プロローグ・トランプ大統領F47に続きF55構想を発表!

トランプ大統領は2025年3月21日空軍の第6世代の空軍戦闘機である制空権計画NGADが発展したF47をボーイング社と契約したと発表した。そして今度は突如5月15日F55構想を発表したのである。
トランプ大統領は頭が軽い狂人だというイメージをすり込もうとする米国のリベラル勢力や主流メディア側の人間にはトランプ大統領のグリーンランドやメキシコ湾と同じく表層だけとらえまた大言壮語Fしている程度としか感じないであろう。55が如何なる戦闘機で登場背景国益的関知からロッキードマーチン社へ戦闘機を必然性理解できないだろう。

第6世代の海軍戦闘機F/A-XX戦闘機ロッキードマーティンが脱落してほぼF/A-XXはノースロップグラマンが受注する可能性が高いと言う。


第二次世界大戦後30~40社あった航空機メーカー冷戦後①ボーイング社②ノースロップ・グラマン社③ロッキードマーチン社に集約され、第5世代戦闘機はF22F35とロッキードマーチン(ゼネラルダイナミクス)の天下となるボーイング社(マグダネルダグラス)は軍用機部門が風前の灯となったが47の受注は政治判断であったと思う。ノースロップ・グラマンは大型爆撃機メーカーとなったがF14のグラマン以降戦闘機開発から遠ざかっておりFA-XXは間違いなくノースロップ・グラマン社が落札すると思われます。ロッキードマーチン社は第7世代戦闘機を担うと思うが、現在ロッキード・マーティンは、この第6世代のアメリカ戦闘機から完全に排除されており、現在、F-35という史上最大の軍用機プログラムを主導しているアメリカの主力航空機メーカーを事実上排除することは米国の国益国防政策上宜しくない。ロッキード・マーティンの製造ラインに穴を開けた場合緊迫化する国際情勢に対応できなくなり、いざ増産となっても主力戦闘機が増産できなくなるので、国防政策上ロッキードマーチンにの製造ラインに仕事を与え続ける必然性がありる第5.5世代戦闘機としてF35アップグレード版F35X~F55は引き続き製造ラインを維持する必然性があり予想される台湾有事、戦時経済政策をやめられないロシアのさらなる暴走に備えためロッキードマーチンの製造ラインは止められないのである

プロローグ・トランプ大統領F47に続きF55構想を発表!
序章:F-35の限界から生まれたF-55構想
第1章:F-35プラットフォームの進化と課題
1-1 ステルス万能論の限界
1-2 エンジンの限界とAdaptive Engine Transition Program(AETP)
第2章:F-55 ― コンセプトと構成

2-1 「F-55」は何を目指すのか?
2-2 ステルス vs 長距離センサー戦争時代における「双発」の意義
第3章:変わるエンジン、変わる戦闘機 ― 「F-55」に適合するパワープラントはどれか?
3-1F-55に適合するエンジン ― F135改良型か、次世代アダプティブか?
3-2 F-35における現行エンジンの限界
3-3■ 選択肢①:F135-EEP(エンジン・エンハンスメント・パッケージ)
3-4■ 選択肢②:次世代アダプティブ・エンジン(XA100 / XA101)
3-5これにより、XA100は次のような飛躍的性能向上を実現している。
3-6■ アダプティブ導入を阻む政治と費用の壁
3-7■F-35ブロック4とエンジン選定を巡る米国防界の葛藤
3-8■現行エンジンとアダプティブエンジンの対立構図
3-9■P&W社のF135EEP案とその妥協的性格
3-10■ブロック4アップグレードと日本への影響
3-11■今後の展望と課題
第4章:政治と産業の力学 ― F-55は誰のための戦闘機か?
4-1■F-47とFAXX ― 並行して進む「空と海」の次世代機計画
4-2■F-47構想(空軍NGADの先行量産機)
4-3 FAXX:米海軍の次世代艦載戦闘機構想
4-4■F-47、F-35X、そしてF-55 ― 空軍と海軍の将来構想とすみ分け
4-5■GCAPとF-55 ― 同盟国間技術融合の可能性
第5章:中国のJ-35と双発機のメリット
5-1■F-55の艦載機化 ― 双発エンジンが切り拓く次世代艦上戦闘機の可能性
5-2■結論 F35C配備分ををF55で置き換えるべし
第6章:JNAAMと長射程空対空ミサイルの共進化
第7章:結論と未来展望 ― なぜF-55は必要か?

序章:F-35の限界から生まれたF-55構想

トランプ元大統領によって言及された「F-55」構想――それはF-35の派生型、あるいは進化型としての双発戦闘機という未来図である。既存のF-35A/B/Cは、その多用途性とステルス性で21世紀型戦闘機の代表格となっているが、そこには運用上の限界、特にエンジン出力、航続距離、将来性に対する疑問も存在する。

このような背景において、F-35を原型としつつ、双発化によってより高出力・長航続・超音速巡航・持続戦闘能力を備えた戦闘機、すなわち「F-55」は、F-35を軸としたアメリカおよび同盟国の制空戦略の再構築を意味する。


第1章:F-35プラットフォームの進化と課題

1-1 ステルス万能論の限界

トランプ前大統領は演説の中で次のように述べた。

「我々はF-35にアップグレードを加えている。だが、私はこれを“F-55”と呼びたい。エンジンは1基ではなく2基になる。私は単発エンジンが好きではない。」

この発言には、彼が一貫して語ってきた「兵士の安全性」と「航空優勢の確保」という信条が込められている。特に、双発機の冗長性に対する信頼は強く、「一基のエンジンに全てを委ねるな」という考え方は、空母運用機や戦闘域の深奥に侵入する任務で重要な視点である。

では、このF-55とは具体的にどのような機体を指すのだろうか? 現時点では以下の3つの可能性が考えられる。

  1. F-35の機体構造をベースに双発化した新設計機

  2. F-47(次世代有人戦闘機)より低コスト・低機能の補完機

  3. F/A-XXの候補として米海軍向けに提案される新型機

この中でも、特に空母艦載運用を意識した双発型F-35C派生機、あるいは次期F/A-XXプログラムと融合した海軍型の“F-55”構想が最も現実的であると見られている。

F-35はそのステルス性によって、敵防空網に深く侵入することを前提としているが、21世紀中盤のA2AD(接近阻止・領域拒否)環境においては、ステルス性単体では不十分になりつつある。中国のJ-20やPL-15、ロシアのSu-57など、長射程センサーフュージョンとハイパーソニックミサイルの台頭により、F-35は探知・追尾・撃破の対象となりつつある。

1-2 エンジンの限界とAdaptive Engine Transition Program(AETP)

F-35が搭載するF135エンジン(P&W製)は、高性能ではあるが冷却能力や熱負荷耐性に限界がある。これを補完する形で登場したのがAETPだ。GE製XA100やP&W製XA101は、アダプティブ・サイクル技術により、出力と燃費の両立、そして大出力兵器(指向性エネルギー兵器等)への対応を目指している。

しかし、AETPはF-35への搭載を巡って政治的・予算的に難航しており、空軍はブロック4の改良とF-35Aの改良に集中する一方、海軍と海兵隊は現実的にF135の改良版(EEP)を採用する方針だ。



F-35がブロック4にバージョンアップで最強ステルス機F-22を超える!?航続距離は30%拡張され加速性能は2桁向上へ!


要約

アメリカ空軍を中心に運用が進むF-35ライトニングII戦闘機は、今後さらなる近代化改修を受けることで、その性能を飛躍的に向上させる予定である。2027年頃を目標に予定されている「ブロック4」アップグレードおよび新型エンジンの搭載により、F-35はF-22ラプターを超える性能を一部で実現し、アメリカの空軍力の中核を担う主力機としての地位を確実なものにしようとしている。

まず、ブロック4アップグレードとは、F-35プログラムにおける一連の機能追加・改良を指す。このブロック4では、合計66項目にも及ぶ新機能の搭載や既存システムの改善が行われる。具体的には、従来の空対空ミサイル(AIM-120 AMRAAM)を4発搭載していた内部兵装ベイを拡張し、最大6発まで搭載可能とする「サイドキック」機能が含まれている。これにより、ステルス性能を保持したまま対空戦能力を強化することが可能となり、戦闘持続力も大幅に向上する。

また、センサー類や通信システムも刷新される。ブロック4では、電子戦能力を担うAN/ASQ-239システムや赤外線センサーEOTS(Electro-Optical Targeting System)の性能向上、敵味方識別(IFF)の改善、データリンク機能の拡張などが行われる。これにより、F-35は戦場の情報ハブとしての役割をより強化し、多数の機体間でのリアルタイム情報共有や、無人機との連携能力が飛躍的に向上する。また、冷却能力や処理速度の強化も不可欠であり、「テックリフレッシュ3(TR-3)」と呼ばれる基幹システム更新もブロック4に組み込まれている。

しかし、こうした拡張・強化は同時に搭載機器の消費電力と発熱量を増加させる。現行のF135エンジンでは、発電能力や冷却能力が限界に達する可能性があり、そこで米空軍はエンジンの換装を検討している。具体的には、アメリカ空軍研究所(AFRL)が主導する「適応型エンジン移行プログラム(AETP)」によって開発中の次世代エンジンが注目されている。これにより、航続距離は約30%延伸し、推力や燃費効率も大きく向上する見込みだ。

この航続距離の向上は、特にアジア太平洋地域での運用において極めて重要な意味を持つ。米空軍が行った複数のシミュレーションでは、中国のA2AD(接近阻止・領域拒否)戦略のもとでは、空中給油機の前進配備が困難であることが判明している。そのため、F-22や現行のF-35のような航続距離の短い戦闘機では、作戦半径が限定され、中国本土に対する深い打撃作戦や制空任務の遂行が困難となる。空中給油機の損耗を避けつつ、ステルス機が自立的に作戦を実施するには、航続距離の拡大とペイロードの増加が必要不可欠である。

このような背景から、米空軍はF-35の将来構想において、「NGAD(次世代制空機)」の開発と併せて、F-35の近代化にも大きく投資している。特にF-35AとF-35Cは、ブロック4と新型エンジンによってF-22以上の状況認識能力、ネットワーク戦闘能力、そして兵装搭載力を実現しつつある。また、F-22は生産が終了しており、将来的にはF-35が米空軍戦力の最大構成要素となることが確実であるため、その改良は全体戦略に直結する。

加えて、F-35の近代化は米軍のみならず、国際的なパートナー国にとっても重要である。すでに多数の国がF-35を導入・運用しており、ブロック4仕様へのアップグレードは、NATOやインド太平洋地域での共同作戦能力の向上にも寄与する。特に、日本、韓国、オーストラリアなどのアジア諸国にとっては、中国や北朝鮮の軍事的脅威に対抗する上で、F-35の作戦持続力と情報優位性の強化は喫緊の課題といえる。

一方で、ブロック4や新型エンジン開発には多額の予算と技術的課題が伴い、2025年時点ではスケジュール遅延やコスト増大の懸念も生じている。特に、TR-3の完成が遅れると、ブロック4の導入も遅延する恐れがあり、計画通りに近代化が進むかどうかは注視が必要である。また、米議会内では、新型エンジン開発をF-35全体に展開するか、もしくはブロック4に限定するかを巡っての議論も続いている。

総じて、F-35のブロック4アップグレードとエンジン改修は、単なる性能向上にとどまらず、米軍の戦略全体の転換、特に対中国・インド太平洋戦略の再構築に深く関わるものである。F-35は今後も数十年にわたり、多国籍共同作戦の中心的役割を担うと予想されており、その近代化の成否は、21世紀の空戦構造とパワーバランスに直接的な影響を与えることになる。ブロック4をもって「最強ステルス機F-22を超える」との評価も、もはや単なる誇張ではなく、現実味を帯びつつある。



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第2章:F-55 ― コンセプトと構成

2-1 「F-55」は何を目指すのか?

F-55構想は、現行のF-35の基本設計を拡張し、以下の要素を統合した「双発・中距離・多用途・高持続力戦闘機」としての将来像が語られている。



この構想は、単なるF-35の延長線上ではなく、むしろGCAPやNGAD、そしてFAXXといった次世代機群との「橋渡し」的なポジションに位置づけられる。

2-2 ステルス vs 長距離センサー戦争時代における「双発」の意義

現代の空戦は「先に見て、先に撃つ」情報戦の様相を強めており、長射程AAM(AIM-260、JNAAM、PL-15)とそれを運用するセンサー性能が勝敗を決する時代に突入している。これに対応するには、以下の能力が不可欠だ。

  • 高出力センサーの搭載(強力な電力供給が必要)

  • 電子戦装備の常時稼働

  • 長時間のステルス巡航

これらはいずれもエネルギー需要が大きく、F-35の単発設計では厳しい。ゆえに双発機の再評価が起きており、F-55はこの文脈で「実現可能な第5.5世代機」として位置づけられる。

F-35は当初から「統合打撃戦闘機(Joint Strike Fighter)」として設計され、共通機体構造をベースに三軍に供給されるコンセプトだった。F-35A(空軍)、F-35B(海兵隊・STOVL)、F-35C(海軍・空母運用)という3バリアントがある。

F-55構想が示す「双発型F-35」は、当然これまでのF-35とは機体構造もサブシステムも根本的に異なる新設計が求められる。特に以下の技術的課題が顕著だ。



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  • 機体構造の大幅変更:胴体を再設計し、エンジン2基を収納するスペース、給気系統、熱処理構造、重量バランスを新設計する必要がある。

  • 推進系統の選定:NGAD用の適応型エンジン(GEのXA100、P&WのXA101/103)などを流用する場合、機体全体の冷却・構造耐性が課題。

  • 航続距離とペイロード:推力が増大すれば航続距離や兵装搭載量の改善が見込めるが、その分燃料消費と重量増加のトレードオフが発生。

  • ソフトウェアと統合センサーの再適合:F-35の中核である統合センサーシステムとミッションソフトウェアを新機体に最適化する必要。


つまりF-55とは、見かけ上はF-35の発展型でありながら、実質的には**「全く新しい戦闘機」**の開発を意味する。

第3章:変わるエンジン、変わる戦闘機 ― 「F-55」に適合するパワープラントはどれか?

F-55のエンジンは

F-35搭載目指すXA100アダプティブエンジン 2022年から米空軍施設で試験

GEは、2021年8月末から開始したXA100-GE-100アダプティブサイクルエンジンの2基目のフェーズ1テストを終了しました。2022年第1四半期からアメリカ空軍のアーノルド技術開発センター(AEDC)の施設でフェーズ2の試験に入ります。アメリカ空軍のアダプティブエンジン移行プログラム(AETP)として進められている新世代のエンジンで、まずはF-35ライトニングIIに搭載、さらに将来の第6世代戦闘機向けエンジンとして開発が進められています。 アメリカ空軍は、AETPの要求でF-135の最大推力4万3,000ポンドから10%向上と同時に、25%の燃費向上を求めており、この要求を満たしたことが2020年12月に1基目で確認済みです。2021年8月末から、2基目で燃焼試験を進めたGEは、F-35AとF-35Cの2機種に適合する設計で、作動の確認、燃焼の状態などデータ収集を進めています。さらに、アメリカ空軍が指定するバイオ燃料での作動も確認されています。 AETPプログラムは、GEとプラット・アンド・ホイットニー(P&W)のXA101と共に、まずF-35ライトニングIIに搭載するP&WのF135エンジンの換装を目指しています。さらに、将来の第6世代戦闘機に搭載する可変サイクルエンジンとして設計されています。GEはテスト開始とフェーズ1の完了を発表していますが、P&WもXA101エンジンの燃焼テストを開始しています。


3-1F-55に適合するエンジン ― F135改良型か、次世代アダプティブか?

F-55(仮称)が双発化されたF-35として将来登場するならば、その開発において避けて通れないのが「エンジンの選定」である。特にF-35の原型である単発機は、現行のF135-PW-100エンジンに多くの限界を抱えており、F-55がそれらをどのように克服するかは注目されるポイントである。

本章では、F-35で直面しているエンジン面の課題を整理しつつ、F-55に適合しうるパワープラントとしての選択肢を比較検討する。


3-2 F-35における現行エンジンの限界

現在、F-35AおよびC型に搭載されているのは、プラット・アンド・ホイットニー社製のF135-PW-100ターボファンエンジンである。このエンジンは約19トン級の推力を誇り、F-22のF119エンジンの技術をベースとして発展させたものだ。しかし、F-35のブロック4(Block 4)アップグレード以降、搭載されるセンサー群や電子戦装置、冷却要求の増大により、F135は発電・冷却能力の限界に直面している。

特に、以下の3点が課題として顕在化している。

  1. 電子機器の増加に伴う発電容量不足

  2. 高熱を発する電子戦システムへの冷却供給の限界

  3. さらなる推力が求められる極超音速兵器搭載への対応力不足

これらの課題は、双発機構想であるF-55にとって、単なる「既存技術の転用」では対処が困難であることを意味する。そこで、選択肢として注目されているのが2つの方向性である。


3-3■ 選択肢①:F135-EEP(エンジン・エンハンスメント・パッケージ)

2023年、プラット・アンド・ホイットニー社はF-35の現行エンジンをアップグレードするための「EEP(Enhanced Engine Package)」を発表し、2024年には米空軍との契約も締結された。これは既存のF135をベースに、以下の改善が盛り込まれている。

  • 推力の増強(約22トン)

  • 燃費の向上(5〜7%程度)

  • 冷却性能の向上(20〜25%)

  • 整備性・寿命の改善

EEPの最大のメリットは、「既存のF135整備体制を維持しつつ、漸進的な性能向上が可能である点」である。F-35ブロック4向けの標準エンジンとして、米空軍・海軍・海兵隊すべてに適合し、特にB型(STOVL)にも対応できる。

しかしF-55のような双発構成・長距離ミッション対応機にとっては、依然として出力・燃費・冷却容量が限界に達する可能性がある。また、EEPはあくまで「現行機の延命策」であり、将来世代の航空機に対応する柔軟性は限定的といえる。


3-4■ 選択肢②:次世代アダプティブ・エンジン(XA100 / XA101)

一方、F-55にこそ適していると評価されているのが、アメリカ空軍のAETP(Adaptive Engine Transition Program)によって開発された次世代エンジン、GE製XA100およびP&W製XA101である。

この両機種に共通するのは、「アダプティブ・サイクル方式」という新しいコンセプトだ。従来のターボファンエンジンでは、バイパス比を固定しているが、アダプティブ方式では、以下の3つのモードを状況に応じて切り替えることができる

  • 推力重視モード(高出力)

  • 巡航モード(低燃費)

  • 冷却重視モード(高エアフロー)

3-5これにより、XA100は次のような飛躍的性能向上を実現している。

  • 推力:約22トン以上(F135比+10%)

  • 燃費改善:+25%以上

  • 冷却容量:従来比2倍

とりわけ重要なのは「冷却容量」である。F-35ブロック4では空冷だけでなく燃料冷却も限界に達しており、アダプティブ・エンジンでなければ電子戦・レーザー兵器の将来搭載に耐えられないとされている。

また、XA100は既にF-35A機体への搭載互換性試験も終了しており、米空軍ではNGAD(次世代制空機)にも搭載予定とされている。


3-6■ アダプティブ導入を阻む政治と費用の壁

にもかかわらず、2024年にはAETPの正式採用が見送られた。その最大の理由はコストと機種間の非互換性である。特にF-35B(垂直離着陸型)にはXA100の搭載が物理的に不可能であり、空軍・海軍・海兵隊の統一エンジン思想に反するという政治的配慮があった。

とはいえ、将来のF-35A/C改修機F-55のような新設計双発機においては、この制約を回避可能である。したがって、GE XA100やP&W XA101がF-55用エンジンとして復活する可能性は、極めて高いと考えられる。

3-7■F-35ブロック4とエンジン選定を巡る米国防界の葛藤

F-35戦闘機は、継続的な能力向上を図るべく「ブロック4」アップグレードが進行中である。これは主にソフトウェアの更新を中心に、搭載兵器、センサー、アビオニクス、コクピットの表示装置といったハードウェア面も含めた大規模な能力向上計画であり、将来的には無人機との連携運用や長射程ミサイルの搭載、センサー能力の飛躍的向上などを可能とするものだ。

しかし、その進化を支える中核装置である「エンジン」を巡って、米国防省、空軍、議会、エンジンメーカー各社の間で意見が対立しており、将来的なF-35の性能と運用コスト、さらには日本を含む同盟国のF-35運用にも大きな影響を及ぼす懸念が出ている。

3-8■現行エンジンとアダプティブエンジンの対立構図

F-35に搭載されている現行エンジンは、プラット・アンド・ホイットニー(P&W)社製の「F135」である。これは非常に優秀なターボファンエンジンであるが、設計段階ではブロック4が想定する冷却能力・電力供給能力には対応しきれておらず、限界を迎えつつある。

このため、次期エンジンとしては2つの選択肢が挙げられている。1つはF135の改良型である「F135 Enhanced Engine Package(EEP)」、もう1つはゼネラル・エレクトリック(GE)社などが開発中の「アダプティブエンジン(例:XA100)」である。

アダプティブエンジンは、飛行速度や高度に応じてバイパス比を変化させることで、燃費効率を高めつつも大推力を得ることができる次世代エンジンであり、従来型よりも燃費は約25%、推力は約10%向上するとされている。しかし、技術的リスクと開発費、全F-35バリアント(A/B/C)への適合性に関する不確実性が課題とされ、米空軍長官ケンドール氏は採用に否定的な立場を示した。

3-9■P&W社のF135EEP案とその妥協的性格

P&Wが提案するF135EEPは、アダプティブエンジンの革新技術こそ採用しないものの、既存エンジンを基礎に燃焼効率や熱管理能力、推力、発電能力の強化を図るものである。既存設計の延長上にあるためリスクが低く、既存の生産ラインや部品の互換性も高く保たれる。また、価格も比較的安価である点が利点である。

ケンドール長官は、すべてのF-35バージョンに対して確実に対応可能で、かつコスト効率に優れるF135EEPを支持しているとされる。アダプティブエンジンは「必要以上の性能」であり、ブロック4を完全に活かす上では「高価すぎる」との評価がなされている。

3-10■ブロック4アップグレードと日本への影響

F-35のブロック4アップグレードは、主にソフトウェアによる改良(約80%)で構成されており、残りはハードウェアの刷新を含む。例えば、新しいメインコンピュータ、パノラマ表示装置、サイドキック(空対空ミサイル搭載数増加用キット)などが含まれ、最終的には国際整備拠点(MRO&U)での大規模改修が必要となる。

日本はアジアにおける国際整備拠点を有しており、航空自衛隊のF-35Aも2020年から段階的にブロック4機能の一部(自動地上衝突回避システムなど)を導入済みである。今後はAI搭載無人機との連携、長射程ミサイル(JSM等)の搭載、センサー能力の向上などが予定されているが、そのすべてを活用するためにはエンジンの性能向上が不可欠とされる。

特に、ブロック4ロット17以降では冷却性能と電力供給の要求がF135の限界を超えており、現在のエンジンのままでは一部機能の使用が制限され、エンジンの過負荷運転による燃費悪化や寿命短縮といった弊害が発生する可能性が高い。

3-11■今後の展望と課題

F135は初期ロットのF-35にとっては最適化されたエンジンであったが、ブロック4以降の機能を支えるにはスペック不足が顕在化している。冷却能力拡張とブリードエア供給量のバランスがゼロサムであるため、推力を犠牲にして冷却を優先するといった運用上のジレンマも発生している。

そのため、F135EEPの導入は現実的な妥協案とされるが、長期的な視点ではアダプティブエンジンのような革新技術の採用も視野に入れなければ、今後の脅威環境に対応しきれない恐れがある。

日本としても、今後のF-35ブロック4対応に際してエンジン更新の有無が重要な政策判断となる。コスト、整備体制、戦闘能力のバランスを見極めながら、慎重な選択が求められる段階にある。


第4章:政治と産業の力学 ― F-55は誰のための戦闘機か?

 4-1■F-47とFAXX ― 並行して進む「空と海」の次世代機計画

トランプ氏のF-55発言が米国内で注目される理由は、技術よりも政治・産業の文脈にある。



米海軍の次世代艦載戦闘機「FA-XX(FAXX)」の計画と背景、またその戦略的意義を詳細に解説した内容になっています。

🔵 1. 背景:海軍は「第6世代戦闘機」へ突き進む

米空軍の「NGAD(次世代航空優勢機)」が再設計・予算制限により一時停止する中、米海軍はFAXX計画を加速
この結果、海軍が世界初の第6世代戦闘機を配備する可能性が高まっている
FAXXは、2030年代に退役するFA-18スーパーホーネットとEA-18Gグラウラーを代替する。


🔵 2. 必要とされる能力

FAXXに求められるのは、以下のようなマルチロールかつ先進的な機能です。

ステルス性能:高脅威空域(A2/AD)での生存性
長距離戦闘能力:空対空・空対地の両方
艦載機能:空母(ニミッツ級、フォード級)からの運用
電子戦・ISR統合:将来的にはグラウラーの機能も統合の可能性


🔵 3. FAXXとNGADの違い(海軍と空軍のアプローチの相違)

項目空軍(NGAD)海軍(FAXX)
目的F-22後継の制空戦闘機FA-18の空対空・空対地マルチロール後継
ミッション空優特化(空対空主力)マルチロール(戦闘+攻撃)
運用環境本土基地ベース空母発進・艦載前提
構想名NGAD(Next Gen Air Dominance)FA-XX(Fighter-Attack X)

海軍のFAXXは「FA」=Fighter Attackの名を受け継ぎ、戦闘+攻撃任務を両立する万能機を目指す


🔵 4. Xプレーン・優位性構想(DARPA発の秘密計画)

2014年、DARPAが「優位性構想(Air Dominance Initiative)」を立ち上げ。
単一機種ではなく、有人戦闘機を中核とする「システム・オブ・システムズ」構想に転換。
AIドローン(忠実な僚機)との連携が中核
成果は「Xプレーン計画」として空軍・海軍・DARPAが費用分担し、少なくとも1機の飛行実証機が開発され、記録を破ったとされる。


🔵 5. 海軍の戦略的意図と不確実性

米海軍はFAXX計画を来年契約段階に進めたいと表明しているが、依然として予算・技術・政治的ハードルが存在
無人UAVとの統合も検討されたが、ISR攻撃型UAVは棚上げされ、給油型(MQ-25 スティングレイ)が優先。
それでもFAXXは将来の制空・攻撃・電子戦を担う中核とされ、F-35Cを補完しながら併用運用される予定


🔵 6. 国際動向と地政学的文脈

米空軍のF-15EX縮小に反し、イスラエルがF-15IAを25機購入する契約(総額20億ドル)
米軍はF-15EXなどの第4.5世代機より、第6世代の将来性に重点を置く転換点に差しかかっている


🔵 まとめ:FAXXは「マルチドメイン戦」に対応した新世代の海軍主力戦闘機

FAXXは単なる機体開発ではなく、無人機連携・電子戦統合・ステルス・空母運用を融合させた「空の統合作戦中枢」になる可能性がある。
海軍が空軍に先駆けてFAXXを実戦配備すれば、世界で初めて「第6世代戦闘機を運用する軍」となる

  1.  F/A-XXプログラムは第6世代艦載ステルス機の開発構想であり、ボーイング、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマンが競争に参加していたが、ロッキード案が空軍基準未達により除外されたという報道があった。だがF-55という名称で再浮上することで、再び競争に戻れる可能性が出てきた。

  2. 防衛産業への政治的テコ入れ
     F-35は世界中に数千機が輸出・配備され、サプライチェーンも数十カ国にまたがっている。F-55の開発は、これら既存のF-35ネットワークに新たな成長機会をもたらす。

  3. 中東諸国への売り込み
     トランプ氏がこの発言をしたのは、F-15EXにも投資してきたサウジアラビアやカタールといった湾岸諸国の軍関係者の前だった。双発機F-55を「F-35の改良型」として輸出可能とすれば、地政学的インパクトは大きい。


4-2■F-47構想(空軍NGADの先行量産機)

空軍のNGAD計画は「システム・オブ・システムズ」として、多数の無人機と有人機を組み合わせる設計思想で進行中だ。これに対し、「F-47」はNGADの技術を簡略化し、F-22とF-35のギャップを埋める中間機として、F-55と同じく「双発・長距離・高出力」の特性を備えるとされる。

4-3 FAXX:米海軍の次世代艦載戦闘機構想

海軍はF/A-18E/Fの後継としてFAXX(F/A-XX)を構想中であり、ステルス性よりも電子戦能力とセンサー範囲を重視している。FAXXは、

  • J-20やH-6Kなど中国戦力への中距離対応

  • 艦載機としての耐久性

  • アダプティブ・エンジン搭載

  • 無人機との連携前提

といった特徴を持ち、これもまた双発・長距離型ステルス機である。F-55とFAXXは設計思想が共鳴しており、部品や技術の共有が検討されている可能性もある。

4-4■F-47、F-35X、そしてF-55 ― 空軍と海軍の将来構想とすみ分け

米空軍は次世代制空戦闘機F-47(NGAD有人機)を開発中であり、F-22の後継とされている。しかし、F-47は非常に高価な戦闘機であり、すべての任務をF-47に担わせることは難しい。

ここに、F-55のような「F-47の80%の能力を50%のコストで実現する戦闘機」が登場すれば、F-47とペアで運用する中級クラスの有人ステルス機という位置づけが可能だ。

一方で、F-35のブロック4や「F-35X」と呼ばれるアップグレード構想も進行中である。これはAI統合、センサー強化、F-22譲りの飛行制御アルゴリズムなどを搭載する高性能型F-35だが、あくまで単発機ベース。

F-55構想は、これら「F-35X」と「F-47」の中間を埋める新カテゴリとして、空軍にも魅力的な選択肢となるかもしれない。

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GCAP



4-5■GCAPとF-55 ― 同盟国間技術融合の可能性

GCAP(日英伊共同開発)は、第6世代機としてF-35後継を目指すが、既存のF-35ユーザー国がすぐに第6世代機を運用できるとは限らない。その「橋渡し役」としてF-55型の存在は非常に有意義だ。

  • F-55はF-35のインフラや整備基盤を再利用

  • GCAPやNGADとは通信・センサーフュージョンで互換性

  • 同盟国間での共同開発・相互部品供給が可能

といった形で、F-55は「第5世代機の最終形」であり、「第6世代への導入機」としての役割を果たす可能性がある。





第5章:中国のJ-35と双発機のメリット

中国が開発を進めるJ-35戦闘機は、F-35をハッキングして設計したとされるが、F-35エンジンのプラットアンド・ホイットニー(P&W)社製のF135アフターバーナー付きターボファンエンジンをパクることができず、FC-1用にロシアより輸入したクリモフ RD-93 (推力85.4kN) を2基並べ17.8kNを確保したが単発のされたと考えられ[5]、これを横に並べて双発としている。



P&WF135ドライエンジン推力125kN、アフターバーナー使用時推力191kNに及ばない。だが当初から双発エンジン構成を採用していることで次の利点を提供している。

  • 空母運用時の安全性確保

  • 推力増によるペイロード拡張

  • 長距離作戦への対応

F-35Cが単発であることに批判は出ていないが、実際には海軍内部で双発機の必要性を訴える声は根強い。J-35の双発設計を「軍事的模倣」として一蹴するのではなく、現実の運用ニーズに適した選択肢と認識することも重要である。

5-1■F-55の艦載機化 ― 双発エンジンが切り拓く次世代艦上戦闘機の可能性

次世代戦闘機F-55(仮称)は、F-35シリーズの派生型として構想される双発型のステルス戦闘機である。これまでF-35Cは単発機であり、航続距離や安全性、兵装搭載量において限界があると指摘されてきた。そのような背景の中で、双発のF-55を艦載機として運用する構想は、単なる技術的進化にとどまらず、海軍航空戦力の運用思想そのものを変革するポテンシャルを秘めている。

1. 安全性の向上 ― 海上作戦における命綱

双発エンジンの第一のメリットは、やはり安全性の飛躍的な向上である。艦載機は空母という移動する狭いプラットフォームから発艦・着艦を繰り返す。これに加えて、任務は長距離の洋上で行われ、エンジントラブルが発生した場合の緊急着陸地帯は存在しない。こうした状況下では、エンジン1基の喪失=機体損失となるリスクが常につきまとう。

その点、F-55のような双発機は、仮に1基のエンジンが故障しても、もう1基での飛行が可能である。現行のF/A-18E/Fも同様の理由で双発が採用されており、米海軍ではこれを高く評価してきた。海上作戦における致命的リスクを軽減できるという意味で、F-55の艦載機化は海軍パイロットの生存性を大きく向上させるだろう。

2. 搭載量の増加 ― 「マルチロール」を超えて

次に挙げられるのが搭載能力の向上である。双発機は通常、機体規模が大きく、内部兵装ベイや燃料タンク、センサー類の搭載スペースも増加する。F-35Cはそのステルス性ゆえに兵装搭載量に制約があり、特にステルス構成時は搭載兵器が制限される。

F-55がF-22やSu-57、J-20に類似したサイズになる場合、内部兵装搭載量は大幅に増大する可能性がある。これにより、ステルス性を維持したまま複数の空対空ミサイルや対地・対艦兵器を搭載可能となり、従来の「マルチロール」任務に加え、制空、長距離打撃、電子戦までカバーする**真の「統合多任務機」**として機能できるだろう。

また、今後想定されるレーザー兵器、指向性エネルギー兵器、マイクロ波妨害装置など新世代の重量級装備を艦載機に搭載するには、双発機の電力供給能力と構造余裕が不可欠である。F-55はそのプラットフォームとして理想的といえる。

3. 航続距離の延長 ―「空母の手足」をさらに伸ばす

航続距離は海軍機にとって最重要要素の一つである。空母は中国のA2AD(接近阻止・領域拒否)戦略により、安全圏での行動が強いられている。これにより、艦載機にはより長い「手足」=航続距離が求められるようになった。

F-55が双発であることは、燃料搭載量の増加に直結する。仮にF-22と同等の燃料搭載量を確保できれば、F-35Cを大きく上回る戦闘行動半径を持つことができる。これは、敵の防空圏外からのミサイル攻撃、あるいは無人機群を伴う長距離打撃編隊としての運用を可能にする。

さらに、米海軍が今後重視する無人僚機(CCAs)との統合作戦においても、長時間の滞空・指揮能力を持つF-55は極めて有効である。特に遠方での電子戦、空中給油、センサーフュージョンを伴う複雑な作戦では、F-35Cでは限界がある。F-55は将来の空母打撃群の「司令塔」としての役割も担いうる。

4. 艦載機化の技術的課題と展望

もちろん、F-55の艦載機化には課題も多い。双発機はその重量やサイズにより、空母のカタパルト発進・アレスティングギア着艦への対応、さらには格納スペースの問題も生じる。特にアメリカ海軍のニミッツ級やフォード級において、現行のF-18やF-35より大型の機体を収容・運用するには、新たな艦上運用体制の構築が必要となる。

しかし、これらの技術的課題は、空母艦載機の次世代化に不可欠な投資であり、既存艦の改修や次世代空母(CVN-82以降)においては十分克服可能である。また、F-55がF-35ファミリーの技術・インフラ・ソフトウェア基盤を活用できるなら、コストと開発リスクも相対的に抑制できるだろう。


5-2■結論 F35C配備分ををF55で置き換えるべし

F-55の艦載機化は、海軍航空戦力の未来を大きく塗り替える可能性を秘めている。双発エンジンによる安全性、搭載能力、航続距離の拡張は、単なる数値的性能の向上にとどまらず、海上作戦における戦術・戦略の選択肢を大きく広げる。特に中国との長距離・持久戦を想定する現代海戦において、F-55は「空母から届く力」の象徴となるだろう。海軍が次世代艦載戦闘機を構想する今、F-55の双発設計は、その中核候補として真剣に検討されるべきである。

第6章:JNAAMと長射程空対空ミサイルの共進化

F-55やFAXXの意義をさらに高めるのが、次世代長射程AAMである。AIM-260やPL-15への対抗として、英国と日本が共同開発するJNAAM(MeteorとAAM-4Bの融合体)があるが、重要なのは「ミサイル性能の最大化にはプラットフォームの進化が不可欠」という点だ。

  • 長射程ミサイルには大推力・高空発射が望まれる(=双発+高出力機)

  • ステルス機での発射は探知遅延効果を生む

  • 電波誘導+赤外+AIによる複合ホーミング

F-55はJNAAMやAIM-260のような「見えざる長槍」を最大活用できる数少ない有人機となりうる。


第7章:結論と未来展望 ― なぜF-55は必要か?

  • F-35は「大量運用の第5世代機」としての役割を果たし続けるが、その運用寿命は2040年代に向かって限界を迎える。

  • F-55は、F-35のユーザーが段階的に「次世代任務」に対応するためのステップであり、その双発設計・高出力・長航続距離は、未来の空戦環境に不可欠な性能である。

  • NGADやGCAPが持つ超高価格・高技術のリスクを補完し、「より実戦的な選択肢」としてF-55は再評価されるだろう。

  • 将来は、F-55、FAXX、F-47が「次世代多国籍航空戦力」の主柱となり、無人機群や長射程AAMと連携する形で運用される。

    F-55は単なる「双発F-35」ではない。それは、F-35の限界を超え、A2AD環境に適応し、次世代戦の現実に対応する「戦略的中間解」であり、21世紀後半の航空戦力を見据えた重要な布石となるのである。



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トランプ大統領はF-35統合打撃戦闘機の双発機「F-55」を希望

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ドナルド・トランプ大統領は、驚くべき展開として、米国がF-35統合打撃戦闘機の双発機を開発することを望んでいると表明し、これをF-55と名付けました。現段階でこの構想がどの程度進んでいるかは疑問の余地がありますが、F-35と空軍の次世代有人ステルス戦闘機であるF-47の将来について、興味深い疑問を提起しています。

トランプ大統領は本日、カタールで演説を行い、アル・ウデイド空軍基地に駐留する米軍部隊も視察した。大統領のカタール訪問と時を同じくして、ボーイングはワイドボディ機としては過去最大の契約を獲得した。カタール航空は777Xと787を合わせて160機、総額960億ドルで発注した。


F-35について、トランプ大統領は「我々はアップグレードを実施している。単純なアップグレードだが、F-55も実施している。私はそれをF-55と呼ぶつもりだ。これは大幅なアップグレードになるが、F-35はエンジンが1基なので、エンジンも2基になる。私は単発エンジンは好きではない」と述べた。

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ドナルド・トランプ大統領は、2025年5月15日、カタールのドーハでビジネスリーダーたちとの朝食会に出席し、ボーイングのケリー・オートバーグCEO(左)とGEエアロスペースのラリー・カルプCEO(右)に挟まれている。写真:ブレンダン・スミアロウスキー/AFPブレンダン・スミアロウスキー


F-35について、トランプ大統領は「我々はアップグレードを実施している。単純なアップグレードだが、F-55も実施している。私はそれをF-55と呼ぶつもりだ。これは大幅なアップグレードになるが、F-35はエンジンが1基なので、エンジンも2基になる。私は単発エンジンは好きではない」と述べた。



トランプ大統領は、エンジンを1基ではなく2基搭載することの安全性の利点を指摘しましたが、これはそのような構成の一側面に過ぎません。推力の増加は、機体の速度や高度、ペイロードの増加など、性能の向上にもつながります。航続距離は、このような構成変更に伴う設計上の調整次第で、延長されるか短縮されるかのどちらかです。
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アメリカ空軍第56戦闘航空団に所属するF-35A2機。アメリカ空軍第56戦闘航空団に所属するF-35A2機。アメリカ空軍


このような航空機のエンジン選択肢には 、次世代アダプティブ推進(NGAP)プログラムで開発されているものが含まれる可能性が高い。このプログラムは次世代航空優勢(NGAD)構想の一環として、主に新型エンジンの開発に注力しており 、新型F-47次世代ステルス戦闘機の開発につながっている。NGAPが他の先進航空プログラムにも活用される可能性があるという憶測は長年あった。今年1月、空軍はゼネラル・エレクトリックおよびプラット・アンド・ホイットニーとのNGAP契約の総額を増額し、両社とも35億ドルの上限を設けた。


以前、国防総省は空軍の適応型エンジン移行プログラム(AETP)の一環として、F-35のエンジン換装を検討していました。2023年、空軍は AETPを中止し、現在F-35の全派生型で使用されている既存のプラット・アンド・ホイットニーF135エンジンの アップグレードを 行う意向を発表しました 。しかし、その後、議会は AETPへの追加予算を承認しました 。AETPの取り組みは、ゼネラル・エレクトリック(GE)とプラット・アンド・ホイットニー(Pratt & Whitney)のNGAP設計(それぞれXA102とXA103)にも活用されています。このような変更には、既存のエンジンコア設計が組み込まれる可能性もあります。
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少なくとも2018年に遡る空軍の古い説明スライド。AETPプログラムと、将来の先進戦闘機を含む様々な航空機タイプへの後続の取り組みを通じて実現可能な潜在的なメリットを示している。 アメリカ空軍


同時に、双発機のF-35は重量とコストが増加し、サポートとメンテナンスの負担も増大するでしょう。いずれにせよ、実現にはF-35の機体と多数のサブシステムの大規模な再設計が必要になります。


短距離離陸・垂直着陸(STOVL)のF-35Bの場合、F-55と同等の双発バージョンを開発するという現実的な選択肢はないと思われる。
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2021年4月2日、海兵隊のF-35Bが岩国海兵隊航空基地に着陸する。米海兵隊、タイラー・ハーモン伍長撮影。タイラー・ハーモン伍長撮影。


一方、通常離着陸(CTOL)型のF-35Aや空母搭載可能なF-35Cクラスの双発機を支持する説得力のある議論もいくつかある。


特に海軍は、双発機のF-35がもたらすメリットを重視しており、空母艦載機運用時にはこれらのメリットがさらに顕著になります。空母艦載機運用においては、安全マージンが特に重要となり、より重いペイロードを搭載できることが特に重視されます。しかしながら、F-35Cの単発機に関する大きな苦情は報告されておらず、エンジン故障による空母からの機体喪失も発生していません。

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F-35Cが航空母艦USSエイブラハム・リンカーン(CVN-72)の飛行甲板に着陸態勢を整えている。米海軍マスコミュニケーションスペシャリスト、ソニー・エスカランテ撮影。 (米海軍マスコミュニケーションスペシャリスト、ソニー・エスカランテ撮影)

F-35とほぼ同等であり、米国設計のジェット機の「クローン」としばしば評される中国のJ-35は、当初から双発エンジンを搭載していることが注目される。J-35も
空母運用を想定している。

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空母搭載型J-35の試作機。中国のインターネット

米海軍に話を戻すと、トランプ大統領の今日の発言は、海軍の第6世代ステルス戦闘機F/A-XXプログラムの進展を反映している可能性がある。今週初め、TWZは、このプログラムが国防総省、ホワイトハウス、そして議会によって現在も検討中であると報じた。

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ボーイング社の次世代艦上戦闘機 F/A-XX のコンセプトアート。ボーイング社

これは、F/A-XX(潜在的に数千億ドル相当)の契約締結が最大3年遅れる可能性があるという報道を受けての発表です。このことが契約のキャンセルやさらなる延期につながる可能性も否定できません。



当初、ボーイング、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマンの3社がF/A-XXの開発候補に挙がっていました。しかし、Breaking Defenseが匿名の情報筋の話として報じたところによると、ロッキード・マーティンは今年3月に「空軍の基準を満たしていなかった」という理由で開発競争から脱落したとのことです。

トランプ大統領のF-55に関する発言は、ロッキード・マーティン社のF/A-XX候補機を指しているのだろうか。これは、以前は候補から外されていたが、現在では再び候補に挙がっている可能性がある。あるいは、同じ会社が、改良された双発機のF-35Cをベースにした新たな提案かもしれない。

同時に、双発の陸上配備型F-55は空軍の関心を引く可能性があります。空軍は過去に、F-47と並行して運用できる、より安価な有人戦闘機の配備を検討してきました。より安価なNGAD型有人ステルス戦闘機の姿に関する以前の分析は、こちらをご覧ください

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2025年3月21日、ホワイトハウスの大統領執務室で第6世代戦闘機F-47が発表された際のレンダリング画像。写真:デメトリウス・フリーマン/ワシントン・ポスト、ゲッティイメージズ経由ワシントン・ポスト

一方、米空軍は既存の計画の予算確保に苦戦していることは明らかで、F-47でさえ、少なくとも一部では、他の緊急のニーズを犠牲にしているように見受けられるようになっている。たとえ予算を増やしたとしても、空軍がF-55を調達するのは困難だろう。この点からも、双発機のF-35の開発の方が海軍にとってより適している可能性が示唆される。

しかし、輸出顧客は陸上配備型F-55がもたらす利点を非常に好意的に受け止めるかもしれない。実際、トランプ大統領が湾岸地域訪問中にそのような戦闘機の可能性について言及したのは、地元の関心を高めるための意図があったのかもしれない。

過去にはサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の両国がF-35の取引候補として挙げられており、ワシントンは両国、あるいはどちらか一方が投資できるプログラムとしてF-55を提案することを検討している可能性がある。特にカタールとサウジアラビアは、アドバンスト・イーグルの開発において重要な役割を果たしており、現在、米空軍はF-15EXを通じてこれらの投資の恩恵を受けている。

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フロリダ州エグリン空軍基地の第85試験評価飛行隊に所属するF-15EX。アメリカ空軍

今年4月、ロッキード・マーティンのジム・タイクレット社長兼CEOは、F-22とF-47用に開発された技術を活用し、F-47の半分のコストでF-47の能力の80%を実現できるF-35の潜在的なアップグレードについて説明しました。彼はこれをF-35の「フェラーリ版」と呼びましたが、トランプ大統領が「F-35のスーパーアップグレード」と呼んだのもまさにこのアップグレード版だったのかもしれません。ロッキード・マーティンによるこの大幅に改良されたF-35のコンセプトに関する提案の詳細は、こちらの以前のレポートをご覧ください。

トランプ大統領がF-35のより小規模な改修について言及した件については、既に知られている複数の取り組みの一つを指している可能性があります。多数の新機能を搭載した統合打撃戦闘機(JSF)の最新ブロック4版に加え、非公式にF-35Xと名付けられた、さらに改良されたジェット機についても議論されています。

トランプ大統領の演説では、F-22ステルス戦闘機のさらなる「スーパーアップグレード」についても言及された。

「世界で最も美しい戦闘機はF-22だと思うが、我々はF-22スーパーを開発する予定で、これはF-22戦闘機の非常に現代的バージョンになるだろう」とトランプ大統領は語った。

これは、おそらく2040年代にこの航空機が最終的に退役するまで、既存のF-22艦隊の少なくとも一部を更新するための空軍の継続的な取り組みを説明しているように思われる。

 F-22には現在、新型赤外線防御システム(IRDS)やその他追加センサー、ステルス性航続距離延長型増槽など、 数多くの 新機能が搭載される予定である。


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F-22について、トランプ大統領は「世界で最も美しい戦闘機」と宣言した後、不可解な発言で「ステルス性は基本的にデザインと形状に大きく依存するため、あまり信じていない。…だからステルス性を理由に醜い機体を設計することになる」と述べた。さらに、中国がF-22を模倣していると非難し、「中国が我が国のエンジンをそう簡単に模倣することはできないだろう」と指摘した。


また、F-55に関しては、トランプ大統領がまったく存在しないプログラムについて語っていた可能性も非常に高く、その可能性を主張する人もいる。

これには前例があり、2018年にノルウェーへの「F-52とF-35」戦闘機の納入を発表した。ノルウェーはF-35を運用しているものの、ノルウェーが52機の統合打撃戦闘機を発注したという事実を踏まえると、F-52の納入は誤りだった可能性が高い。これは、トランプ大統領が「見えない」ステルス戦闘機に関する発言を含め、特に戦闘機に関して、明らかに台本から逸脱した多くの例の一つに過ぎない。

F-55がトランプ大統領の失言や独断的な意見の表明に過ぎないのか、それともホワイトハウスが双発機F-35の開発に真剣に取り組んでいるのかは、まだ分からない。TWZは、これらの発表についてより明確な情報が得られることを期待して、空軍と海軍に連絡を取った。