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毎年概算予算概要にはいくつかのサプライズのイラストが載る。令和6年版は豊作であった。前記事新型FFMイメージ図公開 新型FFM詳細を考察するでもとりあげたぬUSV、image038

も、サプライズだが、無人水陸両用車もサプライズと言ってよいだろう。だが、世界的に無人化が進むなか我国の防衛アセットとしてかなり必要性が高い装備であると思う。
現在我国の防衛省と米国国防省は台湾有事島嶼防衛を念頭に次世代水陸両用技術に係る共同研究をおこなっており高速の水陸両用装甲車の開発を進めていたのである。水陸両用装甲車は無人戦闘車輌はもちろんのこと、AAV7の後継車両としての兵員輸送型は当然予定されているだろう。そして長年後回しにされ続け50年となってしまった73式装甲車、89式装甲戦闘車など無限軌道の履帯車両の母体のシャーシーとなる可能性もある。






だが、ウクライナ侵攻戦争の状況を見れば装甲車両やヘリコプター、上陸用舟艇は格好の目標とされ強襲/揚陸作戦について、根本的な見直しが必用というのは、素人の単なるミリヲタである私ですら容易にわかる。 ロシアによるウクライナ侵攻戦争初日2022年2月24日から25日に起きたアントノフ国際空港の戦いまたはホストーメリ空港の戦いは、戦史に記録される戦いとなった。
侵攻初日開戦宣言とともに首都キーウの郊外に広がるアントノフ国際空港をロシア軍最精鋭の空挺部隊が制圧する予定だった。そして占拠した空港に大型輸送機にてBMD-4等の空挺戦闘車を輸送し、電撃的に首都キーウを制圧し、ゼレンスキー政権を国外退去させ、ロシア占領下で親ロシア政権を成立させ、東南部5州のロシア併合ゆくゆくは大ロシア連邦を成立させようというのがプーチンのウクライナ侵攻戦争のシナリオであった。机上の計画段階では容易く短期で達成可能なはずだった。
2022年2月24日、ロシア連邦軍はキーウから10km以内に部隊と装備が到着できる空輸拠点の構築を目的に、キーウ郊外のホストメリにあるアントノフ国際空港を確保するため、20機から30機以上のヘリコプターに分乗したロシア空挺軍部隊をヘリボーンさせた。ロシア空挺軍は、3時間におよぶ戦闘後にいったんは空港を制圧したものの、ウクライナ国家親衛隊の第4即応旅団による反攻を受けて同日中に空港で包囲殲滅された。


アントノフ空港には200人のロシア最強/鋭部隊である特殊任務部隊『スペツナズ』が投入されたが、、待受ていたとウクライナ軍守備隊(英国特殊部隊も多数存在していたらしい)にヘリコプターを撃墜され最精鋭部隊壊滅してしまい。短期でウクライナ制圧を目論んだプーチンのシナリオは失敗し今日の泥沼の長期戦となっている。 アントノフ国際空港の戦いからの戦訓。歩兵に十分な対空火力携行式対空ミサイルをている戦域でのヘリコプターの運用はしない。②従来最精鋭部隊は緒戦に投入されてきたが、最精鋭部隊の投入は慎重に行う。第二次世界大戦時ミッドウェイ海戦は4隻の虎の子の空母を失った以上に熟練のパイロットを失ったダメージがおおきかった。おなじくウクライナ侵攻戦争の緒戦においてロシア最精鋭部隊が壊滅してしまったことでドロ沼の長期戦となった。③ 有人の強襲作戦は出来ない。
強襲作戦といえば米海兵隊の必殺技「敵前上陸」など絶対に出来なくなってしまった、根本的に見直す必要性がでてきた。事実海兵隊は強襲揚陸作戦部隊を大幅に減らし海兵隊は地対艦ミサイル部隊をメインの軍隊に改変されている。
有人の水陸両用車やヘリコプターの脆弱性はもはや動かしようがない。

しかし、仮に島嶼部にC国が侵入した場合サイルや航空機無人機で反撃撃滅を行う。上陸/制圧地点を事前に完全制圧をしておかないと、上陸作戦では生存が難しいことが予想される。従来のような敵前上陸作戦はとてもじやないが決行できない。無人機などに、完全制圧後生身の兵員による進駐は必須と思う。
最終的には安全な水陸両用車が絶対に必要となる。


防衛装備庁が開発している高速水陸両用装甲車は、三菱重工が自社ベンチャーとして開発を進めたMAV(Mitsubishi Amphibious Vehicle:三菱水陸両用車)に乗った形で装備庁が予算を出して開発しているものだ。2017年~2022年の期間で開発、予算は100億円で一部を日米共同開発としているが、2023年現在まだ実用化した情報はない。
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AAV7の水上航行速度時速13キロで極めて鈍足だMAVは履帯式の装甲車で3千馬力級のディーゼルエンジンを搭載し、水上ではウォータージェットで推進し25~30ノットの速度で疾走する。だが何ら遮蔽物が無い海上でMAVといえども極めて脆弱である。しかし速度が速い分海上にいる時間は短くて済む。



国産兵器全てに難癖をつけ世論誘導をはかるK氏は高速水陸両用装甲車開発について「当然高速水陸両用装甲車開発 が必要かどうか疑わしいところだ」。と、平常運転の反応である。
現代の戦場では携行型及び車載型の対戦車兵器の射程と命中精度が格段に向上している。ロケット弾を転用した安価なミサイルも普及している。更に迫撃砲、榴弾砲などの精密誘導砲弾、更にはイスラエルのヒーローシリーズのような自爆型ドローン、あるいは擲弾や迫撃砲弾などを搭載したドローンも登場している。

このため強襲上陸作戦において、沿岸30キロ以内の海域での舟艇は元より、水陸両用装甲車の生存性は極めて低い。確かにEFVの水上航行速度は現用のAAV7の水上航行速度時速13キロの3倍だが攻撃側から見れば大差はない。

またAAV7にしてもEFV、MAVにしても通常の下車歩兵分隊(8名程度)が搭乗する通常の装甲車輌よりも遥かに大きく、上陸後も敵の的になりやすい。

実質的に強襲揚陸作戦は不可能であり、実際朝鮮戦争以来米海兵隊は強襲揚陸作戦を行っていない。現代の先進国の軍隊は、膨大な数の戦死者を出すノルマンディーや硫黄島上陸作戦のような作戦は許容できない。敵前上陸をするにしてもそれが可能なのはせいぜい敵の部隊が小規模で、まだ布陣しても本格的な陣地を構築していないような状態だろう。
一応K氏の見解はまともではある。

現代の戦場では携行型及び車載型のSAMやATM/対戦車ロケット弾は安価で高性能アフガニスタンの山中やアフリカの電気も通わない村々のテロリストまで普及している。
更に迫撃砲、榴弾砲などの精密誘導砲弾、更にはイスラエルのヒーローシリーズのような自爆型ドローン、あるいは擲弾や迫撃砲弾などを搭載したドローンも登場している。だからヘリコプターや装甲車両がかなり脆弱であることは間違いない、K氏と私に認識の差はない。K氏は、だから高速水陸両用車両は不用だとのご意見だが、私は。将来水陸両用車両はサンゴ礁に囲まれた島嶼部にはなくてはならない装備だと思っていましたし、必要な兵器であると認識している。日米で将来水陸両用車両を地道に開発を続けて良かったと思う。K氏の言うように開発を止めていたら無人兵器として登場することもなかったはずだ。私はK氏をC国の工作員ではないかと疑っているが、まったく潔白であったとしても、結果的に日本の国益に反しC国が利する主張が目立つ。



米国、中国向けに無人機群の「地獄絵図(Hell Scape )」を準備

反中ブロック、AI搭載無人機の群れをテスト
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人間煉獄」計畫啟動,美軍開發 24 小時可鎖定千個目標的無人機群系統

米高等研究計画局 DARPAではドローンと巡航ミサイルで、同時に1000〜2900か所を同時に攻撃が可能とするシステム(Hell Scape )を構築しており、仮に日本の島嶼部にC国軍が上陸したとしても、リスクをおかし強襲揚陸しなくてもドローンと巡航ミサイルで橋頭堡を完全制圧を成し、同時にC国艦艇と沿岸部基地を殲滅遂する戦略を練っている。極端な話スーツケースで上陸するつではもりではなかろうかと思うぐらいの通常兵器による完膚なき殲滅を行うようです。日本も防衛装備庁に2024年日本版 DARPA設立すべく検討を進めている。

そのコンセプトは「防衛装備にイノベーションを起こす可能性がある研究テーマに投資するのだが、AI(人工知能)や無人機といった民間の先端技術を積極的に取り込み、人的なリスクを最小限にする新しい防衛体制、つまり「無人防衛」である。
早くも令和6年概算予算概要に無人防衛兵器として戦略多目的SUVと無人水陸両用車両を密かに開発していたことをカミングアウトしたのだ、どちらもイラスト上殺傷兵器は登載していないが無人陸両用車両は元々は有人の将来水陸両用車として開発され30mm~40mmもしかすると76mmの砲塔を有しており砲塔付き無人陸両用車両は当然出現するだろう。ヘリや水陸両用車両はいかに脆弱だからといって当所島嶼部防衛を放棄するわけにはいかない。となると、戦闘支援型多目的USVや無人水陸両用車の登場となる。令和6年概算予算概要のイラストは単なる非武装の車輌だが今後つぎつぎとファミリー車輌が間違いなく発表されるだろう。

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迫撃砲とイスラエル製の徘徊型UAV「Hero-120」や中距離多目的弾をめいっぱ搭載して上陸し残存兵力を掃討するまでは無人攻撃ヘリ等を使用し強襲揚陸作戦を実行

完全制圧後といっても人員が上陸する場合やはり多少なりともリスクは存在するので私はK氏の意見と異なり高速水陸両用装甲車開発は日本の島嶼防衛の要である。73式APCよりはまだましだが精鋭の水陸機動団をAAV7にいつまでも乗車させるのは国家的損失とならないか?水陸機動団をロシアのスペツナズと同じ轍を踏ませてはならない