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カテゴリ: 株談議 株式相場




まだ生きていたのかジム・ロジャーズ
いまだに、日本でも少数ながら信者がいるから実に不思議だ

最近ジム・ロジャースは、北朝鮮が崩壊し韓国と統一する統一朝鮮の誕生を夢見ているようだ、そして世界中が おでん文字のハングルなんかを学ぶんだとwww(爆)
ジムおじさん、そんなことを言う人を日本語では「ほらふき」って言うんだぜ!

投資専門家の予測が当たらない理由 大資産家は損をしない
【世界のニューストトメスⅤ】2020年07月06日17:00

ジム・ロジャースの予言は当たらないので有名

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引用:http://kinyu-arekore.net/wp-content/uploads/2016/02/jimu2016.jpg


アナリストの予想は逆になる

2020年にコロナ騒動で世界の株式市場が混乱して、個人投資家や専門家を慌てさせている。

大騒ぎした割には各国の経済対策が功を奏して株価は下がらず、為替相場も変動していない。

日経平均は2万円を回復してコロナ前と変わらないし、NYダウは2万ドル半ばを保ち最高値を更新した銘柄もありました。


 
専門家は「経済崩壊確実」「世界は大恐慌に突入」と言っていたが、今のところそうなってはいません。

専門家の予想には法則性があり、下げた日は「崩壊だ」と叫び、上げた日は「力強い」などと言います。

経済メディアやエコノミスト、投資の専門家は少しでも上昇すると「上げ相場だ」と言い、少し下げると「下げ相場だ」と言っているだけです。


XXX銀行チーフエコノミストのような立派な肩書きを書いていても、やっている事はオウムと一緒で、早くAIで自動化したほうが良い。

オウムよりはしっかりした著名投資家や投資機関は中長期の見通しを発表するが、これがまた当たらない。

世界一の投資会社はゴールドマンサックスで、取引高は国家を遥かに上回る数千兆円とも言われていて、さぞ的確な予想をしているだろうと想像する。


だが2011年に東日本大震災が起きた後、GSの責任者は「日本売りで年末には1ドル195円を超え、国債大暴落が起きる」と言っていました。

現実には日本国債は大暴落どころか大人気でマイナス金利になり、年末に1ドルは80円でした。

予想の上手さと投資成績は無関係

GSの経済予想を時系列で並べても当たった例はほとんど無く、わざと逆の事を言って騙そうとしているのではという邪推すら起きてくる。

世界一の投資家のWバフェットも同様で、2008年の北京オリンピックの頃「中国の一人当たりGDPはアメリカ人と同じになり、中国のGDPはアメリカの5倍になる」という計算を披露しました。

この計算では中国の経済規模は日本の10倍になるが、現実には「水増し」を差し引くと未だにアメリカの半分、日本の1.5倍程度で頭打ちになっています。


バフェットと共に大投資家として名高いJソロスはトランプ大統領当選でドルが暴落すると予想したが、逆にドル高株高になって数千億円も損をしたとされています。

ソロスは2016年に中国人民元暴落も予想し、少しは下げたのだが暴落はしなかったので、これも儲からなかったでしょう。

冒険投資家Jロジャーズも2008年ごろは「子供を中国に移住させ、自分も中国人になるつもりだ」と述べるなど大変な入れ込みようだった。


ロジャーズは「中国人はアメリカの4倍いるのだから4倍のガソリンを消費し、4倍の買い物をする」だから中国人になれば世界一の投資家になれると言っていました。

その後中国の失速が明らかになるとロジャースは中国の話をしなくなり、ベトナムとかミャンマーとか怪しげな国を「将来有望だ」と言っていました。



大恐慌でも投資家の財布は痛まない

このように経済専門家や投資専門家、アナリストから世界最大の投資機関まで、彼らの予想は99%まで外れる事になっていて、一般の人と同じレベルです。

それでもバフェットやソロスやGSは、我々一般人の年収を数分で稼いでいるので、相場の予想と投資で稼ぐのは無関係だと分かります。

彼らが運用する数兆円というような金額になると、「どこにいくら配分するか」という運用配分が重要になります。


どの国の株式に何%、どの国の国債にそれぞれ何%、あるいは成長分野の企業買収とか、細分化することで「絶対に損をしない」ようにします。

例えばリーマンショックの時ですら、世界全体では1年だけ0.05%マイナス成長だっただけで、分散していれば打撃を受けなかった筈です。

こうした事がお金持ちや大投資家の投資なので、予想が当たろうが外れようが、彼らの資産は守られているのです。


自分でリスクを負っているようで、実は株価が半分になっても、資産は保護される仕組みになっています。

一般の個人投資家はそうではなく、日経平均やNY株が1割も下がったら、資産の大半を失う人が続出します。

お金持ちや投資機関責任者の発言を真に受けると、個人投資家は酷い目に遭うでしょう。





なんか正直、信用できない感がスゴいです。辻褄が合わないので、その場のノリで言ってる可能性もありそうな気がしてきました。

ジム・ロジャーズの言うことはまったく役に立たないどころか、辻褄があわない話で、ホラ話なのだが、未だマスコミに取り上げられたり、中には信者がいて神のごとくあがめているような人がいるから驚きだ。

ジム・ロジャーズの肩書きは、「三大投資家の1人、ジム・ロジャーズ」だ

確かにジョージ・ソロスと組んで1973年から運用を開始した米国の「クォンタム・ファンド」で、10年で40倍にしたことは確かですが、ジム・ロジャーズが分析を担当し、ソロスがトレーディングを行っていた。投資手法は、「グローバル・マクロ」と呼ばれるもので、世界各国の経済状況や各種金融市場の動向をマクロ的な視点で観測し、株に限らずさまざまな金融商品に投資するというものだった。

組んだジョージ・ソロスは世界三大投資家の1人と呼ばれ当然と思いますが、ジム・ロジャーズが未だに世界三大投資家という肩書きなのは、違和感がありすぎます。

あとの1人はオマハの賢人ウォーレン・バフェットです。どう考えてもジム・ロジャーズが
ジョージ・ソロス、ウォーレン・バフェットと同格とする理由がわかりません。

ジョージ・ソロスと別れたあとは、ジム・ロジャーズ氏は世界旅行はしたものの、何をやってもパッとしません。それでもバブルが崩壊した90年代から日本のマスコミで「投資の神様」と言われ度々取り上げられ、自分もジム・ロジャーズファンドを販売したことがありましたが、運用成果は酷いもので、以後彼との付き合いは私が勤める某社は相手にしていません。

ジム・ロジャーズの予言めいた経済予想は、当たったためしがありませんし、辻褄が合わないことばかり言いますので、私は信用しません。

ジム・ロジャーズは「日本は今後見込みがないので日本の株はすべて売った」と言っていましたが、数年後また、「日本の株は去年中にすべて売った」と言い出しました。

さらに数年後には「それでも私が日本の株を持ち続ける理由」とか言い出して、さらにまた「日本の株はすべて売った」と、誰が彼の言うこと信用し、参考にしろというのか?

ジム・ロジャーズは単なる調子のいい危ない親父でしかなく、社会人であれば危なくって近づいてはいけない人間です。都度判断がコロコロ変わっる人間のアドバイスなど誰が必要だろうか?

ジム・ロジャーズの予想は当たったことがない。
中国株が伸びると言ったり、毎年のように米国経済が深刻なリセッションを迎えると言っていますが、ぜんぜん現実化しません。

ジム・ロジャーズの信者は、あれは、ポジショントークで、自分の影響力を利用し、実際の運用は逆なのだと・・・。ところが当たれば「予言的中」と熱狂する。信者はジムロジャースの関係者ではなかろうか!

ここ20年近くジム・ロジャーズはなぜか常に反日反米主義的な発言が目立ちます。
中国のエージェントと言っても過言ではないくらいの親中派です。
3人目の妻との間に2003年に長女、2008年には次女が生まれましたが、2008年シンガポールへ移住し、「最高の投資は、自分の子供や孫に中国語を習わせることだ。」と話し、自分の娘にもすでに中国語を覚えさせていることを度々語っています。

ジム・ロジャーズの言葉はなぜ話題になるのかといえば、ある意味彼のお仕事は、ウケを狙って過激なことを言うことです。昔ジョージソロスと組んでいた男が突拍子もないことを言えば、マーケットには何の影響力をあたえることはなくとも、今でも週刊誌のネタ程度にはなります。

ジム・ロジャーズが最近日本に関して次のように言及しました。「もし私がいま10歳の日本人ならば……。そう、私は自分自身にAK-47を購入するか、もしくは、この国を去ることを選ぶだろう。なぜなら、いま10歳の日本人である彼、彼女たちは、これからの人生で大惨事に見舞われるだろうからだ」とても正気な発言とは思えません。

最近、彼が度々日本にやってきて発言するのは、日本で講演活動をして小遣い稼ぎをしなければやっていけないからではないかと思っているのです。ソロスやバフェット氏は悠々自適で、自らマスコミに出ませんが、本当に悠々自適の生活なら、好きな世界旅行をしてればいいだけで、何の発言もする必要がありません。また、多額の自己資金を運用し、投資の神様と呼ばれるなら自宅でトレーディングしているはずで、とてもちょくちょく日本に来るわけがありません。

世界三大投資家の1人という肩書きをそろそろ外し、世界三大ホラフキ芸人とでもしたほうがいいでしょう。

あとの二人は・・・昨年亡くなった横山たかし師匠と、できれば復帰してほしい迫真のホラ、ホラッチョことショーンK氏かな(笑)
まあ、ジム・ロジャーズはジョージ・ソロス、ウォーレン・バフェットとと比べるのではなく、横山たかし師匠とショーンK師匠といい勝負ですかね。


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【WSJ】John Ainger、Greg Ritchie 2019年8月14日 22:23 JST


中銀には世界的リセッションに対抗する手段あまりない-ナエイミ氏
「クレージーな逆イールド」は急ぎ過ぎた米利上げのせいと大統領

債券市場からのリセッション(景気後退)警報はますます大きく鳴り響いている。

アジア時間15日の取引で、30年物米国債利回りが初めて2%を下回った。世界のマイナス利回り債券残高は16兆ドル(約1695兆円)を突破。10年物米国債利回りも再び2年物を下回った。この長短逆転は18カ月以内のリセッション入りを示唆するとされている。


30年債利回りは一時3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.9883%となった。14日には15bp低下した。2年債と10年債の利回りは14日の米市場で一時逆転した後、順イールドに戻っていたが、アジア時間15日には10年債利回りが一時2bp低下の1.5573%となり2年債の1.5609%を再びわずかに下回った。

米中関係悪化と世界経済減速の兆候を背景に、リセッション懸念はここ数週間高まってきたが、中国とドイツからの14日の弱い経済指標の発表が拍車をかけた。イールドカーブの逆転はトランプ米大統領をいら立たせ、大統領はパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は「何も分かっていない」とツイートした。

AMPキャピタル・インベスターズのダイナミックマーケッツ責任者、ネーダー・ナエイミ氏は「世界はリセッションに向かっている。中央銀行にはこれに対抗する手段があまりない。貿易戦争からの甚大な衝撃は中銀がしていることの効果を基本的に打ち消してしまった。イールドカーブが告げているのはこのことだ」と語った。

ゴールドマン・サックス・グループのチーフグローバル金利ストラテジスト、プラビーン・コラパティ氏は、欧州と中国の弱いデータが世界的な債券高の引き金だったとした上で、動きの速さから見て、カーブのスティープ化を見込むポジションの一部が解消されているのではないかと指摘した。

もう一つの注目指標である3カ月物と10年物の利回り格差は3月に逆転して以降、逆イールドのままの状態がほとんどで、米金融当局の利下げ開始で利回り曲線がスティープ化すると予想していた投資家を悩ませていた。14日には英国の2年債と10年債の利回りも逆転した。

トランプ大統領は「クレージーな逆イールド」の原因は、利上げを急ぎ過ぎたFRBにあると批判。より積極的な金融緩和に二の足を踏むFRBが「われわれの足かせになっている」とツイートした。

トロント・ドミニオン銀行の世界戦略責任者、リチャード・ケリー氏は、資金の預け先となるプラス利回りの資産が世界的にますます減少する中で、米国の債券市場は資金の避難先となっていると指摘。「この時点の逆イールドは、米国が向こう1年にリセッション入りする確率が55-60%だと警告している」と述べた。

リセッションがやってくると予想するマクロヘッジファンド、アンサンブル・キャピタルの最高投資責任者(CIO)、ダミアン・ロー氏は、「貿易を巡るこれまでのドタバタ劇を見る限り、リセッションを防げるかどうかはホワイトハウスとトランプ氏次第だ」との見方を示した。
 

【ZAKZAK】2019.8.15 

米国、中国、ドイツで経済指標に異変が生じている。世界同時不況突入への懸念から、14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は800ドル安と今年最大の下げを記録し、15日の東京市場も大幅反落した。リーマン・ショック前の2007年以来の危険なシグナルに市場も動揺を隠さない。

 ダウは800・49ドル安の2万5479・42ドルと6月4日以来約2カ月ぶりの安値水準で、下げ幅は今年最大だった。

 中国の7月の工業生産の伸び率が17年5カ月ぶりの低水準だったほか、ドイツでは3四半期ぶりのマイナス成長となった。米中貿易戦争や英国の欧州連合(EU)離脱問題もあって世界的な景気後退懸念が強まるなか、ニューヨーク債券市場では安全資産とされる長期国債が買われ、米10年債の利回りが2年債を下回る「長短金利の逆転現象(逆イールド)」が起きた。ロイター通信によると、07年6月以来12年ぶり。

 長期金利が短期金利を上回るのが通常だが、長短金利の逆転は「景気後退の予兆」とされる。

 トランプ米大統領はツイッターで米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策運営を改めて批判し、利下げは「とても、とても遅い」と指摘して速やかな追加利下げを求めた。

 投資家のリスク回避の動きから東京市場は円高が加速し輸出企業に打撃となる恐れがある。政府と日銀の対策は待ったなしだ。
米国債券市場で2年米国債が10年国債の利回りを上回った。
2年国債の利回りが1.57%、10年国債の利回りが1.56%と、わずかに0.01%の差なんですが2年国債の方が高くなった。

普通は2年国債と10年国債であれば当然短い方短期の方の2年国債の方利回りが10年より低くあるべきですが、長短が逆転してしまった。いわゆる逆イールドカーブと呼ばれます。

これは2007年以来11年ぶりの現象です。逆イールドカーブという現象が起きるとアメリカがリセッションに向かうサインであるとこうよく言われます。ちなみに逆イールドカーブが発生して1年半後2008年10月にリーマンショックが発生した。

2019年7月末にFRBは利下げをしましたが、 この利下げをする前から2年国債金利は下がっていました。約2%あたりから1.6%を割り込み1.5%台になった、長期国債である10年債も7月にFRB利下げ前は2%以上あったものが一気1.6%を切ってしまった。

2019年3月すでに3カ月物の短期国債と10年の長期の国債が
今年の3月に逆イールドに現象が起きましたが、現在3カ月物国債の利回りは1.87%で、こちらもずっと逆イールド状態です。

逆イールド発生はリセッションになる理由

銀行というのは短期の金利で資金を調達し、そして長期金利で運用します。この短期と長期の金利の差で銀行というのは利益を出しているが、逆イールドになると調達するコストが高くなって運用する利益が低くなってしまい逆ざや発生し、銀行が貸し出しを渋りリセッション(景気後退)が発生するという構図だ。

この逆イールド現象については、つまり昨年 FRB がトランプ大統領が静止したにもかかわらず、利上げを何回も、余計にしすぎたといっていいだろう。

FRBのパウェル議長はずっと中立金利という言い方をして、FRB がやっている金融政策金利というのは中立的な金利であると、景気に間違った影響を与えないと発言していたが、結果は素人であるはずのトランプ大統領の勘が、経済専門家であるFRBの判断より正しかったということになった。

米国のウォール街やリベラル・マスコミは本来独立しているFRBの政策に口出しをするなんて、中央銀行の独立性から、とんでもないとトランプ大統領を随分と攻撃しましたが、市場の声を聞いたトランプ大統領の判断は正しかったということになる。

トランプ大統領はこの逆イールド発生の事態を受けて「このクレイジーな逆イールド」とツイートしています。FRB のパウル議長をふたた批判していますこの昨年の利上げが急ぎすぎた、このFRB の判断ミス が逆イールドになったことを責めています。

今後リセッションに入る可能性が高く、本当にリセッションに突入することを避けるには、金融政策次第、今後FRBが金利を下げるか否か見極めたいが、日経新聞に記載されたFT誌の8月12日記事を読むと気が重くなる。

世界景気に収縮の予兆   データが示す「恐怖の夏」
グローバル・ビジネス・コメンテーター ラナ・フォルーハー
【日経新聞】2019.8.14(水曜日)6面 
 

 今は嵐の前の静けさとでもいうべきか。先週の市場の乱高下は、表向きは米中貿易摩擦が全面的な通貨戦争に発展したことがきっかけだとされる。

だが本質的な原因は、米連邦準備理事会(FRB)が7月に実施した利下げの理由が、将来の景気減速に対する「保険」だということに、世間が納得しなかったからだ。米国、スペイン、イタリア、フランス、ドイツの購買担当者景気指数の低迷に企業の倒産件数の増加、米国のレイオフ(一時解雇)急増まで、今やいくつもの指標が示しているように、世界的な景気下降局面はすでに始まっている。

 資産価格は紛れもなくこれを反映し始め、しかも、その時期は間近かもしれない。中国が人民元相場を安定させたことで、市場は一時的に落ち葺いたかもしれない。しかし、我々は今、為替調査会社AGビセット・アソシエーツのウルフ・リンダール最高経営責任者(CEO)が言うところの「恐怖の夏」を迎えようとしている。同氏は、2018年1月から長期平均に回帰し始めたダウ平均が、10年続く弱気相場に発展するとみている。

 これは感情ではなくデータに基づく意見だ。過去をさかのぼっても、ダウ平均が現在のようにトレンドライン(傾向線)から130%以上素離(かいり)した時期は、1906年以降20カ月間しかない。その時期は恐ろしいことに、大恐慌が起きた29年、ITバブル崩壊前の99年、そして2018年近辺に集中している。「米国株は過去150年間で2番目の高値をつけている」とリンダール氏は言う。

「株価が下がるのは必然だ」 筆者にとって、問題は暴落が起きるかどうかではなく、なぜ暴落がまだ起きていないかだ。

実際、不安を募らせている市場参加者は大勢いる。マイナス利回りの債券が全世界に14兆ドル相当も存在することが何よりの証拠だ。大損に対するヘッジとして少しだけ損をする「安心感」にお金を払う意思がある人がこれほど多ければ、世界がかなりおかしい状態にあることは明白だ(完全に情報開示しておくと、筆者自身は現在、資産の大半を現預金のほか、短期の確定利付き資産と不動産に投資している)。


 より急激で持続的な調整がなぜまだ起きていないのか。先週まで、市場があえて3つの事象について目をつぶってきたためだ、と筆者はみている。

 lつ目は、米中間の貿易協定は成立しないという事実だ。両国とも協定を切実に必要としているが、中国は対等な立場でなければ取引には応じない。ただ、トランプ米大統領は心理的にこれを受け入れられない。過去の経歴をみると、トランプ氏は相手を一方的に倒せたと感じられる欲求を求め続けてきた。株価が下がるにつれて、この負けを認めない病的心理の傾向は激しくなる一方だろう。

 誰もがしばらく前から、これを知っていた。だが、筆者のみるところ、トランプ氏が危険なことをやりかねないことへの不安は、大統領の予測不能な行動の結果、株価が下げるたびに買いに回るアルゴリズム売買プログラムによっていくばくか覆い隠されてきた。そのため、市場が持続不能であることを示す現状に対する継続的なシグナルがかき消されてしまった。

 トランプ氏が中国を「為替操作国」に指定した後、中国は元安を容認した。これにより、米大統領がフェアに戦わずに強硬策に出ようとした場合、中国は米国市場を打ち倒し、どんな痛みをも受け入れる覚悟があることを示した。誰もが無視しがたい新しい現実だ。

 端的に言うと、新興国が覇権国に挑戦するとき、折り合えずに戦争が起きる「トウキディデスの屋(わな)」が現実に起きているのだ。米国の外交政策は20年の大統領遠挙後に大きな変化があるどころの情勢ではない(なお、民主党の有力大統領候補は誰も対中政策をはっきり示していない)。米国と中国は現在、今後数十年続き、世界の経済と政治を塗り考ぇる冷戦に入っているのだ。


一方で、FRBの10年来の対策、つまり経済をお金であふれさせて市場を安心させ、正常化を期待する策は失敗した。そして次善策は存在しない。だからこそ、金の需要が旺盛になっている。一部のヘッジファンドが現金化への防衛策を備え始め、利回りが大幅なマイナス領域に入っている投資適格債をトレーダーが空売りして、過去10年間の米国株「米ドルへの資金流入が今にも反転しようとしているのもこれが要因だ。リンダール氏は、米ドルは今、ユーロに対して25%過大評価されていると考えている。

 FRBは間違いなく、追加利下げによってこうした状況を取り繕おうとするだろう。だが、資産運用会社グラスキン・シェフのストラテジストのデービッド・ローゼンバーグ氏が指摘するように、「米国の民間部門は大量の債務で窒息寸前で、信用コストを引き下げても、需要の反応は大して起きないだろう」。また、同氏が最近書いたように、景気の引き締めは容易でも刺激は難しいことを示した「紐(ひも)を押す」という表現は元FRB議長のマリナー・エクルズ氏が生み出したものだ。FRBが金融政策の緩和で需要を生み出せない様子を描写するために1935年3月に使った言葉だ。

 緩和策は当時もうまくいかなかったし、現在もうまくいかないだろう。債務の問題をさらに債務を積み上げて解決はできない。また、中央銀行が善意から、予測不能な米大統領が引き起こした被害の打ち消しに必死になっているとしても、本物の成長を生み出すことはできない。中銀にできるのは、お金を回すことだけだ。どこかの時点で、市場と実体経済が収束しなければならない。

 まさに今がそのときだと筆者は思っている。設備投資計画は延期され、住宅ローン金利が低いにもかかわらず、中古住宅の販売が減少している。そして、おそらく最も多くを物語るのは、グラスキン・シェフが指摘しているように、米国の消費者がクレジットカードの借入残高と自動車燃料の使用の両方を減らしていることだ。この2つの支出の削減はどんな時期であっても珍しく、ましてや休暇シーズンの最中には、めったにないことだ。まさしく恐怖の夏だ。       (12日付)

 英フィナンシャル・タイムズのコラムや記事を翻訳し、月曜、水曜、金曜付で掲載します。電子版▼国際・アジア→FT

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上のチャートはちょっと古いチャートだが100年タームで見ると現在がいかにトレンドラインから上昇しているか理解できる。

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リーマンショック後の2009年3月にダウは6470ドルだったが、右肩上がりに上昇しつづけ2018年1月に2万6000ドルをつけ、FRBの利上げにもかかわらず2019年7月に2万7000ドルを付けたが逆イールドでリーマン超級の衝撃が来る可能性がでてきた。

リーマンショックでヘリコプターベンことバーナンキFRB議長が市中にマネーをばら撒いた。9年におよぶFRBの超低金利の金融緩和で、お金の量を増え、10年間株価は上昇し続けた。

市場に放出したドルはNY株価を釣り上げたり、投資家を介して中国に投資され、中国の高度成長も作り出した。

だがFRBは2018年に利上げに転じ、市場からマネーを回収し始めたので株価の急上昇もストップがかかった。

最近の上念司風に書くと、FRBがお金バイキングでお金の量を増やし、株価が上がりさせていましたが、FRBが「お金バイキング、終了!」とお金バイキングを止めて、そのお金を回収し始めたので、株価が下がった。

FRBが利上げによってお金の量を減らせば世界景気は後退し始めるのは当然で、FRBの経済政策が失敗したといって過言ではない。

逆イールド出現は、近い将来大きな経済混乱があると投資家が予想している状態で、リーマン級、いやリーマン超級の経済危機はむしろ必然!

アルゼンチンから火の手が上がった、アルゼンチン経済を支えてきた現政権が大統領予備選でよもや大敗、リベラル左派の政権に戻ってしまうと再びデフォルトとなるのが必然で、株価が1日で30%下落したり通貨も暴落!

アルゼンチン国債のデフォルトのリスクに対して保険という形で発行されているのがクレジットデフォルトスワップCDS。

CDSクレジットデフォルトスワップ最大手といえばドイツ銀行、ドイツ銀行は7月に大規模なリストラを行ったにもかかわらず、コメルツ銀行との合併も断られ、破綻するか否かではなく、破綻する時期は、いったいいつになるかという状態だ。

ドイツ銀行はドイツ最大の民間銀行で、世界的にも有数の規模の銀行ですが、特にCDSなどデリバティブ商品の取り扱い残高は55兆6000億ユーロ、日本円で7500兆円超大規模も未だにある。

ちなみに日本のGDPは約500兆円、ドイツのGDPは約400兆円なので、日本のGDPの約15倍、ドイツ銀行の本国ドイツの約19倍の量のデリバティブを取引しています。

ドイツ銀行が破綻するともなれば、これらの商品が不良債権化し、被害は世界中に及んでしまいます。

2019年にドイツ銀行が大型リストラ!破綻した場合の影響は?
【お金の形】2019.07.09
【Ddog】2016年10月18日
 
ドイツ銀行といえば、2016年、ドイツ銀行の筆頭株主に中国の海航集団(HNAグループ)がなりましたが、2018年7月中国No2王岐山の子飼であった王健会長がフランスで 殺害され 謎の転落死をした直後、海航集団は発行株式の10%以上を持っていたドイツ銀行株を全て売却する方向だが、依然6.3%程度保有している。
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/15/218009/071000164/

その中国経済も、為替操作国認定と、中国、韓国の途上国優遇廃止で、風前の灯
人民元はおおよそ1ドル6.5人民元だったのが必死に買い支えていたが7.0を上回り、7.04である。

【MonyVoice】矢口新 2019年8月6日

これに比例するように最盛期の2014年に4兆ドルあった中国の外貨準備は減少し、現在は約3.1兆ドル、外貨準備資金で買った米国債の保有量が2019年6月末日本と逆転しています。

米国債保有額、前月比(単位、10億ドル)

日本(Japan) 1122.9.0 +21.9

中国(China, Mainland) 1112.5 +2.3

英国(United Kingdom) 341.1 +18

ドルを買って人民元を安くするには人民元を発行する、人民元をただ印刷するだけです。
※現在は紙幣すら刷っていません。

ところが下落する人民元を買い支えるには、ドルを売って人民元を買い支えなくてはなりません。現金のドルが必要となり、中国は外貨準備として買い貯めた米国債の売却をせざるをえません。

下落する人民元を買い支えるために1兆ドルを使ったと噂されています。

中国の米国債保有高は約1.1兆円(120兆円)だが、これを全て売却しても米FRBが全額買えば良いだけです。人民元を売却するというカードは中国にとって脅しのカードとしてまったく使えません。

米国債を売却した中国にはドルの裏付けがなくなるので、人民元は更に暴落していく。

そしてこの同じタイミングで香港でデモが起きていて、天安門事件の悪夢が再現する可能性も高まっている。

香港の株式市場の株価はかなり下落し、香港の資金が香港から逃げ出している状態です。

米国が、CIAを使って香港デモを仕掛けていると中国は主張している。



中国と米国との新冷戦が始まっている。米政府は香港を利用して中国を攻撃しようとしている。香港が米中新冷戦の主戦場、最前線となる可能性が高い。

アメリカは世界恐慌を起こしてでも中国を倒す
【トトメス5th】2019年08月07日11:30


冷戦で負けたらアメリカはソ連の一部になるので、打撃覚悟で対立した。
現在も同じで、アメリカは世界恐慌を起こしてでも中国を叩く必要がある

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画像引用:http://livedoor.blogimg.jp/lingvistika/imgs/1/d/1dd13757.jpg


貿易対立で自爆?するアメリカ

米トランプ政権はアメリカ第一主義から中国を制裁し、19年9月1日から新たに3000億ドルの関税を課すと予告しました。

実施されると既に課されている分を含めて、中国から米国への輸入品全てに10%から25%の制裁関税がかけられる。

中国もアメリカを制裁しようとしたが、輸出額が中国のほうが数倍多く、GDPはアメリカが2倍以上多い。

これだと両国が全面輸入禁止にしてもアメリカが受ける打撃は中国の5分の1以下でしょう。
 
アメリカ自身もトランプ制裁によって打撃を受け、アメリカは自爆するという見方があるが、これは正しくない。

アメリカは伝統的に自らが超大国に留まるため、2位の国を虐めて追い落としてきた国でした。

第一次大戦前の超大国はイギリスでアメリカが2位だったが、ドイツが暴れてくれたおかげで、イギリスと戦うことなく1位になれました。

イギリス没落後に復興したドイツと日本がアメリカに挑戦してきたが、国際連盟から追い出して孤立させて叩いた。

第二次大戦後はソ連が2位になり、40年冷戦を戦ったあげくソ連を倒し、経済大国として復活した日本も苛め抜いてデフレスパイラルに陥れた。

ロシアが軍事的挑戦を表明したら経済制裁でこれを叩き、今後は中国が挑戦してきたので叩いています。

もちろん叩く側のアメリカも打撃を受けるのだが、世界大戦のリスクに比べれば楽勝のゲームです。

第二次大戦ではアメリカが負けるかも知れない可能性があったが、中国との「冷戦」はアメリカが勝つことに決まっています。

中国には民主主義や自由、資本主義といった基本的要素が欠けているので、世界の国の過半数が中国に味方する事はあり得ません。

中国を潰すことが日米共通の利益

米中貿易対立はトランプ大統領だから起きたと言われていますが、これも間違いでヒラリーやオバマでも避けがたい事でした。

ただトランプの方がヒラリーやオバマより頭の回転が速かったので、事態の展開が速く人々は現実を飲み込めないのです。

今までのペースで中国が経済成長すると、もう10年ほどで米中のGDPが並んでしまうと試算されていました。

中国は軍事国家なのでアメリカ軍より中国軍の方が強くなり、サイパン・グアム・ハワイまで中国軍の領土になるでしょう。

ナチスドイツが欧州統一してアメリカより強くなるのと同じで、アメリカはそうなる前に中国を潰す必要がありました。

今トランプがやっているのは、基本は第二次大戦や米ソ冷戦と同じで、アメリカが負けて超大国から陥落するかという世界大戦です。

ここに登場するのが日本で、アジアで中国に対抗する力があって中国と仲が悪い国は、インドと日本になります。

インドとアメリカは同盟国ではなくあまり仲が良くないので、すぐに利用できるのは日本という事になります。

これは米ソ冷戦時の日本と同じ役割で、冷戦中の日本はアメリカから警戒されながらも優遇されていました。

一時的に打撃を受けるとしてもアメリカにとって挑戦者の中国を潰せば、再び超大国として繁栄を謳歌できる。

日本もアメリカに協力することで、中国を倒して再び世界2位の大国に復活できる。

おそらくその後日本が目立ちすぎれば、アメリカはまた2位の日本を叩き始めるでしょう。

<略>
元号が変わったとたんに日本が韓国を制裁できたのは、天皇が勝手に韓国を訪問して謝罪するような恐れがなくなったからでもある。

各国は改元後の日本の変化を敏感に感じ取り、対応を迫られたり反発したり協力したりする。

それが世界情勢に変化を与え、思いもよらないような結末を引き起こすことがある。

平成の天皇即位とソ連崩壊、天安門事件に直接の因果関係はないが、世界はつながっていて日本で起きた変化は世界に影響を与えた。

昭和天皇の即位も結果として昭和天皇の教育者だった陸軍の強大化から、日中戦争や第二次大戦に発展した。

大正と平成は消極的で平和的、昭和と明治は積極的で高度成長や戦争など華々しい時代だった。

令和の変化もすでに始まりつつあり、日本と世界で大きなうねりが始まっている。

更に、この10月には日本で消費税増税、10月末期限の英国のブレクジット・・・
日経掲載のFTの記事「世界景気に収縮の予兆 」にあるように >「株価が下がるのは必然だ」 筆者にとって、問題は暴落が起きるかどうかではなく、なぜ暴落がまだ起きていないかだ。この記事のタイトルは当初「リーマン級の衝撃が来るのか?」としていたが、中国の経済崩壊と香港で第二の天安門事件からの騒乱、韓国の没落3度目のIMF、南米の一帯一路拠点のアルゼンチンのデフォルト、ブレクジットとドイツ銀行破綻による欧州の没落、ロシアにおけるプーチンのレイムダック化、ペルシャ湾・イランの緊迫・・・・、すべてが密接にリンクしており、一度ことが起これば、世界中がクラッシュしかねねない。それは2008年のリーマンショック+アジア通貨危機を越える衝撃、リーマン超級の衝撃が起きる可能性は大である。

世界経済はピークアウトした可能性が高い。米国は中国や中国企業を世界経済から切り離しが進むことが予想される。中国経済の崩壊は米国が仕掛けなくとも必然的であった可能性も高いが、いよいよ崩壊が目に見える形になってきた。
お金は、金、米ドル、スイスフラン、そして日本円へと逃げ込むだろう。仮想通貨も可能性がある。


シカゴ筋も円高を予想しています。

結論は、「リーマン超級の衝撃が来るのか?」ではなく、10年に一度の経済的大混乱が、まだ来ていないだけにすぎない。下手をすれば1926年の大恐慌からまだ百年弱だが、21世紀の世界恐慌が起きる可能性まで想定すべきかもしれません。


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期待先行、とりあえずめでたい。2016年の大発会が582円安、2015年の846円安、2014年383円安とは対照的だ。安倍政権が始まった直後の2013年の大発会が293円高以来だ。素直にトランプ政権の発足歓迎相場であろう。

だが、トランプ次期大統領は一筋縄ではいかない。期待が高い時、懐疑をするのは私の性分だろう。もっとも相場の格言では、トランプ政権発足は悲嘆だったかもしれない。今は、懐疑の最中で、相場が成長している最中かもしれません。
相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく                                                                                            米著名投資家ジョン・テンプルトン

だが、マーケットは豹変しトランプ次期大統領を称賛し昨年末トランプ相場になりましたが・・・・

いったんどこかで「スピード調整」の局面があるか・・も。

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昨年11月9日安値の101.20円から12月15日高値の118.66円まで、ドル円相場はわずか約5週間で17.46円も急騰したが、今日1/5 115円台に一時突入し円高となっている。

これを、スピード違反的な急騰に対する一時的な流れと見做すか、否か1月20日に発足するトランプ政権の政策が、実際に始まってみないとわからない部分も大きい。

今のところのトランプ政権のラインナップは、一癖も二癖もあるCEO達と軍人達をはたしてトランプはうまく制御できるのか?しかし、上手く使いこなせば最強政権になる可能性は高い。対中国強硬派が多い新政権を私は期待したい。

国務長官:レックス・ティラーソン エクソンモービルCEO
財務長官:スティーブン・ムニューチン 元ゴールドマンサックス幹部
商務長官:ウィルバー・ロス 知日派の投資家 幸福銀行買収等
国防長官:ジェームズ・マティス 戦う修道士 元海兵隊中央軍司令官
国家通商会議:ピーター・ナバロ 対中強硬派のエコノミスト
大統領補佐官(国家安全保障担当):マイケル・フリン 元陸軍中将イスラム強硬派
国土安全保障長官:ジョン・ケリー 元海兵隊大将 軍強硬派
中央情報局(CIA)長官:マイク・ポンペオ 元陸軍士官学校卒ベンチャー企業社長
首席戦略官兼上級顧問:スティーブン・バノン 元ゴールドマン 元海軍 保守派ニュースサイト会長
国家経済会議(NEC)委員長:ゲーリー・コーン 元ゴールドマンCOO
労働長官:アンディー・パズダー 大手ファーストフードCEO
大統領首席補佐官:ラインス・プリーバス 共和党全国委員長
中小企業庁長官:リンダ・マクマホン プロレス団体WWEの元CEO
住宅都市開発長官:ベン・カーソン 元共和党大統領候補 黒人医師
環境保護局(EPA)局長:スコット・プルイット 司法長官:ジェフ・セッションズ 国連大使:ニッキー・ヘイリー 教育長官:ベッツィー・デボス 厚生長官:トム・プライス 運輸長官:イレーン・チャオ エネルギー長官:リック・ペリー 内務長官:ライアン・ジンキ 陸軍長官:ビンセント・ビオラ 行政管理予算局(OMB)局長:ミック・マルバニー

トランプ政権にゴールドマンサックス関係者が3人も入閣したラインナップに市場の期待が非常に高すぎて、少々怖い。2月頃からはじまる予算審議で議会とどう折り合いをつけるのか?大統領首席補佐官:ラインス・プリーバス 共和党全国委員長の手腕がどの程度かにもよる。軍事増強(一種の公共投資)のレーガノミクスと大型減税などの供給力重視の政策姿勢が酷似予想される「トランプノミクス」の良さそうな面ばかりを先行して織り込み過ぎている。
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                                                   みずほ総合研究所が昨年12月に発表した、年間の経済・社会情勢を予測する10大予測ランキング「とんでも予想」の結果と予想に注目が集まっている。一昨年12月に発表した2016年予想では、1位に「トランプ氏当選」を打ち出すなど、10の見通しのうち3つを見事に的中させたからだ。17年予想は、1位に「アベノミクスがトランプノミクス採用で大型減税」、「ダウ平均2万3000ドル」(2位)、「政府100年国債発行」(5位)、「ブレグジット撤回」(7位)などを大胆に予想するが果たして結果は…。

 16年予想のうち、「トランプ氏当選」以外で的中したのは、「ブラジルのルセフ大統領罷免でレアル暴落」(2位)、「消費税増税先送りを決定」(5位)の2つ。「日経平均2万5000円台に」などは外れたが、「訪日外国人3000万人突破、規制緩和で民泊可能に」や「リオデジャネイロ五輪で、(日本は)20個の金獲得、7人制ラグビーのメダル獲得でラグビー人気がさらに高まる」などの惜しい予想(実際は金は12でラグビーはメダルならず)もあった。

 ランキングを総括する、みずほ総研の高田創・常務執行役員調査本部長は、「あくまでも題名の通り、『とんでも予想』であって、厳密な根拠はない」ことを強調。「変に真面目に分析してしまっては面白くない予想になるので、と遊び心が半分」であることを明かす。

 確かに的中したといっても、「トランプ氏当選」の予想には続きがあり、極論が満載。「オバマ大統領のレームダック期での権力の空白から、世界的規模で地政学的な不安が増大。各地で非常事態宣言が出される状況に」と締めくくっている。「ブラジルのルセフ大統領罷免」も、「理由は準備不足でリオ五輪の開催ができない」ことを挙げており、国家会計の不正操作で罷免された事実とは異なる。

 だが、みずほ総研のこうした大胆な予測が“半分”当たる背景には、昨年が「不確実性ばかりで分析しづらい年」(日銀幹部)だったからともいえる。実際、英国のEU離脱やトランプ氏の大統領当選、移民制限を唱える政党の欧州での台頭と、多くの人が想像していなかった出来事が次々に発生した。

 さて、今年の1位の「大型減税」の中身は、「アベノミクスがトランプノミクスを採用し、大型減税を断行。カジノ法案を受け、インバウンド観光の目玉策として、超豪華5つ星『トランプ・ホテル』を誘致」。

 3位には、「経済的利益から米国が中国に接近。日米両国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)に加わり、米国で中国製新幹線が導入される」と、大胆に予想する。

 物価2%上昇目標の先送りを繰り返す日銀関連の予想では、「(長期金利を0%程度で維持する)イールドカーブ操作が円安誘導と批判を受け、長期金利の上昇範囲を許容。金融政策の出口への警戒から超長期金利が急上昇」を4位に入れた。

 5位の「100年債」も注目だ。昨年7月に財務省が50年債を検討していることが判明したが、英国、フランスやオランダ、スイスなどはすでに発行している。極めて長い年限の国債を発行することは永久国債の連想がされやすく、50年債は、日銀が国債買い入れで財政資金を供給する「ヘリコプターマネー」としての側面が意識されるが、「利払負担の軽減」などのメリットもある。100年債は不可能としても、50年債はあり得るかもしれない。

 とはいえ、やはり「とんでも予想」だけに、当たってほしくないものが多いが、読者のみなさんはいかがでしょうか。(経済本部 飯田耕司)
米国の新政権が発足する前後の時期には政治的な高揚感が盛り上がってメディアもマーケットも「いいとこ取り」の心理状態に陥りがちだ。

トランプ次期大統領が主張する大規模な減税やインフラ投資に必要な財源問題は、今後の財政協議で議論されるだろう。はたして、財源問題がクリアできるか少々不安だ。

もちろん、好景気 トランプ新政権で米国は好景気になる可能性が高い
【Newsweek】経済ニュースの文脈を読む2016年11月14日(月)16時01分 加谷珪一

<トランプ大統領誕生で、米国経済は、世界経済は、そして日本経済はどうなるか。「公約」の大規模インフラ投資は果たして効果があるのか。保護主義とTPP離脱を掲げるが、日本はどう対応すべきか>

 米大統領選は大方の予想に反してトランプ氏が逆転勝利した。市場はクリントン候補の勝利を織り込んでいたことから、9日の日経平均株価は1000円近くも下げた。だが続いて取引を開始した米国の株式市場はトランプ氏の勝利を好感し、ダウ平均株価は大きく値を上げた。

 筆者は以前から、トランプ氏が大統領に当選した場合、彼の人格問題は別にして、米国は意外と好景気になるかもしれないと述べてきた。その意味ではトランプ氏勝利を受けた株式市場の反応は極めて自然なものに思える。ただトランプ氏が掲げる保護主義的な政策は、行き過ぎれば世界経済に極めて深刻なダメージを与える。世界貿易が停滞することで、最終的に米国経済も足を引っ張られてしまうリスクは否定できない。日本を初めとする各国にとってトランプ政権の誕生は大きな試練となるだろう。

大規模なインフラ投資は米国経済にプラス?                           
 筆者がトランプ氏の大統領就任で米国が思いのほか好景気になる可能性が高いと考える最大の理由は、トランプ氏が掲げるインフラ投資である。

 トランプ氏は、自著で1兆ドル(約102兆円)という巨額のインフラ投資を主張しており、選挙戦の最中の8月にはクリント氏が主張する金額の少なくとも2倍の金額を投じるとも発言している。クリントン氏は総額で2750億ドルの投資を公約に掲げていたので、この2倍以上ということになれば約6000億ドル近くになる。これを4年で均等に支出した場合、各年度における直接的な経済効果は1500億ドルである。

 日本人の感覚からすると大きな金額に思えるが、米国経済の現状を考えると実はそうでもない。米国のGDPはすでに18兆ドルと日本の4倍近くもあり、インフラ投資が直接的にもたらす効果はGDPの0.7%程度に過ぎない。だが、この規模の投資が継続的、かつ重点的に実施されれば、米国の産業基盤は着実に強化される。投資は今後の成長の原動力となるものであり、労働者の所得が増えるなど消費にも好影響を与えるだろう。需要不足が指摘される現状の米国経済において投資を拡大するメリットは大きいはずだ。

 クリントン氏は投資の財源として富裕層課税を掲げていたが、トランプ氏は逆に減税を主張している。減税を主張した以上、インフラ投資の財源として税金を充当することは難しく、最終的には国債を増発する形で費用を捻出することになる可能性が高い。増税によるマイナス要因がないので、短期的には経済にプラスに作用するだろう。

【参考記事】アメリカ企業、トランプ勝利で海外利益への大幅減税を期待

 国債が追加発行された場合、金利が上昇する可能性が高まってくる。場合によってはインフレ懸念の台頭ということになるが、米国の金利が完全に正常化できていない現状を考えると、国債の追加発行は低金利を脱するよいきっかけとなるかもしれない。そうなれば、FRB(連邦準備制度理事会)による金融政策との整合性も取れるのでむしろ好都合である。


 米国は2014年にサウジアラビアを抜いて世界最大の石油産出国となっており、天然ガスなどを含めれば、米国は理論上、すべてのエネルギーを自国で賄うことができる。しかも米国は先進国では珍しく、人口が継続的に増加する見込みとなっている。成長に必要な材料はすべて揃っており、大統領1期目の4年間に限定すれば、トランプ氏の大規模インフラ投資がマイナスに作用する要素はあまり見当たらない。

最初にターゲットとなるのはNAFTAではなくTPP                     
 もちろんトランプ氏の大統領就任には懸念材料もたくさんある。金利上昇が行き過ぎればインフレのリスクが高くなるし、財政出動にも限界はある。だが多くの人が気にしているのは、やはり自由貿易体制からの転換だろう。

 トランプ氏は当初、メキシコとの国境に壁を作ると宣言し、NAFTA(北米自由貿易協定)やTPP(環太平洋パートナーシップ協定)について否定的な見解を示していた。これらの公約を本当に実現するということになると、米国を中心とした自由貿易体制は一気に崩れてしまうことになる。世界貿易が大幅に縮小する事態となれば、結果として米国経済も無傷ではいられないだろう。

 もっとも、トランプ氏が指名を受諾した共和党大会では、「国益に反する貿易協定には反対する」という曖昧な言い回しに修正された党綱領が発表されており、トランプ氏も最終的には何らかの妥協を迫られる可能性が高い。政策決定のカギを握る首席補佐官に、共和党主流派に極めて近いプリーバス氏の就任が決まったことからも、トランプ氏がある程度、現実路線を意識していることが分かる。

 米国経済とメキシコ経済はすでに一体化しており、NAFTAからの完全撤退は非現実的だ。トランプ氏がアリバイ作りとしてターゲットにしやすいのはTPPの方だろう。米国がTPPを離脱すれば、米国にとってもデメリットとなるがNAFTAと比較すれば影響ははるかに少ない。

 もっとも、米国がTPPを承認しない場合、日本の製造業にとっては大きな打撃となる。TPPは加盟国のGDPの85%を占める国で承認されなければ発効されない仕組みになっている。TPPがなければ貿易交渉は完全に個別対応ということになるので、米国からどのような要求が出てくるのか現時点ではまったく予想が付かない。

 場合によっては、日本が農作物の市場開放を実施しなければ自動車に関税をかけるといった交渉パッケージを持ち出してくる可能性はゼロではない。そうなった場合、日本メーカーは米国での生産比率を上げる必要に迫られるが、それは国内雇用の喪失を意味する。


 このほかにも、アジア太平洋地域における安全保障政策の見直しなど不透明要素は多い。トランプ大統領の登場は日本にとって大きな試練となりそうだ。だが、不安視したところで問題が解決されるわけではない。日本はトランプ政権の誕生をきっかけに経済構造の転換についてもっと真剣に考えるべきだろう。

【参考記事】トランプ政権の対日外交に、日本はブレずに重厚に構えよ

 これまでの日本は何でも受け入れてくれる米国に大量のモノを輸出することで(あるいは現地生産を行うことで)経済を成り立たせてきた。実際、自動車産業を中心とする日本の製造業の業績は、今でも北米市場での売上げに大きく左右される。

 トランプ政権が自国中心主義に舵を切ることになった場合、米国はこれまでのように無条件でモノを買ってくれなくなるかもしれない。日本は1980年代から内需主導型経済への移行を模索してきたがうまくいかなかった。米国が好景気になれば、それだけで日本の製造業は儲かるので、そこに頼ることの繰り返しだ。2003年から2007年までの日本の好景気も、結局はリーマンンショック前の米国の過剰消費に支えられていたという現実を忘れてはならないだろう(日本人はよく米国の不動産バブルを批判するが、日本はその最大の受益者の一人である)。

 日本は人口が減少しつつあるとはいえ、1億2000万人の消費者を抱える巨大市場が存在している。市場メカニズムが機能するための改革を行い、米国の購買力に依存しない豊かな消費社会を構築することが求められている。

【参考記事】世界の経済学者の「実験場」となりつつある日本

トランプのミクスは景気浮揚効果のある経済政策が採用される可能性が高い。だが、市場が織り込む順番としてプラス面への期待が先行している場合、マイナス方向への削り込みを行う段階になると、今の「トランプ相場」によって上昇は行き過ぎなのか心配だ。

昨年の米大統領選後に観測された「トランプ相場」は、私がトランプ当確前円高と予想したのだが私が培ってきた相場感覚は見事に壊された。

ドル高・円安の「スピード調整」が進む可能性があるが・・・・米国経済が順調なら再び120円台をトライするかもしれない。

しかし、ドル高による米景気下押し圧力に潰されて米国経済がトランプ政権稼動前に失速し、期待の反動でドル安・円高局面が到来する可能性がある。その場合、ドル円相場は昨年半ばに岩盤の堅さを誇った99円台のフロアーを突き抜ける可能性はなくはない。

円高に振れれば日経平均も調整するが、さあ今年の大発会479円高を信じてもいいかもしれない。

 ★(1)

 ドナルド・トランプ次期米政権の誕生は、国際情勢の根本的な大変化を引き起こす。変化のスピードは極めて速い。その変化がどのようになるかを3回に分けて分析する。第1回は、日米関係に与える影響である。

 選挙中から公言していたように、トランプ氏は日本やNATO(北大西洋条約機構)諸国に対し、共同防衛における財政負担をより多く求めてくる。トランプ氏の言葉をもってすれば「米国は世界の警察官を辞めるとは言わないが、警察官の給料を上げてほしい」ということになる。

 NATO諸国では、GDP(国内総生産)の2%を防衛費に充てることが最低限の必要ラインとされている。ところが、この2%の基準を満たしている国は、米国以外にはたった4カ国しかなかった。このため、トランプ氏はNATO加盟国を強く非難している。

 振り返って、わが国を見れば、GDPの1%しか防衛費を支出していない。NATO基準に照らしても、あまりに少なすぎることは明らかだ。

 トランプ政権は、在日米軍経費の負担増を求めてくるだろうが、日本自身の防衛予算も大幅増額する必要がある。日本としては、NATO並みのGDPの2%を国家目標とすべきだろう。これを数年をかけて実現していけば、トランプ政権が日本に要求する条件は容易に満たすことができる。

 そもそも、国防力を高めることは、米国に言われるまでもなく、日本自身がやらなければならない。沖縄を含む南西諸島における対中抑止力の強化は今や急務である。

 トランプ政権は、米国の財政的必要から在日米軍を削減傾向とせざるを得ない。日本としては「力の真空」を絶対につくらないことを目標に、対中抑止力を高めるかたちで、日米安保条約体制の強化と再構築を図ることが必要である。

 安倍晋三政権がこの方針を明確に打ち出せば、日米安保関係は極めて良好に展開する。その延長で、トランプ氏から「憲法9条改正支持」の発言も引き出せるだろう。

 トランプ氏の外交方針の基本は、第1に「反IS(イスラム国)」であり、第2に「反中親露」である。

 中東では、ロシアと手を組み、IS徹底壊滅の軍事行動に乗り出すだろう。今年中にもISの領域支配は終焉(しゅうえん)を迎える。

 トランプ氏は、中国を経済、軍事両面で「米国を脅かす大いなる脅威」と認識している。日米が基軸となり、東アジアで反チャイナ包囲網をつくることが日米協力の目標となっていくだろう。

 選挙戦を通じて、トランプ氏は「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)脱退」を主張してきた。もはやTPPは「死に体」である。この点では、安倍政権は速やかにTPPに見切りをつけるべきだ。自由貿易を推進するならば「日米2国間協議」に切り替えるしか方法はない。
TPPはとりあえず米国抜きで発足させ、そのあと米国が乗るか否かを確認すべきで、TPPを見切るのはあまりに拙速だと思う。TPPはもともと中国包囲網であり、そう簡単に米国がTPP脱落だと思うべきではないが、TPPが有ろうがなかろうが、反中包囲網をトランプは実行していくと思う。
政治的な地震が相次いだ年の後、2017年が平穏な1年になる可能性は低い。ドナルド・トランプ氏の権力掌握から、ゆっくりとしたブレグジット(英国のEU離脱)、中東で自称カリフ制国家「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」が終焉を迎える可能性まで、向こう1年間、世界で注目すべき出来事の手引きを用意した。

1月:ドナルド・トランプ氏の米大統領就任


 その振る舞いから判断すると、第45代米国大統領は足跡を残すことを急ぐだろう。トランプ氏は、米国を環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱させ、医療保険制度改革法(オバマケア)を修正・刷新し、前政権のクリーンエネルギー政策を撤廃するなど、幾多の目標に向けて素早く行動すると約束した。

 就任演説での新大統領の言葉遣いと就任当初数日間の行動がトランプ政権の基調を定めることになる。たとえトランプ氏自身が予測不能で奔放な振る舞いを続けたとしても、だ。

 もう1つ、特に熱心に見守られる公式行事がある。米国の諜報機関が大統領選でのトランプ氏の予期せぬ勝利を後押ししようとしたと見ているロシアのウラジーミル・プーチン大統領とトランプ氏との初の首脳会談だ。

3月:英国のEU条約第50条発動

 半世紀に及ぶ英国の外交・経済政策を事実上廃棄した国民投票から9カ月を経て、英国政府は3月末までに正式な2年間の離脱プロセスを始動することになっている。

 現時点では、旅路の方向性は完全にははっきりしていない。だが、テリーザ・メイ首相率いる英政府は、EU条約の第50条に基づく離脱手続きを始動する前に一定の計画を示すことを約束している。その青写真が詳細に示されていなかったとしても、英国は包括的な交渉戦略も描かなければならない。

 メイ氏は市場にショックを与えることを避けながら、対内投資を促し、保守党のEU離脱派を味方に付けておくことを目指す。3つの目標をすべて成し遂げるのは難しいかもしれない。

年前半:ラッカを巡る戦い


 ISISのジハード(聖戦)主義者たちは、シリアとイラクにおける領土拡大で世界の大部分を恐怖に陥れた後、ほぼ2年間、両国で支配地域を失い続けている。ここ数カ月は、ISISが2014年に制圧したイラク第2の都市モスルの支配を巡る戦いに明け暮れた。

 この戦いの進展次第で、恐らくは2017年前半に始まる次の攻勢は、ISISの事実上の首都であるシリアのラッカを巡る戦いになる。

 トランプ新政権にとって大きな課題は、ISISをその牙城から引きはがし、ジハード主義者の残忍な支配の後に地域を統治することができるシリア人部隊の連合軍(クルド人、アラブ人双方が参加する連合)を組織することだ。

4~5月:フランスの大統領選挙

 ブレグジットとドナルド・トランプ氏の米大統領選出、マッテオ・レンツィ氏の首相在任に終止符を打ったイタリア国民投票での憲法改正案否決の後に、大きな利害がかかった2017年の選挙がやって来る。フランスの政界エスタブリッシュメントは、国民戦線(FN)の大統領候補、マリーヌ・ルペン氏の台頭に抵抗することを目指す。

 ルペン氏は第1回投票で勝利を収める可能性がある。だが、一騎打ちの決選投票では、穏健な有権者が反ルペンの旗印の下に結集し、ルペン氏は敗北すると見られている。本命は、保守・共和党の大統領候補、フランソワ・フィヨン氏だ。

 だが、主流政党の間には亀裂があり、ルペン氏は労働者階級の有権者の間で支持の鉱脈を掘り起こした。さらに、2016年の選挙のショックは、どんな票も当てにできないことを示している。ルペン氏がどうにかして勝利を収めたら、EUは潜在的に過去最大の危機――ブレグジットをもしのぐ危機――に直面することになるだろう。

5月:イランの大統領選挙

 過去4年間、当初の逆の予想にもかかわらず、ハサン・ロウハニ大統領はイランに足跡を残してきた。特に注目されるのは、米国とその他5大国との間で結んだ核合意を通じたものだ。

 だが、イランの政策課題を形成するロウハニ氏の力は、旧来秩序の擁護者、具体的にはイラン革命防衛隊と司法界からの絶え間ない攻撃にさらされてきた。

 そして今、時折、合意破棄を誓ったトランプ氏の到来で核合意に重圧がかかっている中、ロウハニ氏は大統領再選に挑むことになる。強硬派は大統領選に影響を及ぼそうとするだろう。ロウハニ氏が生き延びるかどうか、そしてイランがより対立的なアプローチを取るかどうかは、中東地域内外に大きな影響を及ぼすことになる。

通年:FRBの利上げ

 米国の金利は、原油価格と並び、世界を揺るがす可能性がある経済的事実だ。多くの人、多くの場所にとって、2017年の重大問題は、米国金利がどれほど上昇し得るか、だ。

 12月に金融危機以降わずか2度目の利上げに踏み切った米連邦準備理事会(FRB)は、2017年にあと3回金利を引き上げると予想している。市場は、金融引き締めがそこまで進むとは確信していない。だが、金利は実際、一段と上昇する可能性がある。

 本人が認めている通り、FRBのジャネット・イエレン議長はまだ、考えられる「トランプ効果」を考慮に入れていない。もし次期大統領が議会で自分が求める莫大な財政刺激策への支持を勝ち取ったら、このトランプ効果は金利をさらに押し上げるかもしれない。

 トランプ氏が大統領に選出された後、債券保有者とメキシコペソやトルコリラといった通貨はすでに痛手を受けている。大統領就任後の同氏の政策が全世界で資金コストを上昇させたら、こうした投資家や通貨はさらに試される可能性がある。

年前半:エルドアン大統領の国民投票


 レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はほぼ15年にわたり、トルコで自身の権限拡大を図り、その過程で近代トルコの建国の父ムスタファ・ケマル・アタチュルク以来、最も影響力のある指導者になった。

 2017年にエルドアン氏はついに最大の野望をかなえる可能性がある。つまり、行政権を持った大統領職に正式に就任し、誰もが認める国家元首および政府のトップとして国を支配することだ。

 クーデター未遂と一連のテロ攻撃を含む血みどろの1年を経た後、エルドアン氏により大きな権力を与えることへの国民の支持は増大した。国民投票は4月か5月に実施される可能性がある。大統領は恐らく賛成票を、民意に力を与える行為として描くだろう。反対勢力は、ノーを突きつけることが独裁政治を防ぐ最後のチャンスだと訴えることになる。

秋:中国の共産党大会


 中国が国際舞台で今日ほど力を持ったことは過去何世紀もなかった。習近平国家主席ほど強大な権力を持った指導者は、毛沢東以来いない。

 習氏は、中国共産党第19回党大会でこの権力を固めることを目指す。同氏はほぼ確実に2022年まで共産党総書記の座を維持するが、本当の問題は、ほかにどんな任命があるか、また、味方を昇格させることによって一連の任命が習氏の影響力を拡大させるかどうか、だ。

 もし党大会が既存の年齢制限・任期制限を払いのけたら、それは習氏自身が暫定的な退任期限の2022年以降まで共産党の支配をもくろむシグナルかもしれない。そうなれば、この最も野心的な中国指導者にとって、過去とのさらなる決別になる。

 一方、中国は成長が四半世紀ぶりの鈍さとなっている経済やトランプ氏との緊張が高まる可能性など、ほかの大きな課題の舵取りもしなければならない。

9~10月:ドイツの選挙

 アンゲラ・メルケル首相は、欧州で最も重要な指導者、ことによれば自由世界で最も重要な指導者の地位を確立して久しい。だが、首相4期目を目指す2017年には、選挙で大きな難題に直面する。

 安定した連立を組む計算は、既成政党の問題によって著しく複雑になる可能性が高い。移民問題に対するメルケル氏のリベラルな路線への国民の不満は、現在の連立パートナーである社会民主党(SPD)の長期的衰退と、古くからの同盟相手である自由民主党(FDP)の不透明な先行きと重なった。

 反ユーロ、反移民を掲げる「ドイツのための選択肢(AfD)」は、ここにつけ込もうとするだろう。一方のメルケル氏は、同氏が担う重要な国際的な役割が国内での弱さによって損なわれないこと確実にしようとするだろう。


By Daniel Dombey in London
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未曽有の世界経済危機の兆候…中国は資金流出、EU各国は排他主義で分裂、米国急失速 【BusinessJournal】2017.01.05 真壁昭夫・信州大学経法学部教授

2016年11月8日に米国の大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ氏が当選して以降、金融市場では米国経済への強気な見方が増えてきた。それは、トランプ氏が財政出動、減税、規制緩和を進め、米国経済の成長率を2~4%程度に押し上げると主張してきたことに影響されている。

リーマンショック後の世界経済では、各国が金融政策を駆使して低金利環境を整備し、投資や消費を促そうとしてきた。エコノミストらの間でもこうした政策の効果にはさまざまな見方がある。そのなかでも世界的に需要は盛り上がりに欠け、需給ギャップが拡大基調にあるというのは多くの専門家が認識しているポイントだろう。

 その状況下、トランプ氏が主張する5000億ドルとも1兆ドル(59兆~117兆円程度)ともいわれる大規模なインフラ投資が本当に進むと、世界的に需要は回復し物価も上昇しやすくなる。それが大統領選挙以降の米国株式、ドルの上昇につながった。すでに米連邦準備理事会(FRB)関係者が2017年に3回の利上げを予想していることを踏まえても、トランプ氏の経済政策(トランプノミクス)の潜在的な影響は無視できない。

 こうした期待がどうなるかは、今後の政治次第だ。17年、米国だけでなく欧州でも独仏蘭で総選挙などの重要な政治イベントが控える。各国の政治動向次第で世界経済に無視できない影響が及びやすいことは冷静に考えるべきだ。


17年はまさしく政治の年
 
 17年の世界経済の展開を論じる際、無視できないのが主要国の政治動向だ。まず注目されるのは大統領選挙後、急速に先行きの期待が高まってきた米国の動向だろう。1月20日、トランプ氏は正式に大統領に就任する。その後、予算編成や債務上限の引き上げなど、議会との交渉などを通して政治的に解決されなければならない案件は多い。

 財政出動を主張しているように、トランプ氏は“大きな政府”を志向している。一方で、伝統的に共和党は“小さな政府”を重視し、経済の営みは市場に任せるべきだとの考えを持っている。選挙戦のなかでトランプ氏と共和党指導部の関係が悪化したことを踏まえると、同氏が共和党や議会との利害調整を円滑に進め、有権者から一定の支持を維持していくことができるかは不透明だ。政治経験の乏しい同氏にとって、それは簡単なことではない。すでに財政出動観測から金利は上昇し、住宅投資や耐久財の消費動向は不透明だ。ドル高が輸出や企業業績に与える影響も無視できない。今後の米国経済はトランプ氏の政治手腕次第だろう。

 現在、欧州各国では移民や難民に対する反感が追加的に高まっている。特に、ドイツでは首都ベルリンで、クリスマス商戦でにぎわうマーケットにトラックが突入するテロ事件が発生し、難民受け入れを積極的に進めたメルケル政権への批判が高まっている。ドイツ以外のEU加盟国でも自国第一を主張する右派のポピュリズム政党への支持が高まっている。今後の選挙などの結果次第では、金融市場が混乱する可能性も排除できない。

要注意のフランス大統領選挙

 なかでも注意が必要なのは、フランスの大統領選挙だ。同国の大統領選挙では、1回目の投票で50%以上の得票率を確保する候補がいない場合、上位2名での決選投票が行われる。各種世論調査などを見ていると、1回目の投票では勝負がつかず、右派・共和党の候補であるフィヨン元首相と、極右・国民戦線のル・ペン党首の一騎打ちになるとの見方が多い。

 決選投票に関して、多くの政治アナリストらの見方では、左派の社会党と共和党の反ル・ペン票がフィヨン元首相に流れ、ル・ペン党首は当選しないとの予想が多い。強硬に移民、難民の排斥やEU懐疑主義を唱えるル・ペン党首の主張は、かなり過激だ。理性的に考えると、フィヨン氏の当選がフランスと欧州にとって良い決定であることは確かだ。

 しかし、16年6月の英国国民投票、11月の米国大統領選挙のように、想定外の展開もありうる。共和党の候補者選びに関しても、多くのアナリストらはフィヨン氏が大統領候補に選出される可能性は低いと考えていた。それは、フィヨン氏が親ロシア、シリアの考えを持っており、ル・ペン党首ほどではないにせよ反移民の考えを持っているからだろう。

 そう考えると、フランスの政治は徐々に自国優先、EUからの離反に向かっている。そして、難民が関与するテロが続いていることを考えると、5月の決選投票にてル・ペン党首が当選する可能性は排除すべきではない。独英に次ぐ欧州第3位、世界第6位の経済規模を誇る同国で極右政党が政権を獲れば、欧州全体に無視できない影響が及ぶ。オセロをひっくり返すように、各国に排他主義、自国優先、反EUの世論が広まりかねない。


先行き不透明かつ不安定な世界経済

 11月の米国大統領選挙以降、市場参加者が米国を中心に先行きに強気になってきただけに、「政治が世界経済の足を引っ張るといわれても、にわかには信じがたい」というのが大方の反応だろう。冷静に考えると、金融市場に影響を与えているのは先行き期待を強める投資家心理だ。「噂で買って事実で売る」という相場格言のように、次期大統領と米議会の交渉がうまく進まないなど政治の実態が明らかになるにつれ、強気相場の調整は進みやすい。

 そのタイミングで欧州の政治不安が高まると、それなりのマグニチュードで株価やドルが下落し、世界の金融市場がリスクオフに向かう可能性がある。すでに、イタリアのモンテ・パスキ銀行は自力での再建をあきらめ公的支援を申請した。近い将来、イタリアでも総選挙が実施される可能性があり、政治混乱が銀行システムの再建を阻害し、実体経済にマイナスの影響を与えることは十分に考えられる。

 また、リーマンショック時と異なり世界経済には十分な支えが見当たらない。中国を筆頭に新興国経済は世界経済の成長のエンジンではなく、重石になっているからだ。中国では過剰な生産能力の解消が不可避な中、鉄鋼や石炭の増産が進んでいる。金融市場ではシャドーバンキング(影の銀行:正規の銀行システムを介さない資金調達)を通した融資が増え、債務のリスクが懸念されている。秋に共産党の党大会を控え、習近平国家主席は自動車減税やインフラ投資など、財政出動により景気を支えようとするだろう。それでも、先行きの経済への懸念を受けて本土市場からは資金が流出している。16年年初のように人民元安、株安などが同時に進むと、世界経済の下振れリスクも高まるはずだ。

 注意したいのは、米国への期待剥落から世界経済の先行き懸念が高まるなかで、欧州の政治、中国経済の減速への懸念が同時に高まるシナリオだ。その場合、世界経済は未曽有の経済危機に直面する可能性がある。各国の金融・財政政策に手詰まり感が出ているなか、政策当局がどう金融市場の混乱を鎮静化させ、景気を支えられるかもはっきりしない。基調として世界経済に不安定な部分があり、状況次第で先行き不透明感が高まりやすいことは冷静に考える必要がある。

(文=真壁昭夫/信州大学経法学部教授)



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公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が25日発表した2016年7~9月期の運用実績は、2兆3746億円の黒字になった。黒字は3四半期ぶり。6月の英国の欧州連合(EU)離脱問題などによる混乱が終息し、国内外の株式相場が回復した。4~6月期は14年10月に資産構成に占める株式の比率を2倍に増やして以降の累積で1兆962億円の赤字となったが、7~9月期は再び黒字転換した格好だ。


9月末時点の運用資産は132兆751億円で、7~9月期の運用利回りはプラス1.84%だった。運用資産は6月末(129兆7012億円)より増加したものの、3月末(134兆7475億円)には届かなかった。

収益(市場運用分)の押し上げ要因になったのは株式だ。国内株が2兆234億円、外国株も1兆455億円の黒字だった。債券では赤字を計上したものの補った。

国内債は長期金利の上昇(債券価格の下落)が響き6671億円の損失が出た。外国債も円高進行や米国の金利上昇が重荷になり、398億円のマイナスになった。

9月末の資産構成は国内株が21.59%、外国株は21.00%だった。国内債は36.15%、外国債が12.51%、短期資産は8.75%になった。

【GPIFの資産構成】

16年9月末   6月末    3月末 

国内株式    21.59%   21.06%   21.75%

外国株式     21.00%   21.31%   22.09%

国内債券    36.15%   39.16%   37.55%

外国債券    12.51%   12.95%   13.47%

〔日経QUICKニュース(NQN)〕
7~9月期が黒字なら9~12月期もおそらく黒字になると可能性がいまのところ高そうです。
つい一か月前まで野党や左翼系のメディアは4~6月期赤字を出していた為、国民の財産を棄損させた安倍政権はけしからんという論調で、GPIFを攻撃していました。


英国EU離脱で日経平均1200円超暴落

6月23日(現地時間)に実施された国民投票で、EU離脱を是とした英国。そこを震源に世界が大きく揺れている。予想通り、スコットランドでは英国からの離脱のうねりが再燃し、意表を突く形でロンドン市でも英国離脱の動きが浮上。他のEU主要国の離脱可能性まで囁かれ始めている。

最も懸念されているのが、世界的な株安の再発と連鎖だ。6月24日の東京市場では、日経平均株価が前日の終値から1200円超の大暴落。その後も国民投票前とはほど遠い水準にある。これが国民の生活に直結するのが、国民から預かった巨額の年金基金を株式に投資しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用損である。GPIFからの正式な公表は例年よりも先延ばしされているが、漏れ伝わる情報で報じられた2015年度の運用損は約5兆円と見込まれている。

GPIFは、国民年金と厚生年金の積立金を国民から預かり、その資金を債券や株式に投資して「安定的に運用」する厚労省所管の独立行政法人として、06年に設立された。運用を委託されている金は実に約140兆円となる。米国最大の公的年金カルパース(カリフォルニア州職員退職年金基金)が運用する基金約30兆円と比べれば、その巨大さが伺える。民間の機関投資家とはスケールが違うのだ。

GPIFが公式サイトで公表している運用実績のデータと厚労省の管理データを照合すれば、平成26(2014)年度までの運用損益の正確な金額を照合・確認できる(ファイル14ページ参照*)。

*http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/zaisei/tsumitate/tsumitatekin_unyou/dl/houkokusho_h26_01.pdf

年次推移からこれまでに最大の運用損益を出した年度の運用損益と資産額をピックアップすれば、運用益の最大が2014年度の15兆2627億円(資産額145兆9323億円)、運用損の最大が9月にリーマン・ショックのあおりを受けた08年度の9兆3176億円(資産額123兆8381億円)だ。トータルではひとまず運用益が勝っている。

但し、GPIFの株式投資で動く運用損益は、その実績値からみれば数千億~十数兆円の単位である。当然とはいえ、とてつもない振れ幅だ。株式の市況次第で相応の株を放出しようにも、その膨大な分量ゆえに市場がパニックに陥る懸念があり、容易には売り出せない。慎重なエコノミストたちはこれまで「株式市場に異変が勃発すれば、国民の年金に致命的な打撃を与えるだろう」と警告してきた。

年金運用損はさらに膨らんでいる予測も

ところが、株価の上昇によって景気の上向きとアベノミクスの成功を国民に印象づけようとしたのか、安倍内閣は14年10月31日、アベノミクスに基づいて日銀がマネタリーベースを年80兆円に拡大する追加金融緩和を発表したと同時に、GPIFの運用見直しを断行した。安定した投資先である債券中心の運用をやめて、外国株を含む株式投資を24%から倍以上の50%にまで可能にしたのだ。つまり、国民から預かった140兆円という巨額年金資産の半分を、債券とは対照的に値動きの激しい株式に突っ込み始めたのである。

この見直しの5カ月後に始まった15年度の年金の会計は今年3月末に締めている。当然、50%投資で生じた成績はすでに弾き出されているはずだ。貸借対照表や損益計算書など財務諸表については、各事業年度の終了後3カ月以内に所管大臣に提出することになっている(独立行政法人通則法38条)。過去3年度の経過記録を見ると、順に6月24日、同20日、同21日には運用委員会に財務諸表が提出されており、各々が同年の6月24日、同26日、同27日に厚労大臣に提出されている。従って、目安としては遅くとも6月末までの提出が常態と理解してよいスケジュールだ。

「例年だと7月初旬には公表されてきたのに、今回は参院選後の7月29日に公表するというんですね。誰が考えても、昨年度の運用成績は選挙で安倍政権のブレーキになる結果だったのだろう、と推測するしかなかったわけです」(全国紙経済部記者)

7月29日に公表されるのは財務諸表とは別の「業務概況書」(前年度では約80頁)だが、前述のように、すでに漏れ伝わってきた運用損が、米ブルームバーグの報道を端緒に国内主要メディアからも「5兆円台前半」と報じられた。

しかし、7月29日に公表される15年度の業務概況書では、既報の「5兆円台前半」を大きく上回る運用損が出る懸念もある。さらに、英国EU離脱に始まる今年のヨーロッパの大波乱は、来夏に発表される16年度の運用損を数十兆円規模にまで膨らませるのではないかとの危うい予測も飛び交っているのである。

焦る素人が損に損を重ねる典型

将来的な年金の財源不足が予測されて久しい。もともと年金は国民が税金とは別建てで国に預けたお金であり、「財政赤字だから支払う財源がなくなった」との弁明は通用しない。年金積立金は国が“別の財布”に保管しておくべきであり、2004年に大問題となったグリーンピア事業等への流用のように、国民に無断で他の歳出にあてがうようなマネをしてきた国には重大な瑕疵がある。

国民から預かる年金積立金を、国内株上昇の偽装としか思えないタイミングで株に投げ入れてきたGPIFと安倍政権は、国民の税金を預かる立場として無謀・無責任の誹りを免れないのではないか。借金に心を痛める妻に「ギャンブルで取り返す」と息巻くダメ夫のようなもので、焦る素人が損に損を重ねる典型である。

しかも、それは「安定した運用を担うべき基金」であるにも関わらず、株式投資の可能比率をいきなり半分にまで押し広げ、こともあろうか、ヘッジファンドやハゲタカファンドが跳梁跋扈する鉄火場に投げ入れるなどという所業が、なぜ平然と行われているのか。

ソロス氏と安倍首相の以外ない接点                                             
GPIFが株投資50%への運用転換へと舵を切ったのは前述のように14年10月31日だが、安倍内閣でそれが起案され、推計資料が集められ、試算が作成されて関係官庁や族議員・財界などに根回しされ、構想がまとまり合意されるまでには、少なくとも半年以上が費やされたはずだ。逆算すれば、起案は少なくともその半年以上前であることが容易に推察できる。おそらくは、遅くとも同年の春先には「株式への投資枠を大幅に拡張」という方針が内閣から厚労省を通じてGPIFに伝えられたはずである。

一方、外務省の記録によれば、今年1月下旬にスイスで開かれた世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(通称「ダボス会議」)で、安倍首相は著名な投資家ジョージ・ソロス氏と会談している。

ソロス氏は、四半世紀前の1992年、英国政府の為替介入に対抗したポンドへの空売りで約1500億円の利益を得、「イングランド銀行を潰した男」として世界的に知られるようになった人物。慈善事業家という顔も持つ。今年4月に世界中を騒然とさせたオフショア金融市場の膨大な顧客情報、いわゆる「パナマ文書」を公開したのは国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)だが、その母体である米国の非営利調査報道団体「センター・フォー・パブリック・インテグリティ(CPI)」が、他ならぬソロス財団の資金提供を受けてきたことは米国では広く知られている。

GPIF運用転換の年初にも接触

ソロス氏は13年にアベノミクスの量的緩和による円安で1000億円超の利益を得、自ら創始したヘッジファンド「クォンタム・ファンド」も6000億円にも届きそうなヘッジファンド史上最高額の利益を上げたと報じられているが、今年は年初から「世界経済は危機の入り口にいる」「リーマン・ショックを思い出す」などと発言、注目を集めていた。5月の伊勢志摩サミットで安倍首相が「世界経済はリーマン・ショック前に似た状況」と発言し批判を浴びているが、同じ認識を持っていたのは安倍氏だけではなかったようだ。

5月に市場への現役復帰が伝えられたソロス氏は、英国のEU離脱を決定づけた投票日の翌日(6月24日)に、自ら所有するドイツ銀行株の空売りを手掛けていたことが報じられた。周知のように、空売りは株価下落に乗じて儲ける手法。仮に同日最高値のタイミングで売り出していたのであれば、今回も一挙に百十数億円を得た計算になる。

安倍首相と、ダボス会議の常連といっていいソロス氏との会談は、実は今年1月だけではない。GPIFの運用転換が実施された2014年にも、1月のダボス会議で安倍首相はソロス氏と面談しているのである。株投資50%への拡張の舵切りが同年10月末。前述のとおり同年春先までにそれが起案され、準備が始まっていたとしたら、両名の密談内容が気になるところだ。相手は、持ち前の政治力を駆使して世界的なニュースと連動するかのごとく動く超大物投資家である。一国の首相が安易に近づいてよいものか、大いに疑問が残るところだ。
国民の不安を煽る酷い記事だ、損を出したら、安倍晋三首相がジョージソロスと接触して何やら陰謀を企んでいるような印象をあたえる記事、「なんだこれ!」という記事でした。もっと脳細胞が死んでいる老人向けの記事でも
 サラリーマンが加入する厚生年金と、自営業者が加入する国民年金の2015年度決算で、時価ベースでみると3兆2458億円の赤字となったことが11日までに分かりました。

 赤字となったのは、厚生年金で5年ぶり、国民年金で7年ぶりです。

 赤字は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による5兆3000億円の巨額運用損失が原因で、株式運用を拡大させて運用損失を招いた安倍内閣の責任が改めて問われます。

 GPIFの運用損失は、厚生年金が5兆81億円、国民年金が3416億円。

 厚生年金は、保険料率の引き上げなどで保険料収入が増加し、赤字は2兆7448億円でした。

 国民年金は、被保険者(加入者)の減少で保険料収入が減少し、5009億円の赤字となりました。

 15年度末の年金積立金残高は合計で3兆2458億円減り、142兆7078億円。積立金残高が前年度より減少するのは4年ぶりの事態です。

 一方、高齢化で受給者も増えることから、厚生年金の給付費は23兆2733億円に増えましたが、物価上昇にもかかわらず給付を据え置いたことなどにより、伸びは1233億円にとどまりました。国民年金では、給付費が964億円減少しました。

盗っ人猛々しいとはこのことだ。総務省が23日公表した2015年度の独立行政法人(独法)役職員の給与水準で、99法人のうち、理事長らの年間報酬が最も高かったのが「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)だったことが分かった。

GPIFのトップの報酬は「3131万円」で、次いで高かった国立病院機構の「2304万円」を830万円近く上回っていた。

GPIFは15年度の運用実績で5兆3098億円の損失を計上。今年8月末に発表した16年4~6月期の運用実績でも、5兆2342億円の赤字を出している。国民の大事な老後資産に「穴」をあけながら、トップが何ら責任も取らずガッポリなんて許せないだろう。

総務省はGPIFの給与水準について「妥当性は担保されている」なんて言っているが、デタラメ過ぎる。
デタラメ過ぎるのはいつも日韓「日刊ゲンダイ」の日々の煽り記事だろう!
国の基金の長の報酬からすれば他国と比べれば間違いなく低い。報酬を与えなければアニータに貢いでしまった年金基金のオヤジみたいなのが出てしまう。そういった社会常識を啓蒙せず、ただ批判するならば、社会が成り立たないことを記事を書く側は自覚すべきだ!


投資と言うものは、100発100中は難しい、ジョージソロスやウォーレンバフェットですらコンスタントに当て続けることはできない。ジムロジャースに至っては彼の予想が当たった話を聞いたことが無い。結局長くトータルでインデックス平均や指標よりよりどれだけ上回ったかということでしか投資の成功不成功は問えない。

以前の年金はそのまま国債にぶち込んで何もしな買ったといって過言ではない。
マイナス金利のご時勢、左翼メディアが言う通りにただ現金で置いたりしていては経済は回らず、国債に投資すれば減ってしまうかもいしれないのだ。何もしないのは無責任すぎるのだ。

だいたい、左翼メディアは年金の資金運用は長期運用が基本なので、四半期ごとに計上される「含み損」を見て損失した「安倍けしからん」という論調だ、読者相手に悪意あるごまかしではないか?

14年10月に現行運用が始まってからは、6月時点では含み損が発生していましたが、ニュースにあるよう9月末までに2.3兆円時価が回復し、現行運用になって4000億円強の黒字である。

平成28年度第2四半期の運用状況の公表及び保有銘柄の開示に当たっての髙橋理事長コメント

2016(平成28)年度第2四半期は、石油価格が落ち着きを取り戻したことなどから、S&P500(米国株式)が過去最高値を更新するなど世界的にリスクオンの動きが広がりました。

国内では、経済対策への期待が高まったことなどから株価は上昇し、日本銀行がこれまでの金融政策の総括的な検証を行い、より時間軸効果の高い新たなフレームワーク「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入したことから10年国債の利回りは上昇(債券価格は下落)しました。また、日米の金融政策の方向感を探る展開から為替(ドル/円)はほぼ横ばいで推移しました。

このように市場環境が安定的に推移したことから、7月から9月までの当法人の運用実績はプラス1.84%となりました。

引き続き、投資原則・行動規範を遵守し、年金財政に必要な積立金を残すためにしっかりと受託者責任を果たしてまいります。


また、本年7月の業務概況書の公表に当たって平成27年3月末時点の保有銘柄の開示を行いましたが、その開示による市場への影響に関して検証を行った結果、市場への影響は確認されなかったことから、本日の平成28年度第2四半期の運用状況の公表とあわせて平成28年3月末時点の保有銘柄の開示を行いました。引き続き保有銘柄の開示が市場に及ぼす影響の有無も注意深く観察し、今後とも運用の透明性の確保に努めてまいります。
トランプ相場で12月末時点では国民は皆含み益を抱えることになる。
左翼メディア的な近視眼的発想でいうなら、「ありがとうトランプ次期大統領!・やったぜ安倍首相」のはずだ。

長期的には株式は配当が支払われるが、日経平均銘柄の株式平均利回りは現在1.65%である。文句はあるまい・・

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トランプ当選後爆騰するNYダウ!
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ウォール街ではトランプ評価が逆転したのではないか?
トランプ当選直後日本で1000円下落したのはいったいなんだったのか!
為替も109円台・・・トランプ当選後は円高のはずでは?
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トランプが当選後向こう10年間に1兆ドル(109兆円)規模のインフラ投資を行うことを大統領としての最優先課題の1つに掲げてきた。11月9日未明の勝利演説では「幹線道路、橋、トンネル、空港、学校、病院を再建する」と提案した。

これは財投政策ですから好景気になるに決まっています。
しかも、財政赤字になるのではなく、新たなインフラ建設計画は完全に民間資金に依存するものだ。投資額の82%に相当する税額控除と引き替えに、投資家のプロジェクト参加を促す。この計画は、失われた税収が建設労働者からの所得税収入や請負業者からの法人税収入で埋め合わされると想定している。つまり、政府のコスト負担は事実上なくなるという仕組みだ。

それに加え、米国企業が海外で稼いだ利益のレパトリエーション(国内環流)について、35%の税率を1回限り10%にする計画をトランプ氏は打ち出しています。

レパトリは2005年ブッシュ政権も実施しています。現在米国に拠点を置く多国籍企業は推定2兆ドルの海外資産保有していますが、2005年のレパトリでは約3000億ドルの真水がNY市場が還流し1ドル15円ほど円安となりました。

ならば、1ドル120円が視野に入ってくる。

1回限りとは言え、法人税そのものも35%から15%へ引き下げへというのですから、海外でがっぽり稼いだお金を米政府に納税し国民に積極的に再分配して還元するのではなく、多国籍企業の懐に入れてよしとしている。これは、トランプの計算だから感心する・・・。トランプは世界中から資金を米国に還流を計っているのだ。
パナマ文書はある意味で、富裕層の資金をタックスヘブンから米国へという流れなのかもしれない。

【MONY・VOICE】2016.5.15

2005年の時レパトリで戻った資金のそのほとんどは配当や自社株買いに向かった。
現在NYダウはEPS1040ドル PRR17倍で17000ドルなのだが・・
レパトリで配当や自社株買いが起きるうえ、法人税も下げられればUBSの試算で数年でEPSは1330ドルが予想されス17倍でNYダウは23500ドル

目先円安ドル高NYダウ爆騰当然な結果である。だが私はレパトリ終了後、長期的には円高になると読む・・・・
<トランプ大統領誕生で、米国経済は、世界経済は、そして日本経済はどうなるか。「公約」の大規模インフラ投資は果たして効果があるのか。保護主義とTPP離脱を掲げるが、日本はどう対応すべきか>

 米大統領選は大方の予想に反してトランプ氏が逆転勝利した。市場はクリントン候補の勝利を織り込んでいたことから、9日の日経平均株価は1000円近くも下げた。だが続いて取引を開始した米国の株式市場はトランプ氏の勝利を好感し、ダウ平均株価は大きく値を上げた。

 筆者は以前から、トランプ氏が大統領に当選した場合、彼の人格問題は別にして、米国は意外と好景気になるかもしれないと述べてきた。その意味ではトランプ氏勝利を受けた株式市場の反応は極めて自然なものに思える。ただトランプ氏が掲げる保護主義的な政策は、行き過ぎれば世界経済に極めて深刻なダメージを与える。世界貿易が停滞することで、最終的に米国経済も足を引っ張られてしまうリスクは否定できない。日本を初めとする各国にとってトランプ政権の誕生は大きな試練となるだろう。

大規模なインフラ投資は米国経済にプラス?

 筆者がトランプ氏の大統領就任で米国が思いのほか好景気になる可能性が高いと考える最大の理由は、トランプ氏が掲げるインフラ投資である。

 トランプ氏は、自著で1兆ドル(約102兆円)という巨額のインフラ投資を主張しており、選挙戦の最中の8月にはクリント氏が主張する金額の少なくとも2倍の金額を投じるとも発言している。クリントン氏は総額で2750億ドルの投資を公約に掲げていたので、この2倍以上ということになれば約6000億ドル近くになる。これを4年で均等に支出した場合、各年度における直接的な経済効果は1500億ドルである。

 日本人の感覚からすると大きな金額に思えるが、米国経済の現状を考えると実はそうでもない。米国のGDPはすでに18兆ドルと日本の4倍近くもあり、インフラ投資が直接的にもたらす効果はGDPの0.7%程度に過ぎない。だが、この規模の投資が継続的、かつ重点的に実施されれば、米国の産業基盤は着実に強化される。投資は今後の成長の原動力となるものであり、労働者の所得が増えるなど消費にも好影響を与えるだろう。需要不足が指摘される現状の米国経済において投資を拡大するメリットは大きいはずだ。

 クリントン氏は投資の財源として富裕層課税を掲げていたが、トランプ氏は逆に減税を主張している。減税を主張した以上、インフラ投資の財源として税金を充当することは難しく、最終的には国債を増発する形で費用を捻出することになる可能性が高い。増税によるマイナス要因がないので、短期的には経済にプラスに作用するだろう。

【参考記事】アメリカ企業、トランプ勝利で海外利益への大幅減税を期待

 国債が追加発行された場合、金利が上昇する可能性が高まってくる。場合によってはインフレ懸念の台頭ということになるが、米国の金利が完全に正常化できていない現状を考えると、国債の追加発行は低金利を脱するよいきっかけとなるかもしれない。そうなれば、FRB(連邦準備制度理事会)による金融政策との整合性も取れるのでむしろ好都合である。

国債の増発で気になるのはやはり財政だが、幸いオバマ政権時代に米国の財政はかなり好転している。オバマ政権は米国史上最大規模の軍事費削減を実施したほか、経済の回復で税収が順調に伸びた。リーマンンショック直後の2010年における財政赤字のGDP比は8.9%だったが、2015年における比率は3.2%となっている。政府債務のGDP比も資産と相殺しないグロスで100%程度なので日本と比較すればはるかに健全である。今のところ米国には財政余力がたっぷりあると見てよい。

 米国は2014年にサウジアラビアを抜いて世界最大の石油産出国となっており、天然ガスなどを含めれば、米国は理論上、すべてのエネルギーを自国で賄うことができる。しかも米国は先進国では珍しく、人口が継続的に増加する見込みとなっている。成長に必要な材料はすべて揃っており、大統領1期目の4年間に限定すれば、トランプ氏の大規模インフラ投資がマイナスに作用する要素はあまり見当たらない。

最初にターゲットとなるのはNAFTAではなくTPP

 もちろんトランプ氏の大統領就任には懸念材料もたくさんある。金利上昇が行き過ぎればインフレのリスクが高くなるし、財政出動にも限界はある。だが多くの人が気にしているのは、やはり自由貿易体制からの転換だろう。

 トランプ氏は当初、メキシコとの国境に壁を作ると宣言し、NAFTA(北米自由貿易協定)やTPP(環太平洋パートナーシップ協定)について否定的な見解を示していた。これらの公約を本当に実現するということになると、米国を中心とした自由貿易体制は一気に崩れてしまうことになる。世界貿易が大幅に縮小する事態となれば、結果として米国経済も無傷ではいられないだろう。

 もっとも、トランプ氏が指名を受諾した共和党大会では、「国益に反する貿易協定には反対する」という曖昧な言い回しに修正された党綱領が発表されており、トランプ氏も最終的には何らかの妥協を迫られる可能性が高い。政策決定のカギを握る首席補佐官に、共和党主流派に極めて近いプリーバス氏の就任が決まったことからも、トランプ氏がある程度、現実路線を意識していることが分かる。

 米国経済とメキシコ経済はすでに一体化しており、NAFTAからの完全撤退は非現実的だ。トランプ氏がアリバイ作りとしてターゲットにしやすいのはTPPの方だろう。米国がTPPを離脱すれば、米国にとってもデメリットとなるがNAFTAと比較すれば影響ははるかに少ない。

 もっとも、米国がTPPを承認しない場合、日本の製造業にとっては大きな打撃となる。TPPは加盟国のGDPの85%を占める国で承認されなければ発効されない仕組みになっている。TPPがなければ貿易交渉は完全に個別対応ということになるので、米国からどのような要求が出てくるのか現時点ではまったく予想が付かない。

 場合によっては、日本が農作物の市場開放を実施しなければ自動車に関税をかけるといった交渉パッケージを持ち出してくる可能性はゼロではない。そうなった場合、日本メーカーは米国での生産比率を上げる必要に迫られるが、それは国内雇用の喪失を意味する。

日本は米国の購買力に頼らない消費経済を目指すべき 
                   
 このほかにも、アジア太平洋地域における安全保障政策の見直しなど不透明要素は多い。トランプ大統領の登場は日本にとって大きな試練となりそうだ。だが、不安視したところで問題が解決されるわけではない。日本はトランプ政権の誕生をきっかけに経済構造の転換についてもっと真剣に考えるべきだろう。

【参考記事】トランプ政権の対日外交に、日本はブレずに重厚に構えよ

 これまでの日本は何でも受け入れてくれる米国に大量のモノを輸出することで(あるいは現地生産を行うことで)経済を成り立たせてきた。実際、自動車産業を中心とする日本の製造業の業績は、今でも北米市場での売上げに大きく左右される。

 トランプ政権が自国中心主義に舵を切ることになった場合、米国はこれまでのように無条件でモノを買ってくれなくなるかもしれない。日本は1980年代から内需主導型経済への移行を模索してきたがうまくいかなかった。米国が好景気になれば、それだけで日本の製造業は儲かるので、そこに頼ることの繰り返しだ。2003年から2007年までの日本の好景気も、結局はリーマンンショック前の米国の過剰消費に支えられていたという現実を忘れてはならないだろう(日本人はよく米国の不動産バブルを批判するが、日本はその最大の受益者の一人である)。

 日本は人口が減少しつつあるとはいえ、1億2000万人の消費者を抱える巨大市場が存在している。市場メカニズムが機能するための改革を行い、米国の購買力に依存しない豊かな消費社会を構築することが求められている。

【参考記事】世界の経済学者の「実験場」となりつつある日本

今年は年初以来いくつかの大きなイベントがあって、ブレクジットにしろ、米大統領選挙にしろ、投機的なイベントに投機勢ヘッジファンド勢は散々な1年だったろう。
私も最後トランプが見てみたくなったが、正直なところいい勝負になるとは思っていたが、トランプが完勝するとは思っていなかった。

私は相場にうまく乗ることができず、あまり資産を増やすこともできず、ダメだったなと思う程度で良いが・・・

ジョージソロスはじめ、ヘッジファンドの皆さんはトランプリスクをかけたようで・・・今頃ハドソン川かイーストリバーに飛び込んだ人も少なくないだろう。ITやらAIがトランプ当選と予測していたら別だが、トランプ勝利を予想したAIがあるとは聞いていない。

確かにトランプを選んだのは人間なのである。木村太郎は直感でトランプ当選を予想していたと言うが、結果論から言えば・・・ホントギリギリでトランプだったので、予想したのではなく、丁半バクチ勝負に勝っただけだったろう。

今回、往復びんたを喰らった方はご愁傷様である、ソロスも外したので今回はついていなかっただけだ。
 [東京 11日]- 米大統領選挙は、共和党ドナルド・トランプ候補が予想外の勝利を収めた。市場は6月23日の英国ショックがトラウマとなり、事前にトランプリスクを意識してドル安・株安・債券高というリスクオフ相場を何度かこなしていたはずなのだが、それでもトランプショックは起きた。

結果が判明していく日本時間9日は、日経平均株価が一時1000円を超える下げ幅となり、ドル円も一時101.19円まで円高が進行した。

そもそも、英米ともに事前の世論調査はなぜ外れてしまうのか。まず考えられる原因は、回答率が低いと外れる可能性が高まることだ。経済統計でも重要だが、回答率を確認する必要がある。

次に米国の場合、過激発言のトランプ氏の支持を知られたくない「隠れトランプ支持者」が多かったようで読み切れなかった。さらには支持率と獲得選挙人数は一致しておらず、民主党ヒラリー・クリントン候補の支持者は投票率が高くなかった可能性も指摘できよう。

来年は4―5月にフランス大統領選、後半(9月頃)にはドイツ総選挙が実施予定であり、市場は世論調査に疑心暗鬼にならざるを得ない。結果判明の時間も災いして、日本市場はリスク回避手段として使われやすい。今後も欧州選挙のたびに不安定な相場を覚悟するしかないだろう。

<船出前から高まる「トランプノミクス」期待>

日本時間9日夕方、勝利宣言をしたトランプ氏は「全ての国民の大統領になる」「どの国とも公平に付き合う」「最強の経済をつくる」と協調性のある発言をして、安心感が広がった。そこから空気が一変、際立ったのは大幅な財政出動を警戒した米10年債利回りの上昇だ。クリントン氏優勢で12月利上げを織り込む過程で越えられなかった1.9%を突破。それに連動してドル円も105円台まで戻し、米10年債利回りが2%に乗せた後、一瞬107円をつけた。

株式市場も大型減税(総額10兆ドル)やインフラ投資促進、金融規制の緩和への期待が強まる一方、通商や移民政策では過激なことはできないとの楽観的な見方に傾いて大幅上昇。日米のマインド指標を比較すると、米国のマインド回復はかなり速いと統計で理解していたが、新大統領を受け入れる切り替えの速さは目を見張る。

10日の日経平均は前日比1000円超上昇し、トランプサプライズとなった。この2日間はまるでトランポリンで弾んでいるような動きであり、トランプの語感に近い「トランポリン相場」と命名したい。

筆者は前回のコラムで、「2017年の世界経済と相場動向の最大のテーマは米国であり、具体的には(09年6月を谷として7年5カ月経過した)同国の景気回復局面は続くのか、16年12月が2回目で最後の利上げにはならないか、新大統領は財政政策を講じるのかといった点が注目される」と指摘した。まだ船出していないトランプ新政権の財政政策(トランプノミクス)への期待は走り出し、「トランポリン相場」が始まった。

<米10年債利回り次第で1ドル110円も視野>

それでもトランプ氏について問題なのは、政治手腕が未知数なことだ。今回、米議会選で共和党が上下両院の過半数を維持し、ねじれは解消できた。これまで共和党の主流派と距離を置いていたトランプ氏が、閣僚人事で財務長官、国務長官にどのような人物を起用するのか、経済政策や外交問題にどう対処していくのか、当面は見守っていくことになろう。

そもそも共和党は財政規律を重視する向きが多く、来年3月末の米連邦債務上限引き上げ期限が、財政出動をする上での最初の試金石と思われる。議会の協力を得るため、新政権の政策が徐々に現実路線へと見直されていく可能性はありそうだ。

トランポリン相場は、落胆から一転、楽観ムードに包まれている。だが、今後も紆余曲折はあると想定すべきだ。新たな材料に一喜一憂し、この先も上下変動を何度か繰り返す相場展開が予想される。

その際、注意すべき市場動向は米債と考える。昨年12月に利上げを開始する前の米10年債利回りは2.3%台にあったことを思えば、その水準に近づきつつある。8月以降、日米欧の金融政策の転換点が近いとの見方から、世界の債券市場は変調を来した。それまでの過度な金利低下(日本では過度なフラット化)の反動修正が日本発で起きたと言える。

9月21日に日銀は新しい枠組みの導入を決定、金融政策の軸を量から金利へ転換し、その後、欧州中銀(ECB)の緩和縮小観測の呼び水となった。日銀のイールドカーブコントロールにより、日本の長期金利は限られたレンジでの動きとなったが、欧米での債券売りの流れは止まっておらず、米大統領選後に再び加速している。目先は追加利上げを十分に織り込み、新政権への期待プレミアムを乗せれば、米10年債利回りの2.5%程度までの上昇はあり得る。

日本の投資家が米債の買い支え役となるのか、当面は試される時間となろう。ドル円も米10年債利回りの上昇に合わせて、2.3%なら108円、2.5%なら110円も視野に入る。

<ドル円も日本株も12月にいったんピークか>

米大統領選は予想外の「トランプ勝利」となったが、市場の混乱は長引かずに済んだ。「クリントン勝利」の前提よりも、米経済の押し上げ期待は強まり始めている。目先の米連邦準備理事会(FRB)の政策判断に影響はないだろう。イエレンFRB議長の任期は18年2月3日までだが、新政権のもと更迭される事態には至らないと見る。

筆者は物価上昇率の伸び悩みと10―12月期の景気減速の可能性を懸念していたが、その霧は米10月雇用統計で少し晴れた。賃金上昇により、インフレ率2%に向けた上昇の流れは出てきている。12月2日発表の11月雇用統計で大きく鈍化しなければ、2%への自信につながるだろう。

また、アトランタ連銀が公表している国内総生産(GDP)成長率のリアルタイム推計「GDPナウ」では、10―12月期の成長率予測は前期比年率3.1%(9日時点)と3%台に乗せており、7―9月期(速報値)の同2.9%の強さがそのまま続いている。よって、12月の米利上げは最後とはならず、来年も緩やかな利上げペース継続(メインは年2回)は可能だ。

ましてや新政権で財政出動となれば、インフレ期待も高まり、利上げ継続の環境が整うことになる。17日には、イエレン議長が経済見通しについて議会証言をする予定だ。利上げの条件はほぼ整い、緩やかな利上げを継続できる経済状況を説明するだろう。

一方で100円割れの円高が遠ざかり、日本の長期金利が低位安定、欧米に比べて相対的な金利の低さはイールドスプレッドの観点からも、日本株の投資妙味を高めることになろう。アベノミクス4年目、年終盤の日本株高のジンクスは、日銀の協力のもと、1)原油高、2)欧米金利の上昇、3)円安と外部環境、が支援する形がイメージされる。

ただし、1点目については、11月30日の石油輸出国機構(OPEC)定例総会での減産協議の結果次第で弱含む可能性はある。それでも、過去2年のような原油安が長引く展開に転じるとは考え難い。残り2点については、12月8日のECB理事会、12月13―14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でいったんの材料出尽くしとなる可能性があり、12月上旬が米10年債利回り、ドル円、そして日本株の一時的なピークとなる可能性は念頭に置きたい。その後、新政権の政策運営を見守りながら、仕切り直しの展開を予想する。


[東京 14日] - 2017年は、2016年とは打って変わって「円安の年」になると筆者は予想している。共和党完勝は、ドル円上昇シナリオの阻害要因ではなく、上振れ要因となるだろう。

「トランプ米大統領=円高」という見方は確かにある。米連邦準備理事会(FRB)の金融政策運営や外交安全保障への影響、ドル安誘導の可能性、そして何より不確実性の上昇を考慮すると、短期的には円高となりやすいことは当社も予想してきたことである。

しかし、筆者は米国選挙のインプリケーションは財政政策を通したものになると論じてきた。複数のシナリオの中で、大統領選と上下両院での共和党完勝がドル高、金利上昇の最大の要因になり得ると9月にも書いた。

共和党完勝は、米国政治のねじれ解消と財政拡大を意味するため、ドル高、金利上昇につながる。不確実性上昇に伴う短期的なリスクオフの動きがひとまず限定的だったことは、こうした見方が米国投資家に共有されている可能性を示唆している。

もちろん、短期的には上下動が繰り返される恐れはあるし、何よりトランプ次期政権については不確実性が大きい。まずは、トランプ氏の閣僚人事や1月の一般教書演説の中身を確認する必要があろう。

<トランプ版「本国投資法」もドル高を後押しか>

ただ、米国政治において一党が大統領選と議会選を完勝するのは稀なことだ。1965年以降の51年間で見ると、一党が大統領のポストと上下両院の過半数を押さえたのは18年間に限られている。

完勝は財政緩和となりやすい。その18年間では、米国の構造的財政収支は国内総生産(GDP)比で年平均0.4%ポイント悪化した。

財政緩和は金利上昇要因である。 GDP比1%の財政刺激策は、米国10年金利を推定48ベーシスポイント(bp)押し上げる。そして、金利上昇はドル高要因である。米国が最後に景気後退期以外で財政緩和に踏み切ったのは、1980年代のレーガン大統領時代までさかのぼる。レーガン大統領の財政緩和により、FRBは利上げサイクルに入り、60%ものドル上昇に寄与した。

実は今回は、この財政政策との絡みで強力なドル高材料が視野に入っている。海外から米国に還流した資金に10%の税金を1回限り課すというトランプ氏の提案、いわゆる本国投資法(Homeland Investment Act、以下HIA)第2弾だ。現在2兆円程度ある米企業(非金融法人)の海外保有現金の本国送金促進を狙ったもので、米国第一主義を掲げるトランプ次期政権にとって、これは最も遂行しやすい政策である。

当社の試算では、約4000億ドルの外貨がドルに変換される可能性がある。実際、HIA第1弾が発動された2005年には、3000億ドルの資金還流が発生し、同年のドル指数が13%近く上昇する一因になったとの調査報告もある。

また、財政赤字拡大(=米債発行増)に加えて、規制緩和(=銀行勘定による米債需要の低下)も金利上昇に作用する可能性がある。ドル円は金利感応度が強いため、来年のドル円上昇見通しを後押しするだろう。日本の国内フローも来年は円安要因となる見通しだ。かねて筆者はドル円が1ドル=115―120円の水準を来年回復すると予想してきたが、共和党完勝により、その確率は高まってきた。

<リスクシナリオは中国の人民元安誘導>

もちろん、リスク要因は存在する。日米安全保障条約を批判し、政策の不確実性が大きいトランプ大統領が誕生することで、日米関係を軸とする安倍政権の外交戦略と、短期的には解散戦略に影響を及ぼす可能性が出てきた。

安倍政権の今後数カ月の日程を見ると、内政より外交課題に重点が置かれている。トランプ大統領誕生は、1)環太平洋連携協定(TPP)成立の可能性のさらなる低下、2)日ロ交渉への影響、3)地政学リスクの上昇、を示唆する。安倍政権は外交成果を上げにくくなる可能性が高い。

また、不確実性が高まった中で、政治基盤を強化するために安倍政権が衆議院を解散するという、より受身の政治戦略を取るシナリオも排除できない。安倍政権の政治外交戦略における柔軟性と、日本の政治が市場に与えるポジティブリスクが低下し、日本の安全保障に関するネガティブリスクは上昇した。

もっとも、こうしたリスクはグローバルリスクというよりも、日米関係におけるリスクだ。そのため、必ずしも円高要因とは言えないだろう。また、トランプ次期大統領が意外と現実主義であり、対日関係を重視する可能性もある。となると、「リスクオフの円高」が発生するとすれば、中国当局がトランプ大統領誕生を前にして、駆け込み的に人民元安を推し進めるような場合の方が可能性としては高いだろう。

また、トランプ次期大統領と議会共和党が財政拡大措置について合意できるかどうかについても不確実性は大きい。トランプ次期大統領の政策への不確実性上昇で、米国景気に悪影響が出るとの声も少なくない。これも、ドル高シナリオへのリスクだろう。

とはいえ、重要な点は、金融市場はここ数年、財政緩和よりも金融緩和が大きいとの前提で、低インフレ・低金利継続を見越したポートフォリオを構築してきたため、その逆、つまり金融緩和よりも財政緩和が大きくなり、インフレ上昇・金利上昇となるシナリオに対しては脆弱になっていることだ。

リスクリワードの観点からは「インフレ資産」であるドル円は上方向に利があると見ている。リスクはあるが、筆者の見立ては「共和党完勝=ドル円上昇」である。
トランプは日本を好景気にすると約束していない、米国が美味しいところを頂くと宣言しているのだから、円安で喜ぶマーケット関係者諸君、確かに暫く円安になるが・短命になりそうな気がする、レパトリが終ったら円高になる可能性が高い。

トランプ次期大統領は常々、米国の国益を最優先すると一貫して述べてきた。
北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉や、環太平洋連携協定(TPP)からの撤退を公約としている。また、中国からの輸入品に45%、メキシコからの輸入品に35%の関税を課すことを公約としてきたばかりか、選挙戦中の演説では日本の自動車に現在2.5%しか関税がかけられていないことに疑問を呈し、38%まで関税を引き上げると述べ言ったたこともある。

日本の核兵器保有容認もひっくり返されているから、今後どうなるかはわからないが、元々TPPに反対するなど保護主義的な通商政策を掲げており、円安はトランプ支持者が許さない。

過去米国政府が通貨政策で自国の利益を優先する場合、為替レートはほぼ円高ドル安に向かう。ドル安によって米国景気が回復すれば、金利が上昇し結果的にドルが上昇するのではないかとの見方もあるが、少なくとも過去の例ではそうなっていない。

1993年に発足したビル・クリントン民主党政権では、クリントン大統領が日米貿易不均衡是正を主張。当時の宮澤喜一首相と同年4月に行った会談後の記者会見でクリントン大統領は「日米の貿易不均衡是正に有効な方法は4つ。その第1は円高である」と述べた。クリントン政権発足時には125円台だったドル円相場は急落し、1995年に90円を割り込むことになる。

トランプ政権のもとでドル高が中長期的なトレンドになるとは思えない。目先はトランプノミクスの「光の部分」に関心が集まっているものの、100日の蜜月後マーケットの関心が保護主義的な政策へとシフトすれば再びドルが売られる可能性がつよいような気がします。シカゴ筋は円ロング(円高予想)が減ったとが、相変わらず、円ロングである。
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コラム:トランプ次期大統領はレーガン後継者か=MCP シニアストラテジスト嶋津洋樹氏 【ロイター】2016年 11月 15日 12:26 JST

[東京 14日] - 米大統領選挙における共和党ドナルド・トランプ候補の勝利は、すでに多くが指摘している通り、米国民の現状に対する不満がいかに大きいかを浮き彫りにしたと言えるだろう。しかし、その不満の源は何だろうか。

労働市場の悪さ、賃金の低さ、グローバル化、格差の拡大、変化のない政治。いずれも当てはまりそうだが、決定打に欠けるだろう。少なくともトランプ氏が大統領選挙人の過半数を獲得したことを説明するには十分と言えないように思える。

各種報道によると、トランプ氏の主な支持層は白人の男性。対照的に、民主党ヒラリー・クリントン候補は非白人から圧倒的な支持を獲得していた。しかし、白人の女性に限ると、クリントン氏の支持率はトランプ氏に肩を並べる程度であり、後塵を拝する調査も少なくない。こうした傾向は若年層よりも中高年で顕著なようだ。トランプ氏は発言の過激さこそ前例のないものだったが、その支持者はこれまでの米国政治を担ってきた典型的な米国人であると言えるだろう。

こうした事実は1つの仮説を浮かび上がらせる。つまり、米国人は変わらない現状が不満でトランプ氏を選んだわけではなく、目まぐるしく変わる現状に不満を示した可能性があるということだ。誤解を恐れずに言えば、今回の米大統領選では、「初の黒人大統領」の次に「初の女性大統領」が就任することへの警戒感や違和感、拒否感が示された可能性もある。

実際、米国ではこれまでもたびたび、リベラリズムの反動として世論が保守に振れることがあった。1964年の大統領選で共和党候補に指名されたバリー・ゴールドウォーター上院議員の登場、リチャード・ニクソン大統領(任期1969―74年)やロナルド・レーガン大統領(同1981―89年)の誕生はその典型だろう。

トランプ氏の性別や人種などに対する数々の問題発言が最終的に致命傷とならなかったのは、投票の直前にクリントン氏のメール問題が明らかになったことに加え、こうしたリベラリズムの反動といった側面もあるのではないか。

このように考えると、トランプ氏の具体的な経済政策が減税、規制緩和、税制の簡素化など、レーガン政権下の政策と酷似しているのは、偶然ではないだろう。そして、実際に経済ブレーンの多くがレーガン政権時代の経済政策を前向きに評価していると報じられている。

経済政策以外でも、米軍の強化と同盟国への軍事費負担の要求は、「スターウォーズ計画」に代表される国防の強化と「安保ただ乗り論」を彷彿させる。筆者はトランプ氏の経済政策を考える上で、レーガン政権の経験が役に立つと考えている。

<ドル高が招く貿易摩擦の矛先>

例えば、レーガン政権下の積極財政は、当時の連邦準備理事会(FRB)がインフレの抑制を目指して、金融政策を引き締め的に運営していたこともあり、米金利とドルの上昇をもたらした。

現在のFRBは高インフレに苦しんでいた当時と異なり、低インフレに悩んでいるとはいえ、金融政策は正常化の最中。トランプ氏の掲げる積極的な財政政策が実施されれば、レーガン政権時代ほどではないにしても、米金利とドルには上昇圧力が加わりやすい。足元の米金利とドルの上昇は一時的にとどまらない可能性があるだろう。

レーガン政権時代のドル高は、ドイツや日本との貿易摩擦を激化させた。トランプ氏が積極的な財政政策を修正しない場合、ドル高が続くことで、米国企業の競争力が低下し、貿易摩擦が激化するリスクは否定できない。トランプ氏が通貨安政策を採用していると批判したことのある日本やインド、中国、メキシコは、市場開放を迫られたり、米国での輸入関税の引き上げなどに直面したりすることも想定される。

特にメキシコは、トランプ氏が北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉や不法移民問題に言及していることもあり、相対的に厳しい立場へ追い込まれるリスクがある。

もちろん、トランプ氏が批判の矛先を海外ではなく、金融政策の正常化を模索するFRBに向ける可能性もある。その際、FRBは利上げの中止などが求められるだろう。イエレンFRB議長がそうした要求に安易に従うとは想定しにくいが、議長としての任期は2018年2月までである。トランプ氏が新たなFRB議長を指名することで、金融政策に影響を及ぼすことは考えられる。

ちなみに、レーガン大統領は自分と立場の近い理事を次々と任命し、ボルカーFRB議長を窮地に追い込んだことで知られている。

<「ビジネスマン大統領」との付き合い方>

トランプ氏がビジネスマンということもあり、経済政策以外の政策は曖昧で方向感を欠くものが多い。特に経済政策と同様かそれ以上に注目される外交・安全保障問題は今のところ、上述した米軍の強化と同盟国への軍事費負担を求めている発言以外に手掛かりが乏しい。この点は、俳優出身でありながらも、カリフォルニア州知事として政治的な経験を積み、対ソ強硬論に傾いたレーガン大統領と大きく異なるだろう。

ただし、そのことは二国間関係が個人的な信頼関係に左右されやすいことも意味する。安倍政権が日米関係の一段の強化を望むのであれば、ビジネスマンであるトランプ氏を納得させる理論武装とともに、首脳間の信頼関係を構築することが急務だろう。

同じことは、ロシアとウクライナ問題で対立する欧州連合(EU)、そのEUと離脱問題(ブレグジット)でさや当てを演じる英国、過激派組織「イスラム国(IS)」やシリア問題などに悩まされる中東各国にも当てはまる。

なお、トランプ氏の勝利はブレグジットに続いて、過度に悲観論をあおった専門家とそれを報じ続けたメディアなどへの国民の信頼感を大きく傷つけた可能性がある。もちろん今後、トランプ氏の勝利やブレグジットが遠因となって実際に危機が発生するリスクは否定できないものの、その警告に真剣に耳を貸す人は従来ほど多くはないはずだ。まして、トランプ氏が米国民の不満を解消したり、ブレグジットが平和裏に完了したりすれば、なおさら人々の信頼感は失われる可能性がある。

このことは、12月に国民投票を控えるイタリアをはじめとして、2017年に実施予定のドイツの総選挙やフランスの大統領選にも影響を及ぼすだろう。少なくともそれぞれの国民にとって、EUやユーロが崩壊するとの警鐘はすでに大きな意味を持たなくなったはずだ。

上述した通り、筆者はトランプ米大統領の誕生が経済に直接与える影響については、総じてプラスが大きいと見る一方、政治や社会を不安定化させるリスクは小さくないと考えている。その悪影響の大きさは今後、EUやユーロ圏で明らかになるだろう。

コラム:ギラギラした米資本主義復活へ=武者陵司氏
【武者陵司】2016年 11月 16日 19:55 JST 

[東京 16日] - 米大統領選挙における共和党ドナルド・トランプ候補の勝利を受け、米経済や世界経済の将来に関する悲観的な見方が広がっているが、私はむしろ逆に捉えている。トランプ次期政権はさまざまな面で、期待できる要素を備えていると考える。

まず、共和党が大統領ポストに加えて上下両院の過半数も押さえたことによって、非常にパワフルな政府が誕生するということだ。政治経験のない実業家のトランプ氏を大統領候補に指名した共和党については、以前からの党勢の低迷もあり、選挙中はあたかも滅びつつある政治集団であるかのような論調が多かったが、ふたを開けてみれば「共和党独裁」とも呼べる時代が幕を開けた。

これには、2通りの見方ができる。1つは、現在のオバマ政権下での民主党大統領・共和党議会という「ねじれ」が解消し、政策運営がやりやすくなる点。もう1つは、共和党が自ら指名した大統領に対して、上下両院の過半数を占めるという(言い訳のしようがない)責任ある立場からチェック機能を果たさなければならないということである。

お目付け役(議会共和党)に対する国民の目が厳しくなるのは必至だ。よって、過激な選挙公約をトランプ氏が実行に移そうとしても、きちんとチェックアンドバランスが働くことになるだろう。

そもそも数々の暴言や移民問題などに関する一部の選挙公約を脇に置けば、トランプ氏が示している政策案は、荒唐無稽なものばかりではない。その骨子を素描すれば、1)強い米国の威信復活、2)財政支出拡大や大型減税による景気刺激、3)金融規制やエネルギー規制の緩和など、米経済ひいては世界経済にとってプラスに働くものが多い。

一部には、トランプ氏が繰り返す「AMERICA FIRST(米国第一主義)」や「MAKE AMERICA GREAT AGAIN(米国を再び偉大に)」との言葉を、「孤立主義」へのシフトと解釈する向きは多いようだが、世界から孤立した「偉大な米国」などあり得ないことは、トランプ氏は百も承知なはずだ。

米国で消費される商品の9割は輸入品であり、米国で製造されている商品の9割は輸出されている。米経済の繁栄は、グローバル貿易の繁栄と直結しており、両者はすでに抜き差しならぬ相互依存関係にある。このつながりを断ち切って、米国を偉大にすることなどできない。トランプ氏が他国の経済・通商政策を批判しているのは、不公正ないいとこ取りは許さないということであり、資本主義を否定しているわけではない。

むしろ、「本音主義」のトランプ政権誕生によって、「理想主義」のオバマ政権以来(特にリーマンショック後)抑制されてきた、ギラギラした米国流資本主義が復活するのではないかと私は見ている。

<レーガノミクスとの共通点>

では、具体的にはどのような政策が実行に移されるのか。ヒントは、1980年代のレーガン共和党政権にあると思う。

実は、先ほど列挙した政策骨子はすべてレーガン政権を彷彿させるものだ。共和党政権と言えば、バランスバジェット(均衡予算)へのこだわりがひときわ強い印象を受けるが、レーガン政権時には軍備拡張と同時に国内経済の立て直しのために大型減税と規制緩和が実施され、財政赤字が拡大した。また、インフレ抑制のための金融引き締め、その結果としてのドル高というポリシーミックス(レーガノミクス)が展開された。

それらは、新自由主義的な小さな政府を志向するサプライサイド改革をしながら、ケインズ的な需要政策を遂行するという、当時の経済理論からすれば矛盾に満ちたものであったため、「ブードゥー(呪術)経済政策」と批判されたが、実際には国内総生産(GDP)成長率や雇用が拡大するなど大きな成果を収めた(反面、貿易赤字と財政赤字の「双子の赤字」増大を招いた)。

トランプ氏の政策骨子は、現在明らかになっている点から推察すると、このレーガノミクスとの共通点が目立つのである。相違点を挙げれば、環太平洋連携協定(TPP)反対や移民コントロール強化などだが、これらも孤立主義というよりは、自国利益の極大化を目指す上での戦術であることは容易に想像がつく。トランプ氏が生粋のビジネスマンであることを忘れてはならない。

国内においてはまず、トランプ氏が宣言している通り、大規模な減税を伴う拡張的な財政政策が取られる可能性が高い。現在、米国では格差問題が深刻化しているが、トランプ流の解決策は、民主党ヒラリー・クリントン候補が目指していた富裕層増税などによる所得再配分ではなく、公共投資拡大などによる貧困層向けの直接的な雇用創造になるのではないか。

具体的には、1)老朽化したインフラの更新・新規投資、2)ここ数年低迷していたエネルギー投資のテコ入れ、3)住宅投資の促進、などが予想される。こうした拡張的な財政によって、現在2%程度と見られている米国の潜在成長率は大きく改善が図られることになろう。

また、トランプ氏は、ウォール街のリスクテークを抑制する金融規制改革法(ドッド=フランク法)に反対しているが、それは的を射ている。金融市場が活性化しない一因は、リーマンショック以降の過剰な金融規制と資本基準の厳格化によって、金融機関と投資家がリスクテークをできなくなったことだ。ドッド=フランク法の見直しが部分的なものにとどまったとしても、規制強化の流れが反転すれば、リスクテークは促進され、市場の活性化につながるだろう。

むろん、米経済はすでに完全雇用にあり、インフレも2%到達が見えている。この段階で、財政緩和によって背中を押すことはバブルを作り出す恐れがあるとの批判もあるかもしれないが、だからこそ金融政策には逆向きの引き締めが求められることになる。

実際、トランプ氏は折に触れ、金融緩和政策を批判している。財政緩和と金融引き締めという適切な組み合わせが適度に追求されるならば、米景気は過熱せず、着実な成長を続ける可能性が高い。あるいは、逆に下向きにいったん行くとしても、伝統的な景気循環サイクルに戻るだけであり、パニックに陥る必要はない。

<孤立主義ではなく覇権再構築>


最後に、トランプ次期政権の誕生が安倍政権の政策運営に与える影響はどのようなものになるのだろうか。現在のところ、TPP頓挫の可能性が高まっていることや、日米同盟が揺らぐリスクなどを心配して、悲観的な見方が多いようだが、冷静になって考えてみる必要があろう。

まず、米国が外交面で孤立主義に転じるというのは本当なのか。前述した通り、米経済成長は世界経済成長に依存しており、その世界経済メカニズムは米国が広げた資本主義理念に頼っている。米国を輝かせたいならば、世界に関与を深めるしか道はないはずだ。地政学的に見ても、レーガン政権時と同じく、強い米国をアピールすることが一番、理にかなっている。実際、トランプ氏は、国防予算の上限撤廃や軍備増強を提唱している。同盟国に応分の負担増を求めているのは、むしろ覇権の再構築に熱心な新政権誕生を予感させる。

また、自国製造業を守るためにドル安政策に舵を切り、日本など主要国を通貨安戦争・貿易戦争に導くとの見方もどうだろうか。そもそも財政緩和は金利上昇要因であり、金利上昇はドル高要因だ。すでに市場は、そうした期待を胸に、ドル高円安方向に動いている。為替はトランプ氏の一義的な政策目標ではないはずだ。トランプノミクスの最大の焦点は、財政緩和だと思う。

むろん、確かなことは来年になってみないと分からないが、言えることは、トランプ氏には、レーガン大統領のように、米国の次の一時代を築くチャンスがあるということだ。資本主義の申し子が、偉大な大統領として歴史に名を残す好機をみすみす逃すとは思えない。



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執筆中

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暗雲漂うマーケットに久々に一筋の明かりが差した。
バフェット氏が米経済を楽観的な見方をしているということだ。

一方ジム・ロジャースのような胡散臭い連中は3月10日大暴落だと我々を脅す。
[27日 ロイター] - 投資会社バークシャー・ハザウェイ(BRKa.N)を率いる米著名投資家ウォーレン・バフェット氏(85)は27日、毎年恒例の「株主への手紙」を公表した。

この中で、米経済の見通しについて楽観的な見方を示し、ドナルド・トランプ氏をはじめとする大統領候補者が語る悲観的な見通しは「全くの間違いだ」と指摘。「240年にわたり、米国への逆張り投資は大きな間違いだった。今も始める時期ではない」と述べた。バフェット氏は大統領選で民主党のクリントン候補を支持している。

また、発表が注目されている自身の後継者の名前には言及せず、100歳を迎える2030年8月30日まで経営を続ける意思を示した。

バークシャーが27日発表した通期決算は利益が21%増の240億8000万ドルと過去最高を記録。営業利益も5%増え、過去最高の173億6000万ドルとなった。

第4・四半期の利益は32%増加、営業利益は予想を上回る18%増となった。

バークシャーとブラジルの投資会社3Gキャピタルは2013年に米ハインツを共同買収し、昨年のハインツとクラフトフーズとの合併でも提携した。バークシャーは3G傘下のバーガーキングによるティム・ホートンズ買収にも出資している。

多くの株主は、積極的なコスト削減で知られる3Gとバフェット氏との相性を疑問視している。

バフェット氏は手紙で、自身と3Gは事業運営において「異なる手法を取っている」と認めた上で、3Gは「非常に成功している」と評価し、事業買収で再び組む可能性もある、とした。

シアトル・タイムズ紙が人種差別問題を報じた傘下のプレハブ住宅メーカー、クレイトン・ホームズについては、融資に慎重だと擁護。業界をリードするような業績を示している、と評価した。

報道によると、クレイトンは黒人や中南米系移民などマイノリティの借り手が返済できないようなサブプライムローンを借り入れるよう仕向け、借り手が債務不履行となった後で担保の住宅を差し押さえて地域社会に悪影響を与えたという。同社は人種差別問題を否定している。

バフェット氏は、12月31日時点で含み損が26億ドルとなったIBM(IBM.N)株については、売却する意図はない、と明らかにした。
バフェット氏の言葉はマーケット参加者が、トランプが・・・中国が・・・原油価格が・・・と弱気に傾くなかでまさに福音(ふくいん)と言えよう。
米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が自身の投資会社バークシャー・ハザウェイの株主に宛てて毎年出している手紙は、ビジネス界において最も幅広く読まれ、最も幅広く議論される文書の1つだ。

 毎年手紙が出されると、著名な投資アドバイザーも、取るに足りない個人投資家もそれに飛びつく。複雑なビジネスと投資の原則からその本質を絞り出すバフェット氏の能力に引き寄せられるようだ。中には、気の利いた言い回しを探すために手紙を読む人もいる。

 今回の手紙の注目点をいくつか挙げてみよう。

・米国の将来について

 
「今、子どもたちは自分たちほど良い生活ができないだろうと信じている米国人は少なくない。その見方は全くの間違いだ。いま米国に生まれてくる赤ん坊たちは史上最も幸運だ」

・米国のイノベーションについて

 「過去240年間、米国売りに賭けることはとんでもない間違いであった。今も売り始めるべきでない。米国の商業とイノベーション(革新)という金のガチョウは、より大きな卵をより多く産み続けるだろう」

・3Gキャピタルについて

 「3Gキャピタル(バークシャーが支援するブラジルの投資会社)の手法は、驚くほど大きな成功を収めてきた。それは、多くの不要なコストの排除機会を提供する企業を買収し、その後迅速に動いて仕事を成し遂げるという手法だ。彼らの行動は生産性を大幅に伸ばす。生産性は過去240年にわたる米国の経済成長において極めて重要な要素だ」

・近年の生産性向上のマイナス面について

 「1点目は、近年実現した生産性の向上で恩恵を受けているのが主に富裕層であることだ。2点目は、生産性の向上がしばしば混乱を引き起こす点だ。イノベーションや新たな能力によって世界がひっくり返ると、資本家も労働者も大きな犠牲を払う場合がある」

・調整後利益について

 「報酬が費用でないなら、それは何なのか。そして、実際に繰り返し発生する経常費が利益の計算に含まれないのなら、それは一体どこに含まれるのか」

・ディールメーキングについて

 「惨めな一生を保証されたいのなら、自身の態度を変えるつもりの人と結婚することだ」

・バークシャーの次の大きな案件について

 「バークシャーはこの(金属部品メーカーのプレシジョン・キャストパーツの)買収により、独立企業ならフォーチュン500のリストに入っているはずの企業を10社と4分の1社保有することになる(われわれが保有するクラフト・ハインツ株27%が『4分の1』にあたる)。この結果、米大手企業500社のうち98%弱がまだわれわれに電話をよこしていないことになる。オペレーターは待機している」

・アクティビスト(物言う投資家)と敵対的買収提案について

 「確かに、敵対的買収提案の中には正当化されるものもある。自分たちが株主のために働くべきであることを忘れている最高経営責任者(CEO)もいれば、ひどく無能な経営者もいる。どちらのケースにしろ、取締役は問題が見えていないか、単に必要な変革に後ろ向きであるかだろう。新たな人間が必要とされるのは、こういう時だ。ただし、われわれはこういった『チャンス』を他者に残したい。バークシャーはといえば、歓迎される場所にのみ出向く」

・自らのインターネット利用について

 「私はインターネットで週10時間(トランプの)ブリッジを楽しんでいる。そして、この手紙を書いている私にとって、『検索』は極めて非常に貴重だ(ただし、ティンダー<出会い系アプリの1つ>を試そうとまでは思わない)」

By STEPHEN GROCER

リーマンショックが大恐慌に発展しなかった最大の功労者はウォーレンバフェットであったと私は信じている。

暴落する優良株を買い向かうと宣言し、買い向かい大儲けをした。
あそこでバフェットが買いを宣言しなければリーマンショックは世界恐慌に発展していたかもしれない。

バフェットはマーケットが大底の時に買い向かうと宣言し買い向かい、長期投資を貫く。オマハの賢人と呼ばれる。

一方ジムロジャースは、常にイカガワシイ。インチキカルト宗教の教祖の香りがする。彼の言葉には一貫性が無く、スピリチャル詐欺が常に先祖の因縁が・・・とか、水子がいてとか常に人々を脅し、人の心の弱いところを突き。常に危機を煽る。
大好きな中国はどうなりました?21世紀は中国の時代でしたっけ?金価格は?原油価格は?2014年末に償還したジム・ロジャースファンドの成績は10年で辛うじて元本が戻ってきただけ・・・

日銀のマイナス金利政策導入により、日本の株価は大幅に下落し、日本国債(10年)の利回りは史上初めてマイナスとなった。同時に円高が進み、将来なにが起こるか分からない前代未聞の状況だ。円安によって輸出を促進し、また外国人観光客の増大で国内消費を増やすことを狙ったアベノミクスにとって大きな痛手である。そこで今回は、著名投資家の相場見通し、海外の市場アナリストが予測する次の市場暴落の時期を紹介する。(未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ/高島康司)


「2016年3月危機」に備えよ。著名投資家・海外シンクタンクの警告



今回の株価急落原因は「マイナス金利政策」の予想を超えた副作用

今回の株価急落と急速な円高の原因は、日銀の新たな量的金融緩和策であるマイナス金利政策の予想を超えた副作用であると見られている。

周知のように日銀は、すべての銀行に対し日銀当座預金の口座を持つことを義務づけており、口座は0.1%の金利だった。だが日銀は新規の当座預金には逆にマイナス金利を課し、銀行から手数料を徴収することにした。このため当座預金から資金の引き出しが急増することが予想された。

しかし銀行の資金量が増えたところで、やっと0.5%程度の成長率の日本では企業の貸し出し需要は増えない。むしろ、日銀の当座預金から得ていた0.1%の金利は銀行にとって大きな収益の源泉であった。マイナス金利の適用でこれが消滅すると、銀行は新たな運用先を確保しなければ収益が悪化する。

そこで銀行は、日銀の口座から引き出した資金を、当面は安全な資産と見られている米国債と日本国債の購入に向かわせた。その結果、日本の10年物国債の利回りは大きく下落し、史上初めてマイナスになった。

国債の金利は住宅ローンの金利や預金金利、そして企業ローン金利の基準である。これが下がると、すべての金利は同時に下がる。これは、住宅ローンや企業へのローンの金利に依存している銀行の収益を悪化させる要因となった。

そしてこの収益悪化が原因となり、9日には銀行株は平均で6%を越えて下落した。

銀行株は日本経済全体の指標として見られることが多い。銀行株が堅調なときは企業ローンも伸び、企業の投資が活発な証拠だと理解される。他方、銀行株の一斉の下落は企業の業績が思わしくなく、投資が不活発である示唆として見られる。

そのため、日銀のマイナス金利導入にともなう銀行の収益悪化と銀行株の下落は、他の企業の銘柄の一斉売りにつながった。これが9日と10日の大幅な株安の背景と原因である。

米国、中国、ドイツ…世界中に広がる金融不安

しかしこの株安は、日本に限ったことではない。昨年の5月には史上最高値の1万8000ドル台になったニューヨークダウは1万6000ドル台に下落し、またロンドン、フランクフルト、香港、上海なども軒並み大きく下落している。

特に、日本よりも早くマイナス金利を導入したEU諸国の下落幅は大きい。日本と同様EUでも銀行の収益は一気に悪化し、そのためバークレー、クレディースイス、ドイツ銀行などの主要銀行の株価は8%を上回る下落幅を記録した。なかでもドイツ最大の金融機関、ドイツ銀行は史上最大の赤字を計上し、経営的に非常に困難な状況にあることを露呈した。

このように見ると、9日から始まった株安は、マイナス金利の導入という日本独自の背景があるものの、世界経済の本格的な減速にともなう世界同時株安という世界的な現象の一部であることが分かる。

そもそも日銀がマイナス金利の導入を決めた理由は、中国経済の減速による世界経済全体の低迷、そして世界同時株安を受け、日本経済の減速が強く懸念されたことにあった。その意味で日銀のマイナス金利の導入は、世界経済の低迷に対する反応だった。ということでは、今回の日本の株安は世界的なトレンドの反映であることは間違いない。

新たな金融危機の予測

むしろ今回の日本の株安は、これから始まる世界的な金融危機の予兆である可能性が高い。

そのようななか、さまざまな方面から新たな金融危機を予想する記事や発言が相次いでいる。以前の記事では、国債決済銀行のチーフエコノミストで、現在はOECD開発検討委員会議長であるウィリアム・ホワイトの警告を掲載した。

ホワイトは、次の金融危機が起こると、その規模は2008年のリーマンショックよりもずっと大きいとしながらも、量的金融緩和ですべての方策を使い切ってしまった各国の中央銀行は打つ手がないとして、次の金融危機は大変に厳しいものになることを警告していた。
※OECD要人「現状は2007年より悪い」まもなく再来する世界経済危機シナリオ

そして1月の終わりから2月の初めにかけて、ホワイトよりもさらに厳しい警告が方々に散見されるようになっている。

ジム・ロジャーズの警告

まずは世界的に著名な投資家、ジム・ロジャーズだ。

2月6日、ジム・ロジャーズはネットラジオのインタビューに答え、2016年に新たな金融危機が起こると警告した。次ページでその要約を紹介する。

ジム・ロジャーズの警告(1)市場の崩壊について

過去20年間、主要国の中央銀行は利子率を低下させ、通貨を増刷し、不良債権を買い取る量的金融緩和を続けていた。これは大変に間違った政策だ。巨額の債務だけが残った。いずれ誰かがこの債務を支払わなくてはならない。

2016年と2017年はこれが要求される年となるので、市場は大変なことになるだろう。

すでに昨年の末から株式市場は大きく下落するトレンドに入っていた。市場の下げトレンドに入るときは、上がる銘柄よりも下げる銘柄の数が圧倒的に増えるが、すでに昨年の終わりからこのトレンドに入っていた。だから、2016年に入った市場の乱高下は予告されていた。

今回の下げの原因はFRBの利上げではない。利上げは散々喧伝されており、誰もが知っていた。サプライズではまったくない。

FRBは市場が大きく下げると再度量的金融緩和をやる可能性はあるだろう。

ジム・ロジャーズの警告(2)中国について

中国はリーマンショックのとき政府債務はほとんどなかった。しかしながら今回は異なる。中国政府の債務は大きくなっているので、破綻の影響はあるだろう。

一方、中国政府は政府債務の多くをインフラの建設に充当してきた。これは将来の競争力を維持するために必要な条件だ。中国は不動産バブルの崩壊から厳しい状態になるだろうが、政府がただ通貨を増刷してきたような国よりもはるかにましだ。

だが、中国は経済構造の転換の最中だ。これまでのように安い労働力を利点に安い製品を生産する方法は成り立たない。ベトナムやミャンマーなどの東南アジアの国々にその位置が脅かされている。

ジム・ロジャーズの警告(3)ドルと金・銀について

ドルは過剰に評価されている通貨だ。それは、危機に陥るとドルが逃避通貨として好まれ、ドルが買われるからだ。これと反比例して金と銀が売られる。将来、ドルが売られ、金と銀が買われる局面があるだろう。

私は正しい判断でその波に乗りたいが、いまはそのどちらも買ってはいない。

いま銀が最安値を記録している。将来は金よりも銀のほうが激しく上昇する可能性がある。

以上である。要するに、2016年から17年にかけて、主要国が実施していた極端な量的金融緩和による債務の支払いが要求され、危機に陥るはずだという予測だ。

さまざまな警告が出ているが、そのなかでもジム・ロジャーズのこのような警告は比較的に穏健なほうである。もっと強い口調で警告しているのは、かつてリーマンショックを的中させたことで知られるハリー・デントだ。

ハリー・デントの警告

ハリー・デントはリーマンショックや昨年8月24日の上海から始まった世界同時株安を事前に予測し、有名になった市場アナリストだ。

人口動態の変化から実態経済の動きを予測し、市場変動の見通しを立てることで知られる。以下は1月28日にアレックス・ジョーンズのインタビューに答えたものだ。

現在、米経済はバブルのさなかにいる。このバブルはまさにいま弾けようとしている。これは2008年のリーマンショックをはるかに上回る規模の金融危機となるはずだ。

2016年は1931年以来の最悪な年となるだろう。だが、具体的にいつ崩壊が起こるかは分からない。

本来このバブルはもっと早く崩壊するはずだったが、FRBが実施した極端な量的金融緩和により、破綻の時期が遅延されてきた。

そのためバブルの規模ははるかに巨大になっている。今後1年から1年半でバブルは崩壊し、ダウは6000ドルから5500ドル近辺まで暴落するだろう。

相場の下落は2016年から始まり、2022年くらいまで続くはずだ。そうなる理由ははっきりしている。主要国の中央銀行は極端な量的金融緩和を実施して通貨を増刷し、市場に過剰な資金を放出してきた。

その資金のほとんどが株や債権、そして不動産に投資されてきた。これは大変なバブルである。これが破綻するのだ。

2011年から2015年7月までダウは右肩上がりだった。なんの調整局面もなかった。それがやっと2015年8月24日と26日で大きく下落し、調整の時期に入った。もし昨年の8月の相場よりもダウが下落するとそれからは一気に下がると私は予測したが、いまそのようになっている。

昨年私は株価が下落するきっかけは中国と原油価格になると予想したが、昨年の下落のきっかけはまさにそうであった。今年の下落の引き金を引くのはドイツになると私は見ている。

以上である。


ジム・ロジャーズとハリー・デントの共通認識~それはいつ起こるか?

ジム・ロジャーズもハリー・デントも、金融危機と市場崩壊が起こる原因の認識は共通している。

リーマンショック以降、先進国の中央銀行は、ゼロ金利政策や国債の買い取りという量的金融緩和策を実施して通貨を増刷し、市場に資金を流していた。

この結果、政府の債務は極端に増大している。しかし、このような金融緩和策にもかかわらず、成熟期を過ぎた先進国の経済の成長率は構造的に低い。

そのようななか、世界経済を牽引したのが中国を筆頭とする新興国経済である。新興国経済の成長は著しい。10%地階成長率の国も多い。自律的な成長が困難になった先進国経済は、新興国の増大する需要に引っ張られ、成長率をかろうじて維持することができた。

その結果、極端な金融緩和にもかかわらず成長が困難になった先進国経済の実態は覆い隠され、成長が維持されているかのような体裁が保たれた。

このような主要先進国を直撃したのが、新興国経済の急減速である。これで主要先進国は失速し、量的金融緩和によっても成長が困難になった本来の実態を露呈させた。

そのため、先進国経済に対する市場の信頼は失墜し、相場が暴落する可能性が高まっている。

このような認識だ。この見方は、以前の記事で紹介した高い的中率を誇るボー・ポルニーも共有している。

3月上旬の暴落から危機は開始か?

すると、やはり気になるのは市場の暴落と危機が始まる具体的な時期だ。いまのところ、危機の引き金になる要因はあまりに多い。

中国経済の失速と人民元の切り下げ、米シェールオイルバブルの破綻、ドイツ銀行などの欧州の金融機関の破綻などさまざまだ。いまのところ、なにがきっかけになってもおかしくない状況だ。

だが、先に紹介したウィリアム・ホワイトのコメントを待つまでもなく、暴落と金融危機が迫っていることは間違いない。ではいつ決定的な危機は始まるのだろうか?ボー・ポルニーは2016年10月3日までに市場の暴落はあるとしている。

そのようなとき、筆者が情報を交換している海外のシンクタンクの複数のアナリストから、これに関する情報が送られてきた。だいたいみんな一致した暴落の時期を予測している。それは、次ページで紹介するような段階で起こるとしている。

シナリオ(1)2月に下げた相場は一度戻す

まず、ニューヨークダウや日経は2月の終わりころには上昇し、2月は1月末の相場まで値を戻す。日経であれば1万7000円の水準である。

シナリオ(2)3月8日から10日にかけて大暴落

だがこれで安心してはいけない。3月8日から10日にかけて暴落する。暴落の大きさはリーマンショックの水準を越える可能性がある。

シナリオ(3)5月24日から25日にかけてさらに暴落

その後、相場は変動するものの元の水準まで値を戻すことはない。そして、5月24日から25日にかけてさらに大きく暴落する。3月と5月の2度の暴落で、株価は下手をすると50%以上も下落する可能性すらある。

この暴落の後、既存の金融システムは本格的な調整過程に入り、2022年くらいまで下落は続く。

このようなシナリオだ。これはハリー・デントやボー・ポルニーの予測と非常によく似たシナリオだ。

デントとポルニーはこの暴落は金融危機を引き起こし、危機の後は新しい金融システムに移行せざるを得なくなるとしているが、今回情報をくれたシンクタンクのアナリストたちも同じような見方をしている。

この予測は、株価のチャートのテクニカルな分析によって導かれたので、きっかけとなる出来事がなんであるかは分からない。あと1ヶ月である。このようなシナリオ通りになるのだろうか?注視していかなければならないことは間違いない。
まあ、どちらを信じるかはあなた次第です。

ウォーレン・バフェットの、人生と投資に関わる「5つの至言」を紹介しよう。

アインシュタインは人間の知性には5つのレベルがあると言った。「smart(利口)」から始まり「intelligent(知的)」、「brilliant(輝くばかりに優秀)」「genius(天才)」と段階が上がり、行きつくのは「simple(シンプル)」であると。ウォーレン・バフェットの5つの至言はどれも、人生と投資における真実を、この上なくシンプルな言い回しで教えてくれている。

1.「金持ちになる方法を教えよう。皆が貪欲な時に臆病に、皆が臆病な時に貪欲でいることだ」

安く買って高く売る、という投資の要をこれ以上ないほどシンプルに言い表した言葉だ。長年にわたって投資で大成功をおさめてきたバフェットの根幹をなすものであり、投資家たちがわずかな気の迷いを起こさないように救う言葉でもある。

2.「大学生諸君に申し上げる。今の私の年齢になった時に、自分を愛してほしいと思う人が、本当に自分を愛してくれていたなら、君たちの人生は成功だ」


バフェットは生涯を通じて、あまたの成功者たちについて研究してきた。1日の終わりに思い出そう、人生でもっとも大切なものはお金なんかじゃないと。

3.「成功者と真の成功者との違い、それは真の成功者たちはあらゆることに『NO』と言えるということだ」

スティーブ・ジョブス、ビル・ゲイツそしてウォーレン・バフェットなど、多くの達人たちは、ひとつのことに集中することで成功を手に入れた。より多くの成果を生み出そうとして、長い「やることリスト」をつくる人が多いが、偉業を成し遂げたいなら「やらないことリスト」をつくることの方が実は大切なのだ。

4.「私は多くの人が酒とレバレッジで失敗するのを見てきたー借金でてこ入れするレバレッジだ。そうまでする必要などどこにもない。賢明でありさえすれば、借金などせずに大金を手にすることはできるはずだ」

成功する者がその人生でたどる道はさまざまで幾通りもあるが、失敗はわずかなパターンに限られる。学ぶべきものは、他者の成功例よりも失敗例の中に多く潜んでいる。

5.「投資家に必要なのは選び抜いたビジネスについて正しく評価する能力だ。『選び抜いた』という言葉に着目してもらいたい。あらゆる企業についての専門家である必要はないし、ましてやその数が多ければよいというものでもない。自分の力量の範囲内で、企業の見極めをすればよいのだ。その範囲の大小は問題ではないが、その限界を知ることは非常に重要だ」

投資に関して私がもっとも嫌いな語録のひとつに、ピーター・リンチが投資の極意をシンプルに語った「自分の知っているものを買え」という言葉がある。バフェットの言葉もほぼ同じ概念を表しているが、企業を評価する能力をもち、よくわからない会社への投資を避けることが大切、と強調している。よりシンプルでわかりやすい。

ウォーレン・バフェットの語る言葉が多くの人に引用されるのは、彼が生涯を通して莫大な量の金言を残してきたからだ。彼はどうしてこのようなことができたのか。


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ようやく目先下押しして反発したが、下値は非常にわかり易い位置だった。日経平均にとって回帰トレンドは相性がいい。ドンぴしゃである。回帰トレンドの日足は52日

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週足は144週である。週足の回帰トレンドを大きく破られたのは少々意外だった。1/2押しの水準まで下がるとは思わなかった。
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週足の回帰トレンドを一般的な144週では依然上昇しているのだがを52週で計算し描くと・・・ 当然ながら下向きになっている。
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これでは戻りもセルインメイの5月頃には2万円届かずか・・・・

だが、相場は終わったわけではないと思っている。長期的にはむしろチャンス・・・・
かも?
ただし、今後中国の経済崩壊が進み習近平が暗殺され内戦でも勃発したり、サウジが崩壊しそこにイランが付込みホルムズ海峡が封鎖されるようなことが起きれば14000円、1万円が次の節となっても文句は言えない。

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一見長期波動の月足チャートも、長期上昇トレンドでは終わっていません。
エリオット波動を楽観的に見れば
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5つの“推進波”(1波、2波、3波、4波、5波)と
  3つの“修正波”(A波、B波、C波)から構成させる8つの波
で1つのサイクルとなる。
この1サイクルが終了すると、続いて類似するサイクルが現れ、もう1つの推進波が繰り返される。これを繰り返し相場が進んでいくと、それぞれのサイクルが波動として構成され、さらに一回り大きな推進波となる波動パターンが形成される。

C波が終わったと解釈できなくもないが期間が短すぎるので断言できないのが悲しい。

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回帰トレンドのスタートをリーマンショックから引くと、まだ相場は終わっていない、ほんとに長期波動の入り口なのかもとと希望が持てる

アベノミクススタートの長期上昇波動をエリオット波動に当てはめると第一波が終わって第二波も終わったとも解釈できる。終わったかどうかはまだ断言できないが・・・
出来たら私は億万長者だ!

干支の話からすれば申年は実は長期上昇相場の入り口となるかもしれない。
相場の格言
「子は繁栄、丑つまづき、寅千里を走り、卯は跳ねる。辰巳天井、午しり下がり、未辛抱、申酉騒ぐ、戌笑い、亥固まる」

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例年木野内栄治氏のこの資料を年末に紹介するのだが、今年は年末とても皆さんに紹介する気がなかった。下がりそうなところでこんな楽観的な資料を出せなかった。
一つ好転する材料がある。
サマーズ元財務長官がFRBの利上げを失敗だと声をあげていることだ。

FRBによる利上げの決定は早すぎた? 米市場関係の間では批判論
【BusinessNewsline】2016.1.12 by Harry Martinhttp://www.businessnewsline.com/biztech/images2/201601120327130000w.jpgStanley Fischer, Vice Chair of the Board of Governors of the Federal Reserve System. Credit: IMF

昨年末に実施されたFRBによる利上げの決定について、FRBの副議長のスタンリー・フィッシャーが6日、CNBCのインタビューに応えて年内に複数回の再利上げを示唆する発言を行ったことに対して市場関係者の間から批判が生じている。
フィッシャー副議長は、雇用情勢の改善を背景に、追加利上げの実施によりインフレの改善を図ることを見込んだものとなる。
しかし、この発言に対して、真向から反旗を立ち上げたのが、ラリー・サマーズ元財務長官となる。サマーズ元財務長官は、中国などの新興国の景気後退懸念が高まるなかで、FRBは最悪の状況に備える必要があると述べ、追加利上げの実施には反対の意見を示した。
実際のところ、FRBは12月16日に利上げを決定したが、利上げ実施前のダウ平均株価が17245.24だったのに対して、最新の株価は16398.57で、約4.9%の下落となっている。
ダウの下落は、中国の景気後退局面の増大、欧州におけるテロ懸念の増大、北朝鮮による水爆実験の実施、原油価格の下落などの要因によるものが大きく、利上げ批判論者はこうした外部要因の悪化は今後の米国経済の成長にも大きな悪影響を及ぼすと論じている。
フィッシャー副議長は、追加利上げの実施の可能性を示唆する発言を行ったが、サマーズ元財務長官の読みから解釈するなら、FRBが追加利上げに踏み切る可能性は低く、むしろ、今後の世界経済の情勢が悪化した場合、逆に、再び金融緩和に動く可能性もあるかもしれない。
日本がITバブルの好景気で無謀にもゼロ金利を解除したのっが2000年8月、ITバブルが弾け景気が失速している中で決定した時には、日銀は国を滅ぼすのかと怒り心頭にきました。結果バブル崩壊から失われた10年が20年へと延びた最大の理由が日銀のゼロ金利解除が早急過ぎた大失敗が原因だった。

それをFRBが繰り返そうとしているように見える。だがその実、米国は国益をかけ中国・ロシア・ISIS、もしかしたらユーロをぶっ潰しにかかっている可能性も疑われる。
だが、結果として日本と米国経済が世界デフレを生き残る可能性が高い。

原油、サウジアラビアと中国の動向には要注意だ!

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欧米諸国による対イラン経済制裁が16日、解除された。ウィーンの国際原子力機関(IAEA)本部で共同記者会見に臨む、イランのモハマドジャバド・ザリフ外相(右)と欧州連合(EU)のフェデリカ・モゲリーニ外交安全保障上級代表(2016年1月16日撮影)。(c)AFP/JOE KLAMAR〔AFPBB News〕
 1月18日の取引で米WTI原油先物価格は1バレル=28.36ドル、北海ブレント先物価格は同27.67ドルと、ともに2003年以来の安値を更新した(20日のWTI原油先物価格の終値は同26.55ドルとなった)。経済制裁の解除を受けたイランの増産により供給過剰が一段と進むとの懸念からである。

 イランは制裁前、日量約400万バレルの原油生産量を誇っていたが、現在は同290万バレル程度に落ち込んでいる。イランのジャバデイ石油次官は価格破壊を招く恐れがあることを承知の上で日量50万バレルの原油増産を指示したことを明らかにした。増産しなければ、近隣諸国が生産を拡大するとの懸念のほうが強かったようだ。

 イランは半年で生産量を制裁前の水準まで引き上げ、輸出量を2倍にする(現在は同約200万バレル)と意気込んでいる。ザンギャネ石油相は、制裁解除後から数週間以内に同50万バレル、半年以内にさらに同50万バレル増産するとしていた。

 だが、遊休状態となっていた油田の生産再開が困難な状況に陥っているため、増産のペースに対しては懐疑的な見方が出ている(1月14日付ブルームバーグ)。制裁解除後の1カ月後に日量10万バレル、半年以内に40万バレルの増加というところだろうというのが現実的な見方である。

 増産ペースは遅れるかもしれないが、イランが制裁解除によって利用可能となる自己資金は500~1000億ドルと推定されている。2月末の国会議員選挙を控えるロウハニ政権にとっては選挙戦を有利に展開する材料になるだろう。

サウジは「原油相場は上昇する」と相変わらず楽観的

 対イラン制裁解除のとばっちりを受けたのが他の湾岸産油国である。1月18日の湾岸産油国の株式市場はサウジアラビアで6.5%下落したのを筆頭に、軒並み大幅下落した。

 OPECの2015年12月の原油生産量は、日量3218万バレル(前月比0.7%減)と高水準が続いている(サウジアラビアはわずかに減り、同1008万バレル)。イランが増産態勢に入り、他国が減産しなければ、OPECの生産量は一段と拡大する可能性がある。

 それに対して、オマーンの石油・ガス相は1月18日、「原油価格を押し上げるために同国は5~10%の減産を行う用意がある。他の産油国も足並みを揃えて実施すべきだ」と訴えた。日量生産量約100万バレルの小国の悲痛な叫びだった。

 しかしOPECの実質的な盟主であるサウジアラビアは、相変わらず原油相場は上昇するとの楽観的な見方を崩していないようだ。

 サウジアラビアの予測の根拠は、1月18日に公表されたOPECの月次報告に示されている。それによれば、「2016年の非OPEC加盟国の供給量が従来の見込みよりも大きく減少し、原油市場は再均衡に向かい出す」という。

 非OPEC加盟国の減少幅が日量38万から66万バレルに拡大(そのうちシェールオイルは同38万バレル減少)したとしても、イランの増産で、その減少分は帳消しになってしまう。だが、2015年に日量154万バレル増加した世界全体の原油需要が、2016年も同126万バレル増と引き続き堅調に推移するから大丈夫だ、というわけだ。「原油安による需要増が原油市場の再均衡をもたらす」というサウジアラビアの主張が色濃く反映された形となっている。

「悪材料は出尽くした」という見方

 イランへの制裁解除で原油価格は1バレル=20ドル台となったが、「原油市場はそろそろ悪材料が出尽くしたのではないか」との声も出始めている。

 その代表格は米ゴールドマン・サックスだ。ゴールドマン・サックスと言えばリーマン・ショック前に「1バレル=200ドル」という強気予想で鳴らしていたが、2015年秋に姿勢を一転させ「1バレル=20ドルの時代が到来する」との大胆な予想を披露していた。当時多くの関係者は半信半疑だったが、今は現実味を増している。

 そのゴールドマン・サックスが1月15日、「原油価格急落で生産が落ち込み世界的な供給過剰状態が解消されれば、2016年の内に原油市場は新たな強気相場に向かう」という新しい見方を示した。

 価格急落を受けて米国のシェールオイルの生産が今年後半に日量57.5万バレル減少すれば、世界の原油市場は供給過剰から供給不足に転じるというのがその理由である。

 一方、1月12日に米エネルギー省は、「世界的な原油の供給過剰は2017年第3四半期あたりまで継続するだろう」との予測を示している。シェール企業の生産量の減少幅がOPECの予測よりも小さいと見ている点が特徴的である。ゴールドマン・サックスは、シェールオイルの減産について米エネルギー省よりもOPECの見方に軍配を上げた格好だ。

原油輸入以上に「石油製品」を輸出する中国

 悪材料は供給サイドにあるという点で、OPEC、米エネルギー省、ゴールドマン・サックスの見解は一致している。だが、意外な伏兵が隠れているのではないだろうか。それは中国である。2015年12月18日付ロイターは「中国の石油製品輸出の急増が原油相場にネガテイブな影響を与え始めている」ことを伝えている。

 中国は、経済の減速が鮮明になった2015年下期から「石油製品」の輸出を急増させている。中国の2015年の原油輸入量は前年比8.8%増の3億3400万トン(日量約670万バレル)となり前年に引き続き堅調な伸びを示したが、石油製品輸出量は前年比21.8%増の約3615万トン(日量約79万バレル)となり、原油輸入量の伸びを上回った。

原油輸入が増加しても、それが中国国内で精製され燃料として輸出されれば、中国の原油の最終需要とはカウントできない。そればかりか、世界の石油製品市場の需給バランスを悪化させることになる。当然、原油市場にも悪影響を与える。

 石油製品の輸出は12月には日量約111万バレルを超えており、2016年以降も増加傾向が続く可能性が高い。中国の原油処理能力が既に供給過剰状態にあるからだ。

 2014年12月時点の中国の原油処理能力は約754万バレルと、米国(約1802万バレル)に次いで世界2位である(日本は約447万バレル)。2015年以降も中国では大型製油所の増産が相次いだため、国内の供給過剰状態が深刻化した。需給バランスを図るために中国政府は石油製品の輸出を認め、輸出枠は拡大を続けている。

 石油製品輸出や戦略備蓄等に回った分を差し引くと、2015年の原油輸入量は日量約13万バレルに過ぎない。中国の原油輸入量の堅調な伸びは見かけほど強くないことが分かる。

人民元に迫る危機

 石油製品の輸出分を差し引かなくても、中国の原油輸入量自体が今後マイナスに転じる可能性も高まっている。

 1月19日に発表された中国の2015年通年のGDP成長率は前年比6.9%増と、25年ぶりの低水準になり、発電量も47年ぶりの減少となった。経済のテコ入れに向けて追加刺激策が必要となる可能性が示唆されたが、28兆ドルの規模まで急膨張した信用バブルが中国政府の手足を縛っている(1月18日付ブルームバーグ)。

 1月7日付ロイターは、中国株が世界市場の異変を伝える「炭鉱のカナリア」になりつつあると報じていた。

 1月14日付の中国メデイアによれば、「今年最大の市場リスクは株ではなく為替だ」と噂が広がっており、手持ちの元を米ドルに替える中国市民も急増しているという。市場関係者の間では、現在、管理変動相場制を開始する直前の1ドル=6.83元が「危機レート」と認識され始めているが、ゴールドマン・サックスは1月8日「2016年末までに1ドル=7元にまで下落する可能性がある」との予測を示した。

中国の外貨準備は2015年に5130億ドル減少して約3.3兆ドルとなったが、依然として巨額である。しかし、「中国の外貨準備のうち約2.8兆ドルが既に何らかの支払いのために充当されている可能性があり、安心していられるのは3兆ドル前後までだ(1月8日付ブルームバーグ)」という厳しい見方が表れている。中国政府が人民元を買い支えることができなくなれば、中国から史上最大規模の資本流出が起きるだろう。

 1月8日、英RBSは「現在の株式市場は2008年のリーマン・ショックを彷彿させる。今回のショックは中国から生じる」と警告した。中国の金融関係者の間からも同様の発言が相次いでいることが気にかかる。

 不良債権が急増している中国の金融機関は満身創痍の状態にある。一方で、習近平指導部は、金融機関をさらに苦境に追い込む「供給側の構造改革」に大きく舵を切ろうとしている。中国は、バブル崩壊の後遺症を長引かせた日本の失敗を繰りかえそうとしているようだ。

米国利上げがもたらす悪影響

 悪材料は「中国」だけではない。2015年12月に実施された「米FRBの利上げ」も原油市場に深刻な悪影響をもたらしつつある。

 そもそもリーマン・ショック後の原油価格高騰は、米FRBが2009年に量的緩和政策を実施し、米国の金利が低下したため原油先物という金融商品の魅力が高まり、巨額の投資資金が原油先物市場に流入したことが主要因の1つである。

 ニューヨークの原油先物市場の規模は株式市場の半分にまで急拡大し、FRBが量的緩和政策を停止した後も、投資家は株式・債券などの伝統的金融資産の下落リスクを分散させる効果があるとして原油先物を購入し続けてきた。

 だが、FRBの2015年12月の利上げで、原油先物は一気に魅力を失ってしまった。FRBの利上げにより、投資家は米ドルを保有していればある程度の利息を得ることができるようになった。そのため、金利が付かない原油先物を保有するインセンテイブがなくなってしまったのである。湾岸産油国の政府系ファンドも原油先物を売却している可能性が高いが、政府系ファンドの運用成績を上げる懸命の努力が肝心要の原油価格の下落を招いているとしたら、これほどの皮肉はないだろう。

 英スタンチャードチャタード銀行は、原油先物市場に流入していたマネーが猛烈な勢いで逆回転を始めたことを踏まえ、「原油価格が1バレル=10ドルまで下落する」と大胆な予測を行った。

シェール企業の大量倒産で何が起きるのか

 中国株が問題視される以前から「炭鉱のカナリア」であったジャンク債市場もますます危なくなっている。

 先述したように世界の原油市場の需給バランスの鍵を握るシェール企業はジャンク債市場の命運も握っているが、原油価格が同40ドル台を割った2015年下期から破綻が相次いでおり、ウオール街は損失引当金を積み増している(1月14日付ブルームバーグ)。

 米バンク・オブ・アメリカ(BOA)の昨年第4四半期決算は増益だったにもかかわらず、213億ドルの融資残高の2%に過ぎないエネルギー関連融資に対する引当金が少ないことが問題視されて株価が下落した。

 シェール企業の最大手である米チェサピーク・エナジーの株価も、「原油安で同社の債務返済能力に支障が生じるとの懸念が広がった(1月20日付ブルームバーグ)」ため、15年ぶりの安値を付けた。

 金融機関の与信枠の見直しは通常4月に行われる。しかし、FRBの利上げで正常化が進む米金融市場にあって、売上高債務比率が6倍に達しているシェール企業の多くは4月の期限を待たずに資金繰りに窮することになるのではないだろうか。

 シェール企業の大量倒産が起きれば、サブプライムローンの残高(約1.4兆ドル)を超えるジャンク債市場(約1.7兆ドル)の崩壊が及ぼす世界金融市場への悪影響は避けられない。原油価格下落のダメ押し圧力になることは確実だろう。

 このように原油市場の悪材料が尽きるまでには、まだ「一山」も「二山」もある。巨大に膨らんだ原油バブル崩壊の後遺症を甘く見てはならないのである。

 1月11日のニューヨーク商業取引所のWTI原油先物価格は、中国経済の先行き不安を背景にした売りに歯止めがかからず、一時1バレル=30ドル台を付けた。終値も同31.41ドルと2003年5月以来の安値となった(12日には一時、同30ドル割れとなった)。

 中国上海株式市場の下落につられる形で暴落した原油相場だが、2016年に入り需要減退が材料視される傾向が強くなってきた。市場関係者は「中国経済の減速がガソリンやデイーゼル油の需要減少につながるかどうか」に注目している(2016年1月8日付ブルームバーグ)。

 中国政府は、年末の原油価格の値下がりにもかかわらず、大気汚染防止の観点から国内の石油製品価格を据え置いており、景気全般の冷え込みが強まる中で中国の原油需要は今後先細りしていくだろう。

 北朝鮮が1月6日に実施した核実験も中国経済に暗い影を投げかけている。中国政府は「事前通告はなかった」としているが、1月10日付大紀元によれば、「中国は2015年12月に派遣団を北朝鮮に送り核実験の中止を求めていた」という。「1月4日の上海株式市場の暴落は、『金正恩第1書記が前日に核実験実施に関する最終指令を出した』との情報が流れたためだ」との憶測もある。1月11日に米ムーデイーズが「北朝鮮の崩壊は核実験よりも深刻な脅威となる」と警告したように、朝鮮半島の地政学的リスクの高まりが、中国をはじめ東アジア全体の金融市場に悪影響を及ぼすことは間違いない。

 OPECの原油バスケット価格は既に1バレル30ドルを割り込んでおり、原油市場は底値が見えない状況にある。米バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは「同20ドル割れの下向きリスクが高まっている」との見方を示したが、英スタンダード・チャータード銀行はさらに悲観的で「同10ドルまで下落する可能性がある」とした。

「戦争を望んでいない」とムハンマド副皇太子

 このような状況にあって唯一の買い材料は、中東地域の地政学的リスクの上昇である。

 サウジアラビアが年初にシーア派指導者を処刑したことをきっかけに、サウジアラビアとイランの関係が緊迫化している。このことは、「OPEC内の協調行動がより一層困難になる」との理由でこれまでのところ原油価格の押し下げ要因にしかなっていない。しかし、今後の展開次第では急騰要因になる可能性がある。

 サウジアラビアとイランの軍事衝突への懸念が高まっている矢先の1月4日、サウジアラビアのムハンマド副皇太子は英エコノミスト誌のインタビューに応じて「イランとの緊張激化を望んでおらず、戦争を望んでいない」との考えを示し、注目を集めた。

 王位継承順位第2位であるムハンマド・ビン・サルマン副皇太子は1985年生まれの30歳。大学卒業後、数年間民間企業で働き、2009年12月にリヤード州知事を務めていた父(サルマン国王)の特別顧問として政界入りしたと言われる。

 国防大臣(2010年10月)、皇太子(2012年6月)に昇進する父を、ムハンマド氏は側近として支え続け、2014年4月には自らも国務大臣の要職についた。

 2015年1月に父サルマンが第7代国王に就任すると、ムハンマド氏は国防大臣・王宮府長官・国王特別顧問・経済開発評議会議長に任命され、4月には副皇太子となった。

 サルマン国王には3人の王妃がおり、12人の息子がいると言われている。ムハンマド副皇太子の母親は3番目の王妃だが、先妻の息子たちで要職に就いているのは4男のアブドラアジズ石油鉱物資源副大臣のみである。

 ムハンマド副皇太子はサルマン国王が50歳の時に生まれた息子だ。それだけにサルマン国王は偏愛の気持ちを抱いているのだろうか。ムハンマド副皇太子の学生時代の成績は極めて優秀だったとされているが、権力者が自分の息子を高い地位に引き上げる時に「神童だった」と“神話”を広めることが多い。そのため慎重な評価が必要である。

 ムハンマド副皇太子の初仕事は、2015年3月から現在まで続くイエメンへの軍事介入である。夏以降は健康問題を抱えるサルマン国王(80歳)の代理として、米国に加えてロシアやフランスに接近する外交政策を展開する。その様子を見て9月8日付ワシントンポスト紙は「ムハンマド副皇太子が現在の皇太子を飛び越えて第8代国王に就任する可能性がある」と指摘したほどである。

 米国のケリー国務長官も、1月3日のイランとの国交断絶をムハンマド副皇太子が決定したと判断して、電話でイランとの関係を修復するように要請したと言われている。

今後5年で財政赤字解消が目標

 このようにサウジアラビアの軍事・外交面を牛耳るムハンマド副皇太子だが、彼が思い描く経済政策について欧米ではあまり知られることはなかった。その内容が初めて明らかになったのが、1月4日の英エコノミスト誌とのインタビューだったのである。

 インタビュー内容の目玉は、国営石油会社「サウジアラムコ」の株式公開(IPO)についてだった。

 サウジアラコムは、欧米企業から接収した石油権益をベースに1980年に完全国営化された。今や国内に100カ所以上の油田を有し、約6万人の従業員を擁する巨大企業である。

 サウジアラムコは元々、石油鉱物資源省の管轄下にあったが、現在は経済開発評議会の管轄下にある。経済開発評議会の管轄下に移行させたのが、評議会の議長を務めるムハンマド副皇太子だった。

 ムハンマド副皇太子はインタビューの中で、サウジアラムコのIPOについて「今後数カ月以内に決定される可能性が高い」と述べた。

 サウジアラムコの原油生産量のシェアは世界全体の12%を占め、確認済みの埋蔵量でも世界全体の約15%にあたる約2610億バレルを保有している(米エクソンモービルの約10倍)。株式上場した場合の時価総額は数兆ドルに達し、米アップルをも凌ぐ可能性がある(最初に公開される株式の割合は5%以下になるとされている)。

 財源の7割以上を石油関連収入に頼るサウジアラビアの2015年の財政赤字は1000億ドルを超え、国防費や補助金の支給を統御できない状況にある。そのため、サウジアラムコのIPOは手持ち資金の確保に躍起となるサウジアラビア政府の表れであるとみられている。

 要職に就任してから精力的に改革に取り組むムハンマド副皇太子にとって、サウジアラムコのIPOは改革の一環にすぎない。「透明性の向上と汚職撲滅に役立つという意味で、サウジ市場とサウジアラムコにとって利益になる」と強調するが、彼が目指している広範な経済改革プランは「サウジアラビア版サッチャー革命」(英エコノミスト誌)だという。

 ムハンマド副皇太子は「今後5年間で財政赤字を解消する」ことを目標に掲げている。国民の約7割が30歳未満で、2030年までに労働人口が2倍に増加すると予測されるサウジアラビアの現実を前に、「国家が統制する経済の仕組みを一新し、産業の多角化や民間企業の振興によりマーケット主導の効率性を導入しない限り繁栄はなく、強いサウジアラビアを実現できない」とムハンマド副皇太子の決意は固い。

サウジアラビア王国崩壊の危険性も

 だが、ムハンマド副皇太子の改革によって、「税金を取らず、オイルマネーによって教育や医療の無償提供に加え電力・水道・住宅料金などを手厚く賄ってきた」国のシステムは解体することになりかねない。

 英エコノミスト誌との5時間以上にわたるインタビューで、ムハンマド副皇太子が国王に言及したのは1回だけ、皇太子については一度も言及しなかった。数千人と言われるサウジの王族内では、彼の独断専行ぶりに対する不満が高まっている。

 2015年秋、サルマン国王を打倒する宮廷革命を呼びかける文書が王族の間で出回った。その中でムハンマド副皇太子は「サウジアラビアを政治的にも経済的にも軍事的にも破局に導いている」と強く非難されていたという。文書の作成者は不明だが、専門家は「こうした亀裂が表面化するのは異例であり、何かが起こっている」と見ている。

 ムハンマド副皇太子に対して不満を抱いているのは王族ばかりではない。サウジアラビアではシーア派だけでなくスンニ派の若者の間にも政府批判のデモが発生しており(2016年1月9日付ニューズウイーク)、国民の間にも反発の声が聞かれる。1月2日に「現体制を拒否し、ジハードを訴える」スンニ派の宗教指導者ザハラーニ師が処刑されたことが大きなきっかけだ。

「アラブの春」を「札束」の力で封じ込んだサウジアラビア政府に対し、「イスラム国(IS)の脅威が高まっている」との指摘もある。今や国民に「札束」をバラまくどころかそれを回収しようとする政府に残されている選択肢は、民主化しかないのではないだろうか。

 ムハンマド副皇太子の孤軍奮闘ぶりが明らかになるにつれ、フランス革命によりギロチン台の露と消えた「ルイ16世」のことが想起するのは筆者だけだろうか。

 ルイ14世とルイ15世の長年にわたる放漫財政という負の遺産を継いで1774年に即位したルイ16世は、経済に詳しい人物を登用し、政治に積極的に関わり、フランスの改革に力を注いだ。しかし、保守派貴族が国王の改革案をことごとく潰し、財政の建て直しは失敗した。貴族層に対抗する窮余の策として招集した三部会が思わぬ展開を見せ、その後フランス革命が勃発したことは周知の事実である。

 英エコノミスト誌のインタビューアーは「民主主義がないサウジアラビアでサッチャー流の改革は可能か」と何度も問いかけている。それに対して、実質的に国王の座にあると言っても過言ではないムハンマド副皇太子は、自らが米マッキンゼーに委託して作成した改革プランに自信を示すばかりで、全く危機感を有していない様子であった。

 急激に改革を実施しようと焦るムハンマド副皇太子の姿勢は、ペレストロイカを旗印に抜本的な改革を目指して逆にソ連邦を崩壊させてしまったゴルバチョフソ連共産党書記長も彷彿させる。1980年代後半の「逆オイルショック」がソ連崩壊の遠因になったように、今回の原油価格急落はサウジアラビア王国の崩壊につながる可能性を秘めている。

「原油供給の遮断」に備えよ

 サウジアラビアで政変が起きれば、原油輸入の3割以上をサウジアラビアに依存している日本は、文字通り『油断』(堺屋太一の小説)の状態に陥る危険性がある。

 ただし、現在の日本には当時と違って強力な武器(石油の国家備蓄)がある。石油の国家備蓄については中国での積み増しの動きが話題となるが、日本は第1次石油危機を契機に備蓄計画を開始し、1980年度末にその目標を達成した。現在、3億バレル以上の石油が北海道から九州・沖縄に至るまで各基地に貯蔵されており、日本への原油輸入が全量停止したとしても90日以上にわたって必要な量を確保できる体制が整備されている。

 米国は湾岸戦争の際に国家備蓄石油を放出した。一方、日本はこれまで一度も備蓄石油を放出したことがない。放出のために必要な手続きは煩雑であり、放出の時期を逸してしまうことがかねてから懸念されている。しかし、それではせっかくの備蓄石油も「宝の持ち腐れ」になってしまう。

 杞憂とのそしりもあるかもしれないが、「原油供給の遮断」という未曾有の事態に備えて国家備蓄石油の放出に向けた準備を直ちに行うべきではないだろうか。


IS CHINA FOLLOWING GORBY’s FOOTSTEPS?
ソ連化する「中国の悪夢」
「分析」外資主導のGDP膨張という鄧小平モデルが行き詰まった
官僚主義的「異形の大国」は ソ連崩壊の轍を踏むのか

【NEWSWEEK】河東哲夫(本誌コラムニスト、外交アナリスト)

世界は、年頭から中国の株、通貨価値のぶれに揺さぶられた中国経済を語るとき、3D映画ではないが、特殊な眼鏡を掛けないと実像は分からない。「集権国家の官僚主義・閉鎖性」という眼鏡である。中国は民主主義・市場経済とは違うシステム、違うマインド、違う行動様式で動く国だ。
 
中国は1978年の鄙小平による改革開放以来、外国資本を大量に取り入れることで高度成長を図ってきた。今の中国はさらに開放しないと発展でき
ないが、そうすると国内の政治・経済コントロールを失うというジレンマに突き当たっている。

 今回の危機的状況では、問題に強権的規制というふたをかぶせることで処理しようとして、かえって市場の暴走を生んでいる。資本主義になったと言われながらその実、社会主義的集権制を維持する中国の政治家、官僚は、われわれの理解を超える動きをする。中国は「官僚主義・閉鎖性」のマインドを持ち続け、外に向かって閉鎖・統制的な色彩を強めていくだろう。外国にとって、「中国は儲かる」時代は終わる。これは欧米の対中姿勢をも変え、日本の対中関係の性質も変えるだろう。

GDPの半分が無駄な「贅肉」

 中国経済は今すぐ崩壊するわけではない。毎年の輸出で得る外貨約2兆ドルだけでなく、13億人の国民が働いて作り出すモノやサービス(ただしそのうち売れた分だけ)は中国経済の実力だ。合わせると筆者の推算で6兆5000億ドルくらい。これから輸入約2兆ドルを引いた、4兆5000億ドルくらいが中国経済の芯で、あとは贅肉と言える。

 GDP9兆ドルのうち半分が贅肉という高脂肪体質は異形でもある。中国経済は日米欧の経済と大きく異なる。人間の暮らしよりも権力・体制の維持、つまり政治が重視される。国の力や格も、国民の暮らしぶりより単なるGDPの大きさや軍事力で測られる。これは、中国が「近代」――産業革命がもたらす富が中産階級をつくり出し、彼らの権利意識が民主主義を醸成していく過程――を経ず、大量の外国資本のおかげでいきなりのし上がったことに起因する。

 中世の中国経済は、西欧より数百年先行していた。11世紀、宋王朝時代の中国は高度の商品経済を確立。イギリスに700年も先立って、コークスで年開15万トンの鉄をつくっていた。火薬と羅針盤(これらを使って西欧は植民地をつくり上げた)、そして紙(西欧の出版・情報革命を可能とし、科学を進歩させた)は、この頃の中国で開発されたと言われる。

 資本も技術も労働力も潤沢にあった当時の中国で、なぜ近代=産業革命が起きなかったのだろうか。それは社会に必要なだけのものは手工業で十分賄えたからだ。機械で大量生産をしても中国国内に市場はなく、外国に植民地もないから事業をしても儲からない。めぽしい利権は皇帝権力が押さえているから、科挙で高級官僚になってその利権をかすめ取り、蓄財して地主になるのが立身の確実な手段だった。

 こうした「近代の欠如」、そして中央権力への利権の過度の集中は、中国がソ連と同じ集権・国有経済を採用したことでますます強化された。さかのぼること1911年、辛亥革命で清朝を倒した漢族のインテリは、2000年ぶりに皇帝がいなくなった広大な人口大国をどう統治するか思い悩んだ。
 
当時、欧米に留学する者も多く、民主主義の良さもわかってはいただろうが、「自由」「平等」で中国社会をまとめることはとてもできない。しかも1919年、第一次大戦後のベルサイユ条約で列強が山東地方を敗戦国ドイツから日本に渡してしまったので、中国人も怒って社会主義革命直後のソ連に急速になびいたようだ。

 1923年、孫文配下の軍人として台頭していた蒋介石は、ソ連視察団に加わって共産党による一党独裁の姿にいたく感心して帰ってきた。共産党が
立法、行政、司法、軍、警察、文化、教育を一手に握り、選挙なしに恒久的に支配する。こうした体制は、中国の王朝と同じで親和性が高く、しかも経済を強権で高度成長させるのに向いている。

 第二次大戦後、政権を取った中国共産党は独裁制に計画経済を上乗せした。現在、厳格な計画経済はなくなったものの、大企業のほとんどは国有・公有で、党や政府に任命された官僚が運営する体制は残っている。官僚たちの夢は、種々のポストを渡リ歩いて北京での要職に就くことで、企業や従業員の将来は二の次だ。共産党のトップが代わると、国有企業の社長も突然更迭や投獄となったり、競争相手の企業の社長になったりと、欧米の経済ではあまり起きないことが普通に起きる。

 国有企業は効率で劣る、民営化しないと活力が出ない――われわれはそう思うが、中国では逆。習近平政権は大規模な国有企業を更に合併させ超巨大企業にしないと、世界の大企業と互角の勝負ができないと思っている。化学や鉄道車両部門での国有企業合併が相次いでいる。

 ただ収益率の低い企業を合併させても大した効果は上がらず、官僚が企業を監督する体制では、動きがますます鈍くなる。こうした企業が低利融資の乱発で勝ち取った外国の大規模案件の中には、これから贈賄行為が摘発されたり、本社の社長が不意に更迭されたりで、工期が遅れるものが出てきそうだ。官僚主義だから責任の在りかも不明瞭なまま、途中で放棄されるものも出てくるだろう。

 もう1つの政治的要因も中国の難儀を増幅する。習政権は、汚職を一掃することで中国共産党に対する国民の信頼をつなぎ留めようとしている。これは80年代後半、腐敗を一掃することで社会主義の再活性化を図ろうとして、かえって崩壊の淵にはまっていったミハイルーゴルバチョフーソ連共産党書記長の例を強く思い出させる。ゴルバチョフは共産党を浄化しようとして党組織はマヒ。経済を活性化しようとして党の権限を制限したことで、経済・社会をコントロールする手段を自ら破壊した。

「安全な道」になびく官僚本能

 習はゴルバチョフの過ちを繰り返さないよう、ソ連崩壊の過程を詳細に調べさせたが、おそらく正しい教訓を引き出せなかった、あるいは見たくなかったのであろう。歴史の渦に巻き込まれた者は、何をやっても、魅入られたように破滅の底に引き寄せられていってしまうものだ。

 今、中国経済は世界経済という外部との接点で特に深刻になっている。昨年8月には、IMFの特別引き出し権(SDR)のバスケットの中に入れてもらうため人民元為替レートヘの介入を停止して元が急落。世界の株式市場の暴落を招いて慌てて介入を再開した。

 ここにはSDRのバスケット入りという国際的地位の向上しか目になく、経済の目で物事を見ない、中国の官僚マインドが見て取れる。今月も上海株式市場の暴落を当局は取引停止で抑えようとして、かえってろうばい売りを助長。ますます株の売り圧力を高めた。経済を行政命令や規制で動かそうとするマインドは直りそうにない。

 中国経済を外部に向かって開放するか、それとも閉鎖・規制するか。それが問題なのだが、集権主義社会で働く官僚の本能は「閉めてしまおう。規制しよう。命令しよう」という「安全な道」に傾く。中国には欧米で学んだエリートが多数いるので、開明的な方向に政策を運営するだろうと皆思っているが、国内政治の前に欧米帰りのインテリは無力だ。それに、欧米の経済学とて経済を救えないことは、われわれも身に染みて知っている。

 昨年12月には、中国の外貨準備は約1100億ドルにも減少した。金融当局は、日本と通貨スワップ(危機時に、人民元をかたに円、あるいはドルを融通する制度)のための協定再開の話し合いを開始したと報じられている。IMFなどの国際金融機関での発言権拡大を求め、アジアインフラ投資銀行(AIIB)をつくって世界に乗り出そうとしていた中国が、金融支援を求めてくるときが目の前に追っている。

鄧小平の成長モデルが限界に

 優遇条件を与えて外資を釣り出し、中国で輸出品を作らせて雇用を創出、莫大な外資をインフラ建設に回してGDPを膨らませる――鄧小平以来の成長モデルは限界に達している。

 エリートは公金を着服しては外国に送金。外資企業には「独占的地位を利用して製品価格をつり上げている」と難癖をつけて法外な罰金を徴収し、従業員は賃上げを性急に要求する。上も下も寄ってたかって、外国から入ってきた富を食いつぶしている。

 このまま中国経済が不調で、外資が流出し、閉鎖・排外的性格が強まってきた場合、いくつかの問題が起きる。まず国内はどうなるか。中国共産党や政府からますます多くの要求にさらされ、中国企業からは嫌がらせを受け、引き揚げる外資の工場も増えるだろう。中産階級以上では国外への脱出志向が強くなるだろう。そうなれば都市の治安は悪化する。

 世界では人民元の国際化の動きが鈍る。海外を循環する人民元を右から左に動かして金融街でしこたま儲けようと思っていたイギリス勢は失望するだろう。「中国では儲からない」ことが欧米に明らかになったとき、彼らは対中姿勢を変えるだろう。外資が撤退した中国では工業製品の質は次第に低下。20年前のような、日用品を安価に輸出するだけの国に後退しかねない。

 ただ中国は、経済が途上国そのものであった20年前にも、世界では大きな政治的存在感を持っていた。中国経済が下降しても、日本は中国と無用の対立は避け、友好・協力関係を維持していくべきだろう。

 危機管理能力が問われるのは中国だけではない。新興国はいずれも近代化=産業革命を成し遂げることができず、振幅の激しい膨張と収縮を繰り返している。ロシアのGDPはルーブル急落もあって、13年のピークが2兆10億ドル、15年のIMF予想が1兆2000億ドルと、4割余りも縮小してメキ
シコ以下の水準となろうとしている。

 こうして世界経済は再び先進国が主導する時期に入った。人工頭脳(AI)、無人運転、遺伝子工学、代替エネルギーなど、新しい時代を切り開く
力を持てるのも、危機に対する強靭さがあってこそだ。そのためには71年のニクソンーショック以来続いてきた通貨増発バブルを克服し、モノーサービスの生産とカネの量が一致した堅実な社会をつくることが重要となる。

 中国の台頭に振り回されたこの20年も、一段落しようとしている。世界は、国のサイズや強さより、人間の暮らしの質を第一とする方向に、舵を取り直してもらいたい。
かつて、故小室直樹先生はソ連の崩壊を予言した。 1989年出版された「中国共産党帝国の崩壊―呪われた五千年の末路」で中国は崩壊することも予言したが、ここまで中国が強大化するとは先生は予言できなかった。

だが中国の歴史法則は不変で、ただ単に支配者の名前が変わる易姓革命が繰り返されているだけ。今の共産党支配も全然社会主義革命により作られたものではなく、ただの易姓革命の一つであるので、やがて崩壊すると予言していた。

だが鄧小平の経済開放政策に欧米諸国そして日本は飛びついた。当時ゴルバチョフ率いるソ連はほとんど絶望的であるが、中国経済は希望があると考えていた。

しかし、天安門事件が勃発した。人民を平気で虐殺する中国共産党の本質が歴代王朝となんら変わらないことを示す事件であった。私は中国に対する幻想を捨てた。

中国では人民の連帯意識が無い。だが、反国家で団結すると共産党政権が終わると気がついた鄧小平は天安門事件後、反日を密かに始め、後継の江沢民が鄧小平の意思を引き継ぎ、大々的に反日による国民の団結を図り国家・国民を成立させようとしたのだと思う。

中国の歴史法則は5000年も変わっていない。これはマルクス・レーニン主義と真っ向から対立する。マルクス・レーニン主義では、革命のたびごとに歴史を貫く法則は変わる。原始共産制、奴隷制、封建制、資本制、社会制、と段階を追って発展する。歴史は繰り返す、と言われることがあるが、マルクス・レーニン主義では、歴史は変わる、のである。小室氏は、辛亥革命も人民革命もマルクス・レーニン主義でいう革命ではなく、中国は5000年前からずっと変わってないという。

その証拠に共産主義者達がこんどはマルクスではなく孔子の思想を無理やり社会主義に捻じ込む無茶苦茶なことを実験しているのである。

孔子の思想の根本思想は、歴史法則の不変性だ。社会を貫く歴史法則は変わることがない。永久に。孔子も言っている。述べて作らず、と。自分は永久不変の歴史的真理を述べているだけであってなんら新しいことを作ったりしないと。聖人たる孔子でも新しい歴史法則を作ったりできない。

唐の李世民は皇太子教育のための教会書として帝鑑という本を作った。昔のことを鏡として手本にすればどうすれば良い政治ができどうすれば失敗になるかが分かってくるということ。これが典型的な儒教史観である。マルクス・レーニン主義のように革命のたびに歴史法則が変わるのであれば破れた鏡と同じ。儒教という土台にマルクシズムの花は咲かないはずだったが、ちょっとした手違いが起きた。

円高に苦しんだ日本企業が天安門事件後も、反日を始めたにもかかわらずお人好しにも政経分離で鄧小平の経済モデルに乗ってしまったのだ。日本の成功に欧米資本が無節操に流入してきたのだ。

日本や欧米の資本の流入が無ければ1990年代に中共は崩壊していたかもしれないが、私や小室先生の予想とは裏腹に中国は世界第二位のGNPの国になってしまった。

だが、その蓄積した外貨が大逆流を始まりだした!新年早々、また再び株価は大暴落し、人民元は年明けからオンショア(中国本土)市場で対ドルー・5%下落。香港などオフショア(中国本土以外)市場では約2%下落した後、中国は景気テコ入れのため大規模な競争的通貨切り下げに乗り出しているのか、それとも金融システムをコントロールできなくなっている。

むしろ中国は人民元が対ドルで下落するのを「容認した」可能性が高い。

執筆中

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14日ザラバ中の安値が下値となるか?しかし回帰トレンド的には目先下値余地はある。だがそもそも回帰トレンド日足は下向きに変り、一目均衡表も下放トレンドだ。
だが目先は短期的に売られ過ぎだ。

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週足のトレンドはなんとか右肩上がりなのだが、このままでは大回り3年の上昇波動が終息してしまう可能性がある。

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しかしながら、長期で見たならば大底は打っておりテクニカル的に調整の後再び上昇することを示唆しています。


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騰落レシオ的には短期で底値に達してはいます。

日本株が下がる理由の多くは外部的要因だ。中国が経済崩壊をすれば世界一安心な通貨(の一つ)である円が買われ円高になり企業業績が輸出企業を中心に下がる。故に株安となる理由だ。

だが、ビッグマック指数、海外旅行時の私の個人的な感想からすると、120 円台のレートはやや行き過ぎた円安だと思う。1 ドル 110 円台の為替レートは、内需型経済の日本の実体経済にとってはむしろプラス効果だと思う。更に、石油安は日本経済に追い風で、円高・原油安で生じる家計と企業のゆとりを、個人消費と設備投資に振り向けられれば、ここまで日本株は下がる必要はない!

現在暴落した日経平均の理由は中国経済の崩壊なのだが、中国経済不調にともなう中国人民元の問題である。中国人民元の先安観が強いのである。

中国元は今まで米国との通貨戦争の中で、米国は中国元が必要以上に中国政府の政策的保護によって元安に維持されている点を指摘してきたが、中国はこれを改善しようとしなかった。むしろ切り下げに向かっている。

しかし、中国は米中の首脳会談の後の昨年の11月末に多年の念願であった国際通貨基金(IMF)の準備通貨への採用が決まり、世界の主要通貨に仲間入りした。 
2015年8月に元を切り下げた際、人民銀行は市場実勢に合わせたレート決定を宣
言した。できるだけすみやかに実施することも宣言していたので昨年後半、新年早々にも実施することは市場でささやかれていた。

中国の市場では中国は2016年早々の年初にも米国との首脳会談でIMFの準備通貨への採用が決定した時に米国との約束事を実行するのではないかとのウワサが真しやかに流れて、8月の元切り下げ時より元売りは国内景気減速を背景とした元売りも加わって今回(2016年始め)の元売りはすさまじいものとなり、年初の動向をみると、数日での対ドル下落率は1%を超えており、どうみてもペースは早すぎる。年初の数日間で対ドルの下落率は1%を超えており、これだけ中国から資金の流出が続いておるのにもかかわらず人民銀行はなんら手を打とうとしない。

「人民元は急落しません!」で(逆に)元売りに走る中国人
【NEWSWEEK】2016年1月15日(金)06時15分

政府が説明すればするほど「元安はまだ続く」と裏を読む、投資好き一般市民たちの悲喜こもごも

「人民元レートの動揺、あなたは米ドル資産に換えますか?」

 これは2016年1月10日に中国官制通信社の新華社が配信した記事のタイトルだ。

「新年の第1週に人民元の対ドルレートが連日下落し、多くの市民は外貨資産購入の熱意を抱いたようです。大銀行では両替に訪れる人が増えました。ですが、一般家庭にとって米ドル資産の購入は人民元投資商品よりも本当に有利なのでしょうか?」

 記事はこう疑問を呈した上で、北京市在住のサラリーマン、唐さんの事例を紹介している。元安を見てすかさず3万ドルの米ドルファンドを購入した。利益率は年1.2%で、4.5%の人民元建て投資商品よりも低いが、2016年中に人民元レートが5%下がると考えれば十分に魅力的な商品という算段だ。

 そして、唐さんのような考えは大間違いで、人民元レート下落の余地はほとんど残されておらず、最終的には人民元投資が有利なのだ、という専門家のアドバイスが続いている。

 人民元投資の有利さを説く内容だが、なにせ中国ではメディアは「党の喉と舌」(中国共産党の代弁者)という存在だ。事実よりも政府のメッセージを伝えることが優先される。もっとも、読者の側もこの事情をよく理解しているだけに、メッセージの裏側を読み解くことに長けている。

 この記事も「一般庶民による草の根の元売りドル買いに政府は神経を尖らせているのだ」「人民元下落はないとこんなに必死で説明しているというのは、まだまだ下がる前兆ではないか」という、真逆のイメージを与えるものとなった。

「米国による元安批判」が問題だったのは今は昔
                                                 昨年6月の中国株暴落は中国経済変調を強くイメージさせる事件となった。だがその後、株価以上に注目を集めていたのは人民元レートと政府の介入だ。人民元レートの問題といえば、かつては米国による元安批判を意味したが、最近では逆に元安トレンドが明確となり、中国政府がどれだけ元安を許容するかに注目が移っている。中国の外貨は2015年だけで5000億ドルもの減少を記録した。積極的な元買いドル売り介入を行った結果だ。

 中国経済の振興を考えれば一定レベルの元安を許容するべきだが、「一帯一路」やアジアインフラ投資銀行(AIIB)に代表される海外投資路線、人民元の国際化という目標のためには元の価値を保持したほうが良いと中国政府は判断しているようだ。現在では電撃的な介入によって投機筋を牽制するという戦術がとられているが、元安観測を打ち消すことができるのかはまだまだ疑問だ。

 この元安観測は膨大な金額を動かす国際資本だけのものではない。平凡な一般市民にも共有されており、彼らは自分たちの行動で「今後も元安が続く」との見方に一票を投じている。そう、中国では今、海外投資がブームとなっている。

中国人に投資好きが多いのはなぜか
                                                   中国人には投資好きが多い。書店のベストセラーコーナーには健康本と並んで投資指南書がずらり。テレビでも投資指南番組は人気コンテンツだ。友人と食事をしていても「どんな投資をしている?」「どこそこのマンションは今、いくらぐらい」といった投資ネタは鉄板だ。

「投資好き、ギャンブル好きは中国の国民性」などと解説する人もいるが、長年の金融規制が投資好きの人々を育成したというのが私の見立てだ。中国では長年にわたり銀行金利が規制されており、預金しても物価上昇率をはるかに下回る利子しか得られなかった。つまり、銀行預金すれば資産価値は目減りしてしまう。ならば資産を守るためには投資しかないではないか。

 もちろん、よく分からないし勉強は面倒だからと投資を嫌がる人も少なくない。そうした人々にとって知識をあまり必要とせず、しかも安全かつ高収益なのが不動産だった。買えば必ず値上がりする時代が続くなか、月収を上回るレベルのローンを組むなど無理をしてでもマンションを買う人が続出した。ところが現在では不動産市場も低調で、不動産で儲けるにしても専門的知識が必要だ。

 不動産に頼れなくなるなか、魅力を増しているのが海外投資となる。ある程度お金がある人にとって選択肢となるのが海外不動産の購入だ。海外不動産専門の仲介サイトが乱立しているほか、大都市では投資仲介の実店舗も増えている。

 中国にいながらにして、外国の地名を眺めながらどこを買うべきか悩んでいる姿はなかなかに興味深い。日本の物件も人気で、中国人の知り合いから「**はどういう場所なの?」と質問されることも増えてきた。まとまった資金がない人ならば、米ドル建てや香港ドル建てのファンド、そして黄金が人気だという。

 こうした一般市民による「元売り」がどれほどの規模なのかは不明だが、新華社記事によって政府が気をもむ程度の問題にはなっていることが明らかとなった。「人民元は下落しません」と官制メディアがアピールしても、「そんなメッセージを出すってのは本当は危ないということ」と裏を読む人々。元安トレンドを見るやいなや機敏に海外投資へと向かう人々。こうした庶民は中国共産党による規制によって育てられたものであり、その対処に苦しむのは因果応報というべきか。

 中国政府は官制メディアによる啓蒙に加え、外貨両替規制やクレジットカードの海外キャッシング規制の徹底を通じて人々の動きをコントロールしようとしているが、「上に政策あらば、下に対策あり」とお国の裏をかくことに長けた中国の人々を管理することは容易ではないだろう。

[筆者]
高口康太
ジャーナリスト、翻訳家。1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。独自の切り口から中国・新興国を論じるニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『なぜ、習近平は激怒したのか――人気漫画家が亡命した理由』(祥伝社)。
人民銀行は6年前の米国の信用危機時に中国の輸出企業の業績悪化を防ぐため元相場を2年近<にわたって1ドル=6.83元に事実上固定してきた。元相場は最近では6.6元台をつけており今年に入ってこの水準も抜<ような状況となってきている。

 それに、人民元は昨年12月からドルだけでなくユーロ・円など複数の通貨に対する元の変動を映す新しい指標の公表も始めており、対円の通貨単位も変動が激しくなっている。

リーマンショック後、中国は貿易黒字によるドル資産を大量に所有し、ドル資産分人民元を大量に市中にばら撒く結果となった、中国国内で人民元は資産化(土地不動産・株価)され人民元の資産化が一気に進むことになった。

中国人民銀行も最近は自然体を押し通しているので、まだ固定時代に人民元資産を購入した投資家の投げ売りが今後も続くのではないかとみる向きは多い。アベノミクス政策施行当初1人民元=12円だった頃を考えれば人民元は15-17円と、まだ高い。今後人民元安・円高になる可能性が高い。

昨年後半から年末直前までの人民銀行の元高誘導期間中に海外の資産を買おうとする力が働いて、ピンは海外の土地・株式からキリは日本での中国人民の「爆買い」が起きた。中国人民元は今後下落し円高になると、中国からの「爆買い」目的の訪日観光客数は2015年の8月がピークで減っていく可能性がある。

過去何10年も中国の経済大国の台頭でエネルギーの基となる石油価格や資源価格(鉄鋼など)が急騰した。昨年より原油と資源価格が急落し20-30年前の価格に下がったのにもかかわらず企業の収益が悪化するとして株価が大幅に下げている。だが最近では中東を中心とする地政学リスクが高まっている。もし、ホルムズ海峡が封鎖されれば、原油価格は急騰する。原油安と地政学リスク、さらには中国の中国人民銀行の人民元売買の基準となる対ドルレート基準値の問題も加えられて世界の株式市場の先行き不透明度は高すぎる!

私に限らず世界各国の株式市場の投資家はこれからの「行方がわからない」状況となり、より安全な(リスクの少ない)資産に資金が向かいやすい相場状況だ。これは、株式やコモディティ、ハイイールド債、高金利通貨など、リスクの高い資産を避け、国債や短期金融商品など相対的に安全と思われる資産に資金を移すこリスクオフとなっている。リスクオフ=世界一安全な通貨の一つ円が再び買われているというわけだ。シカゴ筋はずっと円売りだったのが、今年に入って円ロング(円買)に変わりだした。


現状、海外の投機筋は中国の相場対策が定まっていないことをいいことに、あらゆる面から先行きの世界経済の崩壊の恐ろしさを市場にアピールしながらここで儲けられるだけ「儲けよう」との状況になっている。いつもの世界の投機的な相場の「最終局面」にでてくる相場の状態を呈しはじめているのだが、現状中国の景気の悪さを話せば景気に下げ止まりの気配が感じらないことから「不安が不安を呼ぶ」相場にブレーキがかかりにくくなっている。だが日本株は明らかに売られ過ぎ!

投機筋から流れる円相場は1ドル=113-115円。日経平均は1万6500円との見通しの声も聞かれている。投機筋の円の買い持ちは腹いっぱいの状態となってどこかが円を手放せば一気に手放していこうという状況になっているかもしれない。

相場師曰く「節分天井彼岸底・・・・」節分と彼岸は変化の節目となることが多い。
円のピークがはそろそろか?株式に限れば今年は「節分底 彼岸天井」かもしれない。因みに2016年の節分は2月3日、彼岸の中日は3月20日である。


1月15日の金曜ロードSHOWは天空の城ラピュタであった。
都市伝説だが滅びの呪文「バルス」が東証株価指数を破壊すると噂がある。
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日本の株式市場では、バブル崩壊以降の19090年代から2000年代の前半にかけて、日本テレビで「Castle in the Sky(天空の城ラピュタ)」が再放送されると翌日以降の株式市場の相場は下落するといううわさがネット上でかなり広範囲に伝えられていた。
このうわさは事実なのだろうか?そして1月15日の再放送はその後の日経平均 <1011> はどのように推移することになるのだろうか?
下の表は、日経平均の過去データを元に天空の城ラピュタの再放送直前の終値と、再放送1カ月後と3カ月後の株価の推移となる。
# Aired Date N225 T+30 days N225 (%) T+90 days N225 (%) Interval
1 1988/04/02
2 1989/07/21 33,800 1989/08/20 35,100 3.8% 1989/10/19 35,300 4.4% 475
3 1991/05/03 26,400 1991/06/02 25,900 -1.9% 1991/08/01 24,000 -9.1% 651
4 1993/03/26 18,700 1993/04/25 19,600 4.8% 1993/06/24 19,600 4.8% 693
5 1995/03/24 15,700 1995/04/23 16,800 7.0% 1995/06/22 14,900 -5.1% 728
6 1997/03/07 18,100 1997/04/06 17,700 -2.2% 1997/06/05 20,400 12.7% 714
7 1998/12/25 13,797 1999/01/24 14,208 3.0% 1999/03/25 15,986 15.9% 658
8 2001/02/23 13,246 2001/03/25 13,862 4.7% 2001/05/24 13,895 4.9% 791
9 2003/03/14 8,002 2003/04/13 7,752 -3.1% 2003/06/12 8,918 11.4% 749
10 2004/12/24 11,365 2005/01/23 11,289 -0.7% 2005/03/24 11,745 3.3% 651
11 2007/06/15 17,971 2007/07/15 18,217 1.4% 2007/09/13 15,821 -12.0% 903
12 2009/11/20 9,497 2009/12/20 10,183 7.2% 2010/02/18 10,335 8.8% 889
13 2011/12/09 8,536 2012/01/08 8,422 -1.3% 2012/03/08 9,768 14.4% 749
14 2013/08/02 14,466 2013/09/01 13,573 -6.2% 2013/10/31 14,328 -1.0% 602
1.3% 4.1%
見てた通り、空の城ラピュタの再放送直前の終値と、再放送1カ月後の終値を比較してみると、勝率は7勝6敗となっており、1カ月後の平均上昇率は1.3%であることが判る。
また、再放送直前の終値と、再放送3カ月後の終値を比較すると、勝率は9勝4敗で、3カ月後の平均上昇率は4.1%となっていることが判る。
天空の城ラピュタは、1988年4月2日の初放送分を除くと1989年7月21日の初回再放送分から最後に再放送された2011月12月9日放送分までこれまでに13回の再放送が行われているが、この間の日経平均はバブル崩壊の余波を受けて長期的な下落傾向が続いてきたわけで、このことを考慮すると天空の城ラピュタの再放送は、むしろ相場にとってはプラスの影響を与えることが判るものとなる。
しかし、なぜ天空の城ラピュタが再放送されるとそれ以降の株価は上昇することになるのだろうか?
まず、天空の城ラピュタの再放送の日程を分析すると再放送は、最短475日、最長903日の間隔で再放送が行われていることが判る。平均再放送間隔は711日でつまり大体1年11カ月の周期で、再放送の日程が組まれていることとなる。
このことから天空の城ラピュタの再放送は日本テレビが相場の状況を見て恣意的な判断で再放送を決定しているのではなく、視聴率が稼げる優良コンテンツとして、人々の記憶が薄れかけた時をねらって(それが結果的に1年11カ月の周期になる?)再放送を行っていることが判る。
だとした場合、日経平均が長期的下落傾向を続けていた間にあっても天空の城ラピュタの再放送をきっかけにその後の株価が上昇しているという事実は、株式市場のアノマリーだと認識することができるかもしれない。
では、1月15日の再放送後の日経平均はどうなるのだろうか?これまでの再放送後の株価の動向から、第2回放送分(バブル期)と第14回放送分(安倍政権誕生による株価の戻し期)を除いた場合、再放送後1カ月の株価の騰落率は-3.1~+7.0%で、平均では1.7%の上昇に。3カ月後と比較した場合には、騰落率では-12.0~+15.9%で、平均では4.6%の上昇率となることとなる。
天空の城ラピュタが再放送されると相場は下落すると少なからぬ人は思っているが、実際のところは下がるどころか上昇する確率の方が高いのである。
とはいっても、このアノマリーのサンプリング数はわずか13件にしか過ぎず、この程度の少数集合では大きな偏差が生じることは確率統計上の誤差として考えて差し支えないのかもしれない。













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米労働省が4日発表した11月の米雇用統計は、景気動向を敏感に反映する非農業部門の雇用者数が前月比で21万1000人増え、市場予想(20万人程度の増加)を上回った。雇用回復の目安とされる20万人を2カ月連続で超えたことで、米連邦準備理事会(FRB)による月内の利上げ開始の可能性が高まった。米株式相場は、米景気の先行きに対する楽観的な見方が広がったことで大幅に上昇。ただ、欧州中央銀行(ECB)が3日に決めた追加の金融緩和策が市場関係者の期待を満たす内容ではなかったことで、3日の米株式相場は大きく下げており、株式相場は値動きの荒い展開となっている。国内市場関係者の見方を聞いた。

円一段安なら日経平均は来年2万5000円も」
門司総一郎・大和住銀投信投資顧問経済調査部部長

4日に発表された11月の米雇用統計が改善し、米景気の先行きに対する楽観的な見方が改めて広がった。同日の米株式相場は急反発しており、市場では12月利上げが織り込まれた。今後は利上げ開始後のペースや、メキシコやカナダなど米国と地理的に近い国に利上げが波及するかどうかが焦点になる。FRBの利上げペースは四半期に1度、0.25%ずつの上昇と予測する。

今回は米国の景気拡大に伴う利上げのため、日本株にはプラスとみている。現在の為替水準が利上げ開始時点までしか織り込んでいないとすれば、今後125円程度まで円安が進む可能性がある。そうなれば、自動車など輸出株がけん引する形で日本株も上昇するだろう。来年の高値は2万5000円と想定している。

一方、新興国経済など米利上げに伴うマイナスの影響が想定以上に大きく、世界的な景気減速が顕著になった場合は、日本株にも売りが波及することもあり得る。

「不透明感解消で株高基調強める」
田部井美彦・内藤証券投資調査部長

3日までに米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した11月の製造業、非製造業の景況感指数が市場予想を下回っていたことから懸念された米景気の足取りだが、回復が鮮明になった。個人消費を中心に米景気は力強い。さらに雇用情勢の改善が進んだことで消費は今後も堅調に推移するだろう。米連邦公開市場委員会(FOMC)での12月の米利上げ決定はほぼ確実だろう。

米金融政策の先行き不透明感が解消された形で、米株式市場にとっても前向きな材料となる。日本株も前週末に大幅に下げたが、今回の米雇用統計の結果を受け今週以降、買い戻しの動きが強まるだろう。高値警戒感も強いが、米金融政策の先行きの不透明感が後退した結果、日本株は上昇基調を強め、年末にかけて日経平均株価は2万0500円を試す展開になるとみている。

「米利上げ、来年も2~3回との見方なら円125円台も」
村田雅志・ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部通貨ストラテジスト

11月の米雇用統計の強さを材料に、外国為替市場では円売り・ドル買いが進みそうだ。FRBが15~16日に開くFOMCで利上げに踏み切る可能性は高まった。FRBの2016年の利上げが2~3回との見方が広がれば、年内に125円台まで円安・ドル高が進む公算が大きい。

市場関係者の関心は、次のFOMCでの利上げの有無ではなく、利上げ幅とその後の利上げペースに移っている。最初の利上げの幅は0.25%との予想が多い。FOMC後の記者会見でイエレン議長が今後の利上げのペースについてどのように言及するかも注目点だ。

「米利上げペース緩やかなら、国内金利の上昇圧力高まらず」
鈴木誠・岡三証券債券シニア・ストラテジスト

FRBが15~16日のFOMCで利上げを決める可能性が高まった。4日の米国の長期金利は、雇用統計の発表直後に上昇したが、結局は低下した。米国の物価上昇予想は強まっていないため、FRBの利上げペースは緩やかになるとの見方が多いことが金利上昇を抑えた。

市場では政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利は2016年末に1%程度に引き上げられるとの予想が多い。この程度のペースなら、国内金利の上昇圧力は高まらないだろう。日銀の追加緩和期待は残っており、債券需給も引き締まっている。もっとも、0.3%台前半にある現在の長期金利は低く、相場の高値警戒感は根強いため債券買いの余地もあまりない。米利上げの確度は高まったとはいえ、FOMCの結果を待ちたいとの雰囲気もある。目先の債券相場は高値圏でもみ合いとなりそうだ。

〔日経QUICKニュース(NQN) 依田翼、佐々木たくみ、白山雅弘、末藤加恵〕

上の日経紙の記事に出ている市場関係者は私よりちょっと楽観的に思える。私も日経平均は21000~22000円までは十分あると思うが、25000円をトライするのには、それだけの材料があるのか疑問だ。むしろ中国、欧州、新興国などで予想を超えるリスクが生じればあっというまに15000円ぐらいまでは直ぐに落ちてしまう。突発的な事件が起きなかったとしても、消費税の引き上げを延期もしくは中止しない限り2017年景気の後退は避けられず2016年後半相場は厳しくなると思うので難しいと思う。

米労働省が12月4日発表した11月の雇用統計は、非農業部門の就業者数は21万1千人増で、市場予想の20万人を上回った。上方修正された10月の上げ幅(29万8千人)に比べて伸びは鈍化したが、2カ月連続で20万人の大台を超えた。9月の就業者数も上方修正された。失業率は10月と同じ5.0%。市場予想とも一致し、引き続き低水準を維持した。
 労働市場の堅調な改善が示されたことで、米連邦準備制度理事会(FRB)が15、16の両日に開くFOMCで9年半ぶりの利上げが決まる公算が大きくなった。


今年の世界経済は比較的リスクが高くないと思っていた。だが、ギリシャ危機に始まり中国の人民元切り下げや中国の株バブル崩壊、欧州の難民問題、トルコによるロシア機撃墜など2016年は世界中にリスクが溢れている!そして遂に米国が利上げを行う。中国や新興国の経済は大きな危機も発生する可能性がある。2016年は予期せぬ経済危機も発生することも覚悟しなくてはならない。

特に、中国経済については、中国経済専門のアナリススト達はは最悪は過ぎたと宣伝するが、私にはSDRに採用されても2016年は事態が深刻化するようにしか見えない。

天才イアンブレマーは中国が世界で唯一世界戦略を練って一手一手駒を進めているという。だが私の眼には現在世界経済は米国(FRB)の思うように動かされているとしか思えない。

2008年に発生したリーマンショックは米国中心の世界経済が終焉を迎えドルが紙切れになるといったトンデモ本が本屋で平積みされていた。(私がブログに書いていたことがどれだけ正しかったか・・・・自慢)

米国経済は先般発表された予想通りに好調に推移している。米国は2013年QE3政策を終了させた。利上げをすれば、新興国、中国そして欧州が経済危機的な状況に陥るという理由で利上げタイミングを延ばし延ばしにしてきたが、米国の覇権を脅かそうとした欧州と中国経済は悪化した。いいかげん世界はどうせなら早く利上げしてほしいという雰囲気になるまで待った。これは米国が作為的に世界経済を掌握している証拠だと思う。

そしてFRBは12月15日-16日に開くFOMCで9年半ぶりの利上げに踏み切るだろう。中国とロシアについては軍事的に米国の意のままに動かすことができないが、世界の実体経済は米国の手の中にある。利上げに踏み切った後も次の利上げのタイミングや幅で米国は世界経済を動かしてくるだろう。

当時からリーマンショックは自作自演と疑っていた(仮説:金融危機自作自演説
が、少なくとも結果としてリーマンショックは米国にとって経済構造を金融と消費だけの構造から製造業を復活させるショック療法となって、米国は復活したと思う。

今回の雇用統計では失業率が5%とリーマン危機前の水準に戻り、完全雇用に近づいた。米国の雇用者数はりーマンショック後の1年間で、およそ700万人が失われたが、その後の景気回復局面で1200万人以上が新たに職を得たので差し引き500万人以上が新たに職についたことになる。米国があと120年覇権を握るには製造業の復活失くして覇権はありえない。

ケインズ経済学では考えられなかった量的拡大策を行えばドルが暴落して世界経済がインフレになると危機を煽った馬鹿経済学者や三文文士達の本が100円でも売れず古本屋の棚に曝されている。(笑)

だから日本の御用経済学者が財務省の政策を追認しマスコミが宣伝する財政再建政策は間違っている。日本では1980年代末、土地・不動産のバブルを消滅させるために日銀は金融政策で引き締めを行い、金利をあげ資金の供給量を抑えた。これにより土地不動産のバブルを長期化させてしまい、その後15-20年間、長期デフレーションの不況を引き起してしまった。

米国が日本の二の舞だけは避けようとしてとったのが、量的緩和政策である。アベノミクスは失敗であると宣伝している学者たちは安倍総理に文句を言えるだけの資格はない。だが、安倍総理は消費税を10%に引き上げるべきではない。引き上げれば日本経済はまた失速するだろう。

さて、12月に利上げを行った場合過去の利上げ時と同様、短期間で2.0-3.0%利上げするのかという点に注目が集まる。私は利上げの角度も幅も低く抑えられると思っている。せいぜい最大限で1%程度だろう。

現状は米国が利上げするというのに世界の金利は上がる気配はない。原油価格も上がる気配は全く感じられず、来年は現状よりも更に下がり、先のOPEC総会でも現状の30-40ドル台は当たり前で20ドル台定着が中東原油国では定説になっているようだ。米国の原油会社でシェール原油を本格的に採掘すれば1バレル10ドル台と言われている。原油がその様な状況であればその他の物価も上がることにはならず、来年に入れば世界の物価は必ず下がるとみている。物価が上がらず1バレル20ドル台の真中あたりに下がり、中国も鉱物などを買い増す力はないの物価は上がらない。

中国では「一人っ子政策」の長期化による若者の高齢化が進んだ上に、米国の製造企業は2-3年前、中国国内の賃金高騰の際に中国の若者の給与を倍増して
「脱中国」を実施した。それ以来、中国の若者の給与は上がり続けている。
これも米国の対中国政策の経済的な政策である。これにより世界の生産工場と言われる製造業の拠点に陰りが見えている。

日本から5-7年前に中国の安い若者の労働者を雇うために日本の製造工場を潰して中国に移転した企業は中国の若い安い労働力を使っていた。だが、現状は中国の労働者の給与が高く製品の採算が合わず、中国の製造工場を潰しすべて日本に工場を移動させているため、大企業や中小企業は日本の労働力を求めている。

こういった背景から日本の労働人件費は高くなってきている。米国は5年前からこうしたことが起こることを予期して米国の製造業を国内回帰をさせている。米国でここ7-8年前から製造業が復活したのも、政治的な対抗面を考えての行動である。日本も学ばなければならない。

中国は二人っ子政策に切り替えてもその子供達が働き手となるには15-20年かかるが、少子化は止まらないだろう。人口動態からしても中国は日本と同じく人口オーナス期避けられないデフレ経済に真っ逆さまに墜ちる可能性がきわめて高い。

中国の経済状況は大きくなってもなお、日本が作ったトランジスターラジオや家庭用VTR,,ウォークマン、カラオケマシーンetcといった世界を変えるような新製品を何一つ作り出していない。さらに品質の向上もなされていない。例えば中国製の炊飯器の性能は実は日本製と遜色がない。でも、何故中国人が爆買いするのか?

米を炊く釜を買っても外観は日本製の商品と同じでも中国商品は日本製品の1/3の期間で故障が発生するのだという。結果として安物買の銭失いなのだそうだ。

 ECBは12月3日の理事会で追加緩和策を決定したが毎月の債券の買入れ額は据え置 かれ増額を見込んだ市場の失望を呼んだ。 ECBは10月に打ち上げたドラギ総裁が言っていた緩和策とはほど遠い量的金融緩和となり、失望感に満ち溢れたものとなってしまった

12月3日当日ドイツ連邦銀行のワイトマン総裁ら北部欧州勢が緩和に猛反発した。 ギリシヤの欧州経済危機でもそうであったが経済の好調なドイツの存在は欧州の統合を危うくさせている。ドイツのおかげで話がまとまらず欧州危機を悪化させたケースは枚挙にいとまがない。 ドイツの反対で欧州危機は長引いてしまった。

亀岡裕次大和証券 チーフ為替アナリスト

[東京 27日] - 各国金融政策の違いで為替相場の見通しが立てられることがある。確かに金融政策は金利変化を通じて為替を変動させる要因だが、中銀が金融引き締めをしている国の通貨がいつも上昇し、金融緩和をしている国の通貨がいつも下落するとは限らない。

為替には、短期金利だけでなく、先行きの金利見通しを反映する長期金利や市場のリスク許容度などが深く関わっているからだ。

海外に目を向ければ、欧州中央銀行(ECB)の追加緩和と米連邦準備理事会(FRB)の利上げが近づいているとみられるが、その通りに金融政策が実行された場合、為替相場はどうなるのだろうか。2004年にFRBが利上げを開始した局面での市場・経済動向と今回を比較しながら、今後の展開を考えてみたい。

<米株価がドル円を左右、FRBの利上げペースにも影響>

まず、米国金利と為替の関係について振り返る。前回の景気拡大局面(01年11月―07年12月、73カ月間)では、FRBは04年6月30日に最初の利上げを行った。

利上げ期待の高まりとともに米金利は4月から上昇したが、米10年国債金利は5月14日の4.90%、米2年国債金利は6月8日の3.10%を高値に低下基調に転じ、ドル円も5月14日の114.9円を高値に低下基調となった。つまり、利上げ開始の約1カ月半前に米10年国債金利やドル円がピークアウトしたのだ。

米2年国債金利は利上げに連動するように再び上昇していく一方で、米10年国債金利は低下基調が続いたが、利回り曲線のフラット化が緩和して10年国債金利が上昇基調に転じた後の05年10月(利上げ開始から16カ月後)に、ようやくドル円は114.9円の高値を超えた。

06年6月にかけて2年物や10年物の米国債金利はともにフェデラルファンド(FF)金利の高値5.25%と同程度まで上昇するなか、ドル円は05年12月に121.4円の高値をつけた。結果的に10年などの米長期金利動向がドル円を左右した。

今回も同様のことが言えそうだ。米2年国債金利は11月6日に0.96%の高値をつけ、現在もその近辺にある。一方、米10年国債金利は同日に6月高値よりも低い2.37%まで上昇後、2.22%へと反落している。そして、ドル円の動きは10年国債金利と似ている。短期の米金利は利上げ過程で上昇しやすいが、それだけでドル円が上昇するとは限らない。景気が好転して市場が織り込むFRBの利上げペースが高まらないと、長期の米金利は上昇せず、ドル高・円安は進行しにくいだろう。

次に、リスク許容度を反映する株価と為替の関係を振り返る。米利上げ開始前後の米株価とドル円の動きに順相関(リスクオンで円安、リスクオフで円高)は認め難く、ドル高・米株安、ドル安・米株高という逆相関のケースが比較的多くみられた。世界景気拡大を背景とするリスク選好がドル売り・高金利通貨買いを招き、株高時のドル高・円安の進行を抑える一因となった。

また、米本国投資法が04年10―12月のドル安、05年のドル高に寄与し、株価に影響した面もあった。ただし、長期的には景気拡大で株高が続く状況だったことが利上げ継続を可能にし、最終的に利上げ前よりもドル高・円安を進める要因になったとも考えられる。

今回は、米株価とドル円が明らかに順相関だ。世界的に景気が減速するなかで比較的景気が好調な米国のドルが買われやすい傾向にあるが、そうした状況下で株高時にドル高・円安、株安時にドル安・円高が進みやすいことがわかる。ドル円の動向は、株価動向にもかかっているのだ。

利上げしても株価が上昇するようなら利上げは進みやすく、米長期金利とドル円は上昇しやすい。逆に利上げすると株価が下落するようなら利上げは進みにくく、米長期金利とドル円は下落しやすい。どちらになるかは、景気動向と株価のバリュエーションがカギを握ろう。

<株高抑制で米長期金利とドル円も上昇しにくい>

米国の製造業は、新興国を中心とする世界景気減速の影響をすでに受けている。米供給管理協会(ISM)の製造業購買担当者指数(PMI)は10月に50.1まで低下し、拡大・縮小の分岐水準に接近した。マークイット発表の米製造業PMIは10月に改善したが、11月は再び悪化して13年10月以来の低水準となった。これは、ドル高による米製造業の競争力低下だけが原因ではなく、世界的な需要減退の影響を受けているからだ。

米製造業PMIとの相関が高い経済協力開発機構(OECD)加盟国と主要新興6カ国の景気先行指数は、長期トレンド(=100)を大幅に下回り、悪化が続いている。米製造業の景況感は悪化傾向が続く可能性が高い。

外需不振でも米景気が堅調に推移してきた理由は、個人消費を中心に内需が成長を支えてきたからだ。製造業PMIが悪化する一方で、非製造業PMIは堅調に推移してきた。だが、個人消費にも資産効果の面で不安要素がある。米国の住宅価格と株価を加重平均した資産価格の3年移動平均乖離(かいり)率はプラス幅が縮小しており、消費者センチメントが今年に入って悪化した一因とみなせる。資産効果がさらに減退すると米消費者は財布のひもを締めるようになり、米景気減速の引き金になりかねない。株価動向が米景気を左右する要因となるだろう。

株価のバリュエーションは株価動向を左右する一因となる。米10年国債金利からS&P500種株式益回りを差し引いたイールドスプレッドはリーマン危機前よりも低い。これは、米国の潜在成長率とともに期待成長率が低下したこと、世界経済の成長が鈍化してリスクプレミアムが上昇したことが原因だ。イールドスプレッドが13年以降の高値を更新して上昇する可能性は低いだろうし、長期金利が大きく低下しない限り、株式益回りの低下余地、つまり株価収益率(PER)の上昇余地は小さいことになる。

それでも1株当たり利益(EPS)が増加すれば株価の上昇余地は生まれるが、米国企業の予想EPSはドル高や世界景気減速の影響を受けて減少傾向にある。つまりは当面、米株価の上昇余地は限定的で、資産効果の減退が続く可能性が高い。雇用は増えても個人消費が減速するリスクがある。利上げしても株価上昇と景気回復が進み、利上げも続いて米長期金利とドル円が上昇するという展開にはなりにくいだろう。

なお、09年6月に始まった米景気拡大期間は15年12月で78カ月となるが、戦後11回の平均は58カ月、1975年以降5回の平均は71カ月、82年以降3回の平均は95カ月である。

<インフレ期待低迷も米金利とドル円の上昇を抑制>

米国のインフレリスクが高まって長期金利とドルを押し上げる可能性も低い。FRBが12月に利上げする場合、その理由は労働需給の引き締まりから賃金上昇を通じたインフレが広がるリスクを抑えようとするものだろう。ただし、14年半ば以降、ドル高(実効為替上昇)と商品安が米国の期待インフレ率と現実のインフレ率を低迷させてきた。2003―06年とは状況が大きく異なる。

仮に米景気が減速して株価や長期金利が下がっても、リスクオフのドル買い・高金利通貨売りからドルの実効為替は下落しにくいだろう。また、世界景気減速が引き続き商品安に作用しやすい。米国のインフレ期待が低迷した状況は続き、名目・実質金利の上昇は進みにくく、ドル円も上昇しにくいとみられる。







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投資の神様ジム・ロジャーズ「金融危機の爆発は近い」「私は日本株をすべて投げ売った」
このまま第二のリーマンショックに突入か?
現代ビジネス 週刊現代経済の死角2015年09月14日(月) 週刊現代

世界はカネをじゃぶじゃぶと刷りまくることで熱狂相場を演じてきたが、そんな宴が長く続くはずもない。終わる時は、より劇的に散る。長く続いた大相場。そのフィナーレの「売り場」が幕開ける。

中国はもう終わり
ジョージ・ソロス氏、ウォーレン・バフェット氏と並ぶ、世界の三大投資家の一人として知られるジム・ロジャーズ氏が中国・南京の金陵ホテルに現れたのは、世界中の株式市場が暴落劇におののいていた8月末のことだった。

ロジャーズ氏は現在72歳だが、いまも現役バリバリの投資家。世界中のマーケットの先端情報をかき集めては、株から債券、商品にまで投資して、巨額のリターン(儲け)を稼ぎ続けている。株式市場の「リビング・レジェンド(生きる伝説)」と言われる所以である。

そんな精力的なロジャーズ氏が美女を連れてこの南京のホテルに姿を見せたのは、中国の経済誌『価値線』のインタビューに応じるためだった。

そこで氏が語った内容は衝撃的だった。

「私が思うに、世界の金融危機がそろそろ爆発しそうだ。早ければ今年の秋にも爆発する可能性がある」

「私はもう米国にはなにも投資はしていない。すでに米国の株価は史上最高値を通り越してしまったのだから」

「私は日本株も投げ売った。金融危機の爆発が間近に迫っているということだ。みなさんも気をつけたほうがいい」

ロジャーズ氏の不気味な予言をなぞるかのように、世界の株式市場は9月に入ってからも一向に落ち着く気配を見せない。

というより、米国でも中国でも日本でも株価暴落が止まらず、まさにロジャーズ氏が語る「金融危機の爆発」に向けて、崖を滑り落ちているかのような様相を呈してきた。

「現在の世界的な株価下落は、世界経済が下降トレンド入りしていることを示しています。

中国依存の世界経済の脆さが露呈したと言ってもいいですが、そもそも中国経済の変調はいまに始まったことではない。米欧日など先進各国はなりふり構わぬ金融緩和策を打ち出すことで誤魔化してきたが、その誤魔化しが効かなくなってきたのです。

日本では、どんな悪材料が出ても日本銀行と年金マネーが株を買ってくれるから日経平均株価は2万円を割らないというムードもありましたが、この幻想もついに崩れました。ここからは日経平均が1万6000円台という事態も想定しておくべきでしょう」(RPテック代表の倉都康行氏)

2008年秋にリーマン・ショックが世界を襲った際には、成長著しかった中国が4兆元(約56兆円)という巨額のバラマキを発動し、世界経済の救世主となった。しかし、いま中国にその役割を再び期待することはできない。

中国政府はいまも7%という高いGDP成長率を保っていると喧伝するが、その統計数値が「真実」かどうかは疑わしい。中には、3%以下の成長率にまで落ちているとの指摘すらある。元財務官僚で嘉悦大学教授の高橋洋一氏も言う。

「輸出入統計というのは相手国のデータもあるので、信頼できる。これを見ると、今年1-7月の中国の輸入は同年前期比で約14%も激減しています。

こういう状況で、成長率7%が保てるわけがなく、GDPはマイナス成長になっていてもおかしくない。私は中国経済の減速が、リーマン・ショック後の米国と同じ程度に深刻になっていると見ています」

フラッシュ・クラッシュ
中国政府は財政出動や金融緩和といった「政策の余地」を持っているので、それを打ち出せば、景気はすぐに息を吹き返すとの期待感もある。が、「それは無理でしょう」と日本総研副理事長の湯元健治氏は語る。

「中国企業が弱っているところに金融緩和をしても、設備投資が増える流れにはなりにくい。財政出動にしても、すでに過剰投資で不良債権が大量に積み上がっているので、バブルを助長させるだけです。

株式市場を見ても、中国政府がなりふり構わぬ株価押し上げ策をやっていますが、株価は下げ止まらない。むしろ株で損をした個人や、財テクに走っていた企業が消費を控えるようになり、景気の足を引っ張り出しています」

中国という牽引役を失って、共倒れするように足元から崩れ落ち始めている世界経済を、虎視眈々と眺めているのが百戦錬磨の投機筋たちだ。

いま市場関係者の間で盛んに語られているキーワードに、「フラッシュ・クラッシュ」がある。

この言葉、ご存じだろうか。最初に使われたのは、2010年5月6日のこと。

この日、米ニューヨーク証券取引所では株価がほんの10分間に998ドルも下げる一大騒動が勃発した。

株価が文字通り「瞬時」に消えてなくなったかのような暴落劇。それが21世紀の新型株式暴落として、「フラッシュ・クラッシュ(瞬間的暴落)」と名付けられた。

今年8月半ばからの世界的株価暴落劇では、まさにこのフラッシュ・クラッシュ現象が出現した。

顕著だったのは8月24日のニューヨーク市場。ほんの数分で1000ドルも株価が暴落する、電光石火のフラッシュ・クラッシュであった。

「仕掛け人は、1000分の1秒単位の超高速で株取引をする投機筋。複雑で高度なプログラムを組み込んだコンピューターを駆使して売買するので、人力では対抗しようがない。それがいま、全世界的に仕掛けに入った」と、ファンドマネージャー歴20年以上のベテラン証券マンは言う。

「日本の株式市場も例外ではありません。というより、日本の株式市場は東京証券取引所が投資家に高速売買を促進しているので、むしろ投機筋が最も相場を動かしやすい状況になっています。

さらに、投機筋たちは今回の暴落相場を演出したことで、『俺たちは市場を思い通りに動かせる』と自信を深めている。より大きな果実を狙って、次を仕掛けようとしている。特に株価を一気に下げるほうが投機筋の儲けは大きくなる。次は日経平均を1万5000円くらいまで落としてくることもありうる」

金融危機を手招きする投機筋たちの暗い影が、世界のマーケット全体を黒く覆い始めたのだ。

リーマン前に酷似してきた
「リーマン・ショック前に状況が似てきました」

ミョウジョウ・アセット・マネジメント代表の菊池真氏はそんな不気味な状況認識を語る。

「現在の日本株の下落ぶりは、リーマン・ショック前、'07年8月の下げと酷似しています。

ともに、高値からの突然の急落。値下げの幅も、15%くらいで、ほとんど同じ。8月、という共通点もある。主力株がほぼすべて売られたという点でも同じです。

'07年8月当時は、景気後退のピークアウトを株式市場がまっさきに織り込んだ相場でした。過去を振り返っても、株価は一番の先行指標となる。企業業績がピークアウトし、景気が本格的に低迷し始めるより、少なくとも半年前に株価が反応する。今回も同じように、これから企業業績や景気が悪化していくことの暗示となっているように思います」

株価とは、言うまでもなく、企業の未来の成長性を反映した指標である。成長が望めないのであれば、株価は下落する。

しかも、企業の没落や景気の失速に先んじて、株価は動き出す。

冒頭でジム・ロジャーズ氏が株を売ったと言ったのも、投機筋が売りを仕掛けているのも、これからの世界の未来に「絶望」を見ているからにほかならない。

「世界の機関投資家が株の持ち分を減らし始めています。日本株を例にとれば、8月中旬くらいまでの株価調整局面では、景気敏感型の輸出セクターを売って、代わりに内需株を買うという『銘柄入れ替え』が起きていた。しかし、いま起きているのは、どんな株でもとにかく持っている銘柄を投げ売ってしまうというものです。

中長期的な機関投資家はこうした資産配分の変更を数年タームで決定するものなので、この方向性はそう簡単には元に戻りません。

さらに、株価が下がり、競合他社が同じように資産配分を減らし始めたら、右にならえでやるというのが業界の鉄則。その分、これから株を売る機関投資家はどんどん増えていくことになる。

日本株はここから一時的に2万円手前まで戻ったとしても、そこからはズルズルと安値を切り下げていく展開になるでしょう」(前出・菊池氏)

悪夢は「日本発」
世界はこのまま第二のリーマン・ショックに突き進んでいくしか道はないのか。それを回避できる道はもう残されていないのか。

実はそのキー(鍵)となる一大イベントが、米国で9月16~17日に待ち構えている。

世界中の投資家がその日に注目していると言っても過言ではない。

米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)が長く続けてきた金融緩和策を止めるのか、つまりは利上げをするかどうかを決定する会合(FOMC)が開催されるのである。

BNPパリバ証券日本株チーフストラテジストの丸山俊氏が言う。

「世界最大の経済大国である米国が堅調であれば、たとえ中国がマイナス成長になっても、世界経済を牽引できる可能性があります。そこでポイントとなるのが利上げです。

利上げができるというのは、米国経済が堅調な証拠でそれはいいことです。が、現在のように株式市場に動揺が広がっているときに断行すると、世界全体にショックが広がる可能性がある。

つまり、このFOMCでは、米国経済の堅調さを示す統計が出てきた上、それでもなお米国が今回は利上げを見送るというのがベストシナリオとなります」

SMBC日興証券シニアエコノミストの渡辺浩志氏も指摘する。

「米国が利上げをすれば、新興国などからマネーが引き上げられる懸念がある。中国不安がある中では世界経済の状況を悪化させるわけで、その意味でも米国が利上げを見送ったほうが、株式市場には好感される」

しかし、利上げ先送りが確認できたとしても、それで安泰とはいえない。東短リサーチ代表の加藤出氏が指摘する。

「よく見るべきは、FOMCのメンバーが政策決定と同時に発表する経済見通しです。成長率やインフレ率の予想を発表するのですが、これが想定より下振れた数値だった場合は注意が必要です」

米国の足元が弱ければ、世界経済の牽引役の不在が確認されてしまうからで、それは投機筋にとっては格好の売り材料になりかねないからだ。「さらに」と、加藤氏が続ける。

「今回は利上げを避けるとしても、米国の利上げが遅れることになれば、日本では日銀への追加緩和期待が高まるでしょう。利上げを先送るほどに、日本では円高が進む可能性があるからです。

しかし、日本経済はすでにアベノミクスの限界に直面していて、追加緩和で円安をふかしても、中間所得層が打撃を受けるだけ。さらに、世界から通貨安誘導の反発も買いかねない」

そうした日銀の動きを今度は投機筋が材料視して、売り浴びせが起きる可能性もあるというわけだ。

FOMCの内容が明らかになるのは、日本時間の9月18日午前3時。そこから世界で最初に開くのは、奇しくも日本の株式市場だ。

もし最悪の事態が幕開けするのならば、それはこの日、「日本発」で引き起こされることになるのかもしれない。

そのときわれわれの目の前に広がるのは、なすすべもなく世界同時多発的に「瞬間的暴落」が勃発して止まらないという、おぞましく震撼するような光景となるのだろう。

「週刊現代」2015年9月19日号より
まあ、確かにFRBが9月に利上げをすれば暴落するだろうね!
でも、曲り屋」ジムロジャースが「私は日本株をすべて投げ売った」と言っていますので、二番底が近いということでしょうね。

だって、

2015年8月5日(現代ビジネス):ジム・ロジャーズ「日経平均は3万円まで上がる。私も日本株を買い増したばかりだ。ただし…」

 私はいまも日本株を買い増しています。日経平均は3万円まで上がると述べましたが、それどころか、過去最高の4万円の大台に乗る可能性すらあると考えているのです。アベノミクスは、私のような投資家には最高の政策ですよ。

 安倍晋三総理がやっているのは、つまるところ紙幣を刷って刷って、金融緩和と財政出動を続けること。そのカネを得られた人はとてもハッピーです。とりわけ喜んでいるのは、ストックブローカー(株式仲買人)と、私たち投資家です。

 アベノミクスによる円安が、一体誰を幸せにしているのか考えたほうが良い。'13年以降の極端な円安誘導によって、円の価値はドルに対して半分になってしまいました。

 自らの通貨の価値を下げる政策は、かならずしっぺ返しを喰らいます。結局、一部の大企業や投資家に利益のあることをしているだけ。日本そのものは破滅に向かっているのです。
そして

中国株式市場暴落 ロジャーズ氏は上海証券取引所上場株を買い増し中国網 2015-07-09 15:31:09 

最近、中国株式市場が暴落している。世界著名投資家のロジャーズ氏は水曜日、香港フェニックステレビの電話による独占インタビューに応じた際に、中国株への自信を示した。ロジャーズ氏は現時点で中国株を保有していた中国株を手放しておらず、むしろ8日より上海証券取引所上場の株を買い増ししているという。

ロジャーズ氏は、「中国株を手放したことはなく、今日複数の中国株を購入した。(今日ですか、という質問に対して)そう、今日だ。私は買い増しを指示しており、下落が続けばさらに増やすだろう」と述べた。

上海総合指数は3週間で約32%下落した。ロジャーズ氏は底打ちの時期について、「間もなく底を打つ。それからゆるやかに上昇するだろう。今日すでにそこを打ったかもしれない」と話した。

ロジャーズ氏は5月末にフェニックステレビのインタビューに応じた際に、中国の株価が急騰しており、大幅な調整により落ち着きを取り戻し、市場の基礎を固めることになると強調していた。しかしロジャーズ氏は、今回の下落幅に驚いているという。ロジャーズ氏は、真の強気相場は恐怖の壁を乗り越えた上で築かれると強調した。

「そう、私が予想したよりも急激な下落だ。当然ながら私は、市場は調整により落ち着きを取り戻すと予想していた。強気相場は、恐怖の壁を乗り越えた上で築かれるという格言がある。誰もが一定の恐怖心を持たなければ、株価が上昇しない。誰もが自信満々で、何も問題がないと信じているならば、それは本当に問題ありだ。しかし市場が底値に達すれば、より理性的かつ緩やかな形で上昇していくだろう」

「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年7月9日
大爆笑だね!こいつどれだけ損しているのか?
>ジョージ・ソロス氏、ウォーレン・バフェット氏と並ぶ、世界の三大投資家
もはや、盟友ジョージソロス、神様バフェットと同列にしては他の二人に申し訳ない、
ジムロジャースは中国に絡んで以降まったく当たっていない
wikiにもまったく当たらないジムロジャースの実績が書かれている。

商品市場
1990年代から商品市場が強気相場になることを予想するとともに投資を実践し、21世紀初めの商品相場の高騰を的確に捉えたかに見えた。原油相場が100ドル(NYMEX:WTI先物)を超えた後も、大型油田の発見が無いことをもとに強気相場の終焉を否定していた。しかしサブプライムバブル時の乱高下後、原油相場は5年以上に渡って100ドル前後を越えられず、2014年後半からは暴落を始め、2015年初頭には半値の50ドルを割り込んだ。
2008年に発生した未曾有の金融危機の際にも、ファンダメンタルズが損なわれていないとして商品投資を奨めていたが、その後5年間の商品の反発(+50%)は世界株(+150%)に比べて大きく劣後している。
2004年には「商品の時代」(邦題)という本を出版し、これから10年の投資戦略と銘打って「株の時代は終わり商品の時代だ」と主張し続けていた。しかしその後2013年までの10年間で世界株は2倍になったのに対して、商品のリターンはほぼゼロであった。
中国市場
中華人民共和国の株式市場の将来性を高く評価して、積極的に中国株投資を行っていた。「19世紀はイギリスの時代、20世紀はアメリカの時代、21世紀は中国の時代」と評して、中国に関する著書("A Bull in China")も発刊している。インドへの投資には懐疑的な見方をたびたび表明して、中国への投資が有望と一貫して主張し続けている。娘には中国語(北京官話)を学ばせている。
2007年1月26日上海総合指数が2,800まで上昇すると中国株式市場のバブルを主張したが、その後上海総合指数が4,000になると前述の発言を否定した。そして上海総合指数が6,000近くになると中国株に楽観的な考えを表明し、2007年10月には中国株式市場のバブル崩壊にもかかわらず中国株の長期投資を表明した。しかし、実際は2007年7月保有株が4倍になった時点で売り抜けていたと、中国で指摘された。
2009年7月に上海総合指数が3,300まで反発すると、株価上昇はファンダメンタルズに対して行き過ぎているとの見解を示すとともに、(上海総合指数が1,700から2,300で推移していた)2008年10月の購入以来、中国株は買っていないと述べた。
なお、自身の中国株投資の運用成績は公表していない。
米ドル
米国経済の破綻によって米ドルは暴落すると主張し続けている。自身は米ドル建て資産の処分と中華人民共和国の通貨である人民元の将来性を表明している。しかしドルの総合的な強さを表すドルインデックスは、その当時(2007年10月)の76から、7年後(2014年10月)には86に上昇している。


いや~本気で彼が自分の金を運用しているのなら間違いなく破産しているだろう。
彼は週刊現代の原稿料と中国からの顧問料で生計を立てているのかも知らん(笑)



執筆中



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週足の回帰トレンド-2σの線が抵抗線となりましたね・・・

中国上海市場は元々閉鎖された市場ですので、日米の市場との連動性は極めて低い。ただ、中国経済が永年蓄積してきた矛盾が飽和点を越え、一気に中国共産党政権が崩壊するか、単なる経済不況で終わるかはまだ誰もわからないと思う。

中国経済がの混迷度合いによるが、日本株のこ上昇トレンドはあと暫くは続く可能性があると思います。


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[東京 24日 ロイター] - 世界的な株安連鎖が止まらない。中国株が大幅続落となり、パニック的な投げ売りがアジア市場で拡大、日本株にも波及している。日本株は企業業績などの面で相対的な優位性があるとされていたが、リスクオフの円高が一段と進行し外需が大きく減速すれば、影響は免れない。

当面は中国の政策対応などを見守る展開となりそうだ。

<「抱き合わせ」の日本株売り>

日経平均.N225は過去4営業日で約2000円下げたが、それでも昨年末からは6.2%高の水準にある。前週末時点で比べても、米ダウ.DJIはマイナス8.4%、ドイツDAX指数は3.2%高とかろうじてプラスだが、日経平均は11.3%高だった。

パニック的な株の投げ売りが世界的に広がる中、パフォーマンスが良い株を残すという選択肢もあるが、「市場がリスクオフ状態に転じれば、どの株もいったん売るのがセオリー。ポートフォリオのバランスをとるためだ」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は指摘する。

週明け24日の日経平均は895円安(4.61%)となり、韓国株(2.47%)などを大きく上回り、台湾株(4.84%)や香港株(5.17%)に匹敵する下落率となった。「利益が依然として乗っている日本株を抱き合わせで売る動きが、グローバルマクロ系などのヘッジファンドから出た」(外資系証券トレーダー)という。

「海外投資家は中国株の売買に制限があるため、日本株を代替商品として売買することもある」(外資系アセットマネジメント)という。上海総合指数.SSECは24日の市場で一時9%安まで下落。「代替商品」としての売りも日本株に波及した可能性があるとみられている。

<長期投資家には期待感も>

長期資金を運用する投資家の日本株に対する評価が大きく崩れたわけではないようだ。実際、日経平均は朝の売りが一巡した後、1万9000円を一時回復する場面があった。市場では「国内、海外の長期資金が押し目買いを入れた」(大手証券トレーダー)との声が出ている。

「1ドル120円をキープできれば、今期2ケタの増益は十分期待できる。ROEが改善していることも株高材料。ROEが2割上昇すれば、単純計算で株価も2割上昇する。数年後には日経平均で2万3000円─2万5000円が視界に入る」とニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジストの井出真吾氏は強気だ。

日本株の相対的な株高は、市場の期待感の裏返しでもある。4─6月期の日本上場企業の業績は23.7%営業増益(みずほ証券リサーチ&コンサルティング調べ、東証1部、金融除く)と好調だった。一方、米S&P500企業はトムソン・ロイター調べで1.2%の増益と、相対的な日本企業の業績好調ぶりが目立つ。

エコノミストからは、「世界経済のドライバーは依然として米国であり、仮に中国経済が少々減速した場合でも、日本経済に与える悪影響は限定的」(大和総研チーフエコノミストの熊谷亮丸氏)との指摘も聞かれる。パニック的な売りが一巡すれば、日本株の「優位性」が再び脚光を浴びる可能性もある。

<中国次第の展開は続く>

ただ、「日本株は中国次第の展開が続く」(メリルリンチ日本証券チーフ日本株ストラテジストの阿部健児氏)との見方も多い。中国の実体経済からの影響だけでなく、リスクオフの円高が1ドル120円を超えて一段と進めば、期待値の高い市場の増益シナリオに影を落とすためだ。

市場は株安を通じて、小手先の株価対策ではなく、金融緩和やいわゆる「真水」をともなった財政政策を中国政府に「催促」している。リーマン・ショック後の4兆元の財政出動が、過剰設備など現在の中国が抱える問題の間接的要因になっているとの見方もあるが、市場のパニック売りを止めるには「サプライズ」が必要かもしれない。

いわゆる金融相場(流動性相場)は、市場のセンチメントが相場展開を大きく左右する。金融緩和と緩やかな景気回復を背景としているだけに、「緩やか」な景気回復が「弱い」景気回復と読み換えられてしまえば、市場心理は今回のように、たやすくリスクオフに傾いてしまう。

ファンダメンタルズ的に日本株が相対的な優位性を保っているとしても、大部分が政策に依存していることにも注意が必要だろう。国内年金が株を買い増し、中央銀行も株(ETF)を購入しているという需給面に加え、企業業績が好調なのも円安効果が大きい。日本株の「優位性」が寄って立つ地盤は盤石とは言えず、日本の経済や企業が自律的な成長軌道に乗るまでは、ボラタイルな相場が続きそうだ。

(伊賀大記 編集:石田仁志)
登り百日、下げ十日、中国経済の崩壊が避けられない状況の中で、上海が下げ止まらない限り、世界的な株安の連鎖は止まらないようだ。
週末に、期待された中国の政策発動がなかったことで、もう一段の調整が進みやすい地合いでもあった。
これで27─29日に開かれる米ワイオミング州ジャクソンホールで毎年恒例のカンザス地区連銀主催の年次シンポジウムの結果を待たずとも、米国の9月の利上げは無くなったと考えていいだろう。その証拠にドル円が瞬間115円台にタッチしたようだ。
ドル/円は、年初来安値となる115円台後半まで行くとは・・・想像以上に荒い展開だ。
週末にかけては引き続き中国の政策発動への思惑がある。29日にジャクソンホールで、FRBのフィッシャー副議長の講演が控えており、そこで9月利上げが無いとなれば一旦はこの相場も落ち着く可能性がある。
8月下旬までは、季節要因からファンド解約の調整が進みやすかった。この中で中国に端を発するリスク回避ムードが出たため、含み益のある日本株が売られてヘッジ目的の円ショートが巻き戻され、ドル円は下押しされたと考えて良いだろう。

原油も大幅安の1バレル38ドル台で推移している。皮肉なことに円高原油安は日本の内需にとって喜ばしい喜ばしい材料だ。

今週のどこかが、目先の安値となる可能性があるだろう。「待ちて逃がすはよし、いら立ちて損するなかれ」「売り買いは三日待て」どうせ大底では買えませんから・・

今回の下落は中国のありえないマーケット規制と元の切り下げが引き金となったが、下げ止まりの期待が中国の株価対策であるというのはなんとも皮肉というか
・・・喜劇である。

中国では今回の中国元の切り下げ策で景気拡大は困難となってきた。

米国との本格的な通貨戦争は始まったばかりで、さらに中国の本格的な元の通貨安は続き、株価と景気は後退していく可能性は高い。中国は現状7~8年前の中国経済とは大きく変わって以前のような発展的経済ではなくなり、覇権国家をめざすための世界一の外貨蓄積はじり貧となり、さらに軍事費の支出が膨大となった上に覇権的な支出も急拡大している。収入がないのに支出が慢性化する状態や輸出での稼ぎが少なくなってきた。

とても世界に中国の経済力はすごいという力を見せる状況ではなくなり、遂に8月11日13日の中国元の切り下げで当面の危機をのり越えようとしたが、逆にこれが中国経済の命取りとなってしまったようだ。

現状のドルと円と元の動きは、米国が無言の中で通貨戦争を発展させ、7-
8年前にたれ流された米国のドルは中国から環流しており中国が自由に使えるマネーは相当少なくなつたようである。

米国は中国が南沙諸島で航空機が発着できる滑走路を作つてしまつたことを政治的に重要問題とみているだけに、今回の元安はとことん米国としては押し進めていく考えである

米国は中国との武力による戦争を避けるため、経済的にも政治的にも元安を進め
、中国経済を行き詰まらせるべく今後も押し進めていくようだ。おそらく今後も中国の経済的行き詰まりは悪化していくものとみている。

中国と共にロシアの経済にも米国はこの際圧力を加えたい考えである。 原油価格の暴落でロシア経済は一気に干上がってしまうのである。


8月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は47.1という6年5ヵ月ぶりの低水準だつた。今のところ中国政府は株式買入れを行わず静観している。しかし、8月から10月にかけて中国では次の主席候補を決める全人代が開かれるので、習政権はそのためにも財政を含めて金融政策にづいても抜本的な景気対策を打ち出さなければならない。政権内部には現政権に対する不満があるようなので、どの様に調整するかが注目される。9月には習主席の訪米も控えているので、米国の金融政策の助けを借りなければならない場面も出てこよう。

今までの様な反米国を押し通せない状態になつている中で、どの様な対米融和的な金融緩和策が採られるのか大きく注目される。中国が対米での共通となる融和金融緩和策を打ち出さない限り、現状の中国株安、人民元安は続き、中国経済を中心とする株安には歯止めがかからないであろう。習政権は訪米時を大きな景気回復のチヤンスととらえているので8 -10月の全人代は訪米に向けて現状の中国の金融政策で株価対策の大きな変化が起こりそうである。

習主席の9月の訪米は、中国の金融政策が大きく変化するきっかけとなる。訪米を機に現状多くの調整がなされるとみている。中国は米国の助力を乞いに行く屈辱的な訪米ちなる。中国は景気が落ち込み元安は「にっちもさつちも」いかない状態になる

中国経済は奈落の底に落ち込んでしまい復活するには20-30年はかかることを覚悟しなければならない。9月中には中国と米国から何等かの答えが出て「株安・元安がいつまで続<かわからない」という現状は打破される可能性は高い。

ロシア首相はこんな時期に日本が北方領土と主張する択捉島を訪れ、エトロフは昔からロシアの領土と発言している。外貨の手持ちがこのところ少なくなってきた
ロシアは「いよいよ来たか」という感じで北方領土の値打ちを高める行勤に出たという感じである。現在の世の中は何が起こるかわからない。

 



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日足ベースで見た場合、見事に回帰トレンドにそって無理なく上下しながら上昇波動である。
だが・・・・
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週足で見た場合結構いっぱいいっぱいで、18000円まで調整してもおかしくはない。

コラム:「トリプルメリット」消失で日本経済に試練=熊野英生氏
【ロイター】2015年 05月 11日 18:46 JST
熊野英生 第一生命経済研究所 首席エコノミスト

[東京 11日] - 今、金融環境はちょっとした転換期を迎えている。ドイツの長期金利は、4月中旬をボトムに反転上昇して、あっという間に日本の長期金利水準を追い抜いた(5月7日0.592%)。ユーロ圏の消費者物価が下げ止まり、欧州中央銀行(ECB)の資産買い入れが2016年9月までで終了してしまうかもしれないとの思惑が強まったからだ。

背景にあるのは、原油価格の底打ちである。現在、日米欧とも長期金利は上昇に転じている。ユーロドルは、依然としてギリシャ問題の重石があるにもかかわらず、4月半ばから上昇に転じている。

一連の変化を一言で表現すれば、長期金利低下・通貨安・原油安という「トリプルメリット」の時代が終わったということだろう。特に日本経済は、2014年10月末から約半年間は、この3つの追い風をフルに享受できた。日銀の追加緩和が効果を及ぼした時期とも重なる。それが、今、変化し始めている。

少し深読みすると、ユーロと円が通貨高方向に動かされる背景には、ドル高の弊害が意識されたこともある。2015年1―3月の米国の国内総生産(GDP)成長率は、前期比年率0.2%と極めて低調だった(4月29日発表)。そこでの輸出の落ち込みは、港湾ストの影響もあろうが、じわじわとドル高の弊害が表れたという解釈もできる。

以前のように、米景気が好調で、米連邦準備理事会(FRB)の利上げが秒読みになっているときならば、ドル高は問題ではないが、最近のように景気停滞・利上げ先送りが懸念されるようになれば、話は違ってくる。仮にドル高が問題視されて、円安誘導が指弾されると、ドル円レートが円高方向に動くことが警戒される。

米経済に関して、前月の落ち込みから回復した4月の雇用統計は、不安を一掃する材料にも見えるが、もうしばらくは一喜一憂が続くだろう。港湾ストの影響が一巡して、それでも経済指標の勢いが戻らないとなれば、ドル高犯人説は再び勢いを増すだろう。米経済は、個人消費や雇用が堅調でも、外需はドル高で足を引っ張られている側面がある。今までのように、円安が一方的に進んでいくという予想は強まりにくいと考えられる。

<アンバランスなドル高>

従来、米国の経済成長が力強さを取り戻せば、FRBの利上げ観測は強まり、ドル高・円安が進むと見ることができた。しかし、現在、そうした観測はやや楽観的過ぎるように思える。

まず、すでに名目実効ドルの水準自体が高くなっており、米経済に対するドル高の重石は相当に大きくなっている。これは、ドルの問題というよりも、円とユーロが通貨安になって、その裏返しとしてドルの独歩高が続いている図式でもある。新興国通貨の下落も、その反対側でドルだけを強くする作用を生んできた。アンバランスなドル高が、持続性を持たなかったという解釈もできる。

もうひとつの円安材料を吟味すると、日本の実質金利の問題が挙げられる。日本経済の成長力が高まることで、実質金利が低下する格好になる。理屈は、日本の景気情勢が改善すると、予想インフレ率が高まり、実質金利は低下するということである。

日銀は、ゼロ金利を据え置いて、予想インフレ率の上昇を我慢強く待っている。もっとも、4月末に日銀が、2%の物価上昇率の目途を「2015年度を中心とする期間」から「2016年度前半頃」に変更したことは、実質金利を低下させていると理解できる。黒田総裁は目途の後ずれを、原油下落による影響だと強調するが、実際は需給バランスが物価上昇に作用する力が乏しく、予想インフレ率の高まりで消費者物価が持ち上がりにくくなっていることがあろう。そうした期待形成の弱まりが、円安圧力を減圧させていると考えられる。

<新興国経済に潜む問題点>

最後に、別の論点を加えると、新興国経済の不安が消えていないことである。これまでは、原油安によって、新興国経済にも見えにくい恩恵が及んでいたことだろう。それが景気減速を小幅にとどめてきた。米利上げによる資金の巻き戻しは、米経済の減速で遠のいたが、それは新興国経済に隠れた脆弱性が表面化するタイミングが遅くなったということに過ぎない。

BRICsと呼ばれた新興国では、少し前にロシア、ブラジルと相次いで通貨安に見舞われた。目下の注目は中国だが、金融緩和の効果もあって、上海総合指数は1年間で2倍以上に上昇している。成長率の鈍化を迎え撃つように、金融緩和によってマーケットが崩れるのを食い止めている構図である。実体面では、中国経済には、エネルギー価格が上昇するマイナス効果が相対的に大きなインパクトを持つと考えられる。

トリプルメリットの消失によって、日本経済のみならず、日本を取り巻く環境も今までより厳しくなるだろう。
日本株に楽観できない

東芝、決算延期で囁かれる三つの不安
【日経ビジネスオンライン】2015年5月12日(火)  小笠原 啓 

 東芝は5月8日、2015年3月期の業績予想を取り消して「未定」とし、期末配当を無配にすると発表した。決算発表は6月以降に延期する。複数のインフラ関連工事で会計処理に問題があり、原価を過小に見積もっていたことが判明したため。東芝は外部の専門家で構成する第三者委員会を設置し詳細調査を進めるとしているが、問題は長期化する恐れがある。

 発表から土日を挟んだ5月11日、東芝株はストップ安となった。終値は前週末比80円安の403.3円。投資家が東芝株を一気に売り浴びせた背景には、三つの不安要素がある。

 一つめは、不適切な会計処理の影響範囲が特定しきれないことだ。東芝は4月3日、単体の14年3月期のインフラ関連工事の一部に問題があったとして、室町正志会長をトップとした特別調査委員会を設置。調査を進めてきた。

上場子会社も決算発表を延期

 だが、調査の過程でコストの過少見積もりや損失計上の不備など、新たな問題が発覚。電力システム社と社会インフラシステム社、コミュニティ・ソリューション社の3カンパニーとその関連子会社で、不適切な会計処理の調査が行われている。

 不適切な処理が14年3月期以前から続いていた可能性も浮上。東芝は「調査結果に対する信頼性を高めるため」、第三者委員会の設置を決めたとしている。ただ、ある市場関係者は「単なるミスとは考えづらい。東芝の会計処理手法そのものに疑問を持たざるを得ない」と指摘する。東芝テックなどの上場子会社も決算発表を延期している。

 二つめは、業績にどれだけのインパクトがあるか試算できないことだ。

 東芝は昨年9月、15年3月期の連結営業利益が3300億円と過去最高を更新する見込みだと発表していた。上場企業では売上高が10%、損益が30%、事前予想から変動する場合は開示することが求められる。だが今回、東芝は「現時点で2014年度通期の業績予想を行うことが困難」だとして、「未定」としか開示しなかった。一方で、「3割どころではなく、相当厳しい数字になる可能性がある」と推測するアナリストもいる。

 14年3月期以前の決算を修正する可能性も、東芝は示唆している。過去の決算が信頼できず業績予想も未定となると「企業価値を算定するのは不可能だ。開示の不備は深刻な問題だ」と、エース経済研究所の安田秀樹アナリストは指摘する。野村証券は東芝に対する投資判断の提供を中止している。

有価証券報告書の提出期限が焦点

 最後は、この問題がいつ解決するのか見通せないことだ。

 金融庁は事業年度が終了して3カ月以内に、有価証券報告書を提出することを求めている。東芝が延長申請しない場合、その期限は6月末。「有価証券報告書の提出遅延が起きると上場廃止基準に抵触する恐れがあり、監理銘柄に指定される可能性がある」(日本取引所グループ広報)。6月末までに決算を確定し、発表できるかどうかが当面の山場となる。

 だが、今後のカギを握る第三者委員会の構成はまだ決まっていない。東芝は「2週間以内をめどに設置する方針」としているが、立ち上がった後のスケジュールや調査の範囲も不透明だ。第三者委員会の調査次第では、新たな問題が浮上する恐れも否定できない。決算確定後に株主が総会でどのような判断を下すかも、焦点になりそうだ。

おまけに

シャープ減資は「応急処置」 既存株主には迷惑?【産経ニュース】2015.5.11 19:43

経営再建中のシャープが1200億円の資本金を1億円に減らすことを検討している。99%以上の減資という異例の措置だ。その狙いと今後予想される動きをQ&A形式でまとめた。

 Q 減資とは何か

 A 企業が事業活動の元手である資本金の額を減らすことだ。シャープの場合、資本金を取り崩して累積した損失の穴埋めに充てる。これまでの業績悪化で傷んだ財務基盤を整えるための応急処置だ。かつてダイエーも再建のために99%超の減資を実施した。

 Q シャープが99%以上の減資をする狙いは

 A 法人税法上の「中小企業」となって、各種の税負担を軽くする思惑があるようだ。破綻した企業を再生するときなどに実施する100%減資では既存の株式の価値は無くなり、紙くず同然になる。今回のシャープのような減資だと株式の価値は残る。

 Q なぜ今回ストップ安まで売り込まれたのか

 A 資本が少なすぎると、大きな損失が発生したときなどに穴埋めができず企業の存続が難しくなる。このため減資後に、新株を売り出して資金を集める「増資」に踏み切るのが一般的だ。ただ、そうすると1株当たりの価値が薄められ、以前からの株主の発言力も弱まる。市場では、減資がシャープ株の魅力を大きく損なうとみられた。

 Q 株主に迷惑をかけることになるが、問題はないのか

 A 減資を行うには株主総会での決議が必要だ。シャープは今後、減資やその後の再建計画をまとめ、株主総会を招集して同意を求めることになる。

 Q みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行は、シャープに貸付金計2千億円の返済を求めず、代わりに株式を受け取って保有し続ける「債務の株式化」で支援することになっている。これとの兼ね合いは

 A 債務の株式化で資本を増強した後、減資を行い、しばらく資本金1億円で過ごした後、増資に踏み切る-というシナリオがあるとみられている。シャープは一連の手続きを経て、銀行や増資を引き受ける投資家、企業などから、計3千億円程度の支援を受けることになりそうだ。

 Q 今後どうなるか

 A 株価は当面、低い水準で推移すると予想される。ただ、シャープは14日に減資を含む再建策を盛り込んだ新しい中期経営計画を発表する予定で、その内容が評価されれば株価は上昇する可能性がある。
通常5月はヘッジファンドが暴れる。何故ならヘッジファンドは6月/12月が決算で、5月に一斉に益出しすることが多く、一昨年まではセルインメイであった。
買い越している外人もいくつかの系統がある。産油国の政府系ファンドがある。原油安で産油国の財政は悪化しているので、これまでに貯めたマネーをいかに効率的に運用するかが課題となっている。「ナイジェリアの政府系ファンドが日本株を買っている」といった話も聞いた。
また、産油国の政府系ファンドは長期投資するスタイルだったが、短期で投資してくるようだ。 興味深いのが、ヘッジファンドは産油国の政府系ファンドをライバル視している。自分たちより資金量が多いうえに、ドッド・フランク法(米国の金融規制改革法)で動きを縛られてもいない。下手をすると収益機会を奪われると懸念している。このように、日本株市場では3種類の海外マネーが入り乱れることになる。   


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執筆中

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丸山俊 BNPパリバ証券 日本株チーフストラテジスト

[東京 15日] - 日経平均株価は今月10日の取引時間中に15年ぶりとなる2万円を回復。しかし、採用銘柄が毎年入れ替わること、とりわけ2000年に大幅な入れ替えがあったことを考えると、過去の水準と単純に比較することは厳に慎むべきだろう。
実際、2000年の大幅入れ替えの影響を考慮した旧日経平均株価はとっくに2万円を超えていると推定される。

それはそれとして、1月下旬以降の相場上昇は、利上げを模索し始めた米国から、量的緩和を強化した日本と量的緩和に踏み切った欧州への資金シフトがけん引役だった。ドル高とそれに伴う原油安は日本・欧州の企業の投資意欲や消費者心理を刺激し、長期金利の一段の低下は投資家の利回り追求を後押しした。

株式益利回りと債券利回り、株式配当利回りと債券利回りの大幅な乖(かい)離は株式が債券に比べて大幅に割安であることを示唆している。これが景気後退局面であれば利益・配当の減少を心配しなければいけないが、景気回復局面に入った日本・欧州では利益・配当の増加に対する期待が株式の魅力を高めている。

特に日本経済は増税後の反動減緩和や原油安、昨年度を上回る賃上げによる実質所得の押し上げによって個人消費が回復し、円安を追い風に製造業を中心に設備投資がある程度戻るとの期待が高い。国内景気回復と企業収益改善により、グローバル株式の中でも低株価変動率と低収益変動率の性質を兼ね備え、さらに株主還元の強化によって高配当性向になれば利回り追求に最も適した投資先になり得るポテンシャルを2015年の日本株は有しているし、実際にそうした見方が今の日本株を根強く支えている。

さらに海外投資家が長年求めてきたコーポレートガバナンスの改善に日本企業がようやく取り組み始めたという手応えは、公的・準公的機関の株式投資と並び、今や日本株が投資パフォーマンスにおいて他を抜きん出ると期待される大きな理由の1つである。

<官製株高への過剰な期待は禁物>

もっとも、目先では、米ドル・米株の調整が欧州株や日本株の調整に発展する可能性には注意が必要だ。ドル高や原油安の影響により米国企業決算が減収減益に陥る見込みであるほか、米国の第1四半期国内総生産(GDP)成長率が前期比1%台(年率換算)にまで落ち込む可能性が否定できない。
足元での米景気減速は、悪天候や港湾ストの影響だけでなく、利上げを模索し始めた米国で商業銀行が貸出態度を厳格化させていることが影響している可能性がある。市場が利上げ時期の後ずれを好感する局面から、米景気減速やデフレ圧力を懸念する局面にシフトした場合、相場に波乱が起こる恐れがある。

海外投資家の買い越し金額(ネット)を見ると2月の株高は明らかに先物主導であり、その大半が3月の精算日でロールオーバーされているため、そろそろ利益確定のタイミングを見定める頃合いではないか。その際、懸念されるのは現物市場で最大の買い手は公的マネー(=信託銀行)ではなく、主に裁定取引を行っている自己勘定部門であることだ。このため、何らかのきっかけで先物価格が急落した場合、裁定買い残解消に伴う自己勘定部門の現物株売りが一段と株価を下押しする可能性に注意したい。

もちろん、株価が下がれば公的マネーが下支えてくれるとの思惑はあるだろうが、それでは年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や日銀が買い支えていたにもかかわらず昨年12月中旬から今年1月中旬にかけて日経平均株価が1500円以上も下落したのはなぜか、という疑問に答えることは難しい。公的マネーが株価を下支えしていることは紛れもない事実だが、「アナウンスメント効果が効いている」程度に冷静に捉える必要があろう。

ちなみに、GPIFや準公的年金基金(3共済:国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団)は10月1日から資産構成の目標値を共有し、運用を一元化する。しかし、最近の株高と昨年10―12月期以降の積極的な資産入れ替えによって、例えばGPIFの国内株式保有比率は足元ですでに23%に接近していると推定される。仮に9月末に向けてベンチマーク比率(25%)を達成しようとすると買い余力は3兆円程度しかないものと思われる。

問題は、公的年金基金の資産構成見直しが一巡した後、日銀以外に誰が日本株を買うのかである。市場ではすでに国内株式の保有比率引き上げに動いている「かんぽ生命保険」に加えて、資産運用の分散が課題の「ゆうちょ銀行」に対する期待が高いようだ。ゆうちょ銀行の保有資産はGPIFを大きく上回る205兆円に達し、その大半は国債で運用されているため、資産規模から言えば株式買い増し余力は大きいように映る。

実際、ゆうちょ銀行は向こう3年間で14兆円をリスク資産に投資すると最近になって発表した。しかし、その大半はおそらく外債となるだろう。

なぜなら、ゆうちょ銀行の自己資本は約8兆3000億円(2014年10月)であり、自己資本比率は43%と世界一と言っても過言ではないほど健全な銀行である。しかし、上場株式を保有した場合のリスクウエイトは300%であるため、仮に上場株式を2兆円買い入れると自己資本比率は33%に、上場株式を10兆円買い入れると17%に落ち込む。今後、M&Aや貸出ビジネスにも参入していくとすれば、ゆうちょ銀行が買うことのできる上場株式はせいぜい合計2―3兆円程度ではないかと思われる。

なお、自民党内では日本郵政グループの企業価値向上を図る目的で、「ゆうちょ銀行」(現在1000万円)「かんぽ生命」(同1300万円)の加入限度額をそれぞれ引き上げる検討が始まった模様であり注視していきたい。

<バブルなら株価はどこまで上がるか>

結局、日経平均株価2万円後の株式投資については、目先の反動に注意しつつ、公的マネーの買いには過度の期待を抱かず、加えて以下の点の見極めが必要となろう。

まず、成長期待の高まりがリスクテイクを促した当時と異なり、現在の低成長・低インフレ・低金利がリスクテイクをどの程度促すのかは不確かだということだ。

例えば、食品株や医薬品株が割高にもかかわらず際立って好調なのは、先進国の長期金利が一段と低迷する中、世界経済の成長に自信は持てないものの利回りを必要とする投資家がいるからである。つまり、株価変動率(ボラティリティ)が小さく、利益変動も小さく、配当性向が高いという債券と株式の中間的な性質を持ち合わせている食品株や医薬品株をあたかも債券に投資するかのように買っているのだ。

生活必需品である食品や医薬品は販売価格を引き上げても需要が大きく落ち込む心配もないため、円安インフレへの抵抗力は強く、海外市場の成長性も十分だ。割高でも買われる食品株・医薬品株と、割安でも放置される商社株や自動車株といった景気敏感株の二極化は、投資家のリスクテイクがいまだ局所的であることを示している。

また、そもそも利回り追求は「低金利」という大前提が崩れれば終わりであること、世界経済の低成長下ではいくら利回りが高くても収益が安定あるいは成長していなければ見向きもされないこと、日本株が利回り追求の受け皿になるには配当性向を一段と引き上げる必要があることを忘れてはいけない。

日本企業の配当性向は依然として30%足らずであり、欧州企業の約60%と比べるとその開きは歴然である。現状は配当性向がようやく30%に達してホッと一息をつけるかなといったところであり、40%以上の配当性向目標を掲げている企業は一握りでしかない。横並び意識が強い日本社会で、日本株式会社や業界を代表するような会社、例えばトヨタ自動車(7203.T)が率先して配当性向を40%に引き上げるといったブレイクスルーが待ち望まれる。

また、取締役の選任や報酬決定に権限を持たない社外取締役が、米国のように株主の代理人として経営を監視できるのかも気がかりな点だ。株主総会で選任されているはずの社外取締役で株主の代理人という意識を強く持つ人材は多くないように思われる。

つまり、稼いだ利益がせめて他の先進国並みの水準で株主に還元され、そしてコーポレートガバナンスの改善を確認できる材料が実際に積み重なってこないと、日本企業の資本に対する評価は高まらないのではないかというのが率直な感想である。

最後に言い添えれば、先進国共通の低インフレ・低金利環境が続く限り、低株価変動率、低収益変動率、高配当性向のリスク資産に対する利回り追求が果てしなく続き、市場全体のリスクプレミアム低下を通じて、やがてバブルを引き起こす可能性は否定できない。

そのときの株価水準を見通すことは困難だが、仮に投資家の要求収益率(エクイティリスクプレミアム:ERP)が2004―2007年の世界好況期並みの水準である4.5%まで低下すると現在の収益予想から逆算される日経平均株価の理論値は2万3000円となり、同期間の最低値並みの水準である4.0%にまで低下すると2万7000円となる。

2万円は瞬間回復したあと2万円を超えられずにいる。晴れ間が少ない今年の菜種梅雨のようである。

無理もない、もうすぐセルインメイが近ついている。例年ゴールデンウィークに前後に株価が一旦天井を何度もつけて、夏低迷し年末に向かって上昇するパターンが身に染みついてしまっている。

バブルとITバブルを二度に亘って経験した者にとっては、まだこの相場はバブルとは言い難い。

1985年のプラザ合意からバブルが発生し日経平均が38915円で天井を打った。 バブル時には土地不動産が急上昇し、 ITバブルの時には30年後の IT技術の夢を買ってしまった結果、バブル崩壊を招<大きな原因となった。
あの時は夢があった、夢を買うといっても大変なことをしてしまった。その結果がその後の15年間の日本の衰退を招いてしまった。18000円まで戻り立ち直りかけた時にもリーマン・ショックが発生し証券市場参加者は皆大やけどを負った。

バブル崩壊後、日本経済を振り返ってみると、実に苦しい時代であった。海外の投
、資家からは日本経済は成長性のないデフレ経済として、世界の経済学者からは誰もがなりたくない反面教師とののしられ、あげくのはてには「超円高」の餌食とされ、日本の国富は3分の1となり、超貧乏国になってしまった。

ここで日本経済の超貧乏国の流れを変えたのが安倍首相の唱えるアペノミクスである。 20年近く苦しんでいた日本経済を変えたのは間違いない。

米国は今まで世界が経験したことのない超緩和策を採り、続いて、日本がデフレの中で異次元緩和といわれる超緩和策をとり、欧州でもユーロが超緩和政策をとり、さらに新興諸国もQE政策をとったことから、世界の金融緩和であふれ出た投資マネーが経済再建の早い日本株に向かい、日本株は2002年4月以来、15年ぶりに2万円台を回復した。アベノミクス始動からの2年半で海外投資家による日本株の買越額は18兆円に上る。株価水準は2倍以上となり、世界でも突出した上昇率である。
特に昨年後半の上昇率は1990年代後半、ITバブルを上回る上昇となった。

 海外ヘッジファンドなどの短期マネーが流入し、下がるとすかさず買いが入る展開となった。特に昨年の後半には外国人投資家が日本の企業の急成長ぶりを知らずに売りに回ったことで、今年に入り日本株の持たざるリスクを感じ、各国の長期投資家が日本の優良株の所有株数を増やしたため、日本株は品薄化となってしまった。それに加えて日本でも公的年金などの運用が自由化され、国内の投資資金が日本株に向かいだしているのも海外勢が日本株を再評価する要因となってしまった。

2万円の日経平均株価をつけたのだから「これでよし」とはいえないというのが現状の日本経済の本音である。日本では今年、郵政が株式を上場することになっている。 

>ゆうちょ銀行の自己資本は約8兆3000億円(2014年10月)であり、自己資本比率は43%と世界一と言っても過言ではないほど健全な銀行である。


だが、
ゆうちょ銀行が買うことのできる上場株式はせいぜい合計2―3兆円程度ではないかと思われる。

200兆円のマネーをかかえ株式投資を拡大化する構想もあり、郵貯に株式運用許可がおりれば日本株はますます品薄化が進み、上昇力を一段と強めるだろう。 

今年はセルインメイを乗り越えられるだろうか?

コラム:低インフレ後の「資産バブル」再来リスク=竹中正治氏
【ロイター】2015年 04月 14日 17:18 JST

竹中正治 龍谷大学経済学部教授

[東京 14日] - 非伝統的金融政策(量的緩和)からの出口に差しかかっている米国で、失業率や新規雇用者数で見る雇用情勢は着実に改善しているにもかかわらず、インフレ率が目標の2%未満の状態が続いている。

このことに米連邦準備理事会(FRB)が頭を悩ましている。これは日本にも共通する問題だ。米国で低インフレが続く原因とそのリスクを考えてみよう。

FRBが使命とする政策目標はインフレ率の安定と雇用の最大化だ。この2つの目標に対して政策手段は金融政策の1つだけである。独立した1つの政策目標を達成するためには、独立した1つの政策手段が原理的に必要とされる。にもかかわらず、一般にFRBの使命が矛盾しないのは、インフレ率と雇用の変化に安定した関係がある場合だ。

例えば「フィリップス曲線」の名で知られているようにインフレ率と失業率の間にはトレードオフの(負の相関)関係がある。FRBが短期・中期的なショックに対応しながら金融政策のかじ取りを行い、インフレ率を一定の水準で安定化させれば、長期的には需給ギャップはゼロとなり、長期的な均衡状態における自然失業率を達成できると考えられている。

しかし、インフレ率と失業の関係性が壊れてしまう時もある。その代表例が1970年代のスタグフレーションの時代で、インフレの高進と失業率の上昇が同時進行した。こうなると金融政策として双方の同時追求ができない。

結局、この時は1979年に就任したポール・ボルカーFRB議長の「新金融調節方式」の下で厳しい金融引き締めが実施され、根強いインフレ期待を抑え込むことを優先した。ただし、その代償として1980年代前半は2度のリセッションに見舞われ、失業率はピーク時に10%台まで上昇した。

<低インフレの何が問題か>

今、FRBが直面している問題は、1970年代とは反対の「低インフレ持続」リスクだ。この問題はローレンス・サマーズ元米財務長官が指摘してきた「長期停滞(secular stagnation)仮説」、つまり自然利子率がマイナスに落ち込んでしまうリスクとも関連して議論されている。

もしデフレと紙一重のような低インフレが慢性化すれば、FRBはこれまでの量的緩和で膨張したバランスシートの正常化(縮小)もできず、目立った金利の引き上げもできないことになる。そうした状態のままだと、将来再び経済に何かのショックが発生して景気が後退した場合に、金利の引き下げ余地は極めて小さくなる。つまり、FRBが金融政策として取れる手段は極めて限られるという厄介な事態となるわけだ。そういう意味で低インフレは低金利と表裏の関係にある。

足元の個人消費支出(PCE)価格指数の変化は、全品目ベースで0.3%(今年2月の対前年同月比)であり、FRBが重視している「食料とエネルギーを除くベース」で同1.4%と目標の2.0%に届いていない。

もちろん、全品目ベースで0.3%まで低下したのは、昨年第4四半期から顕著になった原油を中心とする資源価格の下落の影響だ。それは資源価格の調整・下落が止まれば終わるので一過性のものであり、問題はない。むしろ米国のマクロの交易条件が改善するので実質所得が増加する。ところが「食料とエネルギーを除くベース」でも目標の2%に届かない状態が2012年5月以降続いている。これが懸念されているわけだ。

<現下の日本経済にも類似した特徴>

それでは何が低インフレ・低金利の原因となっているのだろうか。原因候補の第1は設備投資需要の低迷である。設備投資の減少は長期的には供給面の制約をもたらすが、短期では資金需要と投資需要の減少として低金利、低成長、低インフレの要因となる。サマーズ氏はこうした見方に立っているようであり、「インフラ整備(公的資本形成)などのために財政支出を拡大する」ことを提唱している。

しかし、民間設備投資が名目国内総生産(GDP)に占める比率は、2009―2014年の平均が11.9%、1950―2008年の平均値は12.0%であり、安定している。GDP成長率と民間設備投資伸び率の間には高い正の相関関係があるが、その関係性が2009年以降に変化しているようにも見えない。つまり、設備投資が細っている兆候は見られない。

第2の原因候補として貯蓄率の上昇(消費性向の低下)はどうだろうか。家計の貯蓄率(対可処分所得)は、リーマンショック後の不況下で家計のバランスシート調整が起こった局面では上昇したが、2013年4.9%、2014年4.8%と落ち着いている。これは1990―2008年までの平均5.5%より低い。つまり、家計部門で貯蓄増加(消費減少)が生じているわけでもない。

民間企業部門ではどうだろうか。民間事業部門の「未分配企業利益(undistributed corporate profit)」の国民総所得(GDI)に対する比率を見ると、1990―2008年までの平均値が2.3%であるのに対し、2009―2014年の平均は5.0%と上がっている。つまり、2009年以降、企業利益が回復する一方、内部に留保される利益の比率が高まっている。また、GDIに占める労働分配率は、1980―2008年の期間は平均56%を中心に安定的に上下動をしていたが、2009―2014年の平均値は53%と下方シフトの傾向が見られる。

以上で何が起こっているか察しがつく。つまり、リーマンショック以降、企業収益は順調に回復し、企業は手元流動性を積み上げ、雇用も回復しているにもかかわらず、それが賃金上昇にあまりつながっていないのだ。興味深いことに、これは現下の日本経済でも類似した特徴だ。
<失業率と名目賃金伸び率の関係に異変>
そこで掲載図をご覧いただきたい。横軸は失業率、縦軸は名目賃金指数の変化(前年同月比)だ。いわゆるフィリップス曲線である。同曲線を論文で最初に提示したウィリアム・フィリップスは失業率と名目賃金の変化として描いた。その後ポール・サミュエルソンが失業率とインフレ率の関係性として定式化してから、それが一般的になったが、ここでは名目賃金指数の変化として示した。
失業率と名目賃金の変化の関係性を示す近似線の傾きが、2009年までとそれ以降で変わっているのがわかるだろう。つまり、2010年以降、景気の回復で失業率が低下しても名目賃金がそれ以前ほど伸びていないのだ。インフレ率と名目賃金の変化にも正の相関関係がある。したがって「賃金伸び率の低下が低インフレ率を招く」という構図に経済がはまっていると筆者は考えている。

では、失業率で見た雇用の回復にもかかわらず、なぜ賃金伸び率は低いままなのだろうか。「完全失業率=失業者数/(就業者数+求職活動をしている失業者)」で算出される。戦後最大の景気後退を経て米国の労働力の供給には失業率が示す以上のスラック(余裕)が生じている可能性がある。実際、米国の労働参加率は過去数年で3%ポイントも低下しており、これはベビーブーマー世代の引退という人口動態要因を勘案しても大きな低下だ。相当数の「求職あきらめ組」を含んでいると考えられている。

そうした「求職あきらめ組」も景気の回復に伴ってじわじわと求職活動に復帰している。その結果、右上がりの労働供給曲線(縦軸に賃金、横軸に労働供給・需要量)の左部分がフラットに近い状態になっていると考えると説明がつく。この状態では景気の回復で労働需要曲線が右にシフトしても、労働供給曲線がフラットに近いので名目賃金はなかなか上がらない。

今後、景気の回復、雇用需要の増加が続けば、近い将来に労働需要曲線はさらに右にシフトして労働供給曲線の右肩上がりの部分と交差するようになるだろう。つまり、賃金が上がり始めるということだ。イエレンFRB議長の直近3月27日の講演(Normalizing Monetary Policy:Prospects and Perspectives)を読む限り、これはFRBの基本認識(メインシナリオ)でもある。筆者も大方はそのシナリオで正しいのだと思う。

ただし、名目賃金の伸び率と失業率の関係は既述の通り決して安定的ではなく、様々な要因で変化する。技術革新の進展で、製造業でもサービス業でも、定型的な労働を中心に機械による代替がますます進んでいる。現下のドル高も輸入物価の低下を通じて、海外と国内の労働者との賃金面での競合を強めている。こうしたことも賃金伸び率の低下要因になっている可能性がある。

<将来のリスクはインフレより資産バブルか>

それでも上記のメインシナリオに基づいてFRBは低インフレ見通しが変わるまで、金利の引き上げには慎重で、緩和的な金融政策を継続するだろう。この点において前掲講演でのイエレン議長の説明は実に微妙で、インフレ率が目標水準に達するまで金利の引き上げや金融政策の正常化を待つことは適切ではなく、目標水準の達成が予見できるようになったらアクションを取るのだと説明をしている。
そして注目すべきは、「長過ぎる期間、金利を低過ぎる水準に維持すれば、投資家による不適切なリスクテイクを助長しかねず、金融市場の安定性を損なう可能性がある」と述べている。つまり、資産バブルのリスクに言及しているのだ。

イエレン議長はそれ以上踏み込んでいないが、この点は今日の金融政策をめぐる厄介な問題に絡んでいる。というのは、インフレ率の安定と雇用の最大化を実現する金利水準と、資産バブルを抑制・回避するのに適正な金利水準が一致する保証はないということだ。
むしろ「雇用・インフレに望ましい金利水準が資産バブル抑制・回避に望ましい金利水準より低くなる」という乖(かい)離が生じる可能性が高い。これこそ過去四半世紀の様々な資産バブルの教訓ではないだろうか。

さらに言えば、米国の景気循環自体が、総需要と総供給のバランスを軸にした実体経済の循環的な変動(business cycle)から、信用の膨張と収縮を伴う資産価格の変動(credit cycle, market cycle)に性質を変えている可能性がある。

ドル高を伴った低インフレが長引く結果、金利の引き上げが延び延びになり、信用の膨張が再び株式か不動産などの資産価格のバブル的高騰を招く危険が、まだ将来のことではあるが、じわりと高まっていると思う。

振り返ると、ITバブル崩壊による景気後退後、当時のグリーンスパンFRB議長は、2003年に景気後退が終わっているにもかかわらず、インフレ率がじりじりと下がり、日本のようなデフレに陥るリスクを真剣に懸念した。結局当時はデフレにはならず景気回復が持続し、2004年6月から金利引き上げに転じたのだが、そのテンポは非常に慎重なものだった。FRBは公式には認めていないが、デフレに陥るかもしれないという2003年の恐怖経験が、住宅高騰下での金融引き締めをスローなものにした可能性があると筆者は思っている。

代々FRBはグリーンスパン議長もバーナンキ議長も、「バブルは破裂してからでないとバブルとは判断できない」という立場であり、資産価格の高騰もそれが実体経済の景気の過熱、インフレ率の過度な上昇として顕現化する場合にのみ金融引き締めで対応すべきであるという方針を取ってきた。

そうした方針の背後には、雇用・インフレに望ましい金利水準と資産バブル抑制・回避に望ましい金利水準のかい離を想定すると、「1つの金融政策で複数の異なる政策目標を追求する」という政策論の原理的な矛盾を認めることになるので、それを回避したい意識があるのだろう。しかし、資産バブルは必ず金融緩和下の信用膨張をベースに起こる。そのリスクを過小評価するコストはあまりに大きかったことが2000年代のバブル崩壊と金融危機の教訓だ。

筆者は米国経済については長期的に強気の見方をしているが、それはリスクの不在を意味しない。イエレン議長がこの厄介な問題にどう対処するか、それが問われる局面が数年以内に到来する気がしてならない。


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[東京 10日 ロイター] - 日経平均.N225が15年ぶりに2万円を回復したが、ドル/円JPY=EBSや日本の長期金利は落ち着いた動きを続けている。一段の円安が増益期待を高めたり、インフレ期待が強まっていることによる株高ではないようだ。

実体経済がさえないなかで、世界的な金融緩和が株価を急激に押し上げている構図の中に日本株もあり、経済や各市場間とのギャップには警戒感も広がりつつある。

<バーナンキ前FRB議長のブログ>    

バーナンキ前米連邦準備理事会(FRB)議長がブログを始め、市場関係者の間で話題になっている。そのなかで注目されている指摘の1つが、世界で広がる低金利についての記述だ。
中央銀行(FRB)が、政策金利を低くしているから、世の中の金利が低くなっているわけではなく、世の中の金利(均衡する実質金利)の水準が低いから、政策金利が低くなるのだと指摘している。つまり景気や物価が上がらないから、もしくは近い将来上がるという期待が小さいから政策金利も自然と低くなるというわけだ。

日本の低金利は、日銀が「異次元緩和」によって国債を大量に購入し、金利を人為的に低くしているからという見方は多い。しかし、それを可能にしているのが、バーナンキ前議長が言うように、低い均衡実質金利の水準、つまり日本の低成長や低物価が長引くとの予想であるとすれば、高値を更新し続ける日経平均には「違和感」が否めないことになる。

低金利はビジネスや投資活動を活発化させるほか、利回りの相対的な比較でも株高をもたらす材料になる。いわゆる不景気の株高だ。しかし、歴史的な金融緩和が、歴史的な低金利と歴史的な株高を「同居」させている現在の状況が、いつまでも続くと考えるにはリスクもある。

「ドイツでは景気に過熱感も出始めている。経済が弱い国のために、ECB(欧州中央銀行)は緩和をやめることができないでいるが、今の金融緩和環境がいつまでも続かないリスクも考慮に入れておくべきだ」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は指摘する。

<見えない日本企業の「実力」>

株価を大きく構造分解すれば、企業業績とPER(株価収益率)だ。日本全体の景気が悪かろうと企業業績さえ良ければ株高は正当化される。日本企業のガバナンス改善や株主還元への積極的姿勢、ROE(株主資本収益率)の向上も好材料として、海外の長期投資家は日本株を買い続けている。

NNインベストメント・パートナーズ(旧:アイエヌジー投信)のマルチアセットブティック統括責任者のヴァレンタイン・ファン・ニューウェンハウゼン氏は「株価は直接的にはGDPではなく企業業績で決まる。日本企業の利益は伸びているし、日本株のPERはそれほど高いわけではない」と話す。

しかし、日本企業の持続的な増益基調が見えたわけではない。2014年度の平均ドル/円レートは110円程度であり、120円程度の水準が15年度も続けば、10─15%増益程度は期待できる。

しかし、16年度も円安が続くとは限らない。「円安効果を除いて本当に稼ぐ力を付けているかは、企業経営者自身もよくわかっていないようだ」とニッセイ基礎研究所・チーフエコノミストの矢嶋康次氏は指摘する。

日経平均の予想PERはバブル期まではいかないが、歴史的に見てレンジの上限に近い17倍後半まで上昇。増益をかなり織り込んだ水準にある。

また、一段の円安による企業利益の上積みは、期待しにくい状況だ。ドル/円も120円台半ばに上昇してきているものの、高値3月10日に付けた122.40円には及ばない。

さらに07年6月22日に付けた124.14円や02年1月31日に付けた135.20円にはまだ遠い。
米利上げ期待が後退していることもあるが、日本のインフレ期待が一向に強まらないことも、ドル/円の上値を押さえている。2年2%の物価目標に届かないことは日銀の追加緩和期待も高めるものの、「インフレがイメージできず、インフレを前提にしたポジションは組みにくい」(三井住友信託銀行・為替セールスチーム長の細川陽介氏)という。

<「歪み」もみえる日本株>

さらに日本株もしくは日経平均にも「歪み」が目立つ。特に「官製相場」といわれるように公的マネーの買いが日本株の需給に大きな影響を与えている。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2014年12月末時点の国内株式の運用比率は19.80%と、9月末の17.79%から2ポイント上昇。運用資産額と収益額を用いて試算した買い入れ額は3カ月間で約1兆7000億円に上った。日銀も年間3兆円のETF(上場投資信託)買いを予定している。
今年に入っては再び海外勢が買いの主役に戻ってきたが、海外勢も「日銀やGPIFの公的マネーの買いへの期待が大きい」(外資系証券エコノミスト)という。公的マネーを「売らない主体」と目した思惑が相場を歪めている可能性は小さくない。

またTOPIXに対する日経平均の「独走」ぶりも目立つ。日経平均は15年ぶりの水準に達したが、TOPIXはまだ約8年前の水準を回復したにすぎない。

日経平均とTOPIXの比率であるNT倍率.NTIDXは10日、一時12.55倍まで上昇し、昨年2度止められた節目水準を突破し、2013年12月以来の高水準となってきた。当時は過去最高の12.74倍まで上昇したが、その後は、日経平均が約2300円下げる大きな調整が待っていた。
日経平均の大台突破で達成感も出ている。こうした「歪み」の修正には十分注意が必要だろう。
(伊賀大記 編集:田巻一彦)
15年ぶりのザラバ(立会時間中)2万円であった。長い道のりであった。

しかしながら、引けは現物の日経平均がSQ値2万0008円47銭より安い19907.63円の陰線、テクニカル的には日経平均・日足は上下に短いヒゲを伴う「小陰線」。
瞬間的ではあるが、15年ぶりに2万円乗せを果たし達成感が出た。明日は統一地方選挙、これで一旦株価は調整に向かうだろう。ただし、中長期期的には2万円は通過点にすぎない。

1985年~89年のバブルの時や1999年~2000年のITバブルの時のように地に足がついてない2万円ではない。官制相場であると言われるが、PER17.64倍はバブルではない。

執筆中


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