試験艦「あすか」に未来の大砲「レールガン」が搭載される

image004

海上自衛隊の試験艦「あすか」に、防衛装備庁が開発を進めている新装備「レールガン」とみられる砲塔が搭載されました。【画像】おお!これが試験艦「あすか」に搭載された「レールガン」です


「あすか」は、海上自衛隊の艦艇に搭載する様々な装備品の各種試験を行っている艦艇で、同型艦はありません。1995(平成7)年3月に就役し、1隻のみが配備されています。母港は横須賀基地(神奈川県横須賀市)です。「あすか」に搭載されたレールガンは今月に入り、海上自衛隊やアメリカ海軍の艦船を間近で見られる人気の観光船「YOKOSUKA軍港めぐり」の乗船者からも目撃されており、カバーをかけられていることもあるようです。レールガンとは、電気エネルギーで弾丸を放つ砲のことで、「電磁砲」とも呼ばれます。火薬を使う従来の砲よりも、弾丸の初速を大幅に向上させることが可能。弾丸が小さく、探知されにくい利点もあります。防衛装備庁はレールガンを、戦闘様相を一変させる可能性を持つ「ゲーム・チェンジャー」として位置付けています。SF作品でお馴染みの兵器ですが、防衛装備庁は研究用の試作レールガンを製造しており、2023年に洋上射撃試験も実施されています。レールガンは、これまでの兵器では対処が難しい「極超音速誘導弾」などに対する防空や、艦艇や地上目標に対して回避が困難な打撃手段として使われる見通しです。まずは小口径のレールガンでデータを取得した後、中口径レールガンの開発が想定されています。

image029







レールガン(EMG)の原理と応用可能性:未来兵器の現実と課題

レールガン(Railgun)は、従来の火薬を用いた砲兵装置とは本質的に異なる電磁加速原理に基づく次世代兵器です。当ブログではまだレールガンって何?っていう頃から散々取り上げ開発を見守ってきたが、遂に試験艦あすかに砲塔付きで搭載され実用がいよいよカウントダウンとなってきて感無量です。この技術は、化学エネルギーから電気エネルギーへの転換という現代のエネルギー思想にも合致しており、軍事技術における根本的な革新を象徴しています。電磁力を利用して弾体を超高速で発射するため、従来の砲兵装置やミサイル技術と比べて優れた先制攻撃能力を持ち、世界各国の軍事機関が研究開発を進めています。特に、アメリカ海軍や中国人民解放軍をはじめとする国々が実用化に向けて積極的に取り組んでおりますが、技術的課題を乗り越えられず苦戦しており、日本が頭一つというか数馬身差でリードしている。

各国における研究開発動向

アメリカ海軍は、レールガンの開発において最も積極的に取り組んでいた国の一つです。特に、海上での防衛用途において、その高い射程と弾速を活かした対艦攻撃能力を評価していますが現時点では独自開発を諦め、日本との共同開発を模索している。中国人民解放軍は日本と同様に、実用化目前だと公表しているが、私は怪しいと思っている、なぜなら中国はまともなジェットエンジンを開発できていないが、超高温に耐える素材開発冶金技術あ劣っているからだが、これはレールガン開発にもつながる技術研究こうもくであり、中国の研究成果は中国の国家統計局の発表する国家GDP並の信用度だと思う。その他各国の研究は技術的な課題を乗り越えようと研究している、レールガンが実用化に向けて克服すべき主要な技術的課題として、発射時の高温や発電・冷却能力、部品の耐久性などが挙げられます。例えば、レールとアーマチュアの接触部分で数千度に達する高温が発生し、これに対応するためには急速冷却技術が不可欠です。冷却システムや耐熱材料の改良により、連続発射に耐える能力を向上させることが求められます。また、レールガンは非常に高い電力を必要とするため、大規模な発電能力が求められ、これに対応するための電源やエネルギー管理技術の進展も必要です。さらに、海洋環境下での信頼性向上や、塩分による部品腐食の防止も重要な課題となっています。冷却技術や耐久性の向上、弾速や射程の精度向上など、実用化に向け取り組んでいるが実用化を阻む技術要素をクリアを試みている。

実用化へのカギを握る技術要素

熱制御技術

レールガンの発射時には、アーマチュアとレールの接触部分で数千度の高温が発生し、プラズマアークによるエネルギー損失や部材の焼損が深刻な問題となる。このため、発射直後に急速冷却を行うアクティブ冷却システム(例:液体金属冷却や高速ガス冷却)の導入や、レール素材の表面に耐熱コーティングを施す技術が注目されている。また、連続発射に耐えるためには、冷却能力と発熱量のリアルタイムモニタリングを統合したスマートサーマルマネジメント技術が不可欠である。

耐熱・高強度材料

発射時の高温・高圧・高電流環境に耐えうるレールおよびアーマチュアの材料は、レールガン技術の中核を成す。近年では、タングステン合金、モリブデン系複合材料、炭化ホウ素や窒化ケイ素といったセラミック複合材料が研究対象となっており、これらは優れた熱伝導性と耐摩耗性を兼ね備えている。また、リサイクル性と加工性を併せ持つナノ構造材料や、自己修復機能を有する次世代合金の研究も進んでいる。
日本は課題の多くを克服し、日本においてはレールガンはもはやSFの領域ではなく、現実的な兵器としての実現性を増しつつあります。

しかしながら、現時点では単なる未来兵器の象徴的プロトタイプでしかない。日本のレールガンは、

既存の兵器を 無効化するゲームチェンジャーになるとかと俄かさんたちは超速兵器だと大騒ぎしているおり記事引用した「乗り物ニュース」でさえ「海自の艦艇に搭載された「未来の大砲」を激写!SFの世界が現実に!? 戦闘を一変させる革新的な兵器」と見出しを書いているが現時点では残念ながらまだまだ残念で実用兵器には程遠い状態である。

誘導制御技術の進展

レールガンが真に戦術兵器として機能するには、極超音速域での正確な誘導・姿勢制御が不可欠である。従来の飛翔体ではフィンや推力偏向が用いられてきたが、マッハ7以上では空力舵面の有効性が低下する。このため、プラズマ操舵、マイクロスラスター、スマートマテリアルを用いた形状可変構造など、新原理に基づく制御機構の研究が進行中である。加えて、AIによる飛翔体の自律航法・障害回避技術が今後のブレークスルーを担う可能性がある。 

 レールガンの利点と欠点

レールガンの利点としては、従来の火薬式砲弾よりもはるかに高い射程や弾速を誇ることが挙げられます。特に、弾体に推進剤や爆薬を使用しないため、弾薬庫の安全性が向上し、艦内スペースを有効に活用できる点も大きな利点です。しかし、その一方で、高いエネルギー供給と冷却能力が必要であり、これが技術的な運用上の課題となっています。

用途別に見たレールガンのメリットとデメリット及び課題

.1 対艦戦闘における利点と課題

image006
現代の軍艦の装甲が薄いということもあり ますが現代の軍艦の戦闘力は船体の外側に 露出しているレーダーなどの電子機器類や 手法ミサイルといった兵装これらには装甲 を施す意味があまりありませんので命中 すれば76mmや127mmといった既存 の大砲で問題なく破壊することができます またレールガは軍艦の装甲を貫通させる ことが容易な反面遅延信管による内部爆破 は早すぎて不得手で向かない、船というものを沈めるには 海水に使っている切水線より下の区画に穴を開け浮力を上回る量の海水を線内に入れ なければなりませんはそれを防ぐため区画 を細かく分けることで数箇所に穴が空いて も区画ごと閉鎖して線内全体に浮力以上の 海水が流れ込まないように作られています よってレールガによって船体を貫通させる だけでは軍艦を沈没させるのに不十分その ため対艦ミサイルや通常型の主砲の砲弾には遅延信管というものが採用されておりミサイル や砲弾が先体表面を貫通して線内に潜り 込んだら内部で爆発して致命症を与えると いう方式になっていますこれと同じ遅延信管をレールガにつければいいような気も しますがレールガはあまりに早すぎること が仇となり遅延信管をうまく作動させられ ない可能性が大これでは内部からの破壊が 期待できないため小さな穴を複数開ける だけでは敵艦の戦闘力を奪うことができ ないわけです逆に遅延信管が難しいからといって先体に当たった瞬間に被爆するよう にすると今度は弾頭重量が軽すぎて搭載 できる火薬量が少なすぎ大したダメージに なりません。
ましてあすかに搭載した
レールガン(EMG)の口径は40mmである。


メリット
長射程と極超音速の発射能力により、先制攻撃能力が高く、従来の艦砲や対艦ミサイルよりも有利な状況を作り出します。推進剤や爆薬を使わないため、弾薬庫の安全性が向上し、艦内スペースの効率的利用が可能です。弾速が高いため、迎撃が困難であり、敵艦のミサイル防衛網を突破しやすい。

その他デメリット 
発電・冷却能力の確保が技術的な課題となり、艦船に必要なエネルギー供給システムの構築が必要です。
海洋環境下では塩分による部品の腐食や電気的絶縁の確保が難しく、信頼性が求められます。

  • 現在のところ弾体に誘導機能がないため、移動する艦艇への命中精度には限界があります。

    仮に200kmの射程を得られ たとしてもそれだけで敵艦に攻撃を命中さ せることは不可能で水上艦同士の対水上 戦闘で大事なのは敵艦の現在位から着弾 時点での未来位置を知ることです 200km先の手間は見ることもでき なければ水上のレーダーで捉えることも できません球体である地球上において基本 的には直進しかしない電波を用いる レーダーでは水平線より遠い目標が見え ないため水上間のレーダーでは30km 程度先しか見えないからですそのため航空 機などを使って瞬間の位置を探る必要が ありますが探知後すぐに打ってもマッハ6 のレールガンが200km先に到達するに は直線距離でも10分実際には放物線をを 描くためそれ以上の時間がかかり30ノットで航行している軍艦なら9km以上 も移動してしまいますからレールガンは現時点では対艦戦は対艦ミサイルに劣る

2 対地戦闘における利点と課題

レールガンは火砲に比べて高速 長射程かつ砲弾のお値段がミサイル に比べて割安というメリットがあり米海軍はレールガンを沿岸攻撃用、特に揚陸作戦の拠点制圧に用いることを想定していた。
 世界に先駆けて
レールガン開発を行ったのは米海軍でしたが米 海軍は総合的に考えて開発を事実上 中止した。技術的な問題が解決できなかったという こともあるが、射程は200マイル(約370km)と従来の通常火砲の10倍以上到達できるが、差従来砲弾より炸薬が少ない砲弾を撃ち込むコスパを鑑みた時、

レールガンには十分な開発コストを越えるメリットをみいだせなかったからである。


海自レールガンはアメリカのレールガンよりも小型のものを 作ろうとしているので日本のレールガン

は対地攻撃用には向いていない。

だがレールガン全般には対地攻撃上のメリットはある。
メリット
都市部や防空陣地に対するピンポイント攻撃が可能で、従来の榴弾砲や巡航ミサイルに比べ、目標への到達時間が短縮されます。無煙発射、無推進弾体であるため、発射元の秘匿性に優れています。
デメリット

  • 弾体は無誘導であり、長距離からの精密攻撃には不向きです。

  • 威力の面で爆薬兵器に劣り、構造物破壊や面制圧には限界があります。

  • 地形や気象条件の影響を受けやすく、精度にばらつきが生じる可能性があります。

3 対空戦闘(ミサイル迎撃戦)

ではなぜ日本はアメリカが 中止したレールガンの開発を続けなおかつ アメリカのレールガンよりも小型のものを 作ろうとしているのでしょうか?それは日本のレールガンは対地攻撃ではなく主に  対空戦闘(ミサイル迎撃戦)用としてレールガを使うことを想定し ているからです。近年対艦攻撃用の ミサイルの進化が目覚ましく極超音速 兵器というマッハ5を超える超高速の調車 程兵器を迎撃することは既存の防空 システムでは難しくなってきています。対艦 ミサイルに対する物理的防御は対空 ミサイル、艦砲CIWSの3段構ですが対空 CIWSと主砲は近接信管といって目標に 近づいたら自動的に爆発して破片で体感 ミサイルを破壊するという仕組みです第2 次世界大戦末期から長らく対空目標迎撃に 有効だった近接神官ですが超高速の目標だ と破片をすり抜けてしまうためにごく超 音速兵器に対してはあまり有効ではあり ませんしかしマッハ7に迫る速度のレール ガン用の適切な近接信管は開発中であるが、近接信管に頼らず直撃させる ことで極超音速兵器の破壊もできる可能性もある。

対空防御は何重の防御手段 を構築した多層的なものであることが理想 ですから将来的な脅威HVGPと極超音速巡航ミサイル:HCMを見据えて防御手段 を増やす為に日本はアメリカが 中止したレールガンの開発を続けているのです。

対空戦闘ミサイル迎撃戦における利点と課題

メリット

  • 発射速度がマッハ7を超え、短時間で目標に到達するため、高速航空機や弾道ミサイルへの迎撃が理論的に可能です。

  • 火薬を使用しないため発射時の煙がなく、被発見性が低減します。

  • 高速発射が可能なため、飽和攻撃に対して連射による対応が期待できます。

デメリット

  • 現在、飛翔体に誘導装置が搭載されていないため、運動する空中目標への命中精度が低く、実用的な迎撃能力には限界があります。

  • 軽量弾体は破壊力が限定的で、爆薬を伴わない場合、硬い目標への致命的打撃が難しいです。

  • 高角度射撃には、砲架の可動範囲と構造的補強が必要です。

将来的な期待としてレールガン(EMG)
image008

  • 弾道ミサイル防衛(BMD:Ballistic Missile Defense)においてまったく不可能とされるブースト段階(弾道ミサイルの飛行軌道における最初の段階で、発射直後にロケットエンジンが燃焼し、加速・上昇する過程)での迎撃の可能性がその長射程とレスポンスの良さから可能かもしれない。特に対南北朝鮮の弾道弾のブースト段階迎撃なら可能性がある。
    またブースト段階、ミッドコース段階(弾道ミサイルの飛行経路における、ロケットエンジンが燃焼を終え、慣性で大気圏外を飛んでいる段階)、ターミナル段階(弾道ミサイルの飛翔経路における最後の段階で、大気圏に再突入して目標に命中するまでの過程)すべてにおいて迎撃可能である。ミッドコース段階(弾道ミサイルの飛行経路における、ロケットエンジンが燃焼を終え、慣性で大気圏外を飛んでいる段階)、ターミナル段階(弾道ミサイルの飛翔経路における最後の段階で、大気圏に再突入して目標に命中するまでの過程)すべてにおいて迎撃可能なレールガン(EMG)の開発も将来可能と思われる。

      • レールガンによる低軌道衛星への攻撃可能性

      低軌道衛星(LEO)は地表から約2000km以下の高度で地球を周回する人工衛星であり、通信・測位・地球観測など多用途に利用されている。とくにスターリンクに代表される衛星通信網の拡大は、民間分野のみならず軍事用途にも波及している。近年では戦場での通信・偵察を担う軍事衛星が多数打ち上げられており、これらを無力化する技術は現代戦における重要課題の一つとなっている。この文脈で、地上配備型レールガンによる低軌道衛星の迎撃という概念がでてくるだろう。極超音速の砲弾を高高度まで打ち上げるには、補助ブースターを装着した大型弾体と、高角度射撃を可能にする可動砲架の開発が前提となるが、技術的には十分実現可能な構想である。ミサイル防衛の補完手段として、あるいは電磁攻撃の延長線上にある「宇宙戦」への応用として、レールガンは新たな可能性を提示している。


  • 戦車砲及び対戦車砲

    将来、電源発射システムの小型化と蓄電技術の進歩が進めば、レールガン(EMG)を戦車砲や対戦車砲として実装することは現実のものとなるだろう。電磁加速によって従来の火薬兵器を超える初速と貫通力が実現できるため、現代の複合装甲やアクティブ防護システムをも打ち破る可能性がある。さらに、火薬を用いないことで弾薬の安全性が飛躍的に向上し、兵站上のリスクも軽減される。冷却・耐久性・制御技術などの課題は依然として残るが、小型高出力電源と新素材技術の開発が進めば、機動性と火力を両立させた「次世代戦車」が登場する日も遠くない。特に都市部や近接戦闘において、無煙・無誘爆で高貫通力を誇るレールガンは、地上戦の様相を一変させる可能性を秘めている。







執筆中