Ddogのプログレッシブな日々@ライブドアブログ

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タグ:その他国際情勢


27日の日露首脳会談で、北方四島の共同経済活動に向けた官民の現地調査団派遣、元島民の墓参円滑化などで合意できたことに、日本側は「目指していた成果は刈り取れた」と安堵している。ただ、互いの主権が絡む本格的な交渉はこれから。露側が譲歩する可能性は低く、領土問題解決に向けての道のりは依然、厳しい。

 「日本にとっても、ロシアにとっても恩恵をもたらす歴史的な試みだ」

 安倍首相は会談後の共同記者発表でこう胸を張った。そして、隣に立つプーチン氏に熱い視線を送りながら「ウラジーミルと手を携えて、平和条約締結への道を2人で進んでいきたい」と訴えた。

 しかし、安倍首相が「平和条約」に4回言及したのに対し、プーチン氏は1回のみ。プーチン氏は露側に利益が大きい経済協力の合意内容を淡々と読み上げた末、ようやく触れた平和条約については「解決は日露両国の国民に受け入れられるものでなくてはならない」と原則論に終始した。

 日本側はもともと、プーチン氏が来年3月の大統領選を勝ち抜くまで領土交渉で大きな決断をするのは困難とみていることから、今回の反応はある程度折り込み済み。今後、実績を積み重ね、信頼強化を続けることで、プーチン氏の決断を促す長期戦略を描く。

 ただ、積み重ねる実績を得られるかも微妙だ。共同経済活動の協力の可能性を探る現地調査団派遣では、採用する事業が決まれば双方の法的立場を害さない「特別な制度」の議論が始まる。しかし、露側は「ロシアの法律に矛盾しないよう実現する」との姿勢を崩していない。

 初めて実現する航空機による墓参についても、プーチン氏は記者発表で「ロシアが直行の航空便を保障する」と明言したが、日本政府高官は記者団に「調整中だ」と説明するなど食い違いも見せている。航空機の利用が恒常的な措置なのか、一度限りかも詰め切れていない。

 一方、日露両政府は今回の首脳会談にあわせ、官民などによる医療やエネルギーなど28件の経済協力の具体化で合意した。安倍首相が領土交渉を動かすため、昨年5月に提案した8項目の経済協力プランに基づくものだが、ロシア側には交渉を長引かせつつ成果だけを得る「食い逃げ」の懸念がつきまとう。(モスクワ石鍋圭)


日露共同記者会見での安倍晋三首相とプーチン露大統領の発言要旨は次の通り。


 4年ぶりにモスクワを訪問することができ大変うれしく思う。温かく迎えていただいたプーチン大統領とロシア国民の皆さまに心から感謝を申し上げたい。

 山口・長門で大統領を迎えた昨年12月。北方四島の元島民の切実な思いを託した手紙を真剣なまなざしで読んでくれた。君の姿は私のまぶたにいまも焼き付いている。大統領は記者会見で「心を打たれた」と率直に語ってくれた。

 初めて、北方四島の元島民の方々に航空機を利用してお墓参りをしていただくことが決まった。6月中に国(くな)後(しり)島と択(えと)捉(ろふ)島のお墓にお参りしていただきたい。長い間、国後島の古釜布1カ所に限られていた出入域手続きの場所を今後増やす。本年は歯(はぼ)舞(まい)群島の付近に設置することで合意した。

 北方四島における共同経済活動についても話し合った。エコツーリズムなど北方四島ならではの観光を盛んにする。その最初の一歩として5月中にも官民による現地調査団を派遣することで合意した。これは歴史的な試みだ。新しいアプローチを通じ両国民間の信頼を増進させ、ウラジーミルと私の間で平和条約を締結したい。私が昨年、ソチで提案した8項目の協力プランも着実に前進している。

 首脳会談では北朝鮮について時間を割いて話した。ロシアは国連安全保障理事会の常任理事国であり、6カ国協議の重要なパートナーだ。引き続き緊密に協力し、北朝鮮に対し安保理決議を完全に順守し、さらなる挑発行為を自制するよう働きかけていくことで一致した。シリア情勢、テロとの戦いをはじめ、世界が直面する課題はロシアの建設的な役割なくして解決できない。国際社会で日本とロシアがいかに協力を進めていくべきか、真剣にそして率直に議論した。

 ウラジーミルとは7月の20カ国・地域(G20)首脳会議の際に会うことで合意。9月のウラジオストクでの東方経済フォーラムでの再会も楽しみにしている。


安倍晋三首相との協議は建設的な雰囲気で行われ、ロシアと日本の双方から、互恵的で多面的な協力をさらに発展させるとの意気込みが示された。日本はロシアの重要かつ有望なパートナーだ。

 わが国には、相互尊重と同権、互いの利益を考慮するという原則に基づき、2国間の最も複雑な問題も解決する用意がある。

 両国の接触が活発化していることに、首相ともども満足している。経済協力の面でも、状況が正常化しているのは喜ばしいことだ。政府間委員会で合意された優先プロジェクトは、工業と農業、保健、インフラ、イノベーション、小ビジネス、人文交流の分野で80にのぼる。

 首相とは、サハリンと北海道を結ぶガスパイプラインや、ロシアから日本への海底電力ケーブルの敷設計画、再生可能エネルギーといった分野での協力について話した。これらの有望なプロジェクトが実現すれば、日本は最短ルートによる手頃な価格で、エネルギー資源をまかなえるようになるだろう。

 原子力分野では、福島第1原子力発電所の汚染土壌浄化や放射性廃棄物の処理について、最先端の技術供与を提案している。

 当然、平和条約問題についても話した。その解決策は、両国の戦略的利益にかない、国民に受け入れられなくてはならない。この文脈で、南クリール諸島(北方領土のロシア側呼称)での共同経済活動について作業を継続し、近く優先プロジェクトのリストを作ることで合意した。

 協力の具体的な可能性を研究するため、今年夏には日本の関係者による南クリール諸島への渡航が行われる。ロシアはまた、日本の元島民に墓参を行ってもらう目的で、直行の航空便を提供する。これは人道問題であり、首相と一度ならず話してきた。

 私たちの意見では、朝鮮半島情勢は深刻に後退している。全ての関係国に対し、好戦的なレトリックを控え、建設的な対話を目指すよう呼びかける。6カ国協議の早期再開は、共通の課題だと考えている。(モスクワ 遠藤良介)
今朝ほど再び北朝鮮はスカッド系列の新型対艦弾道ミサイル「KN17」を発射し、最大高度は71キロで数分飛行した後に空中爆発し北朝鮮国内に落下した。

まあ、あいかわらずのチキンゲームで本当に瀬戸際のキワキワでを探るゲームだ。
朝鮮情勢が緊迫化するなか日露首脳会談が行われた。

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結局何にも決まらなかった・・・だが1mm程度は進んだか?いやそのように見えた錯覚程度かもしれない。

ロシアは領土問題を棚上げにして日露経済協議、協力を始めさせたいが、日本は領土問題解決なしに経済協力など受け入れるわけがない。

日ソの56年宣言(北方4島のうち2島返還)をどうするのだか・・・
ロシアはまったく返還する気がないのだが・・・日本から経済協力を引き出したい。
日本は4島返還しなければ日露平和条約は結ばない・・・・
結局ここから1mmも動かない。

双方が譲歩する話が出ては消え、2島返還で水面下で動いても、リークされ大騒ぎになり立ち消えになっている。日本も2島返還妥協なのか絶対4島返還なのかまったく方針が定まっていないのも大きな問題であることも事実だ。

安倍・プーチン関係がこれほどまでに濃厚となっても返還される目途は立っていない、このまま本当に還ってこない。

いま、北朝鮮を巡って米中関係がどうなるか非常に微妙な感じである。
北朝鮮を巡ってもし米中がG2で妥協して、オバマ政権以上にトランプが中国に骨抜きにされた場合、日露はお互いに妥協する必要が出てくるだろう。

北方4島を日露共同管理とする方法が理想だが日本は中国を封じ込める為に、戦略的に二島返還で折れ、長期的に四島に伏せんを残す形で妥協するべきなのかもしれない。残念ながら・・・・。

安倍首相ではもう日露問題解決は限界かも知れない、いっそ鈴木宗男と佐藤優に全権を持たせロシアと交渉させたほうがいいかもしれません。


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2017年 世界は「地政学的 後退期」(アメリカ第一主義、利益第一主義)


ユーラシアグループ「Top Risks 2107」です。今年のテーマは"The Geopolitical Recession"(地政学的後退)です【溜池通信】かんべえの不規則発言2017.1.4 

1. Independent America (わが道をゆくアメリカ)

2. China overreact (中国の過剰反応)

3. A weaker Merkel (弱体化するメルケル独首相)

4. No reform (世界的な改革の停滞)

5. Technology and the Middle East (中東を脅かすテクノロジー)

6. Central banks get political (政治に侵食される中央銀行)

7. The White House versus Silicon Valley (ホワイトハウスvs.シリコンバレー)

8. Turkey (トルコ)

9. North Korea (北朝鮮)

10. South Africa (南アフリカ共和国)


Red herrings(番外=リスクもどき)

US domestic policy, India versus Pakistan, Brazil (アメリカ国内政治、インド・パキスタン対立、ブラジル政治)
○「今年の懸念材料はアメリカと中国と欧州がビッグスリーだ!」と言われてしまうと、「それって、ほとんど全部じゃん」、あるいは「そんなこと、知ってらあ」と減らず口を叩きたくなりますな。もっともユーラシアグループとしては、「地政学的リスクにご用心」とか、「もうすぐGゼロ時代がやってくる」なんてことを言っていたら、本当にその通りの時代が到来してしまって、悪い予言が当たってしまった魔女の如き心境なのかもしれません。

○その一方で、例年通りイアン・ブレマーらしい「冴え」が垣間見えるのが、6番や7番でありますな。全世界の中央銀行が政治に侵食されているのも、ワシントン政治(東部)がシリコンバレー(西部)に喧嘩を売っているのも、きわめて今日的な事態だと思います。それからここ数年、ランキングから遠ざかっていた「北朝鮮」が戻ってきたことも、新しい事態を感じさせます。

○それにしても、1位から10位まで日本はまったくお咎めなし。いやー、こんなにリスクフリーでいいんですかねえ。そういえば今日も株価は盛大にあげていましたね。昨年末に出た11月の鉱工業生産がとってもいい感じなので、実は日本経済、生産や輸出も回復しているらしくって、実体経済もそこそこよろしいみたいなんですよ。えっ?ジョージ・ソロスが日本に来てるんですって? 「押し目待ちに押し目なし」と言いますけど、これは意外な大相場になるのかもね。
1. Independent America (わが道をゆくアメリカ)
この記事を書き始めた現時点では、トランプ大統領会見が始まっていないのですが、イアンブレマー氏曰く今年最大の厄介な事地政学的後退の始まりということでしょうか・・・

トランプの大統領は「アメリカ・ファースト(米国第一)!」と「米国をもう一度偉大な国に」です。これをもって、リベラル派は世界警察の職務放棄=米国の覇権の終了だと言っているが、はたしてそうだろうか?米国の国益を最大化することなのだから・・・ まもなくその厄介な男の政権が始まる。

イアンブレマー氏の分析によると、トランプ政権の「アメリカ・ファースト」の主張は、孤立主義の表明ではなく、国連や国際世論からのインデペンド、独立主義もしくは単独主義の表明であるという。

孤立主義は第二次世界大戦前のモンロー主義のように、極端に軍備を縮小するのではなく、世界で唯一の最も力のあるスーパーパワーを持つ米国の建設ではないか?国益を第一とする為、軍事力、経済力を躊躇なく使用することだという。

米国の中核的な国益を擁護するために、ドラえもんのジャイヤンのごとく、米国単独でも軍事力の使用を厭わない。

ヤバいぞ中国!習近平!トランプ政権は中国を悪の帝国と認識               2016/12/21(水) 午後 11:57

トランプ政権はオバマによって失われた8年を埋めるべく大軍拡計画をおこない「力による平和(Peace through Strength)」を実行するだろう。

陸軍の現役兵員数約49万人から54万人への増加、海軍の主要艦艇276隻を350隻に増加、海兵隊の23個大隊を36個大隊に増強、空軍の戦闘機数1113機を1200機に増強するという提案である。

 増強した軍事力を使い、世界の諸問題の解決ではなく、米国の利益のためにのみ使用するというのが国家通商会議代表に指名されたピーター・ナヴァロ氏などのトランプ氏側近の考えである。

2002年にエマニュエル・ドットが著した帝国以後において、米国の衰退、「世界の警察官」役から下りることを米国の国民が望んでいることを予言されており、トランプは世界の知識人には、まさに帝国以後というイメージが強い。
トランプは米国が行ったアフガニスタン、イラク戦争、リビア、シリアへの軍事介入は米国を大きく疲弊させ、中国が台頭を招いたと考えており、ロシアのプーチンと中国封じ込めを行うのではないか・・・

ロシアと米国が手を結ぶと北大西条約機構(NATO)への米国の関与が弱くなり、プーチンの野望は燃え上がるかも・・・・。

イアンブレマーは利益第一主義の米国が今年悪くなるとは言ってはいないが、目先よりも長期的視野で米国の利益が損なわれると主張しているのだ。それはそれで説得力があるが、2017年のリスクの1位に置くのはいかがなものだろうか?

トランプ次期大統領F-35にクビ宣告? 2016/12/14(水) 午後 11:56 

2. China overreact (中国の過剰反応)
ことし10月~11月に開かれる第19 回共産党大会を控えて、習近平が権力基盤を強化したい年になる。だが、経済や外交政策が失敗、習近平は何としても再任されなくてはならず、中国経済のインチキを持続させ取り返しがつかないところまできてはいるが・・・・なんとか絆創膏を貼ってごまかしている。

トランプ大統領の台湾政策や北朝鮮をめぐる動きを見る限り、今年中国はとんでもないチョンボをしでかすおそれがあると私は思っています

ブレマー氏も去年までは国際的武力衝突が起きることは無いと思っていたが、今年は無いとは言い切れないと言っている。トランプ政権の対中国強硬路線の閣僚人事を見れば明らかかだ。トランプがどうとかではなく、一般米国国民は中国がアメリカの富を吸い尽くしていると信じているのだ。

時間の問題とは思っているが・・・民主主義でも資本主義ではない中国経済の崩壊は迫っている。イアンブレマーは中国経済や将来に対して甘すぎる見方をここ数年続けてきたが、米中衝突の可能性を示唆している。

3. A weaker Merkel (弱体化するメルケル独首相)

Ddogの個人的見解においてはメルケルのドイツは唾棄したくなるほど愚かで、ドイツの理想と国益の為にEUを破壊しているようにしか見えない。だが、ブレマーはメルケルは孤軍奮闘相当頑張ったと評価しており、今年予想されているドイツ総選挙でメルケルが4選を果たすのは間違いないとの見方だ。しかし国内の政治基盤が弱くなり、ドイツがEUの指導的立場ではなくなるということになる。

難民問題、テロ対策、ギリシャ債務問題に加え、フォルクスワーゲンやドイツ銀行といったドイツ主要企業の壊滅が相次いでいるのに、メルケルの政権基盤が弱まるのは避けられない。

これで、フランスで国民戦線のマリーヌ・ルペン党首が大統領にでもなれば英国も離脱したEUは崩壊するのではないだろうか?さよならドイツ、さよならメルケル・・・・安らかにお休み!

4. No reform (改革の欠如)
ブレマー氏は長期的視野、長期的戦略を持つ政府が優れているというのが持論で、昨年までは中国共産党政権を絶賛していたが、今年の口調では長期的有効な経済政策を推し進める政府がないと嘆いている。

アルゼンチン、ブラジル、フランス、ドイツ、インド、メキシコ、ナイジェリアで改革が停滞し、イタリア、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、英国では改革が交代していると警告を発している。おお日本が入っていない。10大リスクに日本が無縁であるということは、日本の安倍政権を密かに評価しているのかもしれない。

世界中見渡しても日本が一番政治経済がいい意味で安定している。

5. Technology and the Middle East (中東を脅かすテクノロジー)

中東の前近代的権威主義体制に対し抵抗するのに一般市民が連帯し、愚民化政策に抗することにテクノロジーが貢献していることは確かだが、そのことが中東の混乱を助長しているとブレマー氏は言いたいのであろう・・・

テクノロジーの進化の結果、アメリカでシェールオイルの採取ができるようになり、今や生産量と原油価格を決めるはサウジアラビアではなく、アメリカになりつつある。奇跡的にオペックが減産に合意したが、原油価格とテクノロジーが今後中東情勢に大きく影響するだろう。

6. Central banks get political (中央銀行の政治化)
トランプ大統領はインフラ投資を中心に財政出動し、インフレ政策をするだろう。
そうなるとFRBは今年何回も利上げをすることになる。利上げはドル高となり輸出が伸び悩みはマイナス、トランプのミクスにとって追い風ではなくマイナスとなってしまうので、イエレンFRB議長に圧力が掛かり、新しいイエスマンのFRB議長が選出される。FRBの独立性に悪影響となり、金融政策が危うくなる可能性があると、ブレマー氏は言うが、米国が輸出するのは航空機と武器ぐらいで・・・はてなにかちょっとズレている?

7. The White House versus Silicon Valley (ホワイトハウスvs.シリコンバレー)

シリコンバレーは民主党やリベラルの巣窟カリフォルニア州の中心地である。
当然トランプを支持する中西部のアメリカ人は彼らのこと死ぬほど嫌いであり、トランプはIT業界に対して優遇しなくなるだろう。

米シリコンバレーのテクノロジー企業は米大統領選で反トランプの立場を鮮明であり、テクノロジー企業は無人化を進め、トランプが求めているのは雇用の創出とあい対峙する。この対立がどうなるかについては、シリコンバレーで電気自動車産業を興したイーロンマスク率いるテスラモーター次第のような気がする。

8. Turkey (トルコ)

NATO加盟国のトルコがロシアに急接近していおり、これがどうなることやら・・・

9. North Korea (北朝鮮)

これまで北朝鮮を10大リスクに入れたことはなかったが、今回、初めて挙げた。
北朝鮮がアメリカに対し核で脅すことが有ればアメリカは許容しない。北朝鮮の核・ミサイル開発は進み、すでに約20発の核兵器を製造できる核物質を保有しているとみられています。弾道ミサイルに搭載できる核弾頭の小型化や米国の西海岸を攻撃できる大陸間弾道ミサイル技術の取得にも近づいているが、依然完成はしていない。

もし、核爆弾搭載可能なICBMを北朝鮮が完成させれば、トランプ大統領が、北朝鮮に対する圧力を強め、最悪軍事的実力行使に出かねない。だが、韓国の政治情勢も脆弱で、朴槿恵に代わって北朝鮮に融和的な左翼政権が誕生する可能性もあるし、韓国の経済もリスクである。



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どっちの髪型がかつのでしょうね?

10. South Africa (南アフリカ共和国)

やっぱアフリカの発展とやらは空想なのかもしれない。
【ニューヨーク=平野麻理子】政治リスクの調査会社ユーラシア・グループは3日、2017年の世界の「十大リスク」を発表した。首位は「独立した米国」で、トランプ次期米大統領のもと、米国が世界の諸問題の解決などでリーダーシップをとらなくなる可能性を指摘した。2位には秋に共産党執行部の人事が控える中国、3位にはメルケル独首相が力を失った欧州を挙げた。

 国際政治学者のイアン・ブレマー氏が率いる同社が毎年発表する予想は、市場関係者の注目度が高いことで知られる。16年は「(欧米)同盟の空洞化」や「閉ざされた欧州」などを上位のリスクに予想。実際、16年には英国が国民投票で欧州連合(EU)離脱を決め、米国では北大西洋条約機構(NATO)を批判しているトランプ氏が次期大統領に選ばれた。

 17年も引き続き米国が同盟国や国際機関、通商条約から距離を置くリスクがくすぶる。ブレマー氏は大統領選以前から米国の指導力低下でリーダー不在となる世界を「Gゼロ」と名付け、危険性を指摘してきた。17年のリポートでは「トランプ氏が米国の(次期)大統領に選ばれたことで、Gゼロの世界がすぐそこまできている」と改めて警鐘を鳴らした。

 2位の中国では、秋の党大会を経て習近平政権が2期目に入る。最高指導部が大幅に入れ替わる予定で、「(1978年の)改革開放以降で最も複雑なイベントになるだろう」と予想。習氏の指導力に改めて注目が集まる中で、「習氏は中国の利益に対する外からの挑戦に対し敏感になり、これまで以上に外交問題について強硬に対応するだろう」とみる。

 欧州では、17年もドイツやフランスといった大国で選挙が予定される。これまでドイツのメルケル首相が欧州の安定を率いてきたが「欧州は強いメルケルをもう必要としなくなっている」と指摘した。

 このほか中央銀行への政治の干渉が増える可能性や、ホワイトハウスとIT(情報技術)企業が集まるシリコンバレーのあつれきなども17年のリスクに予想した。


ユーラシア・グループが発表した2015年版世界の10大リスクは以下だった。
(1)欧州政治の弱体化リスク
(2)プーチン大統領が主導するロシアリスク
(3)中国経済の減速リスク
(4)アメリカが金融制裁を兵器化するリスク
(5)イスラム国の拡大リスク
(6)ブラジル、南アフリカ、ナイジェリア、トルコ、コロンビア……新興国の指導者の求心力が低下するリスク
(7)経済活動への戦略的な国家関与が強まって、経済の自由が制約されるリスク
(8)中東におけるイスラム教スンニ派とシーア派の対立の深化とサウジアラビアとイランの緊張リスク
(9)台湾の最大野党、民進党の台頭による中国と台湾の関係悪化リスク
(10)トルコ・エルドアン大統領の強権的な政治手法がもたらすリスク

2015年は良く当たったが、
ユーラシア・グループが発表した2016年版世界の10大リスクは以下だった。
(1)The Hollow Alliance 同盟の空洞化
(2)Closed Europe 閉ざされる欧州
(3)The China Footprint 中国の足跡
(4)ISIS and "Friends" ISISと仲間たち
(5)Saudi Arabia サウジアラビア
(6)The Rise of Technologists 先進技術の台頭
(7)Unpredictable Leaders 予測不可能な政治家たち
(8)Brazil ブラジル
(9)Not Enough Elections 選挙が足りない
(10)Turkey トルコ
う~ん・・・当たっているようなさほどでもないような・・・・
(2)のClosed Europe 閉ざされる欧州では英国のEU離脱リスクを過小評価するなかれ。と警告していたのは秀逸だったが、(7)Unpredictable Leaders 予測不可能な政治家たちでは、トランプ当選とまでは言及していなかったが・・・





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GDP世界第2位の座から陥落し、人口減少の止まらない日本には悲観的な声が絶えない。

中国人達が日本を抜き中国はGDP世界第二位の経済大国になったと錯覚し、傲慢な本性をあらわにし、アジアの軍事バランスを著しく危険にしている。

不健全で無茶苦茶な経済政策は、やがて破綻するのも時間の問題である。
中国人旅行者は自分達が金持になって日本が貧しくなったと思って来日すると、日本の豊かさに圧倒され、真実を知る。

誰も入らない欠陥マンションを建ててもGNPは伸びる。帳簿上転売しても伸びる。そもそも中国のGDPの数字自体誰も信じていないが、そもそも国の経済規模を測る
だが、そもそもGDPが21世紀に求められる豊かさを測れない時代遅れの指標だったとしたら?

ノーベル経済学者のジョセフ・E・ステイグリッツコロンビア大学教授と国連が提唱する「超GDP」思想を紹介し、2012年の第一回目の「超GDP」指標ではアメリカを13%も引き離して「質」が1位であった2014年12月2回目の報告では4位あるという驚きの事実を紹介している。日本経済の「規模」ではなく「質」が世界最高レベルにある。

じつはその国連新統計は、多くの国の政策に強い影響を与えている。日本ではまったく報道されていないが、イギリス、フランス、アメリカ、そして一見「質の経済」と最も縁遠い存在にみえる中国までもが、国民の幸福度をどう高めるか、という思考錯誤を行なっているのだ。各国はそうした指標を意識して人間の幸福度を高める戦略を採っているが、当の日本はどうか?GDP600兆円か日本人を幸せにできないなら、真に打つべき政策とは何なのか?誰も論じなかったこの国のほんとうの実力を、国際派エコノミスト元ジョンズ・ホプキンス大学SAIS教授野村総合研究所ヨーロッパ社長立教大学教授だった福島清彦が紹介した目から鱗の本である。


暮らしの質、第1位は日本!国連の超GDP指標が教える真の豊かさPHP Online 衆知 3月16日(水)17時10分配信

GDPではわからない本当の国力

私はこの本で、皆が自明と思っていること、当たり前だと感じている前提を覆し、新しい展望を拓いてみたいと思う。私は経済学者であるから、その展望とはもちろん、経済に関することである。ただし、経済とは人間が携わる最も重要な事柄の一つであるから、それは日本人全員に関わる話であるともいえる。

そもそも、経済とは何だろうか。なぜ人は経済活動に勤しむのか? 国家を豊かにするためか? もちろん、国全体の経済規模(国内総生産、Gross Domestic Product=GDP)の拡大は個人の所得増加につながりやすいので、経済成長を否定する人はいないだろう。しかしそれはあくまで結果論であって、自国の経済規模を大きくすることを、自分の経済活動の目標にしている人などいないはずだ。

誤解を恐れずにその究極の目的をいうならば、個人が経済活動を行なうのは、それによって自らの福利厚生度(あるいは幸福度)を高めるためにほかならない。もちろん、それはただ得る収入を極大化することではない。私たちは満足感、達成感が得られる暮らしをしたいから、働くのである。仕事で何かの目標を立て、目標達成に向けて努力を続けていくなかでも満足感は生まれる。家庭をつくり、家族を育てていくことでも、職場や職場以外の組織のなかで友人関係をつくりあげ、広めていくことでもそれは得られる。

ここまでの議論に違和感はないはずだ。個人にとって最大の問題関心は、いわば「暮らしの質」をどう高めていくか、ということに収斂されるのかもしれない。

とはいえ、「暮らしの質」とはいったい何だろう? それはきわめて抽象的な設定であり、個々人の価値観や性向によっても異なる。ただ、仮にそれがたとえば、ある程度手法化され、測定できるかたちになっていたら? そのとき個人が集合してつくる国家の役割というものは、そうした「暮らしの質」を高めていく、ということが眼目になるはずである。

しかし、まさにここで人類は、とてつもない矛盾に直面している。国家が経済を論じるときに使われる基準は、先に挙げたGDPというものである。GDPとは1国内で1年間に行なわれた経済活動の規模(金額)を示す数字だ。1934年にアメリカの国民所得統計が作成されて以来、GDPは世界で最も注目される経済の数字になった。まず、そもそもGDPとは誕生してそれほどしか経っていない概念なのか、と驚かれる人もいるかもしれない。

GDPを生み出したのは、サイモン・クズネッツというユダヤ系ロシア人の経済学者である。そして、1971年にノーベル経済学賞を受賞した彼の言葉にこそ、GDPという数字の課題が凝縮されている。1934年、クズネッツはアメリカ議会上院ではっきりと証言した。「GDPでは国民の幸せは測れない」。なぜならそもそもGDPとは国民の幸福度を測るために考えられた数字ではなく、その由来を遡れば、国の軍事力を見積もるために考案されたものだからだ。

しかし、戦後の各国政府はGDPを大きくする、ということをその国家目標に掲げてきた。日本でもアベノミクスの実質GDP2%成長、あるいは「新3本の矢」におけるGDP600兆円、という数字が躍る。国家がその国民を豊かにしたいと思って経済政策を行なうことは間違いない。しかしそのためにGDPという数字を大きくすることで、どこまでほんとうに国民は幸せになれるのだろうか。

ならば、この矛盾を解消するためにはどうすればいいのだろう? ほんとうに「暮らしの質」を測れる基準があれば、事態は改善するはず。そんなものがあるわけないじゃないか、と思った方もいるかもしれないが、すでにプロジェクトは動きはじめている。国の経済規模だけではなく、国民の福利厚生度を示す指標を開発しなければならない。そうした気運が21世紀に入って、一気に高まってきたのだ。

2008年2月から1年半かけて、世界各国の専門家24人を集めた本格的な検討会が実施され、2009年9月に一つの報告書が出された。ノーベル賞経済学者である米コロンビア大学教授、ジョセフ・スティグリッツの名前を冠した『スティグリッツ報告』といわれるものが、それである。この報告書は世界的に大きな反響を巻き起こした。※1
2011年には国連総会が「国連統計局に、GDPを超えて、暮らしの質を測る新しい経済統計の開発を要求する」という決議を採択。潘基文国連事務総長の委嘱を受けた国際的な研究チームが翌2012二年6月、暮らしの質を計測した新統計と報告書『総合的な豊かさ報告2012年』(Inclusive Wealth Report 2012 、通称IWR 2012)を作成したのである。

この統計と報告書は2年ごとに改訂版が発行され、2014年12月には2回目の報告書が出た。新統計は経済成長率ではなく、一国の経済活動の持続可能度を示す4つの資本(人的資本、生産した資本、社会関係資本、天然資本)の残高を計算している。年間の伸び率(フロー)ではなく残高(レベル)を計算していることが、経済発展の持続可能度を知るうえでは重要なのだ。

新統計が生まれたことの意義は大きい。経済政策当局者にとって、生産額だけではない、新しい目標値が生まれたことを意味するからだ。『総合的な豊かさ報告2014年』の編者の1人であるアナンサ・ドゥライアッパ氏(インドのマハトマ・ガンジー平和と持続可能な開発研究所長)は、報告書の序文にこう書いている。

「GDP統計に基づいて経済的成功と社会経済的な福利厚生度を高めていこうとしても、一国経済の持続可能度をあまり高いものにはしていけないだろう」「われわれは政策当局者たちが『総合的な豊かさ報告2014年』を役に立つ道具だと受け止め、(まだ随所にある:筆者注)データ不足を埋めるのに必要な作業をするように促されているのだと考えて、この報告書の内容を活用してくれることを望んでいる」※2
それでは、この新統計で日本を捉え直してみたとき、何がみえてくるのか? 一言だけ語っておこう。2012年の新統計において、その1位はほかでもない、わが国日本だったのである。

昨今、GDPで中国に抜かれた、国民が皆内向きなど日本経済に対する悲観論が絶えない。しかし、そもそも「日本経済」を語るための視点が、時代にそぐわないものになっていたとしたら? 海外から日本に帰ってきたとき、圧倒的なこの国の質的な豊かさにあらためて気づき、蔓延る悲観論とのギャップを感じた人もいるはずだ。そうした疑問に対して、本書は明確に答えることができるはずである。

そうした新指標がある程度できつつあるならば、それを踏まえたうえで、政府は国民を豊かにする政策を打てばよい。じつは、すでにEU(欧州連合)各国、アメリカ、そして一見、GDP信仰に囚われているようにみえる中国までもが、それらの指標を念頭に置きながら、国家戦略を練っている。それに対して残念ながら、新指標でみれば世界のなかで圧倒的な豊さを享受している日本は、古い指標であるGDPの呪縛から逃れられないでいる。

グローバル化の止まらない世界で必要とされるのは、年に何%の成長率ではない。ほんとうに国民の生活をどう豊かにするのか、という視点であるはずだ。本書で述べるほんとうに人間の幸福度を高めるための方法論が、日本人の心を豊かにし、新しい日本の展望を拓く一助ともなることを、私は期待している。

PHP新書『日本経済の「質」はなぜ世界最高なのか』(まえがき)より

※1『スティグリッツ報告』の邦訳は 福島清彦訳『暮らしの質を測る』(金融財政事情研究会)
※2 UNU-HDP and UNEP(2014)Inclusive Wealth Repoort 2014 Measuring progress toward sustainability .
Preface page XX,XX1 Cambridge: Cambridge University Press Preface

福島清彦(経済学者)
目次
はじめに 3

第1章 そもそもGDPとは――その知られざる本質

端緒は為政者が次の戦争に備えるための統計 18
初めて四半期ごとの国の生産高を計算したクラーク 20
GDP開発者の吐露「国民所得という概念で幸福度は測れない」 23
GDP統計とケインズ理論がもたらした経済の”黄金時代” 27
複雑で手間のかかる作業を経てつくられる「創作数字」 31 
欧州諸国のGDPが増えた原因はユーロ危機?・ 34       
一国の技術革新力を知るにはGDP研究開発費をみよ 36
二十一世紀、GDPでは測れない領域が次々に現れた 41

第2章 国連の新統計で世界一位に君臨した日本

「イスタンブール言言」から『スティグリッツ報告』へ 48
客観的な「暮らしの質」を八分野に分けて論じる 51
格差拡大によってもたらされる「暮らしの質」の低下 58
日本は新統計では一位、GDP統計では二十位台 61
新統計が教えてくれる日本経済の凄まじい実力 65
なぜ二〇一四年版ではアイスランドが一位になったのか 71
ドライスデール教授か驚愕した日本の「社会関係資本」 76
指標を変えるだけで、目の前には違う景色が広がる 80

第3章 世界はもう超GDP戦略に舵を切っている

イギリス政府が重視する「隠された富」とは何か 84
ケインズの驚くべき千百「わが孫たちの経済的可能性」 86
「収入が増えれば増えるほど幸福度が増す」のウソとマコト 88
国民に”お節介”を焼くことも政府の仕事になった 93
新聞に躍った「ブレア、胎児教育を提案」の大見出し 97
「暮らしの質」の向上と経済成長率は両立できない? 101
労働党の主張を保守党が進化させるのがイギリスの伝統 105
『スティグリッツ報告』の生みの親・サルコジ大統領 109 
サルコジの福利厚生戦略が微温的なものに留まった理由 112
「博愛」を「連帯」に読み換えて進むフランスの政策 115
アメリカの超GDP指標は政府ではなく民間発 118
主要全国指標法に基づき、続々と指標が整備される 122       
アメリカの中央銀行までもが超GDP指標を研究 124
オバマ大統領の掲げた「ミドルクラス・エコノミクス」 126
ブラジル、中国など途上国でも強まる新指標への志向 130

第4章 GDP600兆円という目標は正しいのか

いまの日本が二%成長するのはとてっもなく難しい 136
一二○○兆の借金があって年間六兆赤字を減らしても……  141
「黒田バズーカ」がもたらした効果と限界 146
マイナス金利でほんとうに景気は回復するのか 151
「三本の矢」がいつの間にか「新三本の矢」へ 153
GDP六〇〇兆円は見事なキャッチフレーズ 156
「新しい二本目の矢」が見逃している二つの視点 160
出生率の低さと大都市圏の住居が狭いことの関係 162
「介護離職ゼロ」は高齢化社会の核心を衝いている 166
安倍政権は「暮らしの質」の向上をめざしていない? 170


第5章 これが日本経済の「質」を強化する政策だ                    
わが国における新しい四資本の統計を整備せよ 174
四資本の残高を高めるための具体策 176
①人的資本1――人口の「量の確保」と「質の向上」を 176
②生産した資本――民間設備投資と政府投資の水準を維持せよ186
③社会関係資本――大切なのは住民による共助への支援 188
④天然資本――農業への新規参入をもっと儲かるものに 190

GDPに直結する分野ででも政府投資が不可欠 193
世界最高の「質」をもつ日本が果たすべき義務とは 197


おわりに 202
注 205
GDP(Gross Domestic Product)の始祖であるイギリスの統計学者クラークやGDP(当時はGNP(Gross National Product)概念を確立したベラルーシ生まれの米国経済学者クズネッツが統計をはじめた第二次世界大戦前後の経済は現代から比べれば複雑ではなく、国民経済=国民の総所得を推計するのは容易であった。
p31
GDPとは生産金額だが、個人商店の一日の売り上げや一つの自動車メーカーの年間生産台数のように、誰にでも計算ができる、実在する経済活動規模を示す数字ではない。各種の統計を集計し、それをもとに推計してつぐる、かなり抽象的な概念による創作数字である。
もう少し具体的にいえば、それは業界の生産統計や電車の乗客数、コンビニの売り上げなどを集計し、こうした統計からみて、このくらいの生産活動、販売活動、輸送活動などがあったはず、と推計してつくるものだ。しかし売上高の集計と推計に当たっては、二重計算を避けるため、中間役人物の価額を差し引いて計算しなければならない(GDP=個人消費+政府支出+設備投資+輸出-輸入)。

ある商品の国内消費者に対する販売額を計算するためにも、けっこうな手間がかかる。生産者の総出荷額を求め、それに輸送費、卸・小売りマージン、消費税、輸入を足す。そこから輸出と政府への販売分を引く。輸出や政府への販売は国内消費者への販売ではないので、
個人消費に入れてはならないからだ。企業への販売も大部分が企業の生産活動に必要な中間財を供給しているので、個人消費には入れられない。      
そもそも、人工的で抽象的な数字である上に、さらに、出てきた数字をそのままでは使わず、加工して使う「季節調整」というものもある。

GDP統計を各国政府統計局の役人が作成するためのマニュアルは、それが初めてつくられた1947年当初、約3ページたった。だが2009年につくられた国連統計局のマニュアルは、A4サイズで137ページもある。

国債の利子、年金保険、国防支出など国の支出も統計に入らない。

明らかに、需要が不足し、政府による需要供給をしている日本の経済構造では、GDPは伸びるにくいし経済規模を正確に計測するには、時代に合わず正確ではなくなっている。

GDPを基本とした現代の経済政策が限界にきているのは誰の目にもあきらかだ。
p42-45
英マンチェスター大学のダイアンーコイル教授は、ずばり『GDP』(みすず書房)という本のなかで、GDPでは計測できないものとして、次の三つを挙げている。

 ①製品が多機能化、多様化して、各工程でサプライ・チェーンの国際分業が進む二十一世紀において、各国内の生産高だけを計算するGDP統計では、世界経済で進行する最も重要で複雑な構造変化を捉えることができない。つまり、各国のGDP成長率だけでは国際分業の進化と、各国が分業のなかでどれだけ付加価値の高い(つまり儲かる)部分に参画しているかがわからない。

 ②生産高だけを計算するGDPでは、同じ生産高でも製品やサービスの質の向上によって生じている消費者の満足度向上(福利厚生度増大)がわからない。とくに情報技術革新によって、消費者が受け取る情報の量の増大と質の向上が、GDP統計では掴めない。

 一例として、音楽鑑賞を考えてみよう。レコードを売っていた時代には、音楽レコードの版売枚数と売上金額を音楽情報の生産高として考えることができた。だが、いまではオンラインで音楽を入手できるし、複製も可能だ、動画を使って
無料でみることもできる。二十世紀に比べて鑑賞される音楽量が増え、消費者の満足度が向上していることは間違いないが、視聴者数や売上代金を掴むことは、かなり難しくなっている。

 音楽に限らず、GDP統計はモノの生産量を掴むには適しているが、目にみえない情報の提供と、その受容が消費者にもたらす利益はほとんどわからない。世界で毎日何十億人もの人が、グーグルなどの検索システムで多様な情報を人手し、それが各国民の知識量と知的生産性を高めている。しかし知的生産高が増えたその金額は? となると誰にも把握ができないのだ。まあ数兆ドルじゃないか、という説もあるが、憶測に過ぎない。

 要するに、GDP統計は情報社会に向いていないのである。 

③二十一世紀において人類は、気候変動、人目増大、資源枯渇によって、経済成長どころか、その存続と発展の持続可能性さえもが危険にさらされている。だが、GDP統計では持続可能度の低下がみえてこない。

 リーマンーショック以前のアメリカは、国外からの借金に依存し、家計が過剰消費をして、持続不可能な経済成長をしていた。中国は視界不良に加え、マスクをしなければ北京の街を歩けないほどに大気を汚染し、工場の大爆発事故などを起こしながら政府目標の七%成長を必死に達成しようとしている。こうしたGDP極大化路線が持続不可能であることは明白だが、GDP成長率目標の達成だけを政策の評価基準にしている中国では、成長路線をやめろ、という意見は出てこない。

 そうした三点に加え、二十一世紀に入ってさらなる潮流が生まれてきた。乱暴にそれを表現すれば、人は衣食足りて礼節を知る、ということである。西洋風に言い換えれば、人はパンのみにて生きるにあらず、というところか。人は誰しも収入増以外に、精神的な意味で自己を充足したいという願望をもっている。それこそが「はじめに」で述べたような幸福度増大の願望ともいえる。

 二十一世紀になって多くの人が豊かさを体験する以前から、ヨーロッパには効率よりも公正を重視する社会思想があった、高利貸しや投機、過度の利潤追求を忌み嫌うキリスト教の中世以来の倫理観が残っていたのだ。イギリスの思想家ジェレミー・ベンサム(一七四八~一八三三)は、「最大多数の最大幸福」こそが経済政策の目標であると唱え、格差是正を重視したが、所得増大を目標にはしていなかった。

 こうした知的伝統のなかから、次章で述べるGDPを超える福利厚生度を計測しようとした『スティグリッツ報告』が生まれてくるのだ。もちろんヨーロッパに限らず、世界中の多くの人々の、金銭収入だけではない幸福を求める願望が、世界経済が大きくなり、豊かな人々が増加するにしたがって拡大していくのは、いわば、当然の帰結であったのである。
情報というものは著作権というものがあるはずだが、ネット社会においては申し訳ないのだが、私が書いているこのブログは営利目的ではないとはいえ、著作権に関してはかなり黒に近いグレイである。つい公共財と考えてしまう。いやむしろそうあるべきなのかもしれない。

だが、人々は膨大なエネルギーを注いでデータをひたすら発信受信している。GDPには一切現反映しない。






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多くの日本企業や欧米の金融機関が中国から逃げ出す一方、人民元がIMFのSDR構成通貨入りを果たすなど、「沈む中国」と「昇る中国」2つの動きが同時進行しています。どちらが本当の中国なのでしょうか?『ロシア政治経済ジャーナル』を発行する国際関係アナリストの北野幸伯氏が解説します。

「沈む中国」と「昇る中国」2つの動きが同時進行する理由


「昇る中国」はまぼろし?人民元のSDR構成通貨入り

最近最大のニュースといえば、これでしょう。

(ブルームバーグ):国際通貨基金(IMF)は中国の人民元を特別引き出し権(SDR)の構成通貨に加えることを正式決定した。これまで欧米・日本が支配してきた世界の経済システムに中国が仲間入りすることにお墨付きを与えた格好。

188カ国が加盟するIMFは30日に理事会を開き、人民元は「自由に使用可能である」という基準を満たしていると判断。ドルとユーロ、ポンド、円に加わってSDRを構成することを認めると声明で発表した。ラガルド専務理事は11月13日、IMFのスタッフが提案したSDR構成通貨への人民元の採用を支持したことを明らかにしていた。


出典: IMF:人民元のSDR構成通貨採用を承認-国際通貨の仲間入り(1) – Bloomberg 12月1日(火)3時33分配信


これは、「人民元」が立派な「国際通貨」になったことを意味しています(少なくとも「名目上」は)。そして、中国は「覇権に一歩近づいた」とも言えるでしょう。

ところで、当メルマガは、「中国は沈みつつあるタイタニックだ」という話をしています。まず「日本の大企業が逃げ出している例」として、

NTTコム
カルビー
パナソニック
エスビー
サントリー
ホンダ
を挙げました。
 ある理由で中国から逃げ出した日本の大企業一覧 – まぐまぐニュース!

また、「米の金融機関が中国から逃げ出している例」として、

シティグループは、広発銀行株を売却する
ドイツ銀行は、華夏銀行株を売却する
ゴールドマンサックスは、「ブリックスファンド」を閉鎖した
シティ、バンク・オブ・アメリカ、ゴールドマンなどは、2012年から中国株を売りまくっている
ことを挙げました。
人民元が主要通貨になっても、「国際金融資本」は中国を見捨てる – まぐまぐニュース!

これらは、「中国が沈んでいること」を示しています。一方で、「人民元がSDRの構成通貨に採用された」のは、明らかに中国が浮上している例です。「沈む中国」「昇る中国」どっちが真実なのでしょうか?

ドル基軸体制への挑戦~冷戦終結後、欧州がアメリカに反逆


現状を理解するため、過去にさかのぼってみましょう。

1991年12月、ソ連が崩壊した。このことは欧州にとって、2つのことを意味していました。

東の脅威(ソ連)が消滅した
もはやアメリカの保護は必要ない
そして、欧州のエリート達は、大きな野望を抱きます。

「欧州がもう一度世界の覇権を握ろう!」

方法は2つありました。

EUをどんどん東に拡大しよう
ユーロをつくり、ドルから基軸通貨の地位を奪おう
「基軸通貨」とは、別の言葉で「世界通貨」です。

アメリカは、当時から世界一の「財政赤字国」「貿易赤字国」「対外債務国」だった。しかし「世界通貨の発行権を持つ」アメリカは、いくら借金しても「刷るだけ」で返済できる。

欧州は、アメリカから、この「特権」を奪おうとしたのです。

欧州エリートは、上の戦略に従って、EUをどんどん東に拡大。そして1999年「ユーロ」が誕生します。この時点で、ユーロは、まだドルの敵ではありませんでした。「欧州の地域通貨」に過ぎなかった。

ところが、2000年9月24日、「裏世界史的大事件」が起こります。イラクのフセイン大統領(当時)が、「原油の決済通貨をドルからユーロに変える!」と宣言したのです。そして、同年11月、実際かえてしまいました。

それまで、石油取引は「ドル」でしかできなかった。フセインは、この体制に「穴」を空けた。フセインがその後どうなったか、皆さんご存知です。

「大量破壊兵器を保有している」(実は、保有していなかった)
「アルカイダを支援している」(実は、支援していなかった)
ことを理由に攻撃され、処刑されました。

ところで、フセインの後ろには、「黒幕」がいました。フランスのシラク大統領(当時)です。戦いは第2幕に移っていきました。

フランス、ドイツ、ロシア、中国~「多極主義陣営」の形成


フランスのシラク大統領(当時)は、同じ野望をもつシュレイダー首相(当時)と共に、イラクのフセインを守ろうとしました。

具体的には、02~03年にかけて、「イラク戦争」に反対したのです。これに同調したのが、プーチン・ロシアと、中国でした。フランス、ロシア、中国には、

国連安保理で「拒否権」を持つ「常任理事国」である
イラクに石油利権を持つ
という共通点がありました。

彼らは国連安保理で一体化し、アメリカの戦争に「お墨つき」を与えなかったのです。アメリカは「ドル体制を守るため」に、国連安保理を無視してイラク攻撃を開始しました(03年3月20日)。

この時、「アメリカ一極主義」に対抗する勢力、すなわち「多極主義陣営」が形成されました。核になったのは、フランス、ドイツ、ロシア、中国です。

戦いの舞台は、イラクから旧ソ連圏へ


「アッ」という間にイラク政権を打倒したアメリカ。イラク原油の決済通貨を「ユーロからドル」へ戻し、一安心(しかし、イラク戦争は、その後も長期にわたってつづいた)。

次に狙いをつけたのが、ロシアと旧ソ連圏でした。アメリカとロシアは03年から、

ユコス事件(03年)
グルジア・バラ革命(03年)
ウクライナ・オレンジ革命(04年)
キルギス・チューリップ革命(05年)
などなどで、対立を繰り返します。

ロシアは05年、中国との(事実上の)「反米同盟結成」を決意。上海協力機構を「反米の砦化」することで、「アメリカ一極主義」に対抗していきます。

さて、アメリカとロシアの対立はその後もつづき、結局08年8月「ロシア-グルジア戦争」が起こりました。グルジアは当時、親米傀儡のサアカシビリ大統領。この戦争の結果、グルジアは、「アプハジア」「南オセチア」を失いました。

ロシアは、この2つの自治体の独立を承認したのです。

「多極主義陣営」の大戦略は「ドル体制崩壊」にあり


さて、1999年のユーロ誕生からはじまった戦い。「多極主義陣営」は、

アメリカ、強さの源泉は、「ドル基軸通貨体制」にある
「ドル基軸通貨体制」をぶち壊せば、アメリカは没落する
ことを「常識」として共有していました(います)。それで、「意図的」にドルへの攻撃を行ってきたのです。アメリカは、イラク原油の決済通貨をドルに戻すことに成功しました。

しかし、「ドル離れ」の動きは、止まるどころか、ますます加速していったのです。例をあげましょう。

06年5月10日、プーチンは、「ロシア産原油は【ルーブル】で決済されるべきだ」と発言
同年6月、ルーブル建てロシア原油の先物取引が開始される
同年12月、ユーロの紙幣流通量がドルを超える
07年6月、プーチン「ルーブルを世界通貨にする!」と宣言(当時、ロシアは原油高でイケイケだった)
07年12月、イラン、原油のドル建て決済を中止
同年12月、湾岸協力会議、「共通通貨をつくる」と発表
08年1月、ソロス「現在の危機は、『ドルを国際通貨とする時代の終焉を意味する』と宣言
これが「リーマン・ショック」直前に世界で起こっていたことです。

「アメリカ不動産バブル崩壊」
→「サブプライ問題顕在化」
→「リーマンショック」
→「100年に1度の大不況」

というのも、もちろん事実でしょう。しかし、一方で、「多極主義陣営からの攻撃で、ドル体制が不安定になっていたこと」も危機の大きな原因なのです。

そして、中国が「人民元の国際化」を進めていく(IMFのSDR構成通貨になるのもその一環)。これは覇権を目指す中国として、当然のことなのです。

沈むアメリカ、昇る中国


さて、08年8月の「ロシア-グルジア戦争」は、短期で終わりました。理由は、翌9月に「リーマンショック」が起こり、「100年に1度の大不況」がはじまったこと。米ロは和解し、いわゆる「再起動の時代」がやってきます。

さて、この「100年に1度の大不況」。ロシアでは「歴史的大事件」と解釈されています。なぜか?

「アメリカ一極時代が終焉した」から。

では、09年から、世界は「何時代」に突入したのでしょうか?ロシアでは、「多極時代になった」と言われます。しかし、現実には「米中二極時代」でしょう。

しかも、二極のうちアメリカは沈んでいき、中国は昇っていく。実際、不況が最悪だった09年10年、中国は9%台の成長をつづけた。まさに「一人勝ち状態」でした。(正確にはインドと二人勝ち)。アメリカの影響力は、ますます衰え、中国の影響力は、ますます拡大していく。

人民元のSDR構成通貨化を止められなかったアメリカ

さて、過去を振り返り、ある程度流れが理解できたでしょう。

私たちは、「常に一体化している」という意味で、「欧米」と言います。しかし、冷戦終結後、欧州はアメリカに反抗的でした。むしろ、「反米多極主義陣営」をフランスが率いていた時期すらある。

そして、私たちは、「米英」という言葉を使います。「アメリカとイギリスは、いつも一緒」という意味で。ところが、この用語すら、いまでは「不適切」になっている。

たとえば2013年8月、オバマは、「シリアを攻撃する!」と宣言しました。イギリスのキャメロン首相はこの決定を支持した。しかし、イギリス議会はこの戦争に反対したのです。

フランスも反対に回り、オバマは孤立。シリア戦争を「ドタキャン」せざるを得ない状況に追い込まれました。

2015年3月、「AIIB事件」が起こりました。イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、イスラエル、オーストラリア、韓国など「親米国家群」がアメリカを裏切り、中国主導「AIIB」への参加を決めた。アメリカは、欧州やイスラエル、オーストラリア、韓国の裏切りを止めることができませんでした。

そして、今回「人民元をSDR構成通貨にする」件。アメリカは、やはり止めることができなかったのです。

ちなみに、主要な「国際金融機関」は2つあります。

1つは、国際通貨基金(IMF)。もう1つは、世界銀行。

そして、IMFのトップは、いつも「欧州人」。

世界銀行のトップは、いつも「アメリカ人」。

今回のIMFの決定は、アメリカ一極支配をぶち壊したい欧州が主導。アメリカは、「同意せざるを得ない立場」におかれてしまったのでしょう。

2つの動きが同時に進行している


このように、中国の影響力が強まる動きが起こっています。そして、

アメリカの一極支配を打倒したい
中国と仲良くして儲けたい
距離的に遠いので、中国の「脅威」を感じない
欧州が、中国パワーの拡大を後押ししています。

しかし、一方で、「中国経済は、沈みゆくタイタニック」というのもまた事実。「昇る中国」と「沈む中国」。この2つが同時に起こっている。これは、「国家ライフサイクル」で言う、「成長期後期」の特徴なのです。
つっこみどころ満載なロシア政治経済ジャーナル北野幸伯氏の記事ですが・・・・結論を端的に言えば、多極主義側の完敗ではないか?ドルの基軸通貨の地位はぶれていない。昨日の記事でも書いたが、米国は人民元のSDR構成通貨化を止められなかったのではなく、あえてSDR構成通貨化させて中国を国際金融のトリレンマ(国際金融の三すくみ)の罠に嵌めたのである。

1999年のユーロ誕生は同時に米国もユーロ潰しも始動したと考えるべきで、私がこのブログで何度も書いてきた。

20世紀後半経済力で米国を凌駕し、軍事力さえあれば21世紀の覇権を握りそうであった日本を米国は叩き潰した。米国は21世紀から22世紀にかけてもあと120年覇権を握る為の国家戦略を仕掛けている。

米ドルの基軸通貨を潰そうとする欧州、ロシア、中国。一方米国は、欧州、ロシア、中国潰し戦略を仕掛けことごとく返り討ちにしている。どう見ても私の眼には米国の圧勝にしか見えない。

米国の国家戦略は巧みである。米国は日本80年代基軸通貨の地位を米ドルに取って代わる勢いがあった。米国は1985年のプラザ合意を仕掛け円高にしても日本は潰れなかった。ドル安円高に修正し、過度な円高を防ぐ為に、低金利となり、バブルが発生した。新BIS基準や、日本の誤った政策(土地の総量規制)で、バブル崩壊⇒日本の銀行を叩き潰し、国際決済銀行BIS規制の強化によって、日本円と日本経済を巧妙に叩き潰した。90年代、年次改革要望書、アジア危機によって完膚なきまでに日本経済を潰した。
 
米国は2000年ITバブルが崩壊しITバブル崩壊で生じた需要不足を補うために意図的に不動産バブル発生させITバブル崩壊により失った需要不足を補った。

しかも、結果としてか、不動産バブルの原動力である、金融商品クレジット・デフォルト・スワップCDSを欧州の銀行に大量に買わせたることに成功し、たっぷり欧州系銀行が抱え込んだところでリーマンショックを意図的に発生させ不動産バブルのツケを合法的に欧州に転化することに成功した。

リーマンショックの発生は偶然ではなく、計算されつくされた国家戦略ではないか?
私はリーマンショック自作自演説ではないかと、リーマンショックを疑っている。

リーマンショックによって金融立国であった米国の国内産業構造をドル安を興し製造業の復活に成功した。中国に移動していた製造業の工場が米国内に一斉回帰を始めた。製造業の基盤が無ければ軍需産業が死滅してしまい、中国の部品でミサイルや戦闘機を製造するようでは覇権を維持することなど不可能だ。

めでたく、リーマンショック後米国の産業構造は金融業消費関連主体から死に絶えた製造業が復活し始めた。そのうえいつのまにかシェールガス・シェールオイルが採掘可能となり米国はエネルギー需給問題も解決してしまったのである。

ユーロはアキレス腱であるギリシャの格付けをチョちょいと操作しただけで、ユーロの矛盾が噴出、ユーロの存続すら危ういことが露呈してしまったのである。

原油価格が下がれば中東とロシアが疲弊、難民はなぜか米国を目指さずヨーロッパに向かい、もはや米国から再び覇権を奪取を試みた欧州は崩壊寸前。

VWの不正ディーゼル車問題、ドイツ銀行のCoCo債による経営危機、そのうえドイツは中国に肩入れしすぎて、今後中国の経済崩壊の巻き添えを喰らうのは目に見えている。

IMFのSDR採用問題では中国を巧く嵌めた。詳細は昨日の記事

アングロサクソンの本家イギリスの動きに注目だ。政治巧者というか、ある意味蝙蝠であり、リアリストゆえ超エゴイストのイギリスがEUが沈みそうだとEUを見切った動きであることは間違いない。

英国のEU離脱で危機! G20議題に急浮上 欧州不安再来か
【産経ニュース】2016.2.26 07:42

 欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う英国民投票が6月23日に決まり、市場関係者からは「(投資家の)リスク回避に拍車が掛かる」と懸念する声が上がり始めた。英国とEU双方の経済的ダメージが大きく、欧州不安の再燃が危惧されるからだ。中国・上海で26日開幕する主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の議題に急浮上する可能性もある。

英国がEUから離脱すれば欧州経済に打撃となるとの懸念から、英ポンドとユーロは対円で売られた。「対ユーロでの円買いが対ドルにも波及」(為替ディーラー)し、円高ドル安も進みやすくなっている。英国のEU離脱が現実化すれば、投資家は「欧州不安の再来」を意識し、市場の混乱が長引く可能性もある。

英国のEU離脱で、まず懸念されるのが英国経済への悪影響だ。英国は輸出入とも約半分が関税や非関税障壁のないEU向けだ。離脱した場合、これらの恩恵がなくなる恐れもある。

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、最上位の「トリプルA」を付与している英国の格付けについて、EU離脱後は1段階以上の降格があり得るとし、他の格付け大手も格下げを示唆している。

BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストは「英国債を保有する邦銀や日本の生命保険会社に悪影響が出るだろう」と分析。ニッセイ基礎研究所の櫨浩一専務理事も「英国に進出する日本企業にも不安材料だ」と指摘する。

一方、EU側の危機感も強い。ドイツに次ぐ経済規模の英国が抜けると、域内総生産(GDP)は2割弱縮小し、競争力の低下は必至だ。第一生命経済研究所の田中理主席エコノミストは「EU解体の一歩と受け取られかねない」と危惧する。(藤原章裕)
2015年英国がAIIBに参加を表明し、習近平が英国を訪問し英国は日米を裏切ったのではないかと思ったのですが、実はそうではない。えげつない英国王室の習近平への態度を見れば一目瞭然です。

イメージ 1
まったく失礼きわまりない習近平のスピーチなど聞く価値がないと・・・英国王室の皆さまは人が悪い(笑)。
イメージ 2
・・・・・・・中国の儒家、道家の思想と4大発明は英国の文化と科学技術発展の歴史に影響を与え、「富国論」「進化と倫理」など英国の名著は近代中国の思想界に新たな視野を開きました。
中国のシルクと陶磁器はイングランド全域で珍重されるところとなり、英国に始まった工業革命は世界のシルク産業と製陶業を一変させました。中国の茶は英国人の生活に雅趣を添え、英国人が丹精を凝らして英国式の紅茶としたのです。中英の文明交流は互いの文化を豊かにしたのみならず、社会の進歩を促し、人類社会の発展にも貢献しました。・・・・・・・・・・
以上は習近平のスピーチの一部だが、なんだか上から目線で失礼に感じるのは私だけ?

26分50秒、習近平のスピーチがあまりにもひどいので、英国のアンドリュー王子のが習近平をにらみつけている。28分10秒、習近平の話が終わったあと、拍手が無くシーンと静まって終りです。

イメージ 3
イギリスは屏風(びようぶ)を置く習慣はないのだが、トイレの前に屏風を置き、トイレを隠し、英中の国旗で、トイレマークをはさみ、トイレの前で習近平は接待された(笑)。.イギリスでは、すぐに帰って欲しい客は、レストランに限らずトイレ近くの席に案内される習慣がある。

イメージ 4
エリザベス女王陛下は、帽子を脱がす、手袋を取らすに握手して、習近平を平民扱いにしています。
今後、注意して見ておくとよいと思います。階級社会の英国では、英国の王室の方々は、平民と握手する時には、絶対に手袋をはずしません。天皇陛下皇后陛下と接する際には脱帽し手袋をはずしています。


外交巧者の英国が、相手に表立って素顔を見せることはまず皆無で、1921年先の大帝(昭和天皇)が皇太子時代に欧州を歴訪された際、特に英国の歓迎ぶりは、2015年の習近平訪英の比ではなかった。
イメージ 5

第一次世界大戦後、日英同盟があったにもかかわらず、度々の出兵要請を拒み、欧州に出兵しなかった日本を同盟こくとする意味を失くした英国は、日本との同盟を解消する方向で動き出した。昭和天皇が訪英した時には日英関係は冷却化の方向にあり、同盟の廃止が決まった日英同盟が失効されるのは1923年、英国はそ知らぬふりをして日本の皇太子を熱烈歓迎したことになります。

ですから邦貨換算5兆円を上回る商談も、しょせんは習主席の「空手形」、英国がロンドンで人民元建て起債を認めたのも「手切れ金」と理解して差し支えないと思われます。

英国はEU、特にドイツを見限ったと考えるべきではないか・・・
アングロサクソンはナチス・ドイツの「第3帝国」と同じくEUドイツの「第4帝国支配」を許さないと思う。

政治的にも経済的にも欧州ではドイツが抜きんでる存在になってしまった。欧州のリーダーは英国でも仏でもなく、ドイツのメルケルである。

ドイツは、もはや米国の言うことを聞かなくなった。米国は欧州の景気回復のために、ドイツに何としても財政拡張による景気支援を期待しているが、いっこうに動かない。特に、最近ではドル高が米国経済の負担になっているだけに、ECBの追加緩和よりも、ドイツの財政拡大を求めて続けているが、今回の上海G20でも反応が悪い。

ドイツは割安なユーロを活かして輸出を拡大し、景気が堅調で、特段の景気対策は必要がないので当然だが、これはギリシャなど南欧諸国の犠牲の上に成り立つ繁栄であり、ドイツのエゴイストぶりのが際立っている。

米国は中国経済を叩き、ドイツも叩き潰しかかっています。フォルクスワーゲン問題は偶然にあらず、ドイツ銀行も間もなく血祭にあがります。これは覇権主義を強める中国自体を抑え込むとともに、中国市場でビジネスを急拡大するドイツの自動車産業をも狙ったものです一石二鳥でもある。

ドイツの基幹産業である自動車が、トップのフォルクスワーゲンの弱体化により、ドイツ経済全体を揺さぶり始めた。中国経済の悪化で、最も影響を受けると見られたフォルクスワーゲンの業績が大きく下落しているところで米国はフォルクスワーゲンのディーゼル・エンジン排ガス規制逃れの不正ソフトを意図的に暴いた。

フォルクスワーゲン社は1100万台のディーゼル・エンジン搭載車のリコールなどで、4兆円以上のコスト負担を強いられる。ドイツ銀行のCoCo債問題も、リーマンショック同様の金融危機の導火線になる可能性も否定できない。

ドイツを苦しめる難民問題も実は仕組まれたのではなかろうか?そもそも難民が米国に向かわずなぜドイツを目指すのかも誰も疑問を抱かない。

この難民問題も、オバマが無能でシリア問題を放置したのではなく、意図的に放置して悪化させたのではなかろうか?米国CIAの訓練を受けたアルカイダから分派したISISによって、シリア難民が大量に流れてきたことが背景にあり、かつてナチスを逃れて大規模なユダヤ人の難民、亡命を経験したドイツだけに、難民を無視するわけにいかない国情に付込んだ可能性がある。これも米国vs欧州戦略の一環と考えて差し支えないだろう。

英国はドイツが支配するEUから離脱を模索しているのも、英国の意志かもしれないが、同じアングロサクソンの米国が仕組んでいるかもしない。戦争責任をナチスに押し付け「今のドイツはまったく別の国」として振る舞い、再び米国を嵌めようとしたドイツをこれ以上自由にさせておくわけにはいけないと米国は判断したのだと思う。




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バブル崩壊後、世界中の専門家から政策の失敗を指摘された日本だが
現在では多くの国が同じ悩みに直面している

これまで外交専門家も政治家も識者も一様に、90年に始まった日本の景気低迷について考えてきた。
日本政府は各方面に助言を仰いだが、その大半が誤った前提に基づいていた――日本の景気停滞は固有の問題で、主な原因は政策立案のお粗末さにあるというものだ。

しかし08年以降、ユーロ圈もアメリカも、かつて「日本病」と呼ばれたものに陥り、長引く低成長(経済学で言う長期停滞)に悩まされてきた。どうやら問題は世界的なもので、特定の国の政策決定ではなく資本主義の本質そのものに関係しているようだ。
そろそろ見方を変えるべきだ。そこでこれから日本の「失われた20年」から得られる重要な教訓を見ていこう。
GDP成長率が中長期的な潜在力を下回っているすべての国にとって、政策を考える上で役に立つ明確な教訓が含まれているはずだ。

日本は確かにミスを犯した。最も明らかなのは病んだ経済を根本から治療するのではなく一時しのぎに走ったこと――有権者受けを気にする政治家が「愛のムチ」を避けたがる民主主義国ではありがちな偏った考え方だ。それでも、少なくとも小泉純一郎首相は構造改革という「痛みを伴う」真の改革に取り組んだ。

事実、この問題に特効薬はない。日本は長引く不況に際して、その影響を緩和することに注力した。アメリカの無為無策の議会やEUの緊縮派はここから学ぶことがあるはず。少なくとも、もう人ごとではないと既に承知しているはずなのだから。

 GDPより成長モデルに注目せよ

EUという世紀の実験はうまくいっていない。現在19力国となったユーロ圏の国々が自国通貨を捨て単一通貨ユーロを導入した99年以降、ドイツをはじめユーロ圏北部の国々は貿易上有利になり、それをてこに製造大国、輸出大国になった。最大の輸出先はユーロ圏南部だった。国内消費が伸び悩んでいたドイツは、10年間で貿易黒字が急拡大。一方、南欧では急激な消費拡大に伴って債務も急増した。

南欧の経済が08年以降の世界同時不況で特に打撃を受けたのは確かだが、実はトラブルはユーロ圏創設当初から始まっていた。例えばイタリアは2000~14年半ばに3度の景気後退を経験、その間の実質GDP成長率は平均0.5%にとどまっている。さらには通貨統合により、経済危機の際に以前のように通貨を切り下げてしのぐことができなくなり、産業が空洞化した。

しかし各国政府は問題に取り組むどころか、赤字が膨れ上がり年々ユーロ圈の金融機関の債務がかさんでも、建設ラッシュを放置した。EU各国の首脳は数々の警告に気付かないか見て見ぬふりをしてきたが、ついに10年、ギリシャがデフォルト(債務不履行)寸前に。ギリシャ債務危機が浮き彫りにした構造的欠陥は極めて深刻で、ユー口圏は加盟国の離脱による「ひび割れ」の危機に直面している。

日本の教訓 

経済的に成功すると傲慢化し、視野が狭くなり、リスクを見過ごしがちになる。日本の場合、輸出主導の「奇跡」の高度経済成長は80年代前半に限界を迎えた。ところが政府は世帯収入を増やして国内消費を奨励する政策を断行するのではなく、大規模な公共投資拡大を試みた。その結果が、投資マネーが株と不動産に集まって起きた危険な資産バブルと90年のバブル崩壊だった。

今にして思えば、日本が高度経済成長を維持できるというのは政府の過信だった。改革派(自民党上層部にも多くいた)の声は無視された。この失策のツケが、日本の「失われた20年」だった。

日本と同じようにEUも構造的欠陥を修復できなければ、ギリシヤを皮切りに弱小国のユーロ圏離脱が相次ぐ恐れがある。アメリカも2000年のドツトコムバブル崩壊後の対応を誤った。

借金してまで不動産や株を買う資産バブルの過熱を許し、07~08年にまたしてもバブルが崩壊する事態になった。要するに是が非でもGDPを成長させようとすれば、高い代償を払う羽目になるということだ。

 リーダー選びは人気投票じゃない

景気がいいとき、政治家はまるでスーパーマンのように絶賛される。最近の例で言うと、中国の長期にわたる高度成長は、「長期的な視点」を持つ「賢明」で「決断力のある」指導者のおかげ、と言われる。

好況に沸いたビルークリントン大統領時代のアメリカでは、民主・共和両党とも経済の「新パラダイム」をつくり上げたと自画自賛した。ヨーロッパのテクノクラートも07年に金融危機が起きるまで、通貨統合は歴史的な偉業だと胸を張っていた。

一方、不況になると、政治家は無能扱いされる。バラク・オバマ米大統領は、就任前に決まっていた銀行支援策について、こてんぱんにたたかれた。
ヨーロッパの主要国では、金融危機以降、政権交代が相次いだ。中国でも人民元切り下げと、効果が乏しかった株価安定策に対して、ネット上で批判が拡大している。どうやら経済が落ち目のときは、「能なしをクビにしろ」が世界共通の合言葉のようだ。

問題は、有権者は政府が経済成長を維持することを求めるのに、実際の成長維持策には反対することだ。景気過熱を防ぐための財政や金融の引き締め策は、往々にして大企業や利益団体、そして有権者の猛反発に遭う。政治や金融の世界では、常識外れの大成功を収めるより、常識的な失敗を犯すほうが長い目で見れば安全策であることが多い。

日本の教訓 

偉大なリーダーとは、たとえ有権者に人気がない政策でも、正しい政策を選択できる人物だ。 投機色が強くなった株式市場の熱狂を冷まし、住宅価格を抑え、景気の過熱を防ぐ措置は、たちまち批判を浴びる。構造改革は短期的には雇用誠につながり、それまで手厚く保護されてきた業界に打撃を与え、成長を減速させるからだ。

こうした改革を民主主義国で実行するのは難しい。改革を断行して不況をもたらしたら、首相をはじめ政治家は再選が難しくなるからだ。政治家個人の「政治生命」を考えれば、改革を進めるより現状を維持したほうがリスクは小さくて済む。

日本では90年以降、ほとんど功績のない短命政権が続いた。しかし例外が3人いる。小泉純一郎首相(01~06年)は自民党内の反対を押し切り、いわゆるソンビ企業(大口債権者)を一掃。さらに郵政民営化を断行し、公共事業を削減して「土建国家」からの脱却を図った。

安倍晋三首相は第2次内閣以降(12年~)、日本の競争力を高めるために「3本の矢」を放った。TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉参加は、安倍の強い決断力を示している。

橋本龍太郎首相(96~98年)は、97年に消費税率を引き上げた。この後、日本の景気はさらに冷え込み、橋本政権も急速に人気を失った。だが、不況に陥ったのは日本だけではない。同じ頃、近隣諸国もアジア通貨危機に見舞われた。特に韓国、タイ、インドネシアは大打撃を受け、IMF(国際通貨基金)の管理下に入った。

改革は常にリスクを伴う。だからこそ「痛みを伴う改革」を実行しようとする政治家はほとんどいないのだ。

 成長の源はイノベーション 

シリコンバレーはもはやイノベーションの聖地とは言えないようだ。アメリカの開業率(総事業所数に対する新規開業の事業所の割合)は78年の約15%から11年には約8%に落ち込んだ。

アメリカでは「この30年間で初めて、企業の倒産件数が新規開業件数を上回った」と、ブルッキングズ研究所のエコノミスト、ロバート・ライタンは指摘している。

ライタンによれば、これは深刻な事態だ。歴史的に見ても、電報、自動車、飛行機、コンピューターなど「将来性ある新技術」を商業ベースに乗せてきたのは主に新興企業だったからだ。

ソウトウェア部門の起業で成功し、現在はボストン大学の講師を務めるジエームズーベッセンもこう警告する。「新興企業の評価額が数十億ごドルに上るなど、シリコンバレ――‐は活況のようだが、その陰で米企業の新技術の開発・事業化に関わる根底的な問題は見過ごされている」

技術革新を阻む要素は多くある。長期にわたる経済の減速、人口の伸び悩み、起業家の足を引っ張る政策、さらにアメリカの場合は公教育の質の低下も大きなマイナス要因になっている。

ライタンによると、老舗企業は漸進的な革新しか行わず、官僚主義的で新技術の事業化に必要な柔軟性を欠いている。それでも現状では、技術革新の主要な担い手である中小企業は大企業に太刀打ちできない。大企業は資金力にものいわせて議会に圧力をかけ、特許訴訟を次々に起こして新規参入を阻み、政府の研究開発事業の入札でも、零細企業を押しのけて受注を獲得するからだ。

日本の教訓 

イノベーションこそが経済の好循環を生む「秘密の源」だ。日本の戦後の高度経済成長を支えたのは、ソニーやトヨタなど独創的な新技術で世界をリードした企業だった。

しかし、この2社の行方は明暗を分けた。時代の流れを読み損なったソニーは今や隣国に本拠を置く最大のライバル、サムスンに規模で圧倒されている。片やグローバル企業に変身を遂げたトヨタは今も勝ち組だ。国内の工場を維持しつつ、巨大な潜在需要が見込める中国、メキシコ、東ヨーロッパに新工場を建設。複数の指標で世界トップの座を誇っている。

米ヘッジファンドを率いるダン・ローブが昨年5月1日付の投資家宛ての手紙で、「日本のアップル」と呼んだ会社がある。工場の自動化システムで世界をリードしているファナックだ。

また、スタンフォード大学の研究チームによる日本の起業家精神に関する調査でも、日本の起業カルチャーは過小評価されており、実態はアメリカと遜色ないと報告している。

起業を妨げる障壁は依然として高いが、日本には強固な労働倫理、質の高い公教育といった強みがある。新時代の盛田昭夫の登場に期待したい。

 不況の最大の被害者は若者だ

ピュー・リサーチセンターの昨年の調査で、アメリカの世帯構成に大きな変化が起きていることが分かった。米経済が回復基調に入った12年、両親と同居する25~34歳の若者は23・8%と、史上最高を記録。80年代は11%だったから大幅な増加だ。

多世代世帯(2世代以上の成人が同居する家庭)の増加は、アメリカの若者が経済の先行きを悲観している証拠だと、専門家は言う。「若者の雇用と賃金が減った結果、自活能力が低下しているのだろう」と、ピューの報告書は指摘している。

07年以降の大不況で、アメリカでは学生ローンを組んで大学に進んだあと、就職を遅らせ、就職しても十分な賃金を得られない若者が増えた。2010年の16歳以上のアメリカ人(学生・軍人を除く)の雇用率は58%と、史上最低水準を記録した。初婚年齢は上昇し、結婚率は低下した。大卒者でさえ、記録的な数が実家にUターンしている状況だ。

社会人になるのを遅らせたミレニアル世代(80~00年代に生まれた世代)は、親の世代より稼ぎが減り、出世のペースも遅くなるとみられている。

このトレントはヨーロッパ、とりわけフランス、イタリア、スペインで顕著に見られる。ミレニアル世代の多くにとって、核家族を構えることは、これまでになく遠い先の話になった。

日本の教訓 

今どきの若者は、いつまでも親のスネをかじって……。そう考えるのは間違いだ。彼らは働く意欲を持たない「パラサイト・シングル」とは違う。
今の若者も、自分たちが置かれた経済環境に対して合理的に反応しているにすぎない。日本では90年代に、工場でも大企業でも、昔ながらの「日本株式会社」の雇用慣行が崩れ始めた。その余波を一番もろに受けたのは若者たちだ。

パートや派遣社員など、非正規雇用に従事する若者が増えた。それしか働き口が見つからないからだ。労働時間も減った。低賃金で長時間労働をする意味を、若者が見いだせなくなったからだ。そんな彼らが重視するのは、預金残高よりも生活の質だ。

日本で少子高齢化が急速に進行している背景には、こうした事情もある。それを真に是正するには、家族を十分養えるくらいの賃金の雇用を増やし、中間層を維持して、幅広く力強い経済を構築する必要がある。

 多国籍企業を当てにするな

アメリカの最大手クラスの企業は、軒並み史上最高益を計上している。ただし彼らは、オバマが望むように、グローバル市場で稼いだカネをどんどん祖国に還元してはくれない。
代わりにタックス・ヘイブン(租税回避地)に現金をプールし、株主への配当を上げ、国外の新事業を買収し。自社株を大量に買い戻している。
14年半ばの時点で、アメリカの非金融部門の企業が保有する現金は帳簿上で1兆6500億ドル。その多くが本国の税金を逃れるため外国に移転されている。国内で事業を拡大すれば雇用が生まれて中間層が1つが、自社株買いや配当の増額では富裕層が潤うだけだ――オバマはそう嘆いて、多国籍企業は「愛国心がない」と批判している。

日本の教訓 

世界的ブランドになった企業に愛国心を求めても無駄だ。80年代の「日本株式会社」論は、日本企業が政官界との連携を強みにグローバル市場進出に成功したという見方だった。国内の雇用を支えることもこの戦略の一環とされた。

だが90年以降、日本のトップ企業は選択を迫られた。海外に進出して成長するか、国内にとどまり続けて衰退するか。最も優良な企業は前者の道を選んだ。例えば、トヨタと日産。いずれも輸出向けの国内生産重視の方針を変え、海外に生産拠点を移した。

企業にとって、外国の顧客の近くに工場があるほうが効率がいいし、多くの場合、外国のほうが人件費などのコストも安くつく。グローバル化の波に乗った日本企業はアペノミクスの恩恵を受けた。海外で稼いだ純利益がGDPに占める割合は90年代にはわずか1%だったが、14年には円安効果もあって5%に増えた。

しかし、日本企業はまだ政府と国民に対して、彼らが待望する見返りを提供していない。賃金の引き上げ、株主への増配、国内での研究開発投資の増額といった形での還元は「少なくとも今はまだなされていない」と、オリェンタルー・エコノミスト5月号で経済ジヤーナリストのリチャードーカッツは指摘している。

 ポピユリストを警戒せよ

経済の停滞は為政者の運命を狂わせがちだ。その昔、中国では洪水や干ばつや飢饉が王朝の衰退に関わったように、現代でも景気低迷が民主主義国家を倒す可能性がある。

アメリカでは08年秋のリーマン・ショックに端を発する大不況を受けて、旧態依然としたワシントン政治に終止符を打つべく、重い税負担を批判し「小さな政府」を掲げるポピュリスト(大衆迎合的)運動が始まった――草の根保守派連合の「ティーパーティー」だ。

ヨーロッパでは極右および極左政党が台頭。ギリシヤやポルトガルでもポピュリスト政権が誕生している。イタリアでは13年の総選挙でコメディアン出身のベッペ・グリッロ率いるポピュリスト政党「五つ星運動」が4分の1を超える票を獲得した。フランスでは昨年5月の欧州議会選挙でマリーヌ・ルベン党首の極右政党「国民戦線」がフランス第1党に躍進。「3世代にわたりフランスを統治してきた右派・左派政党に対する信頼が崩れている」証拠だとCNNは報じた。

躍進を遂げた非主流派は一様に、古い政治秩序を無能かつ不当と見なし、旧秩序を打破しようと躍起だ。

日本の教訓 

日本の場合、貧富の差は比較的小さく、社会の一体性は強い。そのため、一部の国民の不満を背景に聞こえのいい過激な主張を行う勢力が台頭
する余地が日本には少ない。 こうした点で日本に肩を並べられるのは、北欧諸国くらいのものだ。北欧以外のヨーロッパの国々と中国とアメリカは、社会の分裂を深める経済政策が自国の政治的混迷を招いていると見なすべきだろう。さもないとポピュリスムの炎はますます燃え盛ることに
なる。

 デレバレツジに潜む落とし穴

08~09年、グローバル経済は数十年ぶりの同時不況を経験したが、特に打撃を受けたのはアイルランドやアイスランドといった新興の金融センターだった。サブプライム危機の根底にあったのは――レバレッジ要は債務だ。

07年までは不動産バブルと株価上昇が投資家をかつてないほど豊かにし、多くの消費者が借金してまで分不相応の贅沢に走った。企業はゼロに近い金利で融資を受け、悪い時期に業務拡張を図り、経済の成長が止まると各国政府が介入して大規模な景気刺激策を実施。おかげで1930年前後の大恐慌の再来は避けられたものの、公的債務は危険な水準に膨れ上がった。

デレバレッジとは債務を返済または帳消しにするプロセスだ。米経営コンサルティング会社マッキンゼーの最近の調査によれば、07年以降世界の主要47力国の債務残高総額は17%増加。途上国の債務はそれを上回るペースで膨れ上がっているという(中国だけで過去8年間に4倍になった)。
各国の中央銀行が金利を下げ過ぎているせいだと国際決済銀行(BIS)は指摘する。行き過ぎた利下げは「基本的に市場経済における『長期停滞』に関係している」と、エコノミストでスイスの大手銀行UBSの経済顧問を務めるジョージ・マグナスは言う。

日本の教訓 

デレバレッジは特効薬ではない。度が過ぎれば悲惨な結果を招く。例えばギリシヤではEUからのお仕着せの緊縮策で国の年金制度が破綻、公共医療の基盤が崩れ、失業が広がった。ギリシヤ全体のGDPは10年の債務危機以降25%縮小している。

日本は過去20年間、支出を減らし、金融機関の不良債権を処理し、債務残高を減らすよう、外国から忠告されてきた。マッキンゼーの試算では、日本の債務残高は対GDP比400%と先進国最悪の水準に達している。

しかし日本では個人も企業も倹約ムードで財・サービスに対する民間需要が落ち込んだ。政府は公共投資を増やして財・サービスに対する民間需要の落ち込みをカバーする以外にほとんど選択の余地がなかったと、野村総合研究所のチーフェコノミスト、リチャードークーはみる。

こうした「バランスシート不況」に日本はうまく対処したと、クーは主張する。確かに経済の仲びは鈍いが、破綻してはいない。政府の高齢者や子供や貧困層向け福祉にも、後退は見られない。おかげで市民の暴動は起きておらず、社会不安もEU南部に比べればマシだ。
2000年代前半中国や新興国、欧州米国の成長を尻目に日本だけが「失われた10年」と世界中の経済学者から日本がいかにダメか過剰なまでに揶揄されていた。 
その後も外国の学者やエコノミストらは、長い間、力強い成長を実現できない日本を嘲笑してきた。多くの経済学者は、日本を経済的衰退の危機に対する無策と失敗の典型例と位置付けた。

その先鋒はバーナンキ前FRB議長やローレンス・サマーズ元財務長官、ノーベル賞経済学賞受賞者ポール・クルーグマンやジョセフ・E・スティグリッツなど世界的に有名な経済学者から有名無名のアナリストまでが安易に批判できる対照であった。
特にアメリカを中心とするネオリベラル新自由主義派のエコノミストは、日本に叱責を加え、規制緩和、金融市場の自由化、「ゾンビ企業」の退出「構造改革」を説いた。

何も考えない小泉純一郎はネオリベラル派が説く、「構造改革」を断行したが、社会的副作用は今日まで痕を残している。変わり身の早いクルーグマンは安倍内閣が成立後黒田日銀総裁を支持し、さっさと間違っていた謝罪している。その点はさすがだ!

天に唾を吐いたのか、ブーメランなのか2015年の世界経済は日本の失われた20年と同じく長期停滞の入り口に立たされている。人口の高齢化、所得格差、生産性向上の縮小、雇用創出の鈍化、巨額の債務・・・

欧州米だけでなく中国経済の崩壊は世界経済の減速に拍車をかけ世界は「失われた20年」を経験したバブル崩壊後の日本と同じようになってきている。正月から中国の株バブルとその崩壊状況は、日本以上だ。中国の金融システムの深刻な不調を示唆する最新の事例は事欠かない。日本もしなかった強引な株価下支え策は、この先ますます落ちていく穴を深く掘っているようにしか見えない。

FRB(米連邦準備理事会)の利上げはBRICs諸国からの資金流出に拍車を掛け、これらの国々の財政状況をさらに悪化させるだろう。 事実上のゼロ金利が6年以上も続いているにもかかわらず、先進国の民間投資は弱いままで、完全雇用を維持できない。

 欧米の当局者はかつて日本政府の無索を嘲笑したが、いざ自分達が危機に直面すると、同じようになすすべがないことを露呈したのだ。先進国は深刻な需要不足のため、資産バブルに頼る以外、経済成長を維持できない。各国の指導者が世界経済の新たな立て直し戦略を模索しているが、出口は見えていない。

日本は大型財政政策が唯一の対策だったが、早い段階で公的支出の削減を求める強い圧力が政府にのしかかり景気回復を阻んでしまった。 

残念ながら、民主主義はこの種の景気後退に対処するのには向いていないかもしれない。日本はまだデフレをが完治したわけではない。依然としてGDPの伸びはささやかで、それさえも公的債務を急増させることで何とか維持しているのが実情だ。安倍音三首相は就任から4年目に入ったが、アペノミクスの「第3の矢」、つまり日本経済の構造改革はまだ進んでいないにもかかわらず消費税増税をしたらアベノミクスの命運も尽きる可能性が高い。

それでも日本はデトロイトのような財政破綻に見舞われた主要都市もない。日本の当局者は教育システムと社会保障のセーフティーネットを維持することで、無数の若年層と高齢者を保護しているのが救いだ。

 成長をほしいままに貪り喰っていた中国と独逸の停滞兆候はこの20年間辛い思いをしてきた日本人にとっては”蜜の味”に思えてならない。

日本化する中国の未来 THE GREAT LEAP SIDEWAYS
 【Newsweek】ジョージ・ウェアフリッツ(元北京支局長,元東京支局長)

展望 日本のバブル崩壊と酷似する経済不況のシナリオだが
中国特有の事情が不透明さに拍車を掛けている

中国人民銀行(中央銀行)が景気刺激のために金利の引き下げに踏み切ったのは14年11月のこと。その後も利下げは繰り返された。金融を緩和すれば経済活動は活発になるはずだが、そうはなっていない。生産者物価は急落し、消費者物価の動向も今やデフレが懸念される水準にある。たぶんに水増しされている公式発表の経済成長率も80年代前半以来の低さだ。なぜ、金融緩和が機能しないのか?

中国は長らく資本主義と統制経済の二股を掛けてきた。リーマンーンヨツク後には高成長を維持するため、インフラ事業に莫大な資金をつぎ込んだ。
おかげで景気後退は免れた。しかし、もう限界だ。過去8年で、経済成長率は7%以下に落ち込んだ。実際は3~4%で、さらに減速中との見方もある。

今の中国は、アメリカや日本、欧州と同じような難題を抱え込んでいる。
もはや金融緩和だけでは本物の経済成長を維持できないという現実だ。経済理論からすれば、型どおりの金融政策だけでは逆効果にすらなり得る。資産バブルを膨らませ、金融の不安定化を助長するからだ。長期にわたる住宅建設ブームと青天井の株式市場という中国の状況は、バブル崩壊前夜の日本にそっくりではないか。

実際、中国の株価は2・5倍に膨れ上がった後、昨年の6月に暴落した。これを処理するべく、中国は人民元を切り下げ、世界の為替市場だけでなく国内の株式市場も怯えさせた。

市場の動揺を抑えるため、政府は証券会社を通じて大量の資金を株武市場に注入し、一定水準の株価を維持するよう命じた。資本主義においてはルール違反だが、おかげで株価の暴落は食い止めた。しかし習近平国家主席は高いツケを払わされることになった。市場原理の尊重という彼の評価が地に落ちたからだ。

中国はいよいよ長期停滞期に入ったのか? その兆候は確かにある。生産性の鈍化、労働人口の高齢化、急速に増加する負債。低迷する民間需要を補うため、中国経済は政府主導の投資に大きく依存し続けている。

だが、こうした負の側面は表面的には分からない。きらびやかな都市、世界中を旅行する新たな富裕層、南シナ海から地中海にまで及ぶ中国軍の強気な態度。そして、いつか人民元を世界貿易の主要通貨にさせるという大国としての壮大なビジョンー経済成長を維持するために中国政府がもがいていることなど、みじんも感じさせない。

こうした状況は、ますます日本の陰鬱な記憶を呼び起こさせる。「80年代を覚えている年齢の人なら知っているだろうが、(当時は)みんな日本の勃興を確信していた」と、中国在住の金融専門家マイケルーベティスは指摘する。「しかし、結局は経済の調整がいかに困難かを思い知らされた」

90年以降、日本が輸出と投資中心の経済政策を転換させようとして失敗したのはよく知られた話だ。市場開放と消費者主導の経済戦略を示した「前川レポート」も出たが、その提言は何ら実行に移されなかった。中国版「前川レポート」の出来 「政府は市場に資金を流し続け、バブル崩壊の引き金を引き始めた」と、ジャーナリストのリチャード・カッツは『腐りゆく日本というシステム』(邦訳・東洋経済新報社)で述べている。

一方で中国の習は現代版の「前川レポート」を書こうとしている。「新常態(ニューノーマル)」を掲げ、家計の消費力を高め、経済成長の牽引役にしようというシナリオだ。しかし習は、重厚長大な国有企業を延命させようともしている。これは明らかな矛盾だ。もはや大方の国有企業に成長力はなく、国費の注入という生命維持装置につながれている。

それでも習の処方による経済改革は可能だと、中国政府は考えているようだ。なにしろ新常態は「命令」であって、議論の余地などないからだ。
これに対し、ある匿名の中国人学者は米誌フォーリンーアフェアーズに寄稿して、今の中国は「自己増殖するスタグネーション(経済停滞)に陥りつつあり、それはよほどの経済的、社会的あるいは国際的なショックがなければ打破できない」と警告している。

この学者は中国指導部が直面する「イデオロギー的な行き詰まり」も指摘している。主要産業を牛耳る肥大化した国有企業、いまだ大規模な政策金融を行っている4大国有銀行、党の上層部とつながる特権集団の腐敗、そして巨大な軍部と軍産複合体。いずれも改革に抵抗する保守派だ。

「工場やビルはどんどん建った。しかし経済的な価値はほとんどなかった。空室が目立ち、銀行のバランスシートには赤字が目立つ」――。空室だらけの高層ビル群が立ち並ぶ中国の大都市に関する記述ではない。建設ブームの終焉を恐れる地方政府が簿外に隠した負債を見つけた監査法人の報告書でもない。バブル崩壊前の日本について、かつてガッツが著書に記した文章だ。つまり、今日の中国は30年前の日本に酷似しているということだ。

日本は「土建国家」と呼ばれ、産業の非効率と利権主義で悪名をはせたものだ。中国はもっとひどい。コンサルティング会社のマッキンゼーが指摘するように、07年にGDPの158%程度だった金融機関を含む中国の負債総額は、わずか6年で282%まで膨らんだ。今や世界に冠たる借金大国だ。

中国版「土建国家」は日本以上に厄介だろう。地方政府が管轄地域内の土地売買を独占しているからだ。地方政府の予算の約3割は、土地売買で
賄われている。そして売買には地方政府の設けたペーパーカンパニーが介在する。膨らむ債務を簿外に隠すためだ。

この「融資平台」と呼ばれる地方政府ご用達の資金調達会社は00年頃に出現し、高速道路、鉄道、空港などの大型プロジェクトに利用されてきた。
エール大学の陳志武教授(金融学)によると、地方政府は融資平台に土地の所有権を移転し、融資平台はその土地を担保に開発資金を借り入れる仕組みだ。これなら地価が上昇している限り、借金を続けられる。

しかし最近は地価が急落し、中国は転換点に立たされている。陳の試算では、今後も不動産需要が変わらないとしても、5年分の需要を満たすだけの空き物件が既に存在している。しかも、今後の需要はおそらく減るという。 大きな問題に直面した場合、とりあえず問題を否定したくなるのは世の常だろう。中国指導部が躍起になって不動産バブルの問題を隠そうとする気持ちも、分からないではない。














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昔懐かしのTV番組キャプテンスカーレットに登場する飛行空母クラウドベース

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米国防総省が「飛行空母」案を公募
【AFP】2014年11月19日 17:15 発信地:ワシントンD.C./米国

【11月19日 AFP】航空機が発着する母艦自体が飛行能力を持つ「飛行空母」の開発案の公募を、米国防総省の研究機関・米国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency、DARPA)が開始した。

飛行空母構想は、巨大な母艦が航空機を送り出す、映画『アベンジャーズ(The Avengers)』やコンピューターゲーム『スタークラフト(StarCraft)』のSF的な映像を想起させる。

DARPAは現時点では試作艦の建造は計画しておらず、純粋に飛行空母の可能性を机上で検討することが目的だとしている。DARPAの構想図には、輸送機「C130」に似た機体から無人機「プレデター(Predator)」や「リーパー(Reaper)」のような一隊が発進する場面が描かれている。

計画の責任者であるダン・パット(Dan Patt)氏は「小型機の機動性を高めたい」と述べ、有力な案として「既存の大型航空機を最小限の改造で空中空母にする」方法を挙げた。

米軍が飛行空母の開発を試みたのは今回が初めてではない。1920年代後半には、海軍が複葉戦闘機「スパローホーク(Sparrowhawk)」の収容と発着が可能な飛行船を開発。2機が建造されたがいずれも墜落事故を起こし、多数の死者も出たため計画は中止となった。

また60年代には米中央情報局(CIA)が偵察用無人機の草分けとなる「D-21」を米航空防衛機器大手ロッキード・マーチン(Lockheed Martin)(当時はロッキード社)に秘密裏に開発させたが、このD-21は別の機体から発進するように設計されていた。中国上空を偵察したD-21にカメラを投下させて回収し、D-21は自爆させる構想だったが、4度の実験は自爆やカメラ回収の失敗に終わり、計画は1971年に廃止となった。(c)AFP/Dan De Luce
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Reaper
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Predator
DARPAが突如無人機用の「空中空母」のアイデア公募を始めた。
空中空母といえば、私の世代にとっては昔懐かしのTV番組キャプテンスカーレットに登場する飛行空母クラウドベースを思い出す。
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実はこのクラウドベースには元ネタがあり、「第二次大戦の英国本土防空戦で敵迎撃のため高空に上昇するのに20分要した。最初から高空に待機すれば数分で迎撃できる」というアイデアに基づいている。そしてその迎撃案の更に元ネタは左の写真にある1942年、対空防御として、テムズ川(ロンドン)やマージー川(リバプール)の河口に、築いた対空要塞(マンセル要塞)"Maunsell Forts"に行き着きます。
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今の若者達は右の写真、ハリウッド映画avengersに登場する空中空母を思い出すかもしれませんが、いずれにしてもSFファンタジーの領域に登場するシナモノだと思います。

しかし、ことアメリカにおいては,空中空母の実現をいつの時代も目指しているのです。これも一種のアメリカンドリーム精神かもしれません。

古くは1929年7月3日には米海軍が建造する新型硬式飛行船「アクロン」に防御用戦闘機を搭載する計画をたて、1929年10月27日には「ZRS4:アクロン」のフックに試作複葉戦闘機カーチスXF9C1を着船させる実験に成功しました。
正式採用となったF9C2スパローホークは6機製造され、「アクロン」に搭載されました。
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アクロン号
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大型飛行機に小型飛行機を搭載するアイディアはソビエトでもバクミストロフ空中空母計画が建てられ、ツポレフTB-3重爆撃機で実験している。主翼上にI-5戦闘機を2機、主翼下にI-16戦闘機を2機搭載し、胴体中央下部のアームでI-Z戦闘機を一機空中で回収した。
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第二次大戦中に開発がスタートしたB-36超大型戦略爆撃機は、ドイツに向けて渡洋爆撃を行う目的で開発されたたが第二次世界大戦が終わり、核兵器を搭載してソビエトまで爆撃飛行を行う爆撃機となりました。ここで問題となったのが、護衛戦闘機であった。当時のアメリカでは、この爆撃機に随伴できるほどの航続距離をもつ戦闘機は存在しない、そこで開発されたのが寄生戦闘機XF85ゴブリンである。
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 このXF85ゴブリンは、B-36の爆弾槽のなかに格納されて敵地上空まで運ばれ、いざ、敵機が現れたら発進し、これと空中戦を行うという、いかにもなアイディアです。


XF85ゴブリンはB-29で実験され、B-36はRepublic F-84 で実験が行われた。
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次に計画されたのが、飛行中に翼端をつなぎ合わせる「TomTom計画」である。 
B29とF84戦闘機が空中で合体し、合体した分だけ翼端が広がり、高高度での空力も稼げる利点があった。 
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航続距離が問題や母機を護衛するために開発されたものだが・・・、というより当然計画は成功しなかった。なによりも、回収ドッキングが昼間でも難しく、アイデアはまだ、リスクが高すぎると判断され計画は中止された。その後増槽(落下タンク)の登場や空中給油機の登場でこれら空中空母計画は姿を消した。

だが、米国は1970年代にはいっても、依然諦めずB-747にマイクロ戦闘機(小型戦闘機)を搭載するアイディアを実現しようと空中空母計画が立てられた。
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ヨーロッパ、アフリカ、アジアに航空基地を構築するより、グローバルな範囲と超音速性能を備えた汎用性の高いシステムの方がコストが安く有効ではないかと研究された。空中空母(AAC)や航空燃料タンカーの違いは、AACが航空機をリアームだけでなく、それらに燃料を補給、乗組員が互いに外切り替えることができ、それは戦闘機の修理やメンテナンスを行うことも可能。
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ボーイング社は747-400の2つのデッキを残し、内部をくりぬき約10機を搭載し2ヶ所の出入り口がある。マイクロ戦闘機は、幅のわずか17フィート(5.1816m)内に収まるよう設計された。5種類が計画された。
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これらマイクロ戦闘機の開発はやがて先進技術の実証機として軽量戦闘機(LWF:Light Weight Fighter)F-XXの開発計画に引き継がれF-16,YF-17(F18)の軽量戦闘機として開花します。
一方巡航ミサイルが開発されると Boeing 747はMissile Carrier Airplane一種の空中空母の案がカーター政権下で提示され、あやうくB-1計画がとん挫するところでした。
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ちなみに、この巡航ミサイル母機案は現在も X51極超音速巡航ミサイルを搭載する母機として検討されている。


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そして、突如DARPAが無人機空中空母のアイデア募集をしたのだが、けして突拍子の無い計画ではなく、米国の長年の計画を実現させようとしている。

無人機用の「空中空母」のアイデア公募 米国防機関
【CNN】2014.11.13 Thu posted at 16:36 JST


(CNN) 米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)は13日までに、無人機用の「空中空母」となる航空機開発のアイデアを公募すると発表した。締め切り日は今年の11月26日。
この航空機の開発で、航続距離の不足で無人機が現在遂行出来ない任務の開拓を狙っている。母機から発進した無人機が爆弾投下、ミサイル攻撃や偵察などの任務をこなした後に帰還し、母機と共に所属基地へ戻る作戦をにらんでいる。
母機の大きさについては、爆撃機のB1、B52や輸送機のC130型機などのサイズを想定しているとみられる。
DARPAはアイデア募集に際し、安い製造費などが好ましいと指摘。今後4年間内に開発の具体化が可能な案を求めている。
寄せられた全ての提案は米国防総省内で管理されるため、アイデア漏えいの懸念は不要ともしている。
さて、母機としては安い製造費・・・今後4年間となれば、既存の大型中古旅客機改造が好ましい。だがReaperもPredatorもプロペラ機であるため、低速性能も考慮すると母機はドローン母機DC-130の実績があるC-130が適当であろう。

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DC-130

発進はDC-130のようにつりさげたパイロンからの発進が合理的だ。
問題は如何に改修するかだが・・・・
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空中でネットに絡ませ改修する方式が有力だろう。
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Ddog案
ネットを貼ったフレームを伸ばし、網の中心に突っ込ませフレームを伸縮して回収するのが妥当ではなかろうか?網は一機一網で、発進後は回収のみで再発進はできない。


第六世代戦闘機になると何度も等ブログでは掲載していますが、有人戦闘機と無人戦闘機がチームとなって戦うクラウドシューティングが主流となることが予測されています。
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日本は今のところ有人戦闘機が無人戦闘機を携行していく考え方だが、日本も中国に対する数的劣勢を克服する為飛行無人機空母の開発を検討すべきかもしれない。
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<参考>
昔懐かしのTV番組キャプテンスカーレットに登場する飛行空母クラウドベース
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Captain Scarlet クラウドベース(スペクトラム基地) 
高度4万フィート(12,192メートル)に浮遊する空中基地。広い甲板面は2分割され、一段高い方がエンゼルインターセプター用、低い方がその他の航空機用に使い分けられている。4隅に浮上・推進用のエンジンユニットがあり、その位置を自在に変更できる。劇中に描写された区画としては、司令室、医療室(単なる医務室レベルではなく、脳外科の手術も可能な施設)、会議室、レーダー室、休憩室、パーティールーム、アンバールーム(エンゼルの待機場所)、動力室などがある。なおアンダーソン作品の影響を受けた日本のTV作品「ゼロテスター」「ウルトラマンガイア」の基地は、デザインがクラウドベースに大変よく似ている。
全長210m、全幅186.2m、大型ホバーエンジン4機、本体前後に推進用エンジン多数装備。太陽電池発電、エレクトロン・レイ追尾アンチ・エアクラフト・ミサイル砲、空対空ミサイル・超音速パラライザー・キャノン砲装備。乗員600名。高空に浮遊するのは、ジェリーによると
「第二次大戦の英国本土防空戦で敵迎撃のため高空に上昇するのに20分要した。最初から高空に待機すれば数分で迎撃できる」というアイデアに基づく。
Captain Scarlet and the Mysterons Episode 09 Seek and Destroy 5th January 1968

Captain Scarlet - Attack on Cloudbase: Main Attack Sequence (HD)




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【ニューヨーク=峯匡孝】安倍晋三首相は25日午後(日本時間26日未明)、米ニューヨークの国連総会で一般討論演説で、国連創設70周年となる来年を見据え、国連改革に乗り出し、安全保障理事会の常任理事国入りを目指すことを改めて強調した。首相は来秋の国連総会での「具体的な進展」に向け、同じく常任理事国を目指すブラジル、ドイツ、インドの4カ国(G4)で、国連加盟国に安保理改革を働きかける方針だ。

首相は演説で「21世紀の現実に合った姿に国連を改革して、ふさわしい役割を担っていきたい」と述べ、日本の常任理事国入りへの理解を求めた。

今回の演説で首相が強調したのが、戦後日本の平和国家としての歩みだ。名指しこそしなかったが、日本の常任理事国入りで既得権益を失う中国を念頭に置いているとみられる。

集団的自衛権の行使容認や集団安全保障への参加に向け安倍政権が進める安全保障法制見直しに対し、中国や韓国が反発している。首相は演説で「平和への誓いを新たにするところから日本は戦後の歩みを始めた。国連活動への全面的な献身を自らに課す責務とした」とし、日本が平和主義の下で国際貢献を積み重ねてきた実績をアピールした。

さらに、西アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱の対策に4千万ドルの追加支援を表明したほか、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」関連の人道支援やウクライナ安定についても、日本が主要な国際社会の一員として対応していることを強調した。新しい政府開発援助(ODA)の指針を打ち出す考えを示し、「法の支配の確保」「平和で安定した社会の実現」などを目標に据えることも表明した。

また、中国や韓国が慰安婦問題で世論戦を仕掛けてきている現状を踏まえ、首相は「21世紀こそ女性への人権侵害のない世界にする。日本は紛争下での性的暴力をなくすため、国際社会の先頭に立ってリードする」と主張。「経済的に自立する能力を育てることは、女性にとって誇りと希望あふれる生を歩むため不可欠なことだ」と述べ、首相が掲げる「女性の輝く社会」の実現に引き続き努力する姿勢を強調した。

北朝鮮に対しては拉致、核、ミサイルの問題を包括的に解決するため、関係国と連携する考えも示した。
国連は、1945年の第2次世界大戦終結直後に当時の連合国を中心に発足した。安全保障理事会の常任理事国は主要な戦勝国であるアメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の5ヶ国だ。これに任期2年の非常任理事国10ヶ国を加えた15ヶ国が安保理を構成する。これは来年70周年を迎える国連の歴史で不変だが、21世紀に入り、かつて枢軸国側だった日本とドイツに、ブラジル、インドを加えた4ヶ国が常任理事国入りを目指し、「G4諸国」として歩調を合わせている。だが基本的枠組みは日独伊三国同盟に対する戦勝国連合であってその枠組の中で常任理事国となるのはいかがかと思う。
今回の国連改革が現在の現在の常任理事国の既得権を手放すとは思えない。根本的に改革されるのであれば常任理事国という概念を残していること自体本気での改革とは思えない。
核兵器を持たず、憲法九条背負いと東京裁判史観を糺そうともしない日本が常任理事国とはおこがましい。日本が常任理事国としての職責を果たすには、憲法9条を破棄改正し、中国韓国から持ち出される歴史問題を完膚なきまでに糺し、世界に日本の立場を正しく伝える時間が必要だ。
まずは、英米に対し、日本は報復戦争を絶対にしないことを理解させる必要がある。戦後70年が過ぎようとした今もなお米英蘭豪露は帝国陸海軍の圧倒的な強さがトラウマになっている。日本が本気になった時、次は負けるかもしれないと言う恐怖心が戦後体制を構築してきた。
因みに中国共産党も日本の圧倒的強さを思い知っているが戦勝国ではない。日本とほとんど交戦していない。中国共産党の奇襲と掃討の第一次・二次晋中作戦はあったが、日本側は鉄道網を寸断されたが軽微な損害(300名弱の戦死)に対し中共の八路軍の死傷者は22000人は以上となり潰走した程度である。
中国共産党が偉そうに常任理事国に収まっている方が不自然極まりないのだが、日本が常任理事国となるためには、現在の常任理事国5ヶ国全ての賛成と、国連総会の3分の2の承認が必要だ。中国は尖閣問題や歴史認識問題で日本に対する敵対的なスタンスを崩していない。中国は、常任理事国に日本が加わることに反対している現状では、日本が常任理事国になるのはそもそも不可能に近い。
安倍総理は、「国連を21世紀の現実に合った姿に改革し、その中で日本は常任理事国となり、それにふさわしい役割を果たしていきたい」と意欲を示したが、常任理事国になっても将来にわたり相応の負担に耐えられるのか?常任理事国になりたいが故に中国と韓国に妥協するぐらいなら、常任理事国に無理やりならなくてもいいと思う。
日本が常任理事国になることに本当に意義があるとしたら、崩壊しつつある世界を日本が本気で立て直し、人間が本当に価値ある未来に進む勇気を持った場合だけだろう。しかし、非常に残念だが、日本が再び覚醒してももはや世界を救えるような状態ではないかもしれない。



執筆中



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遂にあの反日朝日新聞がありもしない慰安婦の強制連行を自分がしたと主張する吉田清治の証言記事が吉田による捏造であることを認めた。理研の笹井芳樹教授が自殺した。エリートはかくもメンタルが弱いのか?小保方さんの無邪気な嘘が行き着くところ、とうとうどうにもならなくなってしまったのだ。彼女は悪意がなかったとしても、「STAP細胞はあります!」と、すべてが暴かれてもなお嘘をつき続けることによって、とんでもない結果をたらす。朝日新聞もついに嘘がつききれなくなってしまったのだ。「慰安婦問題はあります!」・・・・今更認めても・・・朝日新聞は廃刊に追い込むべきだろう!

「済州島で連行」証言 裏付け得られず虚偽と判断
【朝日新聞】2014年8月5日05時00分 

〈疑問〉日本の植民地だった朝鮮で戦争中、慰安婦にするため女性を暴力を使って無理やり連れ出したと著書や集会で証言した男性がいました。朝日新聞は80年代から90年代初めに記事で男性を取り上げましたが、証言は虚偽という指摘があります。

慰安婦問題を考える
男性は吉田清治氏。著書などでは日雇い労働者らを統制する組織である山口県労務報国会下関支部で動員部長をしていたと語っていた。

朝日新聞は吉田氏について確認できただけで16回、記事にした。初掲載は82年9月2日の大阪本社版朝刊社会面。大阪市内での講演内容として「済州島で200人の若い朝鮮人女性を『狩り出した』」と報じた。執筆した大阪社会部の記者(66)は「講演での話の内容は具体的かつ詳細で全く疑わなかった」と話す。

90年代初め、他の新聞社も集会などで証言する吉田氏を記事で取り上げていた。

92年4月30日、産経新聞は朝刊で、秦郁彦氏による済州島での調査結果を元に証言に疑問を投げかける記事を掲載。週刊誌も「『創作』の疑い」と報じ始めた。

東京社会部の記者(53)は産経新聞の記事の掲載直後、デスクの指示で吉田氏に会い、裏付けのための関係者の紹介やデータ提供を要請したが拒まれたという。

97年3月31日の特集記事のための取材の際、吉田氏は東京社会部記者(57)との面会を拒否。虚偽ではないかという報道があることを電話で問うと「体験をそのまま書いた」と答えた。済州島でも取材し裏付けは得られなかったが、吉田氏の証言が虚偽だという確証がなかったため、「真偽は確認できない」と表記した。その後、朝日新聞は吉田氏を取り上げていない。

しかし、自民党の安倍晋三総裁が2012年11月の日本記者クラブ主催の党首討論会で「朝日新聞の誤報による吉田清治という詐欺師のような男がつくった本がまるで事実かのように日本中に伝わって問題が大きくなった」と発言。一部の新聞や雑誌が朝日新聞批判を繰り返している。

今年4~5月、済州島内で70代後半~90代の計約40人に話を聞いたが、強制連行したという吉田氏の記述を裏付ける証言は得られなかった。

干し魚の製造工場から数十人の女性を連れ去ったとされる北西部の町。魚を扱う工場は村で一つしかなく、経営に携わった地元男性(故人)の息子は「作っていたのは缶詰のみ。父から女性従業員が連れ去られたという話は聞いたことがない」と語った。「かやぶき」と記された工場の屋根は、韓国の当時の水産事業を研究する立命館大の河原典史教授(歴史地理学)が入手した当時の様子を記録した映像資料によると、トタンぶきとかわらぶきだった。

93年6月に、吉田氏の著書をもとに済州島を調べたという韓国挺身隊研究所元研究員の姜貞淑(カンジョンスク)さんは「数カ所でそれぞれ数人の老人から話を聞いたが、記述にあるような証言は出なかった」と語った。

吉田氏は著書で、43年5月に西部軍の動員命令で済州島に行き、その命令書の中身を記したものが妻(故人)の日記に残っていると書いていた。しかし、今回、吉田氏の長男(64)に取材したところ、妻は日記をつけていなかったことがわかった。吉田氏は00年7月に死去したという。

吉田氏は93年5月、吉見義明・中央大教授らと面会した際、「(強制連行した)日時や場所を変えた場合もある」と説明した上、動員命令書を写した日記の提示も拒んだといい、吉見氏は「証言としては使えないと確認するしかなかった」と指摘している=注①。

戦時中の朝鮮半島の動員に詳しい外村大・東京大准教授は、吉田氏が所属していたという労務報国会は厚生省と内務省の指示で作られた組織だとし、「指揮系統からして軍が動員命令を出すことも、職員が直接朝鮮に出向くことも考えづらい」と話す。

吉田氏はまた、強制連行したとする43年5月当時、済州島は「陸軍部隊本部」が「軍政を敷いていた」と説明していた。この点について、永井和・京都大教授(日本近現代史)は旧陸軍の資料から、済州島に陸軍の大部隊が集結するのは45年4月以降だと指摘。「記述内容は事実とは考えられない」と話した。

■読者のみなさまへ

吉田氏が済州島で慰安婦を強制連行したとする証言は虚偽だと判断し、記事を取り消します。当時、虚偽の証言を見抜けませんでした。済州島を再取材しましたが、証言を裏付ける話は得られませんでした。研究者への取材でも証言の核心部分についての矛盾がいくつも明らかになりました。
さぞや韓国人達は阿鼻叫喚の大騒ぎをしているかと思いきや!

韓国のネット掲示板に「朝日新聞が慰安婦の強制性を認めた」というスレッドが立っていたのでご紹介。スレッドのタイトルに流されたというのもあるでしょうが、この掲示板の住民にとっては、記事の中の、「戦争中、日本軍兵士の性の相手になることを強要された女性がいた事実は消すことはできない」「慰安婦として自由を剥奪され、女性としての尊厳を踏みにじられたことが問題の本質だ」という文章の方が、吉田証言の取り消しよりもインパクトが大きかったようです。
韓国人は頭が悪いかいかれてるのだろう。朝日が過去の慰安婦の強制連行があったことを撤回するという話にもかかわらず、朝日が強制性を認めた話にすり替わっている。おめでたいと言うか、心の底から「ばぁぅかぁ!」と冷笑したくなる。
【ソウル=名村隆寛】朝日新聞が5日付朝刊に自社の慰安婦問題報道について検証記事を掲載したことについて、韓国各メディアは報道の事実を簡潔に伝えた。

夕刊紙、文化日報は、朝日新聞1面に掲載された杉浦信之編集担当の記事内容を主に伝え、2面にわたる特集記事の内容を紹介した。吉田清治氏による「済州島で連行」証言を朝日が虚偽と判断し記事を取り消したことも報じた。

しかし、「尊厳を蹂躙(じゅうりん)された慰安婦(問題)の本質を直視しよう」「性の相手を強要、消せない事実」などとの見出しを掲載。慰安婦問題についての論調に基本的な変化がみられない朝日新聞の報道に同調し、好意的に報じている。
朝日新聞が強制連行の事実はないという爆弾を放ったのに韓国側は鈍感だ。それというのも、朝日は強制連行の事実はないという記事と同時刻に下記記事をUPしている。

「元慰安婦 初の証言」 記事に事実のねじ曲げない        【朝日新聞】2014年8月5日05時00分 

〈疑問〉元朝日新聞記者の植村隆氏は、元慰安婦の証言を韓国メディアよりも早く報じました。これに対し、元慰安婦の裁判を支援する韓国人の義母との関係を利用して記事を作り、都合の悪い事実を意図的に隠したのではないかとの指摘があります。
(略)
批判する側の主な論点は、①元慰安婦の裁判支援をした団体の幹部である義母から便宜を図ってもらった②元慰安婦がキーセン(妓生)学校に通っていたことを隠し、人身売買であるのに強制連行されたように書いたという点だ。
(略)
また、8月11日の記事で「『女子挺身隊』の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた『朝鮮人従軍慰安婦』」などと記したことをめぐり、キーセンとして人身売買されたことを意図的に記事では触れず、挺身隊として国家によって強制連行されたかのように書いた――との批判がある。

慰安婦と挺身隊との混同については、前項でも触れたように、韓国でも当時慰安婦と挺身隊の混同がみられ、植村氏も誤用した。

(略)
■読者のみなさまへ

植村氏の記事には、意図的な事実のねじ曲げなどはありません。91年8月の記事の取材のきっかけは、当時のソウル支局長からの情報提供でした。義母との縁戚関係を利用して特別な情報を得たことはありませんでした。
朝日は元慰安婦の裁判支援をした団体の幹部である義母から便宜を図ってもらったという批判に対し、「挺対協から元慰安婦の証言のことを聞いた、当時のソウル支局長からの連絡で韓国に向かった。義母からの情報提供はなかった」と植村が否定したことを根拠に便宜供与はなかったと強弁している。義母が団体の幹部をしていて、いったい誰が義母からの情報提供はなかったなどと信じるものか!元慰安婦がキーセン(妓生)学校に通っていたことを隠し、人身売買であるのに強制連行されたように書いた理由が「証言テープ中で金さんがキーセン学校について語るのを聞いていない」「そのことは知らなかった。意図的に触れなかったわけではない」という植村記者の証言を根拠に、意図的な事実のねじ曲げではなかったと記事で書いているが。笑わせないでほしい、この記事自体が意図的な事実のねじ曲である。
「当時は研究が乏しかったので挺身隊と慰安婦を同一視した」という言い訳は嘘以外のなにものでもない!女子挺身隊は女性を工場に動員する組織であり、売春婦が含まれるはずがない。日本人なら常識だ。

慰安婦問題の本質 直視を
【朝日新聞】2014年8月5日05時00分 

(略)
慰安婦問題に光が当たり始めた90年代初め、研究は進んでいませんでした。私たちは元慰安婦の証言や少ない資料をもとに記事を書き続けました。そうして報じた記事の一部に、事実関係の誤りがあったことがわかりました。問題の全体像がわからない段階で起きた誤りですが、裏付け取材が不十分だった点は反省します。似たような誤りは当時、国内の他のメディアや韓国メディアの記事にもありました。

こうした一部の不正確な報道が、慰安婦問題の理解を混乱させている、との指摘もあります。しかし、そのことを理由とした「慰安婦問題は捏造」という主張や「元慰安婦に謝る理由はない」といった議論には決して同意できません。

被害者を「売春婦」などとおとしめることで自国の名誉を守ろうとする一部の論調が、日韓両国のナショナリズムを刺激し、問題をこじらせる原因を作っているからです。見たくない過去から目を背け、感情的対立をあおる内向きの言論が広がっていることを危惧します。

戦時中、日本軍兵士らの性の相手を強いられた女性がいた事実を消すことはできません。慰安婦として自由を奪われ、女性としての尊厳を踏みにじられたことが問題の本質なのです。
(略)
どうも朝日は吉田清治の嘘以外は認めないとの姿勢のようです。
慰安婦は売春婦であり、戦前の日本では売春は合法であり、吉原や遊郭の歴史を見ればわかる。朝日新聞は「軍が強制連行した」という証拠が出せなかったからその後の朝鮮戦争やベトナム戦争での朝鮮人売春婦、現在世界中に売春婦を輸出している韓国のことを一切批判せずに、「女性としての尊厳」に問題をすり替えをしているのだ。朝日新聞は朝鮮伝統の妓生(キーセン)すら批判するつもりであろうか?
なら、第二次世界大戦の日本だけ批判する理屈はまったく正当性に欠ける!

慰安婦問題の本質は女性の人権といった一般論ではなく、強制連行の有無である。民間の商行為に河野談話のように政府が謝罪する理由はない。
朝日新聞の誤報から韓国に飛び火し、河野談話で日本政府が認めたと御朱印状を得たとのごとく訂正せず、くり返し「強制連行」を糾弾し続けた。

朝日新聞は自国政府を批判する為に、ありもしない慰安婦の強制連行をでっち上げ、日本政府は韓国に対する加害者であり、その罪を永久に謝罪しろと韓国をそそのかしたのである。第二次大戦当時の朝鮮半島は日本の領土であり、日本は韓国と戦争はしていない。旧植民地に謝罪した宗主国はなく、日韓条約でも謝罪はしていないのだ。

朝日は慰安婦問題を強制連行から女性の人権にすり替え、中韓が日本を貶める「歴史問題」を蒸し返す原因となっている。日本政府が韓国に対して謝罪する理由はどこにもない。朝日新聞は慰安婦問題の元凶となった吉田清治の虚言を認めたのなら、そのことによって日本の国益が棄損したわけである。国会で追及されるべきであろう!
自民党の石破茂幹事長は5日、朝日新聞が同日付朝刊で慰安婦報道での誤報を一部認めたことに関し「検証を議会の場で行うことが必要かもしれない。真実が何かを明らかにしなければ平和も友好も築けない。書いた者として責任を果たしてほしい」と述べ、朝日新聞関係者の国会招致を求める可能性に言及した。党本部で記者団に語った。

石破氏は「糾弾するとかいう話ではなく、国民の苦しみや悲しみをどう解消するかだ。わが国だけでなく、取り消された報道に基づき、日本に怒りや悲しみを持っている国、韓国に対する責任でもある」と指摘。「地域の新しい環境を構築するために有効だとすれば、そういうこと(国会招致)もあるだろう」と述べた。ただ「現時点において何ら確定しているものではない」とも語った。

また、「有力紙たる朝日新聞が吉田(清治)氏という人の証言に基づき、慰安婦問題を世論喚起し国際的な問題となってきた。それを取り消すなら、今までの報道は一体何だったのか」と批判。「なぜ社会の木(ぼく)鐸(たく)、公器たる新聞が十分な裏付けもないままこういうことをしたのか、疑問が氷解したわけではない」と述べ、さらなる説明が必要だとの認識を示した。
石破幹事長は正論である。朝日の元記者植村隆の他、河野洋平と福島瑞穂を証言台に立たせるべきであろう!「河野談話」によって裏付けがないにもかかわらず政府によって公認されてしまった。その事が問題を政治的に大きくして日韓関係に大きな障害になってしまったどころか、国際社会からも、日本が謂れなき女性の権利を侵した国とされかけている。
冗談じゃない!もう日本は黙ってはいないのだ、国家として謂れなき批判を是正すべきである。
韓国が喧伝する、いわゆる従軍慰安婦のデマは、いまや世界中に拡散し、欧米では「慰安婦=性奴隷」という誤ったイメージが定着してしまっている。その原点は、朝日新聞が報じた強制連行の「誤報」だろう。

かねて朝日の報道をめぐっては、多くの識者やメディアから批判があったが、朝日は依然としてその過ちと向き合おうとしない。そんななか、朝日新聞元ソウル特派員として慰安婦問題を取材した記者の前川惠司氏(現ジャーナリスト)が、告発の声を上げた。

* * *

1991年5月22日付の大阪本社発行の朝日新聞の、「木剣ふるい無理やり動員 従軍慰安婦 加害者側の証言(手紙 女たちの太平洋戦争)」には、「自分は朝鮮半島で950人の女性を強制的に連行して慰安婦にした」と、告白する著述業・吉田清治氏(故人)の証言を大きく伝えた。

実は、私が川崎支局員だった1980年ごろに、「朝鮮人の徴用について自分はいろいろと知っているので、話を聞いて欲しい」と電話してきたのが、吉田氏だったことがある。

横浜市内の彼のアパートで3~4時間は話を聞いた。大筋は、当時、警察に直結し、炭鉱などへ労働者を送り込む組織である山口県の労務報国会にいて、朝鮮の慶尚北道に行き、畑仕事をしている人たちなどを無理やりトラックに乗せて連れ去る「徴用工狩り」をした、ということだった。

奇妙なことに、彼はその時、その後に「告白」する「慰安婦狩り」にまるで触れなかった。当時の記憶は薄らいでいるが、それでも、彼の話には辻褄が合わないところもあった。

当時、私は、地方版で「韓国・朝鮮人」という連載を続けており、ちょうど、朝鮮人軍属の体験を書いていたので、吉田氏は、その記事を読んで電話をしてきたのだろうが、すでにたくさんの在日の方を取材し、徴用工だった人からも話を聞いていた。

吉田氏が証言した、集めた徴用工を釜山港で船に乗せるときに「手を縛り、数珠つなぎにした」という話は聞いたことがなかった。山口県の報国会の「朝鮮人狩り」なら、徴用工を連れてくるのは、山口県内で働かせるためだろうから、どこに連れて行って働かせたかを尋ねると、行った先の現場などの名前ははっきりしなかった。重ねて尋ねると、「当時、朝鮮人はモノ扱いだったから」というような返事だった。

余談だが、日本支配下の朝鮮は、経済的な理由や、重苦しい鬱屈した気持ちや、明日を捜そうと、朝鮮から脱出し、日本に行きたい人はたくさんいた。日本は当初、朝鮮半島出身者の流入を抑えたが、長引く戦争で、本土の労働力の穴埋めに徴用に踏み切った。徴用を日本行きの好機とした逞しい人も多かったはずだ。

朝日新聞は、吉田氏の「慰安婦狩り」の証言を何回か紹介したようだが、私は、ソウルで伝手をたどり、「戦争中に日本兵や日本人警官に無理やり連れて行かれた娘がいたか。そんな噂を聞いたことがあるか」 と60歳を超えた友人の母や、新聞社の幹部、元軍人、大学教授などに尋ね回ったが、そんな噂を聞いたという人は、一人もいなかった。

ある人の返事は、「日本人が無理やり娘をさらったりしたら、暴動が起きましたよ」
日本支配下の1929年に、列車の中で日本人男子中学生が朝鮮人の女子生徒をからかったことがきっかけで、生徒同士のけんかになり、とうとう大規模な独立運動にまでなった「光州学生事件」は、有名な出来事だ。そのようなことも合わせれば、日本の官憲が朝鮮人女性を暴力的に戦地へと連れ去ることなどはできることではないし、また、必要もなかったというのが私の判断だった。

すでに朝鮮には、日本の公娼制度が持ち込まれ、あちこちに売春地区があった。女衒は、もう戦争前からあふれていた。そして、哀しい話だが、当時の日本本土と同様に、娘を売る親はいくらでもいた。

ところで、吉田氏は、1992年8月12日にソウルに現われた。韓国で元従軍慰安婦を支援している団体である、「太平洋戦争犠牲者遺族会」に呼ばれ、亡くなった元慰安婦に謝罪し、慰霊するためだと、ソウルにある韓国プレスセンターで記者会見をした。

吉田氏を取材したのは、彼が、朝鮮半島で慰安婦狩りをしたと書いた、『私の戦争体験 朝鮮人強制連行』(三一書房)を出版する1983年より前で、私は10余年ぶりの彼を見た。

ひょろひょろとしていて、幾分か痩せたような気がしたが、ぬるっとした感じは変わらなかった。
私は、「このうそつき」と言う目で見ていたが、記者会見では、他社の特派員も、済州島での慰安婦狩りについて、執拗に聞き続けるので、彼はちょっとしどろもどろになった挙げ句、会見の席上で怒り始めたように記憶している。

韓国社会を熟知している各社の特派員は、吉田氏の証言を端から疑っていたのだ。朝日新聞だけでなく、ほかの新聞社も、従軍慰安婦問題の記事は、ソウル特派員ではなく、それぞれ本社の社会部などの記者が活躍していた気がする。

結局、吉田氏は1996年には慰安婦狩りは「創作」だったと認めた。証言は、ドラマのような話だったのである。横浜のアパートで、慰安婦狩りを語らなかったのは、まだ、シナリオが十分に練られていなかったからだったか。

ソウルの記者会見で話す吉田氏を写した写真を後から見ると、私の座っている方に顔を向けている写真は一枚もないのに気が付いた。

それにしてもなぜ、慰安婦狩りと言う「物語」が、かくも事実として広まったのか。しかも、いまも、「吉田氏は、実際にはしなかったかもしれないが、本当に済州島で慰安婦狩りをした部下の話を聞いて、しゃべったのだ。だから、証言は本当だ」と主張する人たちがいるのも事実だ。

私は、済州島を自転車で走ったことがある。急げば一周に2日もかからない、小さな島だ。女狩りのようなことが起きれば、あっという間に、島中に知れ渡り、今でも語り継ぐ古老がたくさんいるに違いないのだが。

韓国の繁華街で白昼、普通の娘がいきなりさらわれ、売春街に売り飛ばされることが、頻発し、大社会問題になったことがある。この人さらいのやり方は、乱暴きわまる。街で「獲物」を見つけるや、いきなり殴りかかり、「お前なんで、家を出たんだ」などと叫ぶや、ワゴン車などに押し込んで、連れて行ってしまうのだ。

韓国には昔から、「処女が子を産んでも言うべき言葉がある」という諺がある。まあ、女性の一種の気の強さを言っているわけだが、夫婦喧嘩でも派手に夫に逆らう姿に慣れているから、街中で必死に女性が抵抗し騒ごうが、周りは夫婦喧嘩か、と思い込んでまるで気にしないという、ウソのような、韓国社会ならではの手口だ。

李朝時代には、未亡人を再婚させるときには、相手に「拉致」させた。貞操を守ろうとしたが、無理やりにという形にして、体裁を繕うためだ。

儒教道徳の強い韓国では、「慰安婦にされた娘がいても、口にしたりしない」という人もいるが、他家の噂話にはあけすけなのも韓国だ。おばあさんたちの証言をはっきり裏付ける話が、知る限りでないのが気になるのは私一人だろうか。
※SAPIO2014年9月号

私が今でも不思議に思うのは、「朝鮮人強制連行」が虚構であることを知っている人はいくらでもいたはずなのに、日本社会がその誤謬(ごびゅう)を訂正しようとした形跡が見当たらないことである。これが火種になって、今日これほどの大問題に発展するとは思わなかったということなのだろうか。

そればかりではない。1982年には、教科書の検定基準に、中国・韓国などとの戦争の記述に配慮せよという趣旨の「近隣諸国条項」と呼ばれる一項が加えられた。その運用の指針として、文部省の内部文書では、「神社参拝」「創氏改名」などと並んで、「強制連行」も検定意見を付けない事項、言い換えれば教科書の著者の書き放題を認める事項に入れられていたのである。

それによって80年代以降の歴史教科書で「朝鮮人強制連行」は定番のアイテムとなった。

後に「詐話師」として虚名をはせる吉田清治氏が慰安婦を奴隷狩りしたと「告白」した本を刊行したのは83年のことだ。題して『私の戦争犯罪 朝鮮人強制連行』(三一書房)。韓国・済州(チェジュ)島の貝殻工場での奴隷狩りの場面は次のような調子である。

《「体格の大きい娘でないと、勤まらんぞ」と山田が大声で言うと、隊員たちは笑い声をあげて、端の女工から順番に、顔とからだつきを見つけて、慰安婦向きの娘を選びはじめた。若くて大柄な娘に、山田が「前へ出ろ」とどなった。娘がおびえてそばの年取った女にしがみつくと、山田は木剣で台を激しくたたいて威嚇して、台を回って行って娘の腕をつかんで引きずり出した。山田が肩を押さえて床に坐らせると、娘はからだをふるわせ声を詰まらせ、笛のような声をあげて泣きじゃくった》

こうして吉田氏は済州島で205人の慰安婦狩りに成功したと懺悔(ざんげ)しているのだが、これは完全なつくり話であることが9年後に暴露されてしまった。

しかし、その9年間は、吉田氏の創作が事実として信じ込まれていた期間となる。吉田氏は全国を講演して歩き、韓国まで行って土下座した。韓国では、吉田氏の劇画調のストーリーに合わせたテレビドラマが制作・放映された。「現代のベートーベン」と持ち上げられた佐村河内守氏の作曲者偽装騒動もひどかったが、吉田氏もそれに勝るとも劣らない大成功を収めたのだ。

肝心なことは、初めに「朝鮮人強制連行」という実体のない言葉がつくられ、その言葉が喚起するイメージに合わせて「事実」の「創作」が行われたことだ。

強制連行の対象を一般の労働者から慰安婦に広げたところが吉田氏の独創的なアイデアであり、これをほとんどの日本人が信じ込まされたのである。
韓国中国に限らず米国もの歴史認識に関して、日本を叩く材料としてオバマ大統領は韓国で従軍慰安婦に対する声明をパククネ大統領との記者会見で表明した。
ところがその直後から慰安婦問題は米国に飛び火しはじめた。

「米軍慰安婦」が存在?122人が韓国政府を訴える 日本では「韓国に大ブーメラン」と大盛り上がりj-cast2014/6/26 18:19

韓国が中国に寝返ろうとしている。米国も慰安婦問題でいつまでも韓国側にたつ謂れがなくなった。
慰安婦問題の裏側には米国による日本をコントロールしようとする力が作用していたのだが、韓国の裏切りで米国も慰安婦問題の幕切れを考えるようになったのだろう。朴槿恵は梯子を外されることになる。






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[グラボベ(ウクライナ)17日 ロイター] - マレーシア航空の旅客機が17日、ウクライナ東部で墜落、乗員乗客298人全員が死亡した。ウクライナは親ロシア派武装勢力がロシアの支援を受けて撃墜したと非難、米国も撃墜が濃厚と指摘し、ウクライナをめぐって東西陣営が対立するリスクが高まった。

米当局は地対空ミサイルによる撃墜との見方をしている。バイデン米副大統領は「空中で爆発した」と述べ、米当局者のひとりは親ロシア派がミサイルを発射したとの疑いが濃厚だと指摘した。

オバマ大統領は、ケリー国務長官や国家安全保障担当幹部と電話でそれぞれ協議し、真相究明の取り組み支援を継続するよう指示した。

ウクライナは軍事諜報当局者の支援を受け、ソ連時代に開発されたSA11地対空ミサイルにより撃墜したとしている。

一方で親ロシア分離独立派の「ドネツク人民共和国」の指導者は関与を否定、ウクライナ空軍のジェット戦闘機が撃墜したと指摘した。ただ親ロシア派は、地対空ミサイルを入手したことを認めており、14日にはウクライナ空軍の輸送機を撃墜していた。

ロシアのプーチン大統領は「悲劇だ」と述べたが、原因については言及しなかった。またウクライナ側が東部での武装勢力への軍事作戦を再開しなければ発生しなかったとの見方を示した。

親ロシア派武装勢力に対する軍事行動を強化しているウクライナのポロシェンコ大統領は、テロリストの仕業として「ウクライナだけでなく欧州や世界的な安全保障への脅威」と述べた。

国連の潘基文事務総長は、原因究明のため「徹底的かつ透明性が確保された国際調査」を求めた。18日には国連安全保障理事会の緊急会合を開く予定。

墜落したのはアムステルダム発クアラルンプール行きのボーイング777型マレーシア航空17便で、ドネツク市近郊に墜落した。ロイターの記者は、ロシアとの国境から約40キロ離れたグラボベの村で、墜落した機体の残骸と遺体を確認した。

マレーシア航空によると、搭乗していたのは乗客283人と乗員15人の298人。国籍の内訳は、オランダ人154人、マレーシア人28人、オーストラリア人27人、インドネシア人11人、英国人6人、ドイツ人4人、ベルギー人4人、フィリピン人3人、カナダ人1人。乗員は全員がマレーシア人で、その他の国籍は今のところ不明。

ウクライナの情報当局は、ロシアの情報当局者の電話での会話の録音を公開。ロシアが支持する武装勢力が航空機を撃墜したとする内容だった。マレーシア機の機影がレーダーから消えた午後4時20分(日本時間午後10時20分)の数分後で、会話内容からは武装勢力側は墜落機を発見するまでウクライナの軍用機を撃墜したと判断していたことが示唆された。

ドイツのシュタインマイヤー外相は「現時点では事故ではなく撃墜されたようだ」と述べ、オーストラリアのアボット首相は「ロシアの支援を受けた武装勢力が撃墜したようだ」との見方を示した。

マレーシア機は高度3万3000フィートを飛行中に機影がレーダーから消えた。

この高度は、親ロシア派武装勢力がウクライナ軍のヘリコプターなどを狙って通常使用しているミサイルでは届かない。しかしSA11ならば撃墜可能。

ロシアのメディアによると、親ロシア派は少なくともSA11を1発取得し、14日にウクライナ軍のアントノフAn26型輸送機を撃墜したという。ウクライナ当局も、輸送機撃墜と、16日にはスホーイSu25型ジェット戦闘機が撃墜されたと認めている。

親ロシア武装勢力の一派は、1337GMT(日本時間午後9時37分)に、An26型機を撃墜したとソーシャルメディアで公表した。マレーシア機が、この時間帯にウクライナ東部を飛行していた可能性もある。

米国のオバマ大統領はロシアのプーチン大統領とウクライナ問題をめぐり電話会談を行っていたが、会談の終盤でプーチン氏がロシアとウクライナとの国境近くに墜落した旅客機の一報を伝えた。

アーネスト報道官によると、オバマ大統領はスタッフから墜落に関して報告を受けた後、ウクライナ当局と引き続き緊密に連絡を取り合うよう指示した。

マレーシア航空は飛行ルートは国際機関により安全とされていたことを明らかにした。

豪カンタス航空は数カ月前から、韓国の大韓航空やアシアナ航空は3月3日からウクライナ上空を避ける飛行ルートをとっていたという。アシアナ航空はウクライナ情勢の悪化が要因としている。
なんということだろう、2014年はマレーシア航空史上、いやマレーシア建国以来の悲劇の年と記録されるだろう。4カ月ほどの間に2度の墜落を経験した航空会社は、かつて存在しない。

3月8日乗員乗客239人と消息を絶ったマレーシア航空370便は消息不明から4か月、未だ発見されていない。そして日本時間の7月17日午後10時20分ごろ、マレーシア航空のアムステルダム発クアラルンプール行きのNH17便とみられる航空機が、ウクライナ東部ロシア国境近くで墜落した。乗員15人と乗客280人のあわせて295人全員が死亡したとみられると報じられている。

ウクライナ政府軍は、高度1万mまで届くロシア製地対空ミサイル9K37ブークを、ウクライナ東部に27台展開している。親ロ派武装勢力がウクライナ軍からこのブークを奪い、未熟なコッサック兵がウクライナの輸送機と誤認して撃ち落としたことで間違いないだろう。 

民間航空機を撃墜する意図メリットはウクライナ政府軍、親ロシア派ともにないので完全に誤射であると思う。

統制力のある司令部から命令を受けるような状況であれば、民間機を撃墜するすることはなかったかもしれない。しかし、2001年には現場近くでシベリア航空機撃墜事が発生している。ウクライナ政府軍が演習中、イスラエルのテルアビブからロシアのノボシビルスクに向けて飛行中のロシアの航空会社シベリア航空(現・S7航空)1812便のツポレフTu-154Mを、黒海上空で乗員乗客78名を撃墜した事件である。 平時ですらそのような悲劇を起こす国柄である、軍隊の体を成していない武装勢力が誤射することは十分あり得る。

現在のウクライナ上空は戦闘が行われている空域ですので、撃墜される危険性はあった。しかし、ICAO(国際民間航空機関)は、ウクライナ東部上空の飛行回避勧告を出していませんでしたが、日本やアメリカの航空各社は、この地域を飛行禁止にしていたが、ルフトハンザなど欧州各国の航空会社などは現場上空を通過していた。マレーシア航空は最短距離というコスト面を優先していた可能性がある。むしろ、マレーシア航空機側にも責任の一端はある。

民間機撃墜事件といえば、1983年の大韓航空機撃墜事件は、予定された空路を大きく外れて当時のソ連の領空に大きく侵入し飛び続けたので、領空侵犯で撃墜される理由があった。また、大韓航空機撃墜事件は追跡したSu-15戦闘機による意図的な撃墜だった。 1988年7月3日にホルムズ海峡に停泊していたアメリカ海軍のミサイル巡洋艦「ヴィンセンス」がイラン航空のエアバスA300B2を撃墜し子供66人を含む290人の乗員乗客が全員死亡したイラン航空655便撃墜事件も忘れてはいけない

武装勢力側も自分達が引き起こした悲劇を深刻に受け取っているようだ。
ウクライナ保安局は17日、東部でのマレーシア航空機墜落に関連し、地元の親ロシア派武装勢力のメンバーがロシア軍幹部に「撃墜を報告した」とする会話の盗聴記録を公表した。保安局は、親露派が民間機を軍用機と誤認して撃墜した証拠と主張しているが、真偽は不明。

欧米メディアによると、公表された会話の一つは墜落20分後のものとされ、親露派勢力の指揮官とされる人物がロシア軍の情報将校に「われわれは飛行機を撃墜した。機体を捜索、写真撮影に向かっている」と報告。「どのぐらい前のことだ」との質問に「約30分前だ」と答えている。

別の会話は親露派勢力同士のもので、「飛行機は空中でばらばらに破壊された。われわれは最初の犠牲者を見つけた。一般市民だ。民間機なのはほぼ百パーセント確実だ」などのやりとりが聞かれたという。(共同)


これを期にウクライナ政府軍、親ロシア派が停戦交渉を始めたとラジオのニュースは伝えている。今回の誤射事件では戦闘のエスカレーションではないと思うが、いいかげん無意味な戦闘は中止すべきであろう。

戦闘を長期化させ、状況の泥沼化を招いているのは、ウクライナとロシアの両方の責任ではある。元々はウクライナが航空機爆撃を行い一般市民を殺傷、ロシアが武装勢力に対する影響力を行使すべきであろう。
 今回の撃墜事件で、親ロシア勢力がロシアのエージェントに撃墜を報告している音声が世界中に配信された。ロシアは事態収拾を志向するかのようなそぶりもみせている裏で、親露派への武力支援をしてきたことが露見してしまった。
青山氏はプーチンが武装は勢力にミサイルを提供したと言っているが、下に張ったリンク記事のAFP電によれば、武装勢力側がウクライナの地対空ミサイルA1402連隊から自走式ブーク(Buk)地対空ミサイルを奪ったとも投稿されているので、ロシア側から提供されているとは限らないと思う。
 プーチン大統領は、てウクライナ南部のクリミアを武力併合し、さらに親ロ派武装勢力を支援していることが露見してしまったのだ。だが、逆を言えばプーチン大統領はが唯一この地域の戦闘を終結させる能力がある。
 ウクライナもプーチンと話し合い、無関係な人々まで巻き添えにした今回の惨劇を機に、ウクライナ危機解決に全力を挙げてもらいたい。

私もつい一週間前家族とともにハワイアン航空でハワイへ行ったばかりだが、狭い機内で乗客は何が起きても、機体と共に運命をともにするだけで、成すすべはない。乗客乗員の皆さんは、なすすべもなく機外に投げ出され数分をかけ地上に激突したかと思うと、その恐怖、無念さは測り知れない。せめて、多くの乗客の方が墜落時に気を失い、気を失った状態で地上に激突したと願いたい。

【7月18日 AFP】(一部更新)ウクライナ東部で17日にマレーシア航空(Malaysia Airlines)機が墜落したと発表される前に、同国からの分離独立を求めている親露派がウクライナ軍の輸送機を撃墜したというコメントを交流サイト(SNS)に投稿したが、後になってそのほとんどを削除していたことが分かった。

親露派は17日午後、ウクライナ軍との戦闘が続く東部の工業地帯上空を飛行中のウクライナ軍機少なくとも1機を撃墜したとの最初の一報を投稿した。

一方的に独立を宣言している「ドネツク人民共和国(Donetsk People's Republic)」の自称防衛相イーゴリ・ストレルコフ(Igor Strelkov)氏は、ロシアの交流サイト最大手「フコンタクチェ(Vkontakte)」 の自身のページに、「たった今、トレーズ(Torez、ドネツク州の都市)近郊でアントノフ26(An-26)型機を撃墜した」と書き込んでいた。

ストレルコフ氏はさらに「これが『鳥が落ちた』ことを証明する動画だ」と書き込んだ。同氏のページには、マレーシア航空機についてウクライナのメディアが報道したものと完全に一致する情報へのリンクが掲載された。

この書き込みは直後に削除されたが、ウクライナ東部の同国軍司令部はこの投稿が表示されたディスプレーの画像を保存しており、英文の報道機関向け発表に添えて公開した。

ストレルコフ氏のものとされる書き込みでは、同機の撃墜に使用されたミサイルの詳細は明らかにされていない。しかしドネツク人民共和国は、その数時間前にマイクロブログのツイッター(Twitter)の公式アカウントから次のように投稿し、墜落したマレーシア航空機が飛行していた高度1万メートルまで到達可能なロシア製ミサイルを親露派が手に入れていたことを明らかにしていた。

「@dnrpress:DNRは(ウクライナの)地対空ミサイルA1402連隊から自走式ブーク(Buk)地対空ミサイルを奪った」。この投稿も後に削除された。

ロシアの国営メディアはこれらの書き込みについては言及しておらず、ウクライナ空軍がマレーシア航空機を撃墜したという親露派指導者の発言を伝えている。

■露工作員との通信で悪態

その後、ウクライナ政府を強く支持している野党系ニュースサイト「ウクライナ・プラウダ(Ukrainska Pravda、ウクライナの真実)」は、撃墜後に親露派のメンバーとロシアの工作員が行った通信を傍受して録音したとされる音声を公開した。

その中でベース(悪霊)と名乗る親露派メンバーがロシア軍情報機関将校とされる人物に対し、「たった今、飛行機を撃ち落とした」と話していた。また別の録音では、戦闘員らしき人物が飛行機の残骸が残る墜落現場から、「100パーセント間違いなくこれは民間機だ」と報告している。

この戦闘員は、乗客がたくさん乗っていたかどうかと質問されると、ロシア語で悪態をついたという。(c)AFP/Dmitry ZAKS
ドネツク人民共和国(Donetsk People's Republic)」の自称防衛相イーゴリ・ストレルコフ(Igor Strelkov)は世界的なバカッターとなった。



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1920年代からソ連邦の崩壊にいたるまで、アメリカの外交戦略には、明確なパターンがあった。それは「共産主義に対抗するために独裁者を援助し、育てる」というものである。この最初にして最悪の例がヒトラーのナチスだったといえる。第一次世界大戦で焼け野原となったドイツが、十数年後にはヨーロッパを席巻する軍事大国になれたのは、ブッシュ大統領の一族など、アメリカ政財界の親ナチス派の援助に負うところが大きかったのだ。戦後、この親ナチス・エリート集団は、反共工作のために各国の独裁者、麻薬王、そしてイスラム過激派とも手を組んだが、多くの場合、最終的にはみずからが育てた独裁者たちと対峙することになった。本書は、アメリカ外交の舞台裏で暗躍したこの黒い人脈にスポットライトをあてる、きわめて刺激的なノンフィクションである。
エドワード・スノーデンが、インテリジェンス村の掟を破ってしまった。 米中央情報局(CIA)や国家安全保障局(NSA)米連邦捜査局(FBI)が、米通信会社ベリゾンから膨大な数の通話記録を入手したことを示す文書や「プリズム」と呼ばれる極秘計画の下で、NSAが大手のインターネット会社のサーバーに直接アクセスしてEメールやチャット、ビデオ、フェース・ブックなどを見ているというウィキリークスでも暴露された公然の秘密をばらしてしまった。
メルケル独首相の携帯電話をめぐる盗聴疑惑も発覚したことで欧州は硬化し、米国の立場は厳しくなってしまった。シリア問題、米国債務の上限問題の茶番劇、国際的な信頼と求心力を失ったオバマ大統領は、残りの任期3年を残しはやくもレイムダック化してしまった。オバマは予想通りの黒人で、ちょっとだけ演説が上手だけれど米国の威信を落とす無能な大統領と烙印が押された。今後50年は黒人大統領は出ないだろう。
しかし、インテリジェンスに興味がある人間にとって米国がそのようなことをしていることは公然の秘密であって、インテリジェンスについてある程度知識がある人間であればニュースにすらならない。盗聴疑惑でいかにも驚いたような記事を書いている記者もおそらく当然知っているのだから人が悪い。人間は社会が出来た時点で公然の秘密を持つものである。公然の秘密を隠すために人はパンツを履くのであって、白昼堂々パンツの中を見せてはいけないのである。
でも、密かにはパンツの中身を見たい・・・それがオトコ人間のサガかもしれません。インテリジェンスを知るということは一種のエロかもしれまん。
本書は2002年まだ9.11直後米国のインテリジェンス能力について私をはじめ多くの好事家が興味を持ち出した頃に出た本であった。
ヘブライの館でも取り上げられ、当時阿修羅BBSでちょっと話題となっていました。
今回文庫本になって私は初めて全部読んだのだが、大変面白かった・・
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菅原 出 プロフィール

1969年、東京生まれ。中央大学法学部政治学科卒。平成6年よりオランダ留学。同9年アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。国際関係学修士。 在蘭日系企業勤務、フリーのジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英危機管理会社役員などを経て、現在は国際政治アナリスト。会員制ニュースレター 『ドキュメント・レポート』を毎週発行。著書に『外注される戦争』(草思社)、『戦争詐欺師』(講談社)、『ウィキリークスの衝撃』(日経BP社)などがある。

P15-18
アメリカ主導のドイツ復興プロジェクト
第一次世界大戦により打撃を受けたドイツ経済の再生を、まるでわがことのように考える国が、ドイツの他にもう一国存在した。他ならぬアメリカ合衆国である。アメリカはもともとドイツに対して過酷な賠償負担を強いて、ヨーロッパの中心に位置するこの大国を弱体化させることに反対だった。
ドイツが政治的・経済的に不安定になることで、世界の政治や経済の安定が脅かされることを懸念したためである。第一次世界大戦中、アメリカはその資本、産業、余剰農産物の大部分をヨーロッパ大陸に輸出していた。ヨーロッパ市場は成長いちじるしい新興国家アメリカにとって大事なお客さんだった。しかし第一次世界大戦後にヨーロッパ大陸を襲ったインフレの波は、アメリカの輸出を脅かし、とりわけドイツの不況がヨーロッパ経済全体の足を引っ張り、間接的にアメリカ経済にも影響を及ぼすようになっていた。
当時アメリカ最大の銀行だったJ・P・モルガン商会の共同経営者トマス・ラモントは、「アメリカはヨーロッパの復興に乗り出さなくてはならない。ヨーロッパはアメリカ最大のお客さんであり、アメリカ産の穀物、綿花、銅やその他の一次産品を購入してくれる最大の顧客なのだ。われわれが自国の産業と商業活動を回復させ、かつての繁栄を取り戻そうとするならば、ヨーロッパの復興のために力を注がなければならない」と述べ、当時のアメリカ政財界エスタブリッシュメントの意見を代弁している。
ヨーロッパは世界経済の中心であり、そのヨーロッパの中心がドイツであった。そこでアメリカのエリートたちは、ドイツ経済の安定を取り戻すことがアメリカの国益に見合うものと考えたのである。
また共産主義の脅威も、アメリカのドイツ政策に影響を与えた一因であった。ロシアを共産化したボルシェビズムの猛威は、第一次世界大戦後社会的に荒廃したドイツに吹き荒れていた。共産主義のヨーロッパヘの拡大を、アメリカ政財界のエリートだちが望まなかったのは言うまでもない。アメリカはヨーロッパを共産主義の脅威から救うためにも、ドイツを経済的・社会的困窮から救わなければならなかったのである。 
つまりアメリカは理想主義的な考えからではなく、「自国の国益のため」にヨーロッパ、とりわけドイツの安定を望んだのである。しかしそのドイツは、戦勝国から課された天文学的数字の賠償金に押しつぶされ、瀕死の状況に陥っていた。そこでこの賠償金問題をどう解決するかが、ヨーロッパ経済全体、ひいてはアメリカ経済にとって死活問題となっていたのである。
このドイツ賠償金問題の解決に乗り出しだのは、アメリカの民間の銀行家たちだった。一九二四年はじめ、アメリカはドイツ復興のための会議開催を世界に呼びかけ、各国金融問題のエキスパートを集めた国際会議を開催した。シカゴの銀行家チャールズ・ドーズが議長を務めたことから、この会議は「ドーズ会議」と呼ばれるようになる。
ドーズは名高い銀行家であり、第一次世界大戦中は陸軍大将を務め、この国際会議が開催された当時はイギリス駐在のアメリカ大使であった。そしてこの会議を成功させてノーベル平和賞を受賞し、アメリカ合衆国の副大統領にまで昇りつめた多才の人である。ドーズ会議のアメリカ代表は、ドーズの他は、ゼネラルーエレクトリック社の会長オーウェン・ヤングやロスアンゼルスの銀行家ヘンリー・ロビンソンなどアメリカ財界の大物ばかりであった。国家間の関係を決める重要な国際会議を、民間の銀行家がとりしきっている点が興味深い。アメリカの国益を民間の銀行家が代表しているのである。
ドーズは会議に出発する前、クーリッジ米大統領に何か指示があるかどうかたずねたという。すると大統領は一言、 「そうだなぁ、自分がアメリカ人であることを忘れないことだな」と語ったという。
p35-37
ヒトラー政権とアメリカ財界の危険な関係
 ヒトラー政権が誕生して半年以上が経過した一九三三年八月四目の『ニューヨークータイムズ』紙は、ヒトラー新首相がはじめてアメリカの企業家代表団をベルヒテスガーデンに招待した、というニュースを小さなべ夕記事で報じた。ヒトラーに接見したこの代表団は、アメリカの大手通信会社、国際電話電信会社(ITT)の創設者ソスシーンズ・ベーン社長とそのドイツにおけるエージェント、ヘンリー・マンであった。
ITTはすでに一九三〇年にスタンダードーエレクトリツィテーツ・ゲゼルシャフト(SEG)社とロレンツ社という二つの会社を買収してドイツ市場に参入していたが、新しいナチス政府に接近することでさらにビジネスを拡大させようと考えたのである。
 ベーン社長はヒトラーの経済顧問ヴィルヘルム・ケプラーに、ITTのドイツ子会社の取締役候補としてふさわしい人物、つまりナチスと折り合いの良いドイツの財界人を紹介してくれるよう依頼し、ケプラーはすぐにケプラー・クライスの同僚シュレーダー男爵を推薦した。こうしてシュレーダーはITTの子会社SEG社の取締役に就任し、ドイツにおけるITTの事業発展に貢献することになった。
シュレーダーを通じてITTが拡大させた事業は、他ならぬ兵器ビジネスだった。ITTはもともと通信という軍事的に重要な分野に関わっていたが、三〇年代後半にはさらにダイレクトに兵器ビジネスに参入をはしめた。
一九三八年、ITTのドイツ子会社の一つロレンツ社が、ドイツの軍用航空機メーカー、フォッケ・ヴルフ社の株式二十八パーセントを買収したのである。そして同社は一九三八年から一九三九年を通じて、ナチス・ドイツの陸・海・空軍と無数の契約を結び、航空機からレーダー装置や砲弾の導火線 にいたるまで、さまざまな兵器や兵器の周辺機器を生産し、ドイツの再軍備に貢献したのである。
 このITTの例が示りように、アメリカ財界はヒトラーの政権掌握後も対独ビジネスに関する姿勢をほとんど変えていない。一九二二年から一九二五年まで駐独アメリカ大使を務めたアランソン・B・ホートンは、「赤の国よりは独裁国家を望む」とはっきり発言していたが、ドイツ財界が「共産主義の拡大を抑えるためにヒトラー政権を望んだ」ように、アメリカ財界も安定したドイツを求め、強力な指導者を歓迎したのである。
一九三二年五月、ヒトラーが首相に任命される八ヵ月も前に、ウォール街の「仕掛人」の一人アレン・ダレスが、「プロシア議会選挙の様子から察するに、ヒトラー分子のプロシア政府や帝国政府への参加の問題が再燃するでしょう。個人的に私はヒトラーたちの政府への参加が実現することを望んでいます」という手紙を、兄ジョンーフォスターに書き送っていた。
 またジョン・フォスター・ダレスも当時『フォーリンーアフェアーズ』誌などへ盛んに寄稿し、「ヨーロッパにおける独裁者の台頭は、圧迫されているヨーロッパの新興国家が、国家的帝国主義諸国に対して、不均衡の是正を求めるうえで避けることのできない潮流なのだ」との見解を示し、ファシズムを擁護する発言を繰り返していた。
米国は共産主義からの防壁と最大のお客様であるヨーロッパ経済の復興・安定にはドイツの復興が必須であることから自国利益の為にドイツを復興させようとした。
そこに米国が化け物であるヒトラーを育ててしまった土壌がある。歴史は繰り返す、育てた化け物は米国が狩る、ソ連、フセイン、ビンラビン、・・・・そして次は中国だろう。
P61-66
 ヒトラーの主張を利用したアメリカの外交戦術
こうしてイギリスが宥和政策によってドイツとの緊張緩和の道を探っていた時代、アメリカはどのような外交政策をとっていたのだろうか。前章で見たとおりアメリカ財界は当時、ドイツ・ビジネスに熱狂し、ドイツ財界と緊密な協力態勢を築いていた。
アメリカ政府のこの時期の外交戦術は実にしたたかだった。アメリカ政府、特に日本の外務省に相当する国務省は、ヒトラーの経済的要求を最大限に利用して、自国の利益を拡大しようと努めていた。当時アメリカが抱えていた外交課題は、イギリスが保護貿易政策によって、アメリカの農業製品を締め出しにかかっていたことだった。そこでアメリカはヒトラーの主張を利用することによって、イギリスに保護貿易政策を止めさせるよう圧力をかけたのである。
国務省は、アメリカ農業製品の輸出市場を拡大することを、その使命の一つと位置づけていた役所である。当時アメリカの農家にとって、貿易量という点からみてもっとも重要な海外の市場は、イギリスであった。しかしイギリス政府は、一九三二年以来保護貿易政策を採用していたため、アメリカ農業製品のイギリスヘの輸出に大きな壁となっていた。そこでアメリカ政府は、ヒトラーが主張する「海外市場や天然資源への平等なアクセス」という要求を認めることによって、イギリスに保護主義政策を止めさせようとしたのである。
実にハイレペルの外交戦術だが、この作戦を考案したのは、国務長官のコーデル・ハルであった。ハルはヒトラーやムッソリーニの植民地要求の正当性を認めて次のように語っていた。「彼ら(ヒトラーヽとムッソリーニ)は、植民や移民のために植民地を欲しがっているわけではない。国家の成長を持続させるために必要な資源を、どこかで見つけようとしているだけだ。彼らは天然資源と市場を欲しがっているが、アメリカやイギリスはそれを必要以上に保有している」
ハル国務長官は、「イギリスが市場を閉鎖し他国を排除しているので、ドイツやイタリアの独裁者の要求はきわめて論理的なものだ」と考えていたのである。ハルはまた「今ドイツに対して閉鎖的な経済政策を止めさせようとしているのに、他国がそれをしていたのでは話にならない」と主張し、イギリスに対して保護貿易政策を断念するよう、強く要求したのである。アメリカはこのように強烈な外交的プレッシャーをかけ続け、イギリスを交渉の場に引きずり出し、そして遂に一九三八年十一月に英米貿易協定を締結し、イギリスの保護貿易政策の一部修正を勝ちとっている。
アメリカ政府はつまり、ヒトラーを止めるどころか、ヒトラーの主張を自国の利益のために積極的に利用していたのだった。                       
  開戦直後にはしまった和平工作
このように一九三〇年代の後半、ヒトラーは着々と戦争準備を進め、東方へ向けて勢力の拡大を続けていたが、イギリスは宥和政策でヒトラーを野放しにし、アメリカも自国の利益を拡大するためにヒトラーの主張を認めていたのだった。この英米両国の反応を見て、ヒトラーが調子づいたとしても不思議ではない。
ヒトラーはミュンヘン会談において、「ズデーテン地方は、私がヨーロッパにおいてなすべき最後の領土的要求である」と発言したにもかかわらず、その下の根が乾かぬ六カ月後にはプラハに進撃して占領下におさめていた。このミュンヘン協定違反なイギリス世論を硬化させ、イギリス国民は急速に宥和政策に批判的になっていく。そしてイギリスは一九三九年九月に、ヒトラーがポーランドを侵略するに及んで、ドイツに対し宣戦を布告した。一応このときが第二次世界大戦の開始の日とされている。
しかし、これでイギリスの対独宥和政策が終わったわけではなかった。一般にはあまり知られていないが、この一九三九年九月から一九四〇年四月までの六ヵ月間は、英仏とドイツとの間で本格的な戦闘はほとんど行なわれていなかった。歴史学的にはこの期間は「偽りの戦争」とか「奇妙な戦争」の時期と呼ばれている。
確かに奇妙な話だ。いったいこの半年間に何か行なわれていたのだろうか。実はこの期間、イギリスとドイツの間では、ひたすら和平のための秘密交渉が行なわれていたのである。ヒトラーがポーランドヘ侵攻した翌日の九月二目、当時のイギリス内務大臣は、ドイツ人のジャーナリスト・グループに対して、「われわれはさまざまな事情から宣戦を布告するのを避けることはできないが、だからといってただちに全力を尽くして戦うことなしに、宣戦布告文書を履行することができるのだ」と語り、「宣戦布告が即戦闘を意味するわけではない」という考えを明らかにしていた。実際チェンバレン政権はこうした態度で、「奇妙な戦争」を戦っていたわけである。
この間、英独間には和平のための密使が激しく往来していた。九月四目、スウェーデンのコンツェルン、エレクトロラックス社の取締役ビルガー・ダーレルスがイギリスの外交官フランク・ロバーツ卿に接触し、ナチス・ドイツのナンバー2、ヘルマン・ゲーリングからのメッセージを伝えている。ダーレルスはイギリスとドイツの政財界に素晴らしい人脈を持っており、この手の任務にはもってこいの人物だった。
ゲーリングはダーレルスを通じて、「和平交渉をばしめるために個人的にロンドンを訪れる用意がある」ことを伝え、イギリス側ではハリファックス外相がこのオファーに興味を示しか゜外相はこのスウェーデンの財界人にさらに具体的な和平の条件を持ってくるよう要請した。
これに気をよくしたゲーリングは九月二十六日にダーレルスを直接ヒトラーに面会させている゜このときヒトラーは「もしイギリスが本当に和平を願っているのなら、彼らの面子をつぶさずに、二週間以内に和平を達成することができる。条件はドイツがポーランドにおいて完全な自由を得ることを、イギリスが認めることだ」と語った。
しかしこの条件はチェンバレンが受け入れることのできるものではなかった。ミュンヘン協定違反以降、チェンバレンのヒトラーに対する不信感は急速に増大しており、イギリス首相はヒトラーとその収り巻き連中(ゲーリングを除く)が権力の座から降り、ドイツがポーランドとチェコスロバキア(ズデーテン地方を除く)から撤兵しないかぎり、ドイツとの和平はないとかたくなに構えたのである。
チェンバレンが強硬な姿勢をとり続けたため、イギリスの宥和派はハリファックス外相を中心にドイツ側との接触を保った・そして「リケット」と名乗るイギリスの石油ディーラー、著名なウォール街のブローカー「スミス」、アメリカの石油王ウィリアムーローズ・ディビス等さまざまな「怪しい」財界人たちが、ナチス高官とハリファックスの問を往来し、英独間に和平を結ばせようと暗躍していた゜主にチェンバレッ首相がヒトラー排除にこだわったため、これらの秘密交渉はすべて失敗に終わるが、英独政府の高官たちは、何とか全面対決は避けようと密かに交渉を続け、それゆえ実際の戦闘はほとんど起きていなかったのである。
この流れが百八十度変わるのは、ウィンストン・チャーチルが首相の座に就いてからのことである。この反ナチス強硬派の政治家が政権を奪取するまでには、イギリス政界内ですさまじい権力闘争が繰り広げられ、チャーチルはやっとの思いで一九四〇年五月十日に首相の座にたどり着くっそしてこの日が、英独全面対決のはじまりの日となったのである。
政権を握ったチャーチルは、まずイギリス国内の宥和派、親ナチス派を、あらゆる手段で徹底的に攻撃し、対独全面戦争に向けてイギリス国内をまとめ上げていくのである。
チャーチルは、チャーチルとルーズベルトの間で交わされた暗号文文書係りの駐英米大使館職員タイラー・G・ケントを逮捕した。

通信文を処理するうちにケントはチャーチルとルーズベルトが共謀して米国を戦争に参加させようとしている事実に気が付き、やがて確信したため米上院議会にこの情報を警告の為リークしはじめた。

この情報が反ユダヤ親ナチス団体に所属する恋人からナチスまで届いたことを英諜報機関MI5がつかんだ。そこで逮捕されたのだが、真の狙いは当時の駐英米大使、
米第35代大統領ジョン.F.ケネディの父親ジョゼフ・P・ケネディだった。

ジョゼフ・P・ケネディは1938年駐英アメリカ大使となった。元々ドイツ投資に積極であったウォール街出身のジョゼフ・ケネディは、英宥和派のチェンバレン首相と意見が合い、米独中立に向け動き出したのであった。ジョゼフ・P・ケネディは親ナチスとなり英米に親ナチス派のネットワークを築いた。

4:54~6:07「私は我が民族の復興が自然にできるとは約束しない、国民自らが全力を尽くすべきだ。自由と幸福は突然天から降ってはこない、全ては諸君の意志と働きにかかっている。我々自身の国家のみが、我々自身の国民のみが頼りとなるドイツ国民の未来は、我々自身のうちにのみ存在するのだから。国民自身が国民を向上させるのだ。勤勉と決断と誇りと屈強さによって、ドイツを興した祖先と同じ位置に上がることができる!」

この演説は・・・JFKの就任演説と同じだ。いや、ケネディがヒトラーの演説をオマージュしたのだ!(パクッタ?)
2/2の3:56~5:20「だからこそ、米国民の同胞の皆さん、あなたの国があなたのために何ができるかを問わないでほしい。 あなたがあなたの国のために何ができるかを問うてほしい。
世界の市民同胞の皆さん、米国があなたのために何をするかを問うのではなく、われわれが人類の自由 のために、一緒に何ができるかを問うてほしい。
最後に、あなたが米国民であれ、世界の市民であれ、今ここにいるわれわれに対して、われわれがあな たに求めるのと同じ力と犠牲の高い基準を求めてほしい。善良な良心を唯一の確かな報奨として、歴史を われわれの行為に対する最後の審判として、神の祝福と助けを求めながらも、この地球上における神の御 業を真にわがものとしなければならないことを知りつつ、われわれの愛するこの土地を導いていこうでは ないか。」

ヒトラーはケネディに多大な影響を残したと考えるべきだろう。

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2013.8.27 00:11
国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長が歴史認識で日本に反省を求めた問題を受け、日本政府は「中立を守るべき立場の事務総長の発言として適切か確認したい」(外務省幹部)として、在ソウル日本大使館などを通じ、事実関係の調査に乗り出した。

国連憲章100条には、「事務総長および職員は、この機構(国連)に対してのみ責任を負う国際的職員としての地位を損ずるいかなる行動も慎まなければならない」と規定している。

外務省は潘氏の記者会見の発言録を取り寄せて精査。政府筋は「強い口調で日本の非のみに言及しており、明らかに中韓寄りの発言だ。中立性を求めた100条に違反する恐れもある」と不快感を示している。

政府は国連に対し、潘氏の発言の意図を問い合わせる方針だ。「国際社会に誤解を与えかねない」(外務省幹部)として、9月の国連総会などの場で、日本の立場も説明する意向だ。



潘基文(パン・ギムン)が事務総長になった時からこのような発言をするであろうことは予想をしていた人は多いだろう。チョウセン人の血は誠実とか品格に程遠い。
潘氏が、中下層の国連職員を怒鳴り散らすのは有名だ。かつてインド国籍の娘婿を、イラク支援ミッションの官房長に抜擢した人事には、国連職員労組が事務総長批判を採択する事態となった。国連の主要ポストに韓国人ばかりを起用してワシントン・ポスト紙から「縁故主義」と批判されている。
事務総長自身が歴史認識と世界で起きている事象の政治歴史的背景を理解していると言い難い。特に現在シリア国内で国民に対し毒ガスが使用されたというが、そこまで状況を悪化させたのは大国の思惑を調整できない国連の責任も大きい。潘基文事務総長になってからの国連は、シリアやエジプト問題に対しても無力で、国連そのもの自体が機能していない国連は無用の長物無用化しており、リーダーシップをとらない潘基文の責任は重い。
湾岸戦争やユーゴ内戦で八面六臂の活躍をした前国連事務総長アナン氏のシリアでの孤軍奮闘ぶりは際立つ。西側諸国も国連もアナン氏の調停工作に協力をせず、シリア内戦は深刻化してしまった。ここにきて遂に毒ガスが使用されるに至ってしまった。
シリアのアサド政権を打倒することに対してはロシアと中国が反対しており、安保理のお墨付きを得られず、国連が何もできないのはわかっている。だが、それにしてもシリア情勢が緊迫化する中で日本の正しい歴史認識に口を挟む潘基文の空気の読めなさ、非常識さにはあきれ果てる。品格がない事務総長として長く記憶されるだろう。
リビアのカダフィ政権を打ち倒したのはNATO軍の空爆と軍事援助だったが、シリアを米国はじめNATO諸国の空爆もほとんどポーズに過ぎないとだろう。でも何もしない国連よりは頼もしい。
今後この発言を受けて、品位の欠け中立性に欠ける国からの事務総長の選出は避けられるだろう。国連内で次の事務総長は常任理事国からということもあり得るだろう。 従来避けられてきた、常任理事国からの事務総長が出無い限り国連は存在意義を失うかもしれないと思う。 

 
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マンディアントのリポートによれば、ハッカーグループは上海の浦東新区にある12階建てビルを拠点に活動していることを特定。このエリアには中国人民解放軍の61398部隊の本部があり、同部隊の一部であるとも言われている。
http://sankei.jp.msn.com/images/news/130221/wir13022121100005-p1.jpg100社を超える米国企業が、Comment CrewあるいはAPT1と呼ばれるハッカーグループによる攻撃を受けた。

中国軍との関係が取り沙汰される大規模なハッカーグループが、100社を超える米国企業のネットワークに侵入し、数百テラバイトものデータを盗み出したとする新たなリポートが米国時間19日に公開された。マンディアントという米国のセキュリティ関連企業が公開したこのリポートは、全部で76ページにも及ぶもの。同社はそのなかで、この大規模なサイバー攻撃への中国軍の関与に対し、正面から批判の声を上げている。

 マンディアントのリポートによれば、「Comment Crew」または「APT1」と呼ばれるこのハッカーグループは、上海の浦東新区にある12階建てのビルを拠点に活動していることが特定されたが、このエリアには中国人民解放軍の61398部隊の本部があり、同部隊の一部であるとも言われている。また、同部隊は数百人から数千人のハッカーを抱えており、このハッカーらをつかって2006年以降、国営企業のチャイナ・テレコムなどのリソースを利用しながら、多くの米国企業から貴重なデータを盗み出してきたと見られているという。

 「さまざまな分野の企業各社に対する大規模で継続的な攻撃が、中国の1つのハッカーグループから行われていることを考えると、APT1の背後には別の組織の影が浮かび上がる」とマンディアントはリポートの中に記している。「われわれがこの文書で示した証拠を踏まえれば、APT1が61398部隊であるという主張に至る」(マンディアントのリポートより)

 マンディアントによれば、世界中の組織をターゲットに中国軍が行っている組織的なサイバースパイ活動やデータの窃盗行為などは、中国共産党の上級幹部が直接指揮するものだという。また、61398部隊はこういったサイバー攻撃を行うため、中国国内の大学の科学・工学関連の学部から積極的に新たな才能を引き入れているという。

 今回公表されたリポートの中には、このサイバー攻撃の被害にあった企業も記されており、そのなかにはセキュリティ企業のRSAやコカ・コーラ、重要なインフラシステムの部品メーカーなども含まれている。ターゲットになった分野はハイテク、宇宙、輸送、金融サーヴィス、衛星、携帯通信、化学、エネルギー、メディア、広告、食料、農業まで多岐にわたっている。

 「61398部隊がこのリポートを読んで攻撃の手口を変えれば、われわれはさらに慎重かつ熱心に彼らを追跡していく必要に迫られることだろう」とリポートにはある。「ただ、このリポートが一時的にでも61398部隊のオペレーションコストを増やし、彼らの足止めになることを、われわれは切に願っている」(同リポートより)

昨年9月のNYT(ニューヨークタイムス)による温家宝不正蓄財報道があった。NYTは独自の取材だと主張するが、中国側情報提供者がいなければ、書けない記事であった。中国側はサイバー手法を駆使して、NYT内部情報を入手し、NYTに情報を売った中国人裏切り者を特定しようとした。そこで中国側が、通常のサイバースパイ活動に加えて、NYTなど米国メディアに対し徹底したサイバー攻撃を仕掛けた。

これに対し、近年の中国による米国重要インフラ施設へのサイバー攻撃増加に悩む米国政府と被害にあっているマスコミ等民間企業は、共同戦線を張って中国に対し公の場で強い警告を与えた。

米、サイバー交戦で先制攻撃可能に 対中国視野か

4日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、オバマ政権が検討中のサイバー攻撃の交戦規定について、海外からの重大な攻撃が迫っていることを示す確かな証拠があれば、大統領が先制攻撃を命令できる大幅な権限を盛り込む方針を固めたと報じた。

米政府高官は同紙に対し、サイバー兵器が対象国の軍設備や経済システム、通信設備などの社会基盤に多大な影響を及ぼすため、使用には米軍最高司令官である大統領の直接の命令が不可欠との認識に至ったという。

一方で、一定の例外を設定する可能性もあり、米軍が敵国を攻撃する際、レーダーなどの防衛システム遮断のためサイバー攻撃を仕掛けることなどが検討されているという。

交戦規定では大規模なサイバー攻撃に関する米軍の防衛、報復措置の指針が初めて定められ、オバマ政権が今後数週間で正式承認する。内容は極秘扱いになる可能性が高い。

同紙は昨年6月、米国とイスラエルがイランのウラン濃縮施設を狙ってコンピューターウイルス「スタックスネット」を共同開発し、オバマ大統領の承認で攻撃を仕掛け、遠心分離器の一部が使用不能になったと伝えていた。

中国からのサイバー攻撃が取り沙汰されるなか、米政府の動向が注目される。 (ワシントン)
米メディアが受けた「ハッカー攻撃」について、中国は「米国がまた中国からサイバー攻撃を受けたと自称している」と強く反発した。
パネッタ国防長官は昨年10月、米国の重要インフラに対するハッカー攻撃は将来「サイバー真珠湾攻撃」にもなりかねないと警告した。度重なる警告を発しても中国はハッカー攻撃をやめようとしない。

しかしながら米国も対中サイバー攻撃を仕掛けている。米側の技術レベルは高く、しかも日々向上している。今回のマンディアントのリポートも解放軍総参謀部の第三部各局が担当する技術偵察活動の詳細が書いてあり米側の情報収集能力の高さが読み取れる。

米側官民による対中宣伝戦には徹底的に対抗していくと思われるが、最初にサイバー戦争の種をまいたのは中国側がである。

1999年に発表された中国軍大佐の喬良と王湘穂による戦略研究の共著である「超限戦」において彼らは戦争をあらゆる手段で制約無く戦うものとして捉え、その戦争の性質や戦略について論考している。そのなかでサイバー戦争をとりあげている。

構成は第1部新しい戦争について、第2部作戦の新しい方法についての議論から成り立っていた。その中で喬良、王湘穂は25種類にも及ぶ戦闘方法を提案し、通常戦、外交戦、国家テロ戦、諜報戦、金融戦、ネットワーク戦、法律戦、心理戦、メディア戦などを列挙している。

最近の中国の振る舞いはこの「超限戦」そのものである。尖閣諸島への侵略行為もネットのハッキング行為もすべて「超限戦」なのである。

中国はたとえ事実を突きつけられても、都合の悪いことは「知らぬ、存ぜぬ」を貫き通し、ときには誹謗中傷だと食ってかかるのは、中国の常套(じょうとう)手段でもある。

中国がいくら否定しようとも中国がサイバー戦争を仕掛けているというイメージは世界中に広がった。

米国の主要各紙が中国からとみられるサイバー攻撃を受けていたことを相次いで公表した。温家宝首相一族の蓄財疑惑など自国に都合の悪い報道の経緯を探ることなどが目的だったとみられるが、中国当局は当然のごとく否定。サイバー対策を拡充したい米国の口実と主張した。しかし、被害を受けた米紙は、攻撃の発覚で、中国の姿が世界にさらけだされることになった、と同国に手痛い批判を浴びせている。

中国は、海外からの投資によって、世界の製造拠点として、また部品調達をはじめとした産業の集積を強みとして経済成長を実現してきた、だが、世界の景況感の悪化、人件費の高騰、また尖閣問題に端を発した反日騒動の影響で海外からの投資に急ブレーキがかかってきた。

2012年の全世界合計の中国への直接投資額は、1,117 億ドルと前年比 3.7%減とリーマン・ショック後の09年以来3年ぶりに減少に転じた,さらに年が明けた1月は、前年同月比7.3%減で8カ月連続のマイナスとなったことを中国商務省が発表した。

中国への1月の直接投資、8カ月連続減-金融危機以降で最長 - Bloomberg :

中国は異質であると世界中が認識をしはじめた。いままでは経済的に有利であると中国に世界中の資金が集まったが逆に工場撤退が相次ぎ中国の高度成長は維持できなくなる。国内が不安定化するなか中国は尖閣諸島を領有する企みなど三十数年前アルゼンチンが経済破綻で高まる国民の不満を逸らす為、フォークランドに侵攻したような対外戦争をする危険が高まった。これは米国の覇権に挑戦する試みでもある。仮に米国が同盟国である日本が攻撃されても反撃しなければ、米国の覇権は潰える。

米国の核の傘がなければ東京に中国の核ミサイルが打ち込まれかねない。日米同盟が機能しないのであれば、日本は核武装をすることになるのである。私は核武装に積極的な賛成をしない。日米同盟強化を支持したい。だが、東京に核ミサイルが打ち込まれない為にどうするか・・・真剣に考えなくてはならない。

米側の黒幕が誰かは分からない。攻撃の対象となった米企業が対中配慮から沈黙を守るケースも少なくないだろう。しかし、こうした米側官民の連携を見ていると、どこか従来とは異なる「決意」のようなものを感じる。最後に、筆者が特に気になった点を列挙しよう。

(1)米側は人民解放軍総参謀部「第三部」内12局の活動を相当程度詳しく承知している。
(2)各秘密サイバー部隊の所在地、サイバー攻撃の手口なども徐々に特定しつつある。
(3)一連の動きを通じ、米側は圧倒的優位を誇示することで、対中国抑止を狙っている。

(4)米国は中国側目標の位置まで特定しており、今後は攻撃も辞さないと警告し始めるだろう。
(5)マンディアント社は中国側の使う約3000個のドメイン名やIPアドレスを敢えて公表した。中国に対するこの心理的効果を過小評価すべきでない。

(6)中国側は温家宝不正蓄財報道の情報提供者を特定しようとしたのだろうが、逆に米側の反撃を許してしまった。解放軍サイバー部隊も当分は活動しにくくなるだろう。

されど人民解放軍はしたたかだ。米側専門家は一連の情報公開で米側「手の内」の一部を中国側に晒さざるを得なかった。相手の攻撃はこちら側の脆弱性を知るうえでも有効だから、今回中国側が得た教訓も決して少なくなかったはずだ。されば今回も痛み分けというところか。

米国と中国のサイバー紛争は今後とも表面上は静かに、しかし水面下では激しく、続いていくに違いない。ところで、サイバー面での日本の防衛は大丈夫なのだろうか。今頃心配しても遅すぎるのかもしれないが・・・。

一応日本でもサイバー部隊は創設された。

サイバー部隊創設へ 防衛省、監視・防護100人体制 2012/9/4 

 防衛省は2013年度、国際的なハッカー集団によるサイバー攻撃への対応を強化するため、陸海空3自衛隊による統合部隊「サイバー空間防衛隊」(仮称)を創設する。来年度予算の概算要求に盛り込む。中国などからとみられる政府機関へのサイバー攻撃が増えているのを踏まえ、専門的に対処する部隊を設けて監視・防護体制の充実を急ぐ。

新設する部隊は(1)サイバー攻撃に関する民間の最新情報を集める「情報収集」(2)コンピューターウイルスの侵入経路などを分析する「動的解析」(3)ウイルス本体を分析する「静的解析」(4)実際に攻撃を受けた場合の防御・追跡の体制をシミュレーションする「対処演習」――の4つの機能を軸に編成する。

部隊創設にあわせて、サイバー攻撃に使われるウイルスを解析できる「サイバー防護分析装置」の研究開発に着手。攻撃をしかけてきた相手を追跡できる新たなウイルスの研究開発にも乗り出す。

13年度末までに100人超の体制で発足することを想定している。来年度予算の概算要求ではサイバー対策の関連費として総額100億円超を計上する見通しだ。

現在、サイバー攻撃対策は通信基盤の管理を統括する自衛隊指揮通信システム隊が担っている。新部隊は指揮通信システム隊の下にサイバー対策の専門部隊として創設し、対処能力を高める。

(略)

 

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TPPの話題が消費税や首都圏直下地震の話題に隠れてしまっている。
私はこのブログにおいてTPP反対派に対して批判をしている。私はTPPは無条件賛成というわけではないがTPP反対派に対して違和感を感じ続けている。
中野剛志の話を聞いていると理由無く嫌悪感を感じるという、中野の人格がただ嫌いというのもその理由かもしれない。

私は自由貿易こそ経済の根幹だと考えている。
かの織田信長が楽市楽座の推進と関所の撤廃で経済の活性化を行い天下布武に動き出した故事を思い出してください。信長は日本に近代資本主義への種まきを行った。信長的自由貿易は関所の撤廃と楽市楽座は中世的停滞から戦国~南蛮貿易へと発展していった安土桃山時代の自由な雰囲気が日本を発展させ支邦や朝鮮と切り離し、江戸時代を経て明治維新の成功と近代日本の発展につづいて行ったのだ。自由貿易は善であると私は無条件に考えている。

そんな私の思想を幻想だと言い切るのが、帝国以後 で一躍名を馳せたエマニュエル・トッドの本書である。ここ1週間この本を何度も行ったりきたりしながら読み直した。

幾つかの点で反自由貿易主義者の言い分を納得した。確かに愚民と官僚が支配する衰退先進国日本はTPPに反対した方がいいかもしれない・・・

だが結論からすれば、日本がTPPに加入せずエゴイスティックな保護貿易を維持したいのであれば、核兵器や強力な軍事力を持ち、諜報機関を育成し国家として権益を守る意志を持った官僚や政治家が必要不可欠である。憲法も改正できない日本では反自由貿易・反TPPでは中途半端な世界の孤児にしかなれないと私は思う。

その前提で本書を読むといい。TPP反対派の言い分とその欠点両方が私には見えてきた。

本書の最後にエマニュエル・トッドのインタビュー記事が出ている。
短いので全文を載せる。

16 TPPは日本にふさわしい地域協定ではない〈インタビュー〉
エマニュエル・トッド 聞き手=毎日新聞・鈴木英生

今後は、中国の民主化よりも、西欧が中国の政治制度を採用するかどうかが問題になる時代かもしれません。

政治家の指導力低下と民主主義の危機は、日本のみならず先進国共通の現象です。西欧の民主主義は停滞し、世界の模範例ではなくなってきました。アメリカの地位も低下しつつある。

結果、中国の成長が世界のモデルとなったら……。私は、そんな未来を選びたくありません。

民主主義の危機の原因には、まず、教育水準の向上による社会の再階層化かあります。さらに、信仰やイデオロギーといった集団的な価値の衰退も原因です。日本では「成長神話」がこの集団的価値にあたります。

かつては、教育の普及による識字率向上が民主主義を後押ししてきました。ところが、さらに社会が進歩して高等教育を受ける人が増えると、学歴差による再階層化が進みます。この再階層化と、人々の政治参加に必須な集団的価値の喪失が、民主主義の衰退を招きます。フランスも米英も事態は同じです。

また、自由貿易と民主主義は長期的に両立しません。今の自由貿易は富の偏在をまねき、需要を縮小させ、格差を拡大させます。生活水準を低下させる経済の維持と、こうした経済を批判する可能性かある自由な政治的言言を許すこととは矛盾します。先般の経済危機も世界規模の需要不足こそが原因ですが、各国の指導者層はこれを認めたかっていませんね。

現状を変えるのに必要なのは、文化的、歴史的に近い地域単位の経済協定です。協定の参加国は互いに対して自由貿易的に、地域外には保護主義的に振る舞うようにする。地域協定によって給与の再上昇と需要の復活がもたらされ、民主主義が閉ざされる可能性も低くなると思います。

日本も、将来はフィリピンやベトナムなど中国周辺の半島国家や海洋国家と地域協定を結ぶべきです。これらの国とは家族構造も似ており、安定した関係ができるでしょう。ただし、同じ環太平洋地域でも米国やオーストラリアと一緒は難しい。文化も歴史も日本と違いすぎます。だから、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)については疑問です。

日中関係では、両大国がいねば「同時代の国」ではないことが、問題を難しくしています。日本は毎年首相が交代することが示す通り、世論のぶれ幅がポピュリスム的に激しく、民主主義の危機が進んでいます。とはいえ、穏健な先進国です。中国は、まだ、大衆の識字化か終わりつつある、欧州で言えば一九〇〇年代の段階です。経済の急成長で仕会に緊張が走り、政府はナショナリズムでガス抜きをしている。この両国間の「時差」が、東アジアの不安定さの背景でしょう。

今後に楽観はしていません。政治指導者は歴史上、誤りが想像しうるときに、必ずその誤りを犯してきました。だから私は、人類の真の力は、誤りを犯さない判断力ではなく、誤っても生き延びる生命力だと考えています。

(初出『毎日新開』二〇一一年一月一三日付)
私はこの文章を読み3.11直後に米国やフランスが自国民に出したトンチンカンな警告を思い出した。所詮外国人にとって日本を知らないし、大雑把な認識しかないと思った。

日本も、将来はフィリピンやベトナムなど中国周辺の半島国家や海洋国家と地域協定を結ぶべきです。これらの国とは家族構造も似ており、安定した関係ができるでしょう。ただし、同じ環太平洋地域でも米国やオーストラリアと一緒は難しい。文化も歴史も日本と違いすぎます。だから、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)については疑問です。

日本文明は中華文明と異なる。このトッド氏はその認識がない。日本と中国朝鮮は別の文明で考え方は天と地ほど異なる。日本は明治以後ずっと西洋に倣って民主化が進んだ。中国のような汚職・賄賂・地縁血縁が全ての西洋的ルール契約を守らない国より日本はよほど豪州や米国との価値観が近い。

だからトッドの言うTPPが疑問だという論法がよっぽど疑問だと思う。

起こるべくして起こったユーロの崩壊現象は各国間の富の水準が違いすぎたのだ。
協定の参加国は互いに対して自由貿易的に、地域外には保護主義的に振る舞うようにするのだから、その地域内の所得水準は均質化していく。

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経済規模からすれば日米FTAだがベトナム・ペルーがギリシャになるとは思えない。
日本と米国の一人当たりのGDPにTPP参加国が収斂していくと思う。


日本と中国が同じ経済圏で共存する方が日本にとって不利に決まっているではないか?だから中国とは自由貿易ではなく対応すべきであって、TPP参加諸国内と外では利害を調整しTPP内で自由貿易を行いつつTPP枠外については保護主義とすべきだと思っている。

そのそもトッドは自由貿易に反対している。

トッドはリカードの自由貿易反対論をケインズと並べ説明している。
p44-46
リストとケインズ

『経済学の国民的体系』の中には、自由貿易体制における世界総需要の問題についての完備した省察は見出されない。国民的枠組の放棄は、実際は、生産と消費の間のつながりを断ち切ってしまう。競争が全世界的なものとなる状況にあっては、賃金経費の圧縮が、生産に対する消費の傾向的遅れと、需要不足とを引き起こす。

しかし、イングランドがまだ穀特法を廃止していない」一八四一年の段階では、財の流通に国境を開くことの最終的帰結について熟考するには早すぎたのである。

それでもリストは、国民の生産と消費の相互補完性を浮き彫りにして、国内市場の保護の必要性という結論を導き出すモデルを提唱するわけであるから、需要の問題には鋭い感受性をあらかにしている。

彼の立論の主要部分は、国内販路の優位に立脚する。フランスとアメリカ合衆国の例を探り上げて、彼は、自由貿易の結果として起こる産業部門の崩壊がいかにして農業生産物の国内需要の収縮に至ることがあり得るかを示している。ところがこれについては歴史は悪戯好きであって、この思想家の推論の力強さと同時に、彼にしてなおすべてを予見することが不可能であったということを証明するのだ。

何しろ一八六五年から一八九〇年までの、ヨーロッパ史上最初の自由貿易局面
において起こったのは、まさしくこれとは反対のことだったからである。新世界の農産物が大量に到来し、農村部の危機を引き起こし、農村部はもはや産業に十分な需要を差し向けることができなくなる。

しかし仮説としての場合でも、歴史としての場合でも、彼のモデルは、自由貿易による需要の圧縮によって成長の鈍化か生産の低落が起ることを示唆している。リストは常に、大衆消費の拡大に好意的であり、これが産業の発展の明らかな前提条件であると考えている。

経済史のもっと後の時代に生きていたら、彼は本能的にケインズ主義者となっていただろうと断定しても、大胆すぎるということはないだろう。

世紀の違いをあまり顧慮せずに、このような類縁性を喚起するのは、当然のことである。リストとケインズは、異なるカテゴリーに回収しようとするいかなる企ても越えて、資本主義の調節、方向性づけ、飼い馴らしの二大理論家として立ち現れるからである。

すでに見た通り、二人とも個人と市場の存在、競争の効用を認めるが、行為者の合理性によって全面的に説明できる経済生活という短絡的な見方は受け入れない。全く異なる二つのアプローチによって、二人は自分の経済表象の中に、個人的もしくは集団的な非合理な次元を導入する。

リストは国民の集団的次元を感じ取り、株式市場の模倣的メカニズムに魅下されたケインズは、むしろ非合理なものの個人的次元に敏感である。

しかし彼ら二人の自由への愛着は、神話的な人間像、もしくは神学的な経済像の中に根ざすものではない。だから、国家の行動を構想しても、自由を裏切るという感情を抱くことはない。そしてこの二人の資本主義の制御の理論家は、国家による調節の三大手段、すなわち関税、通貨、予算のうちのあるものから別のものへと、いつの間にか移動することができる、ということが確認される。私は、潜在的にケインズ主義者となるリストに言及した。

しかし、歴史の現実の中では、ケインズが最後には穏健な保護主義を受け入れ、一九三一年に、イギリスに輸入される製造業製品に一五%の関税を、農産物に五%の関税を主張するさまを観察しなくてはならない。思えば、実際、一九三一年に行われた、イングランドの保護主義への復帰は、部分的にはポンドの切り下げによって為替による保護を確立することによって実現したが、これによってイギリスは三〇年代において特権的な国民となったのである。

一九三二年に行われた、国民的自足体制についての講演で、ケインズは、「私の心の方向は変わった」という、誠実さと確信に満ちた驚くべき言葉で、青年期の自由貿易主義を放棄している。

ケインズはこの講演の中で、社会的凝集力と経済効率の繋がりについてリストと同じような直観をいくっか表明し、自由貿易によって産み出される過度の専門化の不条理を知覚しているのである。また国際競争の結果として戦争が引き起こされる潜在性も感じ取っている。

国際競争の主張者たちは、それが永続的な平和をもたらすと絶えずわれわれに請
け合うのであるけれども。

現在の経済学教科書が、諦念とともにか歓喜とともにか断言しているところだが、実は需要のケインズ的制御政策は、国民経済のある程度の自律性を要求するのであり、国家の行動によって産み出された需要が、他の諸国から到来する輸入となって蒸発してしまうことにならぬよう、国境の開放はある程度のハードルを越えてはならないのである。したがってケインズの思想とリストの思想は、論理的に相互補完的である。ケインズ・モデルは、国民というものにっいてのある見方を前提とし、リスト・モデルは、需要にっいてのある考え方を前提とするのであるから。


 

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サンデルよ、「正義」を教えよう

ハーバード大に学ぶ日本人が少なくなった、中国人の方が多くなったと同大の女性学長がこの春、日本にやってきて言った。
 
そこの留学生数で国のレベルが決まるみたいな口ぶりだが、さてそんな立派な大学なのか。
早い話、そこの先生だ。その一人、ヘンリー・ゲーツ教授か「米国は黒人奴隷問題を恥じる必要はない」とニユーヨークータイムズに書いていた。
 
読んでびっくりだ。だって黒人奴隷はアフリカ人が売っていた、米国人はただそれを買っただけだと。
 
覚醒剤は持っているけど悪いのは上野で売っていたイラン人だというのと似てないか。 誰が奴隷を売ったかではなく、奴隷制度が悪いことをこの教授は知らない。 こんな外れもたまにはいると善意に解釈したら、もっと変なのが出てきた。 「正義」について語るマイケル・サンデル教授だ。
 
彼は「ハリケーンに遭ったニューオーリンズで屋根の修繕屋が五十倍の料金を吹っ掛けた」ケースを紹介し、これは人の弱みにつけ込んだ悪徳商人か、需要が大きくなれば高くなる当然の商行為の結果かと問う。
 
日本人は戸惑う。日本では例えば中越地震のとき。追加崩落し救援物資も届かない山村のスーパーが、とりあえず必要な食品や野菜二千円分を詰め合わせた袋を四百円で売った。
「こういう時はお互い様ですから」と店の主は答えていた。
阪神大震災のときは山口組が炊き出しをやった。
 
「アウトローは略奪するものだろう」とロサンゼルス・タイムズのサムージェムスンが驚いていた。
 
日本では儲けどきに安く売る。ヤクザも略奪よりまず人々を助ける。
だから日本人はサンデルの問いが発生すること自体、理解できない。
彼はまた南北戦争のときの徴兵制を取り上げている。
 
みんな兵士となって戦場に出るが、ただカネを出せば身代りが認められた。後には三百ドル出せば召集は免除された。
 
法の前の平等を説く米国もこの辺は堂々と貧しい者を差別してきた。
サンデルはそれを非難はしない。米国人に限らず人は生きたいのだからと。
第一次大戦はキール軍港の水兵の叛乱で終るが、これも根は同じだ。
ドイツは最後に残存艦隊の出撃を計画した。意気の高さを見せて停戦条件を有利にする気だった。
 
それに「もう少しで生きて帰れる水兵が反発した」(川口マーン恵美『ベルリン物語』)。「最後の捨て駒にされてたまるか」というわけだ。ドイツ帝国はこのキール軍港の叛乱によって崩壊した。
 
この「自分だけは死にたくない」行動について問われても日本人は戸惑う。
先の戦争で日本が降伏したあと、ソ連軍が千島列島に武力侵攻してきた。
ポツダム宣言に沿った進駐でなく、武力で占領する意図たった。
米国が沖縄を占領したように我々も北海道まで武カで占領した。だからその領有権は我々にあると言うための侵攻だった。
 
ソ連軍はまず北の占守島を攻めた。もうお国が降伏したあとだ。そこの日本人将兵はどうしたか。
 
これが徴兵も金で済ます米国人なら金を積んででも命乞いをしただろう。
キール軍港の水兵も降伏が決まっているから、喜んで手を上げただろう。         
ただ日本人は違った。降伏後だから捕虜になっても形はつく。生きて故郷にも帰れるが、それで火事場ドロ以下のソ連軍に祖国を好きに蹂躙させるなど日本人として許せなかった。
だから一旦置いた銃を再び取って戦いに臨んだ。
 
日本側は七百人が戦後に戦死したが、ソ連側は数千人の死傷者を出し、半月近く足止めされ北海道侵攻は不能となった。
 
モスクワは日本政府に文句を言って占守島の将兵に銃を置かせた。
サンデルの頭にこうした日本的な正義はない。商売は阿漕…に、金持ちは命を惜しむ。それを何とか正義で包みたい。 あの大学に中国人が増えるわけだ。
 
(二〇一〇年十二月二日号)
髙山先生のご意見 ごもっともです。

サンデルの「これから正義の話をしよう」へアイロニーたっぷりのコラムである。
これから正義の話をしようの記事を書く為に高山先生のこの変見自在を目を通したのだが、これから正義の話をしようの記事の続きを書く気がなくなってしまった。

私は、何度も書いて申し訳ないが、消極的親米保守と称しております。
中国と対峙しなくてはいけない東アジアにおいて、米国との同盟無しの国際秩序はありえない。日米同盟は日本が21世紀の荒波をくぐりぬける為の最重要国策である。

TPP問題においても、沖縄問題においても私と意見を異なる頭が不自由な人達は、単細胞的に反米に走ってしまう。米国と日本には文化的相違が存在する事を理解していない。

ではなぜ反米保守の髙山正之先生のコラムを取り上げるか?反米保守とはいえ尊敬している。なぜ尊敬しているかといえば、産経新聞ロサンゼルス支局長でもあった髙山氏は米国をよく知ったうえで米国の悪辣な手口を堂々と公開している。こんなに悪い奴だよと言いつつも嫌味がなく、リアリストである。何より読んでいて痛快・愉快な気持ちになる。単細胞的反米主義とは異なる。

米国とは何かを知った上で米国と対等に付き合うべきと私は思っている。
対等な日米同盟は、東京裁判史観の洗脳を解脱なしにはありえない。

盲目的な親米は論外である。だが、米国は中国と異なり卑屈にならず対等に付き合えば真の友人となれる可能性がある国だと思っている。

喧嘩が強くて聖人君主的友人がいるならばそれにこしたことはないが、そのような友人はいない。米国はドラえもんののび太君のジャイアンといえば解りやすいであろうか。ジャイアンと思って付き合えば友人となれる。

米国とは何かを理解したうえでTPP交渉に臨むべきである。また今回のFX選択は、F-35にすべきではないと思っている。未だにユーロファイタータイフーンが最適だと思っているが、戦闘機を運用する制服組がF-22でなければF-35を希望したというのだからやむをえない選択であったのかもしれない。

しかし、盲目的にFXをF-35としなかったが故に一部ライセンス生産が可能となったのだ。対等な日米関係を築く為にも高山先生のコラム変見自在は必読である。

また幾つかの珠玉のコラムを本書から紹介したい。

この程度で大学教授とは恐れ入る

その昔、ベトナム史について学界の泰斗という明治学院大学教授を取材した。
泰斗は「日本軍の長い占領時代に」とか「日本軍の支配下で」とか、句読点代わりに言う。
日本嫌いなのはしょうがないとして、気になるのがさかんに使うベトナムの「長い占領時代」という表現だ。

長いと言ってもフランスに比べればほんのちょっとでしょうとたしなめる。 「確かに短い。しかしその四年間が問題なのだ」 四年間? 「そう。北部仏印進駐からだから」 いや日本軍の支配は昭和二十年三月に仏軍を追っ払ってからの五か月間だけど。 「えっ、ウソ」

日本はずっと居候。フランス統治が続き、フランス人たちは昭和十八年にサイゴンに四階建てのチーホワ刑務所を完成させている。 「戦場にかける橋」を書いたピエール・ブールは脱走罪でここに収容された。彼が描いた「残忍な日本軍捕虜収容所」のモデルはこの刑務所だった。残忍な拷問をやったのはフランス人で、やられたのは抗仏のベトナム人だった。明学の泰斗はそれも知らなかった。

後藤乾一早大大学院教授はインドネシア学の権威だそうだが、これも同じ。「日本車はスマトラの底なしの穴に原住民三千人を突き落として殺した」とやった。 調べたら穴には底があったうえ骨一つ出てこなかった。大嘘だった。

一橋大教授の藤原形は空に立ち上る真っ黒な煙幕を「日本車の毒ガスだ」と朝日新聞で断言した。毒ガスは無色で空気よりやや重いことはオウムのサリン部隊だって知っている。 そんな程度でも自虐史観に立っていれば朝日新聞が使ってくれる。

ではまともな学者はというと産経新聞に載るのが相場だったが、最近は少し変わったらしい。
先日は法政大の田中優子が産経新聞に書いていた。この人は授業に貧農史観漫画『カムイ伝』を使っていますと前に書いていた。 そのときはちょっと驚いたが、今回はちょっと呆れた。

民主党政権のやった「仕分け」に引っ掛かる無駄が江戸時代にもあった。それは「武士階級、今で言う官僚機構だ」というのだ。 「村や町の治安や自治は村人や町人がやった」からその上に立つ武士は少しでいいのに大勢いた、ぞれが無駄なのよと。 この人は漫画は読んでも文字ばかりの中村彰彦の著作は読まないらしい。

あの時代、武士の数は少なく仕事はやたら多かった。東京湾に流れ込んでいた利根川を今の銚子に流し、あの辺に良田を作ったのは関東郡代だ。 千曲川も多摩川も最上川もそう。治水や新田開発は武士がやった。百姓はそれでできた田んぼを貰った。

百姓はこっそり田を広げ、藍や煙草などを作って儲けた。十分金持ちだった。代官が検地をし直すというと、一揆を起こすと百姓が逆に脅した。江戸時代、だから検地はほとんどなかった。百姓につく形容詞は「貧しい」ではなく、「こすい」だった。

町人も例えば江戸は原則無税、大店は多少の運上金で済んだ。他所の街では間口で税金が決められ、だから間口に比べ奥行きの深い鰻の寝床みたいな街並みができた。それでもよかった。いい時代だった。

田中教授は知らないらしいが、治安は武士がやった。百万都市の江戸はたった二百五十人の与力同心が警察から裁判までやった。

それで働き頭の同心は三十俵二人扶持、年収二百万円にもならなかった。
日本は清貧を旨とする武士が官僚を兼務した。だから世界で稀有の汚職のない施政が実現した。

今の官僚と違って汚職をしないから武士は貧しかった。それでアルバイトをした。大館の曲げわっぱも豊橋の筆も秋田の樺細工も二本松の萬古焼もみな貧乏武士の副業だった。

町人や百姓は金に飽かして遊び、それが浮世絵やら根付けやらの結構な文化を生んだ。それもまた日本のよさだった。
日本を貶めるのが学者の役割だと思っているような者は朝日新聞に書いていればいい。

産経新聞も余計なバランス感覚などいらない。もう後もないのだから日和ることなく、まともな新聞の形を見せてほしい。
(二〇〇九年十二月十日号)


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國民新聞・平成23年01月31日の記事(その1) 

◆中国軍トップ 「十年以内に日本を核攻撃」

 この十年以内に核攻撃で日本などを消滅させ、中国人が世界人口の中で大きな比率を占め、人類の進化の過程で有利な位置を占めるやうにする―。
この驚嘆すべき発言は、中国国防大学院長の朱成虎少将のもの。         (略)                                             「人口増加により資源が欠乏し戦争が勃発した後、一部の人口が消耗して均衡が保つ」と。その人類の歴史の発展の中で「中国は後手に回って討たれるよりは、主導的に討つて出る方がいい。核戦争は人口問題解決に最も有効だ。中国は全力で核戦争を行う準備を整えるべきと決めつけ、「大切なのは、我が中国がこの競争において機先を制し、他国・他民族の人口をできるだけ減少させるやう努めるとともに、自国の人間が数多く生き延びるようにする」と述べた。
「愚かな計画出産政策を放棄して、できるだけ多くの子供を産み、計画的に周辺諸国に浸透させる。周辺諸国への密入国を人民に奨励する」と中国人の人口膨張を推進する。
さらに、攻撃対象として日本などの.国々を挙げている。その方法として、「機が熟したら、果敢に猛烈な勢いで、全面的な核攻撃を発動し、相手が反撃に出る前に、その人口の大部分を消滅させるよう努める」と言い、最後に、「中華民族が手に入れるのは世界全体である」と締括る。                    (略)
今年も中国の動静を厳しく見張つていかなければならない一年になつた。
山田惠久

この元ネタは2005年に既に流れてた朱成虎少将発言ニュースですよね?
最初に知ったのは軍事評論家=佐藤守のブログ    

2005-07-21 危険な中国軍将官たちの発言

で、あったが下記ブログがまとまりが良かったので紹介
中国、ミサイル増強について近隣諸国に説明する必要               =米国防長官(2005/10/20)
「米国のラムズフェルド国防長官(US Defence Secretary Donald Rumsfeld)は、訪中最終日の20日、中国はミサイル増強について近隣諸国に明確に説明する必要があるとの考えを明らかにした。軍事科学院で述べた。 同長官は、米国防総省は中国が弾道ミサイルを増強して世界の大半を射程に収めようとしていると確信している、との認識を示した。 その上で、「中国がこのように戦略的な攻撃能力を増強していることが、懸念の原因になっている。その結果、この地域に関心を持つ多くの国が、中国の意図に疑問を抱くようになっている」と述べた。」

北からも西からもミサイルが「実際に」飛んできてるんだから、日本としては、大問題ですがな。

Rich Lowry(リッチ・ロウリー)氏の論文(略)
「…冷戦の後、この同盟関係は崩壊に向かっているように見えた。日本は第一次湾岸戦争の際には経済的援助のみを提供し、1993年~1994年にかけての北朝鮮との対決ではアメリカへの情報・輸送協力を拒否した。クリントン主義者達は、その間、安全保障問題を放り出し、貿易問題で日本を苛め倒す事に執着した。 しかし数発のミサイルほど神経を集中させるものはなかった。1996年、中国は台湾へ向けて弾道ミサイルのテストを行い、数発が日本の航路付近に着弾した。この事件が、日本は「周辺有事」の際アメリカに輸送支援を行うと誓約し、米日同盟は「日本周辺有事」を含むと規定する米日宣言へ導いた。この「有事」とは台湾に関して起こりうる紛争をも含んでいる、として中国は文字通り悲鳴を上げた。2年後、北朝鮮は日本北部を越すミサイルを発射し、これはミサイル防御システムに関するアメリカとの協力に対する日本側の興味をかきたてる事になった」
「中国は、いわゆる「総合国力」(経済成長、軍事力、外交的影響力)とやらを追い求めている。中国の真の国家的関心は、無意味に日本の反感を買っているわけではない。しかし、現在の中国政治制度の実態は、他にどうにもしようがない事を示している。中国政府はその正当性をナショナリズムに依存しており、そのため、過去の残虐行為の為に人気のない日本を痛めつける以外に方法がないのだ。他の独裁政治と同様に、中国政府はその抑圧を正当化する為に外部の脅威を強調する必要がある」
                                                中国軍部高官・朱成虎少将 国防大学でのスピーチ(2005/07/06) 
「我々は先制核攻撃により中国以外の人口を 減らすと共に自民族を温存させる事に力を注ぐべきで、この核戦争後に 百年余りの屈辱に満ちた歴史を清算し 未来永劫にこの地球を支配するようになるだろう。」  

中国軍部高官・朱成虎少将 国防大学内部の会議上で講演(2005/07/06) 
「世界人口の総数はすでに地球資源と生態環境の許容能力を超えており、これを解決するために戦争、疫病或いは飢饉などの手段を用いて大量に人口を消滅させ、人類を引き続き生存させるべきである。 このためのひとつとして、中国政府は全力で核兵器の開発に取り組んでおり、十年以内には地球上の半数以上の人口を消滅させるだけの核兵器を装備することが可能である。」

中国軍部高官の核攻撃発言で、国際社会に波紋 (2005/07/18)
「中国外務省は、朱成虎氏の発言は個人の観点であると弁明したが、中国政府の立場ではないと表明することをしなかった。同時に中国外務省は声明文を発表、「中国は台湾の独立を絶対に容認しない、中国国家の分裂を促すあらゆる行動を許さない」と強調した。
~略~
ワシントン・タイムズ紙17日付けの報道によると、米国国防省のある高官は、「朱成虎氏の発言は、おそらく事前に中国高層部の許可を得た、中国政府の見解を代表するものだろう。戦争計画の一部を無意識に漏らした可能性もある。この発言の意図は、アジア国家にアメリカの軍事力を恐れていないことをアピールするものだろう」と分析した」


米議会、核攻撃発言の撤回と朱成虎少將の免職を求める (2005/07/22)
「中国の軍部高官朱成虎少將の核攻撃の衝撃発言に、米下院は、20日修正案を通過し、中国政府に発言の撤回と朱成虎少將の免職を求める態度を示した。この修正案の発起人、共和党議員タンクレータ氏は「中国政府に、武力紛争ではなく平和方式で台湾問題を解決するとの保証を求めていくべきである」と述べた。
~略~
いったん米国が台湾海峡での武力紛争に介入した場合、「我々は、西安より東の都市が全部壊滅することを惜しまない。その代わり、米国も数百の都市が犠牲になる覚悟をしなければならない」と、中国の強硬姿勢を示唆した。
~略~
専門家らは「中国は自由に見解を述べる国柄ではない、軍部の高官に対する言論規制はもっと厳しいものである、核兵器使用問題で、今まで、中国政府は北朝鮮を利用して、国際社会を脅迫し続けてきたが、今回の朱成虎氏の発言は、決して個人的な見解ではなく、中国政府は仮面を外して、赤裸々な大胆行動に出たと受け止めるべきである」と分析した。
~略~
中国の有名な民主活動家・魏京生氏は「中国共産党は、目的達成のために手段を選ばないという卑劣な一面がある。いま中国社会には、各種の不安定要素が隠されており、政権を延命するために国民の注意を転換させ、結束力を強化する必要がある。中国政府は、対台湾戦争がこれらの目的を達成させる一番よい手段と考えている可能性がある。情報筋によると、今中国の軍事産業は大量の武器製造の注文を受けている。近く戦争が起こるとの噂も流れている」と暴露した」


ネットにリークされた、中共軍部の危険思想 (2005/08/26)
2005年4月23日、「博訊」という中国語のネットに、中共中央軍事委員会副主席、国務委員で国防部部長・遅浩田上将による「演説」という形で掲載された。
「演説」の抜粋

「どのような事態に直面しても、我々は党と国、そして国家の未来のために前進するのみであり、そのためには困難を乗り越え、犠牲はやむを得ないのである。人口の半分以上が死に絶えてもまた再生できるが、もし党が無くなれば、すべてがなくなり、永遠になくなるのだ!」
~略~
「どのような事態になっても、我々、中国共産党は、決して歴史の舞台から引き下がらない!我々は、歴史の舞台から退くよりも、あえて世界中の人民を道ずれに自決する道を選ぶ。“核の束縛”という論理があるではないか?つまり、核があるから、世界の安全は保たれており、死ぬときは皆一緒、という論理である。私の考えでは、党の運命は世界の運命と共にある、という束縛があると思う。もし我々、中共がなくなれば、中国がなくなり、そして世界も終わる、ということである」
~略~
「2億人ものアメリカ人を殺すことは、確かに残酷なことだ。しかし、それは中国の世紀を迎え、そして中国が世界をリードする道を辿るステップに過ぎない。 ~略~ 我々は中国人を守り、党の生命を死守するであろう。なぜならば、我々は中国人であり、党のメンバーであるからである。中共に入党したその日から、党の生命は全てのものの上に立つのである!」

なんだ、国民新聞山田惠久氏の記事は2005年の朱成虎少将発言そのものじゃんか・・・有名な朱成虎少将発言の旧聞が最新ニュースのごとく流れているのはいかがなものか?また、ろくに調べ転載するブログもありますが・・・同じ保守系ログとして恥ずかしい。もう少し保守系のブロガー諸君のレベルアップを望みます。

でも、このニュースから6年、約束の10年まであと4年。確かに中共暴発の危険性は高まっています。6年前は単なる極端な軍人の妄想にすぎないとまだどこか安易に考えていた。だが、2011年に読む朱成虎少将発言はリアリティがあり、危機感を感じてしまいます。また、石平氏の最新記事を読むと、日本は呑気に政争している暇はない。

毛沢東の狂気が蘇る時民族滅亡の脅威              最近、中国の国内メディアで、「毛沢東」にまつわるいくつかの興味深い記事が見つかった。
1つは、人民日報社の自社サイトである「人民網」が1月17日に掲載した記事で、1957年11月に毛沢東がソ連で開かれた社会主義陣営の各国首脳会議に参加したときのエピソードを紹介したものである。記事によると、毛沢東はこの会議で、当時のソ連共産党フルシチョフ第一書記の提唱する「西側との平和的共存論」に猛烈に反発して次のような過激な「核戦争論」をぶち上げたという。

 「われわれは西側諸国と話し合いすることは何もない。武力をもって彼らを打ち破ればよいのだ。核戦争になっても別に構わない。世界に27億人がいる。半分が死んでも後の半分が残る。中国の人口は6億だが半分が消えてもなお3億がいる。われわれは一体何を恐れるのだろうか」と。

毛沢東のこの「核戦争演説」が終わったとき、在席の各国首脳はいっせいに凍りついて言葉も出なかったという。さすがの共産党指導者たちも、「世界人口の半分が死んでも構わない」という毛沢東の暴論に「圧倒」されて閉口したようである                                                 毛沢東という狂気の政治指導者の暴虐さをよく知っている中国の知識人なら、この発言を聞いても別に驚かないのだが、筆者の私が興味深く思ったのはむしろ、人の命を何とも思わない共産党指導者の異常さを露呈し、党のイメージダウンにつながるであろうこの「問題発言」が、他ならぬ共産党機関紙の人民日報社の自社サイトで暴かれたことである。                          (略)
毛沢東の「核戦争演説」といい朱成虎少将発言といい、中国人と人類ははたして共存できるのであろうか?とても疑問である。

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