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もくじ

序章:緊迫する世界情勢と日本の防衛戦略
第1章:新型FFMの開発背景と設計思想
第2章:新型FFMの兵装と電子装備の詳細
第3章:新型FFMの運用シナリオと戦術的可能性第五章:新型FFMの兵装と電子装備
第4章:オーストラリアとインドネシアへの新型FFM輸出の可能性と問題点
第5章:新型FFMの兵装と電子装備
第6章:新型FFMの戦略的役割と日本の国益への貢献
第7章:新型FFMの技術的革新と運用能力
第8章:新型FFMの運用シナリオと戦術的役割
第9章:統合戦能力とネットワーク戦の進化
第10章:新型FFMの運用シナリオと戦術的展開
第11章:将来装備 ― コンテナミサイル、レーザー兵器、電磁レールガン(EMG)
第12章:日本の防衛産業と対等な日米同盟構築という国家戦略/輸出戦略としてのFFM
第13章:GCAPと並ぶ国家技術力の象徴としてのFFM
第14章:米中対立・台湾有事・第三次世界大戦の可能性とFFMの意義
第15章:新世界秩序と日本の立ち位置の変化まとめ:FFMは世界の信頼を得る「世界新秩序を構築し守る船」となり得るか


序章:緊迫する世界情勢と日本の防衛戦略

2025年、終結しないウクライナ戦争、新型コロナ以降不動産バブルが崩壊し追い打ちのトランプ関税で完全に経済が崩壊しかつてのかつてのソ連と同じく国家崩壊へ向かう中国、中国共産党は政権の維持をかけてやけくそで台湾侵攻をする可能性も否定できず世界は再び緊張の時代へと突入している。特にトランプ大統領が再び就任してから3か月が経過し、アメリカは対中強硬姿勢を一段と強めている。米中対立は一層深刻化し、台湾有事への懸念も国際社会で現実的なシナリオとして議論されている。ロシアと違い戦争継続資金がない中国は台湾侵攻する力はもはや無いとは思うが、万が一台湾を巡る衝突が起これば、それは世界規模の安全保障危機、場合によっては第三次世界大戦に発展する可能性すらある。

このような背景の中、各国の国防費は急増しており、2024年にはNATO加盟国の70%以上がGDPの2%以上を国防費に計上するまでに至った。ウクライナ戦争が示した通り、近代戦では継戦能力と持続的な兵站が鍵を握る。だが、アメリカでさえ砲弾やミサイルの生産能力に限界があることが明らかになっている。例えば、155mm砲弾の月間生産数は2022年時点で1万4千発に過ぎず、消耗戦には到底追いつかない。

さらに深刻なのが造船能力の低下である。アメリカは第二次世界大戦中、年間3,000隻以上の艦艇を建造していたが、近年では年間建造数がわずか10〜12隻にまで低下しており、稼働中の大型造船所は20ヶ所以下となっている。ドックや修理設備の老朽化も重なり、艦隊の維持すら困難になりつつある。アメリカ製兵器が絶対的だった時代は、もはや過去のものとなりつつあるのだ。

このような新たな国際安全保障環境の中で、日本の役割と責任も変化している。高い技術力と信頼性を誇る日本製兵器は、単なる自衛のための装備ではなく、国際安全保障に貢献する輸出戦略品としての側面も強くなってきた。

特に注目すべきは、「新型FFM(多機能護衛艦)」である。新型FFMは、日本の最新造船技術と省人化運用技術の結晶であり、もがみ型をベースとしつつもより高度な自動化・将来拡張性を備えた多機能戦闘艦だ。

本稿では、この新型FFMの詳細な性能、能力、もがみ型FFMとの比較、将来的な拡張性(レーザー兵器・電磁レールガン・コンテナ型ミサイル・高出力マイクロ波等)、そして日本の戦略的輸出製品としての可能性までを、論じてみたい。


第1章:新型FFMの開発背景と設計思想


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もがみ型FFM(3900トン型)の実績を踏まえた上で開発された新型FFM(FFM-2型)は、将来的な国防構想と輸出展開を強く意識した設計がなされている。防衛装備庁および三菱重工業が中心となり、艦体設計にはステルス性の強化、省エネルギー設計、高度な自動化による乗員数の削減が追求された。

乗員数はもがみ型の90名程度からさらに削減され、約70名以下に抑えられる見込みで、これは長期任務や海外展開を想定した場合においても、持続可能な人員運用体制を確保する意味で極めて重要な進化である。

艦体は排水量約4,000トン超で、全長133メートル、幅は16メートル。CODOE(Combined Diesel Or Electric)方式を採用し、燃費性能と静粛性、出力バランスに優れ、海自の対潜戦能力向上にも寄与する構造となっている。特に、赤外線放出低減塗装、排気冷却システム等の採用により、敵レーダーおよびIRセンサーへの可視性を大幅に低減している。

また、本艦は近年注目される「コンテナモジュール兵装」の導入を前提とした設計がなされており、将来的には長射程対艦ミサイル(島嶼防衛用)や対地巡航ミサイルのコンテナ化搭載、さらにはレーザー兵器・レールガン(EMG)・高出力マイクロ波(HPM)兵器の搭載も視野に入れている。これは、限られた船体に最大限の戦力を柔軟に展開可能とする「ミッションパッケージ」思想の体現であり、世界の次世代フリゲートの中でも極めて先進的な発想といえる。

さらに、同艦は他の艦艇、航空機、戦闘機、および連携する無人機(UAV、USV、UUVなど)との高度なネットワーク統合能力を備えており、海上自衛隊における情報共有・作戦統合の中核を担う艦となることが期待されている。。※詳しくは第4章



第2章:新型FFMの兵装と電子装備の詳細

新型FFM(FFM-2型)は、日本が誇る最先端の軍事技術を投入し、現代の多様化する海上戦に対応するための柔軟かつ強靭な兵装体系を有している。その装備は、従来のもがみ型から一層の進化を遂げ、敵潜水艦、航空機、ミサイル、小型高速艇といった多種多様な脅威に対処可能なマルチレイヤー防衛能力を備えている。

主兵装と対艦・対空能力

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Mk.45 Mod.4 127mm単装砲高精度・長射程を誇り、対地攻撃にも対応可能。新型弾薬との組み合わせで最大射程は約37kmに達する。

  • 新型垂直発射システム(VLS):将来的な搭載が前提とされ、12セルまたは16セルの国産またはMk.41互換VLSを艦首部に設置する設計スペースが確保されている。これにより、艦対空ミサイル(SM-6級)、艦対艦ミサイル、対潜ロケット(07式垂直発射魚雷投射ロケット)など多様な兵装を統合可能となる。

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    07式垂直発射魚雷投射ロケット

  • 12式改良型SSM(対艦誘導弾)

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    :発射筒形式で搭載され、現在の射程約200km~400kmだが当面は900kmを目指して開発されるが、最終的には射程1,500kmまで延伸される予定である。GPS誘導による精密打撃能力を持ち、艦隊決戦のみならず陸上標的への攻撃も視野に入る。
  • 高性能近接防御システム(CIWS):新型のシーラム(SeaRAM)またはレーザーCIWSの搭載が将来検討されており、飽和攻撃に対する最終防衛ラインを形成。

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対潜・機雷戦能力


電子装備とセンサーシステム
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三菱電機製J/FCS-3型となります。これには「ひゅうが」以降の搭載型を「FCS-3改」と言い、ひゅうが型に搭載される型式を「FCS-3」、「あきづき」型に搭載される型式を「FCS-3A」に変更され、更に続くいずも型は「OPS-50」2番艦調達時には「OPS-50A」、あさひ型は「OPY-1」と呼称されます。

  • 国産新型多機能レーダー(XバンドAESAレーダー):もがみ型より高出力・広範囲探知性能を持ち、航空機や巡航ミサイルの早期発見を可能とする。FCSとの統合で弾道ミサイル探知補助にも対応可能。

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  • 電子戦(EW)装置:敵レーダーや通信波の探知・妨害に加え、自己防御用のチャフ・フレア自動射出システムを統合。

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  • 戦術データリンク:Link-16、Link-22、さらに海自独自の衛星通信(衛星多目的通信システム:SATCOM)による他艦艇・航空機・地上部隊とのリアルタイム情報共有が可能。

無人機運用能力と将来拡張性

  • 格納庫および飛行甲板の大型化:無人機(UAV)および回転翼機の運用を可能とし、対潜哨戒・ISR(情報監視偵察)任務において大きな柔軟性を持つ。

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  • 高出力マイクロ波(HPM)兵器電子機器無力化用の指向性エネルギー兵器として将来的に搭載が視野に入る。ドローン群(スウォーム)への対抗策として注目される。

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  • レーザー兵器/電磁レールガン(EMG):出力供給用に発電能力が増強されており、2030年代の実戦配備に向けて艦体設計段階から対応構造が採用されている。



このように、新型FFMは防空、対艦、対潜、機雷掃海、電子戦、情報収集に至るまで、幅広い任務に対応できる装備を備えており、日本の沿岸防衛のみならず、同盟国との共同作戦、さらには平和維持活動や災害派遣にも柔軟に運用可能な「世界標準」のマルチタスク艦である。



第3章:新型FFMの運用シナリオと戦術的可能性

新型FFM(多用途護衛艦)は、その先進的な設計と高度な機能を活かすことで、さまざまな運用シナリオにおいて有用性を発揮します。本章では、新型FFMの実際の運用におけるシナリオと、その戦術的可能性について詳述します。特に、日本の防衛戦略における役割を考慮し、アジア太平洋地域の安全保障環境においてどのような状況で効果的に運用されるかを検討します。

1. 防空任務と対空戦

新型FFMは、強力な防空能力を備えており、特に高精度のミサイルシステムや近接防御システム(CIWS)による対空戦の役割を果たすことができます。これにより、艦艇は敵機による航空攻撃に対して高い防御能力を発揮します。

防空任務では、主に以下のようなシナリオが考えられます。

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SeaRAM 11連装発射機×1

  • 艦隊防空:新型FFMは、艦隊の中で他の艦艇や補給艦を防衛する役割を果たします。これにより、海上自衛隊の艦隊は、敵の空中脅威から守られ、全体としての作戦能力を高めることができます。

  • 独立した防空任務:新型FFMは、独立して防空任務を遂行することも可能です。単艦での運用が想定され、敵航空機やミサイルを迎撃する能力を備えています。

新型FFMに搭載される高精度の対空ミサイルシステムは、長距離での迎撃能力を持ち、空中戦を有利に進めるための重要なツールとなります。また、近接防御システム(CIWS)は、艦艇への接近戦闘を制するために必要不可欠な装置であり、敵ミサイルや航空機に対して最後の防衛ラインを形成します。
新型FFMは
新艦対空誘導弾A-SAM※の能力向上型、A-SAM改新艦対空誘導弾がMk.41 VLS×32セル

への搭載が期待されていたがウクライナ戦争でウクライナにミサイルを供給してきた米国が、ロシアとのミサイル生産能力の格差を思い知らされたことがある。米国のひっ迫するミサイル能力の足元を見て、日本がSM6の今後の共同生産を持ちかけークラッター(海面反射)への対処が問題もあり採用されるか否かは流動的だ、新艦対空誘導弾A-SAM※の能力向上型、A-SAM改日本のは日の目を見ず新型FFMの対空ミサイルは無難なRIM-162 ESSMRIM-174SM-6(STANDARD Missile 6)になる可能性がある。

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Mk.41 VLS






2. 対艦戦

新型FFMの設計において、対艦戦は重要な役割を果たします。近年、海上自衛隊は島嶼防衛を強化するために、対艦ミサイルシステムの運用を重要視しています。新型FFMには、長射程の対艦ミサイル17式艦対艦誘導弾17式 4連装発射筒×2基に搭載され、これにより敵艦船に対して高い打撃力を持つことができます。

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17式艦対艦誘導弾:17式発射筒形式で搭載され、現在の射程約200km~400kmだが当面は900kmを目指して開発されるが、最終的には射程1,500kmまで延伸される予定である。GPS誘導による精密打撃能力を持ち、艦隊決戦のみならず陸上標的への攻撃も視野に入る。
  • 対艦攻撃:新型FFMは、近海での防衛から広域の海域まで、対艦攻撃能力を発揮します。特に、コンテナ型兵器システムの採用により、ミサイルの搭載や交換が迅速に行えるため、変化する戦況に即応した攻撃を行うことが可能です。

  • 協力的攻撃:新型FFMは他の艦艇や航空機、無人機と連携することにより、より効率的に対艦戦を展開できます。艦艇同士で情報を共有し、最適なタイミングで連携攻撃を行うことができます。

対艦戦において、特に新型FFMの強みは、柔軟性と拡張性にあります。従来型の艦艇では運用に制約があったミサイルシステムの搭載が、 の導入により大幅に改善され、任務に応じた武装変更が簡単に行えます。これにより、艦艇は状況に応じた多様な任務を果たすことが可能になります。



3. 対潜戦

新型FFMは、対潜戦においても強力な能力を発揮します。艦載のソナーシステムや誘導兵器により、潜水艦に対する探知と攻撃能力が大幅に向上しています。近年、潜水艦は水中戦の重要な要素であり、その脅威を抑えるためには高精度の対潜戦能力が求められます。

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  • 深海探知:新型FFMには、高性能なソナーシステムが搭載されており、広範囲にわたって潜水艦を探知できます。このシステムは、従来型艦艇よりも格段に高い性能を誇り、敵潜水艦を早期に発見することが可能です。

  • 攻撃能力:潜水艦を撃退するための魚雷システムも搭載されており、遠距離から正確に敵潜水艦に攻撃を加えることができます。また、対潜戦を補完するために、無人水中ビークル(UUV)との連携も視野に入れており、より高度な戦術的運用が可能です。image041

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4. 島嶼防衛と拡張性

新型FFMは、島嶼防衛の重要性を考慮した設計がされています。特に、日本の領土防衛において、周辺の島嶼に対する防衛能力が高いことが求められます。この艦艇は、コンテナ型兵器システムを活用し、対地攻撃や長射程のミサイルを使用して、島嶼防衛に特化した運用が可能です。


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また、将来的には、レーザー兵器や電磁レールガンを搭載することにより、島嶼防衛の強化が期待されています。これにより、新型FFMは単なる艦艇の枠を超えて、次世代の戦闘システムを具現化することとなります。


第4章:オーストラリアとインドネシアへの新型FFM輸出の可能性と問題点


近年、オーストラリアとインドネシアからの日本製艦艇への関心が高まっており、特に新型FFM(FFM-2型)およびもがみ型(FFM-1型)の導入を希望する声が上がっている。これらの国々は、いずれも日本製の高性能艦艇に魅力を感じており、近隣地域での安全保障強化を目的として、これらの艦艇の導入を検討している。

オーストラリアとインドネシアの関心

オーストラリアは、長年にわたり米国との同盟関係を強化してきたが、近年、アジア太平洋地域における軍事的緊張が高まる中で、独自の防衛力強化を図る必要性を強く感じている。特に、南シナ海やインド洋での中国の影響力拡大に対応するため、海上自衛隊のような高性能な艦艇の導入が求められている。オーストラリア海軍は、最新鋭のフリゲートや駆逐艦の調達を進めており、その一環として新型FFMやもがみ型の導入が有力視されている。

一方、インドネシアもまた、東南アジアでの中国の拡張主義に対応するために海軍力の強化を進めており、日本製の艦艇に対する関心が高まっている。インドネシアは、近年の軍備増強の一環として、先進的な艦艇や潜水艦の調達を目指しており、新型FFMはその選択肢の一つとして検討されている。

輸出の問題点と矛盾

しかし、オーストラリアとインドネシアへの新型FFMまたはもがみ型の輸出には、いくつかの問題点と矛盾が存在することも忘れてはならない。

  1. 仮想敵国としての関係
    オーストラリアとインドネシアは、地政学的に近接しつつも、歴史的には一定の対立や競争関係にある国々であり、特にインドネシアとオーストラリアは、過去に南太平洋での領土問題や、周辺海域における影響力争いを繰り広げてきた。双方ともに軍事力の強化を急ぐ中で、同じ日本製のフリゲート艦を導入することには、一見して矛盾が生じる。

    日本がこれらの国々に新型FFMやもがみ型を輸出することは、一方で日本の「自由で開かれたインド太平洋」構想に貢献し、地域の安定を促進する手段となる一方で、オーストラリアとインドネシアが共に保有することになると、双方の関係がさらに複雑化する可能性がある。特に、インドネシアがオーストラリアを仮想敵国として位置づけている場合、日本製艦艇の存在は、戦略的に微妙なバランスを生むことになる。

  2. 戦略的な矛盾
    日本の防衛装備移転三原則に基づく兵器輸出は、基本的には平和的な目的を追求し、地域の安定を維持することが前提となっている。しかし、同じ兵器が対立する国家間で使用される場合、その「安定」への寄与に疑問が生じる。オーストラリアとインドネシアが同時に日本製の艦艇を使用する状況が生まれた場合、その兵器が双方にとって「抑止力」や「防衛力強化」として機能する一方で、戦略的なバランスが崩れる可能性もある。この点で、日本が両国への同時輸出を進めることが、国際的な政治的な観点で矛盾を生むリスクも考慮しなければならない。

  3. 日本の立場と外交戦略
    さらに、日本がこれらの国々に新型FFMやもがみ型を輸出する場合、日本の外交戦略においても慎重な調整が必要となる。オーストラリアとインドネシアの間には、安全保障上の競争が存在し、その中で日本がどのように立ち回るかは、今後の外交関係に大きな影響を与えるだろう。両国への同時供給は、日本の中立的かつ平和的な立場に矛盾をきたす恐れもある。

    新型FFM輸出による日本の発言力強化と国益の確保

    オーストラリアとインドネシアへの新型FFMの輸出は、単なる兵器提供にとどまらず、日本の戦略的な外交政策と国益を確保する重要な手段となる可能性がある。両国の関係における矛盾が存在する一方で、この輸出を通じて日本はアジア太平洋地域における発言力を強化することができる。

    1. アジア太平洋地域での日本のプレゼンス強化
      新型FFMをオーストラリアとインドネシアに提供することで、日本はアジア太平洋地域での影響力を強化できる。オーストラリアとインドネシアはそれぞれ戦略的に重要なパートナーであり、両国が日本製艦艇を導入することによって、日本はこの地域の海上安全保障における中心的な役割を果たすことができる。これにより、日本は単なる防衛力の提供者としてではなく、地域の安定を担保するパートナーとしての立場を強固にする。

    2. 仮想敵国関係を越えて
      オーストラリアとインドネシアという仮想敵国同士への兵器輸出には、矛盾や慎重さが求められることは確かだ。しかし、この矛盾を乗り越え、両国を調整することで、日本はアジア太平洋地域におけるバランスを保ちながら、外交的な立場を強化することができる。日本製の艦艇を両国に供給することは、単に物理的な兵器の提供にとどまらず、外交的な調整力を行使する手段となる。これにより、日本は両国との関係を強化しつつ、地域の安定を促進し、自国の国益を確保することが可能となる。

    3. 日本の戦略的役割の再確認
      新型FFMの輸出を通じて、日本はアジア太平洋地域におけるリーダーシップを再確認することができる。これにより、日本は単に防衛装備を輸出するだけでなく、地域の安全保障に対して積極的な貢献をすることができる。これが日本の国益の確保につながり、さらに国際社会における日本の地位を強化することになるだろう。特に、米中対立が激化し、地域の安全保障環境が複雑化する中で、日本の軍事技術と信頼性の高い兵器を提供することは、地域のバランスを保つために不可欠な役割を果たす。

    4. 日本の外交と経済的な利益
      新型FFMの輸出は、単に安全保障面での貢献にとどまらず、経済的な利益をもたらすことも期待される。日本の造船業界にとって、新型FFMやもがみ型の輸出は、国際競争力を高める機会となり、また、日本製兵器の信頼性を示す一つの指標となる。オーストラリアやインドネシアとの商業的な関係を深めることで、今後の新たな市場開拓にもつながり、長期的に見れば日本の国益に大きく寄与することが予想される。

    第4章まとめ

    新型FFMおよびもがみ型の輸出先としてオーストラリアとインドネシアが挙げられることは、単なる兵器提供以上の戦略的意義を持つ。これを通じて、日本はアジア太平洋地域におけるリーダーシップを強化し、外交的な調整力を発揮することができる。両国間の競争関係を調整しつつ、日本が平和と安定を促進するために積極的な役割を果たすことが、日本の国益確保に繋がり、地域全体のバランスを保つ上で重要な要素となるだろう。

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第5章:新型FFMの兵装と電子装備

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新型FFM(フリゲート多用途艦)は、単なる護衛艦や支援艦としての役割にとどまらず、様々な任務を遂行できる多機能性を持っています。特にその兵装と電子装備に関しては、日本の最新技術が集結しており、地域及び世界規模での戦略的な価値を高めています。

1. 兵装システム

新型FFMは、現代の海戦における複雑化する戦術環境に対応するため、柔軟かつ多様な兵器を搭載しています。以下に主要な兵装を紹介します。

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a. VLS(垂直発射システム)と対空ミサイル

新型FFMは、垂直発射システム(VLS)を搭載しており、これにより多種多様なミサイルの発射が可能となります。特に、これまでの艦艇にはない、より長射程の対空ミサイルや、対地巡航ミサイルの搭載が見込まれています。これにより、艦は防空と攻撃の両方の役割を果たすことができ、任務に応じて柔軟に対応します。image035

具体的には、ESSM(Evolved Sea Sparrow Missile)の改良型や、次世代型のSM-6ミサイルを搭載することで、対空防御能力を強化し、航空機や弾道ミサイルに対しても高い迎撃能力を誇ります。これにより、艦は高度な防空システムを有し、敵の空中脅威に対して堅牢な防衛を提供します。

b. 魚雷発射管と対潜戦能力

新型FFMは、従来の艦船と同様に対潜戦に特化した能力を持っています。魚雷発射管を搭載しており、海中での敵潜水艦に対して強力な反撃を行うことが可能です。また、艦内には艦載型ソナーや、対潜ロケットランチャーが搭載されることで、海上自衛隊の潜水艦への警戒能力が一層強化されます。これにより、艦は潜水艦の脅威に迅速に対応できるだけでなく、長期的な海上哨戒任務を遂行する能力をもっています。イメージ 11



c. コンテナモジュール兵装

新型FFMの特徴的な点として、将来的に搭載が予定されているコンテナモジュール兵装が挙げられます。これにより、艦艇はミサイルやレーザー兵器、さらには電磁レールガン等、様々な新型兵器をモジュール形式で柔軟に搭載することができます。これにより、戦術的な柔軟性が大幅に向上し、例えば対艦ミサイルのコンテナ化や、将来的には高速で長距離を飛行する**無人機(UAV)**を搭載することが可能になるなど、任務に応じた迅速な兵器の搭載が実現します。




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ロッキード・マーティンは、SNA 2024国際武器展示会においてコンテナ化されたミサイル発射装置である
MK 70システムを展示した。

2023 年にインディペンデンス級沿海域戦闘艦USS LCS28サバンナで実証され、数時間以内の迅速な設置と撤去が可能になりました。

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マーク41 VLSを使用し、SM-6、トマホーク、その他のミサイルを発射できる。
今後の計画には、モジュール性を高めるために「コンテナ型VLS」を搭載したマーク41システムを超えて拡張することが含まれています。VLSのセル数不足が弱点のもがみ型FFMに応用できる。

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07式垂直発射魚雷投射ロケット
もがみ型の16セルには現在は対空ミサイルを搭載する予定はなく、VLSの搭載弾薬は07式垂直発射魚雷投射ロケットのみとされるコンテナミサイルを搭載することでもがみ型FFMにもESSM/ESSMブロック2や新型FFMに搭載予定の新艦対空誘導弾(能力向上型ASAM改)搭載可能となる。

2. 電子戦装備と自衛システム

新型FFMと「もがみ」型のおおきな相違点がマストである「もがみ」型の マスト・トップは複合通信空中線[NORA-50]で、その下の四角形はFCS-3(00式射撃指揮装置3型)の改良型である多機能レーダー[OPY-2]、Xバンド用とCバンド用の二つが4面にある。OPY-2では対空・対水上レーダや
電子戦アンテナ等の共用化され目標の捜索から探知・追尾、そして砲による射撃指揮までを担当している。image014


新型FFMでは、レーダーの取り付け角度が左右方向で45度変更されている。また各面のパネルが1枚増えているが、現時点では用途等不明です。射撃指揮装置もOPY-2の改良型が搭載されると思いますが新型パネルは、OPY-2の改良型の一部なのか否か不明です。まったくの私見ですが高出力マイクロ波照射用パネルの可能性があると思います。

新型FFMは、電子戦能力にも優れた装備を備えています。これにより、現代の戦争において不可欠となる情報戦や妨害対策を支援し、艦船の生存能力を大きく向上させます。

a. 対抗電子戦システム(ESM)

新型FFMは、最新型の**対抗電子戦システム(ESM)**を搭載しており、敵艦艇や航空機によるレーダー・通信の妨害や探索から守ることができます。ESMは、敵の電波を捕捉し、艦艇に対する攻撃を予測・回避するための情報を提供します。このシステムは、現代の海上戦闘において非常に重要な役割を果たし、艦の生存能力を確保します。

b. 電磁パルス(EMP)攻撃対応能力

、新型FFMは、将来的な技術の進化に対応するために、電磁パルス(EMP)攻撃への対応能力も備えており、敵の通信網や艦艇の電子機器を無力化する攻撃から自艦を守るための対策が講じられる予定です。

現在ウクライナ侵攻戦争でロシアのクラスハ-対空電子戦(EW)システム(電波妨害装置)対ドローン用に使用され効果をあげています。現在自衛隊内でも高出力マイクロ波照射技術の研究が行われており高出力モジュールを用いたフェーズドアレイ型の空中線を実現する」と記されており高出力マイクロ波照射用パネルの可能性があると思います。ただし高出力マイクロ波照射技術の研究 のスケジュールでいくと令和9年所内試験です。新型FFM新造時の搭載には間に合わないと思うが、令和6年度概算要求の概要にも高出力マイクロ波(HPM)に関する研究(26億円)が計上されていて、
高出力マイクロ波照射技術の研究 には【将来のミサイル対処システム】ミサイル対処用HPMシステムとあり将来的に対艦ミサイル迎撃用と書かれており、新パネルは空中線装置=高出力マイクロ波波照射装置の可能性があると思います。新型FFMは、マイクロ波照射装置は標準装備となっている可能性が高く、建造計画段階から設置場所が確保されていると考えるのは合理的だ。



c. 高度なC4I(司令・統制・通信・情報)システム

新型FFMは、C4Iシステムの強化にも注力しています。これにより、艦艇は他の艦艇や航空機、さらには無人機(UAV、USV、UUVなど)との連携が強化され、複雑な作戦を効率的に行えるようになります。C4Iシステムの能力向上により、情報戦がより重要になる現代において、艦の指揮能力や作戦統合の効率が格段に向上します。

3. 将来的な拡張性

新型FFMは、将来的な技術革新に対応するための拡張性も備えています。

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レーザー兵器や電磁レールガン(EMG)、さらには高出力マイクロ波(HPM)兵器などの搭載可能性です。これらの兵器は、現代のミサイル防衛システムや海上戦闘における革新を先取りするものであり、新型FFMは、これらの新技術に対応することで、艦隊の戦力を将来的に劇的に強化する可能性があります。


第6章:新型FFMの戦略的役割と日本の国益への貢献

新型FFM(フリゲート多用途艦)の登場は、単なる海上自衛隊の艦艇増強にとどまらず、広範な戦略的意義を持っています。特に、アジア太平洋地域における日本の地政学的役割を強化し、日本の国益を守るための重要な手段となります。本章では、新型FFMがどのように日本の戦略的立場を強化し、地域の安定に寄与するかを考察します。

1. 日本の地域的な安全保障環境

日本は、地理的に東アジアの中心に位置し、中国、ロシア、北朝鮮、韓国といった地政学的に最悪の周辺諸国に対する安全保障において海軍力は非常に重要です。特に、中国の軍事的台頭や北朝鮮の挑発的行動が続く中、海上自衛隊の役割はこれまで以上に重要になっています。また、米国との同盟関係も堅固であるものの、アジア太平洋地域における日本独自の防衛能力強化が求められています。


新型FFMは、日本がこのような複雑な安全保障環境において、より柔軟で強力な海上防衛力を構築するための鍵となります。現代戦においては潜水艦が最強であるが、水上艦艇の方が国際的な戦略的プレゼンスを誇示抑止力と効果が高い。新型FFM及びもがみ型は、単なる自衛のための防衛力ではなく、国際的な戦略的プレゼンスを維持し、さらには強化するための重要な道具として位置づけられます。




2. アジア太平洋地域における外交的影響力の強化

新型FFMは、単に日本の防衛力を高めるだけでなく、日本の外交的影響力を強化する役割も果たします。特に、日本の防衛産業の技術力を輸出する手段として、新型FFMの輸出は重要な戦略となります。インドネシアやオーストラリアへの輸出を考慮した場合、この艦艇は両国との安全保障協力を深める上で極めて有効です。

  • インドネシアとの協力:インドネシアは、アジアの中でも重要な海上戦略を持つ国であり、海上自衛隊とインドネシアの海軍は協力関係を築いています。新型FFMの輸出によって、日本はインドネシアとの軍事的協力を一層強化することができます。ただ個人的にはインドネシア新幹線計画の裏切りの印象が強く技術移転までしてお買い上げしていただく必要があるか疑問だ。




  • オーストラリアとの協力:オーストラリアは、AUKUS、(アメリカ、イギリスおよびオーストラリアの三国間の軍事同盟)クアッド(QUAD、「日米豪印戦略対話」または「4ヵ国安全保障対話」と呼ばれます。これは、日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4か国で構成される多国間枠組み)として日本の同盟国であり、共に中国の台頭に対抗するための戦略的パートナーです。



    オーストラリアへの新型FFMの提供は、両国間の軍事協力を深化させ、地域の安全保障バランスを強化するための重要な手段となります。

これらの国々との防衛協力を通じて、日本はアジア太平洋地域におけるリーダーシップを強化し、米国との協力に依存しない、独立した防衛能力を持つ重要な国家として位置づけられることになります。

3. 新型FFMによる「戦争抑止力」と国際貢献

新型FFMは、単に防衛力としての役割を果たすだけではなく、戦争抑止力としても機能します。繰り返しとなるが、現代戦においては潜水艦が最強であるが、水上艦艇の方が国際的な戦略的プレゼンスを誇示抑止力と効果が高い。艦艇の高い戦闘能力や柔軟な運用可能性は、潜在的な敵国に対して日本の決意を示す強力なシグナルとなります。この艦艇が地域の軍事的プレゼンスとして存在することは、戦争を未然に防ぐための重要な役割を担うでしょう。

加えて、新型FFMは国際平和維持活動や人道支援の任務にも適応できる設計となっています。艦艇が持つ高い自動化能力と多機能性は、災害時の救援活動や海上での治安維持活動においても大きな力を発揮します。特に、アジア太平洋地域での海上安全保障の維持において、新型FFMは重要な役割を果たすことが期待されています。

4. 日本の防衛産業の強化と経済的利益

新型FFMは、日本の防衛産業の競争力を高め、経済的な利益をもたらす可能性もあります。防衛装備品の輸出は、単に軍事的な協力を強化するだけでなく、国内経済における技術革新や雇用創出にも寄与します。特に、防衛産業は高度な技術力と専門的な知識を有しており、その輸出は日本の国際的な技術力を示すものとなります。

まだ具体的な計画予定はないが新型FFMは米海軍仕様で米海軍に輸出される潜在的可能性がある。新型FFMは今後場合によっては世界的ベストセラーとなる可能性を秘めている。

 米海軍の建造計画が一様に遅れを生じている。コンステレーション級は就役が3年遅れる見込みなど。背景に深刻な米国の労働事情、産業構造問題がある。

米海軍の新型誘導ミサイル・フリゲート艦の就役が最大3年遅れる可能性があることがUSNIニュースの取材で分かった。

 ウィスコンシン州のフィンカンチエリ・マリネット・マリーンで建造中のコンステレーション(FFG-62)は、当初の引き渡し目標2026年が3年遅れて、2029年まで艦隊に引き渡されない可能性がある。

 このプログラムの遅れは、カルロス・デル・トロ海軍長官が今年初めに命じた45日間の造船見直しの一環として明らかになった。フリゲート艦の遅れに加え、空母エンタープライズ(CVN-80)、コロンビア級弾道ミサイル原子力潜水艦の一号艦、ヴァージニア級攻撃型潜水艦の引き渡しの遅れも海軍が確認している。

 プログラムの遅れの要因として、海軍は設計の成熟度、サプライチェーン、熟練労働者の確保の難しさなどの問題を挙げている。

 海軍によると、将来のUSSディストリクト・オブ・コロンビア(SSBN-826)は、12ヶ月から16ヶ月の遅れに直面している。先月、USNI Newsは、海軍は、継続的なサプライヤーの問題により、同艦での1年の遅延の可能性を検討中と報じた。

 エンタープライズは1年半から1年半の遅れに直面し、ブロックIVヴァージニア級攻撃型潜水艦は3年の遅れを検討している。ブロックVヴァージニア級潜水艦は大型の新型ヴァージニア・ペイロード・モジュールを搭載するが、現在は予定より2年遅れている。オースタルUSAが昨年建造契約を獲得した海軍の新型海洋監視船T-AGOS(X)の遅れは、同プログラムがいつ新規建造を開始するかによる。

 アメリカ級強襲揚陸艦、サン・アントニオ級揚陸輸送ドック艦、アーレイ・バーク級駆逐艦、ジョン・ルイス級艦隊補給給油艦については、海軍の概要によれば、「契約は遅れている」が、「安定しており、プログラム主管の見積もりに沿っている」という。

コンステレーション級フリゲートFFG

デル・トロが45日間の造船見直しを発表する直前の1月、USNI Newsは、コンステレーション級フリゲート艦が、労働力の課題と設計の成熟度の問題のため、少なくとも1年遅れていると報じた。

 火曜日に行われた記者懇談会で、海軍海洋システム本部(NAVSEA)のジェームス・ダウニー中将は、フリゲート艦の詳細設計は、イタリアとフランス海軍に就役しているフィンカンティエリ・マリネット・マリーンのFREMMをベースにしているが、まだ完成していないと記者団に語った。ダウニーによれば、今年中に詳細設計を完了させるのが目標であり、官営度は80%に近づいているという。

 ダウニーは記者団に、「契約企業間で、契約の役割が数点変わりました。「設計を完了させることは、我々にとって非常に重要なことです。そのため、フィンカンティエリの設計部門と協力企業を、政府とのコラボレーション・センターで共同作業させることにしました」。

 2022年8月、海軍がフィンカンティエリに最初のフリゲートの建造開始を許可したとき、当時無人・小型戦闘艦のプログラム執行役員だったケーシー・モトン少将は、詳細設計は80%強が完了したと語っていた。

 マリネットでの建造の遅れの原因を尋ねられ、ダウニーは同造船所の仕事量の増加、雇用と維持の難しさ、そして現在同造船所で建造中の3つのプログラムの段階がまちまちであることを挙げた。同造船所は、サウジアラビアのマルチミッション水上戦闘艦と米海軍の新型フリゲート艦を建造する一方で、沿海域戦闘艦(LCS)の最終艦を仕上げつつある。

 ダウニーは、マリネットがこれら3つのプログラムを建造していることで、LCSのみを建造していた時と比べて、マリネットの人員削減は「大きく異なっている」と述べた。

 海軍は2020年、NAVSEAが開発した迅速な要求プロセスを用いて、フィンカンティエリ・マリネット・マリーンのFREMM設計を選定した。海軍はこのフリゲート艦の固定価格契約で同社に発注した。

 コンステレーション級(FFG-62)は、故ジョン・マケイン上院議員(アリゾナ州選出)によるLCS計画への痛烈な批判の後に生まれた。マケインは一貫した不支持で、2016年にLCSを指名手配のポスターに載せたほどだが、海軍はLCSを削減し、代わりに誘導ミサイル・フリゲートを追求した。

 海軍関係者がUSNI Newsに語ったところによると、この設計は長年使用されている軍艦をベースにしていたが、設計代理店のギブス&コックスは、欧州海軍より厳しい生存性基準など、NAVSEAの要件を満たすためにFREMMの設計を大幅に変更した。

 ある時点で、コンステレーションの設計はオリジナルのFREMM設計と約85%の共通性を持っていたが、変更によって15%以下に低下したと、変更に詳しい人物はUSNI Newsに語った。

 こうした変更により、ウィスコンシン州の造船所では、すでに課題となっていた労働力問題がさらに深刻になり、ブルーカラー・ホワイトカラー双方で採用難に陥っている。労働力不足に対処するため、海軍はマリネットに5,000万ドルを支給する。同造船所はこの資金で、ブルーカラーとホワイトカラーの両方にボーナスを支給し、マリネットにとどまるようインセンティブを与えている。

 フィンカンティエリは現在、最初のフリゲート艦4隻の建造を請け負っている。先月発表された2025会計年度予算の説明文書によると、2隻目、3隻目、4隻目の納期は「検討中」とある。


新型FFMの輸出は、国内の造船業や関連産業にも好影響を与えることが期待されます。新型FFMの建造は、国内の高度な造船技術を生かす場となり、国際的な競争力を高める手段となります。

5. 日本の自主的な防衛力の強化

型FFMの導入は、海上自衛隊の戦力強化とともに、日本の自主的な防衛力の強化にも寄与します。これにより、日本は他国に依存することなく、独自の防衛能力を確立し、外部からの脅威に対して確固たる立場を取ることができるようになります。特に、日本が直面する地域的な脅威に対して、高い防衛能力を持つことは、国家の安全保障を守るための基本的な前提となります。


新型FFMは、日本にとって単なる艦艇の更新にとどまらず、戦略的な観点から非常に重要な位置を占める存在です。アジア太平洋地域の安定に貢献し、日本の国益を守るための強力なツールとなり、地域の安全保障のバランスを保つ役割を果たします。





第7章:新型FFMの技術的革新と運用能力


新型FFM(フリゲート多用途艦)は、単に日本の防衛力を強化するだけでなく、その革新的な技術設計が、世界の次世代艦艇の基準を引き上げる可能性を持っています。本章では、新型FFMに搭載された最新技術の詳細と、それらがどのように日本の海上防衛戦略に寄与するかを検討します。

1. 高度な自動化技術と省人化設計

新型FFMの最大の特徴の一つは、従来の艦艇よりも大幅に削減された乗員数です。従来、海上自衛隊のフリゲート艦は150名以上の乗員を必要としていましたが、新型FFMは高度な自動化技術を採用することで、乗員数を約90名にまで削減しています。この省人化設計は、長期的な運用効率の向上に寄与するだけでなく、乗員の負担軽減や艦艇の維持コスト削減にも繋がります。

自動化の具体的な事例としては、艦内の各種システムのオートメーション化、監視・通信システムの統合、さらに艦艇運用の管理を効率化するためのAI支援技術の導入などが挙げられます。これにより、少数の乗員でも艦艇の運用が可能となり、戦闘時の迅速な意思決定と効率的な管理が実現されています。

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もがみ型では先進的未来的な360度円形CICが採用され、戦闘管理以外にも、CICであらゆる操作が可能となった。機械・電子機器制御、プラント制御、ダメージコントロール、XCOM制御などが円形CICより可能です。360度CICはあらゆる操作が可能。通常、カメラシステム管理用に2台か4台のディスプレイがありますが、ダメージコントロールと機械制御、出口制御も行う必要があります。そこで、360度全周囲視野のビデオウォールを設置しました。これにより、見たいものをすべて表示できます。巡航中は、外部の情報も確認できる。損傷が発生した場合は、ダメージコントロールディスプレイに切り替えることができます。戦闘作戦指揮下では、通常の戦闘システムディスプレイに切り替えることができる。360度CICはじめ先進的AIを駆使することでもがみ型で乗員を90名、新型FFMで70名まで削減する大幅な省人化が可能となった。

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2. ステルス技術と低可視性設計

新型FFMのデザインには、ステルス性が強化されている点が特徴的です。艦体は、従来の艦艇よりもレーダー反射面積を小さくするための設計が施されており、敵のレーダーに対する可視性を極力低減しています。これにより、艦艇が敵の早期警戒システムに捉えられるリスクが減少し、柔軟な戦術を実施するの強力な基盤が整っています。

具体的には、艦体の角度や形状が変更され、反射波を分散させることで敵レーダーによる検出を難しくしています。また、赤外線放出を抑えるための特殊な塗装や排気冷却システムも採用されており、これにより艦艇の発する熱量を低減させ、赤外線センサーによる発見を防止します。

3. 高度な武器システムと将来の兵器搭載

新型FFMは、従来型の武器システムに加えて、将来的な武器搭載を見越した設計がなされています。これには、コンテナ型兵器モジュール、レーザー兵器、電磁レールガン(EMG)、さらには高出力マイクロ波(HPM)兵器の搭載が検討されています。

  • コンテナ型兵器システム: 新型FFMは、コンテナ型兵器システムを搭載する設計がされており、これにより柔軟に武器を追加・交換することが可能です。これにより、艦艇が一度配置された後でも、時折進化する戦闘環境に適応し、最新の兵器を迅速に搭載することができます。将来的には、長射程の対艦ミサイルや対地巡航ミサイルが搭載される可能性もあります。

  • レーザー兵器: 新型FFMには、高出力レーザー兵器が搭載される可能性があり、これは目標に対する高精度の打撃を提供するだけでなく、敵のミサイルや航空機を撃墜する能力も期待されています。これにより、近距離での防衛能力が大幅に向上します。

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  • 電磁レールガン(EMG): 新型FFMのデザインは、将来的に電磁レールガンを搭載できるスペースを確保しており、この兵器は物理的な弾薬を使用せず、電磁力を利用して高速度の弾丸を発射します。これにより、従来の火薬を使った砲弾の制限を超えた高精度の攻撃が可能になります。

  • 高出力マイクロ波兵器(HPM): 高出力マイクロ波兵器は、敵の電子機器を無力化するための新たな兵器として注目されています。これにより、敵の通信やレーダーシステムを攻撃することができ、戦闘の初期段階で優位に立つことが可能となります。

これらの兵器システムは、未来の戦闘環境において必要不可欠となる可能性があり、新型FFMはその運用準備を整えていると言えるでしょう。

4. 高度なネットワーク統合能力


新型FFMは、戦場での情報共有と連携を強化するために、他の艦艇、航空機、戦闘機、さらには無人機(UAV、USV、UUVなど)との高度なネットワーク統合能力を備えています。このネットワーク化により、各部隊がリアルタイムで情報を共有し、共通の作戦目標に基づいて戦闘行動を調整することができます。

また、艦艇同士だけでなく、航空機や衛星とのデータリンクも可能となり、広範囲にわたる作戦展開を実現します。この情報統合の能力は、次世代の戦闘において不可欠であり、敵に対する優位性を確保するための鍵となります。

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クラウドシューティングに組み込まれ作戦空域で有人戦闘機、無人戦闘機と共同で有人機無人機がロックオンした目標に対しSAMや艦砲EGMで攻撃に参加することも想定されている。

5. 高度な対潜能力と戦術運用

新型FFMは、対潜戦能力を強化するために、最新のソナーシステムと高精度の魚雷攻撃システムを搭載しています。これにより、潜水艦や水中脅威に対して、より迅速で効果的な対応が可能となります。また、艦艇自体の静粛性が高いため、敵の潜水艦に対しても優位に立つことができます。

これらの技術は、特に東アジア地域における潜水艦戦の重要性が高まる中で、新型FFMが持つ戦略的価値をさらに高める要素となります。


第8章:新型FFMの運用シナリオと戦術的役割

新型FFM(フリゲート多用途艦)は、その高度な技術と運用効率により、さまざまなシナリオにおいて日本の海上防衛力を強化することが期待されています。本章では、新型FFMが実際の戦闘や防衛任務においてどのように運用されるか、またその戦術的な役割について詳細に検討します。

1. 防空任務における運用

新型FFMは、対空防御能力を大きく強化する設計がなされています。これにより、航空機やミサイルから艦艇を守るための最前線で重要な役割を果たします。将来搭載される予定の高出力レーザー兵器や高精度のミサイルシステムは、迅速かつ効率的に空中脅威を排除する能力を提供します。

また、艦艇は広範囲にわたる航空機や衛星との情報連携を行い、敵の航空機やミサイルを早期に検知し、優位に立つことができます。このネットワーク化により、複数の艦艇や航空機が協力して防空網を形成し、強力な防空能力を発揮することが可能となります。現状もがみ型は個艦防空に留まるが、新型FFMはSM6もしくは新艦対空誘導弾にて艦隊防空能力を有する。

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 イージス・システム搭載艦(ASEV)とターミナルフェイズでのTMD弾道弾迎撃、

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マルチタックス戦術 対潜水艦戦



2. 対潜戦における運用

新型FFMは、対潜戦においても重要な役割を担います。東アジア地域では、潜水艦の運用が戦略的に重要視されており、これに対応するための能力が求められています。新型FFMには、高精度のソナーシステムや魚雷発射システムが搭載されており、潜水艦を迅速に探知し、撃退する能力を備えています。

さらに、静音性が高い設計により、新型FFM自体が敵潜水艦に発見されにくく、これにより優位に立つことができます。対潜戦においては、艦艇自身が積極的な探索を行い、同時に周辺の艦艇や無人機と連携して広範囲にわたる捜索を行います。このような運用により、潜水艦による奇襲攻撃を防ぐだけでなく、敵潜水艦を早期に排除することが可能となります。

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マルチタックス戦術 対潜水艦戦

3. 島嶼防衛における運用

日本の防衛戦略では、島嶼防衛が極めて重要な位置を占めています。新型FFMは、島嶼防衛においても大きな役割を果たすことが期待されています。特に、コンテナ型兵器システムにより、長射程の対艦ミサイルや対地巡航ミサイルを迅速に発射できる能力が強調されています。

島嶼防衛任務では、敵の艦艇や航空機からの攻撃を阻止するため、長距離から精密な攻撃を行う必要があります。新型FFMは、これらのミサイルを使用することで、遠距離から敵艦艇を制圧し、島嶼を守るための盾となることができます。また、戦術的な柔軟性を高めるために、必要に応じて新型FFMが即座に他の兵器システムにアップグレードできる点も強みです。

4. 輸送任務と海上自衛隊の戦力投射

新型FFMは、戦略的に重要な地域への戦力投射にも使用される可能性があります。具体的には、他国の海上自衛隊との協力を進めるため、アジア太平洋地域を中心に複数の国々と連携して任務を遂行することができます。

さらに、新型FFMは、災害救援活動や人道的援助にも積極的に活用できる設計となっており、平時の運用においても非常に高い能力を発揮します。これにより、海上自衛隊は単に戦闘任務だけでなく、国際的な平和維持活動や人道支援においても強力な存在となることが期待されます。

5. 他国との連携と戦術的協力

新型FFMのもう一つの重要な運用シナリオは、多国籍軍との協力です。特にアジア太平洋地域では、複数の国々が防衛協力を強化しており、日本の新型FFMは、その高いネットワーク統合能力を活かして、他国の艦艇や航空機とリアルタイムで情報を共有し、共同作戦を遂行することができます。

新型FFMは、NATOやその他の友好国との協力の中で、迅速な連携を可能にするため、作戦時のコマンド統合システムや兵器データの共有が重要となります。これにより、緊急時の連携がより効率的に行われ、迅速かつ効果的な戦闘行動が可能となります。

ChatGPT:

第9章:統合戦能力とネットワーク戦の進化

image099新型FFM(フリゲート多用途艦)は、その高い統合戦能力により、現代戦における戦術的優位を確保するための重要な要素となります。本章では、新型FFMがどのようにして他の艦船、航空機、無人戦闘機と連携し、同盟国とのネットワークを活用した戦闘力の向上に貢献するのか、またその戦術的メリットについて詳述します。

1. 高度なネットワーク統合能力

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新型FFMの最大の特徴の一つは、情報統合能力の高さです。この艦は、単独での戦闘力だけでなく、他の艦艇、航空機、無人戦闘機、さらには地上部隊とのリアルタイムでの情報共有を可能にします。これにより、複数の戦力が統合され、シームレスに協力して作戦を実行できるようになります。

新型FFMは、複数の通信リンクやセンサーを使用して、艦艇間でデータを即座に交換し、敵の位置や動向を把握することができます。これにより、敵の動きに迅速に対応するだけでなく、味方艦艇の攻撃や防御活動をリアルタイムで調整し、作戦全体の効率を最大化することが可能です。特に、戦闘機や無人機との情報共有を通じて、空中・海上・陸上の複合的な戦術的優位性を築くことができます。

さらに、新型FFMは「ネットワーク中心戦」(NCW)を積極的に活用する設計が施されています。これにより、艦艇単独では達成し得ない複雑な任務を、他の部隊と連携して成功させることができます。例えば、空対艦ミサイルの攻撃を、無人機による偵察結果を基にターゲットを指定し、さらに艦艇のミサイルシステムで精密に処理するなど、複合的な戦力を最大限に活用できます。

2. 他艦艇および航空機との連携

新型FFMは、他の艦艇や航空機との連携において非常に優れた能力を持っています。これにより、戦闘機や戦略的無人機を含む様々な航空機と、艦艇との間でスムーズにデータを交換し、共同作戦を実現できます。

例えば、艦艇同士がレーダー、ソナー、通信システムを用いて協力し、広範囲にわたる海域を監視・制圧します。これにより、敵艦艇の早期発見が可能になり、反応速度が格段に向上します。また、航空機が提供する空からの情報は、艦艇の兵器システムとの統合を通じて、より精度の高い攻撃や防御が可能となります。これにより、海上での優位性を確立し、敵に対して強力な抑止力を発揮します。

新型FFMのもう一つの強みは、航空機や無人機との連携にあります。例えば、空中発射型ミサイルのターゲティングにおいて、無人機(UAV)による前線偵察データを基に攻撃目標を絞り込み、その情報を新型FFMにリアルタイムで伝達することが可能です。これにより、作戦の精度が向上し、必要な時に必要なだけの攻撃力を集中させることができます。

3. 無人機との協力

無人戦闘機(UCAV)との協力は、将来の海上作戦においてますます重要な要素となると予想されます。新型FFMは、無人戦闘機との連携を前提に設計されており、これにより高い戦術的柔軟性を発揮します。無人機は、リスクの高い任務や偵察任務、さらには攻撃任務において、人員を危険にさらすことなく使用することができます。

無人戦闘機が敵の艦艇や航空機をターゲットにする場合、その情報を即座に新型FFMに伝達し、艦艇のミサイルシステムやレーザー兵器でターゲットを正確に排除することが可能となります。無人機は、空中や海上の高精度な偵察を行い、そのデータをリアルタイムで新型FFMと共有し、即時に対応する能力が向上します。

これにより、無人機を駆使した前線への素早い対応が可能となり、戦闘力を高めることができます。無人機と新型FFMの連携は、これからの海上戦における新たな主流となる可能性があり、より高いレベルの情報戦と迅速な対応が求められます。

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4. 同盟国との連携と国際的な戦術的協力

新型FFMは、単独の艦艇としての強力な能力を持つだけでなく、同盟国との戦術的協力においても重要な役割を果たします。日本の海上自衛隊は、アメリカやオーストラリア、インドなど、アジア太平洋地域を中心とした同盟国との協力を強化しています。新型FFMのネットワーク戦能力は、これらの国々との連携を円滑にし、複数国による共同作戦を実現するための鍵となります。

例えば、同盟国が同時に複数の海域で作戦を展開する場合、新型FFMはその中核として情報の伝達と連携を行い、協力して効果的な戦闘行動を取ることができます。これにより、戦局を有利に導くための共同作戦能力が向上します。

また、日本の新型FFMが持つ技術力や信頼性は、国際的な防衛協力の枠組みにおいても重要な要素となり、他国への輸出や技術協力を通じて、日本の国際的な影響力を強化する役割を担います。


ChatGPT:

第10章:新型FFMの運用シナリオと戦術的展開

新型FFM(フリゲート多用途艦)は、その高い戦闘能力とネットワーク統合能力を活かし、さまざまな運用シナリオにおいて重要な役割を果たします。以下では、これらの運用シナリオと戦術的な展開を考察し、どのようにして新型FFMが現代戦争において効果的に機能するかを明らかにします。
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1. 島嶼防衛と対艦戦

新型FFMは、島嶼防衛における重要な役割を果たすことができます。特に、アジア太平洋地域では、島嶼の防衛が非常に重要な戦略的課題となっています。台湾、南シナ海の島嶼、さらには日本周辺の島嶼における防衛戦が求められる中、新型FFMはその強力な対艦能力を駆使して、これらの島嶼を守るための中核的な存在となり得ます。

新型FFMは、コンテナモジュール兵装を利用することで、長射程の対艦ミサイルや対地巡航ミサイルを搭載することが可能です。これにより、艦は遠距離からの攻撃を実行し、敵艦艇や航空機に対して強力な抑止力を発揮します。また、無人機(UAV)や他の艦艇と連携し、ターゲットを共有することで、攻撃の精度と速度が格段に向上します。

さらに、無人戦闘機を利用した偵察活動によって、敵艦艇の位置や動向を早期に発見し、敵の行動に先んじて対処することができます。これにより、島嶼防衛の戦力を大きく強化することができ、アジア太平洋地域における安全保障の安定に寄与することが可能となります。

2. 援護任務と多国籍共同作戦

新型FFMは、単独の作戦だけでなく、多国籍共同作戦においても重要な役割を果たします。特に、アメリカ、オーストラリア、インドなどとの連携が強化される中で、これらの国々と協力して共同で海上作戦を行うことが期待されます。

新型FFMは、複数の艦艇と航空機、無人機とリアルタイムで情報を共有し、共同作戦を実行するための戦術的な中心として機能します。例えば、アメリカの空母戦闘群やオーストラリアの海軍艦艇との協力によって、広範囲の海域を制圧し、敵の進出を防ぐことができます。無人機による偵察情報を共有し、即時に攻撃に移ることで、作戦のスピードと効果を高めることができます。

さらに、これらの国々との協力を通じて、日本はアジア太平洋地域での影響力を強化し、戦略的な安定を保つための主導的役割を果たすことができます。新型FFMの運用によって、日本は同盟国とともに、広範囲にわたる海上安全保障を確保することができます。

3. 高度な電子戦と防空戦

新型FFMは、電子戦および防空戦においても非常に高い能力を持っています。現代の海上戦では、敵のレーダーや通信を妨害し、自艦の存在を隠すことが重要な戦術となります。新型FFMは、先進的な電子戦システムを備えており、敵のレーダーや通信網を妨害する能力を持っています。

また、防空戦においても新型FFMは優れた能力を発揮します。近距離防空ミサイルシステムや、レーザー兵器を活用した迎撃能力により、艦を攻撃するミサイルや航空機からの脅威に対して迅速かつ効果的に対応することができます。これにより、艦艇の生存性が大幅に向上し、長期間にわたる作戦においても安定した運用が可能となります。

さらに、新型FFMの電子戦能力は、無人機や他艦艇との連携においても有効です。無人機による情報収集を阻止するための電子戦手段を講じることができ、敵の無人機や偵察衛星に対して対抗する能力も備えています。

4. 非対称戦と海上での柔軟な対応

新型FFMは、非対称戦においても非常に高い柔軟性を発揮します。非対称戦とは、敵の戦力が自国のものと大きく異なる場合において、強力な軍事力に対抗するために柔軟かつ効果的な戦術を取る戦闘形態を指します。新型FFMは、こうした状況にも適応できる能力を持っています。

例えば、敵が無人機や小型高速艇を利用して攻撃を仕掛けてくる場合、新型FFMはその高いセンサー能力とネットワーク統合能力を活用して、素早く敵の位置を把握し、即座に反撃することができます。これにより、非対称戦においても圧倒的な戦闘力を発揮し、敵の攻撃を無力化することが可能です。

5. 戦争の速さと変化に適応する能力

現代戦では、戦況が極めて速いペースで変化します。新型FFMは、こうした変化に即座に対応できるよう設計されています。高度なAI(人工知能)や自動化技術を活用して、艦は戦闘状況を瞬時に解析し、最適な行動を選択することができます。これにより、戦闘における迅速な意思決定と行動が可能となり、戦場での優位性を維持することができます。

                                                                                 

第11章:将来装備 ― コンテナミサイル、レーザー兵器、電磁レールガン(EMG)

新型FFMは、現代の戦術環境に柔軟に適応しうる「将来拡張性」を重視した設計思想に基づいている。その中心にあるのが、コンテナモジュール兵装の採用である。これは艦上の特定スペースに標準コンテナ形式で様々な兵装を搭載できるシステムで、状況に応じて対艦ミサイル、対地巡航ミサイル、無人機管制装置、電子戦装置などを迅速に換装できる。

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特に注目されているのが、「国産長射程スタンドオフミサイル(12式地対艦ミサイルの改良型)」や、将来配備予定の極超音速滑空体(HGV)を搭載可能とするモジュールの導入である。これにより、新型FFMは敵の艦艇・陸上施設に対して戦略的抑止力を有する「打撃プラットフォーム」としての性格を強める。

さらに、防衛装備庁が研究開発を進める高出力レーザー兵器は、無人機群や高速ミサイル、迫撃砲弾といった「安価かつ大量」の脅威に対し、コスト効率的な対処が可能な次世代兵装である。これを艦上に搭載することで、従来のCIWS(近接防空システム)を補完または置き換え、持続的な自衛能力の強化が図られる。

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また、**電磁レールガン(EMG)**についても防衛装備庁が開発を進めており、数年内の実証試験を経て、新型FFMへの搭載が現実味を帯びている。レールガンは従来の火薬式砲と異なり、電磁力で弾体を超高速で発射するシステムであり、射程・貫通力に優れ、極めて低コストで運用可能である。現状は高級玩具にすぎないが将来的には対艦・対空・対地いずれの任務にも柔軟に対応しうる万能砲になるかもしれないが、新型FFMにおいては将来極音速飛行体迎撃砲として、新型FFMの中核兵装になる可能性がある。




第12章:日本の防衛産業と対等な日米同盟構築という国家戦略/輸出戦略としてのFFM

新型FFMは、防衛装備の「国産化・モジュール化・輸出可能化」という三位一体戦略の成功例といえる。日本の防衛装備品は、従来は国内向けのみに限定されていたが、防衛装備移転三原則のもと、戦略的パートナー諸国への輸出が現実となりつつある。

インドネシアやオーストラリアなど、海洋戦略上の要衝に位置する諸国からの新型FFMへの関心は、日本の技術力と信頼性の高さを裏付けている。両国とも仮想敵関係にあり、同一装備の輸出には外交的なジレンマがあるが、これを逆手にとって「調整者」としての地位を確立することは、日本の外交安全保障政策に新たな局面を開く。

造船業においても、FFMの大量建造・輸出は国内造船業界の活性化と雇用創出にも寄与し、国益を広範に波及させる可能性がある。日本が世界有数の高品質な艦艇を安定的に供給できる国家として認識されることは、国際的な安全保障市場における競争力向上にもつながる。

2025年4/24にこのブログ記事を書いたがその4日後の日経新聞記事だ以下である。米国の造船能力がじり貧となっている為日本に米海軍軍艦の建造を要請したいというフェラン米海軍長のインタビュー記事である。


トランプ政権、日本に軍民両用の造船要請へ 米海軍長官

2025年4月28日 0:00日経新聞 [会員限定記事]

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ワシントン近郊の国防総省でインタビューに応じたフェラン米海軍長官

【ワシントン=飛田臨太郎】米政府が造船業を巡り日本に安全保障と経済の両面で協力を求めることが分かった。ジョン・フェラン米海軍長官が日本経済新聞に明らかにした。日米で商業船舶を軍事転用可能な仕様で建造するほか、日本企業に米西海岸の造船業へ投資を要請する。


フェラン氏が日本を訪問し、28日に中谷元防衛相らとの会談で伝える。日本企業との面会や造船所の視察も予定する。同氏は米投資会社の創業者でトランプ大統領と関係が近く、海軍長官に3月に就任した。訪日を前にワシントン近郊でインタビューに応じた。

世界の造船能力の5割は中国が占め、米国の200倍を超える。軍事用と商業用の境目なく国家主導で造船を進める中国は海軍の規模でも米軍を引き離す。

フェラン氏は同盟国である世界造船2位の韓国、3位の日本と一体で米国の復活を目指すと説明した。商業船舶を軍事用に転換できる設計で製造するよう日本に提案する。建造需要を高く保ち、技術革新やコスト削減につなげる効果を見込む。

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フェラン氏は「トランプ氏が非常に気に入っている」案だと指摘した。大型フェリーや砕氷船などが念頭にあるとみられる。米シンクタンクによると、先行する中国では商業船の甲板も戦車を搭載できる強度を持つ。

フェラン氏は「私たちは(中国と)同じ事をしているとは思わない」と述べ、日米では新しい取り組みになると示唆した。

平時での協力の強化も打診する。横須賀などに前方展開している米軍艦船を日本の民間造船所で試験的に整備・修理・オーバーホール(MRO)しているが、これを拡大する。インド太平洋地域で活動した船舶が米国に頻繁に戻るコストと時間が削減でき、同盟の強化にも寄与する。

フェラン氏は日本企業に米国の造船所への投資を促すと明らかにした。日本の技術や資金を生かして、衰退した米国内の造船所の再生を狙う。米国企業との共同事業が望ましいと触れた。

韓国の大手造船企業が最近、相次ぎ米国に投資したのに触れて、日本への期待を示した。韓国政府はトランプ政権との関税交渉でアピール材料に使う。フェラン氏は日本との交渉でも「(造船は)全ての選択肢をテーブルの上に置くべきだ。可能性のある措置の一つで、間違いない」と語った。

日米両首脳は2月の会談で発表した共同声明に防衛産業協力を盛り込んだ。「サプライチェーン(供給網)と海洋」と分野を明記し、共同での生産、開発、維持整備を推進する姿勢を確認した。造船や艦艇整備が念頭にある。

フェラン氏は、トランプ氏から20日に「米国は常に先手をとらなければならない」との趣旨のテキストメッセージを受け取ったと明かした。日本や韓国を訪ねる予定を報告すると「首相によろしく伝えてくれ」と返事があった。造船を巡る米国の状況について「我々はすぐに行動する必要がある。今が分岐点だ」と危機感を示した。「日本や韓国のような造船に優れた同盟国と協力することは不可欠だ」と強調した。

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フェラン氏が視察する予定のジャパンマリンユナイテッド(JMU)の磯子工場(神奈川県)

日本の造船業は韓国や中国に比べて企業の規模が小さく、人員不足で生産基盤が弱まっている一方、技術力は世界的にみても高い。海上警備や防衛力の確保のため自国の造船業をどう維持するかが課題になっている。日米で組み、それぞれの産業の課題を解決するための協力を模索する動きがある。

日本の艦艇メーカーは現在、三菱重工業とジャパンマリンユナイテッド(JMU)、川崎重工業の3社がある。かつてはIHIや住友重機械工業、カナデビア(旧日立造船)、三井E&S(旧三井造船)など重工各社が艦艇を手掛けていたが、長引く造船不況などを背景に事業を分社化したり造船業そのものから撤退したりするなどして再編が進んだ。イージス艦に代表される水上艦は三菱重工とJMUが、潜水艦は三菱重工と川崎重工がそれぞれ手掛ける。

日本の造船会社による米海軍艦艇建造は対等な日米同盟として日本の国益・・・

2025年現在、アメリカ合衆国は深刻な造船能力の低下に直面している。第二次世界大戦中には世界最強の造船力を誇ったアメリカだが、戦後は「ジョーンズ法」などの国内産業保護政策により競争力を失い、結果として船舶建造分野で世界シェアを大幅に落とした。現在では、世界中で建造される船の90%以上を中国、韓国、日本が占め、アメリカはもはや造船大国とは言えない状況にある。

一方、中国は南シナ海、東シナ海での覇権を確立するため、猛烈な勢いで軍艦建造を進め、すでに世界の造船市場シェア66%を握っている。これに対抗しようにも、アメリカは自国内で軍艦を大量に建造する能力を失ってしまっているため、外交的に敵対する中国に発注するわけにはいかず、結果として頼る相手は日本と韓国しか残っていない。

このような背景から、アメリカ軍が日本に対して軍艦の建造を正式に依頼するに至った。これは単なる軍事装備の話ではなく、日米関係全体を左右する重大な局面を意味している。

ここで重要なのは、日本がこの機会を「国益」追求の観点から、冷静かつ戦略的に活用できるかどうかである。

第一に、これは日米同盟のあり方を「より対等な関係」に近づける好機である。これまで日本は、アメリカの軍事的庇護を受ける立場に甘んじ、十分な自主防衛力を持たない状況が続いてきた。しかし、アメリカが自国の軍備すら他国に依存しなければならないほど弱体化している現状を直視すれば、もはや「守られる側」という意識を捨て、「同盟国として対等な役割を担う」という方向へ転換すべき時である。

第二に、軍艦建造を引き受けることは、日本にとって経済的・産業的にも大きな利益となる。長らく停滞していた国内造船業に新たな需要をもたらし、高度な技術力を維持・発展させることができる。特に、防衛装備品という高付加価値分野において受注を獲得できることは、単なる景気刺激策にとどまらず、国家戦略上の「産業基盤強化」に直結する。

第三に、外交交渉上、日本に大きなアドバンテージをもたらす可能性がある。特にトランプ政権との間で続いている関税問題において、日本が軍艦建造を引き受けるという事実を交渉材料に使えば、自動車など他の分野での関税引き下げ、あるいは撤廃を実現できる可能性が高い。軍事協力と経済利益を連動させるしたたかさが今、問われている。

第四に、アメリカの依存が進めば進むほど、日本の「発言力」は自然と高まる。これまでのようにアメリカの意向に唯々諾々と従うだけでなく、日本の主張を堂々と伝え、必要に応じて交渉を主導する立場を目指すべきである。そのためにも、今回の軍艦建造問題を単なる「受注」と捉えるのではなく、日米同盟の新しいバランス構築の契機と位置づける必要がある。

もちろん、このプロセスには慎重さも求められる。単にアメリカの言いなりになるのではなく、日本の技術力、品質管理、コスト管理などの条件をしっかり提示し、相手に不当な要求を飲まされないよう毅然とした態度を取らなければならない。防衛装備品に関する情報漏洩や技術流出にも万全の対策が必要だ。

また、アメリカ以外の国々、とりわけインド太平洋地域の友好国との連携も併せて強化すべきだろう。アメリカ一国に過度に依存することなく、多角的な安全保障ネットワークを築くことこそが、真に日本の独立性と国益を守る道である。

総じて言えば、今回のアメリカ軍艦建造依頼は、日本にとって一方的な負担ではなく、戦後初めて「対等な日米同盟」のビジョンを現実のものとするためのまたとないチャンスである。国益を最大化するために、日本政府には戦略的かつ冷静な対応が求められる。

今回の
フェラン米海軍長官の要請は軍用転用可能な商用船の要請だが、水上戦闘艦建造要請となった場合、当初100隻近く建造計画があった沿海域戦闘艦( Littoral combat ship, LCSのフリーダム級(基準排水量2,707 t満載排水量 3,292) tインディペンデンス級(基準排水量2,307 t満載排水量3,104 t)であったがLCSの特徴であったミッション・パッケージが機能せず、酷い性能であり両級あわせ32隻で打ち切りとなった。LCSはミッション・パッケージで対水上艦戦、対潜水戦に加え対機雷戦(掃海/敷設)として計画されたものだが、日本は LCSの失敗の教訓からの答えがもがみ型FFMであり米海軍は LCSで空いた穴をどう埋めるのか今後の計画が不透明であり新型FFMの大量発注の可能性がある。日米で同じクラスの艦艇を運用することはコスト的にも長期的に30年~50年と維持修理保守の側面からも計り知れないメリットがある。

ノックス級フリゲート艦が47隻オリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲート艦58隻であった。

米海軍が新型FFMを50隻発注することも十分考えられるのである!


第13章:GCAPと並ぶ国家技術力の象徴としてのFFM

FFMは、日英伊が共同開発中の次世代戦闘機プロジェクト「GCAP(Global Combat Air Programme)」と並び、日本の軍事技術力を象徴する国家的プロジェクトとなっている。どちらも「アメリカ依存からの脱却」を意識した構想であり、独立した装備体系を有する国としてのプレゼンスを明確にするものだ。前大戦時日本が世界に誇った二大兵器『ゼロ戦と戦艦ヤマト』ではないが『GCAPとFFM』だ。

GCAPが空の主権を守る「天空の盾」であるならば、FFMは海上自衛の中核を担う「海の槍」である。特に統合戦指向の通信・戦闘管理システムは、GCAPとのシームレスな統合も視野に入れた開発が進んでおり、陸海空のネットワーク統合戦において日本が中心的役割を果たす未来図を示している。



日本が世界に誇った二大兵器ではあったが、この国の現場力、技術力の高さが再確認される一方で、「実用性」や「安全性」に問題があった。戦後80年GCAPとFFM』は世界最高の兵器となるであろうが、『ゼロ戦と戦艦ヤマト』の轍を踏まないよう当ブログは見守っていきたい


第14章:米中対立・台湾有事・第三次世界大戦の可能性とFFMの意義

台湾有事が現実となれば、日本はその地理的・戦略的位置から否応なく戦略的最前線となる。沖縄諸島から台湾まではわずか約100キロメートル。南西諸島における防衛態勢の要として、FFMの配備は抑止力の中核となる。

米中対立が激化する中、アメリカ一国に依存する安全保障体制はすでにリスクを内包している。ウクライナ戦争を通じて露見した米国兵器供給の脆弱性、造船能力の低下(年間わずか10隻程度)を背景に、日本が独自の装備体系と製造能力を持つことは、極めて重要である。

FFMの運用は、戦争を抑止するための強力なシグナルであり、「平和の裏付けとしての武力」の具現化に他ならない。


第15章:新世界秩序と日本の立ち位置の変化

第二次世界大戦後、アメリカが主導してきた世界秩序は今、大きく揺らいでいる。多極化が進行し、インド、トルコ、イランなど独自の勢力圏を築く国々が台頭する中、日本は「西側の一員」から「独立した技術大国」へと転換を迫られている。

その中核となるのが、防衛装備を通じた国際影響力の強化である。高性能・信頼性・持続性に優れたFFMは、平時には各国との共同訓練・防衛協力の場を提供し、有事には抑止力・制海力として機能する。まさに、軍事外交の旗艦として、日本の国際的ポジションを押し上げる存在である。


まとめ:FFMは世界の信頼を得る「世界新秩序を構築し守る船」となり得るか

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FFMは、日本が誇る最新鋭の防衛艦艇であると同時に、国家戦略・産業振興・国際安全保障という三つの柱を支えるプラットフォームである。その存在は、敵に対する抑止力であり、味方にとっての信頼の証であり、そして国民にとっての安心の象徴である。

「戦わずして勝つ」ためにこそ、備えが必要だ。新型FFMはその先端を走るものであり、まさに**「世界平和を守るための戦う船」**である。今後、世界中の海にその姿を現すとき、それは単なる艦艇ではなく、日本の意志と技術と信頼の象徴となるであろう。