いまだ構想段階にある。

 ところが、2023年3月6日、香港の英字新聞サウスチャイナ・モーニング・ポスト (SCMP)は、中国がAI搭載の無人戦闘機の開発に成功したと報じた。



 現状では、制空戦闘を行う無人戦闘機の開発が難しいため、先進各国では有人戦闘機と協働し、有人戦闘機を支援する随伴無人機の研究開発に取り組んでいる。

 随伴無人機が促進される理由としては、

①有人戦闘機との役割分担でパイロットの負担を減らすことができる

②随伴無人機の機能を空中給油や電子戦などの機能に限定すれば格闘戦などの戦闘よりは単純な動きになるので技術面、経費面で開発が容易となる――などが考えられる。

 また、AI技術の発展に伴い、随伴無人機には高度なAIを搭載した自律戦闘能力が求められている。

 現在、開発中の随伴無人機は次の3機種である。

 1つ目は、オーストラリア空軍とボーイングが開発するAIを搭載した無人機「Loyal Wingman(ロイヤル・ウイングマン)」である。

 ロイヤル・ウイングマンのプロトタイプが2021年2月に初飛行に成功した。

 ロイヤル・ウイングマンは、全長11.7メートル、航続距離は3700キロ以上で、AI(人工知能)を活用し、ほかの有人機や無人機と連携しながら情報収集・警戒監視・偵察・電子戦などの任務を遂行するとされる。

 ボーイングは2022年3月21日、ロイヤル・ウイングマンが「MQ-28A Ghost Bat(ゴーストバット)」と命名されたと発表した。

 2つ目は、ロシアの「スホーイS-70 オホートニク-B」である。

 2019年9月27日、ロシア国防省は「スホーイ57(Su-57)」のそばを飛行するオホートニクの初飛行を紹介する動画を公表した。

 ロシアのイタルタス通信は2021年6月、スホーイ57が合計で4機の無人ステルス機「S70 オホートニク-B」を運用できるようにすると報じた。2024年に運用開始されると見られている。

 3つ目は、米空軍が開発する「XQ-58A ヴァルキリー」である。

 XQ-58は、親戦闘機によって制御される無人機として機能するように設計されており、偵察などの任務の実行、また攻撃された場合に敵からの攻撃を防御するとされる。

 2021年3月26日、XQ-58Aは6回目のテスト飛行を完了し、内部の兵器ベイから、小型無人機システムアルティウス-600(ALTIUS-600)の発射に成功した。

おわりに
 筆者は、これまでJBpressに次期戦闘機開発に関する記事を2本投稿している。


 1本目は、筆者は次期戦闘機の国産化に決まったと判断して、「ゼロ戦の夢を再び」という願いをこめて執筆した。

 筆者は、1本目執筆当時、次のような理由から国産化に決まったと判断した。


 2011年度に生産が終了したF-2戦闘機以降、国内における新たな戦闘機開発事業は途絶えており、次期戦闘機の開発は国内の戦闘機の生産・技術基盤を維持するための重要な機会であった。

 そして、防衛省・防衛企業は、次期戦闘機の国産化に向けて、並々ならぬ努力をし、自国生産ができる十分な実力をつけてきた。

 例えば、防衛省技術研究本部(現防衛装備庁)は1990年代から日本の技術で次期ステルス戦闘機の開発の可能性を探るため先進技術実証機(X-2)を開発した。

 また、日本の弱点と言われるエンジンもIHIが、米国の「F-15」戦闘機のエンジンと同等以上の出力を持つ「XF9-1」という戦闘機用エンジンの試作機を開発した。

 さらに、防衛省は2009年に「戦闘機の生産技術基盤のあり方に関する懇談会」を立ち上げ、次期戦闘機の国産化が行われなければ、わが国の防衛生産技術基盤を維持できないとする提言を発出した。

 加えて、米国の第6世代戦闘機の開発が遅れており、FS-Xの時のように米国から横やりが入らない状況だった。

 以上のことから、筆者は、次期戦闘機の国産化は間違いないと判断した。ところが、案に相違して、国際共同開発となった。

 国際共同開発になった背景としては次のことが考えられる。詳細は2本目の記事を参照されたい。

①国際共同開発が世界の趨勢となっている。

②日英間では、既に、次期戦闘機用のミサイル、エンジンおよびレーダーに関する共同研究・開発が進んでいた。

③日本の次期戦闘機開発計画と英国のテンペスト計画の開発スケジュールとスペック(性能)が類似していた。

④米国の日本に対する信頼度の向上。

⑤完成した次期戦闘機の海外輸出への布石。

 そして、2022年12月9日、「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)に関する共同首脳声明」が発出されたのである。

 さて、国際共同開発はわが国の安全保障にとって重要な挑戦である。米国以外との防衛装備の共同開発は初めてであり、官民の最先端技術を結集した数兆円規模の国家プロジェクトとなる。

 既述したが、FS-X日米共同開発で得た教訓は、国際共同開発は作業分担、担当部位、技術移転などで各国の利害がぶつかる。そして、それらは、「経済合理性、技術的妥当性等に基づき」客観的に決められるということはなく、各国政府、参加企業の利害に基づき最終的には「取引」で決められるものであるという。

 大型装備品の国際共同開発に慣れていない日本が、国際共同開発において経験豊富、別の言い方をすれば老練な英国などを相手に、どこまで対等に計画を進めることができるかが注目される。

 筆者の個人的な意見であるが、不合理な譲歩をするくらいなら共同開発から脱退して、国産化に戻ってもよいと思う。

 失敗なくして成功なしである。





【NHK政治マガジン】2023年4月25日特集記事

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老朽化しつつある航空自衛隊・F2戦闘機の後継として、将来の日本の空を守る要となる「次期戦闘機」を開発する、数兆円規模の国家プロジェクトが動き出した。
連携相手は、これまでのように同盟国アメリカではない。今回組んだのはイギリスとイタリア。初めての日英伊3か国共同開発となる。
今、開発に向けてどんな交渉が行われているのか、日本政府の開発責任者が初めて単独インタビューで明らかにした。
(立石顕)

日本 イギリス イタリアで共同開発始動
次期戦闘機は、航空自衛隊・F2戦闘機の退役が始まる見込みの2035年の配備開始を目指して開発する未来の戦闘機だ。
2022年12月、日本・イギリス・イタリアの3か国で共同開発することが正式決定。
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:防衛装備品の国際展示会
2023年3月、日本で開かれた防衛装備品の国際展示会で、そのイメージ模型が展示され、世界各国から集まった政府や軍関係者の注目を集めた。

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:日英伊防衛相会談
これにあわせて来日した、イギリス・イタリアの国防相との日英伊防衛相会談も初めて行われ、3か国の結束を確認。会談には3か国の防衛企業のトップらも参加し、開発計画の始動を印象づけた。

宇宙と繋がる「ネットワーク」戦闘機
今回、私たちは、日本政府の開発責任者に単独インタビューした。
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:防衛装備庁の射場隆昌(いば たかまさ)事業監理官

防衛装備庁の射場隆昌(いば たかまさ)事業監理官。ワシントンでの日本大使館勤務を経て、2年半にわたり、次期戦闘機プロジェクトを統括するポストを務めている防衛官僚だ。

射場がまず強調したのは、現在、世界でも最新鋭の戦闘機とされる、アメリカ主導で開発したF35やF22といった、「第5世代機」を超える性能の戦闘機をつくることが、喫緊の課題であるという点だ。

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:ネットワークイメージ
ポイントは「センサー」と、無人機や宇宙衛星ともつながる「ネットワーク」だという。

(防衛装備庁事業監理官 射場隆昌)
「第5世代機の備えるステルス性(敵のレーダーなどに探知されにくい性能)は当然だが、早く敵を見つけるレーダーやセンサーの能力が重要だ。高性能センサーの数をどんどん増やし、データ量を増やす。それを優れたソフトウエアで瞬時に解析し、パイロットが状況を理解できるようにする。さらに、自分たちのセンサーだけではなく、周りの戦闘機や警戒監視機、さらには、無人機や宇宙衛星ともネットワークで繋がりながら戦う。こうした点で強みを発揮する戦闘機をつくり、将来の航空戦闘における抑止力の核にしたい」

計画スケジュール 2035年開発完了へ
次期戦闘機は、日英伊3か国で同じ機体を開発する。
日本の戦闘機開発は、かつてF2戦闘機をアメリカと共同開発して以来となる。
計画の現在地はどうなっているのだろうか?

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:開発スケジュール

3か国の共同開発プログラムでは、今は、「コンセプト設計」段階だと言う。それが終わると、戦闘機の形状を確定させる「基本設計」、そして製造工程まで含めた「詳細設計」に入っていく。
こうした設計作業を5年余りかけて行いながら、2035年の開発完了に向け、試作機の製造や地上試験、飛行試験に臨むスケジュールを描いている。

射場によると、現在、日英伊3か国の政府・企業間では、毎日のようにビデオ会議を重ねている。一方、言語が異なる3か国の共同開発ならではの苦労も味わっているという。

「われわれが英語を話すのもそうだが、イタリアの担当者も英語が母国語ではない。英語を母国語としない人どうしで話すと誤解が出ることもある。時差もあるので、日本時間の夕方にならないと会議ができない。ただ、毎日のように協議しており、日を追うごとにチームの一体感は高まっている」

主翼 レーダー エンジン… 担当で熾烈な綱引き
その設計作業は2024年にかけて重要な局面を迎える。戦闘機の「どの部分」を「どの国」が担当するかを決めることになるからだ。
射場は、水面下で行われている、熾烈な「綱引き」の一端を明かした。

「たとえば前胴、中胴、主翼、後胴、さらに、センサーやレーダー、エンジンなど、誰がどこを担当するか。どの国も自国の防衛産業を極めて重視しているし、自分の望むタイミングで改修=アップグレードするためにも、各国ともとりたい部分がある。その交渉を一生懸命やっている」

戦闘機は30年から40年にわたって使用されるため、今の交渉は将来の日本の防衛産業の行く末をも占う重要な分岐点となる。

日本の強みは技術力 悲願の国産エンジン
では、日本はどの部分の担当をとりたいのか?
射場は「交渉中だ」と留保した上で「機体構造の軽量化」「エンジン」「レーダー」の3点を挙げた。

「機体構造の軽量化」は、三菱重工業が2014年から8年間にわたり研究してきた技術だ。炭素繊維などを用いた複合材を接着することにより、金属製のボルトの使用を大幅に削減することに成功した。これにより、重量を抑えることができるという。

(防衛装備庁事業監理官 射場隆昌)
「戦闘機は、重さイコール費用で、軽くつくるのがすごく大事だ。アメリカがF35を開発するときもウエイトコントロールがすごく大変だった。ボルトを使わずにつなぐ新しい技術は、われわれがすごく力を持っている」

次に挙げたのが「エンジン」だ。

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:エンジン
IHIは、2018年に「XF9-1」という、推力15トン級のエンジン開発に成功し、防衛装備庁に納入している。
今回、国産エンジンを次期戦闘機に積むことは日本の悲願だという。F2戦闘機を日米共同開発した際は、日本の技術が足りず、アメリカ製エンジンを購入せざるを得なかったからだ。

(防衛装備庁事業監理官 射場隆昌)
「国産エンジンは悲願だ。自分でつくれないものが明確にあると、交渉にも弱くなってしまう。XF9の開発に成功しているので自信を持っている」

このほか、高性能の「レーダー」も、F2戦闘機開発の頃から日本に強みのある技術だとして自信をのぞかせた。
射場は、より多くの部分を日本企業が担うことで、国内の防衛産業の強化や、幅広い経済波及効果につなげたいと考えている。

「アメリカ、ヨーロッパでは企業合併により、防衛関連企業がすごく巨大化している。そういうところとしっかり伍していけるような防衛生産基盤をつくることに強いこだわりを持っている」

アメリカ外しで怒ってない? 射場は否定
ところで、戦闘機開発において日本が同盟国アメリカ以外の国とチームを組むのは初めてだ。
だが実は、今回の開発でも当初はアメリカ企業の協力を得る方向で検討していた。

防衛省は、2020年12月、アメリカのロッキード・マーチン社を次期戦闘機の支援候補企業に選定。あくまで日本主導の開発としつつ、アメリカ企業の協力を得ることで、コスト上昇やスケジュールの遅延などのリスクを低減するのが目的だった。

一方、イギリスとイタリアでは、2018年から次期戦闘機の計画が動き出しており、開発目標時期は、2035年を目指す日本と同じだった。

防衛省幹部の1人は「日本とイギリスは、エンジン技術などの協力を進めていたから、共同開発の議論がトントン拍子で進んでいった」と話す。

また、別の防衛省幹部は「イギリスは財政事情もあり、日本と組まなければ財政当局が首を縦に振らない事情もあった。イギリスが当時からパートナーだったイタリアを連れてきた」と話した。
そして日英伊の共同開発で合意。アメリカ企業とは契約を結ばないことになった。

アメリカは、日本にとって唯一の同盟国だ。怒っていないのだろうか?
と言うのも、日本には苦い記憶があるからだ。

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:F2戦闘機

かつて1980年代に、のちにF2と呼ばれる次期戦闘機の開発計画が持ち上がった際、当初は日本独自の開発を目指したが、日米経済摩擦を背景にアメリカ議会の介入を招き、結局はアメリカのF16をベースにした日米共同開発を受け入れざるを得なかった歴史がある。

そのことを問うと、射場は、きっぱりと否定した。
「全くないと思います。2017年から20年まで、ワシントンの日本大使館で勤務して国防総省の人と今でも付き合っているが、心から歓迎してくれている」

ただ、別の防衛省幹部は「いかにアメリカを怒らせないで方向性を『日米』から『日英伊』にシフトしていくか、慎重に慎重を重ねて交渉に当たってきた」と打ち明ける。

近年、アメリカには、次の世代の戦闘機開発について明確な構想がなく、このままアメリカ頼みを続けても、計画が漂流する懸念があった。
また、仮にアメリカ企業の協力を得た場合でも、戦闘機の頭脳にあたるような重要な技術でアメリカ側が情報を開示しない、「ブラックボックス」が残る可能性があった。それだと、当面使えても、日本が自由に改修できなくなるおそれもあったという。

さらに、防衛省幹部は、「ロシアによるウクライナ侵略で、アメリカの軍事産業に特需が発生し、生産ラインを集中させるようになったこともあり、日本はうまくアメリカからイギリス・イタリアとの協力へとシフトすることができた」と語った。

最終的にアメリカとは、次期戦闘機と連携する無人機や、アメリカ製の戦闘機との相互運用性の面で引き続き協力が続くことになった。
かつてと比べると、アメリカ側が日本の選択を尊重しているように見えるが、射場は、日米関係が成熟した証とも言えると指摘する。

「日米の同盟関係は1990年代と比べて非常に成熟した。当時の先輩の話を聞いても、論理的・合理的な議論ができる間柄になった。お互いが同等のパートナーとしてやっていこうという同盟に深化してきている」

開発コストすでに5300億円余 今後は…
異例の方針転換を経てスタートした、日英伊共同開発。
今後の開発コストはどれほどかかる見通しなのだろうか?

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:開発コスト

日本政府は、開発を見据えた研究費も含めると、すでに5343億円を投入している。最終的にどのくらいの費用がかかるかは、今後の設計や各国の負担割合に左右され、現時点では見通せないという。

直近の海外の戦闘機開発の例を見ると、「第5世代機」で2005年に運用を開始したF22の開発費は2.3兆円。2015年に運用を開始したF35は6.1兆円とされる(防衛省資料より)。

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:F35戦闘機

量産単価は、為替変動などにより異なるが、日本が購入しているF35は、今年度予算でAタイプが133億円、Bタイプが179億円となっている。
日英伊共同開発では、不足する技術を相互に補いながら、リスクを低減し、開発コストの増大を抑えていくことが求められる。

射場は、イギリスとイタリアが過去にドイツ・スペインとともにユーロファイターを共同開発した際、合弁企業(JV=ジョイントベンチャー)と管理機関をつくったことを参考に、効率的な体制をつくりたいと述べた。

輸出重視の英伊と「防衛装備移転三原則」
今後、注目されるのが、次期戦闘機の完成品や部品を、開発国以外の第三国に輸出できるようにするかどうかだ。
開発パートナーであるイギリス・イタリアは、第三国への輸出を重視している。

一方、日本の「防衛装備移転三原則」の運用指針では、国際共同開発・生産品に関する海外移転が認められていて、イギリス・イタリアへの移転はこれに該当するが、それ以外の第三国への移転は明確に規定されていない。

こうした点をどうするのか、防衛装備品の海外移転を進めるため自民・公明両党が行う協議でも、焦点の1つになる見通しだ。
射場は、「与党の議論を踏まえながら政府として検討する」とした上で、第三国への輸出がもし実現した場合のメリットを語った。

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:防衛装備庁の射場隆昌(いば たかまさ)事業監理官

「イギリスとイタリアには輸出にこだわりがある。ユーロファイターは700機弱のオーダーがあり、中東にも売られている。たくさん売れば売るほど単価が下がるので、産業の観点から、たくさんの機数が出ることは非常に大事だ。また、日本の戦闘機を使っている国が出れば、その国との連携は今まで考えられなかったほどに強固になる。国際安全保障環境の安定を生み出す上でも非常に重要なツールだ」

求められる丁寧な議論
一方、防衛装備品の海外移転は、意図しない形で流用・転用されるおそれや、間接的に紛争に関与するリスクをはらむ。高い殺傷能力を持つ戦闘機なら、なおさらだ。与党幹部からも「いたずらな海外移転の拡大を招かないようにすることが重要だ」と慎重な議論を求める声が上がっている。

さらに、国際共同開発ならではの課題も指摘されている。現行の運用指針では、開発パートナーであるイギリス・イタリアが第三国への移転を望んだ場合、相手国との間でどのような手続きが必要か、明確に定められていないのだ。今後、この点についても、与党や政府の議論を注視する必要がある。

日本には、旧日本軍によるかつての戦争の歴史の教訓も重く残されている。海外移転が紛争の助長につながらないのか。また巨額のコストを要する次期戦闘機の開発がどのように日本の安全保障環境の安定化につながるのか。丁寧な議論と説明が求められる。
(文中敬称略)

#「次期戦闘機」をNHK政治マガジン記事で深掘り

政治部記者
立石 顕
2014年入局。甲府局、福島局を経て、2021年から防衛省担当。


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中国経済が遂に崩壊した。世界中に喧嘩を売り新興国には金を貸し付け借金のかたに利権を奪う、もう二度と中国を世界経済に組み込むことをしなくなるだろう。中国経済が失速するとなると、次に世界中で発展する可能性があるのが湾岸諸国、そのなかでもサウジアラビアはその筆頭だと私は思っています。20世紀以降王制や王家は革命や民主化で次々とと消滅していけました。たとえ英邁な資質を備えた王室の後継者が積まれても側近取り巻きが腐敗していた場合やはり存続は難しく全世界で存続している王室は稀である。そんな稀な例として、アラブ首長国連邦の構成国の一つドバイの現首長
ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥームUAE副大統領の皇太子時代の治世は今日のドバイ繁栄の、礎となった。ご存じだと思うがドバイは石油は出るが、他の湾岸諸国と比べるとかなり少い。それでも世界的に大成功している。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子はサウジアラビアを脱石油を成功させドバイのように石油に頼らない国造りを行っている。サウジアラビアビジョン2030がその計画だが、石油資金を真面目に投資運用しているサウジアラビアは、間違い無く最低限の成功をおさめると私は見ている。サウジアラビアが馬鹿な米民主党政権を、見限ってしまったのはバイデンオバマが悪かった。中国習近平に先日お愛想をしたがサウジアラビアは中国サイドには落ちなかった。今後トランプさんが再び大東亜に選出されれば米国陣営に戻ると思うが、民主党がまた汚い手で大統領を盗んだら今度こそ米国と決別する可能性もある。ただ中国やロシア陣営には与しないだろう。親日でアニメ好きのサルマン皇太子と日本が軍事同盟とはいかないまでもGCAP開発を共同で行ったり、日本の護衛艦や潜水艦の潜在的輸出先となれるかもしれない。もし、レールガンのついたガンキャノンやガンダム宇宙戦艦を建造すると言ったら資金を出すかもしれません。まあそこまでいかないまでも、日本にとってサウジアラビアは潜在的に同盟国となりえる国であり、日本はGCAPにサウジアラビアが参加したいという申し出は天からの僥倖、アッラーからのおくりものである。

サウジアラビア 「ビジョン2030」