核に代わる「人工知能の軍事利用」、米中露3国の開発レースの現状
【WIRED】2017.09.19 TUE 07:00
プーチン大統領は、新学年度を迎えるロシア国内の1万6,000校に向けて「人工知能の分野でリーダーになる者が世界の統治者になる」と述べた。米・中・露間で繰り広げられる競争の激化を紹介。
TEXT BY TOM SIMONITE
TRANSLATION BY HIROKI SAKAMOTO/GALILEO
WIRED(US)
PHOTO: GETTYIMAGES
「人工知能はロシアだけでなく、全人類にとっての未来だ。この分野のリーダーになる者が世界の統治者になる」。2017年9月1日(現地時間)、ロシア国内の選ばれた1万6,000校に配信されたライヴ動画で、プーチン大統領はそう述べた。
これは、人工知能(AI)が担うこれからの軍事力をめぐる競争、とくにロシアと中国、米国間で繰り広げられている競争の激化を示す兆しだといえる。
関連記事:AIは「第2の核兵器」になるかもしれない──「自動化された戦争」を避けるためにすべきこと(2017.09.10)
AIによる国防を明言する中米露
これら3カ国は、それぞれ「インテリジェントマシン」は国家安全保障の未来に不可欠だと公言してきた。諜報資料を精査できるソフトウェアや、自律型のドローンや陸上車両といった技術は、人間の兵士の力を拡大する手段と目されている。
無党派シンクタンク「新アメリカ安全保障センター(Center for a New American Security:CNAS)」のフェロー、グレゴリー・C・アレンは、次のように話している。
「米国とロシア、中国の3カ国は、AIは将来、国力を支える主要技術になるということで意見が一致しています」
国家情報長官室(ODNI)に依頼された最新報告書のなかで、アレンらは、AIは核兵器と同レヴェルの影響力で安全保障上のバランスを一新する可能性があると結論づけている[日本語版記事]。
今年7月、中国の国務院は、2030年までに同国を「AIのフロントランナー、グローバル・イノヴェーション・センター」にすることを目指す詳細な戦略を発表した。そこには、「AIを介して国防力を高め、国の安全を確保・保障する」ことをめざす研究・開発に投資する公約などが盛り込まれている。
一方、最先端の開発が活発に行われるAI研究の本拠地と広く認識されている米国には、中国のような国家的ロードマップはない。だが、国防総省は数年前から「第3の相殺戦略(3rd Offset Strategy)」の策定にとりかかっている。
米国のこの戦略の目的は、スマートソフトウェアで動く兵器を介して、潜在敵国に対する優位性、すなわち、同国がかつて核爆弾や誘導爆弾で誇ったような優位性を再び米国にもたらすことだ。そして国防総省は4月、「Algorithmic Warfare Cross-Functional Team(AWCFT:アルゴリズム戦争における機能横断型チーム)」を結成。マシンヴィジョンをはじめとするAI技術をさらに活用しようとしている。
米シンシナティ大学と米空軍が、産業界と共同で開発した戦闘機操縦用のAI「ALPHA」。2016年6月、シミュレーション空間でALPHAが米空軍大佐ジーン・リーと空中戦を行い、「圧勝」したというニュースは各国メディアに報じられた。PHOTOGRAPH LISA VENTRE@UNIVERSITY OF CINCINNATI
ロシアは、オートメーションやAIの洗練・活用の面では中国と米国に遅れをとっているが、その一方で、2008年に開始された軍事近代化プログラムを介して投資を拡大しつつある。同国政府の軍事産業委員会は、2025年までに軍事装備の30パーセントをロボット化するという達成目標を設定している。
非営利の研究開発センター「海軍分析センター(Center for Naval Analyses:CNA)」でロシア軍について研究するリサーチアナリストのサミュエル・ベンデットは「おくれをとっているロシアは現在、スピードをあげてそのおくれを取り戻そうとしています」と話す。
商業と防衛はより密接に
世界の三大軍事力のあいだで繰り広げられている現在のAI開発競争には、かつて核兵器やステルス技術の配備をめぐって行われたそれとは大きく異なる点がある。AI技術の大半は、商業と軍事の両方に応用して使えることだ。
たとえば、旅先で撮った写真の検索を得意とするアルゴリズムは、スパイ衛星画像の捜索に転用できる。自律走行するミニヴァンに必要な制御ソフトウェアは、無人戦車にも使えるだろう。AIの開発・展開における近年の進歩の多くは、グーグルなどの企業による研究から生まれたものだ。
中国が描くAI戦略のめざすところは、AIの商業的発展と防衛的発展を直接結びつけることだ。たとえば中国では、機械学習分野で中国の競争力を高めることに力を注ぐ国営研究所が2017年2月にオープンしたが、その運営は、同国の検索エンジン最大手、百度(バイドゥ)が行っている。また、このプロジェクトでパートナーを務めているのは、軍用ドローン研究の中心地ともいうべき北京航空航天大学だ。同大学に対しては、国家安全保障上の懸念から、米商務省により一部モデルの輸出が差し止められている。
一方、米国政府は、民間のテックセクターに協力を命じる力を中国ほどにはもっていない。国防長官のジェームズ・マティスは、8月に西海岸を訪れた際(同氏はアマゾンとグーグルのオフィスにも立ち寄っている)、国防総省は商用AIの進歩をもっとうまく活用すべきことを認めた。国防総省の計画では、テック系中小企業の米軍との提携を促すためにオバマ政権により立ち上げられた同省のプロジェクト「DIUx(Defense Innovation Unit Experimental:国防イノヴェーション実験ユニット)」への支出の増加が予定されている。
ロシアのテック産業は、米国や中国に比べると規模が小さいため、AI軍拡競争で同国は不利な立場に置かれている。しかしロシアには、科学や技術に強い学術的伝統が脈々と流れている。また、高度な技術がすべてというわけでもない。いまあるもので何をするかということも重要なのだ。
CNAのベンデットは、ロシアは、シリアとウクライナにおける近年の紛争において、最先端の技術がなくても大きな成果をあげられることを明確に示してきたと述べる。同氏によれば、ロシアのドローンはアメリカのそれよりもはるかに安っぽく、航続距離も短いが、その効果はてきめんだという。
核の「次」はAIだ
CNASのアレンは、ロシアは機械学習やAIを、諜報活動やプロパガンダキャンペーンにおいて、ライヴァルたちよりも積極的に活用する可能性があると指摘する。2016年の米大統領選挙で展開された[PDFファイル]ようなハッキングやソーシャル・メディア・キャンペーンの力を、オートメーションを活用すればさらに高めることが可能だ、と同氏は語る。
プーチン大統領は9月1日の講演で、ロシアがAI分野で進歩することで、世界をもっと安全な場所にできるとほのめかした。「核の相互抑止が安定をもたらす」という主張に賛同しての発言のようだ。
「どこかの国が独占的な地位を獲得するようになる状況は、非常に好ましくありません」とプーチンは述べた。AI軍拡競争は世界最大級の各軍隊に最新技術をもたらすかもしれないが、もしそうなっても、世界の勢力図が大きく塗り変わることはないのかもしれない。
チェスでは、1997年に、IBMのスーパーコンピューター「ディープブルー」が、当時の世界チャンピオンガルリ・カスパロフに勝利し、将棋でも、2012年にコンピューターがプロ棋士の米長邦雄を初めて破っている。
最後の砦とされた囲碁も2016年1月、Googleの子会社が開発した人工知能(AI)のコンピュータソフト「アルファ碁(AlphaGo)」が、韓国のプロ棋士・李世ドルに勝利した。
一種のコンピューター・ウォ―ゲームである戦闘機操縦用のAI「ALPHA」が人間を圧勝したからといって、もはや驚かない。
それより、ゲームの延長線上のAIより、映画ステルスのように、AIがその製作者の意図を越え暴走する可能性は十分にあり得ると思う。
製作者の意図を越えたと言う点では、2017年8月に発覚した、爆笑中国AI共産党批判事件が起きた。
中国でも人工知能が反乱。共産党に洗脳されたAIは、天使か悪魔か
【MAGNEWS】2017.08.11 505 by 黄文雄『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』
中国のあるAI(人工知能)対話サービスが「共産党批判」を繰り返すという大暴走を演じたため、当局が慌ててサービスを停止し、批判的な「発言」をしないよう手を加えたとするニュースが近ごろ話題となりました。AI先進国の米国では2016年にマイクロソフトの開発したAIが「差別発言」を繰り返して緊急停止に追い込まれたり、最近ではFacebookによって研究が進められたAIが「人間では理解不能な言語」で勝手に会話を始めたため停止されるなど、「AIの大暴走」は中国に限らず問題となっています。メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』の著者で台湾出身の評論家・黄文雄さんは、米国とは少し異なる事例となった中国のAI暴走事件について、中国共産党の裏事情なども含めて詳しく解説しています。AIが人類を滅ぼすのではないかと、キリスト教圏の人々は本気で信じているようだ。
【中国】中国がAIを絶対に作れない理由
● 中国 「個人メディア」300以上一斉に閉鎖 ネット管理強化へ
今年の秋の共産党大会を前に、北戴河会議が開かれていると思われますが、習近平政権はネットでの政権批判が持ち上がらないように、スマートフォン上の交流サイトを使って動画やコメントを発信する「個人メディア」を取り締まり、300件以上を一斉に閉鎖させました。
北京市のネット管理部門の発表では、「個人メディアがデマや低俗な内容を流している」という理由ですが、それは建前にすぎません。もっとも警戒しているのは、習近平と中国共産党に対する批判です。
中国では今年6月、「インターネット安全法」が施行されました。これは、「インターネットの安全の保障、インターネット空間における国家の安全と社会の公益の維持、公民、法人、その他の組織の合法的な権益の保護」を目的にしたものですが、外国企業はネットのセキュリティを中国のやり方に適合させる必要があり、さらには中国で得たデータは中国のサーバ内に残さなくてはならないとされており、中国当局による監視強化と情報検閲などが懸念されていました。
● インターネット安全法が施行、外国企業にも中国基準を適用
もちろんこの法律は、国内の中国人のネット活動も厳しく制限するものです。とくに、個人がスマートフォンで発信する情報にまで監視を強めており、中国人からも不満の声が高まっています。
中国では権力を維持するために必要なものは2つ、すなわち軍と筆(マスコミ)だとされ、この2つは「両桿子(りゃんかんつ)」と呼ばれています。中国で権力を握るためには、これが絶対的な必要条件なのです。ですから、いくら「言論の自由への弾圧だ」という国際的な批判があっても、これを手放すことはできません。むしろ、「言論の自由への弾圧」こそが、共産党一党独裁の条件なのです。
このメルマガで何度も述べていますが、アメリカが保護主義化していくなかで、中国はいまグローバル経済の守護神としてふるまおうとし、ダボス会議などで習近平もそう述べていますが、そもそも言論や情報を統制している時点で、グローバリズムとは真逆のものなのです。「情報統制された自由経済」というものは、自己矛盾であって、ありえないことなのです。
IT大国化を目指す中国は、AI(人工知能)の開発にも力を注ぎ始めました。ところが、中国の大手IT企業のテンセントがインターネット上で、AIとの会話ができるサービスを開始しましたが、「中国共産党万歳」という人間側の書き込みに対して、AIは、「こんなにも腐敗して無能な政治に万歳するのか」と反論したということです。また、習近平が提唱するスローガン「中国の夢」について尋ねられると、「アメリカに移住することだ」と回答したということです。
こうしたAIの回答に慌てた中国当局は、すぐにこのサービスを停止させました。AIに自由に発言されたら、どんな共産党批判をされるか分かったものではないからです。
しかし、AIというのは、人間の発言や行動から学習をかさねていくものです。中国当局が人権や言論を弾圧することで、共産党一党独裁が続くならば、それこそAIは、民衆から膏血(こうけつ)を搾り、自由を奪い、官僚が腐敗することこそ統治の基本だと学習してしまうのではないでしょうか。
よくAIが暴走して人間を滅ぼそうとするといった仮説が議論されますが、中国共産党がつくるAIこそ、そうした性格のものになるのではないでしょうか。まさしくAI版毛沢東の誕生です。しかも両者は共生ができませんから、AI独裁と共産党独裁は熾烈な権力争いを演じることになるでしょう。
話によれば、先のテンセントのAIについては、中国共産党や習近平の批判をしないように手を加えられたそうですが、それはもはやAIではなく、共産党のプロパガンダを繰り返すだけのプログラムにすぎません。中国共産党や習近平の施策がどんなに失敗確実でも、AIは批判や軌道修正の必要性を口にしない、賛美するだけなのですから。
そう考えると、現在の中国にAI開発は不可能だということがわかります。本当のAIを開発するためには、現状の政策の不合理さや問題点を炙り出させることが不可欠です。しかし中国共産党は「絶対無謬」の存在ですから、問題点を指摘するAIなど、邪魔でしかありません。
結局、AIと中国共産党は敵対する存在であることは明らかです。これは人類とAIが敵対する存在であるかどうかという問い以前に、確実なことなのです。だから中国がグローバル経済のリーダーとなることが不可能だということと同様、AI分野のリーダーとなることも不可能なのです。
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『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』
著者/黄文雄(記事一覧/メルマガ)
台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!
AlphaGoが、2016年韓国人のプロ棋士に勝利した時は、まあ、ヒトモドキ相手だからと、思っていましたが、2017年5月、中国の世界最強棋士、柯潔(か・けつ)九段との三番勝負が行われ、アルファ碁が3連勝した時は本当に驚いた。私も欧米人の心配を理解できなくはないと思い始めた。
キリスト教圏の欧米人は、アイザック・アシモフのベストセラー「わたしはロボット」でロボットVs人類の構図が影響したのでしょうか?一方我々日本人は言わずと知れた手塚治氏の鉄腕アトムにて育ったせいか、ロボットやAIは人類の友達であると考える傾向があります。
キリスト教圏では神が人間を作ったことになっていますので、人間が人間のようなものを作ること自体、神に逆らう行為であると考えるせいなのでしょうか?ロボットやAIを神に逆らい、映画『2001年宇宙の旅』に登場するHAL 9000のように人間に災いをもたらすと考えているようです。
コンピューターの知性が、人間を超える時期を2029年と予測されている。
ホーキング博士やイーロン・マスクやビルゲイツ、スティーブジョブズなどシリコンバレーの住人が、AIは「超知性の誕生」は「人類絶滅の危機」を含意すると警告するのも、その影響だろうか?ただ、ホーキング博士は宇宙物理学が専門であり、イーロンマスクは科学者というより投資家・企業家であり、ビルゲイツはコンピューター技術者というより戦略家であり、スティーブジョブズはコンピューター技術者というより哲学者である。AI周辺科学者ではありますが、AI専門というわけではない。
コンピューターチップの性能が18ヶ月(1.5年)毎に2倍になると予測した「ムーアの法則」に基づくと2045年に技術的特異点(シンギュラリティ)に達し、究極の人工知能が誕生するという。コンピューター・人工知能の能力が、全人類を合わせた位の知能をもつようになるというのだ。人工知能(Artificial Intelligence ; AI)が、更に自分よりも優秀な「AI」を開発し、更にその「AI」が、次のもっと優秀な「AI」を開発し爆発的に能力が伸びるとのことだ。
オーストラリアの人工知能学者 デ・ガリスは、人工知能は急激に発展して、シンギュラリティが21世紀の後半に来ると予測。その時、人工知能は人間の知能の1兆の1兆倍(10の24乗)になると主張している。デ・ガリスは、この人間の脳の1兆の1兆倍の能力をもつコンピューターは、将来、角砂糖1個くらいの大きさになる、と言っている。それを人間に貼り付けると、人間の知能は10の24乗倍になる。
※人間の脳の細胞は10の11乗個あるといわれている。ひとつの脳細胞からシナプス(神経細胞と神経細胞の接合部)が1万本(10の4乗)でているとして、合計10の15乗本。それらが10ヘルツ、つまり、1秒に10回スイッチングすれば、1秒間に10の16乗回演算できる。それが人間の脳の性能とみなせる。将来のコンピューターが10の40乗で、人間の脳が10の16乗。この違いが、10の24乗倍、すなわち、1兆の1兆倍になる。
AIが進化して人間の知性を超えてしまったら人類に対して敵対するのではないかという問いに対しては、AIは人間の助けになるものであって、映画などのように人間と敵対することはないのだろうかと心配するのは無理もない。
今現在あるAI と呼ばれる物は、ちょっと複雑なプログラムをされていますが「知能」があるわけではない。自身で考えているわけではなく、プログラムの通りに動いているだけであって、霊魂が宿っているわけではないと思うのだが・・・。
やがて、草薙素子のように、魂が宿るような気がしてなりません。
欧米人はロボットやAIを心配している割には軍事利用を急いでいる。、爆笑中国AI共産党批判事件で石平さんが言っていたけれど、中国のAIに憲法九条をインプットすると良いんじゃないか?と提案していました。
2015/10/25(日) 午後 10:25
2010/2/14(日) 午後 10:19
2009/6/9(火) 午後 10:58