T-4練習機の後継問題と日本のパイロット訓練体系の変革

1. 現状と問題点

  • T-4練習機は老朽化が進み、後継機の選定が急務となっていた。

  • F-35やF-3といった次世代戦闘機に対応した新たな訓練体系が必要。

  • 初級訓練のシミュレーター依存度が増加し、中等練習機の必要性が疑問視される。

  • ジェット練習機自体の存在意義が再考されており、今後の航空戦力にとって最適な訓練体系を模索する必要がある。

2. T-4後継機の選択肢

  • ボーイングT-7Aの導入が最有力視されていた。

    • 実機はほぼ完成したが、緊急射出座席の問題が発生。量産化実用化は2年以上遅延

    • F-35やF-15パイロット育成には最適だが、F-3向けの訓練機としては疑問。

    • ボーイングの経営支援的な側面も指摘されごり押しされそうだったがF47採用でごり押し圧力は低下か?

  • イタリアのM-346の採用

    • 空自パイロット/教官飛行訓練生がイタリアに派遣されで空自訓練の一環として使用実績があり、信頼性が高い。

    • 日本がライセンス生産すれば、国内産業の利益にもつながる。

    • GCAP(次期戦闘機開発計画)との互換性を持たせる改修の可能性も。

  • 国産開発の可能性

    • GCA(GCAPに関連した技術を持つステルス練習機)の開発が検討されるべき。

    • 軽攻撃機や無人機との統合運用を視野に入れた機体設計が望ましい。

3. 軽攻撃機・無人機との統合

  • 現在の国際的な流れでは、練習機を軽攻撃機としても活用する方向性がある。

  • スクランブル対応や偵察飛行が可能な機体としての運用も検討。

  • 米国や他国での訓練機開発の流れを踏まえ、ドローンや無人機と統合した訓練体系が求められる。

4. 未来の訓練体系

  • シミュレーターの活用

    • 初級訓練はシミュレーター中心になりつつあり、実機の必要性が減少。

    • ただし、G負荷など実機でしか経験できない要素は依然として重要。

  • 戦術練習機の導入

    • GCAP技術を応用したステルス練習機が戦術訓練に適している。

    • 実戦的な環境でのパイロット育成を強化し、無人機との協働も視野に。
      岸田首相とバイデン大統領の間で日米で新型ジェット練習機開発し導入する合意ができたのだが・・・・

2024年3月、米国政府は最新鋭の戦闘機「F-35」の追加供与を日本に正式に決定した。この決定は、日本の防衛力強化と日米同盟のさらなる深化を目的としている。現在、日本はF-35AおよびF-35Bの導入を進めており、これにより航空自衛隊の戦力が大幅に向上する見込みである。

また、一時日米で新たな練習機を共同開発することで岸田首相とバイデン大統領との間で合意していた。このプロジェクトは、日本の航空産業の技術力向上と米国との防衛協力の強化を図るものであり、今後の詳細な計画が注目されていた。

  • 現実的な選択肢として、T-7AやM-346の導入が有力だが、国産開発の可能性も模索する必要がある。

  • 軽攻撃機や無人機と連携した新たな訓練体系を構築すべき。

  • 将来的には、GCAP技術を応用したステルス練習機や無人機との統合運用が理想的。

    T2高等ジェット練習機が2006年に退役後高等ジェット練習機を 持っていない空自は長年に渡り空事の航空 学生を米国へ送り込みF5戦闘機の派生型 である老朽化したT38タロン高等ジェット練習機 で訓練していました4年前に米国で空事の 航空学生と米国教官が乗ったT38タロン高等ジェット練習機が訓練飛行中に墜落し両名とも なくなられています。それ以来空自はここ3 年間に渡り空自パイロットと空自の航空 学生をイタリアのサルジニア島にある イタリア空軍の練習基地へ派遣

  • しイタリア製 アロマッティM346超音速高等ジェット練習機 で訓練飛行を行っていますF35を運用し ているイタリア空軍のパイロットは元より F35Aの導入が決定したドイツ空軍の パイロットもイタリア派遣され空自と同じ 練習基地であるマッキーM346を使用し ての訓練飛行を行っています。T7A高頭 練習機はは緊急射出座席の不具合が未だに 解決されていないので量産が2年以上遅れ ています空自自身が実際に飛行訓練に 使用している信頼生徒実績のあるラロ マッキM346高等練習機の導入を考慮し ても良い環境にあると思います。

日本のパイロット育成と防衛戦略の転換点として、単なる機体更新ではなく、訓練体系全体の再構築が求められているという議論があったが結局米穀のT7を買わされるだろうと言うのがネット界隈の意見だった。ところが日本、イギリス、イタリアの3カ国が共同で進める第6世代ジェット戦闘機開発プロジェクト「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」が進行中ですが、この枠組みの中で新たな防衛協力の可能性が浮上しています。特に注目されるのが、日本のT-4練習機とイタリアのM-346練習機の共通化、さらには日本のP-1哨戒機とイタリアの新型対潜哨戒機の協力開発の可能性です。

イタリア空軍参謀長であるルカ・ゴレッティ上級中将は、イタリア議会の外交委員会において、日本との間で練習機および哨戒機の共通化について議論が行われていることを明らかにしました。この発言は、防衛協力の新たな展開を示唆するものであり、日本とイタリアの軍事技術協力が今後さらに進展する可能性を示しています。わたしは、日本がイタリアのM-346を導入しイタリアが日本のP-1哨戒機を導入するWIN-WIN案で決まると思います。



 【Defensenews】イタリア、新たな海上哨戒機を戦闘機友好国の日本に期待
トム ・キングトン 2025年3月29日土曜日


image035

2015年、神奈川県相模湾沖で行われた観艦式で、海上自衛隊の川崎重工製P-1哨戒機がミサイル防衛フレアを発射した。(Toru Yamanaka/AFP via Getty Images)


ローマ — イタリアは地中海の敵潜水艦に対抗するため、日本の川崎重工製P-1哨戒機の購入を検討している。この動きはイタリアの米国製航空機購入の伝統を打ち破り、日本との関係を強化することになるだろう。

「P-1は、利用可能な選択肢の一つだ」とイタリア空軍のルカ・ゴレッティ司令官は金曜日、イタリアが海上哨戒能力のギャップをいかに埋めようとしているのかとの記者団の質問に対し語った。


「我々は日本と素晴らしい関係を築いている」と彼は付け加えた。

P-1は海上哨戒機としてゼロから設計された4発エンジンのプラットフォームで、2013年から日本で運用されている。これまでの輸出努力は成功していないが、海上自衛隊は現在33機を運用している。

イタリアは2017年に長年運用してきたアトランティック哨戒機の最後の1機を退役させたため、その役割を担うためにエアバスと地元企業レオナルドが共同で製造したATR 72を導入し、空軍と海軍の混成乗組員で運用している。


しかし、電子走査レーダーを搭載していたものの、この航空機は対潜水艦戦能力を欠いており、穴埋め的なものに過ぎないとみなされていた。

そのギャップを埋めるための新たな購入は、友好国と敵対国による地中海での新たな海軍活動と一致するだろう。

イタリアは長年にわたり、B767空中給油機、C-130、ガルフストリーム・センサー機、F-35、リーパー・ドローンなどの航空機の輸入を米国に求めてきたが、米国のP-8航空機の代わりにP-1航空機を導入することになる。

イタリアは最近、英国と共同でGCAP第6世代戦闘機プログラムに取り組むなど、日本との関係を強化している。


レオナルド社は2023年、日本のパイロットがイタリアに派遣されてM-346の訓練を受けた後、東京の川崎重工のT-4練習機を置き換えるため、M-346ジェット練習機を日本に売り込んだ。

ゴレッティ空軍司令官は3月13日、イタリア議会でGCAP計画について演説し、第6世代ジェット機に関する日本との協力が他の協力の可能性についての議論を促していると述べた。

「現在、日本にはイタリア代表団が駐在している。イタリア向けの練習機や共同哨戒機の開発など、日本との成長のチャンスが他にもあるからだ」と同氏は述べた。「我々の協力は、ごく最近まで考えられなかった新たな展望を開いた」と同氏は付け加えた。





  • 日本とイタリアの防衛協力:GCAPと練習機・哨戒機の共通化

    日本、イギリス、イタリアの3カ国が進める第6世代ジェット戦闘機開発プロジェクト「グローバル・コンバット・エア・プログラム(GCAP)」の一環として、イタリア空軍参謀長のルカ・ゴレッティ上級中将が、日本との間で練習機と哨戒機の共通化について議論していると発言したことが明らかになった。この発言はX(旧Twitter)などのSNS上でも大きな話題となり、日本とイタリアの防衛協力の新たな局面を示すものとして注目されている。

    日本とイタリアの練習機の現状と課題

    現在、日本の航空自衛隊では川崎重工業が開発・製造するT-4練習機を運用している。この機体は1985年に初飛行し、1988年から運用が開始されたが、老朽化が進んでおり、後継機の開発が求められている。一方、イタリア空軍はアレーニア・アエルマッキ(現レオナルド社)が開発したM-346を運用しており、この機体は軽攻撃機としても使用可能な高性能機である。

    image032

    T-4の主なスペックは以下の通りである。



    • 乗員:2名

    • 全長:13.0m

    • 最大離陸重量:7,500kg

    • エンジン:IHI F3ターボファンエンジン×2基

    • 初飛行:1985年

    対して、イタリアのM-346のスペックは以下の通りである。

    • 乗員:2名

    • 全長:11.49m

    • 最大離陸重量:12,100kg

    • エンジン:ハネウェル ITCF124GA200×2基

    • 初飛行:2004年

    M-346はT-4よりも新しく、軽攻撃機としての運用も可能な高性能機であり、日本がT-4の後継機を模索する中で、M-346の導入または共同開発が議論されるのは自然な流れと言える。

    日本のP-1哨戒機とイタリアの哨戒機事情
    イタリア空軍はこれまで、フランス製のブレゲー・アトランティック哨戒機を運用してきたが、2016年以降、ATR72ASW(B-72A)を導入してきた。しかし、地中海におけるロシアの潜水艦活動が活発化する中で、より高性能な哨戒機の導入が求められている。

    この中で、日本のP-1哨戒機が有力な候補として挙げられている。P-1は海上自衛隊が運用する国産哨戒機であり、その主なスペックは以下の通りである。

    • 全長:38m

    • 最大離陸重量:79.7t

    • エンジン:IHI XF7ターボファン×4基

    • 巡航速度:833km/h

    • 航続距離:8,000km

    P-1哨戒機とイタリアの哨戒機選定


    image019

    P-1 (哨戒機)
    日本が開発・運用するP-1哨戒機は、P-3Cの後継機として2013年から配備されています。主な仕様は以下の通りです。

    • 全長:38.0m

    • エンジン:IHI XF7ターボファンエンジン(4基)

    • 最大速度:996km/h

    • 航続距離:8,000km

    • 対潜兵装:91式空対艦誘導弾、AGM-84ハープーン など

    一方、イタリアは現在運用しているATR-72ASWの後継機を2029年までに選定する予定であり、候補の一つとして日本のP-1が挙がっています。

    P-1とP-8の比較

    P-1はアメリカのP-8ポセイドンと比較されることが多いが、

    • P-8はボーイング737をベースとした双発機

    • P-1は4発機であり、低速飛行性能に優れる

    といった違いがある。P-1は価格面でP-8と同等(約200億円/機)であるにもかかわらず、これまで国際市場での販売実績がなく、競争に苦戦してきた。日本の武器輸出政策やアフターサポート体制が不十分であったことも、その一因とされている。

    機種P-1P-8
    エンジン数4基2基
    最大速度996km/h907km/h
    航続距離8,000km8,300km
    価格約200億円約200億円

    P-1は高性能ながらも、これまで国際市場での採用実績がなく、P-8に敗れ続けています。しかし、イタリアがP-1を採用すれば、日本の防衛装備品輸出にとって大きな転機となるでしょう。

    日本とイタリアの防衛協力の今後

    GCAPを通じて日本とイタリアの防衛協力が進むことで、イタリアがP-1を採用する可能性が現実味を帯びてきた。今回のT-4後継機および哨戒機の協力は、単なる装備品の調達を超えて、防衛産業の新たな枠組みを構築する可能性を秘めています。

    • GCAPを通じた技術協力の深化
      日本とイタリアは第6世代戦闘機の開発で協力しており、これが練習機や哨戒機にも波及する可能性がある。

    • アメリカ依存からの脱却
      これまで日本は防衛装備の多くをアメリカに依存してきましたが、ヨーロッパ諸国との協力を深めることで、新たな選択肢が生まれる。

    日伊防衛協力の意義と今後の展望

    これまで日本はアメリカとの防衛協力を最優先としてきたが、トランプ政権以降、アメリカの同盟国への要求が厳しくなり、自主防衛の必要性が高まっている。GCAPは日本にとって、ヨーロッパ諸国との防衛協力を強化する絶好の機会であり、練習機や哨戒機の共通化が進むことで、その協力関係はさらに深まるだろう。

    イタリアのゴレッティ空軍参謀長が今回の提案を行った背景には、過去の事例も影響していると考えられる。2012年、イタリアはイスラエルの監視衛星とセンサー搭載ガルフストリームを購入する見返りに、イスラエルへM-346を輸出するという「トレードオフ」を行った。今回の提案も、イタリアがP-1を導入する代わりに、日本がM-346を採用するという「バーター取引」の可能性を示唆している。

    結論

    日本とイタリアの防衛協力が練習機や哨戒機の分野に広がることは、GCAPの枠を超えた戦略的な動きとなる。日本にとって、P-1の輸出実績を積むことは防衛装備品の国際市場での競争力を高める大きな一歩となる。一方、イタリアにとっても、GCAPを通じた日本との関係強化は、欧州内での防衛産業競争において有利に働くだろう。

    今後の進展次第では、日本とイタリアだけでなく、イギリスや他のヨーロッパ諸国を巻き込んだ新たな防衛技術協力の枠組みが形成される可能性もある。これは、アメリカ一極集中の防衛協力体制から脱却し、多極化した国際安全保障の新たなモデルを構築する第一歩となるかもしれない。