JNAAMミサイル開発を再開し量産せよ!
――「短き槍では戦(いくさ)にならぬ」――
もくじ
序章:令和の信長の槍は空を突くべし
第1章:JNAAMとは何だったのか ― メテオを凌駕する「日本製シーカー」
第2章:JNAAMの中止 ― 背後に透ける政治的配慮
第3章:JNAAMの代替案は存在しない ― 中距離ミサイルでは空は守れぬ
第4章:世界はすでに「長槍時代」に入った ― PL-15とAIM-260
第5章:令和の信長になれ ― 戦略を変える「長槍」の思想
第6章:提言 ― JNAAMの量産再開こそ空の抑止力
結論:短槍で未来は守れぬ
序章:令和の信長の槍は空を突くべし
戦国時代、織田信長は三間半(約6.3メートル)の長槍を兵士に持たせ、戦場の常識を覆した。長槍はただ突くのではなく、振り回して叩く武器である。常識を打破する発想は、戦術と戦略の根幹を変革した。
現代の空中戦における「長槍」とは、即ち空対空ミサイルの射程である。今や200kmを超えるミサイルが空の支配権を決する時代となった。だが、日本が誇る長距離ミサイル計画「JNAAM(Joint New Air to Air Missile)」は、2023年、ひっそりと幕を閉じた。防衛装備庁は「2023年に実施する試射をもってプログラムを終了する」とだけ発表し、明確な理由は示していない。
この決定は、果たして合理的な判断だったのか?
第1章:JNAAMとは何だったのか ― メテオを凌駕する「日本製シーカー」
MBDAメテオはMBDA社が開発しているアクティブレーダー誘導の長距離空対空ミサイル。視程外射程の空対空ミサイルで正確な情報は不明ながら有効射程200km以上最大射程300km以上ではないかと推定されている西側諸国のAAMとしては最長射程距離のAAMである。
MBDAメテオ正確な射程距離は機密であり、100km以上を超えると述べています。しかし、開発者MBDA UKは、「現在の AMRAAMの3倍NOESACPEゾーンはありません」と述べました。、軍の専門家は、少なくとも200〜300 kmの範囲がないと推測しています。アクティブレーダーシーカーに誘導されるミティアミサイルは、すべての天候状況に作戦能力を提供し、機敏で速いジェット機から小さなUAV、地形が複雑でジャミング信号が多い環境での巡航ミサイル迎撃も可能だ。 ミティアはデータリンクコミュニケーションを装備しており、ネットワーク中心環境での要求を満たす。
複数の軍事関連カンファレンスや防衛産業展示会でMBDA関係者たちのインタビューで明らかになった主張を総合すれば、ミティアは暗ラム以上行く現存最強の空対空ミサイルとして射程距離が200kmを凌駕することは確実視され、固体ロケットでは何をするかサイズと重量でミティアの性能を超えることは不可能と考えられる。 #これを可能にするのは、ラムジェットエンジンの一種であるダクテッドロケットの適用のおかげです。既存の空気ミサイルに使用される固体燃料ロケットには、他のロケットのように燃料と酸化剤が装備されており、燃やされると、それを止めたり、出力を調整したり、推力を事前に制御することは非常に困難です。燃料は事前に形成されます。一方、ダックされたロケットは一種のジェットエンジンであり、まるで典型的なジェットエンジンの固体燃料に燃料が変更されたかのように単純にです。名前がダクトされると、外気を吸うダクトがあるため、酸化剤を装備する必要はないため、酸化剤の量と同じくらい多くの燃料を装備できるため、動作時間ははるかに長くなります。
JNAAMミサイルが特異だったのは「日本製シーカー」にある。C4IシステムJANAAMミサイルの射程は非公式で300km台あるがJANAAMミサイルにはAAM-4Bのガリウムナイトライド素子を組み込んだシーカーをベースに高性能シーカーを搭載しているが、将来空対空誘導弾には更に高性能なシーカーが開発されると予想します。現在次期戦闘機に搭載する予定の高出力のAESA(アクティブ電子走査アレイ式)レーダーには、高出力の窒化ガリウム(GaN)素子を用いていますが、将来空対空誘導弾にも高出力の窒化ガリウム(GaN)素子や炭化ケイ素(SiC)を用いた超高性能新シーカーが開発されることが予想されます。日本が独自開発したAESAレーダー(アクティブ電子走査アレイ)シーカーは、ミサイル自身が高精度な索敵能力を持つ点で他国製を凌ぐ。実際、JNAAMにはAAM-4B(99式空対空誘導弾改)の技術が導入されていたとされ、これは世界で初めてAESAシーカーを採用した空対空ミサイルだった。
JNAAMミサイルはつまり、「欧州の推進力」×「日本の目」というハイブリッド兵器であり、その性能はメテオを凌ぐ世界最高の長距離AAMミサイルとなる可能性が高かった。
第2章:JNAAMの中止 ― 背後に透ける政治的配慮
2023年3月31日、防衛装備庁は「2023年に予定された試射をもって、JNAAMプログラムは終了する」と発表した。しかし、その理由は明かされていない。
日英共同新型空対空ミサイルの研究、ひそかに終了。
ここに「政治的配慮(米国の)」の匂いを感じざるを得ない。
JNAAM(Joint New Air-to-Air Missile)の開発中止は、単なる技術的・予算的な理由ではなく、日米防衛協力の新たな枠組みと、米国防衛産業の製造能力の低下を補完する日本の製造業の役割という、複雑な政治的配慮が背景にある可能性が高い。
【1】米国防衛産業の製造能力の低下
冷戦終結後、米国の防衛産業は大規模な合理化と縮小を経験し、特に熟練労働者の退職や新規人材の不足により、製造能力の低下が顕著となっている。この状況は、ロシアのウクライナ侵攻や中東での紛争など、世界的な安全保障の不安定化により、ミサイルや艦艇の需要が急増する中で、深刻な問題となっている。米国防総省は、同盟国との防衛産業協力を強化することで、これらの課題に対応しようとしている。 東京新聞デジタル
【2】日本の製造業による補完
日本は、高品質な製品を納期内に提供する能力を持つ防衛産業を有しており、米国の防衛産業の製造能力の低下を補完する役割を果たすことが期待されている。特に、F-35戦闘機の最終組立・検査(FACO)やエンジンの整備拠点を国内に設置するなど、日米間での防衛装備の共同生産や整備体制の構築が進められている。 WSJ防衛省
【3】JNAAM開発中止の政治的背景
このような状況下で、JNAAMの開発中止は、日米が同じミサイルを生産・運用することで、装備品の共通化と運用の効率化を図るという政治的配慮が影響している可能性がある。また、米国の防衛産業の製造能力の低下を補完するために、日本の製造業が米国の防衛装備品の生産に参画することが求められており、JNAAMのような独自開発のミサイルよりも、米国と共同で開発・生産する装備品が優先されていると考えられる。
もう一つ台湾有事が近い為AMRAAMを大量輸入したとの説もある。
第3章:JNAAMの代替案は存在しない ― 中距離ミサイルでは空は守れぬ
現在、日本は「将来中距離空対空誘導弾(仮称)」の研究を進めており、これはAAM-4Bの後継と位置付けられている。しかし、防衛装備庁自身が明言するように、この新型中距離ミサイルは**「JNAAMの代替ではない」。つまり、日本は現時点で長距離空対空ミサイルを持たず、開発計画も“白紙”**に戻った状態にあると言える。
この事実は、戦場において「二間半の槍」しか持たないに等しい。現代の航空戦は「誰が最初に見つけ、誰が最初に撃ち、誰が最初に相手を消すか」がすべてであり、そこには従来のドッグファイト的な“格闘戦”の幻想は存在しない。射程の差が、そのまま生死の差である。
■長槍で突かれる日本の空
近年、中国やロシアは相次いで超長距離空対空ミサイルを実戦配備している。中国のPL-15はすでに西側のAIM-120シリーズを上回るとされ、さらに噂されるPL-XXは射程400km以上に達するとの情報もある。ロシアのR-37Mは射程300〜400km、巡航ミサイルやAWACSを狙う設計となっている。
さらに衝撃的なのは、ロシアの最新地対空ミサイルS-500プロメテウスが最大射程3500kmを誇ることである(ただし、これは対衛星・弾道ミサイル迎撃時の値)。実際の航空目標への対処距離でも400km級とされ、日本の防空圏は根本から脅かされている。
日本が独自に開発している「中SAM改」ベースの極超音速迎撃ミサイルについても、その射程は非公開ながら、長距離化は避けられない情勢である。こうした環境下で、中距離ミサイルしか持たない航空自衛隊の戦闘機が敵機と戦えば、そもそも撃ち合う前に撃墜される。
特に問題なのが、**AWACS(早期警戒管制機)**の生存性である。PL-15やR-37Mは、敵制空圏の背後にいるAWACSを直接狙う能力を持つとされており、従来のように戦域上空で悠々と飛行することが不可能となりつつある。AWACSは後方に退避せざるを得なくなり、即応的な状況把握や戦術指揮が遅れ、空中戦での主導権を失う恐れが強まっている。
■GCAP/F-3は「サイバー戦闘機」である
では、このような不利な環境下で、日本はどうやって制空権を確保すべきか。ここで鍵を握るのが、次世代戦闘機GCAP/F-3である。
GCAPは単なる第五世代戦闘機の延長線上にある機体ではない。AI統合、電磁スペクトル支配、クラウドシューティング、随伴無人機との協調作戦など、次元の異なるコンセプトを多数取り入れた「第六世代」対応の**“サイバー戦闘機”**なのである。
この機体は、以下の特徴を備える予定だ:
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超長距離センサーとフルスペクトル電磁戦能力
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AIによるリアルタイム戦術判断と自律行動
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随伴無人機(ロイヤルウイング)との分散型戦闘
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仮想コックピットやクラウドシューティングによる戦場支配
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完全なネットワーク中核機能(指揮・制御・情報中継)
その本質は、「自らが戦域内ネットワークのハブとして機能し、敵より先に探知し、敵より安全な位置から、敵より遠くへ撃つ」ことにある。
■その「矛」となるのがJNAAMである
このGCAP/F-3の能力を最大限に活かす武器が、**JNAAM(Japan New AAM)**である。
JNAAMは、AAM-4Bのレーダー誘導能力を進化させ、英国MBDA社の「メテオ」エンジン技術と融合した“長距離アクティブレーダー・ミサイル”である。特徴は以下の通り:
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射程はメテオを凌駕(推定200km以上)
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アクティブ・フェーズドアレイ(AESA)レーダー誘導
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発射後ロックオン(LOAL)に対応
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目標の機動やECM環境に耐える末端誘導制御
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クラウドシューティング運用を前提とした情報中継対応
つまり、GCAP/F-3が得たターゲット情報をもとに、随伴無人機や僚機が発射したJNAAMによって敵を迎撃する。しかも、JNAAMは発射後に機上から目標情報をリアルタイムでアップデートできるため、敵の回避行動やジャミングにも柔軟に対応可能である。
この「クラウドシューティング」によって、GCAP/F-3は自らリスクを取ることなく、数百km先の敵機を排除することが可能になる。戦場で撃ち合うことすらせず、敵が接近する前に“排除”する能力。これが第六世代航空戦の本質であり、JNAAMはそのための“長槍”なのだ。
■JNAAMの不在は、GCAPの戦力化を半減させる
逆に言えば、JNAAMの配備が遅れたり、開発が中止されれば、GCAP/F-3の本来の性能は大きく制限されることになる。
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どれほど高性能なレーダーで探知しても、撃てる距離が短ければ無意味
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どれほどクラウドネットワークが強靭でも、撃つ手段がなければ活かせない
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どれほど無人機で分散展開しても、制圧手段がなければ殲滅できない
これは、未来の航空自衛隊にとって**「眼はあっても、槍がない」**という状況を意味する。F-3は“見える”が“届かない”という、重大な戦力不整合を招く。
したがって、JNAAMは単なる「弾薬」の話ではない。それは、GCAP/F-3という「サイバー戦闘機」コンセプト全体を支える中核兵器なのである。これを欠いたGCAPは、「第六世代機の皮をかぶった第五世代半端機」に堕してしまう。
今、日本がなすべきは、JNAAMの開発再開と早期量産化の決断である。それこそが、GCAPを真に第六世代機として戦力化し、日本の空を守る唯一の道なのだ。
第4章:世界はすでに「長槍時代」に入った ― PL-15とAIM-260
■1. カシミール空中戦:第4.5世代機同士の歴史的交戦
2025年5月8日、インドとパキスタンの係争地カシミールにおいて、史上初の第4.5世代機同士の大規模空中戦が発生したとされている。
両国の第4.5世代戦闘機約125機が互いに領空を越えることなく、1時間以上にわたり長距離空対空ミサイルによる戦闘を繰り広げたと報じられている。
この戦闘では、パキスタン空軍のJ-10CE戦闘機およびJF-17ブロック3が投入され、主力兵器として中国製のPL-15長距離AAMが運用されたとされる。インド空軍はラファール戦闘機を投入し、MICAおよびMBDAメテオといった欧州製ミサイルを装備して応戦した。
その中で注目されたのが、中国製「PL-15」の驚異的射程である。
インド空軍のラファール戦闘機が撃墜された可能性があるが、その背後にPL-15(最大射程200~300kmとされる)の運用があったとする分析も出ている。PL-15はアクティブ・レーダー誘導とロケットモーターに加え、双方向データリンクまで搭載し、米国が焦って開発を進めている次世代空対空ミサイル「AIM-260 JATM」(射程未公表、推定250km以上)と並ぶ存在だ。
ロシアも「R-37M」などで射程300kmを超えるとされ、超長距離空対空ミサイルの時代はすでに到来している。
■2. PL-15と「目視外戦闘(BVR)」の現実化
注目されたのは、PL-15の実戦投入とされる情報である。このミサイルは射程200km超、マッハ4以上の速度、アクティブ・レーダーホーミングと双方向データリンクを備えた中国空軍の次世代主力AAMである。米国が開発中のAIM-260 JATM(Joint Advanced Tactical Missile)と並び、「超長距離AAM時代」の象徴的兵器といえる。
ロシアのR-37Mも射程300km以上とされ、現代の空対空戦闘は「誰が先に撃てるか」という"長槍の時代"に突入している。
■3. インド空軍の損耗と錯綜する情報
パキスタン側はインド空軍機5機を撃墜したと主張し、SNS上には撃墜機の残骸とされる映像が流れている。インド側でも、ラファールの1機喪失がほぼ確実視されており、戦闘の規模と結果の重大さは否定しがたい。
しかし、撃墜にPL-15が関与したかどうかは確定しておらず、筆者はインド空軍による誤射(フレンドリーファイア)の可能性も高いと見る。インド軍は雑多な兵器体系(ロシア、フランス、国産)の統合作戦能力に課題を抱えており、C4I体制の不整備が要因となった可能性もある。
■4. PL-15 vs メテオ:超長距離AAMの優劣とは
ラファールに搭載されるMBDAメテオは、欧州最先端の長距離AAMであり、有効射程は130マイル(約209km)、最大射程は200マイル(約321km)とされている。理論上、PL-15と互角以上の性能を持つ。
しかし、ミサイル戦闘における決定的な要素は「誰が、どこから、どのタイミングで発射するか」であり、地上レーダーやAWACSの支援を受けたネットワーク中心戦が成否を分ける。単なるミサイルの射程比較ではなく、戦闘システム全体の優劣が重要なのだ。
■5. C4I戦と“発射台としての戦闘機”
今回の空中戦から見えてくるのは、戦闘機そのものが戦闘の中心ではなくなりつつあるという現実だ。情報処理・共有・統合能力、すなわちC4+I(Command, Control, Communications, Computers & Intelligence)こそが勝敗を決する時代である。
特に、インド空軍はAWACS機を8機保有するが、戦闘機の多様性ゆえに統一的な空戦指揮に難があり、戦術的混乱が生じた可能性がある。一方で、パキスタンは中国と共通仕様のAWACS(ZDK-03)とJ-10CE/PL-15の組み合わせにより、より統合された作戦行動が可能だったと考えられる。
■6. 懐疑的視点と今後の検証課題
もし本当にJ-10CEとPL-15による撃墜があったなら、それは中国製兵器の信頼性と実戦性能を大きく押し上げる出来事となる。しかし、そうした成果をパキスタンが国内外に強調していない点や、撃墜パイロットの英雄化が見られない点は不自然でもある。
したがって、筆者としては「PL-15による撃墜説」よりも、インド空軍機同士の同士討ちの可能性を高く見ている。ラファールと他機種間のシステム整合性の低さが、視界外空戦で致命的な混乱を招いたのではないか。
■7. 戦術から戦略へ:「長槍」の示す未来
この戦闘を通じて、「長射程ミサイルを制する者が空を制す」という新時代の空戦思想が現実のものとなった。例えるならば、織田信長が三間半(約6m)もの長槍を用いた戦法が、従来の槍術を一変させたようなものだ。
長く重い槍は扱いが難しいが、一度使いこなせば無類の強さを発揮する。長距離AAMもまた、複雑なC4I・統合作戦能力がなければ真価を発揮しない兵器だ。単に「射程が長い」だけではなく、「誰がどのように使うか」が問われる時代である。
第5章:令和の信長になれ ― 戦略を変える「長槍」の思想

――これは、織田信長が語ったとされる有名な言葉である。
戦国時代、戦場の主役は「武士の個人戦」だった。槍の長さは二間半(約4.5メートル)程度が標準とされ、それ以上は重くて扱いづらいとされた。だが、信長はこれを三間(約5.4メートル)、さらには三間半(約6.3メートル)まで延長させた。槍は「突き刺す道具」から「叩き潰す道具」へと再定義され、個人の武勇ではなく、統制された集団戦の時代を切り開いたのである。
これは単なる兵器改良ではない。戦いそのものの定義を変える戦略的転換だった。
令和の日本も、今まさに同じ転換期にある。
次期国産戦闘機「F-3(烈風)」は、単なる空戦機ではなく、AIとセンサー融合、無人機統合、電子戦環境への適応といった「サイバー戦闘機」として構想されている。それは、空中における「情報戦の司令塔」としての機能を果たす新たな存在だ。
このような戦闘機には、もはやドッグファイトの俊敏性ではなく、より「長い槍」、すなわち**敵の視界外・射程外から敵を叩く長距離空対空ミサイル(LRAAM)**こそが必要となる。そして、その答えが――**JNAAM(Japan New Advanced Air-to-Air Missile)**である。
戦いの主導権を奪う思想
信長の思想が最も鮮やかに花開いたのが、天正3年(1575年)の長篠の戦いである。信長は1,000丁以上の鉄砲を三段撃ちに編成し、馬防柵と長槍隊を併用して、最強と謳われた武田の騎馬軍団を粉砕した。
だが勝因は単に火力ではない。三段撃ちによる「間断なき攻撃」を成立させるためには、敵の突進を止める柵、そして接近を阻止する長槍隊が不可欠だった。つまり、鉄砲(火力)、柵(防御)、長槍(迎撃)の三位一体が、あの圧倒的勝利を生んだのである。
そして、これは現代の空戦にも通じる。
現代の長篠 ― 空の戦場における「三位一体」
現代の航空戦は、かつてのようなドッグファイトではなく、「誰が先に敵を見つけ、より遠くから撃てるか」という感知・先制・貫通の時代へと変貌している。
この「新しい空の戦い」において、JNAAMは次の三要素を兼ね備えた兵器である。
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鉄砲:AESAレーダーによる高精度誘導で敵を正確に捉える。
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長槍:ラムジェットによる長射程で敵の手が届かない距離から撃てる。
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柵:電子妨害への耐性(ECCM)によって、敵の反撃を無効化する。
まさに、空中戦の鉄砲・槍・柵が一本に集約された、現代の「戦術統合兵器」といえる。
革新への反発と孤独 ― それでも信長は進んだ
信長の長槍には、当時多くの反対があった。重く、扱いづらく、兵に訓練を要し、即効性がなかったからだ。しかし彼はその兵器に未来を見出し、日々の訓練と実戦投入によって最強の軍団を築いた。
同じように、JNAAMもまた量産が中断された兵器である。理由は「高価すぎる」「使い道が限られる」といった典型的な官僚的判断であった。
だが本当にそうか? 世界は今、米AIM-260、英Meteor、そして中共のPL-15という「長槍競争」の時代に突入している。戦場の常識が塗り替わっているにもかかわらず、我が国だけが「短槍」の世界にとどまっていていいのだろうか?
GCAPとJNAAM ― 令和の「長槍隊」を編成せよ
長い槍をしならせて敵の頭部などを叩く攻撃の破壊力は凄まじく、「突き」の10倍を超える衝撃を与えたとも言われています。
信長は言う。
「嗜みの武辺は、生まれながらの武辺に勝れり」
「嗜みの武辺は、生まれながらの武辺に勝れり」
――準備と鍛錬こそ、勝敗を決する。
F-3(烈風)という最先端の「司令機」にとって、JNAAMはまさにその武辺=準備された長槍である。高価で複雑でもよい。それを使いこなせるよう訓練し、量産し、部隊に配備する。それが新時代の制空権を獲得する「唯一の方法」である。
空自は、烈風を単なる戦闘機ではなく、「戦術クラウドノード」として活用せねばならない。そして、その烈風には、世界最長の“槍”を持たせる必要がある。
結語:長槍を恐れるな、長槍で戦え
信長は、戦場の「常識」を疑ったからこそ勝てた。だからこそ彼は、破壊的革新の象徴であり続ける。
そして令和の日本も、もう一度同じ問いに直面している。
「敵が長い槍を持つなら、我らはより長い槍で迎え撃て」
今こそ、JNAAMの量産を再開し、F-3に真の「令和の長槍」を与えるべき時である。それは単なる兵器ではなく、日本の防衛思想そのものを刷新する象徴であり、戦争を防ぎ、敵を遠ざけるための最も洗練された抑止の戦略兵器なのである。
第6章:提言 ― JNAAMの量産再開こそ空の抑止力
「より長い槍」を携えてこそ、戦争は遠ざかる
GCAP(Global Combat Air Programme)が着実に進展し、日英伊の次世代戦闘機「F-3(仮称:烈風)」が具体性を帯び始めた今、われわれはその主兵装について再考しなければならない。その筆頭こそ、日本主導で開発された革新的な長射程空対空ミサイル――JNAAM(Joint New Air-to-Air Missile)である。
このミサイルは、英国MBDA社のMeteor(ミーティア)ミサイルを基礎に、日本が世界最高水準のAESAレーダー技術を組み込んだ、いわば「超長槍」である。中国のPL-15や将来登場が予測されるPL-21、米国のAIM-260など、21世紀の空中戦はすでに「ロングスピア時代」へと突入している。短剣では敵に触れることすらできない時代に、JNAAMの配備と量産は、「槍を構えてにらみ合う」ことで戦争を回避するための必然の一手である。
歴史に学ぶ ― 槍の長さは抑止の象徴
「敵が長い槍を持つなら、我らはより長い槍で迎え撃て」
この言葉は単なる武器の比較ではない。これは紀元前4世紀、古代マケドニア王フィリッポス2世が導入した「サリッサ(Sarissa)」と呼ばれる長槍によるファランクス(密集陣形)改革に由来する。従来の槍の倍近い長さ(約5〜7メートル)を持ったサリッサ兵は、相手の接近を許さず、陣形そのものが抑止力となった。
これを戦術思想に転用したのが、織田信長である。1575年の長篠の戦いにおいて、彼は鉄砲を「三段撃ち」として体系化し、武田の騎馬軍団を粉砕した。その根底にあったのは、単に射程の長い武器を用意したのではなく、「より早く撃てる」「より遠くから撃てる」「より精密に撃てる」という統合運用の思想であった。まさに現代のJNAAMとF-3に通じる発想である。
図解:戦術的優位の構図(図:長槍の距離関係)
このように、射程と誘導性能の優位は、実際の「撃墜力」以上に、敵の接近そのものを思いとどまらせる「心理的な封殺力」となる。つまり、JNAAMは「飛ばすための武器」であると同時に、「飛ばせないための武器」でもある。
日米共同生産体制 ― 新たな「空のバトンリレー」
JNAAMの先進性は、すでに英国も認めており、GCAPの主力ミサイル候補として検討されている。しかし、真の戦略的意義は、JNAAMを「日米共同生産・配備ミサイル」として制度化する点にある。
提案:日米二国間でのJNAAM共用体制
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日米両国の工場で分散生産
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日本(三菱電機・IHI・三菱重工)でAESAシーカーとエンジンを製造
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米国(レイセオン、ロッキード)で弾体と統合通信系を生産
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F-3、F-35、F-22後継機(NGAD)で運用可能に
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共通規格のデータリンクとシーカーによって、高度な統合運用が可能
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NATO連携の可能性
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英国・イタリアを含むGCAP参加国での供給により、欧州市場にも展開
日米両国の工場で分散生産
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日本(三菱電機・IHI・三菱重工)でAESAシーカーとエンジンを製造
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米国(レイセオン、ロッキード)で弾体と統合通信系を生産
F-3、F-35、F-22後継機(NGAD)で運用可能に
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共通規格のデータリンクとシーカーによって、高度な統合運用が可能
NATO連携の可能性
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英国・イタリアを含むGCAP参加国での供給により、欧州市場にも展開
この体制は、単なる兵器の「共有」ではない。製造ラインの分散によって、災害や敵攻撃によるリスクを分散し、「戦略的レジリエンス」を確保する。まさに現代版の「武田騎馬軍団に備えた三段構え」である。
空の抑止力とは「撃ち合わずに勝つ力」である
孫子が説いた「戦わずして勝つ」の戦略は、現代においても通用する。だが、それは「非武装で勝つ」という意味ではない。「戦っても勝てない」と敵に思わせるだけの力を持つことで、戦わずに済むのだ。
JNAAMは、その抑止力の核心を成す。「敵よりも先に見つけ、先に撃てる」――この単純であるがゆえに圧倒的な真理を、次期戦闘機「烈風」の時代にも貫徹させるべきである。
終章へのつなぎ:GCAP「F3烈風」と長槍JNAAMミサイル ― 日本の戦略的未来へ
F3烈風は、その名のごとく、突風のごとく敵を飲み込む制空の主力として期待されている。だが、その烈風に必要なのは、ただの「速度」ではなく、「距離」であり、「正確さ」であり、「届かせる知恵」である。その答えが、JNAAMである。もし開発を再始動するならばBVR戦闘(視程外:Beyond-Visual-Range戦闘)であった5.8カラコルム空戦の戦訓を生かして、協調型ターゲティング機能(AWACS機が
目標データを提供し、ミサイルを誘導できるという仕組 でこれが機能した場合。通常ミサイル攻撃を受けると発射元の戦闘機レーダーからの警告を受けるが協調型ターゲティングでは発射機がアクティブレーダーを使用せずAWACS機 が誘導するため警告が発せられない。)にも対応した射程400km~500kmのAAMに仕上げてほしいものです!
今こそ、日米が共同で「空の長槍」を鍛え、世界にその鋭さと届き方を示す時だ。
結論:短槍で未来は守れぬ
現代戦は「先に撃った者が勝つ」のではない。「遠くから確実に当てた者が勝つ」のである。
日本が今、必要としているのは「常識を打破する長槍」――すなわち、JNAAMの再開と量産だ。それは技術開発の選択肢でもあり、政治的独立の意思表示でもある。そして何より、国を守るための武器である。短槍では未来は守れぬ。JNAAMの開発再開と量産を開始せねばならない!
ネット上では情報の出所が確認できないが、JNAAAMミサイル射程300kmマッハ5アクティブホーミング対地攻撃可の発展型を開発中との情報もある。
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